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第1部 平成9年度化学物質環境調査結果の概要


第4章 環境調査結果の評価

[環境調査(水系)]
[環境調査(大気系)]
〔参考文献〕

調査物質(水系)
 1.クロロベンゼン               2.スチレン
 3.1-メチルエテニルベンゼン     4.2,4-ジクロロトルエン
 5.塩化ビニル                   6.2-ブロモプロパン
 7.1-クロロブタン         8.3,4-ジクロロ-1-ブテン
 9.p-tert-ブチルフェノール    10.ノニルフェノール
11.6-tert-ブチル-2,4-キシレノール           
12.4,4'-ジブロモビフェニル    13.テトラフェニルスズ
14.ペンタエリスリトール


調査物質(大気系)
 1.N,N-ジメチルホルムアルデヒド
 2.ピリジン              3.臭化エチル
 4.塩化ビニル                5.1,2-ジブロモエタン
 6.2-ブロモプロパン            7.1-クロロブタン
 8.3,4-ジクロロ-1-ブテン        9.アニリン
10.クロトンアルデヒド         11.PCB

[化学物質環境調査(水系)] 

 水質、底質及び魚類についての平成9年度の調査結果の概要とそれに対する評価は、次のとおりである。なお、調査媒体及び調査地点は、それぞれの化学物質について、調査の必要性が高い媒体、地点を選んでいる。
 環境試料の分析は主として調査地点を管轄する地方公共団体の公害等試験研究機関で行った。試料の性状や、利用可能な測定装置が異なることから、各機関での検出限界は、必ずしも同一となっていないが、ここでは、調査全体を評価する立場から、同一化学物質に対しては実行可能性を考慮して1つの検出限界を設定している。
 今回の調査の結果、14物質中4物質(塩化ビニル、p-tert-ブチルフェノール、ノニルフェノール、テトラフェニルスズ)が、何れかの調査媒体から検出された。調査結果の概要を物質別に示せば、次のとおりである。
 なお、下記の文章中、水質の単位は「ppb」で「μg/L」、底質の単位は「ppm」で、「μg/g-dry」及び魚類の単位は「ppm」で「μg/g-wet」を意味する。また、本調査では試料採取はほとんどが(9-11月)に行われている。


1.クロロベンゼン

(1) クロロベンゼンは、染料、フェノール、アニリンなどの合成中間体、ペイント、ラッカーなどの溶媒、医薬品、香料の原料1)、エチルセルローズの溶媒2)、熱媒体3)としての用途がある。平成8年の輸入・生産量は23,960トンである1)

(2) クロロベンゼンは、昭和51年度の一般環境調査の結果、水質、底質及び魚類のいずれからも検出されなかった(検出限界値:水質 40~200ppb、底質 0.4~4ppm、魚類 1.0ppm)。

(3) 今回の調査の結果、クロロベンゼンは、水質及び底質で検出されなかった(統一検出限界値:水質 0.3ppb、底質 0.019ppm)。

 

 【 参 考 】

   ○クロロベンゼンの製造方法

クロロベンゼンは、ベンゼンを触媒存在下塩素化1)することにより合成する。

   ○クロロベンゼンの検出状況

              (検体)   (地点)    検出範囲     検出限界 
    水質 昭和51年度  0%(0/68)   0%(0/4)    不検出     40~200 ppb
       平成9年度   0%(0/36)    0%(0/12)   不検出        0.3 ppb
    底質 昭和51年度   0%(0/61)   0%(0/4)    不検出         0.4~4 ppm
       平成9年度   0%(0/36)     0%(0/12)   不検出         0.019 ppm
    魚類 平成9年度   0%(0/2)      0%(0/1)    不検出           1.0 ppm

   ○クロロベンゼンの急性毒性試験結果   

   ・ラット     LD50(経口)        1,110 mg/kg
   ・マウス     LD50(経口)        2,300 mg/kg
   ・ウサギ     LD50(経口)        2,250 mg/kg

・皮膚に付けた場合は、一週間連続して接触していても、中等度の紅斑と軽い表皮の壊死しか見られていない。目には痛みと軽い一過性の結膜刺激症状を呈する45)

・中枢神経系の抑制、麻酔作用が主な症状である45)

・イヌに5日/週×13週反復経口投与した場合の無毒性値(NOAEL)は、19mg/kg/日、ラットに同様に13週、あるいは2年間反復経口投与した場合の無毒性値は 250及び120mg/kg/日であった。いずれの場合にも標的臓器は肝臓で、小葉中心性の肝細胞障害と壊死が認められた46)

・変異原性 : TA98、TA100、TA1535、TA1537株を用いた試験では、S9-Mix 添加の有無に関わらず陰性であった11)

   ○クロロベンゼンの生態影響11)   

   ・ニジマス      96時間LC50           4.7 mg/L
   ・甲殻類の一種    96時間LC50           16.4 mg/L
   ・ミジンコ[遊泳阻害] 24時間EC50            4.3 mg/L

 

2.スチレン

(1) スチレンは、ポリスチレン、合成ゴム、不飽和ポリエステル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、イオン交換樹脂、エマルジョン、合成樹脂染料としての用途がある。平成8年の生産量は、 3,085,351トンである2)

(2) スチレンは、昭和52年度の一般環境調査の結果、水質及び底質のいずれからも検出されなかった(検出限界値:水質 2ppb、底質 0.006ppm)。昭和60年度は、底質で7地点中1地点、 21検体中1検体から検出され、水質では検出されなかった(検出限界値:水質 0.1ppb、底質 0.001ppm)。昭和61年度は、水質で41地点中5地点、121検体中7検体、底質で42地点中8地点、125検体中13検体、魚類で41地点中13地点、131検体中28検体から検出された(検出限界値:水質 0.03ppb、底質 0.0005ppm、魚類 0.0005ppm)。

(3) 今回の調査の結果、スチレンは、水質及び底質で検出されなかった(統一検出限界値:水質 0.2ppb、底質 0.0078ppm)。

 【 参 考 】

   ○スチレンの製造方法2)

スチレンは、エチルベンゼンを触媒を用いての脱水素、または、エチルベンゼンを過酸化物とし、これにプロピレンを反応させて得られる。

   ○スチレンの検出状況

              (検体)   (地点)    検出範囲       検出限界 
    水質 昭和52年度  0%(0/3)    0%(0/1)    不検出          2 ppb
       昭和60年度   0%(0/27)    0%(0/9)    不検出        0.1 ppb
              昭和61年度   6%(7/121)   12%(5/41)   0.03~0.5 ppb     0.03 ppb
              平成9年度   0%(0/36)    0%(0/12)    不検出        0.2 ppb
        底質 昭和52年度   0%(0/3)    0%(0/1)    不検出         0.006 ppm
       昭和60年度   5%(1/21)    14%(1/7)      0.001 ppm    0.001 ppm
              昭和61年度  10%(13/125)  19%(8/42)  0.0005~0.0075 ppm  0.0005 ppm
       平成9年度   0%(0/33)     0%(0/11)   不検出        0.0078 ppm
    魚類 昭和61年度  21%(28/131)  32%(13/41) 0.0005~0.0023 ppm  0.0005 ppm

