中央環境審議会第21回環境保健部会
化学品審議会第3回安全対策部会
合同会合 議事録


1.日  時  平成12年2月9日(水)10:00~12:40

2.場  所  東條会館「シルバーの間」

3.出 席 者

中央環境審議会環境保健部会委員
(部 会 長)井 形 昭 弘
(部会長代理)安 原   正
(委   員)浅 野 直 人江 頭 基 子
 北 野   大小早川 光 郎
 近 藤 雅 臣清 水   誠
 鈴 木 継 美竹宇治 聰 子
 竹 内 輝 博宮 本   一
(特別委員)宇 野 則 義大 澤   進
 香 川   順木 原   誠
 西 山 紀 彦林   裕 造
 横 山 長 之
 
化学品審議会安全対策部会
(部 会 長)近 藤 雅 臣
(委   員)池 田 正 之加 藤 真 代
 川 上 哲 郎北 野   大
 幸 田 重 教(代理)河内山 大 作
 竹 居 照 芳寺 尾 允 男
 中 西 準 子中 西 宏 幸(代理)
 平 石 次 郎藤 木 素 士
 松 島 泰次郎三 浦   昭
 (五十音順)
 
(環 境 庁)太田企画調整局長       西尾環境保健部長
 南川保健企画課長       上田環境安全課長
 金井環境リスク評価室長   鏑木環境安全課調整官 他
 
(通商産業省)岡本基礎産業局長  揖斐基礎産業局審議官
  照井化学物質管理課長 他

4.議  題

(1)「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」に係る対象化学物質、製品の要件及びPRTR対象事業者の案に対する意見募集結果について
(2)「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」対象化学物質の選定について
(3)「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」製品の要件及びPRTR対象事業者について
(4)その他

5.議  事

【事務局】 時間が参りましたので、ただ今から中央環境審議会第21回環境保健部会・化学品審議会第3回安全対策部会合同会合を開催させていただきます。
 私、環境庁環境保健部保健企画課長の南川でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、中央環境審議会環境保健部会及び化学品審議会安全対策部会におきまして委員の異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 中央環境審議会環境保健部会におきましては、辻委員、七野特別委員、前田特別委員が退任されまして、代わりに平成11年11月30日付けで大澤特別委員と眞柄特別委員が新任されました。また、今月の8日付けで奥田委員が新任されております。
 化学品審議会安全対策部会におきましては、高田委員が退任されまして、2月7日付けで加藤委員が新任されております。
 大澤委員、加藤委員には今御挨拶いただいたところでございます。
 なお、奥田委員、眞柄委員は本日御欠席でございます。
 また、本日は、中央環境審議会の角田委員、野中委員、化学品審議会の河野委員、清水委員、西原委員、両審議会に御所属の櫻井委員につきましては、御都合がつかない、あるいは風邪をひかれたといった理由で御欠席の連絡をいただいております。
 それから、中央環境審議会の林委員でございますが、現在、別途、生活環境審議会の生活環境部会が開かれておりまして、そちらの部会長でございますので、終了次第こちらに合流したいという連絡をいただいております。
 また、本日は関西方面が風と雪で交通が混乱しております。その関係で化学品審議会の近藤部会長が多少遅れるという連絡をいただいておりますので、その間、中西委員に代行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、合同会合の開催に当たりまして、環境庁の太田企画調整局長より御挨拶申し上げます。
【太田企画調整局長】 おはようございます。環境庁企画調整局長の太田でございます。本日は大変お忙しい中御参加いただきまして誠にありがとうございました。
 委員の先生方におかれましては、化学物質対策の推進につきまして、日頃から大変な御指導を賜っておるところでございまして、この機会に改めて深く厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 また、新たに中央環境審議会委員に加わっていただいた先生方におかれましては、今後の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
 本日の合同会合の開催にあたり一言御挨拶申し上げます。
 本日は、昨年秋から御審議いただいております「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」の施行に必要な重要事項につきまして取りまとめの議論をしていただきたいと存じます。
 この法律は、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境保全上の支障の未然防止を図ろうとするものでございまして、従来の環境規制法にはない新しい考え方に基づくものでございます。この法律は、有害性が判明していれば、人体などへの悪影響の因果関係の判明の程度にかかわらず、幅広く対象物質とすることとしております。また、排出規制のような厳格な規制措置ではなく、事業者が自らの化学物質の排出量などを把握し、届け出ることなど、これによりまして、事業者による管理活動を改善し、強化するという新たな枠組みを整備するものでございます。
 今般御審議いただきます対象物質及び対象事業者の範囲などは、この法律の施行の根幹をなす極めて重要なものでございまして、対象物質につきましては、中央環境審議会、生活環境審議会、そして化学品審議会の3審議会で、対象業種等につきましては、中央環境審議会及び化学品審議会で合同でそれぞれ御専門の知見を発揮していただき、御審議をしていただいたところでございます。
 また、昨年末には、各審議会より対象物質案等についてパブリックコメントの募集が行われてきたところでございます。私ども事務局あてに各方面から多数の御意見が寄せられておりまして、本件に関する関心の高さを改めて認識しているところでございます。
 貴重な御意見を提出していただいた方々にこの場をお借りして厚く御礼申し上げますとともに、本日、これら御意見に対する考え方・対応について御審議いただきまして、その上で最終的な答申案あるいは報告案をおまとめいただけたらと考えております。
 最後になりますが、委員の諸先生方におかれましては、改めて化学物質に対する御指導、御鞭撻をお願い申し上げ、また、先生方のますますの御健勝をお祈りいたしまして挨拶とさせていただきます。
【事務局】 審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
               〔配布資料の確認〕                
【事務局】 もし資料に不備がございましたら、事務局にお申しつけください。
 なお、前回の議事録でございますが、各先生方で御確認いただきまして、もし訂正の必要がございますれば、前回事務方を務めさせていただきました通産省の化学物質管理課まで御連絡いただければ幸いでございます。
 それでは、ただ今から合同会合を開催いたします。
 本日は、2つの部会の合同会合でございますので、中央環境審議会の井形部会長、化学品審議会の中西部会長代理のお二方に共同座長をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【井形部会長】 中央環境審議会環境保健部会の部会長の井形でございます。前回に引き続き、通産省の化学品審議会安全対策部会長の近藤先生と二人で共同座長ということでございますが、近藤先生はちょっと遅れておられまして、間もなくおいでになると思いますが、本日は私の方で進行させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、会議の公開・非公開についてでございますが、本日の会議は、前回と同様、公開としております。
 また、本日配布されている資料につきましては、公開しても差し支えないと思われますので、公開としております。
 本日の議事録につきましても、各委員に内容を御確認いただいた上で、発言者記名の上公開する予定でございますので、よろしくお願い申し上げます。
 それから、中央環境審議会環境保健部会の事務に関わることでありますが、事務局から御紹介ありましたように、七野委員が退任されまして、それに代わり大澤委員が新任されております。化学物質専門委員会委員長を七野先生が務めておられましたが、この委員長は、中央環境審議会議事運営規則第9条第2項によりまして、部会長が指名することになっております。本日御出席の大澤委員を七野先生の後任として化学物質専門委員会の委員長に指名させていただきたいと思います。大沢委員、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、早速議事に入ります。本日は、平成11年11月19日から12月18日まで実施しました、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」に係る対象化学物質、製品の要件及びPRTR対象事業者の案に対する意見募集、つまりパブリックコメント手続の結果、寄せられた意見に対する対応案をここで御審議いただくわけであります。これを踏まえまして、各部会として、対象化学物質、製品の要件及びPRTR対象事業者についての取りまとめをしたいと思っております。
 それでは、まず事務局からパブリックコメント手続の結果に関する資料について御説明をお願いいたします。
【事務局】 お手元の資料1「『特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律』に係る対象化学物質、製品の要件及びPRTR対象事業者の案に対する意見募集結果について」、いわゆるパブリックコメントについて、資料1に沿って御説明いたします。
 このパブリックコメントは、11月16日に開催されました前回の合同会合の後、11月19日から1カ月間にわたってお願いしたわけでございます。
 意見につきましては、電子メール、FAX、郵送、いろいろな形でいただきましたが、全体の件数では164件。提出者の内訳は、企業、団体、個人と多岐にわたっております。
 164件の提出者がありましたけれども、それぞれ意見がまたがっておりまして、のべ意見数はトータルで470件でございますが、3にございますように、約半数近くが対象物質に関する意見で224件、その次がPRTR対象事業者に関する意見で152件、全体で合わせて470件の意見内容がございました。
 2ページ以降を開けていただきますと、地域、提出者、個人あるいは個々の企業が特定されるような形ではまとめておりませんけれども、意見の概要を整理して、それがどれについての意見であるかという総括表を5ページまで書いております。
 6ページ以降は、個々の意見を私どもである程度整理をして集約化した形でまとめたものでございますが、個々の意見に対する対応ぶりにつきましては、後ほどまた詳しく御説明したいと思いますので、ここでは省略いたします。とりあえずこれだけ多くの反響、意見がございましたということを御紹介いたします。
 なお、3ページのところに「環-コ1」という表現で書いてありますが、「環」というのは、環境庁が受け取った。「コ」というのは、ハードコピー、文書の形で受け取った。「メ」というのは、電子メールで受け取った。そういうふうな分類を記号でしております。その他に4ページには例えば「通-コ14」、これは通産省がハードコピーの形で受け取った。そのように通し番号を付けて整理しております。
 資料1については以上でございます。
【井形部会長】 パブリックコメントの内容と対応については、次の議題として、専門委員会で検討していただいた報告を基に議論しますが、ただ今のパブリックコメント、比較的新しい手法でありますけれども、かなりたくさんの反響があったということであります。このことについて御質問、コメントがございましたらどうぞ。
【事務局】 事務局から一つ補足させていただきます。委員の先生方に事前にお送りしたものは、パブリックコメントの意見部分でございますが、参考資料が添付されているものもございます。今日は参考資料を、非常に分厚くなりますが、5セットほど用意しておりますので、もし後ほどの御審議の際に必要であれば、おっしゃっていただければ、お席までお持ちいたしますので、御紹介させていただきます。
【井形部会長】 よろしゅうございますか。
 それでは、実質的な審議に入らせていただきたいと思います。議題の2は、「『特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律』対象化学物質の選定について」であります。パブリックコメントでいただいた意見を踏まえまして、中央環境審議会環境保健部会PRTR法対象物質専門委員会、生活環境審議会生活環境部会PRTR法対象化学物質専門委員会、化学品審議会安全対策部会化学物質管理促進法対象物質検討分科会、これらが合同会合を開きまして審議が行われました。本日は、その結果取りまとめられた報告書が部会に提出されておりますので、その審議経過及び内容につきまして、合同会合の共同座長をお引き受け下さいました、PRTR対象物質専門委員会の鈴木委員長から御説明いただきたいと思います。
【鈴木委員長】 ただ今井形座長から御紹介がありました合同会合を2月1日に開催いたしました。そこでは、まず、パブリックコメントとして寄せられました意見に対する対応を審議し、それを踏まえて、法に基づく第一種指定化学物質の候補として354物質、第二種指定化学物質の候補として81物質を選定したわけでありまして、その報告書を取りまとめてございます。
 最初に、多数寄せられましたパブリックコメントの意見の概要について、先ほど上田課長が若干紹介されましたが、その中身を取り上げて、それに対する考え方や対応に関して、その案をまず事務局から説明していただきたいと思います。
【事務局】 それでは、お手元の資料2の中のⅠ.対象物質について御説明いたします。
