環境省保健・化学物質対策PRTRインフォメーション広場化学物質排出把握管理促進法に関する懇談会

第4回化学物質排出把握管理促進法に関する懇談会 議事録


1.日時  平成18年8月3日(木) 13:00~15:58
2.場所  アイビーホール青学会館2F「ミルトス」
3.出席者(敬称略・五十音順)
(座長) 大塚 直  
(委員) 有田 芳子 安藤 健吾
  池田 茂 岸川 敏朗
  小出 重幸 白石 寛明
  瀬田 重敏 豊田 耕二
  中杉 修身 中地 重晴
  藤江 幸一 安井 至
4.議題 
(1) 有識者からのヒアリング
(2) 化管法見直しに向けた論点について
5.議事
午後1時00分開会

○戸田補佐 それでは、定刻になりましたが、座長の大塚先生からやむを得ない事情で四、五分遅れるという連絡が入っておりますので、開会の方は、いましばしお待ちいただきたいと思いますが、その前に資料の確認など、座長がいらっしゃらなくても差し支えないところにつきまして、進行しておこうと思います。
 本日は、ご多忙にもかかわらずお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。委員の先生方、また、本日5名のゲストスピーカーの方に来ていただいておりますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、本日の懇談会につきましては、新美委員からご欠席というふうに連絡を受けております。また、小出委員からも少し遅れるという連絡をいただいておるところでございます。
 配付資料の確認でございますけれども、議事次第に進んで、2枚目を見ていただきますと資料の一覧がございまして、配付資料の名称を列記してございます。資料1-1から1-5までがゲストスピーカーによるプレゼンテーションの資料、資料2が化管法に関する懇談会の第1回から第3回会合で出された主な意見ということになっております。
 もし、資料の不足等がございましたらお申しつけいただければと思います。
 これまでの会合におきましては、前回会合の議事録を資料として出しておりますけれども、前回は1週間前でございますので、まだ速記起こしの方が間に合っておりませんので、本日は大変申しわけないのですけれども、前回議事録はつけておりません。これにつきましては、後ほどメール等で確認をいただきたいと思います。
 我々の方からは以上でございますけれども、あわせて5名のゲストスピーカーの方々を順にご紹介させていただきたいと思います。
 まず、5名のうち最初、化学物質問題市民研究会の藤原寿和様でございます。

○藤原氏 藤原でございます。

○戸田補佐 社団法人日本電機工業会の小澤義一様でございます。

○小澤氏 小澤でございます。

○戸田補佐 全国鍍金工業組合連合会の武田光史様でございます。

○武田氏 武田でございます。よろしくお願いします。

○戸田補佐 ウレタンフォーム工業会の丸山昭洋様でございます。

○丸山氏 丸山でございます。よろしくお願いします。

○戸田補佐 名古屋市公害対策部の酒井幹彦様でございます。

○酒井氏 酒井でございます。よろしくお願いいたします。

○戸田補佐  一言追加でございますが、前回議事録はございませんけれども、資料2が第1回から第3回で出された主な意見ということで、この中には一応第3回会合でいただいた意見も盛り込んでございますので、これを見ながらプレゼンテーションの後の後半の部分でご議論いただきたいと思います。
 本日、議事次第にもございますように、最初、ゲストスピーカーの方から10分ずつお話をいただきたいと考えておりまして、非常に時間がタイトでございますので、できるだけ「論点について」という資料2の議論の時間を多くとりたいものですから、10分ということでお願いしたいと思います。事務局の方から大体9分ぐらいたったところでメモを入れさせていただきまして、その後1分ほどでお話を終わっていただければというお願いになるかと思いますので、わざわざ来ていただきながら大変申しわけないのですけれども、プレゼンテーションの時間の方はよろしくお願いいたします。
 また、マイクにつきましては、委員の先生方のところのマイクはボタンを押していただくということになりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、大塚先生いらっしゃいましたので、ここで大塚先生の方に議事をお願いしたいと思います。

○大塚座長 申しわけありません。
 まず、化学物質問題市民研究会の藤原さんよりプレゼンテーションを10分間お願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○藤原氏 ただいまご紹介いただきました化学物質問題市民研究会の代表をしています藤原でございます。
 早速、説明の方に入らせていただきます。
 まず、化管法の目的の中に、リスクの削減ということをうたい込んでいただければと思っています。
 それから、化学物質の全サイクル(製造から廃棄に至るまで)を通じて環境への排出・移動・消失等、これはマス・フローということについての把握を行うことを明確にする必要があるのではないか。
 それから、基本的なスタンスとして、国民の「知る権利」だけではなくて、「情報等へのアクセス権」とか、この制度、法律、枠組みをめぐる「政策決定への参画権」についてもうたっていただければというふうに考えております。
 それから、仕組みとして、地方自治体についてはもっと積極的な関与・役割を明らかにしていただければということで、具体的には政令市等への届出事務の委譲とか、あるいは地域における排出量等の管理及びリスク削減のための改善方法等を検討するための評価委員会を設置してはどうかということでございます。
 対象物質の見直しについては、現在の人への有害性・生態毒性・オゾン層破壊物質等の他に難分解性・高蓄積性物質等も、あるいは不可逆的な影響をもたらすような物質についても加えていただければと思います。
 一例として、パーフルオロオクタン酸とか、いわゆる過フッ化化合物、あるいは前駆物質ということと、それから医薬品について今除外されていますけれども、追加の方向で検討していただければ。昨今、環境中に医薬品の残留が確認されてもおりますので、後ほどの対象業種の中で医薬業等とも関連します、追加の方向でご検討をいただければ。
 それから、対象物質については、随時追加選定するための仕組みとして、第三者による専門機関等による検討が必要ではないかと考えました。
 対象事業者について、現在条件としてあります従業員数が21人未満の条件は削除し、年間取扱量でのみ選定条件とする必要がある。これらの事業所に対しては、技術的・経済的支援策について検討を行う。
 それから、年間取扱量の規模については1トンという規模、これについては適宜見直しをする必要があるのではないか。実態として、都道府県によって1トン未満についても対象にしているということも加味する必要があるのではなかろうか。
 それから、現在届出対象になっていない業種についても追加ということで、医療業等、建設業、他にも何種類かあるかと思います。
 届出情報等の見直しについては、使用量、それから貯蔵量、そして製品への移行量等も加える必要があるのではないか。マス・フローについて、国民として知る、そういう情報にアクセスすることができる必要があるのではないかと。
 それから、水系、流域系毎の排出量の把握ができるようにするために、事業所等から出される排出水の放流先の下水道名を届出対象にすることによって、水系ごとの排出量管理もできるのではないか。
 それから、事業者の届出情報に対する第三者による監査制度のチェックシステムの導入が必要ではなかろうか。
 そして、届出情報の積極的な公表を義務づけ、現在、開示がされた場合に公表という手続になっておりますけれども、開示請求なしで公表が義務づけられる必要があるのではなかろうか。
 それから、MSDSについては、消費者、国民への積極的な開示を行っていただきたい。
 最後に、化学物質管理指針の見直しについてでございますが、この管理指針で定められております内容については、第三者専門機関による提案制度によってチェック、あるいは審議をしていただく必要があるのではなかろうかということで国民・消費者からの提案を含んだような制度の導入が考えられないか。
 削減方法とその効果、代替物質の安全性等の第三者機関によるチェックシステムを設ける及び地方自治体における、これは先ほどの地方自治体の役割としての評価委員会ということでございます。
 それから、国民・消費者への情報の積極的開示と説明責任の徹底という、行政もそうですし、事業者、自主管理されている事業者としても情報についての積極的な公表開示を説明についてわかりやすい説明を行うような、そういうことについての仕組みとか、さらに追加されればいいなというところでございます。
 以上でございます。

○大塚座長 ありがとうございます。
 それでは、藤原さんの説明に対するご質問を含めご意見などをお願いいたします。
 いかがでしょうか。中地委員お願いします。

○中地委員 3枚目のスライドですが、一番下の段で、地域における排出量等の管理及びリスク削減のための改善方法等検討するための評価委員会を設置することとなっていますが、評価委員会の設置主体というのはどういうふうにお考えなのでしょうか。

○藤原氏 設置主体は、恐らく国レベル、業種それぞれが主務大臣になっています国のレベルでの評価委員会と、それから地方自治体のそれぞれ都道府県、あるいは政令市等へ委譲した場合には政令市の中で評価委員会を専門家、あるいはいわゆる有識者、そして利害関係者とか、そういうものを入れた評価委員会ということを考えてはおりますけれども、まだ具体的なところまでは詰め切れていない部分もあります。

○大塚座長 他にいかがでしょうか。
 安井委員お願いします。

○安井委員 一つ、4枚目でございますけれども、対象物質の見直し、医薬品について追加の方向で検討することというのが4枚目のスライドにあるのですが、このあたりに関しましてはどんな感じなんでしょうか。医薬品が、今のPRTRの枠組みでの医薬品の排出なのか、そうではなくて消費者の体を経たものを含めて、全く新しいスキームを含めてのお話なのか。

○藤原氏 両方あると思うのですけれども、医薬業として医薬品を製造しているものは当然大気や排水の方でも出てまいりますし、それから抗生物質等の、あるいは制ガン剤等の実際に患者さんが使用している中で、尿等から排泄されて環境中に現在検出をされておりますので、両方の経路についての、環境への移動量といいましょうか、排出量ということだと思ってはおります。

○大塚座長 他にいかがでしょうか。
 安井委員お願いします。

○安井委員 一番最初のところに、目的を見直すところも、これも確かにそのとおりだと思うのですけれども、目的の第一にリスクの削減を加えること、これも私もよく言っているのですが、しかしリスクというのを考えてみると、有害性リスクだけではなくて、このところどうも世の中で議論されているのはビジネスリスクであったり、それから、不安リスクといって国民が不安に感じ過ぎることによるリスクなどもあって、要するにこの辺はもうかなりいろいろな議論をしなければいけないと思うのですけれども、そのあたりもう少しいかがでしょうか。

○藤原氏 一応、この化管法の枠組みの中の、人、あるいは生態動植物等への毒性の影響、あるいは先ほども申しました不可逆的な影響等をもたらすと思われる物質ということで、そういう性状を持った物質ということで、それに伴うばく露とハザードによるリスクということで考えておりますけれども、そのリスクの概念をどこまでこの法律で広げるかどうかについては、議論・検討が必要だと思います。

○大塚座長 よろしいですか。
 他にいかがでしょうか。
 有田委員お願いします。

○有田委員 5ページ目なのですが、対象事業者の見直しというところで、例えば中小のところの支援を私もいろいろな場所でお願いしてきました。いずれにしても年間取扱量の規模を適宜見直しをするとしたら、どれぐらいがよいのかがわからないんですね。中小で取扱量、それから先ほど排出量もやっぱり見ていかないといけないといったときに、取扱量の規模というものがどれぐらいだったら理想なのですか。

○藤原氏 これは、実際には、今既に都道府県さんによっては法律とは別に100キログラム以上とかという形でやっておられますので、そうしたデータの積み重ねによって、必ずしも21人未満の小規模であればリスクは小さいとは限りませんので、そういう意味で対象規模を外して取扱量でとらえるべきだということを仕組みに考えているのですけれども、規模については500キロなんていうところもあるみたいですし、どこが適当であるかというのは、これはある程度調査をして把握していく中で、例えば環境への改善が排出量の削減に比べて減らない場合には、未知のといいますか、把握されていない事業所等もある可能性もありますので、要は排出サイドと環境サイドの、濃度とか量のとらえ方で、抜けているものを適宜補足して対象に加えていく、事業所に加えていくということが必要ではないかと思っています。

○大塚座長 有田委員よろしいですか。関連して私もお伺いしておきたいのですけれども、藤原さんからこの意見が出てきているのをお伺いしておきたいのですけれども、行政の方から見ると、例えば21人未満というのは大体すぐにわかると思うのですけれども、取扱量が500キロ以上かどうかというのは、外からはすぐにわからないかもしれないのですけれども、おっしゃるように小規模の工場でもリスクが高い物質を扱っていることはあるということはそのとおりだと思いますけれども、逆に行政の方のチェックということを考えたときに、取扱量で切っても、実際にはなかなかチェックしにくくなるということがあるかもしれませんけれども、その辺はどう考えていますか。

○藤原氏 恐らくは人員とか、今も必ずしも届出対象であるにもかかわらずされていないのもありますので、それをどうやって捕捉するかということで、立ち入り検査をもっと行えるような体制とか、事業所の届出の義務づけというのもありますから、ちょっとその辺ははっきりとした、これであればというのはないかと思うのですけれども。

○大塚座長 他にいかがでしょうか。
 それでは、他にご意見がありましたら、最後に全体討論でご発言をいただくといたしまして、藤原さんどうもありがとうございました。
 次に、日本電機工業会の小澤さんにプレゼンテーションをしていただきます。前の席でお願いいたします。