   ○スチレンの急性毒性試験等結果

   ・ラット     LD50(経口)        2,650 mg/kg
   ・ラット     LD50(経口)          12  g/m×4時間
   ・マウス     LD50(経口)         316 mg/kg

・ウサギにスチレン100mgを点眼すると強い刺激性を示す。

・スチレンを胃ゾンデを用いて Fischer344 ラット(投与量:500、1,000、2,000mg/kg)に78週(但し少量群は103週)、B6C3Fマウス(投与量:150、300mg/kg)に78週経口投与した実験では雄マウスで肺のがん及び腺腫の発生率が投与量に対応して上昇したが、対象群(historical control)と比較した場合には催腫瘍性ありとは結論し得なかった。雌マウス及び雌雄ラットの所見を含めてこの実験からは催腫瘍性についての確証は得られなかったと結論されている47)

・変異原性 : Ames試験(TA98、TA100、TA1535、TA1537、TA1538株)で陰性48)

チャイニーズハムスター(CHL、S9-Mix添加)で陰性49)

   ○スチレンの生態影響11)

・ファットヘッド・ミノー            96時間LC50          10 mg/L

・ミジンコ                   48時間EC50          4.7 mg/L

・両棲類の一種               96時間LC50          9.5 mg/L

・藻類(selenastrum capricornutum)  96時間EC50         0.72 mg/L

 

3.1-メチルエテニルベンゼン

(1) 1-メチルエテニルベンゼンは、ABS樹脂の耐熱、対衝撃性の強化、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂の変性、医薬・農薬中間体としての用途がある2、4)。平成8年の生産量は、33,000トンと推定される2)

(2) 今回の調査の結果、1-メチルエテニルベンゼンは、水質及び底質で検出されなかった。(統一検出限界値:水質 0.3ppb、底質 0.0055ppm)。

 【 参 考 】

   ○1-メチルエテニルベンゼンの製造方法2)

1-メチルエテニルベンゼンは、キュメン(イソプロピルベンゼン)の脱水素により合成。またキュメンの酸化でアセトンとフェノールを生産する際副生する。

   ○1-メチルエテニルベンゼンの検出状況

              (検体)   (地点)    検出範囲       検出限界 
    水質 平成9年度   0%(0/36)    0%(0/12)    不検出        0.3 ppb
        底質 平成9年度   0%(0/33)     0%(0/11)   不検出        0.0055 ppm

   ○1-メチルエテニルベンゼンの急性毒性試験等結果

   ・ラット     LD50(経口)        4,900 mg/kg
   ・マウス     LD50(経口)        4,500 mg/kg

・本物質には高濃度暴露に伴い中枢神経系抑制作用がある。また眼や呼吸器の粘膜に対する刺激性があり、長期間皮膚接触を続けると皮膚炎を起こすことがある61)

・変異原性 : ヒト抹消血リンパ球を用いた姉妹染色分体交換試験では弱陽性62)

   ○1-メチルエテニルベンゼンの生態影響11)

・甲殻類の一種(Chaetogammarus marinus)  48時間LC50   4.2 mg/L

 

4.2,4-ジクロロトルエン

(1) 2,4-ジクロロトルエンは、医薬、農薬中間体としての用途がある2)。平成8年の生産量は700トンである2)

(2) 2,4-ジクロロトルエンは、昭和56年度の一般環境調査の結果、水質及び底質のいずれからも検出されなかった。(検出限界値:水質 6~60ppb、底質 0.15ppm)

(3) 今回の調査の結果、2,4-ジクロロトルエンは、水質及び底質で検出されなかった(統一検出限界値:水質 0.4ppb、底質 0.0093ppm)。

 【 参 考 】

   ○2,4-ジクロロトルエンの製造方法

2,4-ジクロロトルエンは、p-クロロトルエンの核塩素後、精留により、3,4-ジクロロトルエンを分離して得る。

   ○2,4-ジクロロトルエンの検出状況

              (検体)   (地点)    検出範囲     検出限界 
    水質 昭和56年度   0%(0/21)    0%(0/7)     不検出      6~60 ppb
              平成9年度   0%(0/36)     0%(0/12)   不検出         0.4 ppb
        底質 昭和53年度  0%(0/21)   0%(0/7)     不検出       0.15 ppm
              平成9年度   0%(0/33)     0%(0/11)   不検出       0.0093 ppm

   ○2,4-ジクロロトルエンの急性毒性試験等結果

・モルモット   LD50(経口)         5 g/kg

・ラットに9週間にわたって、反復平行投与した実験では肝の脂肪変性、腎の尿細管の変性、尿管及び膀胱にも変化を認めた。最小毒性量は28,980mg/kg/9週であった。

   ○2,4-ジクロロトルエンの生態影響11)

・ミジンコ[遊泳阻害]    48時間EC50        0.6 mg/L

・ミジンコ          16日間LC50       0.84 mg/L

 

5.塩化ビニル (環境調査(水系)及び環境調査(大気系)を合わせて評価することとした。)

(1) 塩化ビニルは、ポリ塩化ビニル樹脂,塩化ビニル共重合体(エチレン、塩化ビニリデン、プロポオン酸ビニル等)を製造し、ラテックス(一般塗料、船底塗料、紙のつやだし、接着剤、防湿セロファン等)としての用途1、2、4)がある。平成8年の生産量は、2,920,775トンである1、2)

(2) 塩化ビニルは、昭和50年度の一般環境調査の結果、水質で20地点中1地点、100検体中5検体から検出された。(検出限界値:水質0.05~40ppb)
また、昭和54年度の一般環境調査の結果、大気で16地点中3地点、45検体中7検体から検出され(検出限界値:0.002~2ppb)、昭和55年度には、38地点中6地点、117検体中10検体で検出された(検出限界値:0.02~2 ppb)。

(3) 今回の調査の結果、塩化ビニルは、水質で43地点中5地点、129検体中12検体、底質で40地点中3地点、120検体中5検体で検出された。検出範囲は水質で0.014~0.25ppb、底質で0.0038~0.005ppmであった。(統一検出限界値:水質 0.011ppb、底質 0.0035ppm)。
また、大気で18地点中15地点、53検体中40検体で検出された。検出範囲は 18~2,000ng/mであった(統一検出限界値:15ng/m)。

(4) 以上の調査の結果によれば、塩化ビニルは、水質、底質及び大気のいずれからも検出され、検出頻度は、水質及び底質では低いが、大気では高いと考えられる。
水質、底質及び大気の複数媒体から検出されていることから、今後、詳細な環境調査を行いその推移を監視するとともに、より詳細なリスク評価を行うことが必要である。 

