1) クロロホルムは合成樹脂の原料、溶剤等として用いられ、水道水の塩素処理によっても副生成される。昭和62年7月に指定化学物質に指定された。また、平成5年3月には、水質要監視項目に指定された。
本物質については、昭和63年度から水質、底質及び大気について調査を開始し、平成元年度からは昭和63年度に検出頻度及び濃度の低かった水質及び底質を調査対象から外し、大気についてのみ調査を継続している。また、平成3年度から暴露経路調査も併せて行っている。
2) 大気からの検出範囲は 0.07~17 μg/m3、検出頻度は116検体中116検体、幾何平均値は
0.31 μg/m3、暴露量の範囲は 2.6~130 μg/人・日であった。
室内空気からの検出範囲は 0.20~23 μg/m3、検出頻度は72検体中71検体、幾何平均値は
0.85 μg/m3、暴露量の範囲は6.0~130 μg/人・日、食事からの検出範囲は 1.6~52
ng/g-生重量、検出頻度は72検体中58検体、幾何平均値は 3.5 ng/g-生重量、暴露の範囲は
tr~28 μg/人・日であった。
暴露量に関して地点差はあるものの、いずれの地点も大気、室内空気及び食事の各経路に由来する暴露であった。
今回の調査の結果をこれまでの調査結果と比較すると、残留状況及び暴露状況に大きな変化は認められなかった。
3) クロロホルムについては、環境中に比較的高い濃度で広範囲に残留していることから、環境汚染の状況を注意深く監視するため、今後とも引き続き調査を実施していくことが必要である。
○ クロロホルムの検出状況
|
検出率 (検体) |
幾何平均値
(μg/m3) |
検出範囲
(μg/m3) |
暴露量範囲
(μg/人・日) |
検出限界
(μg/m3) |
平成12年度(大気) |
100% (116/116) |
0.31 |
0.07~17 |
2.6~130 |
0.02 |
平成11年度(大気) |
100% (121/121) |
0.29 |
0.02~4.6 |
1.2~53 |
0.02 |
平成12年度(室内) |
99% (71/72) |
0.85 |
0.20~23 |
6.0~130 |
0.17 |
平成11年度(室内) |
100% (72/72) |
0.90 |
0.20~5.6 |
5.2~37 |
0.01 |
|
検出率 (検体) |
幾何平均値
(ng/g-生重量) |
検出範囲
(ng/g-生重量) |
暴露量範囲
(μg/人・日) |
検出限界
(ng/g-生重量) |
平成12年度(食事) |
80%(58/72) |
3.5 |
1.6~52 |
tr~28 |
1.5 |
平成11年度(食事) |
86%(62/72) |
3.3 |
1.5~18 |
tr~16 |
1.5 |
注:食事の暴露量範囲は調査地域の検出値の加重平均が検出限界値未満の時trとする。