○小澤氏 ご紹介にあずかりました日本電機工業会の小澤でございます。
 まず説明に当たりまして、電機工業会という形でお話しするのですが、ここに日本電機工業会、それと電子情報技術産業協会という名前がございます。これは、日本電機工業会、それと電子情報技術産業協会というのは、重複して会員になっている企業が多いということと、事業所関連の化学物質ということで、内容的にもほぼ同一ということで、この二つの団体が合同で活動をしております。
 今回の意見出しに当たっても、二つの団体の意見ということでデータを集めておりますので、その関係で2団体の名称になっていますのをご了解いただきたいと思います。
 これは、電気機械器具製造業の2004年度の実績でございます。排出量につきましては、届出排出量全体のうちの1万トンということで、全体の約4%、国内の届出量の4%ですね。移動量につきましては、1万9,000トンということで、約8%強のウエートを占めております。
 次、これは電気機械器具製造業の2001年から2004年までの推移でございます。
 移動量・排出量ともに横ばいの状態、一部移動量が増加しておりますが、トータルとしてはほぼ変動がないという状況になっております。
 次に、2004年度、1年間の排出量の実績でございます。
 お手元にお配りしました資料に一部誤りがございますので、申しわけございませんが訂正をお願いしたいと思います。
 内容的には、4番目の「モリブデン及びその化合物」に間違いがありまして、量が非常に小さいということで削除を、この順位からいくと、この表からは削除という形になります。そのかわりに、第8番目としてN, N-ジメチルホルムアミド、これが8番目という形で排出量の順番になっております。
 次は、移動量の多い物質ということで、一番目に銅水溶性塩が来ております。
 続きまして、電機・電子業界のリスクコミュニケーションへの取り組み状況です。
 一番上に、PRTRの公表制度に直接基づいたリスクコミュニケーションの実施はないということです。これは、PRTRのデータ公表に伴って、問い合わせがあったり、あるいは化学物質単独で近隣住民とのリスクコミュニケーションの実施というのは非常に少ない。実施例にありますように、EMSの一環として、コミュニケーションを行う際に、工場見学、あるいは環境レポートとなる環境報告書、あるいはCSR報告書、これらの配付・説明を行う中で、PRTR法と化学物質の管理、排出・移動の実態について説明をし、討論をし、理解を得ているという状況です。
 これらの実施結果から、行政の参加、あるいは工業団地等での、他企業との合同による開催が有効ではないか、単独の企業でやっても、普通は人が集まらないとか、あるいは他企業との比較、他工場、隣の工場との比較と、そういう面も含めてやればもっと内容的に濃い内容になるのではないかというような意見が出ております。
 PRTR法の見直しに関する意見としまして、第一番目に、取扱量届出ですが、これは経営上、企業機密に属するため公開によって企業が不利益にならない仕組みを検討していただきたいという内容です。当然、取扱量を報告するということになりますと、生産工程、あるいは生産量、そういうものがすべてではございませんけれども、オープンになってしまうという状況になりますので、その辺をぜひ考慮していただきたいという内容です。
 2番目に、リスク評価の点ですが、PRTRそのものはエリアリスクの評価とリスクの低減を目標にしているはずなのですが、現実的にはその評価が十分に行われないという判断をしております。これは、実際の工場の中での排出量・移動量そのものの公表はされていますけれども、実際にそれを分析したものがあまり見当たらないということで、これから評価を十分にした上で、次のステップに進んでいただきたいという内容です。
 それは、企業としましては費用対効果を考えながらリスク削減というのを進めておりますので、それを発展させるためにも、確実な評価が必要ではないかという内容でございます。
 3番目として、対象物質ですが、現在、我々の意見の中で対象物質の増加というものも相当出ておりますけれども、増加に当たってはエリアリスクの評価結果、あるいはその他環境関連法との整合性も考慮して、有害性の物質、ただ単純に増加ということではなくて、有害性の低い物質については第二種への移行等も含めて検討すべきではないかと考えております。
 4番目には、事業所外への移動量についてですが、現在産業廃棄物として委託された場合、質の高い「リサイクル」を行っても移動量として集計されるということで、資源循環の促進・企業努力の反映のためにも、「リサイクル量」という分類を設けてもいいのではないかと考えております。
 5番目に、MSDS制度。1つ、含有率についてなのですが、これはPRTRそのものとは違いますけれども、現在PRTR対象物質については、有効数字2桁での表示が義務化されておりますが、大防法のVOC規制の中では、やはり物質収支が認められておりますので、VOC規制物質の含有率も同様に反映してから有効数字指定に直すべきではないかと思っています。
 2番目に有害性、暴露性情報ですが、有効な暴露防止措置が実施できるようなリスク評価の表記が必要ではないかというふうに考えております。
 以上でございます。

○大塚座長 ありがとうございます。
 それでは、小澤さんの説明に対するご質問含めご意見などをお願いいたします。
 岸川委員お願いします。

○岸川委員 今、リスクコミュニケーションの話がありましたけれども、話の中で、工業団地のようなところでは合同でやった方がいいということはそのとおりだと思うのですけれども、行政の参加が要るのではないかということですが、すべての事業所がリスクコミュニケーションをやると、行政それだけで全部出られないわけですね。行政側の支援は限られてくるわけなのですが、こういったリスクコミュニケーションをうまく進めるには、行政の支援以外にはどんなことが考えられますでしょうか。

○小澤氏 実態にリスクコミュニケーションをしてみた場合に、やはりまだ参加される住民、基本的には住民サイド、知識がやはり十分でない。それを情報伝達する、その情報をいかにかみくだいて、知識として持ってもらうか。そうしますと、やはり、今あります化学物質アドバイザーという制度がありますよね。その辺のもっと拡大と有効な活用というのがやはり必要かなというふうには思いますけれども。

○大塚座長 よろしいですか。他にいかがでしょう。
 中地委員お願いします。

○中地委員 9枚目の一番最後なのですが、有効な暴露防止措置が実施できるようなリスク評価の表記が必要というふうに書いてあるのですが、これは、ハザード、毒性の評価をきっちりと明記をするということではないんですか。リスク評価というと、暴露も含めて評価をされるという話になって、ちょっとよくわからないのですけれども。

○小澤氏 この点については、まず現在のMSDS制度の中に有害性情報、あるいは暴露性情報というのはそれなりに記載はされておりますけれども、情報そのものが、一つは非常にわかりにくい形になっているということ。
 それと、一つの物質そのものに関して、いわゆるどちらかというとPL的な要素を含んで、すべての有害性情報が載っていて、どれが優先されるべきなのか、その辺が非常に見づらいと、その辺をやはり評価をした上で優先順位をつけるとか、そういう形での記入をすべきではないかという内容です。

○大塚座長 よろしいですか。はい、有田委員お願いします。

○有田委員 7枚目の、リスク評価のところなのですが、エリアリスクの評価と低減を目的に開始されたが、その評価は十分行われていないと書かれているんですよね。それで、その費用とか、それは国がするべきだということなんでしょうか。

○小澤氏 費用対効果というのは、例えばこれから管理物質を増加させようとか、あるいは実際に、現在ある物質から代替方法に、代替品に変えていこうというような場合に、やはり現在は企業側としては、量が多いから代替しなきゃいかん、あるいは物によっては当然リスクが、多くの物質を使っている中で優先順位というのはあるわけですけれども、それが地域に対してどういう影響を及ぼしているのか、物質そのものの毒性は強くても量が少ない場合とか、あるいはその地域に拡散されるものが非常に少ないような場合には、量がそのままでも、そのままという言い方はおかしいかもしれないですけれども、実際には別の濃度で見た場合、もっと有害性のあるものを優先して、対策をとられたということになるわけですけれども、その辺は実際に排出側の事業者が当然投資をしなきゃいかんわけですね。その投資を有効にするためにも、そういう評価が必要ですねというふうに考えています。

○有田委員 リスク評価をするためには、また、その説明をするためにも物質が公表されないと、例えば地元住民も何と何が使われているということがわからなければ、その説明で安心ができないのではないですか。そういう公表とか、そういうことではないのですか。

○小澤氏 公表ではなしに、実際的に人体への、あるいは環境への影響度がどう大きいのか、小さいのかの評価です。

○有田委員 それだけですか。

○大塚座長 池田委員、お願いします。

○池田委員 6ページ目のリスクコミュニケーションのところですけれども、1番に書いてあるように、化学物質単独で説明するという、そういう意味のリスクコミュニケーションは少ないということですが、逆に次に書いてある工場見学とか含めたような形のリスコミは多いんでしょうか。私自身は、先ほど人を集めるとかおっしゃったように、工場見学、その他のものと込みにして、化学物質についても話す、リスコミというのは方向としてはその方がいいと思っているのですけれども、それが多いのかどうか。それから、もし少ないとすると、業界としてリスコミが必要と考えているのか、メリットになると考えるのか、むしろちょっと煩わしいと考えていらっしゃるのか。もし必要と考えるのでしたら、先ほど行政の支援のようなことをおっしゃいましたけれども、アドバイザー的なもの以外に何か行政に期待するものもあるのでしょうか。

○小澤氏 実際、もう非常に少ないのは、全体から見て非常に少ないと。やはり積極的にされているところは定期的に実施をしておりますし、あとそれ以外のものについては、リスクコミュニケーションという形ではなくて、もちろん環境レポート等で公開する。それだけで終わっているというのが現実だと思っています。
 あと実際に工場見学、その他等を組み合わせてやらないと、まず化学物質そのものについての知識が少ないということで、実際にどういうものを作る中で、その都度化学物質がどういう工程でどのように取り扱われているのか、その辺を理解してもらわないと、ただ単純に有害だからこれをゼロにしなさい、あるいは削減しなさいという議論に発展しないということで必要と考えております。

○大塚座長 最後に岸川委員、お願いします。

○岸川委員 7ページのところなのですけれども、リスク評価というお話がございまして、エリアリスクの評価と低減という話がございました。エリアリスクというのは、恐らく二つあると思うのです。一般環境の評価、これは主に行政がやると思うのですけれども、もう一つは工場周辺のリスクの評価、これがあると思うのです。これは、僕としては、工場、事業所の方にやっていただく。具体的には、排出量ではなくて、濃度の測定を実際に工場の人にやっていただくことが必要なのではないかと、こう考えていますけれども、その辺はどうお考えなのでしょうか。

○小澤氏 おっしゃられるリスク評価としては、量も当然必要なのですけれども、やはり濃度と、それを実施しないといけないというふうになるのですが、現実的にそういう評価をしているところも非常に少ないですけれどもあるのですが、まだ全体的に、そこまで実施されている、完全に実施までいってないと。実際の実施に当たっては、これも費用との問題があるのですが、例えば当然大きな費用に関しては、多分それだけのコストに耐える調査についてもできると思うのですけれども、規模の小さい企業に対しての費用をどこまで負担させるのかという問題が出てくるのではないかと思っています。ですから、なかなかできないというところもあると考えております。

○大塚座長 小澤さん、どうもありがとうございました。
 では、次に、全国鍍金工業組合連合会の武田さんにプレゼンテーションしていただきます。
 では前の席でお願いいたします。

○武田氏 武田と申します。
 私は、パワーポイントを使わないでレジュメに沿って説明していきたいと思っています。
 私ども、今までの、それから前回、前々回の発表と違って、中小企業の代表ということで、我々の化学物質の中身についてお話しいたします。
 まず、めっきの業態なのですが、めっきの専業者さんの集まりでして、今年の4月現在で約1,800社ございます。それから、従業員数としては約3万名、ですから1社当たりの平均従業員数が16名ということで、いわゆる中小零細企業の集まりでございます。PRTR届出の対象となる21名以上が約450から500社ございます。
 次に、めっき工場で取り扱う化学物質ですが、めっきの工程というのは、金属のめっきごとに前処理の脱脂、それから素材を活性化する酸、それから、めっき、それからめっきの種類によっては、その後の後処理というような工程があって、その間で水洗工程というのがあって、それぞれの工程ごとにいろいろな酸やアルカリやら無機質やら有機物を使います。1事業所で少なくとも、一番少ないところでも20種類は取り扱っております。
 PRTRの対象となる物質で、一番多く取り扱われているものが、ここの四角く括った14物質でして、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、鉛等の重金属類、それから有機溶剤、これは主に洗浄で使うのですけれども。それから、シアン化合物とかふっ素とかほう素とか、その他に、取り扱っている事業所は少ないのですが、他に15種類ぐらい取り扱われる物質があります。
 排出の形態なのですが、めっき工場の場合には、排水とそれから大気への、主に有機溶剤、それから、スラッジとして凝集沈殿、ほとんど凝集沈殿なんですが、そのスラッジと、それからもう一つは、浴よっては、老化した場合にそれを濃厚液として廃棄するというような形態がとられます。
 次に、使用量、排出量の削減対策として、めっき現場では、使わなくするか、使っても濃度を下げるか。今度は汲み出し量を減らすか、汲み出した場合にそれをいかに濃縮して回収するかというような手法がとられております。
 それから、業界団体としての取り組みなのですが、私どもでは、PRTRのデータそのものは集計は行っておりません。この化管法ができて以来の業界として取り組んだのは、電気めっき業で取り扱うためのPRTRのマニュアル等を作成しております。
 それから、めっき業で環境コミュニケーションということはまだまだこれからの段階なのですが、めっき事業者が環境コミュニケーションをどういうふうに取り組めばいいかというようなことをガイドラインを作ったりしています。
 その他に、PRTRではないのですが、めっきの場合にスラッジが年間約5万トン出るのですが、それの実態調査を行っております。それによって、投入されたものがどういうふうにマテリアルバランスが、フローがどうなっているかということを調べたことはございます。
 それから、排出削減の業界としての取り組みは、主にVOC関係の排出量削減ということを平成7年度から続けております。
 それから、各種セミナー等を行っておりますが、特に、私どものめっきの集まりと、それからめっきの資材を供給する薬品メーカーとか、排水処理装置のメーカーとかが集まっている工業会がございます。それと、表面処理の学会がございます。その三者が協議会を作っておりまして、年に3回とか4回ぐらいのセミナー、情報交換会なりを行って取り組んでおります。
 それから、PRTRへの対応状況はどうなっているのかということで、めっきの場合は、化学物質をたくさん使いますし、環境対策への対応はもう避けて通れないということを十分に自覚しておりますので、皆さん、一生懸命取り組んでいるのですが、今日発表せよということだったものですから、急遽何社かの、特に20名から40名ぐらいのところに問い合わせしまして、どういうふうにしてやっていますかというようなことを聞いたんですが、その結果を下に書いてあります。
 一つには、届出に該当する物質が一工場で大体数種類あります。その取り扱いの過程で、他の該当物質になったり、またもとに戻ったりとかいう、それから複数の対象物になるというようなものが結構ございまして、かなりややこしい集計が必要です。
 例として、3ページ目、4ページ目に挙げていますけれども、3ページ目は、届出物質としてのニッケル、それからニッケル化合物という二つあるのですが、それの例なんですが、上段のところで、電気めっきというのは、陽極にニッケル金属を使います。それから、めっき槽の中にニッケル化合物を入れます。そうしますと、ニッケル金属そのものがめっき槽の中ではニッケル化合物になりますから、ニッケルとしての取扱量も必要ですし、それがダブルカウントされて、ニッケル化合物というようなカウントもされます。
 それから、下の表なのですが、ニッケルめっきでも、電気ニッケルめっきと、それから電気を使わない無電解ニッケルというものがございます。電気ニッケルのニッケルについては今説明したようなことなのですが、無電解ニッケルというのは、ニッケル金属は使いません、電気を流しませんから。ところが、ニッケル化合物は、めっき皮膜としてはニッケル金属になりますので、ニッケルという届出の物質としてもカウントをしなきゃいけないというような、そういう複雑なことがございます。
 ということで、4ページ目は省略いたしますが、複雑さをまとめたものです。
 最後に、取り扱っている人たちが誰が担当しているかというと、多くの事業所で、PRTRのためのMSDS初め、集計したり、計算したり、記録したりするというのは、専任の担当者がいないというところがほとんどですので、現場の担当者、あるいは経営者、あるいはそれに準ずる人たちがかなり負担になっているなというようなことをおっしゃっていました。
 最後に、制度の見直し、検討に当たっては、中小零細事業者にとって、過度な負担とならないような配慮をお願いいたします。
 以上でございます。

