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平成9年度調査

 

ま え が き

 
 現在、化学物質はその用途・種類が多岐・多様で、現在工業的に生産されているものだけで数万種に及ぶといわれており、現在の社会システムやライフスタイルの中で、化学物質の有用性は、私たちの生活を豊かにし、化学物質は私たちに欠かせない物となっています。一方、化学物質は、その生産・使用・廃棄等の仕方によっては、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすおそれがあります。また、化学物質による環境への影響は、内分泌かく乱化学物質問題、ダイオキシン問題に代表されるように一層多様化、複雑化してきています。

 こうした状況に対応するためには、化学物質による人の健康や生態系に与える影響を生じさせるおそれ、即ち「環境リスク」をできる限り定量的に評価することにより総合的に捉え、この「環境リスク」を総体的に低減させる対策(化学物質安全対策)を適切に進めていく必要があると考えられます。

 環境庁では、旧保健調査室時代を含めて昭和49年以来、一般環境中における化学物質の残留状況を継続して調査し、その結果などを 「化学物質と環境」 として公表してきており、平成10年版「化学物質と環境」は、化学物質環境安全性総点検調査など、中央環境審議会化学物質専門委員会において、検討・評価された平成9年度調査の結果を中心に構成されています。これらは、化学物質の「環境リスク」の評価等を行う上で基礎となる情報を提供するものの一つと考えています。

 最後に、本誌に収録された調査にご協力いただいた多くの試験研究機関や研究者の皆様に深く感謝の意を表するとともに、本誌が関係者各位に活用され我が国の環境保全に役立てていただけることを念願いたします。

 
 
平成10年12月
 

環境庁企画調整局
        環境保健部環境安全課