 資料2の1~20ページが対象物質に関するパブリックコメント、左側に意見の概要、右側にそれに対する考え方・対応ぶりが書かれております。意見の概要については、同じような意見が幾つか出ておりますので、ある程度それを整理し、また、類型化できるものは同じところに並べて、対応ぶりは一括して答えるという形をとっておりますので、御了承いただきたいと思います。
 なお、今、鈴木先生から御説明ございましたように、この部分のパブリックコメントに対する考え方・対応ぶりについては、さきの専門委員会等での合同会合において一応の了承を得ているものでございます。
 それでは早速内容に入ります。1ページでございます。
 No.1は、「安全性が学術的に確認されたもの以外は全て対象にすべきではないか」、対象物質を幅広く採れという御意見でございますが、今回は、そこにございますように、「本法は、その化学物質が環境中に存在している状況が実際に人や動植物に悪影響を及ぼすものかどうかという因果関係が立証されていないものも含め、動物実験などによって一定以上の有害性があることを示す科学的根拠があり、かつ、相当広範な地域の環境での継続的な存在が認められ、または見込まれる化学物質を広く対象とする」という原則で選定しているものです。全てを対象とするのではなくて、一定のルールをもって行うということで、これはこの審議会あるいは専門委員会等でもそういうふうに方向づけられているところでございますから、原案どおりの対応ぶりで参りたいと考えております。
 なお、No.2にございます内分泌攪乱化学物質についてでございますが、これにつきましては、まだ科学的知見が十分に集積されていないこともございますので、優先度の高い物質から早急に試験を行い、判断できるような体制を整えることが重要ではないかと考えているところでございます。
 No.3は、「真に重大な危険、有害性が認められた化合物に限定すべき」という意見でございますが、これは1、2と対立する考え方でございますけれども、先ほど申し上げましたように、「一定以上の有害性があることを示す科学的根拠があり、」云々という基本的な考え方で整理するということで、これについても原案どおりの考え方で参りたいと思います。
 No.4は、化粧品への危惧が書いてありますが、化粧品であっても、それが環境汚染の原因になる可能性があるのであれば、化粧品の原料であっても、それは環境に排出される可能性があるということで、対象にすべきだと考えております。
 次に2ページでございますが、「医薬品を対象物質から除外して欲しい」という意見も先ほどの化粧品と同じようなことでございますが、医薬品の製造過程等で環境に排出されるおそれがあるのであり、それが有害性のあるものであれば、この法律の対象になるのだという原則に従って、対象とするということでございます。
 6は、一つの照会のようなものでございますが、「自然作用による化学変化の自然作用とはどういうものか」ということですが、「環境中での分解反応等(加水分解等)により、容易に生成されること」を自然作用による化学変化だととらえております。
 7は、「『事故的な大量排出の際などでは問題となるが、通常の環境濃度レベルで問題とならない有害性については、それのみをもって物質選定のための有害性項目として用いる必要はないと考えられる』の『それのみをもって』という表現はどういう意味か」ということですが、これについては対象化学物質を選定する際の基準にどのような有害性項目を用いるかの考え方について記述した部分であり、具体的な物質を想定しているものではないと考えております。
 8は、「なぜ100トンが基本となるのか」、それと環境検出性との関係を問うているものですが、私ども環境庁が行っております、いわゆる黒本調査の中で、年間の製造・輸入量が100トン未満のものの環境検出率は10%以下でしたが、100トンを超えるとそれが急激に増加して、例えば100-1000トンでは41%ということで、100トンというのが一つの区切りではないかと考えるわけでございます。
 10は、「『明らかに環境中に放出されやすい物質』の基準とは何か」ということで、それに絡めて、「物質選定にあたり、『使用形態を特定することが困難である』から使用形態を考慮しないというのは安易すぎないか」ということですが、実際に化学物質は様々な用途に使われておりますので、また、その用途が変わり得るということでございますので、使用形態で各物質をいろいろ考慮していくことはかなり困難である。そういうことで、今回は基本的に製造・輸入量のみで物質の相当広範な地域の環境での継続的な存在を判断し、さらに、環境検出状況というものを加えて判断しているということでございます。
 次に3ページでございますが、「PRTR及びMSDS対象化学物質の選定方法について、次の項目を追加してほしい」ということで、「大防法をはじめ他の関連法令で規制対象となっている物質を優先的に選定すべきだ。また、目的は異なるとしても同様の制度が既に存在する場合には、それらの制度との整合性を重視して対象物質を選定しなさい」というものです。こういう御意見ではありますが、本法は、先ほどから述べておりますように、対象物質の選定要件として、関連法令で規制対象となっているか否かということではなくて、当該化学物質の有害性と相当広範な地域の環境での継続的な存在について定めておりまして、他法令との整合性はもちろん考慮はいたしますけれども、この基本方針に沿って考えているということでございます。
 12は、「諸外国で使用が禁止されている物質であり、我が国で使用が認められている物質、または、そのような観点から我が国でも使用を禁止すべきという意見が出されている物質については、優先的に検討した上で、必要に応じ追加」すべきという御意見でございます。このような意見が幾つか出されておりますが、これも基本的に、先ほどの対象物質の選定方針に従えば、原則としてそれに則ってやっていくことがいいのではないか。ただ、見直しについては、定期的な見直しを行うべきということで、こういう御指摘の趣旨も参考にしながら、今後見直しがあれば、それに当てはめていくものと考えております。
 13は、「日本産業衛生学会の許容濃度に適用に誤りがあるのではないか」ということで、事実、日本産業衛生学会は、許容濃度の数値をそのまま大気汚染または一般室内汚染の許容限度の限界値としてはならないとしておりますけれども、今回の選定に当たっては、作業環境と一般環境の差を十分考慮して作業環境許容濃度を人への有害性を示すデータの1つとして扱ったので、それをそのまま採用したということではございません。こういう作業の仕方で1つのデータとして扱ったということで御理解いただきたいと思っております。
 次に4ページでございます。「『(金属)元素及びその化合物』としてまとめている物質について、金属自体に毒性がある場合に、その金属を含む化合物全体を対象とすることの根拠を示してほしい」、要するに金属に毒性がある、あるいは金属を含む化合物に毒性があるのか、その辺をきちっと整理して物質を特定してほしいということですが、基本的には、対応ぶりに書いてございますが、「元素自体に毒性があり、その化合物も元素と同様の毒性があると評価されている物質については、原則として当該元素及びそれを含む化合物全体を対象とすることが適当」と考えます。これは有害性のデータがどういう括りになって「有害性」というものを表しているかということに関わると思いますので、我々の採用したデータがどういうグルーピングをしているかというところで、その基にさかのぼって判断するということではないかと思っております。
 2も同じようなことで、今の対応ぶりでよろしいかと思っております。
 3は、「合金類、金属間化合物は、無害な形態を取っていることから指定化学物質の対象から除くことが適当」ということですが、合金類は、金属の混合物として扱うことが適当であると考えております。したがって、「元素及びその化合物」と指定したものは、元素とその化合物が同様の毒性があると評価されたものであり、そういうものであれば、対象とするということでございます。
 なお、どのような混合物が対象になるかの考え方につきましては、製品の要件の方で後でもう少し詳しく説明させていただきたいと思っております。
 4は、「複合酸化系顔料は、金属酸化物の複合体であり、単一金属酸化物の有する物理的・化学的性質は失われているということで、指定化学物質から除外して欲しい」という意見ですが、そういうものであっても「元素及びその化合物」として有毒性が評価されているものについては、原則として対象とするのがいいのではないかということでございます。
 6の「『溶解性』の定義を明確にしてほしい」ということですが、確かに前回は、質量%なのか体積%なのか、その辺があいまいな部分もございましたので、今回、「溶解性」の定義につきましては、「常温で中性の水に対し、1%(質量%)以上溶解すること」に決めたいと考えております。
 7は、「『(金属)元素及びその化合物』で、(溶解性)指定の有無の根拠を示して欲しい」ということですが、溶解性に限定しているのは、根拠となるデータであるACGIHにおける作業環境の許容濃度の設定が溶解性化合物に限定されている場合、生態毒性のみの有害性しかない物質のため溶解性の物質に限り有害であると認められる場合等としております。
 次に5ページでございます。「No.334~No.354の金属類について全て『(溶解性)』の項を入れるか『廃棄物については、溶出試験による」項目を入れてほしい」ということですが、これに対しては、原案どおりということで、溶解性のものに限るかどうかについては、もともとのデータの有害性がどういう形となっているかによるということでございます。
 廃棄物の溶出試験についての御意見は、移動量の算定方法の検討にあたって留意すべき事項ということで、今後、政府で検討すべきと考えております。
 9は、「化審法で『生分解性あり』と判定された物質は除外すべき」ということですが、生分解性といってもいろいろなバリエーションがございますので、必ずしも短時間で生分解性が起こるとは限りませんから、極めて短時間で消失するような分解性のものは除いて、ただ生分解性があるだけで除外することにはならないと考えます。
 10は、「可能であれば、対象化合物のハザードランクを検討し、公にしてほしい」ということですが、異なった有害性項目で選定された物質同士の有害性の強弱(ハザードランク)の比較は困難と考えます。これは既に以前にも述べておりますけれども、こういうことでございます。
 11、12は「有機」「無機」の定義は、一般的な定義に従うということでございます。
 6ページでございますが、13は、「対象化学物質の異性体は無視してもかまわないか」ということですが、異性体あるいは異性体を含めたトータルの物質群で有害性のデータがあるかどうか、要するに有害性のデータに基づいて指定している、ということでございます。
 14は、「候補物質の有害性の具体的な数値が示されておらず、選定根拠があいまい」という御意見でございますが、これについては、参考資料としてすべて公表しているところでございます。
 次に7ページでございます。ここから具体的な個別の物質名が挙がって参りますが、「No.20の『1,3-ジイソシアナト(メチル) ベンゼン』の中にNo.193は含まれるため、No. 20に一本化すべきである」ということで、これは御指摘のとおりですので、No.20とNo.193 を1つにまとめて新たな名称を与えることにしたいと思います。
 2は、「No.34の『テトラフルオロエチレン』及びNo.35の『ピロカテコール』は、IARCのランクは3であるので、2である基準に合わない」ということですが、我々は元のデータに当たりましたが、IARCでは「2B」という扱いですから、原案どおりということでございます。
 3は、「『3,3'-ジクロロベンジジン』を除外してほしい。これは用途が中間物であり環境中への排出はない」ということですが、これは有機顔料であり、生産、使用等の過程で環境中に排出される可能性があるということで、これは原案どおり対象物質としたいと思います。
 4は、「『グルタルアルデヒド』は、生分解性等で対象外でいいのではないか」ということですが、これは原案の考え方に該当するということで、そのまま対象物質としたいと考えております。
 5ですが、No.84 の「エチルチオメトン」について、若干細かい毒性に関するデータの御指摘がございまして、それも踏まえて、資料の中のランキングを経口クラス3としますが、第1種指定候補であることには変更がないということでございます。
 6は、「No.147の『ビス(ジメチル~)二スズ』は、『ビス(ジメチル~)二亜鉛』の誤りではないか」ということですが、これは御指摘のとおり誤りでございましたので、スズではなく亜鉛の化合物ということで名称を訂正いたします。
 7番、「No.197の名称を、IUPAC命名法に準じながらできるだけ実用に近い表現で、第1種No.32,33とも整合性のとれる『4,4'-メチレンビス(シクロヘキシレンイソシアナート)』としてほしい」ということですが、これも御指摘のとおり見直しを行って、「メチレンビス(4,1-シクロヘキシレン)=ジイソシアナート」に変更したいと思います。
 8番、「No.248の物質を『ビス(水素化牛脂)ジメチルアンモニウムクロリド』に変更して欲しい」ということですが、御指摘のとおり、これは塩酸塩ではなく、4級アンモニウム化合物ですので、名称を変更したいと考えます。
 9番、「『p-ジクロロベンゼン』の発がんクラス2、経口クラス3及び作業環境4を削除していただきたい」ということですが、「p-ジクロロベンゼンの発がん性については、ご指摘のとおり、げっ歯類特異性、要するにラットなどに特異性のある発がん性であり人へのリスク評価に反映することは困難であるとされていますので、その旨を脚注に記載する。」ということで、所要の訂正を行いたいと思っております。
 10番、「『ポリ(オキシエチレン)(EO)について、名称に対応したCAS番号を採用して欲しい」ということですが、流通形態を考慮し、これについては「ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニル=エーテル」と変更します。ただし、EOに関しては、原案どおりで限定はしない。これは必ずしも10モル未満のものに限定されるものではないということで、このような対応をしたいと思っております。
 11番は、これもEO10モル未満のものに限定されるものではないということで、原案どおりとさせていただきたいと思います。