○大塚座長 ありがとうございました。
 それでは、武田さんの説明に対するご質問などを含め、ご意見をお願いします。
 中杉委員、お願いします。

○中杉委員 今、最後にお話しをされたニッケル、ニッケル化合物、他のものもそうですけれども、水溶性のものに分けたりというのは、できるだけ不要なものについては届出をしなくても済むようにしようという制度で限定をした形でやって、制度を作ったというふうに思うのですけれども、今のお話だと、それは非常に煩雑になり過ぎて逆に煩雑な面が出てきた。要は、ニッケル及びニッケル化合物という形でしてしまう方が届出、めっき業界みたいな業種の方ですと、届出としては簡単であるということになりますか。

○武田氏 結果的にはそうですけれども、その事業所で取り扱っているものは、もうこれとこれとこれって届出と決まってわかっていますから、1回やってしまえば、もうこれがどうだ、ああだというようなことはもうなくて、マニュアルできていますので、そういう点ではさらに制度をいじくるというのはどうかなという気はいたしますけれども。

○大塚座長 他にいかがでしょうか。
 よろしいですか。では、武田さん、どうもありがとうございました。
 次に、ウレタンフォーム工業会の丸山さんにプレゼンテーションをしていただきます。
 では前の席でお願いをします。

○丸山氏 ウレタンフォーム工業会の丸山と申します。
 お手元の紙の資料を見ていただきまして説明をさせていただきたいと思います。
 まず、私どもウレタンフォーム工業会ですけれども、主にいわゆるご家庭でお使いになっているウレタンのスポンジ、あるいは自動車のシートのクッション等々のやわらかいウレタンフォーム、あるいは熱の断熱材としてウレタンフォームというもので製品として取り扱ってございます。主なものはそういったものです。
 資料の構成ですけれども、我々ウレタンフォーム工業会のPRTRの対象物質、それから対象物質の排出量・移動量の推移、それから工業会におけるVOC排出抑制の取組、それからPRTR、VOCの取組と課題、それから行政への要望と、こういったところでまとめさせていただきます。
 それでは、まずウレタンフォーム工業会のPRTR対象物質でございますけれども、対象物質はジクロロメタン、それからトルエンジイソシアネート、それからHCFC-141b、この3物質でございます。
 ジクロロメタンについては、ウレタンをいわゆる膨らまし、化学反応とともに泡状に発泡という現象をもって精製させるわけなのですけれども、その際のいわゆる発泡剤、それからウレタンの製造設備等の洗浄剤等々に用いてございます。
 それから、トルエンジイソシアネートにつきましては、軟質ウレタンフォームの主原料ということで、この物質がなければウレタンフォームが作れないといった関係にございます。
 それから、HCFC-141bにつきましては、硬質ウレタンフォーム、いわゆる断熱材用のウレタンフォームの発泡剤といったことでございます。
 ジクロロメタンの排出量・移動量の推移のグラフを次のページに示してございます。
 平成15年、平成16年、平成17年ということで、過年度3年度分の使用量、移動量、排出量を示してございます。
 年間約2,000トンといったジクロロメタンの排出量になってございます。
 ジクロロメタンについては、後でVOCの取り組み、削減の取り組みの中でもう一度定量的なデータを示しますので、そこでまたご説明を加えたいと思います。
 それから、続きまして、TDI排出量・移動量ということで、これも同じく3年間の過年度の量の推移を示してございます。
 移動量ということで、主にTDIの廃液として処理される年間100トン程度といった移動量になってございます。
 それから、その次のページがHCFC-141bの量でございます。
 既にご存じのように、2004年に既に生産・供給ともに中止されておりますので、平成17年に向けて大きく量が減ってございます。平成18年には恐らくこれがゼロになるのではないかと予測してございます。
 次の、グラフがVOCの自主行動計画ということで、先ほど過年度の平成15年、平成16年、平成17年のジクロロメタンの使用量と排出量の推移を見ていただいたのですが、これはVOCの自主行動計画ということで、平成12年度がベンチマークになってございまして、そこから削減の努力をしてございます。おおむね、30%程度の削減まで既に現時点で進めてございますけれども、最終的な平成22年に向けて42.3%の一応目標を設定してございまして、それに向けてさらに削減の取り組みを進めていくということでございます。
 次のページは、私ども工業会としてPRTR、あるいはVOC排出抑制の取り組みをしてございますけれども、実際に実施しております対策の内容、それからそれに伴って抱えている課題といったものを表にまとめてございます。
 ジクロロメタンにつきましては発泡剤、いわゆる軟質のウレタンフォームを発泡させるための薬剤として使用しておるわけなのですが、いわゆる配合処方の見直しといったことで、先ほどのグラフでお示ししたように、かなりの削減を進めてきてございます。
 ただし、ここから先の削減というのは、やや頭打ちの状態にありまして、さらに設備投資等を伴った対策といったものが考えられるわけですが、そこで発生する投資コストをどうやって吸収していこうか等々の課題を持ってございます。
 それから、同じくジクロロメタン、洗浄用のジクロロメタンでございますけれども、これの削減につきしましても、いわゆる温水による洗浄に切りかえたり、代替洗浄剤を用いたりと幾つかの取り組みをしてございます。
 これ以上の削減ということになりますと、やはり発泡剤と同様に、大きな設備変更といったものが必要になってくるということが言えまして、そこのコストをどう見ていくかといったところが一つ課題として浮き上がってございます。
 それから、溶剤等々につきましても、水系への切りかえ等々を進められるところはしてございますけれども、いわゆる作業性等々の課題が出ています。
 それから、ジクロロメタンに続きまして、トルエンジイソシアネートにつきましては、ウレタンの主原料ということで、なかなか大きく削減していくというところは難しいのでございますけれども、いわゆる回収装置等々の設備投資で一部対策の可能性があるというふうにとらえてございます。
 それから、HCFC-141bでございますけれども、これにつきましても、既にほぼ廃止の方向で先が見えているわけですけれども、得られた断熱材の品質、あるいはコストといった課題を持ってございます。
 最後のページですけれども、行政への要望ということでまとめさせていただいております。
 まず、最初、[1]ですけれども、いわゆる特に排出量等の算出方法等の現行のやり方、これをできるだけ変更しないでいただきたいといった要望がございます。算出方法等の変更によって、PRTRの制度の算出がほぼ定着してきた中で、またどう変わっていくかといったところを懸念してございます。
 それから、新しい物質の情報の早目の発信といったものをお願いしたい。
 それから、化学物質の安全情報の提供のシステム化といったものもお願いしたいと思います。
 それから、先ほども設備投資という話が出てございましたけれども、いわゆる設備設置への支援、優遇措置等々をご検討いただければというふうに思います。
 それから、削減を進める上で、いわゆる品ぞろえを一部見直していかないといけないといった課題もございますけれども、一方外国では、そういった規制がないところでは、私どもが品ぞろえから外しているものが依然として生産できるということが一つ挙がりまして、そういったところからビジネスチャンスを失うといったところも若干気になるといったところでございます。
 以上でございます。

○大塚座長 どうもありがとうございます。
 それでは、丸山さんの説明に対するご質問を含め、ご意見などをお願いいたします。
 瀬田委員お願いします。

○瀬田委員 2点ほどご質問をさせていただきたいと思います。
 まず、6ページでございますが、ここでVOCが30%削減されて、それからあとなかなか難しいという話が出ていましたが、このVOCの削減で大きかったのは何かという点が1つであります。
 それから、もう一つは、これはその次のページの表でございますが、ジクロロメタンで液化炭酸ガス法採用による脱ジクロロメタンというのが今後の方向だと。ただし、それは非常に莫大な投資を要する、チタン洗浄剤についても、やはり高圧部分について、多大な投資が必要である。こういう話がございますけれども、莫大な投資ということが唯一の大きなバリアなのか、あるいは技術的にはどうなのかと。つまり、技術的な問題は既に解決していて、問題は投資の問題だけなのかということをお聞きしたいと思います。

○丸山氏 まず後でご質問いただいた方なんですけれども、技術的な部分というのは、概ね確立できてございます。炭酸ガス発泡あるいは高圧発泡機導入による洗浄剤の削減といったことはできてございます。判断を慎重にしなければいけないと思っていますのは、いわゆる生産設備が老朽化して更新しなければいけない、そういったタイミングに上手にそこを合わせていくというのがひとつポイントというふうにとらえてございます。
 それから、最初のご質問なのですけれども、30%削減をしたその方法でございますか。

○大塚座長 瀬田委員いかがですか。

○瀬田委員 中身ですね。

○丸山氏 ジクロロメタンの削減の中身ですが、一番大きいのは、表のところでご説明したんですけれども、いわゆるジクロロメタンを発泡剤として主に使っていて、そこを新しい配合の開発ということで、水発泡という技術があるのですけれども、そういったものに部分的に切りかえて、ジクロロメタンの発泡剤としての使用量を抑制するといったものが一番大きな削減のもとになっております。

○大塚座長 他にいかがでしょうか。
 中杉委員お願いします。

○中杉委員 硬質ウレタンフォームについて少しお話を伺えればと思うのですけれども、一つは脱HCFC、この先というのは、企業秘密なのかもしれませんけれども、どんな方法が考えられるのかということが一つ。
 それから、もう一つ特定フロンのときに、私が知り得たことは、硬質ウレタンフォームの場合に発泡剤は製品の中にかなり残っていて、製品を破砕する際に環境中に放出されるということのようでしたけれども、今の段階では、製品に含まれての移動の話はPRTRは外でございますが、最終的にはどこかに出てくるという話になるので、場合によったら行政による推定みたいなことが必要なのかなと思うのですけれども、そこら辺のところはどのぐらいの割合になるんでしょうか。

○丸山氏 まず、HCFCの先の技術でございますけれども、いわゆる溶剤類を使わない発泡方法というのが一つございます。
 それから、それは具体的には炭酸ガス、炭酸ガスで発泡させるという手法ですけれども、それが一つ。
 それから、もう一つは、VOC該当物質に逆になってしまうのですけれども、いわゆる可燃性の有機溶剤、代表的にはペンタンといったようなものを発泡剤に用いながら、断熱性の高いウレタンフォームを作るといった技術がございます。
 それから、硬質ウレタンフォームを中に、例えば141b等が残存するという件につきましては、セルの中に閉じ込められた141bが当然残存するという考え方になってございます。

○大塚座長 他にいかがでしょうか。
 中地委員お願いします。

○中地委員 最後の現行のPRTR制度を変更しないこととあるのですけれども、例えばPRTR制度が変わって、取扱量を報告するようになるということについては、業界としてどうお考えなのでしょうか。

○丸山氏 取扱量を報告することについては、その辺のところを十分業界の中でまだ議論できてないところがあるのですけれども、なるべく変えないで欲しいとここで述べていますのは、例えばシステムから購入した量を拾ってきて、そこにある係数を掛けて算出するとか、そういった仕組みを、それぞれの工業会の中のメンバー会社の中でそれぞれ作ってきていますので、またそこの仕組みを全部作りかえるといったところのロスといったものについて、ちょっと申し上げているという部分かと思います。

○大塚座長 よろしいでしょうか。
 では丸山さんどうもありがとうございました。
 最後に名古屋市の酒井さんにプレゼンテーションをしていただきます。
 では前の席でお願いいたします。

○酒井氏 今ご紹介いただきました名古屋市役所の酒井でございますが、ひとつよろしくお願いいたします。
 それでは、早速でございますが、私どもの名古屋市の取り組みということでご説明をさせていただきます。
 まず最初でございますが、名古屋市におけるPRTR法の施行状況ということでご説明をさせていただきます。
 名古屋市では、化学物質の自主的な管理の改善の促進につきましては、今いろいろご議論いただいておりますPRTR法はもとより名古屋市の環境保全条例、正式には「市民の健康と安全を確保する環境の保全に関する条例」と、ちょっと長ったらしい名前になってございます。下の方に書いてございますが、この法律と条例を組み合わせて対応いたしておるところでございます。この条例につきましては、平成15年10月施行ということでございますので、法より遅れておりますが、施行しておるところでございます。
 内容が、1番から4番までその条例の内容を掲げてございます。
 1番目は、化学物質の適正管理指針の策定と公表ということでございまして、事業者の方が自主的に管理をしていただくために構ずるべき措置を定めております。これにつきましては、平成16年3月31日に名古屋市は告示をしております。
 2番目が、特定化学物質の取扱量の把握と届出ということでございまして、条例でもちまして、いわゆるPRTR法の届出対象物質と同じ354物質につきまして、その取扱量の把握をしていただいて、届出をいただくということが条例の中身となっております。この取扱量につきましては、平成16年度の取扱量から把握をいただいて、平成17年度の当初に届出をいただき、その後毎年度届出をいただいたという格好になっております。
 3番目は、特定化学物質等適正管理書の作成と届出ということでございまして、一定規模以上の事業所ごとに管理書を策定いただいて届出していただいています。それ以外に、事故時の措置、あるいはとった措置の方法等についても条例の中に規定をさせていただいております。
 PRTR法といわゆる私どもの環境保全条例で化学物質の自主的な管理の促進を図っておるところでございます。
 次に、データの活用についてお話をさせていただきます。
 まず最初に、PRTRデータの活用の例をここで示させていただいております。1番から3番まで示してございますが、これは具体的にご説明をしてまいりたいと思いますが、1番目でございますが、問題が発生した場合でございます。
 例えば、工場等でよく火災あるいは爆発事故等起こるわけでございますけれども、こういった場合は、どうしても現場なら人命が先になりますので、なかなか環境サイドでの状況把握ができないということがございまして、ただ環境サイドとしましては周辺への影響が非常に心配されるところでございますので、そういったPRTRデータを活用しながら、その事業所で何を使っているのかというようなことも踏まえて、迅速なそういった対応が図られるというようなことに活用ができるということでございます。
 この他、今問題になっています、例えば土壌地下水汚染なんかが発見された場合、そういった周辺の事業所の使用実態がわかると、原因を推定するのに活用ができるということでございます。
 2番目は、事業所への個別指導への活用ということで書いてございます。
 これも本市の例でございますが、有害大気汚染物質のいわゆるモニタリングを名古屋はやってございます。たまたま、その中でニッケルでございますけれども、一地点でニッケルの指針値を超えたという例がございまして、その原因は何だということでございまして、その周辺の事業所でニッケルを扱っている事業所、こういったところをPRTRデータ等で抜き出しまして、そういったところへ立ち入りをし、削減の指導をしたということでございます。ちょうど超えたのが指針値ができた平成15年度で、平成16年度、平成17年度とニッケルは指針値をクリアしたという状況になってございます。
 この他、私ども、今年の4月からVOCの規制がされております。大防法の方で分析されておりまして、そういったVOCの使用実態あるいは排出実態等、このPRTRデータの活用ができるというように考えております。
 3番目は、市民への情報提供への活用でございます。
 これにつきましては、ここに書いてございますように、自主的な、要するに私どもの独自の化学物質情報提供システム、こういったものを今作ってございますし、それとリスクコミュニケーションの推進を私ども名古屋市は進めてございます。これについては、また後ほど細かく説明をさせていただきます。
 この他、PRTRデータ等はここに書いてございますように、未規制化学物質のモニタリング、どんな物質をモニタリングしたらいいかということの参考等にもさせていただいておるということでございます。
 先ほど言いました情報提供、市民等への情報提供の活用でございますが、この中で、まず最初に、化学物質情報提供システムの開発でございます。
 私ども名古屋市といたしましては、PRTRデータにつきましては、従来から、国等が公表されたときにはあわせて私どもも名古屋市のホームページ上で公表いたしております。届出情報の名古屋市内分をグラフ等を使用して出しているわけでございますけれども、なかなかそれだけではわかりにくい状況です。従って、独自にこういったシステムを作って、もっとビジュアル的な格好で、自分の家から周り何百メートルぐらいのところでどれぐらい出ているのか。ということがわかるところまで、そんな情報公開システムを作っていきたいということで今作っているところでございます。
 次に、リスクコミュニケーションの推進ということでございまして、なごや化学物質リスクコミュニケーション懇談会、左側にありますこちら側の懇談会でございますが、これにつきましては昨年17年10月に設置をいたしております。これには、本日ここの懇談会の委員にもなっております藤江先生にとりまとめ役をいただいてやっておるところでございますけれども、化学物質に関します情報の共有と発信、それから最終的には事業者の自主的なリスクコミュニケーションの推進につなげていきたいということで、こういった懇談会、市民あるいは事業者、それから、私どもの名古屋市、大学の先生方をメンバーといたしまして、開催をいたしております。今まで、平成17年10月から3回ほど開催をしてまいっております。今後も引き続き進めてまいりたいと考えております。
 次に、現行PRTR法の課題ということで、私ども名古屋市からの見た課題的なことをここに掲げさせていただきました。
 まず、PRTRデータに誤りが多いということでございまして、これがわかったのは、私ども、先ほど言いましたように条例で取扱量を報告いただいたということでございまして、平成16年度の届出、それからPRTR法の届出等を見てみますと、届出の数字が合わないところがあるということが、そんなことがわかってまいりました。
 2番目は、リスク情報への活用が進んでいないということでございます。
 それから、3番目でございますが、PRTR情報が非常に市民にはわかりにくいということでございまして、私どもの先ほど言いましたリスクコミュニケーション懇談会、この中の市民の委員からも、本当に化学物質がわかりにくいという意見が出ておりますので、もっとわかりやすいデータが必要かなというふうに考えております。
 私どもとして、PRTR制度の見直しに対する意見ということでここに掲げさせていただいております。
 下でございますが、1から3をお示しいたしております。届出が不要な物質や逆に誤りがあることが見つかっていますので、やはり取扱量を追加すべきだというふうに思っております。
 次が、リスク評価ツールの充実ということでございまして、先ほど触れませんでしたけれども、事業者の方からは、どうしても排出量だけで判断をされてしまうということでございますので、物質ごとの正確なリスク評価、この辺も一緒にあわせて出さないと、排出量だけでどうしても判断されてしまうので、そういったリスク評価できるツール、これを誰でも使えるツールを作っていただきたいということでございます。
 最後でございますが、市民向けの情報の充実ということでございまして、環境省もいろいろなパンフレット等を作っておられて非常に助かってはいるのですけれども、本当に市民向けの本当にわかりやすいパンフレット等が必要ではないかと考えております。
 以上、雑駁で、ちょっと時間もオーバーしたようでございます。終わらせていただきます。ありがとうございました。