 【 参 考 (水系関係のみ)】

   ○塩化ビニルの製造方法

塩化ビニルは、1,2-ジクロロエタンを分解して製造する。

   ○塩化ビニルの検出状況

              (検体)   (地点)    検出範囲     検出限界 
    水質 昭和50年度   5%(5/100)   5%(1/20)      0.1 ppb     0.05~40 ppb
              平成9年度   9%(12/129)   12%(5/43)  0.014~0.25 ppb      0.011 ppb
        底質 平成9年度   4%( 5/120)    8%(3/40)  0.0038~0.005 ppm    0.0035 ppm

   ○塩化ビニルの急性毒性試験等結果 

	
   ・ラット     LD50(経口)           500 mg/kg

・生殖毒性 : 父親が塩化ビニルに対する職業的暴露を受けている場合、胎児の死亡率が高まっていることが指摘されている5)。しかし動物を用いた催奇形性実験の結果は、なお結論的ではない6)

・催腫瘍性6): 動物実験ではラット、マウス、ハムスターのいずれにおいても陽性。腫瘍の種類としては肝血管肉腫の他に肝細胞がん、ジンバル腺がん、神経芽腫等が報告されている。

・事例   : 塩化ビニルに対する職業的曝露に伴い、典型的には重合缶清掃作業者に肝血管肉腫が発生することが国際的に知られており7)、我が国からも症例が報告されている7)。平均的な潜伏期間は18年と推定されている。

 

6.2-ブロモプロパン

(1) 2-ブロモプロパンは、医薬中間体、農薬中間体、感光剤中間体、各種有機合成用、溶剤としての用途がある2、4)。平成8年の製造量は、100トン(推定)である2)

(2) 今回の調査の結果、 2-ブロモプロパンは、水質及び底質で検出されなかった(統一検出限界値:水質 0.01ppb、底質 0.028ppm)。

 【 参 考 】

   ○2-ブロモプロパンの製造方法3)

2-ブロモプロパンは、イソプロピルアルコールと臭化水素との反応、またはイソプロピルアルコールと臭素との反応により製造する。

   ○2-ブロモプロパンの検出状況

              (検体)   (地点)    検出範囲      検出限界 
    水質 平成9年度   0%(0/36)      0%(0/12)    不検出        0.01 ppb
        底質 平成9年度   4%( 5/120)    8%(3/40)  0.0038~0.005 ppm  0.0035 ppm

   ○2-ブロモプロパンの急性毒性試験等結果

・変異原性: TA100及びTA1535株ではS9-Mix添加の有無に係わらず陽性、染色体異常試験及び小核試験は陰性9)

・事   例: 本物質を用いた部品洗浄作業は1994年2月に開始され、1995年の夏に女子従業員に月経不順が多発していることが報告された。作業者(19~49才) は女子25名、男子8名で、自覚症状及び臨床検査によりこのうち女子17名、男子8名中の女子全員に卵巣機能障害、男子6名に精子数減少が認められた26)

 

7.1-クロロブタン

(1) 1-クロロブタンは、有機金属化学物質中間体、医薬品、アルキルアミン、界面活性剤、アルキルソジウムスルホネート、塩化ビニル安定剤、ブチルメルカプタン、駆虫剤としての用途がある2、4、10)

(2) 今回の調査の結果、クロロブタンは、水質及び底質で検出されなかった(統一限界処理値:水質 0.01ppb、底質 0.028ppm)。

 【 参 考 】

   ○1-クロロブタンの製造方法

1-クロロブタンは、n-ブチルアルコールを塩酸と無水塩化亜鉛で加熱して合成することで得られる。

   ○1-クロロブタンの検出状況

              (検体)   (地点)    検出範囲      検出限界 
    水質 平成9年度   0%(0/36)      0%(0/12)    不検出        0.01 ppb
        底質 平成9年度   0%(0/36)      0%(0/12)    不検出       0.028 ppm

   ○1-クロロブタンの急性毒性試験等結果 

   ・ラット     LD50(経口)          2,670 mg/kg

・ウサギに本物質500mgを点眼した場合軽度の刺激性を示す。また、ウサギの皮膚に本  物質500mgを塗布した場合の刺激性も軽度である62)

   ○1-クロロブタンの生態影響 

・本物質を唯一の栄養源として生育できる細菌が、活性汚泥から単離されている66)

 

8.3,4-ジクロロ-1-ブテン

(1) 今回の調査の結果、3,4-ジクロロ-1-ブテンは、水質及び底質で検出されなかった(統一検出限界値:水質 0.011ppb、底質 0.014ppm)。

 【 参 考 】

   ○3,4-ジクロロ-1-ブテンの検出状況

              (検体)   (地点)    検出範囲      検出限界 
    水質 平成9年度   0%(0/36)      0%(0/12)    不検出        0.011 ppb
        底質 平成9年度   0%(0/36)      0%(0/12)    不検出       0.014 ppm

   ○3,4-ジクロロ-1-ブテンの急性毒性試験等結果 

   ・マウス     LD50(経口)         724 mg/kg     

   ○3,4-ジクロロ-1-ブテンの生態影響

・ファットヘッド・ミノー     96時間LC50          7.17 mg/L

・ファットヘッド・ミノー     96時間LC50       8.51~10.2 mg/L

 

9.p-tert-ブチルフェノール

(1) p-tert-ブチルフェノールは、ポリカーボネート樹脂の分子量調節剤、油溶性フェノール樹脂(接着剤、インキ、ワニスなど)各種合成樹脂改質剤、香料原料、安定剤原料(塩化ビニル)、界面活性剤としての用途がある2、4)。平成8年の輸入・生産量は、10,000トン(推定)である4)

(2) p-tert-ブチルフェノールは、昭和51年度の一般環境調査の結果、水質及び底質のいずれからも検出されなかった(検出限界値:水質 0.2~5ppb、底質 0.01~0.25ppm)。平成8年度では、水質及び底質のいずれからも検出されなかった(統一検出限界値:水質 0.71ppb、底質 0.1ppm)。

(3) 今回の調査の結果、p-tert-ブチルフェノールは、水質で47地点中2地点、141検体中6検体から検出され、底質では検出されなかった。検出範囲は水質で 0.1ppbであった(統一検出限界値:水質 0.08ppb、底質 0.04ppm)。

(4) 以上の調査の結果によれば、p-tert-ブチルフェノールは、水質から検出されているが、水質での検出頻度は低いと考えられることから、現時点では特に問題を示唆するものではないと考えられる。

 【 参 考 】

   ○p-tert-ブチルフェノールの製造方法2)

p-tert-ブチルフェノールは、フェノールに触媒を用いイソブチレンと反応、または フェノールとジイソブチレンを固定シリカアルミナ触媒の存在下反応させて製造する。

   ○p-tert-ブチルフェノールの検出状況

              (検体)   (地点)    検出範囲       検出限界 
    水質 昭和51年度  0%(0/68)   0%(0/20)    不検出       0.2~ 5 ppb
       平成8年度   0%(0/168)   0%(0/56)    不検出         0.71 ppb
              平成9年度   4%(6/141)   4%(2/47)    0.1 ppb        0.08 ppb
        底質 昭和51年度   0%(0/68)   0%(0/20)    不検出       0.01~0.25 ppm
       平成8年度   0%(0/168)    0%(0/56)   不検出            0.1 ppm
       平成9年度   0%(0/168)    0%(0/56)   不検出           0.04 ppm