 次に9ページでございます。「『アルキルベンゼンスルホン酸」について、第1種から除外して欲しい」ということですが、これは生態毒性により生態クラス1~2ということですから、物質選定基準に適合ということで、原案どおり第1種ということになります。
 13番も同様でございます。
 14番については、「『ポリ(オキシエチレン)=アルキル=エーテル』を『ポリ(オキシエチレン)=アルキル=エーテル』、これをEO10モル未満に変更して欲しい」ということですが、必ずしも10モル未満のものに限定されるものではないということで、原案どおりでございます。
 15番は、「『錯塩を除く無機シアン化合物』において、シアン酸ナトリウム等のシアン酸塩類は、シアンイオンを生成せず、毒性も全く異なることから、シアン化合物と同じ分類として区別するべきでない」という御意見でございます。確かにシアン酸塩はいわゆるシアン化合物とは全く別の毒性を示すものでありますから、その辺を明確化するということで、「無機シアン化合物(錯塩及びシアン酸塩を除く)」という形で明らかにシアン酸塩が含まれない名称に変更したいと思います。
 10ページでございます。16、17は「クロム及び3価クロム化合物」、18は「6価クロム化合物」についての御意見で、対象物質から外すべきとか、一括した分類はやめてほしいということですが、これは先ほどから申し上げています有毒性の評価がどのようなグルーピングでされているかということに基づいて、その原則によってやっておりますから、原案どおりということで、理由はそこに書いてあるとおりでございます。
 19は、「6価クロム化合物をまとめて発がんクラス1としている」ということですが、これはIARCでも6価クロム化合物全体として発がんクラス1としておりますから、これに従って原案どおりとするということでございます。
 20~23は、ニッケルに関する御指摘で、いずれも発がんクラスの毒性の評価のランキングとか、すべてのニッケル化合物を全部ひっくるめてというのは少し問題ではないかという御意見がいろいろあるわけですが、これにつきましては、もともとの有害性のデータがどういうグルーピングでなされているかということに準拠して判断したものでありますから、原案どおりとさせていただきたいと思います。
 24番、アンチモンについても基本的に同じように、原則に従って、有害性のデータがどのようにとられているかということに従って対応するということで、原案どおりということでございます。
 25番、「ビス(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛は、No.342の『亜鉛化合物(溶解性) 』に含まれるか」ということですが、これについては、亜鉛化合物(溶解性)には含まれないということでございます。
 26番、「『亜鉛化合物(溶解性) 』から、酸化亜鉛を除外してほしい」と。酸化亜鉛は水に対して不溶ですから、亜鉛化合物(溶解性)には該当しないということでございます。
 27番、「『スズ及びその無機化合物』を削除願いたい」ということですが、これは削除したいと思います。その理由は、「スズ及びその無機化合物」は、作業環境許容濃度がTWA2mg/m3 の粒子状物質ですので、今回の選定基準の対象外であり、第1種指定候補物質から除外するということで、ここでは原案を変えたいと思っております。
 12ページでございます。「『銀化合物(溶解性)』について、フリー銀イオンを生じないチオスルファト銀錯塩のように、有害性の低い物質も対象とされているため、個別名称をあげていただくか、限定的にやってほしい」ということですが、銀化合物(溶解性)について、ACGIHによりTWA 0.01mg/m3を根拠として指定したものですが、フリーの銀イオンを生じるものに限定されていないということでございます。なお、(4)No.3にこれに若干関連することが書いてありますので、それは後ほど御説明いたします。
 29、30はコバルトについての御意見でございますが、コバルトの有害性についてもそれぞれデータがあるということで、原案どおりとさせていただきたいと思います。
 31は、「銅(金属)を外すべきではないか」ということですが、銅についての有害性を再検討しましたところ、銅(金属)は、ACGIHの銅の許容濃度のみでしたが、これは急性的な影響によるものだということが判明しましたので、銅(金属)については第一種指定候補物質から削除いたしたいと思います。
 32は、「『銅化合物(溶解性)』から『水溶性銅フタロシアニン』を除いてほしい」という御意見です。銅イオンが生態毒性の原因であることから、名称を「銅塩類(溶解性のものであって、錯塩を除く)」というように変更したいと思います。ただし、銅フタロシアニンは銅イオンを遊離しないため、これには当たらないということでございます。
 33は、「No.348「銅化合物(溶解性)』とせず、特定できる物質名とし、更に食品添加物は第一種指定化学物質から外してほしい」ということですが、銅イオンにつは、生態毒性ということで入っているということでございますので、これは原案どおりとしたいのですが、先ほどからの議論もございますので、名称は「銅塩類(溶解性のものであって、錯塩を除く)」としたいと思います。
 続きまして13ページです。ここも同じような金属の扱いについての意見が続くわけですが、マンガンについても、基本的な考え方に従って対象とするとさせていただきたいと思います。
 モリブデンについても、環境検出性が3カ所しかないという御指摘もありますが、今回のクライテリアに適合するということで、これについても原案どおりとさせていただきたいと思います。
 36、37、38もすべてモリブデンですが、これも原案どおりとしたいと思います。理由は、他の金属と大体同じように毒性のデータがどこにあるかということで整理したということでございます。
 39は、「『五酸化バナジウム』を改め、『バナジウム化合物』と変更してほしい」ということですが、最近のデータでは五酸化バナジウムの毒性データがあるということで、「バナジウム化合物」という括りにはなっていないということで、「五酸化バナジウム」に限定した形としたいと思います。
 40は、確認のためのものですから、含まれるということでございます。
 14ページ、41番、「『無機フッ素化合物』を除外してもらいたい」と。これは「水道水中に含まれているため」という理由が付いておりますが、これに対しては、毒性がフッ素イオンについてあるということでございますので、フッ素イオンを生成するものに限るべきだと判断いたしました。そういうことから名称を変更したいということで、無機フッ素化合物は一律には除外しませんが、名称を「無機フッ素化合物」から「フッ化水素及びその塩(溶解性)」と変更させていただきたいと思います。
 次に15ページでございますが、15ページからは第二種指定候補物質への意見、いわゆるMSDSの対象物質に対する意見でございます。
 1番は、「No.5の『アミトロール』は、農薬登録が失効していますけれども、環境中に出るから第一種に指定すべき」という意見でございます。アミトロールについては、毒性のデータはございますし、環境庁が最近調査いたしました環境ホルモン緊急全国一斉調査において複数点での環境検出が新たに判明しておりますので、第一種指定候補物質に格上げしたいと考えております。ですから、第二種から第一種に格上げということになります。
 2番は、「No.49の名称を、IUPACの命名法に準じながらできるだけ実用に近い表現にしてほしい」ということで、この御指摘を踏まえ、見直しを行い、「メチレンビス(4,1-フェニレン=ジイソシアナート」に変更したいと考えます。
 3番は、「『インジウム及びその化合物』はACGIHのTWA値0.1mg/m3から選定されたようだが、同じ毒性が金属銀にもあるのだから、インジウムを外してほしい」という意見でございます。これは御指摘を踏まえて、インジウムを外すのではなくて、逆に、金属銀を第一種指定候補物質にすることにして、No.345の「銀化合物(溶解性)」とあわせて「銀及びその化合物(溶解性)」という形にしたいと考えます。なお、インジウムについては、原案どおり第二種とさせていただきたいと考えます。
 4番も変更点がございますが、「No.80の『白金化合物(溶解性)』は、第二種指定から外してほしい」というものです。これは、白金化合物溶解性塩についての輸入・製造量が確認できませんでしたので、御指摘を踏まえ、これを第二種から削除したいと思います。
 16ページからは、対象物質への追加意見ということで、「バリウムについて対象物質にすべきではないか」ということですが、その後、バリウムの製造・輸入量が明確になりまして、10,000~100,000トンの範囲にございました。ということで、バリウムを第一種指定候補物質に追加いたします。ただし、「バリウム及びその化合物(溶解性)」に限る。不溶性のバリウムは含まないということでございます。
 「『アスベスト』を第一種指定化学物質に指定すべき」ということですので、御指摘を踏まえて、これは発がん性もあるということで、第一種指定候補物質に追加したいと考えます。
 「ベンゾ[a] ピレンやメチルコラントレン等の非意図的な生成物ですが、発がん物質として知られておりますから、対象化学物質とすべきではないか」ということですが、これについては、技術的な対応の可能性も考えて、今回は対象物質としないということでございます。
 「塩化水素(ガス状) 」は、急性、事故的な毒性の観点が中心ということで、原則に則って対象としないということでございます。
 17ページ。5番は、「次の物質、窒素酸化物、硫黄酸化物、煤塵、モントリオール議定書附属書に記載されている物質で今回選定されていないもの、地球温暖化物質、こういうものがなぜ入っていないのか」ということですが、窒素酸化物及び硫黄酸化物については、大気汚染防止法等により実効性のある排出量把握及び総量規制がなされており、重ねて本法の対象物質とする必要はないと考えました。ばいじんは様々な化学物質の混合物ですから、化学物質として特定できない。モントリオール議定書附属書に記載されている物質で今回選定されていないものは、国内での過去の累積の「製造・輸入量」が10トン未満となっております。地球温暖化物質については、「地球温暖化対策推進法」で様々な対策がとられているということで、対象としないと考えました。
 6番は省略いたします。
 7番もそのとおりでございます。
 8番は、「オーラミン」についての御指摘があったのですが、製造・輸入量が「0」ということで、対象外になります。
 9番は、「農薬の活性成分は全て第一種指定化学物質にすべきではないか」ということですが、今回、農薬以外の用途も含めて数量を把握していますから、それに則ってやっているということでございます。
 18ページでございますが、「農薬などに含まれる溶剤等、農薬の主成分以外のものも対象とすべきではないか」と。主成分以外のものについても、選定基準に当てはまるものについては今回対象としているということでございます。
 「放射性同位元素も入れるべきだ」という御指摘ですが、これはそもそも法律で「放射性物質を除く」となっておりますので、これは対象外でございます。
 19ページでございます。その他、対象物質の数の意見、あるいは見直しをしてほしいとか、労働省のほうのMSDSの物質との関係とか、様々な意見がございましたが、これは大きな変更を行う必要がないということで、一つの御意見として承りまして、対処していただければと考えております。
 最後に20ページ、「パイロット事業とか、日化協で行っている事業とか、そういうもので物質が様々だから混乱するのではないか」ということですが、実際に法施行になれば、この物質でやっていくということでございますので、その点は御理解いただきたいと思います。
 以上が物質についての事務局案で、これは2月1日に行われました専門委員会・分科会で御了解をいただいたものでございます。
 なお、物質名は、現在ここで挙げているものにつきましても、まだ政令を制定する段階で若干の変更が行われるかもしれません。その点は御了解いただきたいと思います。
 以上でございます。
【鈴木委員長】 合同会合では、このパブリックコメントを受けて、それに対する対応案が事務局から提出されて審議いたしました。大づかみに分けてそれを御紹介いたしますと、第1番目は、見直しの問題であります。対象物質の見直しを柔軟に行うべきだという意見が幾つか出ました。その際に、諸外国の状況や我が国の状況をよく見極めることが大切という意見も出ましたし、また、見直しの手続を明らかにしておく、あるいは見直しの基準を設けておくべきだという意見もありました。それから、追加については順次迅速に行うべきだという意見も出されました。いずれにしても、新しい制度を導入してやっていくわけですから、排出量に関するデータが何回か積み重なっていくプロセスの中で見直しの問題を検討すべき課題になるなというのが恐らくコンセンサスだろうと思います。
 また、今の見直しに絡みまして、生分解性をもう少し定量的にみたらどうか、それが必要なのではないかという意見も出ましたが、それに対しましては、生産量の問題あるいは実験室での生分解性が環境中の生分解性とそのまま受け取って評価できないという問題あるいは蓄積性の問題など、いろいろな問題があるというような議論がございました。
 その次の問題は、今のパブリックコメントに対する対応案の中にもございましたが、SOx 、NOx 、ベンゾ[a] ピレンを対象にしないのかはなぜかという疑問が、今日、この席の座長代理をお務めで、そのときに座長をお務めだった中西委員からも出されました。そこでの議論は、先ほど若干紹介されましたが、SOx 、NOx は、大気汚染防止法で排出量の把握や総量規制が措置済みであるということで、対象としない。ベンゾ[a] ピレンは、技術的に排出量の推計が困難であることから、対象としない。どちらも対象にうまくできないのだ、あるいは重複的な規制の問題もありまして、しないのだということになりました。
 ただ、SOx やNOx の排出量に関しては、個別情報の公開・非公開の扱いについて検討しなければならない部分が残っているという指摘がございました。さらに、ベンゾ[a]ピレンのような非意図的生成化学物質といわれる一括りの化学物質に関しては、その取扱いを今後体系的に考えていくべきだという意見も出ました。