○大塚座長 ありがとうございます。
 それでは、酒井さんの説明に対するご質問を含めご意見などをお願いいたします。
 豊田委員お願します。

○豊田委員 取扱量に関して一つ質問したいのですが、1ページ目で条例でも届出されているとのことですが、この取扱量というのは、中身を例えば分けまして、使用量とか、製造量とか、言った様に細かく分けているのでしょうか、それとも、取扱量という一本でそういう集計をしているのでしょうか。いかがでしょうか。

○酒井氏 取扱量は一本でございます。基本的には、PRTRの届出要件になります取扱量と同じ値になろうかと思っています。

○大塚座長 よろしいですか。
 中地委員お願いします。

○中地委員 関連して、規模要件というか、取扱量の報告をしなければいけない事業者の規模というのはどういうふうになっていますか。

○酒井氏 PRTR法の届出と一緒にいたしております。

○大塚座長 よろしいですか。
 安藤委員お願いします。

○安藤委員 情報提供システムを開発されているということですが、いつごろ提供されるのですかということと、あと、課題のところで、リスク情報の活用が進んでいないと言われておりますが、リスク情報をどのように情報提供システムで提供していくのですか、この2点です。

○酒井氏 今の、情報提供システムの開発でございますけれども、私どもの環境科学研究所というところがございます。そこの職員がやっておりまして、本当はほぼもうできていなければならないのですが、ちょっと遅れておりまして、何とか今年中には運用できるようにしたいと思ってございます。
 それから、リスク情報の活用でございますけれども、基本的にはなかなかリスク情報が、少ないということを聞いていまして、この辺をどういう格好で活用ができ、どのように市民に提供できるかを考えなければなりません。いずれにしてもリスク情報の活用は難しいなと思います。

○安藤委員 そうしますと、今のところは単なる物質ごとの排出量だけを情報提供するということですか。

○酒井氏 今のところは、私どものシステムの中では、あくまでも排出量を中心として化学物質のファクトシートをもうちょっと簡単にしたような情報も入れたいと考えていますが、なかなかリスク情報までは入らないというふうに考えております。

○大塚座長 ちょっと関連して私もお伺いしておきたいんですけれども、4ページに出ている今の情報提供システムの話ですが、情報提供サーバーのところから、市民に対して検索結果表示というのが書いてありますけれども、これは、前提としては、開示請求がなくても公表は事業所ごとで排出量データの公表をするということが前提になっていると考えてよろしいんでしょうか。

○酒井氏 事業所ごとではなくて、地域、エリアというのでしょうか、エリアごとになります。例えば、ある住所を入れますと、そこの周囲1キロ範囲のということで、たまたま工場の少ないところですと、逆にそういった面もひょっとしたら出てきてしまうおそれがあります。

○大塚座長 わかりました。
 有田委員お願いします。

○有田委員 それでは、1トン以下の事業者というのは、名古屋市の何割ぐらいですか。そこはまだ出てきていないわけですか。

○酒井氏 それは、ごめんなさい。私どもも把握してございません。

○大塚座長 安井委員お願いします。

○安井委員 取扱量の件ですけれども、先ほどのもので、取扱量を入れることによってより正確なデータが出る、確かにそうだと思うのですが、その前の方で、例えば、3枚目のスライドでご説明いただいたときには、例えば事故の発生時等に取扱物質の把握が重要だということになりますと、むしろ取扱量よりも備蓄量かなという気がするんですよね。そのあたりの主張としてはどうなんでしょうか。備蓄量を把握したいという理由ではあまりないんでしょうか。

○酒井氏 まず、取扱量を把握したいというのは、PRTR法の排出量あるいは移動量をチェックする上で、基礎になる数字もやっぱり必要というのが私どもの考え方でございます。
 今の事故時についてはおっしゃるとおりでございまして、そこでいわゆるどんな物質がその事業所にあるのかという意味では取扱量ではなくても、PRTRの届出さえあれば、そこの事業所で扱っている物質を、基本的には1トン以上のものはわかりますので、そういったことを参考にさせていただいているところでございます。

○大塚座長 はい、安井委員。

○安井委員 先ほどぐらい出ている物質でも、例えば、ジクロロメタンなんていうのは、例えばフィルムを作っている工場では、大体リサイクル率は99.何%なんですかね。そうなりますと、大体排出量の1,000倍ぐらいの物質を持っている。そういうようなことはあまり必要ないと考えるんですか。

○酒井氏 基本的には、私ども、これは今の事故時だけ考えれば、その事業所でどんな化学物質が使用されているかが重要な情報と考えています。

○大塚座長 豊田委員お願いします。

○豊田委員 安井先生の件に関連して取扱量について質問したいと思います。取扱量については、私ども2回目のときに問題提起させていただいたのですが、定義をはっきりさせないと備蓄量なのか、使用量なのか、それとも製造量なのか、不明となり、結局整理がつかなくなる恐れがあると思います。

○大塚座長 どうですか。
 名古屋市の場合は、取扱量というのは、基本的には使用量というふうに考えてよろしいわけですか。

○酒井氏 いわゆる購入量と製造量で算出いただくことになっております。

○大塚座長 製造量と使用量ですね。

○酒井氏 はい。

○大塚座長 瀬田委員。

○瀬田委員 9ページ目なんですけれども、ここにわかりやすくというような言葉が書いてありますけれども、大体皆さん本当にわかりやすく説明するということで大変苦労しておられると思うのです。簡単化すれば不正確になるし・・・ということだと思うのですが、ここでは、PRTR制度の見直しに対する意見ということで、市民向け情報の充実と書いてあるのですが、これは名古屋市としてはこういうことをやっていきますよということなんでしょうか。
 二つ目は、わかりやすくということで、どういう形で試みておられるか。二つお聞きしたいと思います。

○酒井氏 まず、上のパンフレット、特にわかりやすいということで、PRTR法の推進についてはリスクコミュニケーションが重要と考えています。中でも市民等と情報を共有するということは非常に重要だと思っていますので、そういう意味で、まずその辺をわかっていただくためには、そういったわかりやすい情報、わかりやすいそういったものを作っていく必要があるのではないかと思っていまして、名古屋市としても考えていきたいと思っていますし、国としてもその辺のところも配慮いただけると非常にありがたいと思っております。
 それから、もう一つは、先ほどわかりやすくという話でございますが、本当にこの前も、たまたま私どもでリスクコミュニケーション懇談会をやったわけでございますけれども、事業者から、報告をいただいたのですが、その中で、化学物質の名前が出てまいりました。市民委員からは、その化学物質の名前を聞いただけで、難しく考えてしまう。これの原料になるこういう物質なんですよと、そういう説明をするとわかったという話でございますので、どうも私どもそういった化学物質の名前だけで物を見がちでございますけれども、それをもっとわかりやく砕いた格好のそういったものはできないかということで、こういうことで出させていただいています。

○大塚座長 よろしいでしょうか。
 それでは、これで有識者からのプレゼンテーションは終わらせていただきます。
 どうも酒井さんもありがとうございました。
 ゲストスピーカーの方々におかれましては、有益なご発表をありがとうございました。
 今のプレゼンテーション全体に関連して、特に何かございましたら、ご意見等をお伺いしたいのですがいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、冒頭に申し上げましたとおり、今回の懇談会では、報告書の取りまとめ方針について議論したいと考えております。そのため、これまで出された意見を取りまとめた資料を提出していただいておりますので、まず事務局から資料2の位置づけについて、ご説明をお願いいたします。

○戸田補佐 それでは、事務局の方から、資料2について、まず、その位置づけと構成について、ご説明したいと思いますけれども、第1回懇談会で申し上げましたとおり、この懇談会は、化管法の見直しということで、化管法の対象となっております事柄につきまして、それが法そのものに位置づけられるかどうかはともかくとして課題を出していただいて、そういった課題について、確定的な結論、国としてこうすべきだというふうなことは、今後環境審議会でありますとかそういった場がございますので、すべて合意する必要があるわけではないんですが、こういったいろいろなセクターの先生方、また、有識者に集まっていただいて、ある程度共通の方向性が出るような事柄については、こういったことで大体共通の理解になったというところに至ればいいと考えておりますので、そういったことから、今後、この懇談会の報告書を次回、または予備日ということで第6回も設定しておりますけれども、そういった報告書を作っていく上で、どういう構成にしたらいいかと、どういう取りまとめ方にしたらいいかということで資料2を作らせていただきました。
 というわけで、この構成、1ページ目を見ていただきますと、まず最初に化管法の意義及び位置づけ、2番目その化管法の施行の状況及び効果というところがございますが、この辺が導入部ということになろうかと思います。
 その次、2ページの3ポツで、自主的な化学物質管理で、(1)から(6)まで課題を挙げてございます。これがまず第1の化管法の目指すところの化学物質管理ということであります。
 2番目に、3ページ目で4ということになっておりますが、PRTR制度、これが化管法の第2の要素ということになろうかと思いますけれども、PRTR制度につきまして、これが今までのメインのご議論になったかと思いますけれども、(1)の未届事業者対策から、7ページ目まで行きまして、地方自治体の関与と(9)ぐらいまで論点が出たかなと。
 5番といたしまして、7ページでございますけれども、化学物質の有害性に関する情報伝達ということで、MSDSなどを含みまして、化管法の第3の要素というふうに考えておりますけれども、こういった(1)から(3)までのような論点があったかなと。
 6でその他というのは、これは、報告書のどこかに載るかどうかというのは別にいたしまして、こういった議論もあったということで、これにつきましては、最後の部分でどういうふうに位置づけるかということにつきましては、ご検討いただきたいと考えておるところでございます。
 位置づけと構成につきましては以上でございます。

○大塚座長 ありがとうございます。
 資料2の各見出しは、恐らく懇談会報告書の見出しになっていくものでございますけれども、資料の構成の観点から、大きな項目が抜けているとか、並び方がおかしいといったことはございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、具体的な見出しの追加とか修正などにつきましては、各項目を議論するときにご指摘いただくことといたしまして、資料の2を幾つかの部分に分けてご議論いただきたいと思います。
 まず、化管法の全般にかかわる内容といたしまして、1の化管法の意義及び位置づけ、それから、2の化管法の施行の状況及び効果、この2点につきましてじっくりご説明をお願いいたします。

