1)調査対象物質
有機スズ化合物のうち、トリブチルスズ化合物及びトリフェニルスズ化合物。
魚類8種、貝類2種及び鳥類2種の計12種を全国20地点(生物種別にみれば、魚類14地点、貝類6地点、鳥類2地点の延べ22地点)で調査した。
3)分析方法の概略
(ア) 分析に供した試料の概要 |
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各地点において採取生物1種につき5検体を調製した。なお、1個体では1検体分の必要量を採取できないもの(例えば、ムラサキイガイ)は、多数の個体をもって1検体とした。
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各個体については、次に掲げる部位を採取し、分析用検体とした。
・魚類:筋肉の部分
・貝類:貝殻を除いたむき身の部分
・鳥類:胸筋の部分
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(イ) 分析用検体の調製方法
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「生物モニタリング調査マニュアル」(昭和62年5月環境庁環境保健部保健調査室)に従って調製した。
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(ウ) 測定法 |
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GC-FPD又はGC/MSにより分析を実施した。 |
4)調査結果
調査結果を
【表10】に示す。
トリブチルスズ化合物は、魚類のみから検出され、貝類、鳥類からは不検出であった。トリブチルスズ化合物の魚類からの検出範囲は 0.05~0.16
μg/g-wet(いずれもTBTO(ビス(トリブチルスズ)=オキシド)換算値)で、検出頻度は、70検体中10検体、地点別検出頻度は、14地点中3地点であった。
トリフェニルスズ化合物は、魚類、貝類から検出された。トリフェニルスズ化合物の魚類からの検出範囲は 0.03 ~ 0.10 μg/g-wet(いずれもTPTCl(トリフェニルスズ=クロリド)換算値)で、検出頻度は、70検体中13検体、地点別検出頻度は14地点中4地点であった。貝類からの検出範囲は
0.02 μg/g-wetで、検出頻度は、30検体中1検体、地点別検出頻度は6地点中1地点であった。
○ トリブチルスズ化合物調査結果(生物モニタリング)
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検出率 (検出数)
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検出範囲
μg/g-wet
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検出限界
μg/g-wet
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(検体)
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(地点)
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魚類 |
平成12年度 |
14% (10/70) |
21% (3/14) |
0.05~0.16 |
0.05 |
平成11年度 |
13% (9/70) |
29% (4/14) |
0.06~0.12 |
0.05 |
貝類 |
平成12年度 |
0% (0/30) |
0% (0/6) |
不検出 |
0.05 |
平成11年度 |
0% (0/30) |
0% (0/6) |
不検出 |
0.05 |
鳥類 |
平成12年度 |
0% (0/10) |
0% (0/2) |
不検出 |
0.05 |
平成11年度 |
0% (0/10) |
0% (0/2) |
不検出 |
0.05 |
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○ トリフェニルスズ化合物調査結果(生物モニタリング)
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検出率 (検出数)
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検出範囲
μg/g-wet
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検出限界
μg/g-wet
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(検体)
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(地点)
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魚類 |
平成12年度 |
19% (13/70) |
29% (4/14) |
0.03~0.10 |
0.02 |
平成11年度 |
14% (10/70) |
21% (3/14) |
0.03~0.05 |
0.02 |
貝類 |
平成12年度 |
3% (1/30) |
17% (1/6) |
0.02 |
0.02 |
平成11年度 |
0% (0/30) |
0% (0/6) |
不検出 |
0.02 |
鳥類 |
平成12年度 |
0% (0/10) |
0% (0/2) |
不検出 |
0.02 |
平成11年度 |
0% (0/10) |
0% (0/2) |
不検出 |
0.02 |
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1)調査対象物質
有機スズ化合物のうち、トリブチルスズ化合物及びトリフェニルスズ化合物。
水質及び底質について、一般環境中での残留状況を把握するため、特定の発生源の影響を直接受けないような調査地点を設定し、全国36地点で調査を実施した。
3)分析方法の概略
環境残留性調査における水質及び底質の調査について各地点ごと3検体ずつGC/MS-SIMにより分析を行った。
4)統一検出限界処理
統一検出限界は、環境残留性調査における水質について、トリブチルスズ化合物が0.003 μg/L、トリフェニルスズ化合物が0.001
μg/L、底質については、トリブチルスズ化合物が 0.8 ng/g-dry、トリフェニルスズ化合物が 1 ng/g-dryとした。
5)調査結果
調査結果を
【表10】に示す。
トリブチルスズ化合物は、水質及び底質から検出された。水質からの検出範囲は、 0.003~0.005 μg/L、検出頻度は102検体中9検体、地点別の検出頻度は34地点中6地点であった。底質からの検出範囲は
0.9~240 ng/g-dry、検出頻度は99検体中81検体、地点別検出頻度は33地点中29地点であった。
トリフェニルスズ化合物が、水質は不検出で底質から検出された。底質からの検出範囲は 1~70 ng/g-dry、検出頻度は96検体中52検体、地点別の検出頻度は32地点中20地点であった。
○ トリブチルスズ化合物調査結果(指定化学物質)
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検出率 (検出数)
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検出範囲
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検出限界
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(検体)
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(地点)
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水質
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平成12年度
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9% (9/102)
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18% (6/34)
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0.003~0.005
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0.003 μg/L
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平成11年度
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15% (16/105)
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23% (8/35)
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0.003~0.010
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0.003 μg/L
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底質
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平成12年度
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82% (81/99)
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88% (29/33)
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0.9~240
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0.8 ng/g-dry
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平成11年度
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83% (85/103)
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86% (31/36)
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0.95~450
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0.8 ng/g-dry
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○ トリフェニルスズ化合物調査結果(指定化学物質)