 パブリックコメントへの対応案を踏まえた上で、対象候補物質に若干の変更が出まして、それを新旧対照表のような形にしたものが資料3でございます。資料3を御覧いただければと思います。
 資料3の1枚目は、第一種指定候補物質の変更の概要がまとめてございます。先ほど既に説明がありましたが、アミトロールが第二種から第一種へ、石綿、バリウム及びその化合物(溶解性)の計3物質が追加になります。一方、パブリックコメントで指摘があったスズ及びその無機化合物、金属銅等の5物質が第一種候補から削除。また、名称の修正や変更の問題が幾つかございます。それから、シアン化合物、銀化合物、銅塩類、フッ素化合物の範囲を明確にするということがなされております。
 3ページが第二種指定候補物質でありますが、第二種から2物質が削除、そのうちアミトロールは、既に御紹介しましたように、第一種へ。白金化合物(溶解性)が削除。
 その次の紙からは全体の新旧対照表でございます。
 こういった結果を踏まえて報告書を取りまとめたものが資料4でございます。これは3つの委員会合同の報告でございます。
 前半は、対象物質の選定方針及び選定基準でございまして、これは前回の部会で御報告した内容とほとんど同じでございまして、詳細は省略させていただきます。
 21ページからが第一種指定候補物質、29ページからが第二種指定候補物質のリストでございます。先ほどの新旧対照表を基に、IUPAC名等による名称を検討して五十音順に並べ替えております。
 なお、名称については、さっき上田課長が説明されましたように、最終的には若干手直しが起こる可能性も残っております。
 最終的には第一種指定候補物質は5つ減って3つ増えて354、第二種指定候補物質は2物質減少して81物質でございます。
 これが前回の合同会合のまとめでございますが、そのとき座長をお務めでした中西先生、何か付け加えていただくことがございますか。
【中西準子委員】 ありません。
【鈴木委員長】 それでは、これでパブリックコメント対応、また、3委員会の合同会合の御報告を終わります。
【井形部会長】 かなり膨大な報告でありますが、ただ今の専門委員会の報告につきまして、御質問、コメントがありましたら、どうぞ御自由に御発言ください。
【事務局】 たびたび事務局から補足説明で失礼いたしますが、資料3に1ページ欠落がございましたので、今御説明いたします。資料3の3ページに新旧対照表の第二種指定候補物質の3物質について入るはずだったのですが、そのページが欠落しておりますので、第二種指定化学物質の変更につきましては、お手数ですが、同じ資料の14ページ以降を御覧いただきたいと思います。14ページの5番のアミトロールが削除、その他、若干の名称の変更がございまして、もう一つの削除が最後のページの80番の白金化合物(溶解性)でございます。大変失礼いたしました。
【井形部会長】 どうぞ御自由に御発言ください。
 内容は膨大ですが、「寄せられた意見に対する考え方・対応(案)」につきましては、事前に皆さんにお目通しいただいているのではないかと思います。
【平石委員】 細かいことで恐縮ですが、資料4の、例えば25ページの221番あるいは205番のところにCASナンバーが付いていないものがありますけれども、この名前ですといろいろなものが含まれるので、これらを全部包括している、というふうに解釈すべきものなんですか。異性体は全部対象になるという考えですか。
【事務局】 今の御指摘のものは、異性体が幾つかございまして、これはすべて含んでいるということでございます。CASナンバーが幾つか複数にまたがっておりますので、こちらの表では「-」で示させていただいております。
【平石委員】 もう一つ、これも細かいことで恐縮ですが、たびたび「溶解性」という言葉が出て参りまして、その「溶解性」の定義について、パブリックコメントに対する考え方が、4ページの6にありますが、私もしばらく研究の方をやっていないので若干忘れてきましたが、「常温」という表現で大丈夫なんでしょうか。ひょっとしたら、1%というのが非常に微妙なケースが出てくると、「常温」という言葉よりも、例えば25℃なら25℃としておいた方が明快になるのではないかという気もいたしますが。
【事務局】 「溶解性」の定義については、これといったものはなくて、いろいろな専門家の方に伺ったところ、%オーダーではなかろうかという話があり一方、日本薬局方の中で、「やや溶けにくい」と「溶けにくい」の境目がちょうど1%であった。そこで、今回溶解性の定義として、この日本薬局の方の条件としては、20±5℃で、30秒近く振り混ぜて30分以内に溶ける度合いということであると示されておりました。そういった意味で、25℃というふうに1点に絞るよりも、ここも20±5℃になっているものですから、「常温」ということにさせていただいたわけでございます。
【平石委員】 その温度の範囲の中で混乱が起きなければいいと思いますが、もしそれでしたら、「その温度の範囲内で1%以上溶解する」というようにした方が良いのでは無いでしょうか。
【事務局】 この点については、確かに単に溶解性とか水溶性ですよといってもなかなか分からないと思うので、今後、例えば解説書とかを皆さんにお披露目するときに、別の紙で明確に分かるようにしたいと考えております。
【北野委員】 今、平石先生から御質問があった25ページの資料の件ですが、事務局にちょっと誤解があったのではないでしょうか。217番のトリクロロトリフルオロエタンは確かにいろいろな異性体がありますので、CASナンバーを特定できないということです。221番はメタンですから異性体はありません。
【事務局】 御指摘のとおり、221番については異性体がないので、CASナンバーを確認します。政令にCASナンバーを書くわけにはいかないのですが、CASナンバーを入れた物質リストを作った方が分かりやすいと思いますので、解説書みたいなものの中にはCASナンバーを入れて示したいと思います。
【松島委員】 先ほどの「溶解性」と関連することなんですが、いろいろ言葉の定義がこの中で出てくるので、一般の人には分かりにくいような言葉が「溶解性」以外にもありますけれども、そういうのを解説書にきちんとまとめてぜひ出していただきたいと思います。あるいはグローサリーみたいな形で付けていただければありがたいと思います。この資料の別表ですか、物質の名前が出ているところの注として、溶解性とはこういうことですという説明があった方がいいのではないかという気がします。ぜひ御検討いただければと思います。
【井形部会長】 注釈をつけることについては可能ですね。
 ほかにいかがでしょうか。
【寺尾委員】 化合物がいろいろ出ているのですが、化合物は同じものでもいろいろな名前があるんですね。確かにここにいろいろ別名が出てくるのですが、まだかなりポピュラーな名前で別名が入っていないものがありますので、なるべく別名をたくさん探して入れておいた方が皆さん理解しやすいのではないでしょうか。
【井形部会長】 これもあまり問題はないと思いますが、よろしいですか。
【事務局】 御指摘の点を踏まえて、先ほどの解説書というものが出ると思いますので、そちらの方ではなるべく検索しやすいやり方、表を見た方が分かりやすい、あるいは調べやすいようなものを作りたいと思っております。
【加藤委員】 今日初めて出させていただいたものですから、大変失礼で無知な質問だったらお許しいただきたいのですが、資料3で真ん中辺の343番のスズ及びその無機化合物が削除になっていて、理由は、「有害性が基準より低いことが判明した」となっているのですが、この基準というのはどういうものなんですか。というのは、削除されることのルールの知識がないものですから、簡単に教えていただければと思います。
【事務局】 お答えいたします。資料2の11ページのパブリックコメントのところに若干書いております。スズ及びその無機化合物というのは、作業環境許容濃度というものを参考に最初ピックアップいたしました。そのデータの読み取り方に問題が若干あったようでして、よくよく調べますと、TWAが2mg/m3 の粒子状物質であるということでございました。そうしますと、大変恐縮ですが、資料4の15ページを出していただきたいと思います。前回の委員会で御審議いただきました選定の考え方、いろいろな基準のどこまでを選定基準にするかということにつきまして、専門委員会、前回の部会で御審議いただいた内容をまとめたものでございますが、幾つかの有害性の項目によってランク1、2、3をつけております。この作業環境許容濃度については、クラス1、2、3というもので、15ページの下にありますけれども、粒子状物質について1mg/m3より小さいものまで拾うということで、それが実際の環境濃度などと比較して適切ではないかという結論だったわけでございます。ですから、スズ及び無機化合物については2mg/m3で、1mg/m3より大きくなるということで、このランクからは外れるので削除ということでございます。
【加藤委員】 承っておきます。
【井形部会長】 それでは、3委員会の合同会合で専門家の方に御議論いただきまして、対象物質に関するパブリックコメントへの考え方・対応(案)報告書がここに出されましたが、今日は合同部会ですから、中央環境審議会の環境保健部会及び化学品審議会の安全対策部会の合同部会としてこの報告書を了承するということをお諮りしたいと思いますが、お認めいただけますでしょうか。
             〔「異議なし」との声あり〕              
【井形部会長】 ありがとうございました。
 それでは、対象物質につきましては、中央環境審議会及び化学品審議会ともに別々の諮問を受けております。それぞれの会長から付議または付託されておりますので、事務的には各々の部会から会長に対して報告する必要がございます。共同座長としましては、3審議会専門委員会・検討分科会合同会合の審議により得られました対象物質に関する報告書(資料4)を部会の報告とすることが適当と考えますので、それぞれの部会の委員にお諮りいたしたいと思います。
 まず、中央環境審議会委員の方には、資料4の報告書を環境保健部会の報告とすることで了解してよろしゅうございましょうか。
             〔「異議なし」との声あり〕              
【井形部会長】 ありがとうございました。
 これは近藤会長から総理大臣へ答申していただくことになります。
 化学品審議会委員の方につきましては、本当は近藤部会長がお諮りするところですが、遅れていらっしゃいますので、中西部会長代理にお願いいたします。
【中西部会長代理】 それでは、続きまして、化学品審議会の委員の皆様にお伺いします。資料4の報告書をもって部会報告とすることを安全対策部会として了承してよろしいでしょうか。
             〔「異議なし」との声あり〕              
【中西部会長代理】 ありがとうございます。
 それでは、本報告を村田会長から通商産業大臣へ答申していただく案として村田会長に御報告することにいたします。
【井形部会長】 なお、対象物質につきましては、本合同会合と同時に開催されております厚生省の生活環境審議会生活環境部会で現在議論されております。生活環境審議会の審議の結果、もし3審議会において何らかの意見調整が必要になった場合には、両部会長に御一任いただいた上で答申案とさせていただき、御報告させていただくということにさせていただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。
             〔「異議なし」との声あり〕              
【井形部会長】 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、議題3の「製品の要件及びPRTRの対象事業者について」でありますが、製品の要件について寄せられた意見に対する対応について、事務局から御説明願います。
【事務局】 それでは、資料2「寄せられた意見に対する考え方・対応(案)」に戻っていただきます。21~29ページが製品についての意見でございまして、それについて同じように考え方・対応が右側に書いてございます。
 No.1は、「『一般消費者の生活の用に供される製品のうち指定化学物質が排出されないよう容器等に密閉包装された状態で流通し、販売・提供されるもの』及び『密封されたままの状態で使用される形態の製品』を除外するのは、法の趣旨からして妥当ではない」という御意見でございますが、これは原案どおりということで対応したいと思っております。このようなものは、いずれも、事業者が取り扱う過程で指定化学物質を環境中に排出する可能性は低いということで、「容器等に密閉包装された状態で流通し、販売・提供されるもの」についてはこのように考えたわけでございます。ただし、「密封されたままの状態で使用される形態の製品」のうちでも冷蔵庫等の解体の際に冷媒の排出や回収のように直接対象物質を取り扱う場合には、例外規定の対象にはならず、排出量等の報告の対象となる。さらに、これらの製品の使用等に伴う第一種指定化学物質の環境への排出量については、国が排出量を推計・公表する。このような対応と考えております。
 2番は、「事業者も、事務所などで一般の生活の用に供される製品を使用する場合は多々あることから、これらの製品を事業活動に使用する場合には対象とし、それ以外の場合(少量の使用)には使用される場所にかかわらず対象外と、使用の多寡で対象とするかどうかとしたらどうか」という御意見でございますが、ボールペンのように主として一般消費者の生活の用に供される製品のうち、密閉包装された状態で流通し、販売・提供される製品は、事業者が使用したとしても対象外になるという趣旨で作成しておりますので、原案どおりでいいのではないかと考えております。
 22ページでございます。「農薬等の環境中に直接排出される製品と異なり、顔料等は、環境排出が小さく、対象に指定するのは合理的でない」ということですが、顔料は、塗料が付着した容器や器具の洗浄等に伴う排水への排出等事業者が取り扱う過程で環境中に排出する可能性があるので、対象にすべきだと考えております。
 4番は、「リサイクルを促進するよう、『売却され再生される製品』は、MSDS交付の対象にすべき」ということですが、売却され再生される製品(再生資源)は、種々雑多なものの集合体でありまして、含有する化学物質の割合も一定でないことから、通常どのような化学物質がどれだけ含まれているかを把握することは非常に困難です。このような観点から、MSDSの交付の対象外とするようにしたわけでございますが、このような形で原案どおりとさせていただきたいと考えております。