○戸田補佐 それでは、資料2の内容につきまして、座長からもごさいましたように、それぞれの部分に分けて、1ポツと2ポツということでご説明させていただきたいと思いますが、まず化管法の意義及び位置づけということで、最初に、自主的な活動を促すという法の趣旨が化管法の特徴である。こういったものはすばらしい、これまでにない法律であるということがございました。ただ、本日のプレゼンにもありましたように、リスクを減らすということをきちんと位置づけるべきであるということがございました。
 関連して、科学的な評価はベースとして予防的アプローチに立った化学物質管理が重要であるというご指摘がございました。衆参両院の附帯決議とか、総務省勧告等で指摘されている課題、また諸外国の制度との比較といった観点で考えていくべきであるということがございました。環境リスクの低減を目指すための社会的な仕組みを作るべきであるというご意見。規制と自主的取り組みのバランスが重要であるというご意見。カバーする化管法の範囲の関係を明確に、限界も明確にしておくべきであるというご意見。化審法など関係法令との一体的な検討が必要な部分もあるというふうな意見があったかと考えております。
 2番目の化管法の施行の状況及び効果ということで、まず、施行の状況でございますけれども、まずは、制度の浸透というのは、ある程度関係者に浸透していっているという評価はいただいていると考えますが、ただ届出漏れについては、総務省から勧告を受けていると、これは残念なことであります。というご意見がございました。
 化学物質管理方針・計画の策定促進等についても、これも総務省勧告では状況把握が不十分であるというご指摘をいただいているところであります。
 MSDSにつきましても、フォローする仕組みが今のところなくて、実態把握が必要であるということだったかと思います。
 化管法の効果ということでございます。効果といいますのは、これまでのご意見の中で、制度導入時に意図されたPRTRの目的が(1)から(5)まで、特に環境保全による基礎データを得る、でありますとか、また事業者、国民への理解という、そういった目的に即して効果検証すべきであるというご意見があったかと思います。
 全体の、これまでの4年間の成果として、対象物質の全体合計排出量というのは、一応減少しているということがありますが、また、環境濃度の減少との関連も見られますが、より細かく見ていくと、業種ごと、個別企業ごとに違いが見られると、こういったものは一般環境や事業所周辺のモニタリング、本日も出てまいりましたけれども、こういったことによって、効果の把握を続けることが必要であるということがありました。
 こういったPRTRのデータにつきましては、これを活用することによっていろいろなことができるのだけれども、まだ解析が十分に行われていないのではないか。こういったデータから何がわかるのか、わからないところを補うのには何が必要かという観点から検討すべきであるというご意見があったかと思います。
 そういったところが、導入部として特記すべきご意見だったかなと考えております。

○大塚座長 ありがとうございました。
 この1と2の部分につきましては、特に大きな意見の相違はなかったと思っておりますけれども、さらに報告書に盛り込むべき観点があれば、ご意見をお願いいたします。
 いかがでしょうか。
 中地委員お願いします。

○中地委員 負担の重要性とか、あと化審法とかの関係も含めて、神奈川県から化学物質管理基本法みたいなものを別に作るべきではないかという意見もあったと思います。私も、化管法だけで化学物質の管理をすべてするというのはなかなか難しいところもあると思いますので、この目次でここに入れるかどうかというのはちょっとわかりませんけれども、そういう基本法的なもう少し上位法みたいなもので化学物質をきちんと管理していくという考え方は、どこかに書いていただきたいと思います。

○大塚座長 後でまとめて事務局からお答えをお聞きしたいと思います。瀬田委員お願いします。

○瀬田委員 この位置づけの中で、4つ目のところに諸外国との制度の問題がありますけれども、この前の中西先生のお話も含めまして考えますと、これは諸外国の制度とその考え方及び運用状況を視野に入れて、我が国としての姿勢を明確にすべきというような趣旨にしていただいた方がいいのではないかと思います。

○大塚座長 他にいかがでしょうか。豊田委員お願いします。

○豊田委員 2点あるのですが、1点目は、1番目と2番目にありますリスクと予防的アプローチについては、定義を明確にすべきと思います。2点目は、化管法の位置づけですが、これについては、日本における化学物質政策の長期的な流れの中での位置づけも明確にした上で、どういうふうにやっていったらいいかということもつけ加えていただきたい。

○大塚座長 中杉委員、お願いします。

○中杉委員 今、幾つかの点が、ご意見に関連するかもしれませんが、化管法でやること自体の目的みたいなアプローチの仕方、例えば予防的アプローチというところでいくと、それから他の施政との関連ということでいくと、明らかにリスクがはっきりしていて、問題があれば規制をやっていけばいい話で、リスクが明確に、例えば定量的に評価できないということならば、なかなか基準を作れないというような問題があることについては対応していくとか、将来的な話として、今、個々の物質についてのリスク管理の体制をとっているけれども、複合暴露されたときにどうなのか。これは、恐らく基準を作る云々の話では、なかなかそういう形の対応では難しいだろうと。ですから、今、現に化管法の中でも、トリクロロエチレンの大気の環境基準をクリアしていながら対応していくというのは、そういうものをある程度にらんだ形のものであるということは、少し考えとして、これに書いてあることを具体化するような形に、入れておく必要があるのではないかというふうに思います。

○大塚座長 いかがでしょうか。
 では、事務局からまとめてお答えいただきたいと思います。

○戸田補佐 まだ、事務局として、はっきり答弁をするというふうな段階にはないかもしれませんが、予防的アプローチの定義でありますとか、また諸外国の制度等につきましてはおっしゃるとおりかということでありますので、予防的アプローチ等につきましては、環境基本計画でもしっかり定義されているところでありますので、盛り込むことができるのではないかという気がします。
 複合暴露のようなお話につきまして、規制法との関係がどうなっているのかというふうなことかなと考えますので、その辺はまたもう少し規制と自主的取り組みのバランスみたいなところで、もう少し本来は、ここをいろいろ書き込むべきかなというふうに考えますので、この辺は、もう少しご意見をいただけると我々としても何を書くかというのが明確になってありがたいんですけれども。さらに、次回に向けて、もう少しいろいろなご意見をいただく中で記述を検討していきたいと思います。
 基本法ということにつきましては、そういう名前の法律を作るかどうかということはどうかなというのはございまして、むしろ基本法というものをどういうことをどういうふうに国として定めるべきなのかという、内容のところがあれば何か盛り込み方もあるかと考えているのですけれども、当然環境基本法というのもございますし、環境基本計画の中で化学物質の環境リスクの低減というところにつきましては、一応国としての基本方針が閣議決定の文書の中で出てきているというところでございます。ただし、当然、環境だけじゃなくて、もっと直接暴露なんかも含めた、化学物質の全体、そういった制度の連携をしっかり深めていくべきであるとか、そういったご議論もあるかと思いますので、それによって何を目指すのかというところが、もしもう少しはっきりすれば、何らかの書きようがあるかという気がいたしますので、ちょっとその辺のイメージがはっきりしなかったものですから、ここでは社会的な仕組みというところは書かせていただきまして、国としての化学物質の管理に関する基本的な目標や計画を掲げるという中で基本法という名前はちょっとどうかなということで、1ポツの5番目の○のところに盛り込ませていただいたところでありますけれども、ここをもう少し具体的にということであれば、ご提言をいただきたいなと考えているところでございます。

○大塚座長 複合暴露の問題とか、あるいは今の基本法の問題とかについて、もう少し詳しくご意見がございましたらお伺いしておきたいと思いますけれども。
 岸川委員お願いします。

○岸川委員 基本法という話もあるのですけれども、PRTR法だけですと、総合的に化学物質対策を進めるというところまでには行ってないのではないかということが考えられます。したがいまして、基本法という形が一番よろしいかと思いますけれども、要は化学物質対策を総合的に進めるための法整備、ですからいろいろな化審法だとか、大防法、水濁法等々があると思うのですけれども、こういったところを束ねるような形での法整備、こういったものが必要ではないかというふうに考えております。

○大塚座長 中杉委員、お願いします。

○中杉委員 そういうところが法律になるかどうかわかりませんけれども、実際にですね、今いろいろな方が、化学物質管理する。それをうまく整理、連携をされているかどうかというのを、この中でやるのかどうかはともかくとして、見直しする作業はどうしても必要だろうと。その中で、化管法はどういう位置づけを持っているかということを議論しないと、化管法だけ特別取り出してという話にはならない。ここで、この検討会は化管法の議論をするところだということは、そういう趣旨でやっていますけれども、その前提としては、全体の中でどうする、ここで議論して、後の方で議論に出てくるところも、いろいろなことが書かれていますけれども、それは化管法の中でやるのか、必ずしもそうではなくて、全部そうではなくて、化管法を支えるフォローアップみたいな話の法律の中で全部盛り込んでやらなければいけないのかどうかというところはありますので、そういうふうな理解ということでよろしいのではないかと思いますけれども。

○大塚座長 小出委員お願いします。

○小出委員 議論の中でも出ましたけれども、一番大切と感じるのは、国民がこの法律にどうアクセスし、情報の提供を受けるか、ということです。これを考えると、法律の位置づけの中に、PRTR制度で得られたデータをできるだけ開示して、それをだれもがアクセスしやすくする、という要素が入っても良いと思うのですが。

○大塚座長 それはPRTR法のもともとの考え方と非常に直結するところでございますが、検討していきたいと思います。
 白石委員お願いします。

○白石委員 先ほどの1番目の○と2番目の○でですね、化管法の意義及び位置づけのところなんですけれども、ここのですね、書いてあることはそのとおりなんですが、有害性のある物質の排出を減らしリスクをできる限り低減させるということと、2番目の例えば科学的な評価をベースとし予防的アプローチに立った化学物質管理が重要であると、何か対立するような感じがするんです。今までのPRTRの枠組みは、すなわち物質に固有の有害性があって、それも多分オゾン層破壊なり、人健康なり環境への有害性をターゲットに絞っていると思うのですけれども、そういった観点を明確にしておく必要があることと、5番目に、国としての基本的な策定、枠組みを作るべきというのは、多分これが一番トップに来ることなのかなと思います。
 それで、その中で、総合的に判断する。その中でPRTRは、例えば個別の化学物質の排出抑制を自主的な活動に伴って減らしていくといった位置づけを明確に示した方がいいかなというふうに思います。その中で代替等が進んでいきますので、リスク評価そのものができないものも出てくるので、その予防的アプローチも必要かなという、そういった流れなのかと私は思います。

○大塚座長 道筋を作っていただきましたが、他にいかがでしょうか。
 藤江委員お願いします。

○藤江委員 先ほどの名古屋市のプレゼンにもありましたけれども、化学物質というのが理解がやっぱり低いというか、特別視されてしまうといった場面もありますし、ですから、やはり化学物質を理解してもらった上で、それに対するリスクを減らすというふうな、理解というところをもう少し強調していただいてもいいのかなという、最初のところですね。そんな気がするのですけれども。

○大塚座長 情報に対するアクセスが十分でないと多分理解できないですので、その点でも大きく関係する問題だと思います。
 安藤委員お願いします。

○安藤委員 安全、安心につながるというようなキーワードがどこかに入った方がよいのではないでしょうか。

○大塚座長 有田委員お願いします。

○有田委員 1ポツのところも、先ほどからいろいろな委員の方が、対立はしていないと思うのですが、相反するような意見が出ていて、でも、一番上の○とか、5番目もそうだと思うのですけれども、これはもともとの考え方だというふうに私は思っていて、それから情報公開というのではないですけれども、国民の知る権利も含めてリスクコミュニケーションを進めましょうというのがこの法律ができたときからずっと言ってきたことだと思うのです。それを最初にきちんと書いてください。書いていただかないと、議論してそこを変えるということではないですよね。それを進めるために今は足りないものは何なのかという議論を私はしていると思っていたのに、何かそこが、どう整理していくのか私はわからなくてちょっと意見を申し上げたんですが、そういう精神を進めるために何が足りないのかという議論で意見を出せばよろしいということですよね。大塚先生それでよろしいんでしょうか。

○大塚座長 事務局の方からお答えいたします。

○戸田補佐 我々としては相反するというふうには考えておりませんで、化管法の目的、規定、中身も国民及び事業者の理解のもとに化学物質の管理を進めて、環境の保全上の支障を防止していくんだと、未然防止を図るんだという言葉がございます。その辺は、制定時の議論でそういうことになったのだと思いますので、そういったところで、そういうそもそもの精神というのは、これは全く、それに反するご意見は特に出ていないと思っておりますので、その精神を実現する上で、どういうところが課題になって、どういうふうに見直していくことが求められるのかということが次からの、3ポツ以下からのご議論かなというふうに考えております。
 あわせて、これまでいただいたご意見、大体安全、安心とか、そういったことも含めまして、非常に貴重な意見をいただいたと思いますので、次回のこの資料のリバイズには非常に参考になると思いますので、対応したいと思います。

○大塚座長 有田委員が言われたことは非常に重要な点で、2ページの2の(2)のところの最初の○は、これは現在のPRTR法、化管法の目的が書いてあって、これがちょっと後ろの方に書いてあるので少しわかりにくくなっているかもしれませんが、これは前提で、さらにどうしていくべきかという話だと思いますので、これちょっと後ろの方に書いてありますけれども、多分前の方に持ってきた方がよろしいかなと思います。
 いろいろご意見いただきましてどうもありがとうございました。
 では、時間の関係で、次に移りたいと思いますけれどもよろしいでしょうか。
 それでは、次に3の自主的な化学物質管理の議論に移りたいと思います。
 まず事務局よりご説明をお願いしいたします。

○戸田補佐 それでは、2ページの3ポツの自主的な化学物質管理というところでございます。
 化学物質管理に関する目標・方針・計画ということで、化学工業等では、既に目標を持って取り組んでいるという事例を伺ったところでございます。
 事業者による取り組みが世の中に明らかになって、それが企業のためにもなるという仕組みが必要であるというご意見。化学物質管理においては、毒性と暴露の両面から重点的に管理すべき物質を優先していくべきであるというご意見がありました。
 一方では、なかなか目標量の設定が難しくて、事業者としてはどこまで削減したらいいのかというのがなかなかわからない。ともすると、底なし沼になってしまうのではないかというご指摘もありました。
 最後の3つの○は、ちょっと幾つかの議論が出た、異なる意見が出たという例かなと考えています。
 一つの極端な例は、こういった計画の提出などを義務づけるべきだというご意見もありました。さらにもう少しソフトに支援・監視・指導する仕組みが必要であるということ。最後には、これは個別法であるのだから、それは屋上屋を重ねることになるのではないかというようなご意見があった。この辺、少しご議論いただくことが必要かと考えているところであります。
 (2)の化学物質管理の手法ということで、いろいろな指針やツールを開発すべきであるというご意見がありました。
 本日のプレゼンテーションの中で、これに関係するかと思いますけれども、第三者機関によるチェックでありますとか、そういったものも必要ではないというご意見もあったと考えております。
 リスク削減のための物質代替ということで、物質代替がリスク削減の方向に行くということが重要であるということは意見の一致を見ているかと思いますけれども、この辺についても企業秘密であることが多くちょっと難しいところもあるのではないかというようなところがございました。
 リスク評価ということでございますけれども、これは本日、地域におけるリスク評価ということで、ある程度本日の議論の中で少し明確化した部分があると思いますけれども、こういったリスク評価を誰がどのような仕組みで行うのかを明確にすべきであるというご意見がございました。そういったことのためのツールの開発と提供が必要であるというご意見があったかと思います。
 リスクコミュニケーションにつきましては、国民の理解の状況を把握すべきである、事業者によるリスクコミュニケーションを促す措置が必要であるということの他、本日、リスコミにつきましては、行政や他企業とも協力して行うべきであるというようなご意見。ただ、市民の生活に近いようなデータを示してわかりやすい情報を提供していくべきであるというご意見があったかと思います。
 人材育成につきましては、1回ご意見をいただいたかと思うのですけれども、化管法でも国及び地方公共団体の措置として人材育成ということを書いてあるのだから、これが現状でいいのかということを検討すべきであるというご意見があったというように取りまとめさせていただいたところであります。
 以上であります。