   ○p-tert-ブチルフェノールの急性毒性試験等結果

   ・ラット     LD50(経口)          3,250 μl/kg
   ・モルモット   LD50(皮膚塗布)        2,520 μl/kg

・ウサギに本物質50μgを点眼した場合強い刺激性を示す。ウサギの皮膚に本物質500mgを塗布した場合の刺激性は軽度である。

   ○p-tert-ブチルフェノールの生態影響11)

・ファットヘッド・ミノー   96時間LC50     4.71~5.62 mg/L

・スナエビ          96時間LC50         1.9 mg/L

 

10.ノニルフェノール

(1) ノニルフェノールは、界面活性剤、エチルセルロースの安定剤、油溶性フェノール樹脂、エステル類マンニッヒ塩基など含窒素中間物の合成原料、殺虫剤、殺菌剤、防かび剤、洗剤、油性ワニス、ゴム助剤及び加硫促進剤、石油系製品の酸化防止剤及び腐食防止剤、若しくは石油類のスラッジ生成防止剤としての用途がある10)。平成8年の製造量は20,000トン(推定)である2、12)

(2) ノニルフェノール(異性体混合物)は、昭和51年度の一般環境調査の結果、水質及び底質のいずれからも検出されなかった(検出限界値:水質 5ppb、底質 0.25ppm)。昭和52年度は、水質で検出されず、底質で1地点中1地点、3検体中3検体から検出された(検出限界値:水質 0.4ppb)。

(3) 今回の調査の結果、ノニルフェノールは、底質で43地点中17地点、129検体中43検体で検出され、水質では検出されなかった。検出範囲は底質で 0.17~1.3ppmであった。(統一検出限界値:水質 1.1ppb、底質 0.15ppm)。

(4) 以上の調査の結果によれば、ノニルフェノールは、底質から検出され検出頻度は高いことから、今後より詳細な環境調査を行いその推移を監視することが必要である。また、内分泌かく乱化学物質の疑いがあるとの指摘があることなどから、今後とも関連情報の収集が必要である。

 【 参 考 】

   ○ノニルフェノールの製造方法2)

ノニルフェノールは、プロピレン3量体であるノネンによりフェノールをアルキル化して製造する。

   ○ノニルフェノールの検出状況

              (検体)   (地点)     検出範囲      検出限界 
    水質 昭和51年度  0%(0/8)    0%(0/1)      不検出            5 ppb
       昭和52年度   0%(0/3)     0%(0/1)      不検出         0.4 ppb
              平成9年度   0%(0/123)   0%(0/42)     不検出         1.1 ppb
        底質 昭和51年度   0%(0/8)    0%(0/1)      不検出            0.25 ppm
       昭和52年度 100%(3/3)    100%(1/1)   0.05~0.07 ppm        -
       平成9年度  33%(43/129)  40%(17/43)   0.17~1.3 ppm      0.15 ppm

   ○ノニルフェノールの急性毒性試験等結果

   ・ラット     LD50(経口)          1,620 mg/kg
   ・マウス     LD50(経口)          1,231 mg/kg
   ・ウサギ     LD50(皮膚塗布)        2,140 μg/kg

・本物質を生後20~21日のラットに1.0、2.0、4.0 mg/匹 で1回腹腔内投与した実験では、子宮体積増加、子宮ペルオキシダーゼ活性上昇等が認められた67)

   ○ノニルフェノールの生態影響

	
   ・ベニザケ              72時間LC50     0.194 mg/L63)

	
   ・エビの一種(Crngon septemsinosa)   96時間LC50     0.4  mg/L11)

	
   ・アメリカンロブスター(Homarus americanus)   96時間LC50     0.2  mg/L11)

	
   ・ムラサキイガイ(Mytilus edulis)      96時間LC50      3   mg/L11)

	
   ・甲殻類の一種(Deriodaphnic dubia)  48時間LC50     0.47 mg/L11)

 

11.6-tert-ブチル-2,4-キシレノール

(1) 今回の調査の結果、6-tert-ブチル-2,4-キシレノールは水質で検出されなかった(統一検出限界値:水質 0.5ppb)。

 【 参 考 】

   ○6-tert-ブチル-2,4-キシレノールの製造方法

2,4-キシレノールのtertブチル化によると推定される。

   ○6-tert-ブチル-2,4-キシレノールの検出状況

               (検体)  (地点)   検出範囲    検出限界 
    水質 平成9年度  0%(0/165)  0%(0/55)   不検出     0.5 ppb

 

12.4,4'-ジブロモビフェニル

(1) 今回の調査の結果、4,4'-ジブロモビフェニルは、水質、底質及び魚類で検出されなかった(統一検出限界値:水質 0.031ppb、底質 0.003ppm、魚類 0.01ppm)。

 【 参 考 】

   ○4,4'-ジブロモビフェニルの製法

4,4'-ジブロモビフェニルはビフェニルの臭素化によって生成すると推定される。

   ○4,4'-ジブロモビフェニルの検出状況

              (検体)   (地点)    検出範囲     検出限界 
    水質 平成9年度   0%(0/156)   0%(0/52)    不検出      0.031 ppb
        底質 平成9年度   0%(0/147)    0%(0/49)   不検出        0.003 ppm
    魚類 平成9年度   0%(0/156)    0%(0/50)      不検出         0.01 ppm

   ○4,4'-ジブロモビフェニルの急性毒性等試験結果

・臭素化ビフェニルは一般に塩素化ビフェニルと類似の毒性を持つが、本物質固有の毒性は不明。

 

13.テトラフェニルスズ

(1) 今回の調査の結果、テトラフェニルスズは、水質で検出されず、底質で42地点中5地点,126検体中9検体、魚類で46地点中4地点、144検体中7検体から検出された。検出範囲は底質で0.0060ppm~0.50ppm(統一検出限界値:0.0058ppb)、魚類で0.0013~0.0053ppm(統一検出限界値:0.00088ppm)であった。

(2) 以上の調査の結果によれば、テトラフェニルスズは、底質及び魚類からは検出されている  ものの、その検出頻度は低いと考えられる。しかし、底質及び魚類で検出されていることか  ら、今後一定期間を置いて環境調査を行いその推移を監視することが必要と考えられる。
なお、今後とも当該物質に関する情報の収集が必要である。

 【 参 考 】

   ○テトラフェニルスズの検出状況

              (検体)   (地点)     検出範囲      検出限界 
    水質 平成9年度   0%(0/159)   0%(0/53)     不検出       0.05 ppb
        底質 平成9年度   8%(9/126)   12%(5/42)  0.0060~0.50 ppm   0.0058 ppm
    魚類 平成9年度   6%(7/144)    9%(4/46)   0.0013~0.0053 ppm  0.00088 ppm

   ○テトラフェニルスズの生態影響11)