 なお、再生資源にMSDSの交付を義務付けないことと「廃棄物が有償、かつ、何らかの再利用をするという名目で大量に流れ出すこと」との関連性はないと考えられます。
 5番は、「産業廃棄物処分業を事業として営む者が、廃棄物である廃油を原料として再生品である燃料用再生油を製造した場合には、この再生油のPRTRの届出やMSDSの交付等について、対象から除くことが適当である」ということですが、これは読み上げますと、「廃油を再生した製品といえども、指定化学物質を一定以上含有する場合には、自社だけでなく出荷先の事業者にも適切に取扱ってもらう必要があるため、MSDSの交付対象にすべきであると考えます。種々雑多なものである天然物から精製、製錬等により指定化学物質を含有する製品を製造する場合であっても、MSDSの交付対象となっており、廃油を再生した製品も同様に対象にすることが適当であると考えます。」ということでございます。以下は省略いたします。
 次に23ページでございます。アスベストが今回対象物質になりましたが、「アスベストについてみた場合、主な使用用途が建材として使用され、多くの場合『切断等の加工』によって環境中に排出されている。しかしながら提案された案ではアスベスト含有建材等が対象とならなくなり、問題である。アスベスト含有建材を含めたアスベスト含有製品、売却され再生されるアスベスト含有製品及びアスベスト含有廃棄物についても対象とすべき」ということです。アスベスト(石綿)を対象物質に追加したわけでございますが、アスベストの製品については、精製や切断等の加工で環境中(主に大気中)に排出するということで、石綿を含有する製品については、取扱いの過程で精製や切断等の加工が行われるものを対象とするように変更したいと考えます。
 7番、「『製品の要件について(案)』の『天然物の取扱』の『なお書き』で輸入される原料アスベストは『製品』の対象となると考えるが、そのことを明確にすべき」ということですが、輸入される原料石綿は、工業プロセスを経て製造されたものでありますから、天然物ではなく、製品であると考えております。
 8番、「MSDSの、取扱量による裾切りをお願いしたい」ということですが、現時点では取扱量による裾切りは考えておりません。原案どおり、裾切りを設けることは適当ではないと考えております。その理由は、指定化学物質は、人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質であり、少量であっても取扱いに注意すべきと考えます。また、国際的にもMSDSの交付対象に量的な裾切りはない。このような理由から、裾切りは考えないというふうにしたいと存じます。
 24ページでございます。「塩化ビニールシートを購入して加工しているが、報告対象となるのか」ということですが、塩化ビニールシートを使用する過程で溶融、蒸発又は溶解しないというような排出する可能性の少ない、あるいはない工程の場合には、報告の対象とならない。要するに、溶融、蒸発、溶解というような排出の可能性のある工程が含まれていない場合には報告の対象とならないということでございます。
 10番は、「家庭用殺虫剤は、一般消費者の生活の用に供する製品で、指定化学物質が排出されないよう密閉包装したまま流通・販売・提供されるので、PRTRの対象とならないと解釈してよいか」ということですが、製品の要件の考え方に従えば、家庭用殺虫剤のうち、家庭で使用する形態に加工され、対象物質が排出されないよう包装されている製品は、対象外であり、PRTRの排出量等の届出の対象とはならないということでございます。
 11番、「ワイヤボンディングや抵抗スポット溶接、レーザー溶接等も製品の要件に該当するか」ということですが、それはそのとおり製品の要件に適合するということでございます。
 25ページでございます。「有害物質を検出限界以上含む商品は全て対象とすべき」ということですが、理由のところに書いておりますが、国際的にも、1%以上含有するものが対象となっています。他法令でも製品の定義の中で1%以上含むものとしているものがあります。また、発がん性クラス1の物質は、特に重篤な障害をもたらすということで、裾切りを下げているわけですが、こういうことも踏まえて、検出限界以上含む商品は全て含むとすると、この法が目的とする効果に比して事業者の負担が過大になるということがございますので、何らかの裾切りを設けることは、前回の合同会合でもそういう御議論を賜ったところでございますので、そういう取扱いにさせていただきたいと存じます。
 No.2も同じような趣旨の御意見でございます。
 26ページでございます。3番は、逆に、「製品の含有率による裾切りを5%まで上げろ」という御意見でございます。これは先ほどの裏返しになりますが、一定のルールを設けて、この審議会で議論を賜って、1%、発がん性クラス1のものについては 0.1%という仕切りをしたわけでございますので、原案は適当ではないかと考えております。
 4番、「製品に対する含有量の規定について見直すべき。問題は、含有率ではなく、絶対量である」という御指摘がございますが、PRTR対象事業者の要件の1つとして年間の取扱量を設定しており、そういう点で絶対量も考慮しているということで、過度の負担を強いないよう製品の要件として含有率を設定することが適当であると考えております。
 5番は、「『○○及びその化合物』というものが対象物質の指定の中でありますが、元素濃度換算で1%と判断すべき」という御意見でございます。これは元素以外に他の有機の基などがついている場合には、全体の有機の基がついたようなものも含めて、あるいは無機の基がついたものを含めて重量換算すべきか、あるいはもとの有害性のある元素だけですべきか、その点の見解を問われているものですが、これにつきましては、元素換算(シアンについては、シアン換算)で一定(1%又は 0.1%)以上含むかどうかを判断することが適当であるというふうに考え方を明確にいたしました。
 27ページでございます。同じような指定物質の製品の要件について、含有率をどのような算定方法で算出するかということですが、製品の要件の含有率については、重量%とか体積%とか、いろいろなやり方があるのですが、質量%に統一するように明確化させていただきたいと思います。
 28ページ、「3.その他」でございますが、「薬局方の医薬品に該当するようなもので、化学反応を伴わずに小分けして製造した医薬品は除外してほしい」と。このようなものは、先ほどから申し上げております、密閉包装された状態で流通し、販売・提供されるものは対象外であるということでございます。しかし、小分けする製品をつくる過程の中で環境中に排出する可能性があるものについては、当然対象になるということでございます。
 2は、「製品の要件の『③固有の形状を有する混合物のうち取扱いの過程で指定化学物質を溶融、蒸発又は溶解する可能性のあるもの』において、取扱いの範囲を製品の使用者に限定することを明記する必要がある」ということで、その下に理由が書かれておりますが、「紙製品は古紙として再利用するので、その処理過程では水に分散するが、これは一種の溶解と考えられないこともない。従って、本法にいう取扱いとは、リサイクル工程は含まれず、消費者の段階における取扱いに限ることを明記してほしい」と。再生資源である古紙は、対象の製品ではないということで、原案どおり、取扱いの範囲を限定することを明記する必要はないと考えております。
 3番は、「医薬品については、『一般消費者の生活の用』に供されるものと『事業者の用』に供されるものが不明確である」ということですが、病院に納入されたものでも最終的には個人が服用することとなるため、そういうものは密閉包装された状態で流通しているということで、対象外だと。ただし、言うまでもなく、包装前の医薬品を取り扱う過程で環境排出が考えられる場合には届出対象になる、と整理させていただきました。
 29ページでございます。「労安法との関連で統一した対応を」ということですが、できるだけ統一した対応をとりたいということでございます。
 製品に関しては以上でございます。
【井形部会長】 ただ今の製品の要件についての御報告について、御質問、コメントがありましたらお願いします。
 特に御発言がなければ、製品の要件に関するパブリックコメントの考え方・対応(案)につきまして、中央環境審議会環境保健部会と化学品審議会安全対策部会の合同会合として了承したということでお認めいただけますでしょうか。
             〔「異議なし」との声あり〕              
【井形部会長】 どうもありがとうございました。
 次に、PRTR対象事業者について寄せられた意見に対する対応案について、また、パブリックコメントの対象外と考えられる意見について、事務局から御報告いただきます。
【事務局】 再び資料2に戻っていただきまして、30ページのⅢの「PRTR対象事業者について」の「1.業種について」からでございます。
 1、2、3は、業種を限定的にしているので、もっと幅広くすべきだと、あるいは4~10は、個別にこういう事業者がなぜ入らないのかという御意見が出ております。
 まず最初の、幅広く、余り限定せずに対象とすればいいではないかということについては、読ませていただきますが、「対象業種は、第一種指定化学物質又はこれを含有する製品を製造、使用その他業として取り扱う等、事業活動に伴って対象物質を環境中に排出すると見込まれる事業者が属する業種を幅広く選定しており、ご指摘のように対象事業者がほんの一握りになってしまうことはないと考えます。なお、対象物質を取り扱っていても、定点における排出量の把握自体が困難である場合、業の特性として個々の事業者による取扱量が少ない場合等、届出義務を課すことによって、事業者の負担が排出量等の把握により得られる効果に比して相対的に過大になる場合があります。このような業種については、届出対象業種とせず、法第9条に基づき国が推計を行うことにより排出量の全貌を把握することが適当」と、この基本的考え方は、前回の会合で御承認いただいたところではないかと思っております。そういうことで、1と2については、関わりなく全てということでなくて、一定の要件、必要性、法の趣旨に照らして対象業種を特定したということでございます。
 4以下は、建設業、農業、林業、漁業、航空運輸業、魚介類養殖業者、造園業者、シロアリ防除業者等、個別に挙げておりますが、それぞれの理由につきましては、先ほど申し上げました趣旨に照らしてそれぞれ整理したということで、簡単に説明いたしますと、例えば、水道業、卸売・小売業、倉庫業、機械・家具等修理業、その他の事業サービス業等々については、そのうちの対象物質を環境中に排出すると見込まれる事業者が属する業種は原案で示しているとおり対象業種となっています。また、フロンを扱う冷凍空調設備を製造する業者も対象業種です。
 木材処理業者は木材薬品処理業として木材・木製品製造業に含まれ、対象業種となってます。また、畳、建材、家具を製造する事業者は製造業に含まれ対象業種です。
 流通に携わる事業者については、石油等を取り扱う石油卸売業、燃料小売業等の業種、オゾン層破壊物質を取り扱う鉄スクラップ卸売業、自動車卸売業が対象業種になっております。
 協同組合、国家公務、地方公務は、その行う業務によりそれぞれの業種に分類して扱いますので、分類された業種が対象業種であれば届出対象になるということでございます。
 農業や林業については、個々の事業者の個々の農薬の取扱量は少なく、また小規模の経営者が多いことを考慮すると、届出対象とせず、法第9条に基づき国が排出量を推計することが適当と考えます。ゴルフ場や公園・遊園地における農薬散布、漁業のうちの海面養殖業も類似の面的な発生源ですので、同様の取扱いです。
 建設業については、その場所が一定しないということもございますので、これも国の推計の対象がいいのではないかと考えます。
 運輸業のうち、車両整備関係の業種は届出対象業種になっていますけれども、移動発生源と呼ばれるものは国の推計の方がいいのではないかと考えます。
 医療業、保健衛生のうち、大学付属病院は、高等教育機関の付属施設として対象になりますが、前回も議論がございましたように、一般の病院は、個々の排出量が少ないと見込まれますので、対象外。このような整理をいたしております。
 32ページまで続いておりますが、その他の御指摘の業種については、対象物質の取扱いや排出が見込まれないので、対象業種とする必要はないと考えます。なお、今後対象物質の見直し、化学物質の使用状況の変化、化学物質の使用実態調査による新たな知見等があれば、必要に応じ対象業種を見直すことが適当ではないかと考えているところでございます。
 次に32ページの11番ですが、「アスベストを対象にすることにより、『建設業』及び『アスベスト含有製品製造業』も対象事業者に含めるべき」と。建材等の製造業はもともと届出対象となっています。また、建設業に係る対象物質の環境への排出量は、法第9条に基づき国が推計することが適当ということですが、アスベストに関わる製造業については基本的に対象になっているということでございます。
 12、13、14は、体外診断薬に関する御質問ですが、体外診断薬の製造業は、言うまでもなく化学工業ということで対象業種になる。ただし、輸入業は対象業種には含まれない。体外診断薬製造業は排出の可能性があるため、PRTRの対象業種とすべきと考えます。また、MSDSの交付にあたり対象業種は定めませんが、各事業者が法第2条第6項の要件を満たし、指定化学物質等を他の事業者に対し譲渡し又は提供するときは、MSDSの交付が義務づけられます。理由のところに書いておられます国家資格云々というのは、本件とは関係ないことだと考えます。
 15は、「公務は対象業界に準ずるようだが、警察や自衛隊が対象業界に入るか」ということですが、警察については、公務でありますが、その行う業務によりそれぞれの業種に分類して扱うため、分類された業種が対象業種であれば同様に届出対象になります。自衛隊は公務の一部として記載されているところでございます。
