保健・化学物質対策

第4回化審法施行状況検討会 議事録

1.日時

平成27年12月24日(木)15時00分~17時10分

2.場所

経済産業省別館1階101-2、103、105共用会議室

3.出席

<委員>(◎は共同座長)

 赤渕 芳宏 国立大学法人名古屋大学大学院 環境学研究科 准教授

 有田 芳子 主婦連合会 会長・環境部長

◎大塚 直  早稲田大学大学院 法務研究科・同法学部 教授

 亀屋 隆志 国立大学法人横浜国立大学大学院 環境情報研究院 准教授

 蒲生 昌志 国立研究開発法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門 リスク評価戦略グループ長

 菅野 純  国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部長

 崎田 裕子 ジャーナリスト・環境カウンセラー

 鈴木 規之 国立研究開発法人国立環境研究所 環境リスク研究センター センター長

 武林 亨  慶應義塾大学 医学部教授

◎東海 明宏 国立大学法人大阪大学大学院 工学研究科 教授

 平塚 明  東京薬科大学薬学部 教授

 広瀬 明彦 国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 安全性予測評価部長

 古橋 真  電機・電子4団体 環境戦略連絡会 議長代理 (ソニー株式会社 品質/環境部門 環境部 環境渉外担当部長)

 本間 正充 国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 変異遺伝部長

 丸山 修  一般社団法人日本化学工業協会 化学品管理委員会委員長 (住友化学株式会社 執行役員)

<事務局>

 立川 裕隆 環境省環境保健部環境安全課 課長

 福島 健彦 環境省環境保健部企画課化学物質審査室 室長

 近藤 亮太 環境省環境保健部企画課 課長補佐

 髙橋 亮介 環境省環境保健部企画課化学物質審査室 室長補佐

 高橋 一彰 環境省環境保健部環境安全課 課長補佐

 山内 輝暢 経済産業省製造産業局化学物質管理課 課長

 飛騨 俊秀 経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室 室長

 奥村 浩信 経済産業省製造産業局化学物質管理課リスク評価室 企画官

 中沢 潔  経済産業省製造産業局化学物質管理課 課長補佐

 鈴木 章文 経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室 課長補佐

 大久保 晶 経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室 課長補佐

 美上 憲一 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課化学物質安全対策室 室長

 日田 充  厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課化学物質安全対策室 室長補佐

 境 啓満  厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課化学物質安全対策室 衛生専門官

4.議題

1.化審法における適切な化学物質管理と関連する取組について

2.その他

5.議事

○環境省(高橋室長補佐) それでは、定刻になりましたので、第4回化審法施行状況検討会を開催いたします。

 本日の事務局は、環境省が担当させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 委員の皆様におかれましては、年末の御多忙にもかかわらず御出席いただき、まことにありがとうございます。

 現在、崎田委員がまだいらっしゃっていません。また、武林委員からは少し遅れる旨の御連絡をいただいてございます。

 次に、お手元にお配りした資料の確認をお願いいたします。

 議事次第の下に座席表が付いております。その下、資料1、資料2がございます。また、参考資料が1から4までございます。資料の過不足がございましたら、事務局までお知らせください。

 また、後日、今回の検討会の議事概要及び議事録を作成し、公表する予定にしております。議事録案につきましては、後日、事務局から委員の方々に御確認いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ここからの議事進行についてですが、本検討会の共同座長を東海座長と大塚座長にお願いしているところですが、今回の検討会の議事進行は大塚座長にお願いしたいと思います。大塚座長、どうぞよろしくお願いいたします。

○大塚座長 どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議題1の化審法における適切な化学物質管理と関連する取組について、御説明をお願いいたします。

○環境省(高橋室長補佐) それでは、資料1と資料2を順に説明させていただきます。

 まず、資料1、化審法における化学物質管理の状況を御覧ください。

 これまでの検討会では、第2回でリスク評価、第3回で新規化学物質の審査と進めてまいりまして、今回は化学物質管理の状況について報告させていただきます。

 それでは、おめくりいただきまして、1番目、我が国の化学物質管理における化審法の位置付けでございます。

 環境基本法に基づく環境基本計画でございますけれども、平成24年4月27日に閣議決定されました第4次の計画におきまして、第1章の第9節、包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組の中の化審法に関する記述を抜粋してまいりました。一般用途の化学物質につきましては、化学物質審査規制法により規制措置が講じられてきているところでありまして、平成21年に改正され、既存化学物質も含めた包括的管理制度が平成23年度より導入されたところでございます。

 また、中長期的な目標としましては、WSSD2020年目標を達成すること、また、国民の健康や環境を守るとの視点に立って、ライフサイクル全体を通じた化学物質の環境リスクの低減など様々な対策手法を組み合わせた包括的な化学物質対策の確立と推進を図ることとされてございます。

 また、施策の基本的方向につきましては、包括的管理制度を円滑に運用するとともに、特定化学物質及び当該物質が使用された製品による環境汚染を防止するため、流通過程における適切な化学物質管理を行うということになっております。

 また、次のスライドでありますけれども、WSSD2020年目標における位置付けとしましても、我が国では、SAICM国内実施計画を平成24年に策定しております。この中でも環境基本計画と同様に、ライフサイクル全体のリスクの削減の中で化審法が位置付けられております。

 おめくりいただきまして、次が、我が国の化学物質管理における化審法の位置付けでございます。

 我が国では、暴露経路やライフサイクルの段階に応じて様々な法律により化学物質管理が行われてございます。オレンジ色の部分は化学物質審査規制法を示しておりまして、環境経由であり、また、人健康への影響と生活環境動植物への影響は化学物質審査規制法が担当してございます。

 また、他法令との関係でございますけれども、化審法の第47条に基づく規定がございます。化審法を担当しております3大臣が他の法律に基づく措置に資するため、必要に応じて当該他の法律の施行に関する事務を所掌する大臣に対して知見の内容を通知するというものでございまして、このスライド自体は前回の検討会でも御覧いただいているかと思いますけれども、これまでに他の大臣宛てに化審法の知見を通知させていただいてございます。

 また、次のスライドでございますけれども、化審法の対象物質は、他の環境法令でも排出抑制等の対象となってございます。このため、化審法担当部局は、他の法令の担当部局とも連携を密にして、化学物質管理に取り組むことによって、効率的かつ効果的な環境リスク管理に取り組んでいるところでございます。具体的には、化管法に基づくPRTRデータあるいは大防法、水濁法等のモニタリングデータを化審法の評価・管理に活用するとともに、化審法のリスク評価結果を関係部局と共有しているところでございます。個々の化審法の管理対象の物質につきましては、後ほど個々の物質のカテゴリーごとに御紹介させていただきたいと思います。

 また、次のスライドが化審法と他法令の比較であります。化学物質管理において、化審法は他の法律とともに運用してございますけれども、法律の制定の背景や趣旨は様々でございまして、ここでは化審法と他の環境法令について法目的を比較させていただきました。化審法につきましては、人の健康を損なうおそれと動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質の環境汚染を防止するという法律でありまして、新規化学物質審査等の制度を設けるとともに、性状に応じて、製造、輸入、使用等について必要な規制を行うこととさせていただいてございます。

 それでは、次に2番目の項目に移らせていただきます。化審法における化学物質管理の体系と取組状況でございます。ここでは、化審法の体系の全体像を御覧いただくとともに、個々の規制対象物質について御説明させていただきます。

 まず、化審法の体系でございます。

 化審法は、化学物質の有する性状のうち分解性、蓄積性、人への長期毒性、動植物への毒性といった性状と環境中での残留状況とに着目しまして、それに応じて規制の程度や態様を異ならせておりまして、上市後の継続的な管理を実施してございます。対象物質には大きく分けまして4つの種類がございまして、第一種特定化学物質、監視化学物質、第二種特定化学物質、優先評価化学物質となってございます。

 その分け方が13枚目のスライドにございますけれども、難分解性、高濃縮性、長期毒性があるものが第一種特定化学物質、監視化学物質につきましては、難分解性かつ高濃縮性でありますけれども、長期の毒性は不明という状況のものでございます。また、第二種特定化学物質は、人又は生活環境動植物への長期毒性があり、また、相当広範な地域に相当程度残留している、若しくはその状況に至ることが確実というものでございます。優先評価化学物質は、人又は生活環境動植物への長期毒性はないとは言えない、また、環境中に相当程度残留又はその状態に至る見込みがあるものでございます。

 それでは、個々の物質のカテゴリーごとに御説明させていただきます。

 まず、第一種特定化学物質の指定の状況でございます。

 第一種特定化学物質でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、難分解性かつ高濃縮性あり、人又は高次捕食動物への長期毒性ありということで、順次物質が追加されておりまして、現在30物質でございます。また、直近の追加を御覧いただきますと、ストックホルム条約における廃絶等の対象物質について国内担保措置として化審法の第一種特定化学物質に指定することにより対応しておりまして、条約附属書の改定に伴い、対象物質の見直しを行っているところでございます。直近でいいますと、現在2物質群の政令改正についてパブリックコメント中でありまして、この手続が整いますと、さらにストックホルム条約第7回締約国会議で検討された2物質群を対象にすることになってございます。

 続きまして、第一種特定化学物質に関する管理措置でございます。

 第一種特定化学物質は、その性状から環境中の汚染の進行を管理することが基本的に困難でございますので、原則として製造、輸入等を禁止するなど厳格な管理措置を実施しているところでございます。このため、製造、輸入は許可制、原則禁止となってございます。また、使用も制限されておりまして、一部のエッセンシャルユースを除いて使用できないということになってございます。

 エッセンシャルユースの状況でございますが、スライドの16番目でありますけれども、ある用途におきまして、他のものによる代替が困難で使用により被害が生じるおそれがない場合には、エッセンシャルユースとして限定的に使用が認められているところでございます。現在、PFOS又はその塩の1物質群についてエッセンシャルユースが認められているところでございまして、表にありますとおり、エッチング剤の製造、半導体用のレジストの製造、業務用写真フィルムの製造の3つのみが認められております。

 さらに、17番目のスライドでございますけれども、他の化学物質を製造する際に第一種特定化学物質が副生することがわかってございます。副生する第一種特定化学物質が、環境汚染を通じた人の健康を損なうおそれ等がなく、含有割合が工業技術的・経済的に可能なレベルまで低減していると認められるときは、副生成物を第一種特定化学物質として扱わないと化審法の運用の中で取り扱っているところでございまして、例えば顔料中にHCB、又は有機顔料中にPCBが副生することがこれまでに分かってございます。

