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1 化学物質環境汚染実態調査の概要

 (1)化学物質環境汚染実態調査の経緯
 (2)平成14年度化学物質環境汚染実態調査物質選定検討会
 (3)調査内容

 
(1)化学物質環境汚染実態調査の経緯
 
   「化学物質環境汚染実態調査」(いわゆる黒本調査)は、昭和48年の「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(以下、「化学物質審査規制法」という。)の制定時に、既存化学物質について一般環境中の残留状況の把握を目的として開始し、昭和54年度から63年度までの10ケ年計画で約2千の化学物質からなる「プライオリティリスト」に基づき「第1次化学物質環境安全性総点検調査」の実施、平成元年度から10ケ年計画で約千百の化学物質からなる第2次プライオリティリストに基づき「第2次化学物質環境安全性総点検調査」を実施し、その他関連調査として生物モニタリング、非意図的生成化学物質汚染実態追跡調査、水質・底質モニタリング及び指定化学物質等検討調査が拡充されてきたところである。一方、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(以下、「PRTR法」という。)の施行や「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(以下、「POPs条約」という。)の採択など化学物質と環境問題に係る状況の変化と今日的な政策課題に対応するため、新たな視点に立って再構築を図る必要があることから、本調査について平成13年度から見直しを進め、「第3回中央環境審議会化学物質評価専門委員会(平成14年5月22日開催)」において「化学物質環境汚染実態調査(黒本調査)の見直しについて」が了承された。
 平成14年度からは、見直しの方針に基づき、本調査の結果が、環境中の化学物質対策に有効活用されるよう、各担当部署からの要望物質を中心に選定する化学物質環境汚染実態調査物質選定検討会によるニーズに応じた選定方法とするとともに、初期環境調査、暴露量調査及びモニタリング調査からなる目的別の調査方法により、調査が実施されている。
 
図1 化学物質環境汚染実態調査(概念図)(PDF) 
図2 平成14年度化学物質環境汚染実態調査検討会体系(PDF) 
 
(2)平成14年度化学物質環境汚染実態調査物質選定検討会
 
   各担当部署から要望があった物質及びその他調査が必要な物質として学識経験者からの意見があった物質を調査対象候補物質として、これら候補物質を有害性知見、PRTRデータ及び可能な場合にはそれに基づく環境残留性予測結果、分析技術確立の実現性、社会・行政的必要性の観点から検討するとともに、媒体については、同一物質を複数の媒体で対象にするなど、想定される暴露経路や媒体間の関連等も考慮して選定するため、平成14年6月、7月に「化学物質環境汚染実態調査物質選定検討会(環境保健部長諮問機関)」を開催し、平成14年度調査対象物質について検討し、「平成14年度化学物質環境汚染実態調査」における初期環境調査、暴露量調査及びモニタリング調査の対象物質、媒体を選定した。
 
(3)調査内容
 
1)  初期環境調査
 化学物質審査規制法指定化学物質やPRTR制度の候補物質、非意図的生成物質、環境リスク評価及び社会的要因から必要とされる物質等を対象として、環境残留状況を把握するための調査である。また、必要に応じて分析法の開発や結果の評価を行う。平成14年度は、エピクロロヒドリン、クロロジフルオロメタン、ブロモメタンなど13物質(群)について調査対象とした。また、クロルデコンなど8物質(群)について分析法開発に着手した。
 
2)  暴露量調査
 環境リスク評価に必要なヒト及び生物の化学物質の暴露量を把握するための調査である。平成14年度は、1,2-ジクロロベンゼン、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、ポリ塩化ナフタレン、臭素化ジフェニルエーテル類、ベンゾ[]ピレンなど6物質(群)について調査対象とした。
 
3)  モニタリング調査
 POPs条約対象物質並びに同条約対象物質の候補となり得る性状を有する物質、化学物質審査規制法第1、2種特定化学物質及び指定化学物質のうち環境残留性が高く環境基準等が設定されていない物質で、環境実態の経年的把握が必要な物質を対象として実施するモニタリングである。平成14年度は、POPsとして6物質(群)、その他有機スズ化合物など8物質(群)について調査対象とした。
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