 次に、届出の要件の一つとして従業員数で区切りをつけるということでございますが、原案は「常用雇用者数21人以上」となっておりますが、1~16がそれに関する御意見でございまして、1~8が、とにかくもう少し裾切りを上げてほしい、要するに21人ではなくて、101人あるいは300人あるいは50人、様々な意見が出ております。逆に、34ページの9以下は、個々の業種に絡めての御議論もございますけれども、そういう規模要件は不要だとか、10人だとか、6人だとか、21人でも甘い、こういうふうな対立した御意見が双方から出ております。いずれも前回の合同会合で議論していただいたことだと存じますが、そこに書いてございますように、「従業員数の裾切りについては、小規模の事業者が、PRTRの継続的な実施に必要な事務体制の整備が困難であること、事業者における化学物質の取扱量が一般的に少ないこと等の事情から、本法に基づく排出量等の把握及び届出義務を課すことが事業者に人的・経済的に過重な負担となったり、円滑な義務履行が困難なおそれがあることから設けたものです。このため、排出量等の届出の対象外となる小規模事業者として、中小企業基本法において定義された『小規模企業者』の規模を用いたものです。人的・経済的に過重な負担とならず、化学物質の管理能力を有する常用雇用者数21人以上の事業者に届出義務を課せば、大部分の排出量を把握することができ、本制度の効果的な実施が確保できる」ということで、21人と考えたわけでございます。この点から、原案どおりでいいのではないかと考えております。
 34ページの逆の、もう少し裾切りを下げるべきだとか、撤廃すべきだという御意見に対しても、そういう管理能力という点に着目すれば、21人が妥当ではないかと判断したということで、原案どおりでいきたいと思っております。
 35ページでございます。17番、「従業員数設定が日本全体を推定するに足る偏りのないものであることの統計的説明を」ということですが、規模要件は、小規模の事業者について、PRTRの継続的な実施に必要な事務体制の整備が困難であること等を勘案して、事業者の過重な負担を避け、円滑な義務履行を図るという観点から、届け出られた排出量以外の排出量については、国が推計するということで対応したいと考えております。
 No.18、「PRTRの対象事業者の従業員数は、他の法律と整合性をとるべき」ということで、労安法では、衛生管理者の基準を50人以上としているのですが、これは法律の目的・趣旨が違いますから、別に50人ということに整合性をとる必要はないと考えて、先ほどから言っております考え方で21人以上としたいと考えております。
 No.19、「『常用雇用者数21人以上の事業者』を事業所単位の雇用者数としていただきたい」と。これは、環境庁が行いましたパイロット事業は、人数規模は事業所単位だったとか、ガソリンスタンドの中で不公平が起こるとか、そういうことがあるわけですが、これも原案どおり、事業者単位がいいのではないか。中段に書いてありますが、21人以上の常用雇用者を有していれば、事業者として各事業所の化学物質の排出量等の把握が可能な事務管理能力を有するという点に着目したので、事業者単位がいいと考えております。
 No.20、「事業者の規模要件としては、『常用雇用者数101人以上の事業所を有する事業者』と『事業所を有する』を挿入すると共に、員数を増やすことが適当」と。これも先ほどと同様なことでございますので、21人でいいのではないかと考えます。
 No.21は、「常用雇用者数を中小企業基本法との関係で21人以上としているが、当該法律と本法の対象事業者の要件には関係があるのか」と。これは以前に述べているとおりでございます。
 36ページ。「もし21人以上の会社全てに適用するのであれば、せめて中小企業に実施までの猶予期間を設けていただきたい」ということですが、中小企業については、確かに大変な面もあろうかと思いますが、そこに書いておりますように、事業者による排出量の把握は平成13年4月から、まだ1年以上ございます。また、その届出は平成14年4月以降ということでございますので、実施までの猶予期間は既におかれているということで、No.22、23については、このように考えております。
 No.24については、「常用雇用者数よりも取扱量で判断すべき」という御意見でございますが、取扱量も要件としては必要ですが、それに加えて、排出量の把握及び届出義務を課すことが人的・経済的に過重な負担となったり、円滑な義務履行が困難とならないように、管理能力に着目して、常用雇用者数による要件を設けたという考えでございます。
 No.25は、「主要な物質について、物質毎に累積カバー率を挙げて細かい裾切り議論をしたらどうか」ということですが、それはなかなか困難であるということで、従業員規模要件の設定は、排出量の把握及び届出義務を課すことが人的・経済的に過重な負担となったり、円滑な義務履行が困難とならないよう、管理能力に着目したということで御理解いただきたいと考えております。
 続きまして、37ページは取扱量でございます。年間取扱量1t、発がん性クラス1のものについては 0.5 tというのが原案でございますが、妥当だという御意見がNo.1でございます。
 No.2、3、4、5、6、いずれも、1tというのは厳しいのではないか、例えば米国では11tではないかとか、パイロット事業でも10tという例もあるではないか、というような例を挙げて、1tという裾切りをもう少し切り上げてほしいという御意見でございます。逆に、例えば39ページの13あたりからは、むしろ取扱量は限定すべきでない、あるいは1t以上は甘すぎるという対立したパブリックコメントが寄せられているわけでございます。
 まず、37ページの2~6に対するお答えとして考えておりますのは、原案どおり、1tは変えないということですが、対象物質の取扱量が少量である場合には、環境への排出量も少量であり、本法に基づく排出量等の把握及び届出義務を課すことが、その効果と比較して過重な負担となるおそれがある。取扱量をあまりに少量にしてしまうと、非常に負担が大きくなる。一方で、PRTRの効果的な実施を確保する観点からは、取扱量による裾切りを行っても、届出義務の履行により大部分の排出量等が把握されるようにすることが必要であろう。これらのことを考慮し、また、パイロット事業の結果も踏まえて検討しまして、前回、1トン/年という裾切りを考えたわけでございます。それにより排出量の大半を把握し、また事業者の負担もその効果と比較して過重とはならないと判断したわけでございまして、1トンが適当ではないかと考えているところでございます。
 38ページでございます。No.7ですが、「『年間取扱数量1t以上』を『年間取扱数量11t以上』とすべき」と。その理由として、米国では年間製造量約11t以上、カナダでは年間取扱量10t以上の場合に報告することになっていると海外の例を挙げておられますが、これも先ほどから申し上げておりますように、報告者に対して過重な負担にならないということと、捕捉は十分できるという観点から1tでいいというのは、前回から議論しているところでございます。
 No.8も同じように「100tに上げてほしい」という御意見で、これも先ほどから述べている同じ理由で、原案どおりでいいのではないかと思います。
 No.10、「少なくとも当初は米国、カナダと同等の10トン/年程度から始め、実績データ等をもとに徐々に減少させるべきだ」と、まず10トンから始めてはどうかと。理由として、「対象物質の製造・使用規模で、1トン/年ではあまりにも規模が小さすぎて、制度のスムーズな立上げと定着を図るためには段階的なことも必要ではないか。10トン/年でPRTRを実施している日化協の経験でも定着するのに3年は必要で、13年の経験のある米国でも10トン/年から始めたではないか」ということでございます。この意見に対しては、1tという原則は変えないわけでございますが、当初2年間は、いずれかの第一種指定化学物質の年間取扱量が5t以上である事業所を有する事業者が、当該事業所からの排出量等を届け出ることとすることにより、御指摘のように段階的に進めるものとし、制度の円滑な実施、立上げを図っていいのではないかということで、こういう段階的な円滑化のための措置を考えております。
 No.10と同様な意見、「stepwiseに進めたらどうか」ということに対しても、今申し上げたように、当初2年間については、1tではなくて5tで段階的に進めて円滑化を図ることが適当と考えております。
 次に39ページでございます。いずれかの対象物質の取扱量が事業所当たり1トンと、対象要件を著しく狭めたということで、12、13、14は、逆に、取扱量は限定すべきでないとか、1トンという裾切りは甘すぎるという意見が出ております。これについては、先ほどと逆の形の意見でございますが、先ほどから申し上げておりますように、排出量の捕捉、過重な負担にならないということを考え、原案どおり1トンでいいのではないか。ただ、先ほど申し上げましたように、当初2年間は段階的な施行を図るということでございます。
 No.16、「取扱量の裾切りは、製品量に含有率を乗じた値に基づく」ということでございますが、原案においても、取扱量の裾切りは製品の量ではなく、製品量に含有率を乗じて得られる化学物質の量で判断することになっております。
 No.18、「金属化合物の取扱量には、元素の含有率をファクターとして取り入れる」というものです。これについては、以前に説明しておりますように、金属化合物の取扱量は、当該金属の量で算定することが適当としております。
 No.19、「年間取扱量1トンは、最低限確保すべきレベルだが、微量でも問題となる化学物質の存在も否定できないことから、今後の取扱量に関する速やかな検討を望む」ということで、必要に応じて、見直し等も含めて対処したいということでございます。
 40ページ、特別の要件についてでございます。No.1は省略いたします。
 No.2、「工程中で使用した原料中の第一種指定化学物質が濃縮されて、高濃度な副生成物ができる場合がしばしばあるが、そのような原料を使用する事業者を、PRTR対象事業者とすべきである。追加するのが困難であれば、少なくとも移動報告の対象とすべき」というものです。これに対する考え方でございますが、原料中に製品の要件で定めるより低い濃度で含まれる成分が濃縮されて生じる副生成物の排出量や移動量の把握を事業者に義務づけることは、事業者には過重な負担だということで、これについては、国の方で推計する。なお、非意図的に生成されるダイオキシン類等については、既に特別な要件が設定されているところでございます。
 No.3、「特別要件事項の項目②③④は廃掃法や大気汚染防止法で管理されており、特定化学物質の使用という面からは全く関連しないので除外を希望する」ということですが、これは原案どおりとしたい。理由は、特別要件事項の②③④の該当事業者は、法第2条第5項第2号に規定する「事業活動に伴って付随的に第一種指定化学物質を生成させ、又は排出することが見られる者」に該当するので、対象事業者にすべきだと考えられます。
 No.4、「対象事業者の特別要件の『②下水道終末処理施設又は廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく許可又は届出の対象施設を設置する事業者』を削除又は産業(廃棄物) 処理施設については、特定化学物質排出に関連する特定施設に限定ほしい」というものです。理由は、「1事業場において、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に係る施設として、汚泥脱水機を設置し届出をしているが、このことが、特定化学物質の環境への排出に該当しないと考えられるため」ということですが、御指摘の対象事業者の特別要件については、本文中にあるように下水道業又は廃棄物処理業を営む者の場合に適用するという趣旨ですので、その趣旨が明確になるように結論部分を修正したいと考えております。
 次に41ページ、その他ということですが、「規模要件はもっと厳しくし、外の除外要件は設けない」という非常に厳しいものでございますが、これについては、様々な議論から、原案のような規模要件を設けることにしたわけですから、その点は御理解いただきたいということでございます。
 最後に42ページ、43ページに、パブリックコメントの対象外の事項について幾つか寄せられておりますので、これは今回の議論に直接関わらないということで、意見の概要の記載だけをさせていただいておりまして、そこに書いてございますように、「今後の省令の策定や法の施行等に当たって留意すべき事項」と受け止めておりますので、参考にさせていただきたいということで、ここで改めて対応について記載はさせていただきませんでした。対象外の意見ですが、一般的な内容の御意見、法制度全体に関する御意見でございますので、これについてもここに記載だけさせていただきまして、必要に応じて、我々も一つの意見として参考にさせていただきます。
 以上でございます。
【井形部会長】  ただ今の報告について御質問、コメントをお願いします。
 もし御意見がございませんようでしたら、今報告された、PRTRの対象事業者に関するパブリックコメントへの考え方・対応(案)をこの合同部会の総意として承認させていただいてよろしゅうございましょうか。
             〔「異議なし」との声あり〕              
【井形部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、この対応案を基に資料5と6が準備されております。これにつきまして事務局の方から御報告をお願いします。
【事務局】 それでは、資料5と6を説明いたします。
 資料5は「製品の要件について(案)」でございます。この原案についても既に一度委員の皆さんに御覧になっていただきまして、審議していただいたわけでございますが、資料中、アンダーラインを引いている部分が、今回のパブリックコメント等を受けて変更した内容でございます。変更点を中心に簡単に御説明いたします。
 まず、1の「法律での位置づけ」というのは、第一種指定化学物質を含有する製品は、PRTRの対象事業者を定義付けるために用いられています。なお、この製品は、第一種指定化学物質等取扱事業者が排出量及び移動量を算定するための対象の製品にもなる。このようなことから、製品の要件をきちっと定める必要があるという必要性を論じているわけでございます。
