保健・化学物質対策

第3回化審法施行状況検討会 議事録

1.日時

平成27年12月4日(金)13時00分~15時30分

2.場所

経済産業省 本館17階第1~第3共用会議室

3.出席

<委員>(◎は共同座長)

 赤渕 芳宏 国立大学法人名古屋大学大学院 環境学研究科 准教授

 有田 芳子 主婦連合会 会長・環境部長

◎大塚 直  早稲田大学大学院法務研究科・同法学部 教授

 亀屋 隆志 国立大学法人横浜国立大学大学院 環境情報研究院 准教授

 蒲生 昌志 国立研究開発法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門 リスク評価戦略グループ長

 菅野 純  国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部長

 崎田 裕子 ジャーナリスト・環境カウンセラー

 鈴木 規之 国立研究開発法人国立環境研究所 環境リスク研究センター センター長

◎東海 明宏 国立大学法人大阪大学大学院工学研究科 教授

 平塚 明  東京薬科大学薬学部教授

 広瀬 明彦 国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 安全性予測評価部長

 古橋 真  電機・電子4団体 環境戦略連絡会 議長代理 (ソニー株式会社 品質/環境部門 環境部 環境渉外担当部長)

 本間 正充 国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 変異遺伝部長

 丸山 修  一般社団法人日本化学工業協会 化学品管理委員会委員長 (住友化学株式会社 執行役員)

<オブザーバー>

 庄野 文章 一般社団法人日本化学工業協会 常務理事

<事務局>

 山内 輝暢 経済産業省製造産業局化学物質管理課 課長

 飛騨 俊秀 経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室 室長

 奥村 浩信 経済産業省製造産業局化学物質管理課リスク評価室 企画官

 中沢 潔  経済産業省製造産業局化学物質管理課 課長補佐

 鈴木 章文 経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室 課長補佐

 今村 真教 経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室 課長補佐

 立川 裕隆 環境省環境保健部環境安全課 課長

 福島 健彦 環境省環境保健部企画課化学物質審査室 室長

 近藤 亮太 環境省環境保健部企画課 課長補佐

 髙橋 亮介 環境省環境保健部企画課化学物質審査室 室長補佐

 高橋 一彰 環境省環境保健部環境安全課 課長補佐

 笹原 圭  環境省環境保健部企画課化学物質審査室 室長補佐

 美上 憲一 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課化学物質安全対策室長

 日田 充  厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課化学物質安全対策室長補佐

4.議題

 1.化審法施行状況検討会設置要綱 改正案

 2.新規化学物質の審査・確認制度について

 3.その他

5.議事

○経済産業省 中沢課長補佐  ただ今から、第3回化審法施行状況検討会を開催いたします。

 本日の事務局は、経済産業省が担当します。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 委員の皆様におかれましては、多忙の中、御出席いただき、誠にありがとうございます。本日は、武林委員が御欠席との連絡をいただいております。

始めに、後ほど資料1でも御説明申し上げますけれども、今回から、厚生労働省 医薬・生活衛生局 審査管理課 化学物質安全対策室が事務局に加わりました。また、新たに委員に加わっていただく方がいらっしゃいます。今回から新たに御参加いただく委員の方々を紹介いたします。

 ・平塚委員です。

 ・広瀬委員です。

 ・本間委員は遅れていらっしゃるということで、後ほど御紹介申し上げます。

 ・古橋委員です。

 また、本日、オブザーバーとして、一般社団法人日本化学工業協会 庄野常務理事に御参加頂いております。

 続きまして、今回から事務局に加わった厚生労働省の化学物質安全対策室室長の美上(みかみ)から一言、御挨拶申し上げます。室長、よろしくお願いいたします。

○厚生労働省 美上室長  御紹介にあずかりました厚生労働省 化学物質安全対策室 室長の美上でございます。よろしくお願いいたします。これまで厚生労働省は本検討会にオブザーバーとして参加させて頂いておりましたけれども、今回から正式に事務局として参加させて頂きます。引き続き、よろしくお願いいたします。