・カビの一種(Debaryomyces hansenii)及び細菌類一般に対する最低阻害濃度はいずれも 1,000mg/L以上。

 

14.ペンタエリスリトール

(1) ペンタエリスリトールは、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂原料、ロジンエステル、合成乾性油試薬、塩化ビニル可塑剤、界面活性剤、化粧品、火薬等としての用途がある2)。平成8年の生産量は、27,049トンである2)

(2) 今回の調査の結果、ペンタエリスリトールは、水質及び底質で検出されなかった。(統一検出限界値:水質 0.52ppb、底質 0.06ppm)。

 【 参 考 】

   ○ペンタエリスリトールの製造方法2)

ペンタエリスリトールは、アセトアルデヒド1分子とホルムアルデヒド4分子をアルカリ触媒を用い縮合して製造する。

   ○ペンタエリスリトールの検出状況

              (検体)   (地点)     検出範囲     検出限界 
    水質 平成9年度   0%(0/33)   0%(0/11)     不検出      0.52 ppb
        底質 平成9年度   0%(0/33)    0%(0/11)      不検出         0.06 ppm

   ○ペンタエリスリトールの急性毒性試験等結果 

   ・ラット     LD50(経口)          19,500 mg/kg
   ・マウス     LD50(経口)          25,500 mg/kg
   ・ウサギ     LD50(経口)          18,500 mg/kg
   ・モルモット   LD50(経口)          11,300 mg/kg

・ウサギに飽和水溶液を点眼した場合及び皮膚に塗布した場合いずれも刺激性を認めなかった。しかし50%溶液では軽い刺激性を認めた64)

・ラットに胃ゾンデを用いて本物質を1,000mg/kg/日×28日間反復強制経口投与した実験では、一般状態、体重、血液学検査、血清生化学検査、剖検のいずれについても有意な所見を認めず、無影響量(NOEL)は1,000mg/kg以上と判断された65)

 

[化学物質環境調査(大気系)] 

 本調査は、大気中に化学物質がどの程度残留しているか把握することを目的として行っている。
 平成9年度の調査結果の概要とそれに対する評価は、次のとおりである。なお、調査地点では、特定の排出源の直接的な影響を受けないような地点を選定している。
 環境試料の分析は、主として調査地域を管轄する地方公共団体の公害等試験研究機関で行っており、検出限界については、化学物質環境調査(水系)と同様、各地点の検出頻度を相互に比較するため、同一化学物質に対しては一つの検出限界を設定している。
 今回の調査の結果、11物質(群)中8物質(群)(N,N-ジメチルホルムアミド、ピリジン、臭化エチル、塩化ビニル、1-クロロブタン、アニリン、クロトンアルデヒド、PCB)が検出された。調査結果の概要を物質(群)別に示せば、次のとおりである。
 なお、本調査における試料採取は、ほとんどが秋期(9-11月)に行われている。

 

1.N,N-ジメチルホルムアミド

(1) N,N-ジメチルホルムアミドは、人工皮革またはウレタン系合成皮革、スパンデックス繊維、分析化学用、医・農薬品・染料中間体合成用の溶剤、各種ポリマー溶媒、ガス吸収剤、色素の溶剤の原料としての用途がある1、2、4)。平成5年の輸入・生産量は、51,734トンである。平成8年の輸入・生産量は、36,000トン(推定)である1、2)

(2) N,N-ジメチルホルムアミドは、平成3年度の一般環境調査の結果、17地点中11地点、49検体中21検体から検出された。(統一検出限界値:110ng/m

(3) 今回の調査の結果、N,N-ジメチルホルムアミドは、17地点中12地点、49検体中30検体で検出された。検出範囲は 20~620ng/mであった(統一検出限界値:20ng/m)。

(4) 以上の調査の結果によれば、N,N-ジメチルホルムアミドは、検出頻度が高いことから、今後一定期間を置いて環境調査を行いその推移を監視することが必要と考えられる。

 【 参 考 】

   ○N,N-ジメチルホルムアミドの製造方法2)

N,N-ジメチルホルムアミドはジメチルアミンと一酸化炭素との反応、またはジメチルアミンとギ酸メチルとの反応により得られる。

   ○N,N-ジメチルホルムアミドの検出状況

            (検体)   (地点)      検出範囲     検出限界 
    平成3年度   61%(21/49)   65%(11/17)  110~1,100 ng/m   110 ng/m
        平成9年度   61%(30/49)    71%(12/17)   20~620 ng/m     20 ng/m

   ○N,N-ジメチルホルムアミドの急性毒性試験等結果   

   ・ラット     LD50(経口)          2,800 mg/kg
   ・マウス     LD50(経口)          3,700 mg/kg
   ・ラット     LC50(吸入)          5,000 ppm×6時間
   

・マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌを 23ppm×5.5時間と 426ppm×30分間、合計6時間/日×58回曝露した実験では肝重量の増加と肝機能障害、組織学的には、肝、膵、腎、副腎及び胸腺に変化が認められた66)

・催奇形性: 経口投与による最小毒性量は、マウスでは182mg/kg、ラットでは166mg/kgと報告されている。ウサギの吸入実験では150mgと報告されている。
 ラットに妊娠第6~20日間経口投与した実験では、100mg/kg及びそれ以上の群で母獣の体重増加抑制と飼料摂取低下が、胎仔には100mgおよびそれ以上の群で体重低下が、また200および300mg/kg群で胎仔に頭頂骨と胸骨の骨化遅延を生じた。よって、母獣毒性及び催奇形性の無毒性量(NOAEL)はともに50mg/kgと判断された50)

・変異原性: Ames試験(TA1535、TA1538、TA98、TA100)で陰性。姉妹染色体分体交換試験で陰性。ラット肝細胞を用いた不定期DNA合成試験で陰性。

・事  例: 産業現場における慢性中毒としては、アクリロニトリルからポリアクリロニトリル繊維を製造する現場において、気中ジメチルホルムアミド濃度は大部分が10ppm以下、ほとんどが 20ppm以下であり、稀に30ppmを示す作業環境で働く労働者には、胃痛、頭痛、食欲不振、悪心などの自覚症状が多く、また正常範囲内ではあるが心電図の変化を示した例が報告されている。肝障害は認められなかった51)。 +

   ○N,N-ジメチルホルムアミドの生態影響

   ・ニジマス        96時間LC50       1,020 mg/L11)
   ・ミジンコ        48時間LC50         13 mg/L11)

 

2.ピリジン

(1) ピリジンは、ゴム・塗料工業の塩素性溶剤、工業原料、エタノールの変性、分析用試薬、医薬(スルホンアミド剤、抗ヒスタミン剤、鎮静剤)無水金属塩の溶剤及び反応媒介剤、界面活性剤、加硫促進剤としての用途がある2、10)。平成8年の製造量は、4,000トン(推定)である2)

(2) ピリジンは、平成3年度の一般環境調査の結果、18地点中10地点、49検体中22検体から検出された(統一検出限界値:24ng/m)。

(3) 今回の調査の結果、ピリジンは、20地点中19地点、53検体中43検体で検出された。検出範囲は 10~210ng/mであった(統一検出限界値:10ng/m)。