 2の「政令で定める要件の基本的考え方」でございます。中段にございますが、「事業活動に伴い第一種指定化学物質又は第二種指定化学物質が環境中(大気、水系、土壌)に排出される可能性のあるものとすることが適当である。」ということでございます。また、一番下にございますが、第一種と第二種の違いでございますけれども、両者の製品についての要件は同じものとすることが適当であると。このようなことは既に議論していただいたところでございます。
 2ページでございますが、そういうことで「検討すべき事項」について、製品の形態、含有率について、そこに書いておりますように、以前に検討していただきました。
 今回、パブリックコメント等を受けまして、4の「検討すべき事項に対する対応方針」の中で、「密閉包装されている主として一般消費者の生活の用に供される製品」と、厳密性を問われるということもございますので、どちらかといえばという意味で、「主として」という言葉を入れさせていただいております。
 また、その下にアンダーラインを3行ほど引いておりますが、「また、このような製品を事業者が取り扱うとしても、通常は、一般消費者と同様の使用形態であり、排出量が少量の割には、その排出量の把握のための負担が大きい。」ということで、密閉包装されたまま流通し、販売・提供されるものについては、対象から除くことが適当ということで、このアンダーラインの引いた部分を挿入して考え方を明示したわけでございます。
 次の②は前回と同様でございますが、改めて申し上げますと、環境中に排出する可能性のあるものについては基本的に対象とする。ただし、冷蔵庫の冷媒やコンデンサーの中に密閉されたままの状態で使用される形態の製品については、対象から除くことが適当であるという、前回どおりの議論でございます。
 3ページでございます。指定化学物質を含む製品が固体状のものについて、「粉末等有の形状を有しない固体状の製品は、溶解等の取扱いの過程で指定化学物質を環境中に排出する可能性がある。このため、このような形状の製品は対象にすることが適当である。」となっておりますが、その下に、「ただし、粉末等固有の形状を有しない固体状の製品であって密閉されたままの状態で使用される形態の製品については、通常、事業者がこれらの製品を取扱う過程で、環境中に指定化学物質を排出する可能性は低いものと考えられる。このため、このような製品は、対象から除くことが適当である。」という文を付け加えさせていただきました。
 その次は、「合金等の」を削っておりますが、必ずしもインゴットとなっているのは合金だけではないので、例示としてふさわしくないということで、「合金等の」を削除させていただきたいということでございます。
 固有の形状を有する製品については、石綿(アスベスト)が入ったということで、金属類については、溶融、溶解等をすると、蒸発して大気中等に排出される可能性がありますけれども、石綿については、溶融、溶解ではなくて、むしろ精製や切断等の加工が排出の可能性になるということで、その辺を明記したのが下の3行でございます。
 それから、「売却され再生される製品」ということで「(再生資源)」を注記的に明記した形で表現いたしております。ここは以前に御論議いただいたとおりでございます。
 廃棄物の取扱いについては、法律上の「製品」としては取り扱わないということも以前のままでございます。
 天然物については、そこにありますように、法律上の「製品」としては取り扱わない。ただ、工業プロセスを経た後に出荷されたものについては、対象とすることが適当であるということでございます。
 含有率については、様々な意見がございましたけれども、発がん性クラス1のものについては0.1ということで、海外の基準をそこに紹介しています。③ですが、発がん性クラス1の物質については、より厳しい扱いが必要ではないかということで、④のところは結論でございますが、「上記のことを踏まえれば、基本的には指定化学物質を1質量%以上含む製品を対象とし、発がん性クラス1の指定化学物質については、0.1質量%以上含む製品を対象とする」と、「質量」ということを明確にいたしました。
 その下に、元素か、あるいは化合物全体で重量を換算するのかどうかという議論がございましたので、それを明確化するということで、⑤ですが、「この場合、金属等の元素又はシアンの化合物については、一般に濃度や排出量等の測定、大気質の基準、水質基準、作業環境許容濃度の基準は、元素等の換算値で行われていること、元素等の換算で排出量等の届出を求めることになると考えられること等から、含有率の考え方としては、化合物全体の合計値ではなく、元素等の換算値で判断することが適当である。」という文を付け加えさせていただいております。
 そういうことで結論になるわけですが、今までの修正部分も含めて、結論としては、以下に書いてあるとおりでございますが、石綿が加わったので、「④石綿を含有する製品であって取扱いの過程で精製や切断等の加工が行われるもの」、「①、②、③、④のいずれかに該当するものであって指定化学物質を1質量%以上含有するもの」となっております。「ただし、上記①~④に該当する製品のうち以下の製品は除く」ということで、若干の整理をしておりますけれども、見え消しになっている部分は、前回から変わったところで、「気体又は気体状態の製品のうち、」を取りました。また、「固有の使用形状を有するもののうち取扱いの過程で指定化学物質を溶融、蒸発又は溶解しない製品」を改めてここに書く必要はないということで削除しております。
 それが製品の要件としての考え方と結論でございます。
 続きまして、資料6「PRTR対象事業者について(案)」でございます。
 「第一種指定化学物質等取扱事業者(PRTR対象事業者)の定義」でございますが、これも前回とは変わっておりません。法に第2条第5項に従って、前回の考え方で整理しております。
 2の「第一種指定化学物質等取扱い事業者の特定の基本的考え方」も前回どおりでございまして、確認しておきますと、(1)にございますように、「本法においては、人の健康や生態系に有害性があり、相当広範な地域の環境において継続して存すると認められる化学物質を対象にしてその環境への排出量等の把握に関する措置(PRTR)等を講ずることにより、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的としている。」という基本的考え方に立って、事業者を特定したということでございます。
 2ページも前回と変わっていないのですが、(5)のところで改めて申し上げておきますと、「このような考えから、本法における届出義務者については、法第2条第5項各号に該当する事業者のうち、第一種指定化学物質の排出の見込み及び届出に伴う事業者の負担を勘案して、業種を政令で特定し、その上で、第一種指定化学物質の取扱量等を勘案して政令で要件を定めて裾切りを行い、第一種指定化学物質の排出の可能性が低い事業者や、法が目的とする効果に比して届出義務が過重になるおそれがある事業者を除くことにより、その範囲の明確化等を図る」という原則に立っているわけでございます。
 具体的な対象業種は、3ページに考え方を示しております。真ん中に「基本的に」を入れさせてもらいましたが、今回、業種区分を表にして4ページに付けておりますけれども、実際に政令にするときに、若干表現上の出入りがあるということで、そういうことも想定してここに「基本的に」という言葉を挿入させていただいております。
 下の3-2の「具体的な業種指定」というところでございますが、そこにアンダーラインを引いていますが、「なお、今後、対象化学物質の見直し、化学物質の使用状況の変化、化学物質の使用実態調査による新たな知見等があれば、必要に応じ業種指定を見直すことが適当である。」という文を付け加えさせていただいております。なお、ここの基本的考え方は前回と同じでございます。
 4ページに対象業種のリストがございますが、右の方に何カ所かアンダーラインを引いてございますが、これはいずれも中身を明確化するというもので、前回と本質的には変わっておりません。例えば計量証明業の中で「(一般計量証明業を除く)」としましたのは、一般計量証明業が化学物質を扱うことはほとんどない。これは重量とかの計量証明を出しているということです。そういう観点から、あるいはその下の高等教育機関においては、人文科学系の教育機関では化学物質を排出することもないだろうということで、この辺を明確化した記載をしております。
 5ページは前回と同じものでございまして、事業者要件の考え方で、前回と同じことが書かれております。
 従業員数については、前回議論がございましたが、21人ということの考え方をここで述べているわけでございます。
 6ページの 4-2-2の「取扱量等」でございますが、これはパブリックコメントのところでも申し上げましたけれども、アンダーラインを引いております6ページの一番下の(5)、「なお、当初2年間は、原則として、いずれかの第一種指定化学物質の年間取扱量が5t以上である事業所を有する事業者が、当該事業所からの排出量等を届け出ることとすることにより、段階的に進めるものとし、制度の円滑な実施を図ることが適当である。」。原則は1tですが、当初2年間は、円滑に進めるための段階的な実施を図るということをここで追記させていただいております。
 その上のアンダーラインの部分は、元素の換算方法についてここで明確化したということで、これは何度も説明しているところでございます。
 したがって、この取扱量については1t、発がん性クラス1のものについては0.5tということは変えないわけでございますが、当初2年間は段階的実施を円滑に図るということでやっていきたいと考えております。
 7ページの(6)以下は、前回とほぼ変わっておりませんので省略させていただきます。
 8ページですが、「その他留意事項」も前回と変わっておりません。
 「結論」のところでございますが、念のために読み上げますと、「上記の考え方により、法第2条第5項に規定している『政令で定める業種に属する事業を営むものであって当該事業者による第一種指定化学物質の取扱量等を勘案して政令で定める要件に該当するもの』とは、以下の(1)~(3)のすべての要件に該当する事業者とすることが適当である。」というのが結論でございます。対象業種の表は、先ほどの4ページにある表でございます。従業員数は、常用雇用者数21人以上の事業者。取扱量は、いずれかの第一種指定化学物質の年間取扱量が1t以上である事業所を有する事業者。括弧書きで追加でございますが、「(当初2年間は、いずれかの第一種指定化学物質の年間取扱量が5t以上である事業所を有する事業者)」としたい。特別の要件は変わっておりませんが、先ほどパブリックコメントのところでも述べましたが、「下水道業又は廃棄物状態業を営む者にあっては、」ということをここで明確化したということで、特別の要件の①~④は原則的には変わっておりません。
 資料5と6の説明は以上でございます。
【井形部会長】 どうもありがとうございました。
 これは一度皆さん方にお目通しいただいたものに、今度のパブリックコメントなどを含めた対応を主として含めて修正したものであります。どなたか御質問、コメントございますか。
【浅野委員】 前回欠席しておりまして、今頃言うのはあまり適当でないと思いますし、多分、答申としてこれで出たからといって、政令を作るときに工夫すれば済むことだと思いますけれども、ちょっと気になりますので。資料5の3ページの④、「売却され再生される製品(再生資源)」となっておりまして、1行目のところに「有価で取り引きされるため製品であるが」と書かれています。これは多分、現行法上、廃棄物になるかならないかは、有価か無価かという仕切りがあるので、それに引きずられてこういう書き方になったのではないかと思うわけですが、法本条の方は、譲渡・提供といっているだけで、何も売却だのとうるさいことはいっていないわけです。しかも廃棄物に関しては、現在もその概念そのものがかなり揺れていますし、有価か無価かという識別そのものが問題にされているわけですから、差し当たり報告書として現段階では何の誤りもないのですが、将来に備えて今議論されていることを想定すれば、わざわざ殊さら売却だの有価といわなくていいのではないかという気がいたします。ですから、もし差し支えなければ、次のように修正してはどうかと思うわけです。例えばこのような修正をしてはいかがかという提案を申し上げます。「売却され」と書いてあるのを「譲渡・提供され」と直す。それから、その後、「一般に製品に該当することが多いが、種々雑多なもの……」、これで十分意は足りますし、MSDSから外すということを言いたいだけですから、殊さら有価だの何だのということはあえて書かなくてもいいと思うのですが、事務局のお考えはいかがでしょうか。 もう一度言いますと、見出しを「譲渡・提供され再生される製品」と改める。それから、1行目の真ん中のところに「売却されるもの」と書いてあるところも「譲渡・提供されるもの」と改めて、その後の「有価で取り引きされるため」を削除して、「製品であるが」というところを「一般に製品に該当することが多いが」と直しておけばいいのではないかということです。
【井形部会長】 あまり問題がないように思いますが、よろしいですか。
【事務局】 基本的には浅野先生のおっしゃるとおりです。ただ、てにをはについては部会長にお任せいただくことにいたしまして、基本的には今の案文で文章を直させていただきたいと思っております。
【井形部会長】 よろしゅうございますか。
 それでは、ただ今の御指摘を含めまして、資料5と6につきまして、この合同部会で承認したということにさせていただいてよろしゅうございましょうか。
             〔「異議なし」との声あり〕              
【井形部会長】 ありがとうございました。
 それでは、両省庁によって報告様式が少し違いますので、それぞれの部会に応じました取りまとめの資料を今から配布させていただきます。
 取扱いの違いを環境庁と通産省の方から御説明いただきたいと思います。
                 〔資料配布〕                 
【事務局(環境庁)】 それでは、私の方からまず、中央環境審議会における第二次答申につきまして若干の御説明をさせていただきます。
 まず日付けでございますが、本日付けの答申を想定いたしております。そして、「今後の化学物質による環境リスク対策の在り方について(第二次答申)」という形でお願いできればと考えております。