○経済産業省 中沢課長補佐  続きまして、お手元にお配りした資料の確認をお願いします。議事次第、資料1から資料4、参考資料1から参考資料3がございます。

 また、今回参加頂く委員の方々、前回、御欠席された委員の方々には、化審法の法令集をお配りしております。他の委員の方々には、既に前回お配りしておりますが、本日、必要な方がいらっしゃいましたら、お貸しすることが出来ますので、お知らせ頂ければと思います。その他、資料の過不足等ございましたら、事務局までお知らせください。

 また、後日、今回の検討会の議事概要及び議事録を作成し、公表する予定にしております。

 議事録案につきましては、後日、事務局から委員の方々に御確認を頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本検討会の座長は東海座長と大塚座長に共同でお願いしておりますが、今回の議事進行は、東海座長にお願いしたいと思います。東海座長どうぞよろしくお願いいたします。

○東海座長  それでは、議題1「化審法施行状況検討会設置要綱 改正案」について、事務局から説明をお願いします。

○経済産業省 鈴木課長補佐  それでは、資料1 平成27年度化審法施行状況検討会設置要綱改正案について、御説明いたします。1.検討の背景と目的、2.検討内容については変更ありませんが、簡単に概略を説明しますと、平成21年に改正された化審法が平成23年4月に全面施行されまして、平成28年4月で5年経過することから、附則第6条に基づきまして、本検討会において施行状況について点検、検討を行い、課題の整理を行うものです。3.委員の構成につきましては、本日より厚生労働省が検討会の事務局に参加することになりました。また、今回の検討会からご参加頂く委員の皆様のお名前を追加しております。先程ご紹介のありました、平塚先生、広瀬先生、古橋先生、本間先生の4名を追加しております。 また、5.事務局ですが、経済産業省、環境省のあとに、「厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課化学物質安全対策室」を追記しております。資料1の改正内容については以上になります。

○東海座長  ただ今の説明について、御質問、御意見はございますでしょうか。それでは、こちらの改正案は「案」を取らせて頂きたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。 (了承)

 はい、ありがとうございました。次の議題に移ります。議題2の新規化学物質の審査・確認制度について、資料2を事務局から、資料3を一般社団法人日本化学工業協会から、資料4を事務局から続けて説明をお願いします。質疑応答につきましては、資料4の説明が終わった後に、時間を設けたいと思います。

○経済産業省 鈴木課長補佐  それでは、資料2 新規化学物質の審査・確認制度の現状について、説明をいたします。1.化審法の新規化学物質の審査・確認制度の現状でございます。化審法における新規化学物質とは、化審法の対象物質のうち、官報で名称が公示されていない、若しくは、政令で指定されていない化学物質のことです。簡単に言えば、我が国で初めて製造される化学物質又は初めて輸入される化学物質のことです。なお、新規化学物質につきましては、原則、製造・輸入の前に国に届出をして、事前審査又は事前確認を受けることが必要です。ここで記載している「国」とは、経済産業大臣、厚生労働大臣、環境大臣の3大臣を意味しています。事前審査は、新規化学物質の有害性を評価し、製造・輸入の可否を判定することです。一方、事前確認とは、新規化学物質の予定数量や取扱方法等からみて環境を汚染するおそれがない条件を満たしているか否かを判定することです。国がこの条件と満たすことを確認すれば、製造・輸入が適用になります。届出内容については、次ページ以降のスライドで説明します。