 その次のスライドでございますが、先ほど見ていただきましたとおり、第一種特定化学物質は、化審法以外の環境法令でも所要の措置が講じられているところでございまして、第一種特定化学物質は30物質ございますけれども、例えば化管法ではそのうち4物質、また、土対法では2物質といったように、他の法律でも所要の措置が講じられているということでございます。

 それでは、次のページに移らせていただきます。第一種特定化学物質の環境中濃度の動向を監視している状況でございます。

 環境省が毎年実施しております化学物質環境実態調査、いわゆる黒本調査では第一種特定化学物質の環境中濃度のモニタリングを実施しておりまして、グラフにはPCBの例を示させていただきました。PCBにつきましては、全体的には横ばい又は漸減傾向ということになってございます。

 続きまして、監視化学物質の指定状況と管理の考え方に移ります。

 監視化学物質は難分解性、高濃縮性で毒性が不明な物質でございまして、現在37物質が指定されているところでございます。また、これ以外の2物質については、以前は監視化学物質だったものが第一種特定化学物質に指定されることによって取消されてございます。

 スライドの21番でございますけれども、監視化学物質に対する他の環境法令による所要の措置を掲載させていただいてございます。監視化学物質37物質のうち化管法では6物質、土対法では1物質といったように他の環境法令でも所要の措置が講じられているところでございます。

 また、監視化学物質は製造輸入数量等の届出が義務となってございまして、それを集計した結果が次の表でございます。

 監視化学物質の製造輸入数量の経年的なトレンドを見ると、基本的には製造輸入数量が右肩下がりになっているということでございます。

 おめくりいただきまして、次は第二種特定化学物質の指定の状況でございます。

 第二種特定化学物質は、高濃縮性の性状を有さない化学物質であっても、環境中の濃度が人や動植物への被害を生じるレベルに達するおそれがあるということで、現在23物質が指定されているところでございます。平成21年改正でリスク評価の体系が構築されまして、リスク評価の結果必要があれば第二種特定化学物質に追加することになってございますけれども、まだ指定実績はないということになってございまして、今指定されている23物質はどれも平成の初めに指定された物質でございます。

 続きまして、第二種特定化学物質の管理の考え方でございます。こちらは先ほどの第一種特定化学物質のように製造輸入の原則禁止ということはなく、まずは環境排出抑制のための技術上の指針を策定すると共に、製造輸入数量を監視、場合によっては制限するというものでございます。

 第二種特定化学物質の製造・輸入数量や出荷量の状況がスライドの25番でございます。トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素は現在も製造輸入数量の出荷実績がありますが、トリブチルスズ、トリフェニルスズにつきましては、現在は製造輸入数量の実績がないということになってございます。

 続きまして、これらにつきまして技術上の指針が定められていますので、その内容を紹介させていただきます。第二種特定化学物質及び第二種特定化学物質が使用された製品でございますけれども、物質ごとや特定の事業ごとに環境の汚染を防止するためにとるべき措置に関する技術上の指針が公表されてございます。その内容ですけれども、例えば施設の構造基準や機械の構造基準、取扱い作業に係る留意点、ハード対策やソフト対策といったものが書いてございます。

 次のページと併せて御覧いただきたいのですが、現在までに5つの技術上の指針が公表されております。物質ごとあるいは特定の事業ごとに内容が変えられております。

 続きまして、第二種特定化学物質の表示義務でございます。こちらも第二種特定化学物質及び使用製品について譲渡・提供の際に、環境汚染を防止するための措置に関し表示すべき事項を表示することが義務となってございます。下表の化審法の表示項目にありますとおり、4つの事項が表示義務の対象となってございます。ただし、これらにつきましては、化学品の分類及び表示に関する世界調和システム、いわゆるGHSの取組が円滑に進むよう、GHSの項目に合わせる形で記載をしていただければ、化審法としても表示がなされているという運用にさせていただいています。

 第二種特定化学物質の化審法以外の環境法令における所要の措置が29枚目のスライドにございます。トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素等につきましては環境基準が設定されておりますし、また、化管法や水濁法、大防法等においても規制対象物質として所要の措置が講じられているところでございます。

 また、第二種特定化学物質の環境排出や検出の状況でございます。先ほど環境基準を御紹介させていただきましたけれども、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンにつきましては、大気や水質の環境基準値が設定されていまして、超過はほぼないという状況でございます。また、四塩化炭素も大気の環境基準値がありまして、他の2物質と同様の状況にございます。PRTRの排出量でございますけれども、大気の排出が減少傾向でありまして、水域の排出は横ばいにあるという状況でございます。

 続きまして、優先評価化学物質に移らせていただきます。

 優先評価化学物質は、平成21年改正で新設された物質のカテゴリーでございまして、リスク評価のために必要な情報を収集できるような措置が設けられているということでございます。これまでに177物質が指定されてございます。また、優先評価化学物質の中にも措置が設けられております。スライド32は技術ガイダンスから抜粋してまいりましたが、優先評価化学物質の製造輸入数量の実績や詳細用途に基づくリスク評価の結果、暴露要件に非該当、つまり相当広範な地域における相当程度の汚染には該当しない物質は、第二種特定化学物質には指定しませんけれども指導及び助言といった措置を講じてリスクを低減することが書いてございます。リスク評価の結果、例えばリスクの推計が精度は十分だが暴露要件に非該当という場合には、矢印にあるとおり製造・数量等の監視や指導及び助言というものがございます。こちらはスライド31の表で見ていただきますとおり、化審法39条に基づく指導及び助言にあたります。

 続きまして、次のスライドに移っていただきまして、一部の優先評価化学物質は化審法以外の環境法令において所要の措置が講じられているところでございまして、優先評価化学物質177物質のうち、化管法であれば例えば103物質が対象になってございます。

 また、環境モニタリングの状況でございますけれども、こちらも黒本調査におきまして基本的なデータを収集させていただいておりまして、特に優先評価化学物質の場合は、監視というよりは化審法のリスク評価に必要な環境モニタリングデータを収集していただいているということでございます。黒い枠の中で詳細環境調査と書いてございますところが優先評価化学物質の残留状況を精密に把握するための調査でございます。先ほど御説明させていただきました第一種特定化学物質の調査につきましては、その下のモニタリング調査があたります。

 続きまして、一般化学物質に移らせていただきます。

 一般化学物質は、既存化学物質及び名称公示後の審査済化学物質でございまして、製造輸入数量、簡易用途等の届出を課しているところでございます。これらについては、まずはスクリーニング評価を実施して優先評価化学物質を指定させていただき、また、その優先評価化学物質のリスク評価を行いまして、必要に応じて第二種特定化学物質に指定し、管理措置を講じていくというものでございます。

 また、優先評価化学物質の指定取消済の一般化学物質というものがございます。例えば平成26年12月に評価していただきましたクロロエチレンの例でございますけれども、こちらは優先評価化学物質のリスク評価の結果、広範な地域での環境汚染により人健康に被害を生ずるおそれがあるとは認められず、また、他法令で管理されていることを踏まえまして、優先評価化学物質の指定取消を行ったところでございます。このような物質はその後、一般化学物質になりますけれども、スクリーニングする際にはリスク評価の結果を踏まえた判断を行うということになっておりまして、具体的な方法については検討することとされているところでございます。

 次のスライドに移っていただきまして、ここからは新規化学物質に移らせていただきます。

 新規化学物質の審査の際の措置でございまして、ここでは事業者への注意喚起を紹介させていただきます。平成26年11月に審議いただきました医薬中間体Aという新規化学物質の例でございます。新規化学物質の審査の際には有害性情報を提出していただきますけれども、当該物質は有害性値PNECが0.0000016mg/Lでございました。その下の優先度マトリックスに書いてございますとおり、有害性クラス1という一番厳しいクラスでは、PNECが0.001mg/L以下の場合に有害性クラス1になってございますけれども、医薬中間体Aはその1,000倍程度の有害性がございました。一方、暴露は1トン未満ということでございました。医薬中間体Aは中間物用途でございましたので、推計排出量は0.01トン程度、つまり1トン未満でございまして、暴露クラスはクラス外ということになります。それをマトリックスに当てはめますと、青い矢印が重なり合ったピンク色の位置にあたりますけれども、優先度外という判定でございまして、優先評価化学物質には該当しないという結果でございました。審議会でもいろいろと御議論いただきまして、例えば仮に当該新規化学物質が一級河川に排出された場合には、PEC/PNEC比は1を超えるのではないかということもありまして、審議会における指摘を踏まえまして、事務局より事業者に取扱いにおける注意喚起を伝達したところでございます。審議会においても、今後は名称未公示の新規化学物質につきましても、一般化学物質と同様の製造輸入数量の実績、簡易用途の届出の義務がございますので、届出の監視を継続し、その実績に基づくスクリーニング評価を実施するということにしております。

 また、同様に新規化学物質の審査の際の措置としましては、低生産量新規化学物質の例がございます。低生産量の新規化学物質の審査におきまして、濃縮度試験の予備試験で魚類への強い毒性が見られる場合には、審議会から指摘いただきまして、事務局より事業者に対して取扱いに関する注意喚起を行っているところでございます。また、同様の指摘でございますけれども、人健康影響の毒性試験であるAmes試験の結果や、また、先ほど申し上げました濃縮度試験の魚類の毒性値等から人健康又は生態影響に懸念のある物質が見つけられる場合には、事務局より事業者に取扱いに関する注意喚起を伝達すべきという指摘がございます。また、事前確認により製造輸入が認められる新規化学物質については、事後の監視の徹底を図るということが附帯決議の中でも言われているところでございます。

 さらに、その他の関連する取組に進ませていただきます。

 まず、情報伝達への指摘でございます。こちらは審議会の答申と国会の附帯決議と2つを紹介させていただきます。まず、前回の化審法改正時の審議会の答申でございます。この項の第2段落目にありますとおり、まずはリスクを判断する具体的な判断基準を示すことが望ましいとされておりまして、その判断基準を明示することによって、事業者におかれましても、自らの責任において管理すべきリスクの程度が具体化されて、例えばハザード情報の収集も促進されるであろうということが書いてありまして、ハザード情報なりそういった化学物質の安全性情報を事業者相互連携の下に川上事業者から川下事業者へと着実に提供することが不可欠であるということが記載されておりました。