(4) 以上の調査の結果によれば、ピリジンは、検出頻度が高いことから、今後一定期間を置いて環境調査を行いその推移を監視することが必要と考えられる。

 【 参 考 】

   ○ピリジンの製造方法2)

アセトアルデヒドとアンモニアより、あるいはアンモニアとアセチレンより合成する。

   ○ピリジンの検出状況

            (検体)   (地点)      検出範囲     検出限界 
    平成3年度   45%(22/49)   56%(10/18)    24~90 ng/m    24 ng/m
        平成9年度   81%(30/49)    95%(12/17)   10~210 ng/m     10 ng/m

   ○ピリジンの急性毒性試験等結果

   ・ラット     LD50(経口)           891 mg/kg
   ・マウス     LD50(経口)          1,500 mg/kg
   ・ラット     LC50(吸入)          28,500 mg/m×1時間

・ウサギに本物質2mgを点眼した場合強い刺激性を、本物質 500mgを皮膚塗布した場合には弱い刺激性を示す。

・動物実験では、急性毒性としては麻酔作用と粘膜・皮膚の刺激作用が主である52)

・催奇形性: ニワトリの卵を用いた実験では催奇形性陽性14)。ツノガエルの胚を用いた実験では陽性で96時間ED50は1,200mg/L15)

・催腫瘍性: 反復皮下投与では催腫瘍性は見出されなかった53)。しかし速報によれば飲み水に添加して2年間ラット・マウスに経口投与した実験では雄・雌 のマウスで発がん性を示す明らかな証拠が見出され、雄ラットではある程度の証拠が、また雌ラットでは異論のあり得る程度の証拠が、見出されたと述べられている。

・変異原性: Ames試験、チャイニーズ・ハムスター培養細胞を用いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験はいずれも陰性55)56)

・事   例: 中枢神経系と胃腸の症状をみることが報告されている。頭痛、めまい、不安感、不眠、悪心、嘔吐などが主症状である55)
         125ppmの濃度で1日あたり4時間、1~2週間の曝露を受けた人の場合、一過性の中枢神経系症状が見られたが肝・腎障害は無かった55)

   ○ピリジンの生態影響

	
   ・メダカ(Oryzias latipes)   24時間LC50      400 mg/l
   ・ファットヘッド・ミノー    48時間LC50      115 mg/l
   ・藻類[成長阻害]                   28~120 mg/l

 

3.臭化エチル

(1) 臭化エチルは、医薬品、塩化ビニル安定剤、農薬、冷凍剤などの原料としての用途2、4)がある。平成8年の生産量は、100トン(推定)である2)

(2) 臭化エチルは、昭和58年度の一般環境調査の結果、34地点中5地点、101検体中15検体から検出された(統一検出限界値:0.001~0.017ppb)。

(3) 今回の調査の結果、臭化エチルは、10地点中3地点、30検体中5検体で検出された。検出範囲は 5.9~53ng/mであった(統一検出限界値:5.4ng/m)。

(4)以上の調査の結果によれば、臭化エチルは、検出頻度は低く、現時点で特に問題を示唆するものではないと考えられる。

 【 参 考 】

   ○臭化エチルの製造方法

臭化エチルはエチルアルコールに赤リンを加え、これに臭素を徐々に作用させて得られる2)

   ○臭化エチルの検出状況

            (検体)   (地点)      検出範囲     検出限界 
    昭和58年度   15%(15/101)   15%(5/34)   0.002~0.059 ppb  0.001~0.017 ppb
        平成9年度   17%(5/30)     30%(3/10)    5.9~53 ng/m     5.4 ng/m

   ○臭化エチルの急性毒性試験結果

   ・ラット     LC50(吸入)         26,980 ppm×1時間
   ・マウス     LC50(吸入)         16,230 ppm×1時間

・高濃度では中枢神経系抑制作用があり、モルモットを6,500 ppm×270分曝露した場合、死亡例を生じ、また、24,000 ppm×30分曝露でも死亡し肺・脾の病理組織像に変化が認められた。50,000 ppm×100分では意識を失う57)。 

・生殖毒性: ラット及びマウスを100~1,600ppm×6時間/日×5日/週×14週間反復暴 露した実験では、1,600ppm群のラットに強い睾丸萎縮が、また800ppm群と1,600ppm群のマウスに卵巣黄体の大きさと数の低下が認められた16)

・催腫瘍性: B6C3FマウスとFischer344ラットを臭化エチル0、100、200、400ppm×6時間/日×5日/104週間反復暴露した実験ではマウスに子宮内膜の腫瘍の発生が濃度に対応して上昇した。雄で肝腫瘍の発生が認められたが推計学的な有意性は限界域であった。雄ラットで褐色細胞腫の発生増加が認められたが濃度には対応していなかった16)

・変異原性: Ames試験は陽性17)。チャイニーズハムスターのCHO細胞を用いた姉妹染色分体交換試験は陽性18)。しかし染色体異常試験は陰性18)

・事  例: 6,500 ppmに5分間曝露した場合、めまい、軽度の頭痛及び軽度の眼の刺激が認められた57)。200 ppmの濃度でエーテル様の臭いを感じる57)

 

4.塩化ビニル

  調査結果及び評価は、「化学物質環境調査(水系)」の「5.塩化ビニル」の項を参照。

 【 参 考 】

   ○塩化ビニルの製造方法

塩化ビニルは、1,2-ジクロロエタンを分解して製造する。

   ○塩化ビニルの検出状況

            (検体)   (地点)      検出範囲     検出限界 
   昭和54年度    16%( 7/ 45)   19%(3/16)    0.022~4.0 ppb   0.002~2 ppb
      昭和55年度    16%(10/117)    9%(6/38)   0.02~1.35 ppb    0.02~2 ppb
   平成9年度    75%(40/53)    83%(15/18)   18~2,000 ng/m3      15 ng/m

   ○塩化ビニルの急性毒性試験等結果 

   ・ラット     LD50(吸入)         18,000 mg/kg

・生殖毒性 : 父親が塩化ビニルに対する職業的暴露を受けている場合、胎児の死亡率が高まっていることが指摘されている5)。しかし動物を用いた催奇形性実験の結果はなお結論的ではない6)

・催腫瘍性6): 動物実験ではラット、マウス、ハムスターのいずれにおいても陽性。腫瘍の種類としては肝血管肉腫の他に肝細胞がん、ジンバル腺がん、神経芽腫等が報告されている。

・事  例 : 塩化ビニルに対する職業的曝露に伴い、典型的には重合缶清掃作業者に肝血管肉腫が発生することが国際的に知られており7)、我が国からも症例が報告されている7)。平均的な潜伏期間は18年と推定されている。

 

5.1,2-ジブロモエタン

(1) 1,2-ジブロモエタンは、昭和58年度の一般環境調査の結果、36地点中25地点、108検体中 71検体から検出された(統一検出限界値:0.0003~0.001 ppb)。