 3ページ目の化審法の新規化学物質の審査・確認制度(概要)についてです。新規化学物質が市場に出される前には、原則として通常新規化学物質としての審査を受ける必要があります。通常新規化学物質の事前審査では、表の上部に記載しているとおり、分解性・蓄積性等の4項目に基づいて審査を行うことになります。審査の結果、一般化学物質と判定された場合には、制限なく製造・輸入が可能になります。新規化学物質にはそのような通常新規と呼ばれる手続きの種類の他に、低生産量新規、少量新規、低懸念高分子、中間物等の届出免除制度があります。続きまして、低生産量新規ですが、年間の製造・輸入数量が全国で10トン以下に制限されているものですが、分解性・蓄積性のデータが必要です。少量新規は、年間の製造・輸入数量が全国で1トン以下に制限されるもので、国に提出すべきデータは求めておりません。これらの制度につきましては、同じ化学物質を異なる事業者が届け出た場合、数量調整の可能性があります。この数量調整については、後ほど説明いたします。また、低懸念高分子、中間物等の制度につきましては、提出すべき有害性データは必要なく、低懸念高分子については、「その他提出資料」の項目に記載しているとおり、分子量・物理化学的安定性試験の情報等の提出が求められ、中間物等につきましては、取扱方法、施設設備状況を示す情報等が必要となります。次のページをお願いします。

 次に、新規化学物質として届出が必要か否かを確認する手順について説明いたします。確認すべき項目としては、上から順に、製品であるか、元素・天然物であるか、他法令で規制しているか、既存化学物質又は官報公示整理番号を持つ化学物質であるか、試験研究用の試薬であるか、の4つです。これら4つのすべてに該当しない場合は、新規化学物質としての届出が必要になります。次のページをお願いします。

 化審法における製品について説明いたします。化審法において、①成型品、②小分けされた混合物の定義に合致するものは、製品と見なされまして、化審法の対象外となります。成型品とは、固有の商品形状を有するもので、その使用中に組成や形状が変化しないものをいいます。具体的には、合成樹脂の什器や板・フィルム等が該当します。混合物としましては、既に小分けがされていて、そのままラベルを張り替えるだけで、店頭で販売される形態のものをいいます。具体的には、家庭用洗剤等を思い浮かべて頂ければと思います。

 次のページに移りまして、新規化学物質の事前審査について説明いたします。事前審査が必要な場合は、3大臣に対して届出を行います。3大臣の判定を受けた後でないと、製造・輸入ができません。規制の対象となる化学物質であるかどうかの評価項目は4つあり、その評価項目は、①分解性:化学的に変化を生じにくいものであるかどうか、②蓄積性:生物の体内に蓄積されやすいかどうか、③人健康影響:継続的な摂取で人の健康を損なうかどうか、④生体影響:動植物の生息又は生育に支障を及ぼすおそれがあるものであるかどうか、の4つとなっております。

 次のページに移りままして、有害性に関する試験の内容について説明します。分解性など4つの評価項目を先程説明いたしましたが、それぞれの評価項目に応じて求められる試験内容が異なっております。分解性試験について簡単に説明しますと、下水処理場等の汚泥を用い、その中にいる微生物が化学物質を分解する割合から分解度を調べる試験です。また、蓄積性の試験は、魚の体内に化学物質を吸収させ、化学物質の魚体中濃度と水中濃度の比から濃縮度を調べる試験や、化学物質が1-オクタノールという物質と水に溶ける量の比から濃縮度を求める試験のことです。蓄積性試験は、2種類の試験のうちどちらか一方で行うとされております。これらの分解性、蓄積性の項目につきましては、通常新規、低生産量新規に共通した評価項目です。通常新規には、人健康影響、生体影響を見る必要があります。人健康影響と生態への影響につきましては、それぞれ3種類の試験で1セットとなっております。詳細については説明を省略させて頂きます。

 続きまして、新規化学物質の判定についてです。新規化学物質の製造・輸入を行おうとする者ですが、必要な試験を行い、結果を添えて、3大臣に提出します。3大臣はその結果を審査しまして、結果を届出者に判定通知書をもって通知します。判定結果が表に記載した第2号から第5号に当てはまる場合、製造・輸入が可能になります。第1号の場合は、第1種特定化学物質相当の特徴を有しますので、製造・輸入は不可となります。第6号の場合は、第1号から第5号の何れにも該当するか不明ということになり、追加の試験を求めることになります。追加の試験の結果をもって、再判定ということになります。表の右側に平成26年度の判定件数の実績を示しています。