 また、次のスライドでありますけれども、この中では、優先評価化学物質につきましては、リスク評価の結果が未定の状態で適切なリスク管理を実施することが困難であるということもありますし、また、対象物質が少なくないということもありますので、こういった状況を踏まえまして、国は優先評価化学物質に対して情報伝達義務を導入すべきか、引き続き検討し、必要に応じて対応すべきであるということが答申されていまして、この結果、現在、優先評価化学物質には努力義務の情報伝達の規定が設けられたところでございます。

 42枚目のスライドでありますけれども、こちらは化審法に基づく情報伝達に関する取組を記載させていただきました。第一種特定化学物質と第二種特定化学物質につきましては、先ほど御覧いただきましたように、物質の名称などが表示義務となってございます。また、監視化学物質と優先評価化学物質につきましては、情報伝達の際にその物質が監視化学物質又は優先評価化学物質であることを提供することが努力義務となっているところでございます。

 また、国が行っております情報提供でございますけれども、新規化学物質の審査情報を公開させていただいてございます。化学物質の安全性情報は、国民の安全・安心の確保と環境保全を進める観点から、積極的に公表することが必要でありまして、NITEさんのホームページにございますJ-CHECKと呼んでおります化審法のデータベースにおきまして、新規化学物質の判定に用いた知見、いわゆる審査シートを公開させていただいたところでございます。

 また、環境省のケミココについて御紹介させていただきます。化学物質情報検索支援システム、通称ケミココというものがございます。化審法あるいは他法令でも規制されている物質を化学物質の専門知識を持たない方も含めて、分かり易くお伝えするためのポータルサイトを運営させていただいているところでございます。

 また、45枚目のスライドでございますけれども、NITEでは、化学物質の番号や名称から有害性情報や法規制情報、国際機関によるリスク評価情報を検索することができるシステム、CHRIPと呼ばれます化学物質総合情報提供システムが公表されているところでございます。

 以上のようなサイトから化審法の官報公示整理番号や他法令の状況などの情報を入手することが可能となってございます。

 また、他法令の情報伝達の取組でございますけれども、化管法と安衛法と毒劇法におきましてSDSによる情報伝達やラベルの表示が義務となってございます。川上企業から川下企業に対して、化管法、安衛法、毒劇法それぞれの法律で定める物質につきまして、SDSやラベルによって情報伝達が行われているということでございます。

 次のスライドで、化管法を御説明させていただきます。化管法では性状及び取扱いに関する情報を提供する義務がございまして、第一種指定化学物質462物質につきましては、PRTRの届出義務とSDSの提供義務の2つがございます。また、第二種指定化学物質100物質につきましては、SDSの提供義務がございます。これらの物質につきましては、化管法に基づいてSDSを用いた情報伝達が行われておりまして、提供しなければいけない情報は、その下のスライドにありますとおり、製品及び会社情報、危険有害性の要約等16項目が設けているところでございます。

 ここまでが資料1の説明でございまして、この後は資料2に移らせていただきます。

 資料2は、化審法における化学物質管理の取組状況と課題の整理について(たたき台)というタイトルで、準備させていただきました。

 1番の化審法における化学物質管理の取組状況につきましては、今まで御説明させていただきました内容を簡潔にまとめておりまして、(1)我が国の化学物質管理における化審法の位置付け、から始まりまして、2-1が第一種特定化学物質、2-2が監視化学物質、3-1が第二種特定化学物質、3-2が優先評価化学物質、そして、4番が一般化学物質、5番が新規化学物質、6番その他という順ですが、内容は先ほど説明させていただいたところですので、説明は割愛させていただきます。

 それでは、2番の化審法における化学物質管理に関する課題の整理から御説明させていただきます。

 (1)環境基本計画、SAICMとの関係でございます。環境基本計画及びSAICM国内実施計画で化学物質管理全般の目的とされているWSSD2020年目標、また、その中で言及されております予防的取組方法の観点から、現在の化審法における化学物質管理や他法令との連携は十分なものとなっているか、十分なものであれば、今後どのようにこの取組を継続していくべきか、不十分であれば、化審法と他法令の一層の連携、事業者の自主的取組の一層の促進を含め、どのような取組を行うべきであるか、と書かせていただいてございます。

 また、(2)は各カテゴリーの規制に関する課題を掲げさせていただきました。

 まず、丸の2つ分が第一種特定化学物質に関するものでございます。

 第一種特定化学物質については、製造輸入の事実上の禁止等の措置を講じてきたところであり、着実にこうした規制を続けていく必要があるのではないか、としております。また、現在、ストックホルム条約ではいくつかの物質が新たな規制対象とすべく提案されておりまして、我が国の知見を積極的に提供して条約における規制対象物質の議論に貢献し、追加されるものがあれば、第一種特定化学物質に追加する等の措置を講じていくべきではないか、としております。また、エッセンシャルユースに係る規定についても、引き続き適切に運用することが必要ではないかとしております。

 また、不純物に含まれる第一種特定化学物質でありますけれども、これまでの運用を引き続き適切に継続するとともに、今後の事業者による取組の状況等を踏まえまして、必要に応じて所要の措置を検討するべきではないかとしております。

 ここからが第二種特定化学物質でございます。

 これまでに指定された第二種特定化学物質でございますけれども、製造輸入数量や環境中の濃度を監視することによって、適切にリスクが管理されているかどうかを評価し、確認する必要があるのではないか、としております。

 また、今後新たに第二種特定化学物質に指定される物質につきましては、評価の際に懸念されたリスクに対処するため、必要な措置を講じていくと共に、リスクが適切に低減されているかどうかを環境モニタリング等によって確認する必要があるのではないか、としております。

 また、優先評価化学物質でございますけれども、広範な汚染を伴わないものの一定のリスクが懸念されるものに対する指導助言について、化審法以外の他法令における取組も踏まえつつ、どのように推進していくべきか。また、指定が取消された優先評価化学物質は一般化学物質になりますけれども、取消後の監視等の取扱いについて検討する必要があるのではないか、としております。

 (3)その他の課題でございます。

 新規化学物質や一般化学物質の中には有害性が非常に強い物質があり、これらについては審査や評価を実施する3省合同審議会において、有害性に係る知見をどのように活用するのかという課題が指摘されているところでございます。これまでは3省合同審議会からの注意喚起、製造輸入数量の実績、簡易用途の届出の監視、それに基づくスクリーニング評価の実施、また、新規化学物質の審査シートの公開等を行ってきたところでございますけれども、リスク管理の観点から、これらの対応で十分であるのか、さらに対応を検討する必要があるのか、としております。また、他法令との一層の連携強化、事業者による自主的な管理の促進、情報伝達等も踏まえまして、化審法がさらに果たすべき役割はあるか、としております。

 説明は以上でございます。

○大塚座長 どうもありがとうございました。大変要領よく御説明いただきました。

 では、ただ今の御説明につきまして、御質問、御意見がございましたらお願いいたします。ある程度御意見をいただいてから、資料2について御意見をさらにいただきたいと思っています。

 平塚委員、お願いします。

○平塚委員 スライド17の副生する第一種特定化学物質の状況の、有機顔料中PCBの副生事案についてお伺いしたいのですけれども。1点目は、PCBが含有している有機顔料を人に使っているという理解でよろしいのでしょうか。顔料なわけですから、実際に使われているのかどうか。2点目は、適用条件の中で「PCB濃度が50ppm以下の場合」と「50ppmを超える場合」があります。その境になっている50ppmの根拠を教えていただきたいと思います。3点目ですが、PCBには同族体がたくさん含まれております。特にコプラナーPCBは非常に強い毒性を持っており、非常に生物濃縮性も高いですし、脂溶性も非常に高いのですが、50ppmというPCB濃度は、こういった同族体に何かフォーカスを絞って分析がなされて、同族体別に濃度が規定されているのかについてお伺いしたいのですが。

○大塚座長 では、事務局お願いできますでしょうか。

○環境省(高橋室長補佐) 第一種特定化学物質の副生につきまして回答させていただきます。

 まず、1点目と3点目の人に使われているかどうかでございますけれども、化審法の場合は環境を経由した汚染を対象とはしておりますが、例えばインクであるとかそういったものは、直接暴露の可能性もあるわけですので、有機顔料中のPCBの副生が起きた後に、3省でまず検討会を立ち上げて、PCBのリスクがどの程度あるのかを検討しました。その結果、かなり安全側の前提でリスク評価させていただきまして、例えばクレヨンをお子さんがちょっとかじってしまうとか、そういうかなり稀なケースでも心配なかろうということはリスク評価の検討会で結論をいただいたところでございます。

 また、PCB濃度50ppmでございますけれども、こちらは海外での取扱いなども含めて、まず、暫定的な基準として50ppmのものは出荷を停止するような措置を取っているところでございます。

○平塚委員 ということは、ここに書かれているような有機顔料は、実際には顔料としては使われていないという認識でよろしいでしょうか。

○環境省(高橋室長補佐) 現在はPCBが50ppm以上入っている有機顔料は使われていないという状況でございます。

○大塚座長 よろしいですか。どうもありがとうございました。他にはいかがでしょうか。

○広瀬委員 2点ほどお聞きしたいのですが。スライド34で優先評価化学物質については環境モニタリング調査を開始、収集中ということですが、177物質のうち一体どの程度を対象に実施するような計画でやられていて、現状どの程度なのかということ。もう一つは、スライド43の新規化学物質の審査情報は、審査した物質のうちどの程度の物質を公開しているかという2点をお聞きしたいです。

○大塚座長 では、事務局、お願いいたします。

○環境省(高橋室長補佐) まず、環境モニタリングの状況でございますけれども、数字は持ち合わせておりませんが、現在177物質全てをモニタリングできているわけではありません。まず、優先評価化学物質に指定された後で分析法の開発から始めますので、今はまだなかなか集まっていないというのが現状でございます。他方、大気汚染防止法や水質汚濁防止法で実施されているモニタリングもありますので、それとは重複しないように調査を進めているところでございます。

○環境省(福島室長) 補足いたしますと、環境モニタリング調査では優先評価化学物質の分析法の開発から始めているところがございます。数え方はなかなか難しいのですけれども、大体のつかみで、毎年10から20物質について対象としているところでございます。正確な数字は手元に持ち合わせておりませんので、次回にでも資料としてお出ししたいと思っております。

○広瀬委員 分析法の開発が先ということですが、分析方を開発する順番は決めていらっしゃるのでしょうか。分析をしやすいほうから始めているのでしょうか、それとも毒性が強い方からとかでしょうか。