(2) 今回の調査の結果、1,2-ジブロモエタンは検出されなかった(統一検出限界値:90ng/m)。

 【 参 考 】

   ○1,2-ジブロモエタンの製造方法10)

1,2-ジブロモエタンは、エチレンの臭素化反応または、鉄の存在下で臭化エチルに臭素を反応させて製造する。

   ○1,2-ジブロモエタンの検出状況

            (検体)   (地点)      検出範囲     検出限界 
   昭和58年度    66%(71/108)   69%(25/36)   0.001~0.067 ppb 0.0003~0.001 ppb
      平成9年度     0%( 0/ 57)    0%( 0/19)     不検出           90 ng/m

   ○1,2-ジブロモエタンの急性毒性試験等結果

   ・ラット     LD50(経口)          108 mg/kg
   ・ラット     LC50(吸入)         4,300 mg/m×30分

・動物の反復蒸気曝露実験によれば 50~100 ppm×数日の曝露でラット、モルモット、ウサギ、サルに肝の脂肪変性、腎障害を生じて死亡する例が認められ、無毒性濃度は、モルモット、ウサギ、サルに対して25 ppm(最高200日反復曝露)であった58)

・催腫瘍性:本物質をラットに雄雌とも約40mg/kg/日×110週、マウスには雄雌とも62mg/kg/日及び107mg/kg/日×78~90週投与した実験ではいずれの群でも前胃の扁平上皮がんが、またマウスではさらに肺がんの発生率が上昇し、発がん性が確認された19)

・生殖毒性:雄のウシに 4mg/kg/日の反復投与により精子形成障害が生じた59)
雄のウサギに本物質を0、15、30、45 mg/kg/日×5日皮下投与した実験では投与量に対応して射精量が低下し、45 mg/kg群では精子の運動量の低下が見られたが、受胎させる能力及び胎仔の発育には変化がなかった60)

・変異原性:Ames試験で陽性20)

   ○1,2-ジブロモエタンの生態影響

   ・シープヘッド・ミノー      48時間LC5011)    4.8	mg/L
   ・メダカ             96時間LC5011)   32.1	mg/L

・本物質を2g/kg飼料添加した飼料を1回ニジマスに経口投与した実験では18ヶ月後に胃に腫瘍の発生が観察されたと報告されている21)

 

6.2-ブロモプロパン

(1) 2-ブロモプロパンは、医薬中間体、農薬中間体、感光剤中間体、各種有機合成用、溶剤としての用途がある2、4)。平成8年(推定)の製造量は、100トン(推定)である2)

(2) 今回の調査の結果、2-ブロモプロパンは検出されなかった(統一検出限界値:200ng/m)。

 【 参 考 】

   ○2-ブロモプロパンの製造方法3)

2-ブロモプロパンはイソプロピルアルコールと臭化水素との反応、あるいはイソプロピルアルコールと臭素との反応で合成により製造する。

   ○2-ブロモプロパンの検出状況

            (検体)   (地点)      検出範囲     検出限界 
   平成9年度     0%( 0/ 57)    0%( 0/19)     不検出           200 ng/m

   ○2-ブロモプロパンの急性毒性試験等結果 

	
   ・マウス     LC50(吸入)          31,171 ppm×4時間

・生殖毒性: 雄ラットを300、1,000および3,000 ppm×8時間/日×7日/週×9週(3,000 ppm群では最高11週迄)で反復曝露した実験では濃度に対応した精子形成阻害及び骨髄の造血機能低下22、23)が認められた。また、雌ラットを100、300、1,000ppm×8時間/日×7日/週×9週で反復曝露した実験では、性周期の乱れ(発情休止期の延長など)が生じ卵巣では閉鎖卵胞の増加と黄体数の減少が認められた24)

・変異原性: TA100及びTA1535株ではS9-Mix添加の有無に係わらず陽性、染色体異常試験及び小核試験は陰性25)

・事  例: 本物質を用いた部品洗浄作業は1994年2月に開始され、1995年の夏に女子従業員に月経不順が多発していることが報告された。作業者(19~49才)は女子25名、男子8名で、自覚症状及び臨床検査によりこのうち女子17名、男子8名中の女子全員に卵巣機能障害、男子6名に精子数減少が認められた26)

 

7.1-クロロブタン

(1) 1-クロロブタンは、有機金属化学物中間体、医薬品製造、アルキルアミン、界面活性剤、アルキルソジウムスルホネート、塩化ビニル安定剤、ブチルメルカプタン、駆虫剤としての用途がある2、4、10)

(2) 今回の調査の結果、1-クロロブタンは、19地点中1地点、57検体中2検体で検出された。検出範囲は210~290ng/mであった(統一検出限界値:200ng/m)。

(3) 以上の調査の結果によれば、1-クロロブタンは、検出頻度は低く、現時点で特に問題を示唆するものではないと考えられる。

 【 参 考 】

   ○1-クロロブタンの製造方法3)

1-クロロブタンは、n-ブチルアルコールを塩酸と無水塩化亜鉛で加熱することで得られる。

   ○1-クロロブタンの検出状況

            (検体)   (地点)      検出範囲     検出限界 
   平成9年度     4%(2/57)      5%(1/19)   210~290 ng/m      200 ng/m

 

8.3,4-ジクロロ-1-ブテン

(1) 今回の調査の結果、3,4-ジクロロ-1-ブテンは検出されなかった(統一検出限界値:60 ng/m)。

 【 参 考 】

   ○3,4-ジクロロ-1-ブテンの検出状況

            (検体)   (地点)      検出範囲     検出限界 
   平成9年度     0%(0/57)      0%(0/19)     不検出      60 ng/m

   ○3,4-ジクロロ-1-ブテンの急性毒性試験等結果

・ラット     LD50(吸入)          2,100 ppm×4時間

   ○3,4-ジクロロ-1-ブテンの生態影響

   ・ファットヘッド・ミノー   96時間LC50        7.17 mg/L11)
   ・ファットヘッド・ミノー   96時間LC50    8.51~10.2 mg/L11)

 

9.アニリン

(1) アニリンは、染料、媒染料、中間物(アニリンソルト、ジエチルアニリン、スルファニル酸、アセトアニリドなど)、ゴムの加硫促進剤、医薬品、有機合成、火薬原料、ペントースの検出試薬、鉄、クロム、鉛などの定量試薬としての用途がある2、4)。生産量は、平成8年に222,374トンである2)

(2) アニリンは、一般環境調査の結果、平成2年度には16地点中1地点、48検体中1検体から検出された(統一検出限界値:150ng/m)。

(3) 今回の調査の結果、アニリンは、14地点中1地点、42検体中1検体で検出された。検出値は18ng/mであった(統一検出限界値:15ng/m)。

(4) 以上の調査の結果によれば、アニリンは、検出頻度は低く、現時点で特に問題を示唆するものではないと考えられる。

 【 参 考 】

   ○アニリンの製造方法2)