 次のページに移ります。審査後の新規化学物質の取扱いについてです。新規化学物質の審査後、審査に用いられた有害性情報や届出された製造輸入予定数量・用途を用いまして、一般化学物質と同様のスクリーニング評価が実施されます。この結果、優先評価化学物質相当と評価された物質は、優先評価化学物質として指定され、名称が交付されます。公示前の新規化学物質は、一般化学物質と同様に製造輸入数量等の実績の届出義務があり、これらの情報をもとに毎年スクリーニング評価が実施されます。判定を通知後、5年を経過した新規化学物質は、一般化学物質として名称が公示され、公示された後は他の事業者の製造輸入が可能になります。

 次のページに移ります。新規化学物質のスクリーニング評価についてです。前回の化審法改正では、リスクの観点を一層重視した化学物質管理体系を構築するために、上市前の新規化学物質の評価について有害性と暴露を勘案したリスクベースの考え方を組み込んでいくべきとされております。このマトリクスに記載しているとおり、横軸に有害性クラス1~4、外、縦軸に暴露クラス1~5、外というように分けまして、マトリクス上、「高」に指定されますとリスクが十分に低いと判断されずに優先評価化学物質に指定されます。「中」や「低」の場合は、エキスパートジャッジにより、優先化学物質に指定されます。このように、新規化学物質のスクリーニング評価手法は、一般化学物質の評価手法と同じですが、新規化学物質の届出・審査で得られる情報を用います。

 次のページに移ります。ポリマーに関する試験についてです。ポリマーは低分子量の化学物質と違いまして、化学的に安定であり、蓄積しにくい特性があります。このため、ポリマーにつきましては、独自の安全性評価試験方法(高分子フロースキーム)が定められています。高分子フロースキームでは、物理化学的安定性や水、有機溶媒の溶解性等を試験します。また、この試験につきましては、化審法のGLP試験施設で実施しなくても良いとされています。 次のページに移ります。新規化学物質の届出件数の推移についてです。こちら第1回検討会でも示しした資料と同じです。新規化学物質の届出件数は、直近では600件前後で推移しておりまして、うち通常新規による届出件数は400件前後、低生産量新規による届出件数は200件前後で推移をしています。主な用途は、塗料・コーティング剤、中間物、電気・電子材料の順になっており、経年で比較しましても上位の用途は不変です。

 次のページに移ります。低生産量新規化学物質の審査の特例についてです。製造・輸入予定数量が年間10トン以下の新規化学物質については、分解性、蓄積性のみでの審査を受けることができ、難分解性かつ高蓄積性でないと判断された場合は、3大臣が国内合計で製造・輸入数量が10トン以下であることを確認した上で、その物質の製造輸入が可能になります。

 次のページに移ります。続きまして、低生産量新規化学物質の確認件数の推移についてです。こちらも第1回の検討会で示したものと同じです。低生産量新規化学物質の確認件数は年々増加しておりまして、平成26年度では約1,600件程度です。主な用途は、電気・電子材料、中間物、フォトレジスト、写真材料等の順番となっており、経年で比較しましても上位の用途は不変です。

 次のページに移ります。低生産量新規化学物質の申出数量・確認数量の実績についてです。同一化学物質につきまして、複数の事業者が少量新規又は低生産量新規の申出をした場合、その物質につきまして、製造・輸入予定数量の合計が全国で10トンを超えないように、国は数量調整を行い、確認した数量を事業者に通知するということをされております。事業者は、その数量の確認を受けた上で、製造・輸入できる期間に製造・輸入が可能となります。平成26年度の実績では、右下の表に記載しているとおり、最大6社間において数量調整を実施した実績があります。また、左の表に記載しているとおり、申出件数1,575件のうち、「数量調整なし」が1,342件、「数量調整あり」が233件になっています。