○大塚座長 この部分につきましては、自主管理方針とか目標とか、計画の策定促進のあり方、それから、物質代替のあり方、さらにリスク評価の仕組みといった点について、さらに議論が必要と思いますけれども、他の点も含めまして、ご意見をお願いいたします。
 いかがでしょうか。
 中地委員お願いします。

○中地委員 先日、経産省の産構審の方で、化学物質政策基本問題小委員会に出ていたのですけれども、有害大気の原因物質についての大防法の取り扱いのことで、二次にわたって事業者の自主的な削減計画を義務づけたわけですが、それが終わったんですね。今度は、逆に、事業者がきちんと削減努力をしているのかというのは、PRTRの届出データから把握をしたいということを、経産省の化学物質管理課の方で説明はされていたのですけれども、その辺の化学物質管理にPRTRの届出データをどういうふうに活用していくのかということは、もう少しきちんと意見として書くべきではないのかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○大塚座長 これは事務局から。

○戸田補佐 有害大気につきましては、これは中央環境審議会の大気部会におきまして、専門委員会レベルでごさいますけれども、第二次の自主管理計画を受けて、今後はPRTRデータとモニタリングデータを使ってフォローアップをしていくべきであるということで、これまでの業界別の自主管理計画を審議会でフォローアップしていくという仕組みは終了したと関係部局から聞いているところでございまして、こういったところでPRTRのデータを活用するという仕組みになっているというのは、PRTRの制度にとっては非常に重要なことといいますか、データを実際に政策に活用する大きな要素として考えられるのではないかと考えているところであります。

○大塚座長 他にいかがでしょうか。中杉委員お願いします。

○中杉委員 削減目標がどのくらいになるかという目標量もないというお話、これは一つの問題としては確かにあるのですけれども、先ほど化管法の本来の趣旨みたいな話から考えると、なかなかそれはつけられないんですよね。逆に言えば、そういうのがある程度作れるのであれば、規制の方でそれを判断していくということがあるので、これはかなり難しい、科学的にというのは難しい、もう少しそれを割り切った形で目標を設定していくというのは、考え得るのだろうと思うのですけど、化管法の本来の趣旨からいくと、そうなのかなということが一つです。
 その絡みでいくと、逆に言うと、そういう状況でありながら、かなり例えば管理計画とか管理目標の提出をぎりぎり義務づけるということ自体がうまくなじむかな、そのバランスの話だろうと思うのです。そこら辺のところで、化管法で何をねらっていくかというところの最初のところの話と少し絡んできてしまうのではないか。この辺のところは実際になかなか難しくて、例えば、事業者の方がどっちをやったらいいのかというときに、その一つの方法としてはこういう方法がありますよという提示は多分できるけれども、これで大丈夫ですよというようなことで言えるかどうかというのはちょっと疑問を感じます。そこまで、何か出せと言われると非常に我々にとってはつらいなという感じがいたしますけれども。

○大塚座長 関連して、岸川委員お願いします。

○岸川委員 神奈川県の条例で、管理目標、削減計画と言っているんですけれども、これを平成17年度から事業者の皆さんに出していただいています。1年経過しましたので、6月から7月にかけまして、県内の工場、10工場ほどを実際にヒアリングをして回ったんです。県では、事業者の皆さんの目標を取りまとめて公表していますが、事業者の皆さんから提出していただいた目標が、現在の県内の事業所の中でどのくらいの位置にあるのかと、そういったこともわかるので、いいのではないかというようなご意見もいただいたところでございますし、やはり削減計画のような目標、これはやっぱり必要ではないかというふうに考えております。

○大塚座長 はい、中杉委員。

○中杉委員 関連でよろしいですか。
 私も、各企業が目標をつけられて、それで努力されるというのは、それは一向に構わないんだろうと思うのですが、行政として、こういう目標でいいんだよということを言えるかどうか、行政というとちょっとあれですけれども、いわゆる専門家という立場から、これでいいんだ、これでやっていけば大丈夫だというふうな、大丈夫なものを出せと言われると、なかなか難しいなという意味合いで申し上げたわけですけれども。そこは、とりあえずの割り切りの世界で、こうだという合意をつけるというのは一つの考え方だろうと思います。

○大塚座長 アメリカで前やったように、33%減らすとか50%減らすとかという、かなり大ざっぱでしたけれども、そういうことが日本でやれるかどうかという問題ですかね。
 安藤委員、関連質問ですか。

○安藤委員 単純な量じゃなくて、本当に実施されるならば、ぜひリスクという観点で、行政の方で示していただきたいということが1点です。
 それから、3の(1)の4番目に、何%削減等の目標量がなく、事業者としては取り組みにくいと書いてありますが、事業者としては自主的に自分のところの工場で、リスク評価して優先順位をつけて、この物質から減らしていくということを実施しているわけですから、この文章はおかしいと思います。
 それから、もう1点。(3)のリスク削減のための物質代替の3つ目に、代替物質については企業秘密であることが多く、把握は難しいと書いてありますが、把握が難しいのではなく、公表に際してはぜひ企業秘密であることを考慮していただきたい。届出したものは単純に全て公表というのではなくて、届出と公表は別であるということを考慮していただきたいと思います。

○大塚座長 有田委員お願いします。

○有田委員 今の代替物質の件なんですけれども、これは企業秘密であることが多く把握は難しいかもしれないという発言があったというよりも、その代替物質のリスク評価についてははっきりしないことが多いというようなことだったと私は理解しているんですけれども、そうではなかったんでしょうか。
 それで、単純に変えたとしてもということだったんですが、ただ、安全性評価については、過去の物質より新しい物質の方が安全性評価をしていると。ただ、それがリスク評価と長い年月で評価したときにどうなるかというのは、また別なことだというふうに安井先生はおっしゃったんだと私は勝手に理解したんですけれども、違ったんでしょうか。

○大塚座長 安井委員に伺っておいた方がよろしいでしょうか。

○安井委員 私が申し上げたのはたしかそんなことでございまして、要するに、何が何でもこのPRTR対象物質を減らせと言っているわけではないと。とにかく減らすのはリスクであって、とにかく減らすとすれば、物質を減らしたら、それがリスク削減につながっているというロジックぐらいははっきり持ってほしいという、そういう話なんですね。実は正確なところまでしっかりわからないけれども、それなりの軸は何かあるのではないかと思って、その辺までは若干調べてもらった方がいいのかなということはあります。

○大塚座長 豊田委員お願いします。

○豊田委員 代替物質関連で発言したい。意見文の3つ目の○の文の元々の真意は、企業で代替物質の開発検討を進めていくときに、企業秘密は非常に重要なことであり、その点に関する配慮をお願いしたいというような発言があったように解釈している。

○大塚座長 有田委員お願いします。

○有田委員 後半の方ですよね。何か金銭的なもので、前回、中西先生がおっしゃったと思うのですが、最初に開発した企業がというようなことでおっしゃったんですよね。ですから、それはまた別のことは別のところで議論する中身かと思って、それに対してどういうことができるのかわからないのですが、例えば、後発の企業からはお金を払っても、半額とか何とかおっしゃったような記憶があるのですが、そういうことをここで議論するのかどうかわかりませんけれども、そういうことも必要だというようなことだと思います。

○大塚座長 事務局の方からお答えします。

○戸田補佐 代替物質の書き方については、確かにおっしゃるとおりでありまして、まずリスクという観点からやるべきであると。その評価のための情報を整理していく必要があるということと、そうはいっても、企業秘密について留意する必要がある。そういうことでありまして、確かにこの辺、もう少しいい書き方をしなければいけないかなというふうに考えております。
 あわせまして、3ポツ(1)の3番目の○ですけれども、取り組みにくいというのがちょっとおかしいのではないかというのはそのとおりでありまして、中杉先生のご発言にありましたようなそういう難しさを含めて、下の3つの○との関連で、もう少し本日のご議論をまとめたような書き方を少し次回に工夫をしたいというふうに考えております。
 ハザードデータを最初に取得した人、次の人がフリーライダーになるという問題につきましては、8ページの(3)に書いてあるところであります。この辺は、そのときにご議論いただきたいと思います。

○大塚座長 中杉委員お願いします。

○中杉委員 別なところで、人材育成のところなんですけれども、今の現状でよろしいかどうかというのが一つあって、ちょっと私が気になっているのは、やっぱりもう少し化学物質リスクの、一つの例を挙げると、基準値がどういうふうな形でどういう議論で出てきているかというところを、やはりリスクコミュニケーション、リスクアドバイザーみたいな方は、十分知っていただく、そのくらいの深みを持っていただかないといけないんだろうと。表面的な数字がどうだこうだというところで、それとどうだという形で議論をする場合の、今、私、実態をよく存じ上げないので間違ったとんちんかんなことを言っているかもしれませんけれども、そこら辺の理解をしていただかないと、本当の意味でのリスクコミュニケーションはできないのではないか。かなり基準というものは割り切りの中で作られている、そういうものをよく理解をした上で、どういうふうに伝えられるかということが必要だ。そういう人材の育成というのは、もう少しそういう意味では、間違っていたらごめんなさいですけれども、深みを持った人材育成をしていただければと思っています。

○大塚座長 瀬田委員がちょっと早かったものですから、瀬田委員お願いします。

○瀬田委員 今のお話にも関連するんですが、5番目のリスクコミュニケーションについて少しつけ加えていただけないかと思うのだけれども、これは、常にこういう場合になりますとわかりやすくとか使いやすいとか、そういう言葉がよく出るんですけれども、それは確かにそのとおりなんですが、しかし、産業界と、あるいは自治体であるとか、あるいは環境省もそうですけれども、一番これは悩んでいることだと思うのですね。したがって、こういう原則論でいうと、そうだそうだということで納得して、それがそのまま結果は言いっ放しというふうになりかねないと思うのです。
 したがって、ここは、何かそういう言いっ放しにならないような、具体的に考えていくような方法というか、そういうものを促すような表現を一つ入れる必要があるのではないかという気がいたします。

○大塚座長 瀬田委員、ご自身はもし何か考えがおありであれば、お話しいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○瀬田委員 先ほどの化学リテラシーの問題とか全部絡んでくると思うものですから、他にも随分議題があるので、長くならなければ私もいろいろお話もしたいと思います。

○大塚座長 では後日お伺いしたいと思います。
 有田委員お願いします。

○有田委員 まさに、いつもわかりやすいというのは、逆にわかりにくくなったり、よくないときもあるのですけれども、やはり市民としてはわかりすいという言葉は残しておいていただきたいと思います。それはどういうことかというのは説明はできませんけれども、やはりわかりやすくしていただかないと、何か隠されているんではないか、悪いものが陰にあるのではないかというふうに思ってしまう。でもなかなか難しいのはわかっています。
 実は、私が手を挙げたのはそこじゃなくてリスク評価のところなんですが、2番目の○のところで、例えば、今黒本とは言わないと思うのですが、エコ調査ですか、そういうときに、例えば黒本のときに、PRTR法が2年目ぐらいのときに、有害ではないけれども、どういう状況なのか河川の状況を調べて欲しいという意見を出しましたら、やはり予算の関係なのか何なのかわかりませんけれども、「そういうのは何年前にやりました」とか、当時座長の中杉先生の方がよくご存じだと思います。でも、中杉先生がカットされたわけではないんですけれども。それで、前回も環境省がそういうことは評価をすべきだというふうに中西先生がおっしゃったと思います。ただ、予算の問題か化管法の位置づけが軽く見られているのか、PRTRに関係する物質のモニタリング調査をして欲しいといってもできなかったことがありました。ですので、ここの部分をもう少し強調して書いていただきたいと思っています。

○大塚座長 岸川委員お願いします。

○岸川委員 人材育成のところなんですけれども、これ神奈川県の提案が入っているところなんですけれども、人材の育成、現状でよいのかを検討すべきというふうに入っていますけれども、前のプレゼンテーションでもお話ししたと思うのですけれども、都道府県の技術職の人材が非常にこれから先厳しい状況になっています。平成22年度までに、現在の化学職の人員の4割が退職いたします。したがって、あとの6割で現状の仕事とこの化学物質対策をやっていくわけなんです。非常に惨たんたる状況でごさいますので、都道府県は都道府県なりに人事当局にお願いをしてございますけれども、やはり国としても、こういった人材が必要なんではないかというような話を具体のものとして示していただかないと、非常にこれから先の化学物質対策は難しいというふうに思います。
 以上でございます。

○大塚座長 白石委員お願いします。

○白石委員 先ほどの有田委員のフォローアップなんですけれども、リスク評価のところの2つ目の○のところなんですけれども、ここは3つぐらいの要素が1つの○でとらえているんです。例えば、評価ツールを作りましょう、モニタリングをしましょうということと、指標値を作りましょうというものがあるので、これをもう少し分けて、それぞれのところに書いた方がいいかなというふうに思います。
 それと、生態系影響にかかるモニタリング手法の開発、これは足りないからこう書いてあると思うのですけれども、人の健康に対する影響に係るモニタリング手法も重要で、それをあえて省く必要はないということですので、暴露評価にかかわる手法とか、そういったことも書くという。

○大塚座長 中地委員お願いします。

○中地委員 5番のリスクコミュニケーションと人材育成の件なんですけれども、新しく意見を言うわけではないんですが、事業者によるリスクコミュニケーションを促す措置が必要というのは国が何らかの措置をすべきだというふうな意見というふうに読み取れるんですけれども、実際に、リスクコミュニケーションを図ってもらうために事業者に働きかけるのは、どちらかというと、今日の報告にもありましたが、地方自治体がやられていることの方が多いわけなんで、もう少し地方自治体にリスクコミュニケーションを図ってもらうような仕組み作りみたいなことを作られた方がいいのではないかなと思います。ただ、地方自治体の課題のところもあるのですけれども、非常に地方自治体のPRTRあるいは化管法に関する取り組みの中に課題は大きいので、その辺はもう少し平均化するというか、そこを利用するということも課題としてはあると思うのですけれども、その辺の法律には書いていないお話なのかもしれませんが、地方自治体の取り組みを強化するということも、していただきたいというふうに思います。

