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平成10年度パイロット事業結果

 1998(平成10)年度パイロット事業は前年度の結果を踏まえつつ、引き続きPRTR制度の実施にあたっての課題の検討などを行うために実施しました。
 対象地域は前年度の地域に福岡県地域(北九州市)を加え3地域とし、2,040事業所を対象事業所として調査を実施しました。このうち、約半数の事業所から報告をいただきました。
 対象化学物質は、前年度に対象とした178物質のうち、農薬としての登録が失効している2物質を除く176物質としました。
 平成10年度パイロット事業の結果の一部を以下に示します。
 ※なお、事業結果の詳しい報告はこちらをご覧ください。
  「平成10年度PRTRパイロット事業報告書について」

●どんな物質が排出されているのか(排出量上位10物質の排出量)
 環境中への排出が特に多かったのは、トルエンとキシレン類です。排出量上位10物質は1997(平成9)年度とほぼ同様ですが、トルエンの排出が第1位となり、また1997(平成9)年度には報告のなかったニトロベンゼンが加わりました。
 上位に挙げられた物質や新たに加わった物質の主な用途は次のとおりです。
  ・トルエン:塗料・インキ溶剤、合成原料等
  ・キシレン類:合成原料、溶剤等
  ・ジクロロメタン:ペイント剥離剤、金属脱脂洗浄剤等
  ・ニトロベンゼン:染料、香料中間物、酸化剤等

グラフ

●どこへ排出されているのか(媒体別上位3物質の排出量)
 排出される物質の種類やその量は、媒体によって大きく異なります。
 大気、水(河川などの公共用水域)、土壌などの媒体ごとに排出量・移動量を比べると、大気への排出が報告物質数、報告件数ともに一番多く、次いで廃棄物としての移動が多くなっています。

排出量

●業種による違い(主な業種グループ別の排出量上位5物質)
 主な業種グループとして化学系、機械系、金属系の製造業を例にとって、排出量の多い物質を比べると、1997(平成9)年度の結果と同様にトルエン、キシレン類、ジクロロメタンは概ねどの業種からも排出されていますが、1,3-ブタジエン(化学系)、トリクロロエチレン(金属系)、フッ化水素(金属系)など特定の業種グループに特徴的な物質もみられます。
 なお、それぞれの業種グループには下記の業種が含まれています。
 化学系製造業:化学工業、石油製品・石炭製品、プラスチック製品、及びゴム製品の各製造業
 金属系製造業:鉄鋼業、非鉄金属、金属製品の各製造業
 機械系製造業:一般機械器具、電気機械器具、輸送用機械器具、精密機械器具の各製造業

化学系製造業
金属系製造業
機械系製造業

●地域による違い(各地域における排出量上位5物質)
 地域ごとに排出量の多かった5物質をみると、キシレン類やトルエンはどの地域でも多く排出されていますが、川崎市の1,3-ブタジエンや北九州市西部のニトロベンゼンなど地域によって特徴的な物質もみられます。

各調査地域における排出量上位5物質
順位
川崎市 神奈川県(湘南) 愛知県(西三河) 北九州市
1
キシレン類 キシレン類 キシレン類 トルエン
2
トルエン トルエン トルエン キシレン類
3
1,3-ブタジエン ジクロロメタン ジクロロメタン ベンゼン
4
クロロメタン p-ジクロロベンゼン p-ジクロロベンゼン ジクロロメタン
5
p-ジクロロベンゼン 塩化水素 ホルムアルデヒド ニトロベンゼン

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