(1) |
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i ) |
トリクロロエチレンは金属脱脂洗浄剤、溶剤等として、また、テトラクロロエチレンはドライクリーニング溶剤、金属脱脂洗浄剤等として用いられている。これら2物質は、昭和62年5月に指定化学物質に指定され、その後、平成元年4月に第二種特定化学物質に指定された。また、平成元年10月から水質汚濁防止法に基づいて排水規制及び地下水浸透規制が行われ、平成5年3月には水質環境基準項目に追加された。他方、大気に関しては、平成5年4月に大気環境指針(暫定値)が定められ、平成9年2月に大気環境基準が定められた。 |
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これら2物質については、昭和63年度から水質、底質及び大気について調査を開始し、平成元年度からは昭和63年度に検出頻度及び濃度の低かった水質及び底質を調査対象から外し、平成9年度からは大気環境基準項目に追加され、大気汚染の状況が常時監視されることとなった大気を調査対象から外した。また、平成2年度からは暴露経路調査も併せて行っている。 |
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平成9年度においては、暴露経路調査を実施した。 |
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ii ) |
(トリクロロエチレンの調査結果) |
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暴露経路調査においては、室内空気からの暴露の範囲は1.2~70μg/人・日(nd~100μg/人・日)であり、食事を介しての暴露の範囲はnd~0.97μg/人・日(nd~tr[統一検出限界値未満の検出限界で分析が行われ、統一検出限界値未満の測定値で検出されたことを示す、以下同じ])であった。暴露量に関して地点差はあるものの、いずれの地点もほとんどが室内空気由来による暴露であった。 |
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これまでの調査結果と比較すると、これらの暴露状況に大きな変化は認められなかった。 |
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(テトラクロロエチレンの調査結果) |
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暴露経路調査においては、室内空気からの暴露の範囲は5.9~67μg/人・日(2.0~63μg/人・日)であり、食事からの暴露の範囲は、nd
~0.69μg/人・日(nd~tr)であった。暴露量に関して地点差はあるものの、いずれの地点もほとんどが室内空気由来による暴露であった。 |
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これまでの調査結果と比較すると、暴露状況に大きな変化は認められなかった。 |
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iii) |
トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンについては、環境中に広範囲に残留していることから、環境汚染の状況を監視するため、今後とも引き続き調査を実施していくことが必要である。 |
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(2) |
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i ) |
四塩化炭素は化学工業原料等として用いられている。昭和62年7月に指定化学物質に指定され、その後、平成元年4月、第二種特定化学物質に指定された。また、平成5年3月には水質環境基準項目に追加された。なお、我が国では、モントリオール議定書に基づき、平成7年末で製造が全廃されている。 |
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四塩化炭素については、昭和63年度から水質、底質及び大気について調査を開始し、平成元年度からは昭和63年度に検出頻度及び濃度の低かった水質及び底質を調査対象から外し、大気についてのみ調査を継続している。また、平成2年度から暴露経路調査も併せて行っている。 |
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平成9年度においても、大気について調査を実施するとともに暴露経路調査を実施した。 |
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ii ) |
大気からの検出範囲は0.012~2.4μg/m3(nd~2.52μg/m3)、検出頻度は128検体中
128検体(126検体中120検体)、幾何平均値は0.62μg/m3(0.40μg/m3)であった。地点別検出頻度は34地点中34地点(32地点中31地点)であった。 |
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暴露経路調査においては、大気又は室内空気からの暴露の範囲は3.3~31μg/人・日(nd~15μg/人・日)であり、食事を介しての暴露の範囲はnd~0.58μg/人・日(nd~tr)であった。暴露量に関して地点差はあるものの、いずれの地点もほとんどが大気及び室内空気由来による暴露であった。また、大気と室内空気には顕著な差はみられなかった。 |
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iii) |
四塩化炭素については、環境中に比較的高い濃度で広範囲に残留していることから、環境汚染の状況を注意深く監視するため、今後とも引続き調査を実施していくことが必要である。 |
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DDT類は、低いレベルながら広範囲に環境中に残留していることから、今後ともモニタリングを続けていく必要がある。 |
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(3) |
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i ) |
クロロホルムは合成樹脂の原料、溶剤等として用いられている。昭和62年7月に指定化学物質に指定された。また、平成5年3月には、水質要監視項目に指定された。 |
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クロロホルムについては、昭和63年度から水質、底質及び大気について調査を開始し、平成元年度からは昭和63年度に検出頻度及び濃度の低かった水質及び底質を調査対象から外し、大気についてのみ調査を継続している。また、平成3年度から暴露経路調査も併せて行っている。 |
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平成9年度においても、大気について調査を実施するとともに暴露経路調査を実施した。 |
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ii ) |
大気からの検出範囲はnd~5μg/m3(nd~22μg/m3)、検出頻度は134検体中122検体(126検体中114検体)、幾何平均値は0.54μg/m3(0.3μg/m3)であった。地点別検出頻度は34地点中33地点(32地点中29地点)であった。 |
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暴露経路調査においては、大気又は室内空気からの暴露の範囲は2.8~62μg/人・日(nd~270μg/人・日)、食事からの暴露の範囲は
3.6~23μg/人・日(tr~18μg/人・日)であった。 |
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暴露量に関して地点差はあるものの、いずれの地点も大気、室内空気及び食事の各媒体に由来する暴露であった。また、大気と室内空気には顕著な差はみられなかった。 |