○大塚座長 少し細かい話ですが、どうぞ。大事だと思いますので。

○環境省(高橋室長補佐) 特にはないというのが現状でありまして、指定されたものを順番にやっているところでございます。ただ、少し難しいのは、スクリーニング評価の際の毒性値を参考に検出下限値を決めていきますので、不確実係数が大きいような物質はなかなか分析法の開発がはかどらないという状況もございます。

 2点目の審査シートの公開でございますが、今年の7月に公示させていただきました5年前に審査した白物質の審査シートを先週から公開させていただいているところでございます。これから先は、順番に遡って公開を進めていくと共に、毎年5年後の公示がありますので、公示済の物質を公表していきたいと考えてございます。

○広瀬委員 最終的には審査済の審査シートは全て公表されるという理解で良いのでしょうか。時間はもちろんかかりますけれども。

○環境省(高橋室長補佐) はい。

○大塚座長 よろしいでしょうか。他にいかがでしょうか。

 では、有田委員、お願いします。

○有田委員 先ほどの有機顔料中のPCBの副生に関する環境省の回答についてですが、クレヨンは私が提案してリスク評価をしてもらったものでして、この書き方は別に間違ってはいないのですけれども、50ppmは国際基準に合わせてのものだとすると、これは現状の措置ではありますが、今後もまた起こり得ると思うので、見直しのときには、この数字を下げていく話し合いをするのかどうか、それも先ほどの回答に含まれていたのでしょうか。今のところ日本は国際的には割と遅くに50ppmという基準値を決めたと思うのですが。先ほどの平塚委員の質問は、本当に分かっていらっしゃらなくて質問されたのか、確認のために質問されたのかが良く分からなかったもので。

○大塚座長 事務局、お願いします。

○環境省(高橋室長補佐) 今後の扱いでございますけれども、まずは事業者さんにどの程度下げられるのかを出していただいて、取組状況がどうなのかを確認させていただきながら、下げていくべきかどうかを判断していくべきと考えております。まずはこのPCBの暫定的な運用を継続させていただきまして、事業者さんが実際どの程度の数値で製造できるのかを確認していくことが必要なのかなと思っております。

○有田委員 大体30ppmで大丈夫そうなところを50ppmの国際基準にしたと思うのですけれども、今後定期的にヒアリングを行いながら見直しを検討していくことが前提にあるということで良いのでしょうか。

○環境省(高橋室長補佐) まず、運用としては確認させていただいてから判断するのかなと思っております。

○大塚座長 では、鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 スライド9の化審法と他法令の連携についてです。各法令は違うものを見ていると思いますので、各法令が同じ物質をカバーしなければならないとは思ってはいませんが、法令によっては物質の重複が多いものと少ないものがありまして、化審法と化管法と大防法は割合よく重なっているけれども、水濁法はそうではなく、また、第一種特定化学物質はほとんど重複していない。各法令の立場が異なる等の理由が当然あるとは思うのですが、その理由は分析されていないでしょうか。もし分析しているのであれば、化審法と他法令との連携のあり方を考える上で一つの情報になるのではないかと思いましたので、一つの意見として。

 あとは質問ですが、同様の検討を有害家庭用品規制法や労安法、消防法といった法令との間でもされているのでしょうか。消防法までいくと、物質の種類が違い過ぎるかもしれませんが。

○大塚座長 事務局、いかがでしょうか。

○環境省(高橋室長補佐) まず、前段でいただいた御質問ですけれども、例えば第一種特定化学物質ですと、他法令で排出規制を行う前の段階で、製造輸入は原則禁止になりますので、排出規制の法令では対応が必要ないということは当然あるのかもしれません。また、大防法と水濁法で少しずつ違うというのは、水に移行しやすい、あるいは大気に移行しやすいという物質の性質がありますので、化審法で規制されている物質が例えば大気に行きやすい物質であれば大防法と化審法で重なっている、水に行きやすい物質であれば水濁法と化審法で重なっているということはあり得る話なのではないかと思っております。詳細に分析したわけではありませんけれども、簡単に申し上げると、そういうところなのかなと思っております。

○大塚座長 労安法などの他法令との関係はどうでしょうか。

○環境省(高橋室長補佐) 化審法は環境汚染を防止する法律ですので、ここでは比較していない状況でございます。必要があれば、次回以降に資料を準備させていただきたいと思います。

○大塚座長 よろしいですか、鈴木委員。

○鈴木委員 私の関心として、化審法と有害家庭用品規制法や労安法は欧州等の諸外国では一緒になっている部分ですので、可能な範囲で検討していただければ有用な情報になるかなと思います。

○大塚座長 よろしいですか。では、平塚委員、お願いします。

○平塚委員 スライド19の第一種特定化学物質の監視状況のグラフについて御教授いただきたいのですが、貝類と魚類を比較した図で貝類は平成25年度で急激に低下しているのに対して、魚類は若干上がっているような感じがするのですが、この辺りはどのように読み解けば良いのかを御教示いただけますでしょうか。

○大塚座長 事務局、お願いいたします。

○環境省(高橋室長補佐) 検体数や調査地点数に限りがありますので、これ以上の詳細な分析はなかなか難しいと思っております。

○環境省(福島室長) 補足いたしますと、調査地点数や検体数が非常に限られており、割と年ごとのばらつきが出ることがございます。そういうわけで、直近の2年間は乖離がありますが、実際のところはもう少し様子を見なくては分からないと思っておりますが、そこはモニタリング調査の担当部局に確認して、次回以降に改めてお答えしたいと思います。

○大塚座長 よろしいですか。では、そのようにさせていただきます。他にはいかがでしょうか。

 では、崎田委員。

○崎田委員 スライド36について、優先評価化学物質の指定取消済の一般化学物質に対する措置を手厚くする方向は社会も非常に安心できる方向です。ここではクロロエチレンの例が出ており、優先評価化学物質の指定取消を行ったのが平成26年12月ということでちょうど1年前ですが、指定取消済の一般化学物質への対処を検討することとしている※1の文献は平成24年1月に公表された文献です。昨年の指定取消の後、指定取消済の一般化学物質に対してどのような取組を行ってきたのか、どのような検討が進んでいるのかについて、様子を教えていただければありがたいと思います。

○大塚座長 では、事務局、お願いいたします。

○環境省(高橋室長補佐) 資料には平成26年12月と書いてございますけれども、実際の指定取消の告示は平成27年3月に行ってございます。そうしますと、平成27年度の製造輸入実績は来年の4月から6月に提出されることになってございますので、クロロエチレンが一般化学物質になった後の製造輸入数量の実績はまだ報告されてきておりません。製造輸入数量の実績などを見ながら検討したいと考えてございます。

○崎田委員 状況は分かりましたが、リスク評価に係る今後の課題という資料は平成24年1月に公表されていますので、公表後どのような検討が進んできているのかについて、状況を教えていただけますか。資料2にも関わってくるところだと思いますので、よろしくお願いします。

○大塚座長 スライド36の※1のところですよね。

○環境省(高橋室長補佐) すみません、失礼しました。リスク評価に係る今後の課題につきましては、リスク評価手法を作ったときに、検討が足りない事項として課題が5つほど提示されております。その一つが指定取消済の一般化学物質のその後の取扱いになってございます。5つの課題のうち、幾つかの課題については、例えば検討会を立ち上げて有識者の先生方に検討いただいてはおりますけれども、まだどれも確実に結論が出ているものはない状況でございます。

○大塚座長 クロロエチレンではなく、一般的な課題について言及していたのが平成24年ということだと思います。よろしいですか。

 では、鈴木委員。

○鈴木委員 スライド37に非常に毒性が強い物質に対しては審議会の意見を受けて注意喚起を伝達するという内容があります。これは有効な措置だとは思いますが、注意喚起を伝達した後、事業者がどういうアクションを起こしたとか、起こしていないといった回答は受け取っていないのでしょうか。

 もう一点質問ですが、スライド42の情報伝達に係る取組のところで、努力義務がどの程度実施されているのかについて、何か情報がありましたら教えていただければと思います。

○大塚座長 いかがでしょうか。

○環境省(高橋室長補佐) まず、最初の御質問ですけれども、これはあくまで注意喚起ですし、また、法的な拘束力といいますか、特に法に基づくものでもございませんので、基本的には事務局から事業者の方に伝達して、そこで終わりということになってございます。

 2点目でございますけれども、環境省では情報伝達に関して把握しているところはございません。

○大塚座長 経済産業省さんは何かございますか。

○経済産業省(大久保課長補佐) 実際の数は分からないのですが、事業者さんとお話をすると、結構MSDSを書いていらっしゃるようです。自主管理をすごく厳しく行っていて、化審法第12条の優先評価化学物質の条文に書かれているということをきちんと行っている。実際にMSDSを見ていただくと分かるのですけれども、例えば優先評価化学物質に該当するという項目もしっかり書かれており、私は相当数量やっていると認識しております。

○大塚座長 鈴木委員はよろしいですか。他には。

 赤渕委員、お願いします。

○赤渕委員 今まさに御質問にあったスライド42の努力義務について私もお伺いいたします。環境省さんよりも経済産業省さんにお聞きした方が良いのかもしれません。同じような質問で恐縮ですが、努力義務の履行状況をどの程度正確に把握されているのでしょうか。個別の事業者さんとお話した結果ということではなく、より正確な履行状況の把握をやっているのか、把握しているということであれば、それはどのようにやっておられるのでしょうか。

 もう一つ、これは努力義務ではありますけれども、努力義務というのは、義務の違反に対するサンクションが権力的な形で課されないだけですので、努力義務だから事業者は何もしなくても良いというわけでは当然ないわけです。立法府から私人への指図といったことに変わりはありませんので、努力義務でも何かしらやらなければならないということは通常の強制的な履行確保措置が備わった義務的措置と恐らく変わらないのではないかと考えております。このことに関しまして、努力義務の履行を促すために何らかの措置をとられているのかについて確認させていただければと思います。

○大塚座長 これは経済産業省さんにお願いすることになるのでしょうか。

○経済産業省(奥村企画官) 例えば、スライド46にあるように化管法でラベル表示が努力義務になっているのですが、履行を促すために事業者さんに説明会などを行っており、そこで努力義務の内容を周知しております。