○大塚座長 豊田委員お願いします。

○豊田委員 5番と6番に関連してですが、私どもはリスクコミュニケーションといいますと、いろんな地域で地域対話を行っております。その場合、リスクコミュニケーションないしは地域対話の成否のかぎを握っているのは、ファシリテーターではないかと思います。それを人材育成の中で、具体的にどうやって育成していくかということも一つの重要な観点だと思いますので、ひとつ意見書に加えていただけたらと思います。

○大塚座長 事務局の方で、今幾つか出た点について、何かお答えいただくことがございましたらお願いします。

○戸田補佐 ありがとうございます。
 こんなに個別に議論いただけるというのは想定外の喜びがあります。
 他にもいろいろあると思いますので、もしよろしければ、具体的にこういうふうなことを書くべきだというのがございましたら、締め切りについてはよく考えてみますけれども、1週間ぐらい程度で、こういうふうな項目もつけ加えるべきだというのがございましたのをいただければいいんではないかなというふうに考えております。
 このペーパーそのものを改訂するということは想定していなかったんですけれども、もしかしたらこれを改訂した上で、さらにそれをまとめたような報告書の骨子案というのを次回提出させていただくということも考えられるかと思いますので、その辺、そういったことでよろしくお願いいたします。
 個別にいただいた意見については、我々としても非常にもっともだということがございますので、その辺は個々にここで申し上げることはいたしませんけれども、そういう方式を考えてみたいと思います。

○大塚座長 では、次の4のPRTR制度の議論に移りたいと思います。この制度のお話ということでございます。
 まず事務局より説明をお願いいたします。

○戸田補佐 実はPRTRの部分、これがメインでありまして、3ページから7ページまでまたがっております。これ全部で読み上げていると時間がございませんので、かいつまんで、論点になりそうなところだけをご説明したいと思います。
 (1)は、未届事業者対策ということでありまして、捕捉率を向上すべきであるということでございますが、なかなか捕捉率といっても、我々の方から答弁させていただいたんですけれども、捕捉率は何パーセントという言われても母数が、そもそも1トン以上使っているところがどれだけなのかという母数が取り上げられていないので、事業者の数というのが、それは捕らえられませんので、なかなかそこが難しいところだということで、そういうふうなことで、捕捉率という言葉、2カ所使っておりますけれども、むしろ未届事業者の解消ということかなというふうに考えております。
 (2)の届出事項でありますけれども、これが取扱量、特に取扱量、貯蔵量等について、(2)の3番目の○からずっと、どちらかというと両論併記のような形で書いてあるところでありますので、これにつきまして、これまでも時間をかけてご議論をいただいた点でありますけれども、さらに何らかの方向性を出すことができるのか、またはある程度両論併記的に扱わざるを得ないのか、その辺、さらにご議論をいただきたいと考えております。
 廃棄物の移動量につきまして、下水道の放流先、また廃棄物のリサイクル量ということにつきましては、ある程度既にここで書かせていただいていると考えております。
 (3)の対象事業者でありますけれども、ここで一番最初の建設業でありますとか、最後の燃料小売業という、こういった個別のものについて、これをどうするというふうな話は、やはりかなり詳細な議論をしないといけない話かと考えますので、ここへこれを入れるべき、除外すべきという確たる結論を出すわけでありませんけれども、課題としてこういうことが挙げられるということになるのかと考えているところであります。
 対象物質のところでありますけれども、最後の3つです。光化学オキシダントの原因物質でありますNOx、SOx、CO2というのがございますけれども、今、光化学オキシダントの原因物質につきましては、VOC、大気汚染防止法に基づくVOC対策で、これからイベントリーで作ってフォローアップをしていこうということになっておりますし、NOx、SOxにつきましては、もう既に大気汚染排出量総合調査などがあって、CO2につきましては、温暖化対策法に基づきまして、別途排出量の届出システムができたということでありまして、その制度間の連携といいますか、そういったところが課題として挙げられたのかと理解しているところでございます。
 排出量把握手法につきまして、2番目の○の、中小企業にも負担にならないような手法を開発すべきだというようなことは本日も意見としていただいたところでございますし、次の3番目の○で、排出量推計の精度が問題であるということ、これに関連しまして誤りが非常に多いというようなご意見もあったかと考えております。
 (6)の届出外の排出量推計につきましては、特に論点となるようなところは、記載のとおりということでございます。
(7)の、排出量の開示・公表につきましては、今は個別開示となっているものを、公表に改めるというのがメリットがあるということが、今のところ意見の大勢だったかなと考えておりますけれども、これこういう結論にできるかどうかにつきましては、もう少しご議論いただきたいということであります。
 PRTRデータの活用につきましては、これを活用するのは非常に重要であって、これこそがんばっていくべきだというようなことがございます。
 地方自治体の関与につきましては、2番目の○でございますけれども、立ち入り権限が必要であるということにつきましては、こういう意見もあったところでありますけれども、少し強過ぎるというご意見もあろうかと思います。
 政令指定都市、中核市などにも届出事務を担わせるべきという最後の○でございますけれども、これも今の地方自治法の理念からして、都道府県と市町村の間で決められることでございますが、大気汚染でありますとか水質汚濁の事務を担っているところで一体的な業務として行うのが望ましいというご意見だったかと考えております。
 すべてご紹介することはできませんけれども、こういった構成でまとめさせていただきたいと思います。

○大塚座長 ありがとうございます。
 この部分につきましては、届出事項、特に取得量、貯蔵量と、それから対象事業者、対象物質、開示・公表、データの活用、自治体の関与など、多くの論点がございますけれども、これらにつきましてさらにご意見をいただきたいと思います。
 藤江委員お願いします。

○藤江委員 データの活用に関してですけれども、届出事業者への情報のフィードバックをもっと積極的にやった方がいいのではないかと思います。ただ現状のPRTRの情報の内容ですと、どこまで利用できるのかという疑問もないわけではないのですけれども、より付加価値のついた情報としてフィードバックしていくべきだろうと。例えば、効果的、効率的な削減誘導とか、あるいはもう既に文章に入っていますけれども、排出係数のようなものをもっと精度のいいものにして、推計をより容易にするというようなこと、そして、これもやはり言葉として入っておりますけれども、原単位等を表示することによって、事業者が自分たちが努力の結果が見えるようにしていければ、自分たちでもっと減らそうというインセンティブが出てくるんではないかなと思うのです。そんなことで、もっと情報をフィードバックしていくべきだろうと考えます。

○大塚座長 ありがとうございます。
 中杉委員どうぞお願いします。

○中杉委員 排出量推計方法のところで、先ほど話をいただいためっき、ウレタン、両方から言われたことは、排出推計方法を変えてくれるなという、逆のご要望があったと思うのです。それはここには入っていないので、忘れないうちに言っておきます。改善をした方がいいんだろうと思う。ただ、どう改善するかということがあって、よりよく、より簡単になれば反対はされないでしょうけれども、変なふうに変更されるともう手間が大変で、そうたびたび変えてくれるなよというのは1つのご意見だと思います。それをちゃんと入れておく必要があるというのが一つです。
 それから、取扱量と貯蔵量のところですけれども、これは一見意見が対立しているようですけれども、私自身の理解では、要するにそこら辺のところをどういうふうな定義をするか、どういうふうなものであるかということがもう少しはっきりしないというところに何かいろいろな意見が出てきているように思うのですけれども。それが一つのポイントになるのかなというふうに考えております。
 それから、もう一つは、排出量の開示・公表のところなんですけれども、これは中地委員なんかに伺いたいところなんですけれども、基本的には、一方的に公表されていないことが問題なのか、今公表されているデータが非常に使いにくいものであることが問題なのか、本質的な問題は、今、出されているデータがものすごく使いにくい。使いやすければ、中地委員のところでもポッとそれをとってきて、そのまま載っけることはそんなに難しいことではないのかなというように思うのですけれども、論理として、本来であれば公表すべきだという議論はありますけれども、実質的な話としては、国が提供しているデータの提供の仕方が問題なのではないか。そこを工夫するというのも一つのやり方としてあるのではないかというような感じがいたしました。

○大塚座長 豊田委員お願いします。

○豊田委員 取扱量、貯蔵量の件について述べたいと思います。ここの意見書の数が非常に多い。この取扱量データについては、以下の如く、主に地方公共団体より複数の目的で届出義務化の意見が出た。
1)事業者からの届出排出・移動量データのチェックを行うため、届出漏れのチェックに活用するため
2)取扱量と排出・移動量を比較して事業者における化学物質管理の努力を評価するため
3)周辺住民の保安上の不安対応のため
このように目的がばらついているのは、「取扱量」の解釈が各地方公共団体により製造量、使用量、貯蔵量と異なることに起因していると思われる。
 例えば、化学物質管理努力の評価については、排出量を取扱量で割るなどの単純な指標では事業者の努力は把握できず、かえって誤解を生じる恐れもある。
 よって、本件については、まず要求されている各届出データの目的の重要性の可否を議論し、仮に重要と認められた場合、その目的達成のために当該要求届出データが最適指標なのかどうかといった手順を踏んで議論をすべきと思います。やはり、先程中杉先生がおっしゃいましたとおり、この取扱量とと貯蔵量の定義があいまいなことが問題のひとつであると思います。

○大塚座長 先ほどの名古屋市のお話ですと、取扱量については、基本的には排出量、移動量の正確性を担保するためというところが意図あったようで、貯蔵量はむしろ事故時のときに何が貯蔵されていたかがわかると行政としてはありがたいし、住民としてもありがたいということだと思いますけれども、それ以外にもいろいろなものがあるかもしれません。

○豊田委員 4番目の○ですね。意味がないと書きましたけれども、「意味がない」というのは語弊があるのではないかと思います。そうではなくて、「誤解を生む恐れがある」と変えるべきと思います。

○大塚座長 中地委員お願いします。

○中地委員 最初、中杉先生の質問に対する回答なんですけれども。

○大塚座長 公表の方のですね。ちょっと待ってください。少し整理しましょう。
 取扱量・貯蔵量について何か他にご意見があれば。そのあとで、公表の方に行きます。
 安藤委員お願いします。

○安藤委員 取扱量、貯蔵量の件で、これは今のルールを前提にしているのかどうかということがあります。現在、取扱量のすそ切りはコンマ5トンになっております。それを、例えば100キロとか10キロにしますとなってくると、全産業界が届出に反対になると思います。たまたま自動車工業会は、コンマ5トンのすそ切りで届出て、公表は各社環境報告書等で自主的に行っていますので、私は反対しませんでしたが、すそ切りをずっと下げてきた場合には、これは恐らく反対する会員が出てくると思います。あと、他の産業界の方の意見も、ぜひ聞いていただきたいと思います。
 以上です。

○大塚座長 ありがとうございます。すそ切りの問題も大いに関係しているということですね。
 他に取扱量、貯蔵量に関してはよろしいでしょうか。
 では、開示・公表の方ですけれども、中地委員お願いします。

○中地委員 中杉先生の質問に対する回答なんですけれども、一応今国に開示請求をして、1,100円でしたか、手数料を払って、国によるCD自体を、当初2枚の表をつけないと1つの事業者の届出汚染排出量をちゃんと読み取ることができないという意味では、非常に使いにくかったというのがあります。ただ、昨年度からは経産省といいますか、NITEの方で開発された検索用のソフトもつけて対応されるようになったので、少しはわかりやすくなったと思うのですけれども、そこまでできるのであれば、もうホームページで国の方はその検索用のデータも込みにした形で公表されたらいいのではないかなと考えたので、前回のプレゼンのときには、そういう形で国の方で公表していただいたらどうかなというふうに発表した次第です。

○大塚座長 よろしいでしょうか。
 中杉委員、今の中地委員のお答えでよろしいでしょうか。そこまでいけばという中地委員の今の話は、そこまでいけばというときに、その先公表まですることによるメリットはどこかというのをもう少しぎりぎり詰めて考えるとどこにあるということになりますか。

○中地委員 いや、例えば開示請求をしようと思うと、今のところ窓口は2つしかなくて、地方の人からすると少し手間であるとか、あるいは今も全部のデータも、例えば私どものTウォッチのサイトに行けば、必要な、例えば自分の住んでいる隣の工場だけであれば見られるということで、実際には開示請求されていない方もおられると思いますし、あるいは幾つかの地方自治体、市区町村のレベルで自分のところの事業所のデータについて公表したいんだけれども、Tウォッチのデータを借りる形でいいのかというふうな問い合わせるというのは年に何件かありますので、一応地方自治体は国のデータをそのまま、公表するというのは今の法律上はできないような形になっていますから、そういうことも含めて、もう国ですべて、事業所の届出データを公表されるようになれば、その辺の煩わしさとかも省けますし、直接的に事業所を指導するとかというふうな観点からも、データをきちんと把握できるというふうに考えます。

○大塚座長 ありがとうございます。
 豊田委員お願いします。

○豊田委員 これに関しましては、私どもも、基本的には公表化に持っていくべきではないかということと、それから、亀屋先生の方からご発言があったと思いますが、それぞれの企業のデータについて「高い利便性を持って」、行政の方で公表するという方向がよいのではないかと思っています。

○大塚座長 開示・公表についていかがですか。
 白石委員お願いします。

○白石委員 そういう意味では、地域のリスク評価の濃度予測に使うということなんですけれども、そういう意味では使いにくい。いわゆる届出のところが、実際に排出しているところではないところからそのデータを使う。住所、いわゆる場所との1対1の対応がつかないデータで、あるいはどこに流しているかわからないデータであるということで、こういう意味では、リスク評価ツールは非常に簡単であるという紹介もありましたけれども、実は非常に難しい状況であります。

○大塚座長 現在の状況が非常に難しいということでしょうか。公表にすれば良いということですか。

○白石委員 公表しても、データの集め方を変えなきゃいけない。

○大塚座長 それは具体的には、どういう集め方ですか。

○白石委員 具体的には工場単位ですね。

○大塚座長 事業所のデータを公表する場合、よろしいということですね。

○白石委員 あるいは、排出先がどこかとかですね。

○大塚座長 開示と公表という言葉の使い方が日常用語と少し違っているので、法的に整理しておく必要があるかと思いますが、開示は、開示請求をして開示が初めてなされるのが開示で、公表は、もう行政の方で最初から公表してしまうということでございまして、事業所のデータを公表するという意味での公表という言葉を使っているのだろうと思います。事務局は、それでよろしいですか。