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これまでの調査結果と比較すると、残留状況及び暴露状況に大きな変化は認められなかった。 |
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iii) |
クロロホルムについては、環境中に比較的高い濃度で広範囲に残留していることから、今後とも引続き調査を実施していくことが必要である。 |
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(4) |
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i ) |
1,2-ジクロロエタンは塩ビモノマー原料、合成樹脂原料等として用いられている。 |
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1,2-ジクロロエタンは昭和62年7月に指定化学物質に指定された。さらに、平成5年3月には、水質環境基準項目に追加された。 |
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1,2-ジクロロエタンについては、平成元年度から水質、底質及び大気について調査を開始し、水質環境基準項目に追加され水質汚濁の状況が常時監視されることとなったこと及び平成4年度に検出頻度及び濃度の低かったことから、水質及び底質に関しては調査対象から外して、平成5年度から大気についてのみの調査とした。また、大気からの検出頻度が高い傾向がみられたため、平成6年度からは暴露経路調査を開始した。 |
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平成9年度においても、大気について調査を実施するとともに暴露経路調査を実施した。 |
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ii ) |
大気からの検出範囲はtr~2.7μg/m3(nd~2.3μg/m3)、検出頻度は97検体中96検体(89検体中77検体)、幾何平均値は0.075μg/m3(0.041μg/m3)であった。地点別検出頻度は32地点中31地点(29地点中26地点)であった。 |
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暴露経路調査においては、大気又は室内空気からの暴露の範囲はtr~13μg/人・日(tr~4.7μg/人・日)、食事を介しての暴露の範囲はnd~1.8μg/人・日(不検出:nd~3.3μg/人・日)であった。 |
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暴露量に関して地点差はあるものの、いずれの地点もほとんどが大気及び室内空気由来による暴露であった。また、大気と室内空気には顕著な差はみられなかった。 |
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これまでの調査結果と比較すると、残留状況及び暴露状況に大きな変化は認められなかった。 |
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iii) |
1,2-ジクロロエタンについては、環境中に広範囲に残留していることから、環境汚染の状況を監視するため、今後とも引続き調査を実施していくことが必要である。 |
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(5) |
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i ) |
1,2-ジクロロプロパンは油脂・アスファルト溶剤、金属脱脂洗浄剤等として用いられている。昭和63年3月に指定化学物質に指定された。また、平成5年3月には水質要監視項目に指定された。 |
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1,2-ジクロロプロパンについては、平成元年度から水質、底質及び大気について調査を開始し、平成2年度に検出頻度及び濃度の低かった水質及び底質を調査対象から外し、平成3年度からは大気についてのみ調査を実施してきた。また、大気からの検出頻度が高い傾向がみられたため、平成6年度からは暴露経路調査を開始した。 |
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平成9年度においても、大気について調査を実施するとともに暴露経路調査を実施した。 |
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ii ) |
大気からの検出範囲はnd~1.9μg/m3(nd~0.46μg/m3)、検出頻度は97検体中93検体(84検体中69検体)、幾何平均値は0.033μg/m3(0.023μg/m3)であった。地点別検出頻度は32地点中31地点(28地点中24地点)であった。 |
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暴露経路調査においては、大気又は室内空気からの暴露の範囲は0.052~6.8μg/人・日(nd~1.8μg/人・日)、食事試料からは平成7年度以降不検出が続いている。 |
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暴露量に関して地点差はあるものの、いずれの地点も大気及び室内空気由来による暴露であった。また、大気と室内空気には顕著な差はみられなかった。 |
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これまでの調査結果と比較すると、残留状況及び暴露状況に大きな変化は認められなかった。 |
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iii) |
1,2-ジクロロプロパンについては、環境中に広範囲に残留していることから、環境汚染の状況を監視するため、今後とも引続き調査を実施していくことが必要である。 |
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(6) |
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i ) |
1,4-ジオキサンは各種工業用溶剤として用いられている。昭和62年10月に指定化学物質に指定された。1,4-ジオキサンについては、平成元年度から調査対象とし、水質及び底質について調査を継続している。 |
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平成9年度においても、水質及び底質について調査を実施した。 |
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ii ) |
水質からの検出範囲はnd~42.8ng/ml(nd~9.02ng/ml)、検出頻度は102検体中70検体(105検体中68検体)、幾何平均値は0.28ng/ml(0.28ng/m)であり、地点別検出頻度は34地点中24地点(35地点中24地点)であった。 |
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底質からの検出範囲はnd~41ng/g-dry(nd~30ng/g-d)、検出頻度は105検体中4検体(108検体中5検体)、幾何平均値は1.7ng/g-dry(1.5ng/g-dry)であり、地点別検出頻度は35地点中1地点(36地点中2地点)であった。 |
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水質、底質ともこれまでの調査結果と比較すると、残留状況に大きな変化は認められなかった。 |
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これまでの調査結果と比較すると、残留状況及び暴露状況に大きな変化は認められなかった。 |
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iii) |
1,4-ジオキサンについては、環境中に広範囲に残留していることから、環境汚染の状況を監視するため、今後とも引続き調査を実施して行くことが必要である。 |