○赤渕委員 努力義務の内容の周知というお話ですけれども、それが実際に事業者に履行されているのかの状況の把握についてはいかがでしょうか。

○経済産業省(奥村企画官) 定量的には余り把握していないのが現状でございます。

○赤渕委員 ありがとうございます。

○大塚座長 他にはいかがでしょうか。

○赤渕委員 すみません、今の関連でもう一つだけ確認させていただきたいのですが、事業者さんへの説明会の開催頻度や場所数や参加者の規模がお分かりでしたらお示しいただけますか。

○経済産業省(奥村企画官) 例えば去年は東北、関東、中部などの地域ごとに5カ所で開催しておりまして、大体100名から200名程度の事業者さんの参加をいただいております。

○赤渕委員 経済産業省さんが単独でおやりになるのか、それとも3省ですか。

○経済産業省(奥村企画官) 経済産業省でやっております。

○赤渕委員 ありがとうございます。

○大塚座長 事業者が100から200というのはどの程度のパーセンテージになるのですが。大体で良いのですけれども。

○経済産業省(奥村企画官) そこまでは分かりません。

○大塚座長 分かりました。他にはいかがでしょうか。

 丸山委員、どうぞ。

○丸山委員 努力義務の記載については日化協としても定量的な情報の把握はできていませんが、日化協が出しているSDSの記載事項の確かガイダンスだったと思うのですが、その中には努力義務でも記載するようにと謳っております。

○大塚座長 他にはいかがでしょうか。

○赤渕委員 すみません。もしなければよろしいですか。

○大塚座長 はい、どうぞ。

○赤渕委員 何度も恐縮でございます。こだわって恐縮ですが、努力義務が努力義務に留まっている理由はいかなる点にありますでしょうか。例えば化審法の逐条解説を拝読しましても、優先評価化学物質等の情報伝達が努力義務に留まっている理由については特段の説明がなかったと記憶しております。他方で事業者が遵守すべき義務の内容については、かなり具体的に法律で規定しております。学説では、抽象的あるいは訓示的な、すなわちその内容がふわっとしていて、事業者としても何をやっていいのか具体的によく分からないような努力義務規定を、訓示的・抽象的努力義務規定と呼ぶことがございます。このような規定がある一方で、化審法の第16条などの規定については、事業者が何をすればいいのかが比較的はっきりと決まっており、こうした規定はいわゆる具体的努力義務規定と捉えられるかと思います。これは努力義務にとどまらず、強行的な義務規定であったとしても良いのではないかという気もします。強行的な義務規定といたしましては、第一種特定化学物質や第二種特定化学物質の表示義務が挙げられますが、他方で情報伝達がいわゆる努力義務にとどまった理由をもしご存知でしたら、御教示いただければ大変ありがたく存じます。

○大塚座長 事務局、お願いします。

○経済産業省(大久保課長補佐) 化審法の優先評価化学物質や監視化学物質は確定的なものではなく、調べてみないと特定化学物質にならないような物質です。一方、化管法や安衛法、毒劇法はある程度有害であることが分かった物質であり、そのような違いから来ているように思っております。逐条解説には書いてありませんが。

○大塚座長 赤渕委員、いかがですか。

○赤渕委員 この辺りは今後も検討の余地があると思っています。化管法も科学的にリスクあるいはハザードがはっきり分かっているものもあれば、そうでないものも恐らく指定対象になっていると理解しております。スライド40から41に挙げられている審議会や国会での指摘事項を踏まえるのであれば、こうしたことが今後検討されても良いという気がしております。この辺りにつきましては、意見として述べたいと思います。

○大塚座長 化管法ができた当時は、少なくとも科学的に不確実なものも含めることになっていたので、今のような議論はあり得ると思います。他にはいかがでしょうか。鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 スライド16でエッセンシャルユースの管理状況について御説明いただいたのですが、PFOSをエッセンシャルユースで使用した事業者は2事業者が全てなのでしょうか。

○大塚座長 事務局、お願いいたします。

○環境省(高橋室長補佐) 使用の届出があった際には、経済産業省さんに届出が来まして、その後、環境省に回付していただくこととなってございます。このエッセンシャルユースを用いているのはこの2事業者のみでありまして、今手元に資料はありませんけれども記憶の範囲では、そのうち1社さんは既に使用を廃止されていたと記憶しております。

○大塚座長 鈴木委員、よろしいですか。

○鈴木委員 そうすると、最後の1事業者さんが使用を廃止したら、エッセンシャルユースを指定する意味自体がなくなるということはないのでしょうか。

○環境省(高橋室長補佐) ストックホルム条約でもPFOSのエッセンシャルユースについて見直しのようなことが行われておりますし、また、新たに使いたいという事業者もいるかも知れませんので、慎重に検討して、もし必要がなくなれば当然制度自体を改正することもあり得るのかもしれません。

○大塚座長 よろしいでしょうか。他にはいかがでしょうか。

 崎田委員、お願いします。

○崎田委員 スライド6のWSSD2020の目標達成について、予防的取組方法に留意しつつという文言がここに明確に出てきているのに対して、日本の化学物質政策ではそれがあまり明確に見えていないという思いを持っており、割にいつも発言させていただくのですが、WSSD2020年目標に関連した国際会議が最近開催されたと思うのですが、具体的にどういうところが強調して話し合われたとか、何かそこから学ぶべきものがあったのかについて、関連の方がいらっしゃれば御発言いただければありがたいと思います。

○大塚座長 事務局、お願いします。

○環境省(立川課長) 環境省の環境安全課長です。御指摘の会議はICCM4のことだと思うのですが、予防的という部分を深堀した議論は特にはなされておりません。

○大塚座長 よろしいですか。一般的には重要なことだと思いますけれども、特に最近議論しているわけではないようです。他にはいかがでしょうか。赤渕委員、お願いします。

○赤渕委員 エッセンシャルユースのところで1点確認させていただきたいのですが、2事業者でのうち1事業者が既に使用を廃止しているというのは、それを使わなくても良いような製造方法を新たに開発したとか、あるいは新たな代替物質が見つけたということがあるのでしょうか。

○大塚座長 いかがでしょうか。

○丸山委員 その事業者は日化協に加盟している事業者だと思いますが、エッセンシャルユースという制度ができたお陰で代替品を開発する時間的な猶予ができ、実際に代替品を開発したことでPFOSは使わなくなったということです。

○大塚座長 いかがですか。

○赤渕委員 当たり前のようなことを聞いて恐縮ですけが、代替品についてもある程度のハザード評価やリスク評価をした上で、それで当然安全に使えることを確認されたということでしょうか。

○丸山委員 その通りです。

○赤渕委員 ありがとうございます。

○大塚座長 他にはいかがでしょうか。

 多種多様な意見が出ていたと思いますけれども、割と議論が集中したのは、現在のやり方できっちりした義務付けができているのかという辺りかと思いますが、スライド25の2つ目のポツの環境中の残留の程度の許容限度を考慮した製造輸入数量の制限が必要である旨の認定、予定数量の変更命令あるいは勧告、指導・助言、報告徴収、立入検査に係る規定が適用されたことはないという事実をどう捉えるか。現状は表示義務と技術上の指針だけで対応しているということになると思いますが、それで十分かどうかという問題もあると思います。

 それから、スライド32について、優先評価化学物質に対して指導・助言をするということですが、そこでリスクが低減した場合には一般化学物質に戻すことを想定されていると思いますが、一般化学物質になってしまうと指導・助言がなされないことをどう見るかについても問題があるかなと思われます。

 スライド37については先ほどいろいろ御指摘がございました。スライド38についても、事後監視をどのように徹底していくかについて御指摘があったかと思います。気になることを全部対応するわけにもいかないと思いますが、今のような幾つかの問題点は考えていかなければいけない点ではないかと思います。また、スライド42あるいは46の辺りについても御議論があったと思います。他にはいかがでしょうか。有田委員、お願いします。

○有田委員 先ほど環境省から回答があったICCMの件ですが、今年の9月にジュネーブで開催された会議でも予防的取組方法に関する議論はなかったのでしょうか。

○環境省(立川課長) ICCM4では深堀の議論はなかったということでございます。

○大塚座長 よろしいですか。はい、どうぞ。

○崎田委員 今の御質問につなげて申し上げると、ICCM4で各国ともきちんとやっているという前提なので予防的取組方法の深堀はなかったと理解するのですが、では日本はどうするのか、どういうふうに協調できているのか、できていないのかについては、やはりきちんと整理する必要があるのではないかと思っており、質問させていただきました。

○大塚座長 事務局は、もうこれ以上はないですよね。はい、どうぞ。

○環境省(福島室長) 私も水銀条約の国際交渉の場に何度か出ましたが、予防的取組方法の理念としては定着しております。予防的取組方法をその場その場でどのように適用していくか、あるいは予防的取組方法の考え方を踏まえながら化学物質管理をどのように進めていくのかの判断は、場面、場面で司々が行うということになっているのかなと思っております。

○大塚座長 ありがとうございました。他にはよろしいでしょうか。

 よろしいとすれば、資料2に移りたいと思います。資料2に関しては、前回の東海座長のようにセンテンス・バイ・センテンスで確認させていただきたいと思います。最初の3ページは現状の取組状況の部分ですので、ここはよろしいですよね。ここまでで何かございましたら、いかがでしょうか。

 では、そこはよろしいかと思います。

 2.化審法における化学物質管理に関する課題の整理、の(1)環境基本計画、SAICMとの関係について、環境基本計画及びSAICM国内実施計画で化学物質管理全般の目的とされているWSSD2020年目標及びその中で言及されている予防的取組方法の観点から、現在の化審法における化学物質管理や他法令との連携は十分なものとなっているか。十分なものであれば今後どのようにこの取組を継続していくべきか。不十分であれば、化審法と他法令の一層の連携、事業者の自主的取組の一層の促進を含め、どのような取組を行うべきであるか、この点について御議論がございましたらお願いいたします。

 崎田委員、何かありますか。

○崎田委員 広い意味でいえば、化審法のような制度をきちんと動かしていること自体が予防的取組と言うのかも知れませんが、予防的取組手法の枠組みの中で制度をきちんと運用することで社会との信頼関係をしっかり図っていくことが非常に重要だと思っています。ですから、確かに制度はしっかりと回していただいているけれども、より良くしていくためにはどうしたら良いのかということを常に考えなければいけないと感じています。何となく両面が書かれてありますけれども、もう少ししっかりやるためにはどのような制度設計にすべきか、ここで一回きちんと考えることが重要というくらいの表現にしていただいても良いのではないかという感じはいたします。