○戸田補佐 はい。

○大塚座長 そういうことでございます。ちょっと日常用語と違いますのでご注意ください。
 他にいかがでしょうか。池田委員お願いします。

○ 池田委員 ちょっと別の観点で、1番の未届出対策と9番の地方自治体の関与なんですけれども。もちろん、自治体の職員が一番現場を知っているはずなんですけれども、ただちょっとこういう事情をご理解の上で支援策をと思うのです。
 昔からのひどい公害がなくなってきて、規制の担当職員が今どんどん少なくなってきています。東京都の場合は、有害化学物質対策というのは企画部門になっておりますね。他の県でもきっとそうだと思いますが。あと区市町村が現場をということで、人力を割けないようになっています。
 ただ、東京都の場合は昔から条例で、化学物質を使っているというのは、届出書にはあるのですね。それを今までは、あまりデータとして重視していなかったから、台帳等を作り、それを整理しようということで、数年前からそのようなことをやってこようとしてきたんですけれども、人力によるデータ入力という形で届出書から引き起こすというようなことが現実的にあって、区市では、そういう助成金みたいなものが欲しいという話があります。
 またあと、東京都の方は化管法では経由事務という意味で、立ち入り検査すらできないですね。逆に、条例では立ち入りできる。条例で対応すればいいかという話も、法の制度もありますので、やはり自治体は完璧に経由事務だけということでは、現場把握も難しいのではと思います。

○大塚座長 ありがとうございます。
 自治体の関与の仕方に関係しているかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
 自治体の関与につきましては、自治体の方から何かご意見はございませんか。

○岸川委員 化管法の平成17年度分の届出が6月までに出せということで、事業者からほとんど来たんですけれども、なかなか届出を出していただけないという事業者がございまして、環境省、経産省からも調査をして回答してくれというお話があって、一生懸命やって、ほとんどやってきたんですけれども、やはり立ち入り権限とあわせて、報告徴収できるような仕組みにしないと、電話でいくら、10回ぐらい電話で出してくださいというふうに出先の事務所に言っても、確信犯で出さない事業者もいると。そういうところには、電話以上のものが、地方自治体の権限が、経由事務、届出書が出たら国へ送ると、そういう位置づけでは、なかなかそれ以上のことができないということになりますので、もう少し実際の権限を強めていただいて、さらに事業者の自主的な取り組みが進めるような形の権限を与えていただいた方がいいのではないかと思っております。

○大塚座長 他にいかがでしょうか。
 PRTR制度についてのご指摘はある程度出たということでよろしいでしょうか。
 では事務局から。

○戸田補佐 とりあえずお答えするというよりは、まだ今はちょっと両論併記の形に近いかなということは考えておりますけれども、まだ次回もありますので、本日いただいたご意見をどのようにまとめられるかということを、次回検討したいと思います。
 特に取扱量につきましては定義の問題だということがございまして、ただその定義、現在の化管法におきましても、取扱量1トン以上というのが、指定化学物質取扱事業者の要件になっておりまして、一応法律上は定義されている概念と我々は理解しておりました。ただし、もちろんその疑義というのはあるかと思いますけれども、例えば中間体の場合にどうなのかということはございますが、法律上は、製造、使用、その他取り扱いということでございますけれども、化管法のマニュアルにおきましても、ここでは製造量と使用量ということで解釈して、対象事業者を把握していただくということになっておりますので、この辺もし定義の話でもう少し何かありましたら、また次回ぐらいでご議論いただければと思いますが、他に考慮すべき観点がごさいましたら、メール等でも結構ですので、いただければと考えております。
 このPRTRに関しましては、当面は事務局からは以上です。

○大塚座長 それでは、最後にMSDS制度を中心とする有害性情報や、成分情報の伝達方法のあり方、それから、国全体としてのマテリアルフローを把握する必要性についての議論に移ります。
 事務局より説明をお願いします。

○戸田補佐 それでは、7ページの5ポツのところからご説明いたしますけれども、まず、化学物質の有害性に関する情報伝達ということにつきましては、まず(1)のMSDSにつきましては、まずその状況についてしっかり把握すべきであるということで、さらに下流側、特に消費者や廃棄物処理事業者への情報提供といったことも含めて拡張することが必要であるのではないか。国民や一般消費費者に入手可能でわかりやすい形にすべきであるというところがあるかと思います。
 製品の表示につきましては、一応前々回資料を提出いたしましたけれども、製品の含有物の表示は、環境の観点とともに、消費者への直接暴露の観点からも重要であるというご意見。PRTR対象物質の含有製品のGHS表示を義務づけるべきだというご意見。この辺まだ議論は熟していないところがあるかなと思いますけれども、今まで出た意見をここに列記させていただいたところであります。
 (3)として、有害性情報の整備ということで、この辺は化管法の課題なのか、または化審法の課題なのかということはともかくといたしまして、一応前回出たものですから、その情報整備のコストにつきまして、ここに書かせていただきました。(3)を議論し始めると、これはかなり長い議論になるかなという気もいたしますので、これをどう扱うかということはあるかと思いますけれども、ご意見をいただいたところですので、このようにさせていただいたところであります。
 次に、その他ということで、マテリアルフローというのをここのその他のところに入れてございます。これは、一応そのマテリアルフローを把握するという、そういうのは非常に大変であるというご意見がありました。その中で、マテリアルフローの中でPRTRとして把握できる部分についてPRTRの部分で議論いただいておりますので、その全体の、かなり把握しにくい部分を含めたマテリアルフローというところは、一応その他ということで、ここに書かせていただいたところでございます。
 (2)の見直しのスケジュールでございますけれども、2番目の○で、さらに一、二年程度、現行制度の下でデータを集積してから検討すべきであるというふうなご意見もあったところでありますけれども、3番目のように、4年分をデータを検証することで十分可能であるというふうなご意見もありました。我々といたしましても、法施行後7年後の見直しということに向けてこれをしているところでありますので、行政といたしましても、この法定の見直しに対応するために、現行のデータ、情報の中で、どういうことで結論できるかということで、これをご議論いただいているところでありますので、この辺は、最終的な報告書では、現行の情報にもとでこういうレビューを行ったということになろうかと思いますので、見直しのスケジュールそのものはこの懇談会のレポートの中で扱うべき話ではないのかというふうな気もいたします。
 そういうことで、一応ここにその他ということで書かせていただきました。

○大塚座長 この部分につきましては、特に消費者に化学物質の含有についての情報、有害性についての情報をどのように提供すべきかというところが議論の中心でございまして、さらに今後のスケジュールについても、これまでご意見があったところですけれども、こうしたことにつきまして、さらにご意見があればお願いいたします。
 また資料2、全体を通じて抜けている点などがございましたら、あわせてご指摘をお願いいたします。
 豊田委員お願いします。

○豊田委員 3点あるのですけれども、1点はMSDSに関してです。特に○の4番、5番、一般に提供しても意味がないとか、一般にわかりやすいような形にして公表とかという点についてコメントしたいと思います。現行の半数のMSDSは、その物質がそのままの形態で流通する段階に適用される。一方、さらに下流に行くに従って、種々の製品加工がなされ、その使用者が欲しい情報が異なってくるのが実情である。よって、ひとつのMSDSで、サプライチェーンのすべての使用者に満足のいく有害情報を流すことは不可能と思います。これを一般消費者や廃棄物処理事業者にも有用なものにするのはさらに不可能であると考えます。ここでいう運用というのは、そういうことを前提した上で、どういうものが最適かということを、今後協議すべきかと思います。
 それから、6番のマテリアルフローの件ですが、この件に関しましては、私どもも意見を言わせていただきました。化学物質・製品の流通・移動経路は複雑であり、やり方如何では、膨大な負担となる恐れもあります。今後、求めているマテリアルフローの具体的なイメージ及び目的を俎上に載せた上で負荷対効果も考慮の上、とり進めについて議論を深め、必要な措置について検討すべきと思います。
 3点目の見直しスケジュールのところで、2番目、3番目の○ではにぎやかにいろいろ書いていますが、この一つのポイントは、2ページ目の(2)の最後の○のところで書いておりますが、今までのデータで何が言えて、何がわからなくて、どこをどういうふうに補えばよいのかといったところを切り口にして、議論すべきではないかと思います。
 以上です。

○大塚座長 ありがとうございます。
 中杉委員お願いします。

○中杉委員 MSDSのところについて豊田委員も言われて、ここはMSDSの中にそれを入れてしまうと少し難しいのかなと。要するに、一般消費者に対して有害性の情報が伝わっていないということがポイントであって、それをMSDSでやるのかどうかというのはまた別な話であると思います。ただ、そうなると、ここら辺の5と6のところは、化管法の中でやる話と、化管法では到底できない話、一般消費者に直接暴露というのは、化管法の中で、そんなことというのは多分できないだろうと思いますので、そういうふうなところが随分ここのところでは出てくる。マテリアルフローの把握というのを化管法の中でやるのか、あるいは別な法制度の中でやるのか。これも前言ったように、ここら辺は全般的なこういう問題点があると言われた中で、その中で化管法ではどういうふうに整理をしていくのかという取り組み方が必要になってくるのではないかと思います。

○大塚座長 藤江委員お願いします。

○藤江委員 一つはマテリアルフローと、もう一つは全体的な点なんですけれども、マテリアルフローに関しては、やはりできるだけリアルタイムというか、できるだけ近い時間の状況が知りたいというところがあるのではないかと思うのです。そういう点では、マテリアルフロー、ここですと、どちらかというと排出されたもののマテリアルフローという印象が一番上はありますけれども、上流側のマテリアルフローと、なおかつそのトレンド、どういう傾向にあるのかということが把握して、それが将来どういうところで蓄積なり排出がされる可能性があるのかということがわかるような情報になると、難しいのは十分承知していますけれども、いいのかなと思います。
 それに関連してですけれども、今、我々がこういった化学物質管理の目的というのは将来のリスク低減です。PRTRの情報というのは、残念ながら前年度の情報であって、それでもってリスクを評価しても、去年のリスクがどうだったかということにしかならないわけです。ただし、それがだから無用かというとそういうわけではないわけで、そこで得られる情報というのはいろんな使い道があるだろうと。例えば、どういう対策をとったらいいのかいうプライオリティの決定とか、あるいは技術的な支援、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、どこをどうすればPRTRの情報を使って効果的に削減ができるかということにも使えるでしょうし、さらにはそのリスクが、昨年度だけですけれどもリスクが評価できれば、それがなおかつ公になれば、事業者の社会的責任として当然リスクを削減するような、あるいは排出を削減するような方向に動いてくれるでしょうから、そういった使い道があると思うのですね。ですから、そういったものを動員して、いかに将来の明日の、来年のリスクを減らすかというところにうまくつなげるようなことが見えるようになればいいんだろうと思いながら聞かせていただいております。
 以上です。

○大塚座長 どうぞ、中地委員お願いします。

○中地委員 3の有害性情報の整備のことなのですけれども、確かに化学物質一般で有害性情報をどういうふうに整備していくのかという話でいうと難しいと思うのですけれども、これは質問なんですが、PRTRの対象物質、354物質あって、第2種を入れても435物質というのは、OECDのプログラムとジャパンチャレンジプログラムで、特定情報が全部取れる、公表されるのでしょうか。それとも、取れない物質があるという話があって、有害性情報の整理という形で、知的所有権の問題とかということまで考えなければいけないんでしょうか。

○戸田補佐 それは、PRTR、MSDSの対象物質の選定におきましては、有害性情報を整理して、3審議会で議論したというところがありまして、その辺の基礎データはもう既に環境省のホームページでも載っておりますし、一応、ある程度データはあるという、入手可能なデータの中でやっているというところであります。もちろん、今のジャパンチャレンジとの幾つかの物質の重なりというのはありましょうし、ジャパンチャレンジでとろうとしているデータセットではすべて情報がない物質もあるということはありますけれども、ここで知的所有権の問題を書かせていただいたのは、これは別に事務局がこれが論点であるというふうに提示しているわけでなくて、今まで議論した中で出てきたということで書かせていただいたものでございます。

○大塚座長 よろしいですか。
 安井委員お願いします。

○安井委員 そこに関連しているんですけれども、これ有害性情報の整理と書いてありますけれども、むしろそれだったら題名として、知財権的観点とか、何かそんな形にしていただいて、ついでに、先ほどちょっと議論がありました、何を何に代替するかなんていうことも実はある意味で企業秘密的な価値がある場合もある。ない場合が多いですけれども、ある場合もあるというような認識をそこに書き込むと同時に、それからあと、そこに書き込むのは適当かどうかわからないんですが、要するにこの手の話し合いをしますと、やっぱり情報を知る権利と、そうじゃなくて守るべき話、そのせめぎ合いの部分というのがありますから、そのバランスを十分ディスカッションする必要があるみたいなところもやっぱり、ここに書くのか、もっと全体に書くのかわかりませんけれども、何か書くべきかなという気がします。

○大塚座長 大変重要なご意見でした。それでは、まだまだご意見もあろうかと思いますけれども、もう4時になってしまっておりますので、本日のところはここで終わらせていただきます。
 では、第5回以降の懇談会の進め方、特に懇談会の報告書の取りまとめ方針について、事務局よりご説明をお願いいたします。

○戸田補佐 ありがとうございます。
 本日は非常に有意義なご議論、ありがとうございます。
 次回につきましては、報告書の骨子、本日の議論を踏まえまして、報告書の骨子案のような形。まだ結論めいたことを書けない部分なんか、ちょっと両論併記的な形もあろうかと思いますけれども、そういった形にまとめていきたいと思います。
 当初の予定としては、そういうものだけを作ろうかなというように考えていたんですけれども、かなり具体的にもっとこんなことも書いた方がいいというようなご意見もございますので、もし現在の資料2につきまして、こういった項目も書き込んだ方がいいというご意見がございましたら、大変恐縮なんですけれども、1週間ぐらい、来週中、来週の終わりぐらいまでに事務局にいただければ、ちょっとそれをとりまとめてみまして、あまりなければそれを取り込んで形で報告書骨子案を作ろうと思いますし、もしたくさん出てくれば、資料2の改訂版というのを別に作るというような形。その辺はちょっと座長とも相談して、どういう形の文章を作るかということを検討させていただきたいと思います。
 第5回懇談会につきましては、8月29日10時から12時、主婦会館プラザエフということでお願いいたします。2時間でございますけれども、次回はヒアリング、プレゼンテーション等は特にございませんので、2時間たっぷりとご議論いただければというふうに考えています
 第6回、予備日ということで9月15日の1時から3時までということですので、委員の先生方には日程を押さえておいていただいているとところでございます。
 この辺につきましては、第5回の懇談会でこういう方向で報告書を作ればいいということになれば大変ありがたいんですけれども、やはり第6回を開催させていただかないとまとまらないかも知れない気がいたしますので、ご承知おきいただけないかなと考えております。
 事務局からは以上でございます。

○大塚座長 今後の進め方について、特に報告書のとりまとめ方針につきまして、ご意見はごさいますでしょうか。
 今ご説明いただいた方針でよろしいでしょうか。
 ではどうもありがとうございます。
 それでは、本日の懇談会はこれで閉会にしたいと思います。
 本日は、長時間にわたりましてどうもありがとうございました。

午後3時58分閉会