 中身でございますが、「平成10年7月15日付け諮問65号により諮問があり、同年11月30日付けで我が国においてPRTR制度を導入すべきことなどを中間答申したことを受け、このたび、PRTR対象事業者などについて検討・審議を行った結果、別紙のとおり第二次答申とすることが適当であるとの結論を得たので答申する。」というものでございます。
 本体でございますが、まず第二次答申の表紙がございまして、「はじめに」ということで、一昨年7月から今日に至るまでの審議の経緯のポイントを記載しております。以降は、先ほどの資料5及び資料6のとおりでございまして、一部、浅野先生の御指摘を受けまして、部会長と相談をして文章を訂正させていただきますけれども、今見ていただいたペーパーのとおりでございます。
 なお、これにつきましては、通産省の化学品審議会も全く同文ということで承知しております。
【井形部会長】 通産省の取扱いはよろしいですか。
【事務局(通産省)】 それでは、事務局の方から御説明させていただきます。お手元に、化学品審議会安全対策部会からの報告ということで、「法律に規定する製品の要件、対象事業者について(報告)」という案が配布されているかと思います。
 この内容につきましては、既に物質の選定につきましては、今回の法律に基づきまして、法定で関係の審議会に意見を聴くという形になっておりますので、それは法定の行為ということで、物質の選定については、審議会からの諮問・答申ということになっております。しかし、製品の要件、対象事業者については、必ずしも今回の法律で法定での意見聴取という形にはなっておりませんので、答申という形ではございませんが、今回の法施行に当たりまして非常に重要な案件を御審議いただいているということで、今回審議会の方の御意見をまとめていただくということをお願いしてやっていただいたわけでございます。そういう点で、化学品審議会の安全対策部会として本日御審議いただきました資料5と6は、先ほど南川課長の方からもお話がありましたように、同じものでございます。「はじめに」のところに経緯をその前に付けさせていただいて、安全対策部会の報告という形でおまとめいただきまして、これを化学品審議会の村田会長に報告していただきたいということでございます。
【井形部会長】 ありがとうございました。
 それでは、まず中央環境審議会の委員の方にお諮りいたしたいと思います。環境保健部会に平成10年7月に「今後の化学物質による環境リスク対策の在り方について」が付議されまして、11月に我が国におけるPRTR制度についての中間報告を行ったところでありますが、今お配りした報告案、これは浅野委員の御提案を部会長一任ということにさせていただきまして、報告案を環境保健部会の第二次報告として提出することを御了解いただけますでしょうか。
             〔「異議なし」との声あり〕              
【井形部会長】 ありがとうございました。
 それでは、本報告を中央環境審議会の近藤会長から環境庁長官への第二次答申として御報告することにさせていただきます。
 続きまして、近藤部会長から。
【近藤部会長】 それでは、化学品審議会の委員の方、先ほどお配りした報告案を化学品審議会安全対策部会としてお認めするということでよろしゅうございますでしょうか。
             〔「異議なし」との声あり〕              
【近藤部会長】 ありがとうございました。
【井形部会長】 私から一言申し上げたいのは、パブリックコメントというのは、私は初めての経験であります。かつて議題によっては、背の高さぐらいの抗議の手紙がたくさん来たこともありますが、今回の場合には、わりと平均した皆さんの御意見が出ておりました。採用された方は非常に満足していただけると思いますし、御返事の内容で納得された方もいらっしゃいましょう。しかし中には、これでも不満だという方もいらっしゃると思うんです。そういう方もPRTRのよき未来へ目指してのお気持ちは持っていらっしゃるわけで、その対応をなるべく親切に、これはオープンになりますが、各個人に御返事を出されるのかどうか。出されるのでしたら、まだ試行錯誤ですから、貴重な御意見を将来重要な参考にさせていただきますという、もう一度意見を出そうかというぐらいの気持ちを持たれるような対応で、このパブリックコメントという制度が定着することを私からお願い申し上げておきたいと思います。
【宮本委員】 合同部会の進め方というか考え方について御質問と御意見を申し上げたいと思います。中央環境審議会と化学品審議会は、前回もございましたし、今回も一緒にやったわけですね。今、他のところで厚生省の生活環境審議会をやっておられますが、前回は当然別でもよかったと思うのですが、最終回ぐらいは一緒におやりになった方がよかったのではないか。それは人数の制限もあったでしょうけれども、これから環境省になって、各省との交流もあるということになり、特に厚生省との関係も入ってくるというならば、厚生省の方がお入りになってやる方がより効果的であり、有効的であり、縦割り社会がなくなるのではないかというように素人的に考えるのですが、この辺については何か御意見がございますか。もしできれば今後の運営としてそういうことをお考えいただくのは非常に結構かと思うのですが。
              〔「賛成」との声あり〕               
【井形部会長】 全く同感でありますが、事務局から何かございますか。
【事務局】 今回について申しますと、この法律は、通産省、環境庁が基本となりまして企画・立案して参りました。その過程で物質選定について厚生省にも御参画いただくということで、やや役所の関わりが違う関係で、審議会についても一部別にやっていただいているという経緯はございます。ただ、今、宮本委員が御指摘のとおり、来年の1月からは省庁体制も変わりますし、より強力な総理大臣の指揮の下、各省が連携をとってやることが必要になって参りますので、肝に銘じて改善策を考えていきたいと思います。
【三浦委員】 化学業界から出ている委員でございまして、日本化学工業協会として今回のいろいろな審議について非常に重く受け止めております。今まで化学業界として、PRTRというのは、日本化学工業協会で1992年から少しずつやってきて、だんだん対象物質を増やしてきておったのですが、その実施してきました経験に基づいて、今回、最初からカバー率を高くするのではなくて、2年置いてやっていただくということになったことについては、現実的に非常によかったのではないかと評価しております。しかし、今日これだけ化学業界のお客さんのサイド、非常に大きな範囲の業界に関わる法律の実施案ができたわけでございまして、我々は今「レスポンシブル・ケア」という、我々が作ったものを最後まで見届けるということを一生懸命やろうではないかという運動をやっているのですが、過去に自主的に行ってきました化学業界のPRTRの実現のための経験に基づいて、我々のユーザーのところに対しても、今後、研修の事業等を行って、むしろ日本全体でこの制度がうまく定着するように努力していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【加藤委員】 その他のことになるかと思うのですが、内分泌攪乱物質に対するこの審議会のスタンスあるいは行政当局の実務の状況について御説明いただければありがたいと思います。
【事務局】 いわゆるPRTR、すなわちこの法律の対象物質とするかどうかにつきましては、まだいわゆる内分泌攪乱化学物質といわれているものの試験法等について十分確立されていない、判断ができないということがございますので、パブリックコメントの回答にも書いておりますけれども、そういうものの試験法の確立を急いで、その上でいろいろ議論すべきではないかと考えております。
【加藤委員】 急いでいる実務の状況をお知らせください。
【事務局】 これにつきましては、今、国際機関としてはOECDが旗を振りまして、試験方法の開発をやっております。それから、アメリカのEPAなどがスクリーニング方法を検討しているのですが、何分非常に多岐の物質、もともと数万という物質からある程度絞り込んでもやはり1万5000とか、それぐらいの物質になりますけれども、こういうものをいかに評価していくか、評価方法がまだきちっと定まってこないということで、難航しております。OECDあるいはEPA、もちろん日本もOECDに参加して一役を担っているのですが、今その試験方法について学者の先生方が一生懸命議論されて、何とか早く試験方法を確立し、それによって、この化学物質がそういう作用があるかどうか、また、そういう作用があっても、本当に我々のリスクになるか。害があるとしても、それが本当にたくさん我々のところにやってくるわけでなければ害はないというリスクのことも含めて今後検討していく。そういうリスク評価の作業も併せてできるだけ早く進めていきたいと考えているところでございます。
【松島委員】 一つお聞きしたいのですが、今日配られました参考資料2「有害性のデータ」は、どういう取扱いをされるつもりですか。どこかにまとめてお出しになるのかどうか。
【事務局】 これ自身は公表でございますので、今日来られた方にお持ち帰りいただきますし、要望があればお配りすることを考えております。
【松島委員】 毒性のデータ記載方法に不適切なものが含まれているように思いますので、公表する前に再確認していただいた方がいいように思います。
 それから、個々のデータに通し番号が付いているのですが、PRTRの別表の番号の内容は何かと思って探そうと思うと、その番号とは対応しないんですね。それぞれの表はそれぞれの表の番号を打ってありますから、非常に使いにくいということがありますので、統一した番号を打っていただけると非常に参考になります。それはお願いします。
【事務局】 必要な改良はいたします。もし誤り、御指摘がございましたら、通産省、環境庁のどちらでも結構ですので、ぜひ御指摘いただければ幸いです。
【井形部会長】 それでは、通産省の局長さんの御挨拶も含めまして、事務局からお願いします。
【事務局】 どうもありがとうございました。
 一つ連絡をさせていただきます。この法律の3条におきまして、PRTR又はMSDSの対象化学物質及びそれらの物質を含む製品を取り扱う事業者が講ずべき物質や製品の管理に係る措置に関する指針(化学物質管理指針)というものを定めることとなっております。通産省及び環境庁では、現在、この化学物質管理指針の案を検討いたしております。まとまり次第、パブリックコメントの手続を行いまして、その結果を踏まえ、また、関係行政機関とも協議して定めたいと考えておる次第でございます。
 それでは最後に、事務局を代表いたしまして、通産省の基礎産業局長・岡本より御挨拶申し上げます。
【岡本基礎産業局長】 通産省の岡本でございます。事務局を代表しまして一言御挨拶させていただきます。
 昨年9月の3大臣からの対象物質についての諮問以来、大変精力的な御審議を重ねていただきまして、本日このように答申・報告をおまとめいただきまして、委員の皆様に心から御礼を申し上げたいと存じます。
 また、対象物質の指定に関しましては、分科会、専門委員会の専門家の方々に長時間にわたって熱心な御審議をいただきましたことを併せて心から御礼を申し上げます。
 これまでのパブリックコメントを踏まえた皆様方の活発な御議論が反映されたこの答申・報告を基に、今後、政府といたしましては、本法の対象物質、対象製品、対象事業者を定める政令の制定作業を進めて参りたいと考えております。
 化学品審議会と中央環境審議会がこういう形で合同で審議を行い、統一した結論を導き出していただいたということは、大変画期的なことかと存じます。私ども、引き続き、環境庁、通産省両省庁の緊密な連携の下に、この法律の施行を円滑に進めて参りたいと思います。
 また、この法律の趣旨を踏まえまして、事業者における化学物質管理に関する自主的な取組が一層推進されることを期待いたしますとともに、政府としましても、化学物質管理に関する国民の皆様の理解を深めるよう努めて参りたいと存じます。
 最後に、この答申・報告を取りまとめていただきました化学品審議会の近藤部会長、中央環境審議会の井形部会長をはじめ、物質の選定にあたり多くの時間を費やして座長として多大なる御尽力をいただきました化学品審議会の中西委員、中央環境審議会の鈴木委員に改めて御礼申し上げますとともに、様々な視点から貴重な御意見を頂戴しました委員各位の皆様方に再度感謝の意を表しまして、挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。
【井形部会長】 これで会議を終わりますが、最後に私からも簡単にお礼を申し上げます。
 パイロット事業から立法、そして今日のような答申に至って、長い道のりであったなというのが実感でありますが、その間、委員の皆様方の絶大な御協力によって今日を迎えたことを心から感謝申し上げます。特に専門委員会の先生方には格別の御努力をいただきました。この法律は未来に向けての、世界が注目している我が国の選択ではないかと思います。試行錯誤になると思うのですが、そういう意味で、今後ますます先生方の御協力を得ながら、この芽が大きく育つことを心から記念いたします。
 近藤部会長からも一言御挨拶をいただきます。
【近藤部会長】 積雪による滑走路閉鎖で遅れまして誠に申し訳ございませんでした。特に井形部会長、中西先生には御迷惑をかけまして、ありがとうございました。
 審議会の先生方、この法案に関連する報告案をおまとめいただきましてありがとうございました。
 先ほど3省庁合同の会議ということをおっしゃいましたけれども、少なくとも私は、今回この2つの審議会が合同で審議できたということは、誠に画期的なことであって、歴史上初めてということで、また、すばらしい結果を得られたということも感謝を申し上げたいと思います。今後は、先ほど局長もおっしゃいましたように、いろいろな省庁でこの関係の会議その他が合同で行われて、統一の意見として発表されるような形になれば幸いかと思っております。
 長い間御審議いただきありがとうございます。心から感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
【井形部会長】 さっきの挨拶で、省庁の合同委員会の意義を言うのは忘れました。追加させていただきます。
  以上をもちまして本日の会議を終わります。
                                  --了--