○大塚座長 他にはいかがでしょうか。

 はい、鈴木委員。

○鈴木委員 何と言ったらいいか難しいところですが、私個人の意見として申し上げますが、この部分では予防的取組方法をわざわざ特出しているのですが、予防取組方法は近年の化学物質管理の議論ではあまり議論されていないのではないかというのが私の正直な印象です。ですので、これに関して課題はあると思いますが、化審法にすぐに反映できるほど議論が成熟しているかどうかについては、正直あまり分からないという気はいたします。ただ、私が過去の化学物質法令を何年か観察してきて思うところですが、ハザード評価ということをおっしゃる方がおられるのですけれども、単純なハザード評価という呼び方はあまり良くないと思っていて、どちらかというと、やや予防的なものの見方をハザードというインデックスの下にやっているというぐらいに思ったほうが正しい。ハザードだけで評価するなんていう評価方法は、実際には端から存在したことがないのではないかと思っています。PCBのときも、暴露評価という言葉は文章には記載はありませんでしたが、測定値を参照していましたので、ある種リスク評価と同じようなことをやっているのです。

 昔は予防的取組方法をあまり意識せずにやっていたのではないかと思いますが、改めて化審法のようなシステマティックな法令の中で、予防的取組方法をどうやって取り込んでいくことが有効かについては、何度も他の審議会で申し上げていますように、我々は全知全能ではないので、どうしても分からないところは残っている。それを理解した上でどのように反映すれば良いかを考えなければならないわけですから、予防的取組方法を取り入れることは有用なはずですが、ただ、どう取り入れたら良いかと。特にシステマティックな法令の中にどう取り入れたら良いかということについては、もう少し腰を据えて長期的に議論していく必要があると思っており、そういう意味で課題はあると思います。

○大塚座長 他にはいかがでしょうか。

 はい、有田委員。

○有田委員 予防的取組方法に関連して、先ほど出てきたPCBを副生する有機顔料を扱っている日本の繊維関連の業界の対応は非常に早かった。これは自主的な取組の中でやられており、また、経済産業省の発表もかなり早かったと思います。

 議論の場所ということもあるのですが、結果的には海外でもきちんとした予防的取組方法はとっていないという内容の回答があったりして、なかなか議論が進まないということがある。

 まさに有機顔料中PCBの事例が一番良い事例で、積極的にリスク評価しながら予防的に情報も出していただいたなと思います。

 それから、化審法は問題が起こっていないわけではないと思うのですが、少し後退していてあまり動いていないというイメージがあるので、私としても予防的取組方法を化審法の中で位置付けて、もう少し分かり易く整理していただきたいと思います。概念の整理でも何でもいいのですけれども。

 それから、4ページの3行目のところで、化審法と他法令の一層の連携という記載がありますが、連携で良いのか、化審法に全体を取り込んでいくのかという意見がこれまでにもあったと思います。他法令で管理されているので十分だという回答もいただくのですが、どうしてもずれてしまう。私は法律の専門家ではありませんが、家庭用品の問題であるとかそういった問題があるので、他の先生方もいろいろな御意見も出していただければと思います。

○大塚座長 予防的取組方法が化審法の中にどう入っているか、あるいはこれからどう入れるべきかという話は、論文ほどではないのですが以前に文書を書いたことがあります。先ほどの御指摘の点もいくつか、例えば監視化学物質や優先評価化学物質に関して情報提供が強化されている点も関係していると思いますし、あと、スクリーニング評価において有害性情報が不明であっても一定の有害性があるものと同様に扱って次の段階へ進めるところとか、あることはあります。REACH規則の場合はノーデータ・ノーマーケットという方法をとっていますので、予防的取組方法を非常に重視しているということになると思います。もちろん、その方法をとらなくても絶対に法原則にならないとかそういうことではないので、各国がそれぞれで対応しているということなのだと思います。

 どういう場面において、科学的な不確実性の下で対応が必要かについて検討していくことになるかと思いますが、個々の細かい対応の話や規制の話になってくるので、全体の理念としては大事だとは思いますが、予防的取組方法を入れるから直ちに何をするのは少しどうかなという感じはいたします。

 むしろ有田委員が御発言された化審法と他法令との関係、連携や、むしろ化審法に取り込んでいくべきではないかという御議論もございます。これは予防的取組方法との関係の問題だけではないかも知れませんが、こちらの方が議論し易いかもしれません。さらに何か御議論はございますでしょうか。

 では、菅野委員、お願いします。

○菅野委員 PCBの捉え方は何通りかあるように拝聴しているのですが、やはり他法令との関係も含めると、どうしても事故対応を考えざるを得ないのかなと思います。カネミ油症の事案では、要するにPCBの毒性がよく分からない、あるいは急性毒性があまりないものだから、薄いパイプ1枚を隔てて熱媒体としてPCBを使って、油の脱硫、脱臭でしたか、加熱に使ってピンホールがあったため混入してしまった。少しでも口に入れば危だということをもしも知っていれば、PCBを食品の加熱になど使わなかったと思います。これも一つのPCB問題の発端です。

 ハザードがあって分解せずに蓄積するのは危ないから、まず分解性と蓄積性を試験しているわけです。暴露が起こっていないある意味予防的な段階では、慢性的なハザードがありそうということは誰かが判断して対処する必要があると思うので、今後こういうところを論議する際には含めていただけていればありがたいと思います。

○大塚座長 重要な点だと思いますので、予防的取組方法の中でも議論していければと思います。

 東海委員、お願いします。

○東海委員 資料1のスライド7で関連法との関係の図が出ておりましたが、この図と環境基本法との関係はどうなっているのでしょうか。私の理解では、環境基本法の中には確かおそれという言葉が入っており、既にリスクの概念が入っていると思います。いわゆる環境負荷の定義の中で、直接、間接の影響を与えるおそれも含めて環境負荷とみなしていたと思います。それから、この場合の影響というのは、アンウォンテッド・アウトカム全体を含めていると記憶しております。化学物質管理のライフサイクルステージを覆うような形で環境基本法が位置付けられているとすれば、いわゆる予防的観点で取り組んでいるということを一つ明確に言えるのではないかと感じました。その理解が間違っていないかどうかについて、確認させてもらえればと思います。

 もう一つありまして、個別的な議論は専門の委員会で議論することがやはりふさわしいと思います。化審法は、このようにカテゴリー化した上で全体をきっちり見渡しながら、化学物質管理全体としてリスクが管理されていることを確認しながら、WSSD2020年目標に貢献しようとしています。現行法で進めているリスクベースの評価の運用の部分をひと工夫し、これまでの取組は継続していこうという方針を持てているわけですから、継続にあたって、これまでの枠組みをどのようにひと工夫すべきかという観点で本日の資料を読ませてもらいました。例えばスライド37のような当然例外に属するような事例は出てきますが、これまでの評価の枠組みは全体を見据えて、評価した結果を踏まえてカテゴリーに分けて監視し、必要な指導をしていくという意味では機能している。そこで例外になるようなものに関しては、技術的な検討によって対応を進めていくというようなまとめ方もできるのではないかと感じた次第です。情報伝達の義務化といった議論もありましたけれども、規制と自主管理のベストミックスの姿を明確にしていくことがこれからの化学物質管理の加速化に向けての一つのポイントになるのではないかと感じております。

○大塚座長 特に第1点は御質問だと思いますけれども、事務局、いかがでしょうか。

○環境省(近藤課長補佐) 環境基本法第2条におきまして、環境への負荷を環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものと定義しております。これについて私も記憶が定かではありませんが、環境基本法の解説というコメンタールがございまして、おそれをどう捉えて、環境負荷にどう向き合っていくのかについては、個別法での考え方がまた別途ありましょう、という記載があったように思います。

 努力義務をどう考えるのか、あるいは罰則をどう考えるのかについては、やはり全体の体系として各法律の目的がどうであり、各法律が対象とする環境負荷がどういうふうにカバーされ、制度としてしっかりしたものになっているかを見るべきですので、当然法律の規定だけではなくて、運用でできる部分はあるかもしれませんが、全体としてしっかり評価をしていくということが基本法の観点からは必要になってくると思っております。

○環境省(高橋室長補佐) 2点目の御質問について御報告させていただきます。この新規化学物質の審査の際に、3省合同審議会でどういう議論があったかということでございます。3点ありまして、一つは現行のルールでは、やはりこれは優先指定しないという結論でございました。二つ目は、これまでやってきたように事業者に対して注意喚起してほしいということでございました。三つ目は、優先度マトリックスのルールになかなか当てはまらないものへの対処を別途検討してほしいというものでして、座長に取りまとめていただきました。また委員の一人からは、こういうものは化審法の見直しにおいて議論してほしい、個別の審査をしている時にはなかなか議論するのは難しいというコメントがございました。

○大塚座長 では、赤渕委員、お願いします。

○赤渕委員 当然のこととして恐らく確認しておかなければならないのは、化学物質による問題あるいは化学物質による被害が現在生じていないから、特に何もやらなくていいということにはならないということです。それは、予防的取組方法といった概念をわざわざ持ち出すまでもなく、環境法ですと予防原則に対置するものとして未然防止原則というのがございますけれども、その未然防止の観点から言えるのではないかと思います。そのような被害が生じていないから、現状何もやらなくても良いといった思考から脱却する必要があるということを、念のためではございますが、確認させていただきたいと思います。これが一点目でございます。

 二点目といたしましては、リスクベースの管理といったことが化審法の2009年改正で特に強調されたわけですけれども、先ほど既に御指摘があったことと全く同じことの繰り返しで恐縮ではありますが、リスクベースの管理においてもハザードベースの管理は決して駆逐されるわけではなく、依然として一定の役割が当然あるであろうと思います。ここでのハザードベースの管理とは、暴露量ないしは暴露可能性が明らかでない場合において化学物質のハザードに着目して行われる管理のことを指しております。ここで予防原則ないしは予防的取組方法の考え方を持ち出しても良いのですが、特に予防的取組方法などの考え方を持ち出さずとも、ハザードベースの管理には一定の役割があることも言えると思います。念のため予防的取組方法の考え方をここで持ち出しても良いとは思いますけれども。繰り返しになりますが、リスクベースの管理においてもハザードベースの管理というのは一定の役割を果たすということは、個人的意見として申し上げておきたいと思います。