アニリンはニトロベンゼンを鉄の微粉と塩素で還元蒸留、触媒を用いてニトロベンゼンを水素で還元、クロロベンゼンをアンモニアと加熱、あるいは、ベンゼンとアンモニアから触媒を用いて反応させて得られる。

   ○アニリンの検出状況

            (検体)   (地点)      検出範囲     検出限界 
      平成2年度    2%(1/48)    6%(1/16)     480 ng/m     150 ng/m
   平成9年度     2%(1/42)      7%(1/14)     18 ng/m     15 ng/m

   ○アニリンの急性毒性試験等結果

   ・ラット     LD50(経口)          250 mg/kg
   ・マウス     LD50(経口)          464 mg/kg
   ・マウス     LC50(吸入)          175 ppm×7時間

・ウサギに本物質 20mgを点眼した場合には中等度、100mgを点眼した場合には強い刺激性を示す。

・催奇形性: ラットを用いた実験によれば、母獣毒性が明らかな投与量でも催奇形性は検出されなかった27)

・催腫瘍性: アニリン塩酸塩を試料に添加して Fischer344ラット(飼料中濃度0.3及び0.6%)及びB6C3Fマウス(0.6及び1.2%)に103週投与した実験ではマウスには催腫瘍性を見出さなかった。ラットでは脾の血管肉腫、脾及び体内各所の腺維肉腫などが発生し催腫瘍性ありと判断された28、29)

・変異原性: Ames試験は陰性である。チャイニーズハムスター培養細胞を用いた染色体異常試験で陰性の報告30、31)があるが、S9Mix添加でアニリン1.0、2.0mg/ml添加時に陽性という報告もある32)。姉妹染色分体交換試験では、チャイニーズハムスター培養細胞を用いた場合陰性30)。ラット肝腺維細胞培養細胞では活性化系を添加せずに陽性33)。シリアンハムスター培養細胞を用いた細胞形質転換試験で陰性34)

   ○アニリンの生態影響

	
   ・ニジマス         96時間LC50       36.2 mg/L11)
   ・ファットヘッド・ミノー  96時間LC50        32 mg/L11)
   ・メダカ          96時間LC50       4,108 mg/L35)
   ・ミジンコ         96時間LC50       0.21 mg/L11)

 

10.クロトンアルデヒド

(1) クロトンアルデヒドはブタノール、クロトン酸、ソルビン酸などの各種化学品及び医薬品原料としての用途がある2、4)。平成8年の輸入・生産量は、8,000トン(推定)である2)

(2) クロトンアルデヒドは、昭和62年度の一般環境調査の結果検出されなかった(統一検出限界値:800ng/m)。平成7度年は、18地点中1地点、54検体中3検体で検出された(統一検出限界値:3,000ng/m)。

(3) 今回の調査の結果、クロトンアルデヒドは、14地点中1地点、42検体中1検体で検出された。検出値は1,600ng/mであった(統一検出限界値:1,000ng/m)。

(4) 以上の調査の結果によれば、クロトンアルデヒドの検出頻度は低いと考えられる。しかし、検出濃度レベルが高い場合があることから、今後一定期間をおいて環境調査を行いその推移を監視することが必要と考えられる。

 【 参 考 】

   ○クロトンアルデヒドの製造方法

クロトンアルデヒドは、アセトアルデヒド2分子を加熱脱水して得られる。

   ○クロトンアルデヒドの検出状況

            (検体)   (地点)      検出範囲     検出限界 
      昭和62年度    0%(0/61)    0%(0/10)      不検出      800 ng/m
      平成7年度    6%(3/54)    6%(1/18)   3,600~5,200 ng/m 3,000 ng/m
   平成9年度     2%(1/42)      7%(1/14)    1,600 ng/m    1,000 ng/m

   ○クロトンアルデヒドの急性毒性試験等結果

   ・ラット     LD50(経口)           206 mg/kg
   ・マウス     LD50(経口)           104 mg/kg

・催腫瘍性: クロトンアルデヒドを0、0.6、6.0mM添加した飲み水でラットを113週飼育した実験では、0.6mM群の27匹のラット中2例に肝細胞癌、この2例を含めた9例に肝の新生物結節を認めた。ただし0.6mM群では腫瘍は認められなかった36)。 ・変異原性: TA100を用いたAmes試験ではS9Mix添加の有無にかかわらず陽性37)、TA98、TA1535、TA1537、TA1538では両条件下で陰性37、38)

   ○クロトンアルデヒドの生態影響

   ・グッピー    14日間LC50     	0.56 mg/L40)

 

11.PCB

(1) PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、昭和29年~昭和46年の生産量は、57,300トン、昭和47年に生産中止になっている41、42)

(2) 今回の調査の結果、PCBは21地点中21地点、63検体中63検体から検出された。検出範囲は、0.044~1.5ng/m*であった。 (* 毒性等量としては、0.00006~0.10pg-TEQ/m

(3) 以上の調査の結果によれば、PCBは、広範囲で検出されていることから、今後とも環境調査を行い、その推移を監視することが必要と考えられる。

 【 参 考 】

   ○PCBの検出状況

            (検体)    (地点)      検出範囲     
   平成9年度     100%(63/63)    100%(21/21)   0.044~1.5 ng/m      

   ○PCBの急性毒性試験等結果

   ・ラット     LD50(経口)        1.3~11.3 g/kg
     (塩素化の程度と位置によって異なる)
   ・マウス     LD50(経口)           2.0 g/kg
   ・ウサギ     LD50(皮膚塗布)      1.3~2.0 g/kg

・本物質の毒性は、塩素原子の位置によって異なる。

・アカゲザルに Aroclor1248 を 0.09、2.5 mg/kg/日×6ヶ月反復投与した実験で死亡率の上昇、成長阻害、脱毛、塩素アクネ、眼のマイボーム腺腫張が認められた。高用量群では各種の上皮組織(皮脂腺、胃粘膜、爪床など)に変化を認めた43)

・ラットに各種同族体を投与した実験によれば肝の腫大、脂肪変性、小胞体の増殖、前がん変化などが認められた43)。塩素数が多いほど一般に毒性は強くなる。

・生殖毒性: ラットを用いた2世代繁殖実験では、Aroclor1254及びAroclor1260に対する無影響量(NOEL)は、各々 0.32及び 7.5 mg/kgと推定された43)

・催腫瘍性: マウスにカネクロル500及びAroclor1254 を15~25mg/kg/日、ラットにAroclor1260及びClophenA60を5mg/kg/日で各々1年以上経口投与した実験で肝細胞がん又は肝腺腫発生の有意な増加が観察された44)

・変異原性: 細菌を用いた変異原性試験で陰性。培養細胞を用いた染色体異常試験で陰性43)

   ○PCBの生態影響

   ・グッピー        96時間LC50       1.31 mg/L11)
   ・ブライアン・シュリンプ 96時間LC50       0.5  mg/L11)
   ・ファットヘッド・ミノー 96時間LC50       0.015 mg/L44)
   ・ブルーギル       96時間LC50       2.74 mg/L44)

 
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