○大塚座長 事務局から何かございますか。未然防止原則は、当然環境基本法にも入っている考え方ですので、予防原則を言わなくても、被害が発生していないから何もしなくても良いということにはならないというのは、そのとおりだと思います。

 広瀬委員、お願いします。

○広瀬委員 他法令との枠組みをしっかり考えていただきたいという点はもちろんそうで、先ほど鈴木委員が言ったように、実はそれほど検討してきていないということと少し関係するのですが、現在第二種特定化学物質に指定されている物質は全部大防法でカバーされています。先ほどクロロエチレンが優先から一般に戻ったという話がありましたけれども、見方を変えると、大防法できちんと管理しているから、要するに製造は制御しなくても、出口できちんと管理していたから多分全体的に進めてきたことが働いて、結果的に管理されている。第二種特定化学物質に指定されたのが先なのか大防法が先なのかは良く分からないが、なぜ大防法にクロロエチレンが指定されたのか考えると、それはやはりある程度の暴露とある程度のリスクがあったからだと思います。先ほどの予防原則というのは、まだ管理されていない物質に対してどうするかということであって、実は大防法とか水濁法とか土対法で管理されている物質は、既に管理されているわけですよね。第二種特定化学物質というラベルはついていないですが、社会的には管理された状態になっているはずなので。

 ここからは私の意見ですが、例えば4ページの22行目以降、優先評価化学物質に指定された物質には環境モニタリングを行う必要性があるが、大防法で管理されている物質は後回しにする。優先評価化学物質には2種類ありまして、大防法で管理されている物質と、毒性が不明で暴露状況も分からない物質の2種類です。WSSDまで持ち出すつもりはないのですが、まだ暴露も毒性もはっきりしない物質を優先的に予防的に取り組むという方針を加えていただければと思っています。

○大塚座長 いかがでしょうか。クロロエチレンは、一般化学物質に戻ってしまったのに管理できるかという話があったと思います。もちろん予防原則とか予防的取組方法なんて言わなくていいと思いますが、そこの管理をどうするかという話かと思います。後半の御発言は私もそのとおりだと思いますが、事務局、何かございますか。

○環境省(高橋室長補佐) 先生もおっしゃるように、他法令でしっかりと管理されているかどうかということがあると思います。また、例えば大防法もそうですが水濁法は、特定の事業場からの排水や廃棄物に少し限定されておりますので、全般的に環境汚染がどうなっているのかというのは、どこかで確認する必要があると思いますが、その優先順位をどうするかについては別途議論が必要かなと思っております。

○大塚座長 では、鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 私が予防的な方法に課題があると申し上げているのは、多分大塚座長とは全然違っていて現場的な関心でして、事前にリスクアセスメントのレールを敷いた上に予防的に取組もうとしても、非常にやりにくい場面があるというのが私の実感でして、そこをもう少し柔軟にやらないと、あるいは違う形でアプローチする方法を考えた方が有効ではないかというのが私の技術論的な考えであり、そういうことを申し上げております。当然、そのようなやり方は法律論的には一つのやり方だとは思いますし、それがあることは分かっているのですが。

○大塚座長 (1)のところはその程度でよろしいでしょうか。

 はい、どうぞ。

○有田委員 予防原則や予防的取組方法の観点から見ると、現在の化審法における他法令との連携は、十分なものになっているのかについて、何か専門的な御意見があれば聞かせていただきたいと思います。ここを取り残して次に行って良いものかと思いますが。

○大塚座長 わかりました。化審法と他法令の連携が十分かとうかというあたりに関して、いかがでしょうか。

○環境省(福島室長) 先ほどの広瀬先生から御指摘いただいた大防法との関係はそのとおりだと思いますが、大防法も幾つかカテゴリーがあって、環境基準があって、それこそ煙突からの排出規制値を定めているものもあれば、有害大気汚染物質として事業者に自主的な管理といいますか、排出抑制を求めるふわっとしたもの、その中でもある程度評価が終わっていて指針値があるもの、指針値はないけれども排出抑制を求めるものなど、様々なカテゴリーがあると思っております。

○広瀬委員 先ほどの発言の趣旨は、要するに環境モニタリングのリソースは限られているので、効率的に予防的に化学物質全体を見ていくという観点からすると、現在ある程度管理されていないところにも手を回す余裕を持ったほうが良いというものです。

○環境省(福島室長) 他法令の管理の仕方には濃淡がございますので、御指摘も踏まえて、そういう関係を整理したいなと思っております。

○大塚座長 よろしいでしょうか。(1)についてもまだ議論を続けていただいても構いませんが、(2)にも入っていかないと後ろのほうが詰まっていますので、(2)の最初の丸ですけれども、第一種特定化学物質については、製造輸入の事実上の禁止等の規制を講じてきたところであり、着実にこうした規制を続けていく必要があるのではないか。あと、エッセンシャルユースのところのあたりも含めて、いかがでしょうか。特に問題ないですか。

 はい、鈴木委員。

○鈴木委員 第一種特定化学物質については、一部の物質で代替物質の議論が出ていると思うのですが、化審法では代替物質について検討する考えはあるのですか。

○大塚座長 いかがでしょうか。

○環境省(高橋室長補佐) 日本ではエッセンシャルユースが不要だとしても、ストックホルム条約には当然途上国なり世界の多くの国が入っていますので、他国ではまだ技術がない場合には、条約上はエッセンシャルユースが認められるところでございます。

 国内においてもエッセンシャルユース認めるかどうかを検討する際には、当然代替物質があるかどうかといった調査も含めていろいろと検討していますので、決して何も調査していないということではありませんが、法令上は、代替物質の話はあまり表には出てこないと考えております。

○大塚座長 よろしいですか。

○鈴木委員 法律としてはどうしようもないのかもしれませんが、物質代替は技術論としては当然起こることだと思いますので、そういうことに対してどういう対応をしていくかというのは、やはり化学物質規制の中では重要な課題だと思います。物質代替はある意味、事業者さんの努力の結果でもあるので、どうするかという話にもなるのですが、然るべき対処をしておくことは、化審法のように物質ベースで規制する法令では非常に重要な論点だと思います。多分代替物質は山のように出現していると思いますが、そういうものをどう扱っていくかについてはやはり考えていく必要はあると思います。

○大塚座長 それは承ります。今もある程度やっていると思いますけれども、重要だということを認識させていただきたいと思います。

 他には、この点は現状でそれほど問題ないということでよろしいですか。

 では、次の丸ですけれども、他の化学物質に不純物として含まれる第一種特定化学物質については、これまでの運用を引き続き適切に継続すると共に、必要に応じ所要の検討を行うべきではないか、という部分について、いかがでしょうか。

 では、菅野委員、お願いします。

○菅野委員 情報のアップデートがきちんとなされればいいのだと思います。そこのシステムが現在どうなっているかだけが問題のような気がします。

○大塚座長 事務局から何かコメントはございますか。

○環境省(高橋室長補佐) 工業技術的・経済的に可能なレベルまで低減というのを事業者さんにしていただいております。今後も、例えば顔料を新たに作る方とか、既に作ってはいるが例えば少し技術が変わって濃度低減が可能になったとか、そういう御報告をいただいていますので、まずはそういう報告を収集した上で、次の議論ができればいいのかなと考えてございます。

○大塚座長 はい、どうぞ。

○有田委員 PCBの副生成については、濃度閾値を50ppmにして、それ以上は工業技術的・経済的に可能なレベルまで低減するということなので、何社かは十分にそれ以下の濃度まで低減できていたということだったと思うので、「必要に応じて所要の検討を行うべきではないか」という表現ではなく、「行うべきである」にすべきなのだと思いますが。

○大塚座長 これは事務局が資料を作成しているので「べきではないか」と書いているだけですから、「べきである」になるのだと思います。よろしいですか。

 では、この点も他にはよろしいでしょうか。

 では、その次ですけれども、これまでに指定された第二種特定化学物質について、適切にリスクが管理されているかどうかを評価し、確認する必要があるのではないか、という点についてはいかがでしょうか。

 はい、どうぞ鈴木委員。

○鈴木委員 今の第二種特定化学物質についても、適切にリスクが管理されているかどうかを評価し、確認するための検討は恐らく必要なのではないかと思います。

○大塚座長 他にはよろしいでしょうか。私から一点お伺いしておきたいのですが、資料1のスライド24に関連して、第二種特定化学物質には環境中の残留の程度の許容限度を考慮した製造輸入数量の制限が必要である旨の認定が規定されています。許容限度は省令で決めることになっていると思いますが、現在の運用はどうなっているのでしょうか。事務局はお答えいただけますか。環境省さんですか、経済産業省さんですか。

○環境省(高橋室長補佐) 環境省としては、許容限度の値については決まったものがあるとは承知していないところでございます。

○大塚座長 経済産業省さんはどうでしょうか。

○経済産業省(大久保課長補佐) 特に決まっていません。

○大塚座長 お決めになる予定はあるのですか。

○経済産業省(大久保課長補佐) 現状第二種特定化学物質に指定されている物質、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンは他法令でも管理されている状況です。現状は他法令での管理が行き届いているような状況なので、とりあえずはよしということになっているのだと思います。今後第二種特定化学物質に指定されるような物質が出てきた時に、化審法でしか管理できないという話になってくれば、許容限度の値を決めるような話が出てくるかもしれません。

○大塚座長 法律で定められている内容であり、ぜひ決めていただけるとよろしいかと思いますので、御検討いただければと思います。

 では、先ほどの確認する必要があるのではないか、評価し、確認する必要があるのではないかというのも、これもよろしいでしょうか。

 では、その次ですけれども、今後優先評価化学物質のリスク評価結果から新たに第二種特定化学物質に指定される物質については、リスクに対処するために必要な措置を講じていくと共に、環境モニタリング等によって確認する必要があるのではないか、この点はいかがでしょうか。

 御意見はございませんか。

 はい、どうぞ。

○広瀬委員 優先評価化学物質から第二種特定化学物質に指定された場合については、ここに書いてあるとおりだと思うのですけれども、優先評価化学物質を第二種特定化学物質に指定するための環境モニタリングで177をどのように評価するかという点がありますので、そういうものを促進していただくというのは、この項目に付けるか、何か別立てであったらいいのかなと思いました。

○大塚座長 どうぞ。

○環境省(高橋室長補佐) 環境モニタリングにつきましては、リスク評価(一次)評価Ⅱの段階でデータがあれば好ましいのですけれども、リスク評価をして第二種特定化学物質に指定する際にどうしても必要ということであれば、評価Ⅲという段階で追加モニタリングを実施することになってございますので、現在の運用でも必要があれば当然環境モニタリングは実施していきたいと考えてございます。

○大塚座長 よろしいですか。

 この点に関して、他にはいかがでしょうか。

 では、特に問題ないということで、次の丸に移りたいと思います。

 優先評価化学物質のうち広範な汚染を伴わないものの一定のリスクが懸念されるものに対する指導助言について、化審法以外の他法令における取組も踏まえつつ、どう推進していくべきか。また、優先評価化学物質の指定が取消された物質については、取消後の監視等の取扱いについて検討する必要があるのではないか。「また」以下については、既に御議論があったところかと思いますが、両方まとめていかがでしょうか。

 はい、どうぞ。

○崎田委員 先ほど「また」以下のところで少し申し上げたのですが、既に平成24年に優先評価化学物質の指定が取消された物質に関する今後のスクリーニングとか適切な対応に関して考えていくべきという内容がしっかり出ていますし、今後そこを把握するシステムをきちんと作っておくことは大事なのではないかと思っています。クロロエチレンは塩ビ製品に使われるのですよね。10数年前、15年くらい前ですかね、塩ビ工業会さんやパイプの管継手協会さんなどから、この問題が大変社会で問題になったときに、それ以降非常に熱心に情報をいただいていて、やはり業界としてきちんと取り組まなければいけないということで非常に熱心にやっておられるということを情報としていただいていると思っています。例えばパイプとかその他いろいろな製品に関しても、きちんとしたリサイクルの仕組みを作るということを前提にやるようにとか、事業者さん自身が非常に積極的にやっておられることは承知しております。そういうことを社会がきちんと共有していきながら、逆にそういうことをやっていない事業者さんが業界の中に少しでもいらしたら困るわけで、そういうところをきちんと徹底するとか、いろいろなことにつながっていくと思うのです。ここを見ていると、業界の皆さんにとってみれば監視という言葉は少し厳しいというのはあるかもしれないですが、やはり社会の関心に対してきちんとした情報を出していき、国が情報をきちんと整えるようなシステムを入れていくという視点は非常に大事なのではないかと思っています。

○大塚座長 では、蒲生委員、お願いします。

○蒲生委員 表現の問題かもしれませんが、27行目の広範な汚染を伴わないものの一定のリスクが懸念されるという表現をもう少し丁寧に書き下していただきたいという要望です。といいますのも、優先評価化学物質は文字どおり優先的に評価する物質でありまして、一定のリスクが懸念されるような物質というような、ある意味風評のような状況を生じるとすれば少し不本意ではないかと。むしろ一定のリスクというところを少し書き下していただくことで、例えば他法令でカバーすべきような何かが懸念されるとか、むしろ次につながるような議論になるのではないかと思いました。

○大塚座長 これは事務局に何かお答えいただきますか。

○環境省(高橋室長補佐) ここでリスクと書かせていただきましたのは、おっしゃるとおり、優先評価化学物質はリスク評価の途中であって、まだ確実なものとは言えないわけでございますけれども、現在のガイダンスですと、特にそういったものについては指導助言によってリスクを低減させるようなことが書かれておりましたので、そのまま引用させていただいたということでありまして、必ずしも他法令のリスクを書いているということではないということでございます。

○大塚座長 蒲生委員、いかがですか。

○蒲生委員 ガイダンスの議論を今ここで覆すような話ではないのですが、そういう中間的なところでも確かに指導助言が適切だと思われるものが中にはあるとは思いますが、それを一定のリスクが懸念されると簡単に言ってしまうのは、少しどうかと思います。

○環境省(高橋室長補佐) その点は適切な表現に改めさせていただければと考えております。

○大塚座長 では、そのようにお願いします。

 亀屋委員、お願いします。

○亀屋委員 私も同じ部分なのですけれども、一定のリスクがどのくらいのリスクなのかはこれからリスク評価してみないと当然わからないところだと思うのですが、優先評価化学物質や第二種特定化学物質といった各カテゴリーからすると、カテゴリーとして今のところ確立されていないようなところのことを事務局は言われているのではないかということをまず思いました。そうしたときに、先ほどの他法令との関係にもなるのですけれども、優先評価化学物質が177ある中で、例えば化管法と優先評価化学物質との交わりを見てみると、103物質が重なっているけれども、ひっくり返してみれば、引き算して74物質が化管法による排出の実態とか、どのメディアにどれだけ排出されているといった、これを管理の実態と言うのか何の実態と言うのか分からないですけれども、そういった実態把握も今のところ遅れているというカテゴリーもあるのではないかと。特にそういった物質について、何らかの実態把握をしていただくこともまだこれから必要だと思いますし、また、リスク評価をしようと思っても化審法の場合は排出係数を仮定してリスク評価するわけですけれども、事業者の方にも一体どのくらいの排出係数で管理できそうなのかということをもう一度見直していただく必要があるのではないかなと思います。ですから、いきなり指導助言ということはないとは思うのですけれども、そのようなことも含めて指導助言に含まれるのか、その状況把握をしつつ、具体的にどのようなことを官民一体になってやっていけるのかを順を追って考えていただければ良いのだろうと思います。

○大塚座長 最後の(3)のその他の課題ですが、新規化学物質とか一般化学物質の中で有害性が非常に高い物質について、現在の対応がなされているわけですけれども、さらに対応を検討する必要があるかという点について、いかがでしょうか。

 はい、赤渕委員。

○赤渕委員 意見でありますけれども、こうした物質に対して現行は3省合同審議会からの注意喚起ということですが、審議会からの注意喚起となると、行政庁が行っているわけでもありませんので、行政指導ですらない、単なる情報提供に過ぎないという気もします。リスク管理の観点からこれらの対応で十分であるのか、と記載されておりますけれども、先ほどの御説明にあったとおり、注意喚起をしてもそれに対するフィードバックを特に得られているわけではないということですと、このような対応ではリスク管理の観点からはやや心もとないという気がいたしております。

 法律上どのような対応をすべきかといったことについては、さらにもう一段階先の話なのかもしれませんけれども、どのような制度設計が可能か、ないしは必要かについて、今後検討していく必要があるのではないかと思います。

○大塚座長 他にはいかがでしょうか。

 菅野委員、お願いします。

○菅野委員 基本的に同意見です。東海委員が先ほどのスライド37の例のマトリックスのところで、例外的な事例という言葉をお使いになったのですが、マトリックスにはまらないものがあるのかもしれませんし、それが一番ある意味気をつけなければならない事例でもあることが多いと思うので、毒性が強い新規化学物質、一般化学物質も含めて、網を張っていただけると良いのではないかと思います。

○大塚座長 他にはよろしいでしょうか。

 最後ですけれども、他法令との一層の連携強化、事業者による自主的な管理の促進、情報伝達等を踏まえ、化審法がさらに果たすべき役割はあるか、これは最初のところとも関係がございますが、何かございますでしょうか。

 どうぞ。古橋委員、お願いします。

○古橋委員 私どもは川下の業界ですので、情報伝達された情報を使う側になりますけれども、基本的に自主的な管理というのは私どももかなり進んでいるという自負があります。当然法規制、PRTRの届出等は行っていますし、また、法規制以外の物質に関しましても、SDSなどの活用は進んでいると思いますので、そこだけ少しお伝えしておきます。

○大塚座長 崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 何回かこの委員会で議論させていただいている中で、情報伝達というのはかなり出てきましたが、それに関して書いてあるのはこの最後の二行という理解で良いのですかね。もっと前の方にもきちんと書いてあるという理解で良いのでしょうか。

○大塚座長 ええ、ここが主ですね。

○崎田委員 そういう意味では、もう少し丁寧に書いていただいても良いのではないかと、素直にそういう意見です。

○大塚座長 はい。もう少し丁寧に書かせていただきたいと思います。

 せっかくですから古橋委員にお伺いしておきたいのですけれども、情報伝達に関して、しっかりやっておられるということですけれども、どのような情報の受け取り方をするとその後より良い取組ができるかについて何かコメントしていただくことはできますか。

○古橋委員 基本的に私どものような電気・電子ですと、グローバル対応をしていますので、世界で最も厳しい法規制に基づいて管理をするのが通常になっております。そこが一番かなと思います。

○大塚座長 それで、情報の伝達のあり方に関して、何かこういう伝達の仕方をしてくれると良いというような要望は何かございませんでしょうか。

○古橋委員 基本的にSDS等を拡充していただくというのが一番良いのかなと思います。

○大塚座長 どうぞ。

○東海委員 先ほどの発言に対して少し補足をしておきたいと思います。

 有害性が非常に高い物質の扱いのことなのですけれども、現行のリスク評価の枠組みの中で進めていくと。その際にマトリックスがございますよね。このマトリックスの特に暴露クラスの値は、いわゆる少量新規とか、その後で直結するところもいっぱいありますから、そこはやはり慎重に検討されて、全体としての制度の整合性を担保した形で進めるのが良いのではないかと感じております。

○大塚座長 どうもありがとうございました。

 まだ御議論は尽きないと思いますので、1月8日を目処に事務局まで追加の御意見、御質問等がございましたら御連絡をいただきたいと思います。本日いただいた意見は、事務局で整理をしていただきたいと思います。

 最後に、議題2のその他でございますが、事務局から何かございましたらお願いいたします。

 申しわけありません。どうぞ。

○丸山委員 ちょっと細かい話ですが、資料2の課題整理のまとめ方についてです。「何々であるか」という事務局の表現を「必要である」という表現に見直しされると思うのですけれども、それをどうするかも何か書いておかないと、それで終わってしまうという気がします。平たく言えば今後検討するというような文言が必要ではないかと思います。皆さんそういうことを念頭に御議論しておられると思いますが、議事録に何らかの形で残すという意味では、そういうところが必要ではないかと思いますので、よろしくお願いします。

○大塚座長 では、そのようにさせていただきます。その他については何かございますか。

○環境省(高橋室長補佐) 特段ございません。

○大塚座長 厚生労働省さんとか経済産業省さんはいかがですか。よろしいですか。

 では、以上で本日の議論は全て終了いたしましたので、事務局にお返しいたします。少し延びてしまいまして、誠に申し訳ございません。

○環境省(高橋室長補佐) ありがとうございました。

 次回の検討会の開催は2月8日月曜日を予定しております。詳細につきましては、改めて事務局から御連絡いたします。

 本日はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。

17時10分閉会