 次のページに移ります。少量新規化学物質の確認制度について、説明いたします。製造・輸入予定数量が年間1トン以下の新規化学物質につきましては、国内合計で製造・輸入量が年間1トン以下であることを3大臣の確認を受けることで、新規化学物質の届出が免除される制度です。複数の事業者から同一新規化学物質についての確認の申出があった場合は、合計で1トンを超えない範囲で数量調整を実施します。確認の申出を行うことができる期間は、記載してあるとおり、1月、6月、9月、12月のそれぞれ10日間、年4回の機会があります。また、申出のあった際に、既に知られている知見等に基づく化学物質の構造からの類推等により、第一種特定化学物質に相当する性質を有するものでないかどうかの確認を実施しています。

 次のページに移ります。少量新規化学物質の確認につきましては、前々回の検討会で御質問がありましたので、モデルケースを用いまして紹介したいと考えております。最初にケース1ですが、同一化学物質につきまして、1月に少量新規化学物質で2社(A社、B社)、3月の低生産量新規で1社(C社)、6月の少量新規で1社(D社)という流れで申出があったというケースを考えます。1月の2社からの申出につきましては、それぞれ800kgずつの申出がありまして、申出のまま確認を行いますと1トンの枠を超えるので、1月の確認数量が1トンに収まるように数量確認を行います。この場合ですと、500kgずつの確認を行いまして、それぞれの結果を事業者に通知します。次に、C社が3月に低生産量新規10トンを申出した際、既に少量新規で1トンの枠を使っているので、10トンから1トンを引きました9トンの数量を確認しまして、結果を事業者に通知します。6月の少量新規でD社が1トンの申出をした際には、既に枠が使われておりますので、不確認(0kg)の結果を事業者に通知します。

 続きまして、ケース2ですが、同一の化学物質につきまして、1月の少量新規で2社(A社とB社)、6月の少量新規で1社(D社)が申し出た場合を考えます。1月の2社(A社、B社)の申出数量がそれぞれ300kg、500kgとありますが、1月の第1回の申出数量の合計が1トン以下ですので、各社の申出数量を確認しましてその結果を事業者に通知します。また、D社ですが、1月の少量新規で既に800kgがありましたので、1トンから800kgを引いた残りの200kgを確認し、事業者に通知します。

 次のページに移ります。少量新規に関する確認のモデルケースの紹介を続けます。ケース3ですが、同一化学物質につきまして、3月に1社低生産量新規5トン、6月に1社少量新規1トンの申出があった場合を考えます。低生産量新規は、10トンの枠については重複がございませんのでC社からの申出数量5トンについて確認し、事業者に通知します。6月の少量新規で1トンの申出があった場合は、既に低生産量新規5トン確認済みということがありますので、D社の申出1トンについては不確認といたします。

 続きまして、ケース4でございます。同一化学物質について、1月の少量新規で600kgの申出、6月の少量新規で2社D社とE社がそれぞれ1トンずつの申出があった場合を考えます。1月の少量新規は1トンの枠内なので、申出数量を確認し、事業者に通知します。6月に2社からの申出につきましては、既に600kgを確認しておりますので、1トンから600kgを引いた残りの枠で400kg以内となるように調整します。この場合は200kgを等分しています。また、このページと前のページにつきまして、必ずしも左記の数量になるわけではない旨を備考欄に記載しておりますが、前年度の実績、申請した量に対する諸事情など、新規参入される方の不利にならないことを踏まえて結果を通知するとしているため、そのような記載をしております。  

 次のページに移ります。少量新規化学物質の申出件数の推移についてです。こちらも第1回の検討会で提出させて頂いた資料です。少量新規化学物質の申出件数は直近で約36,000件です。主な用途は、電気・電子材料、中間物、フォトレジスト、写真材料の順番となっており、経年で比較しましてもこれらの用途は不変です。

 次のページに移ります。少量新規の申出数量・確認数量の実績についてです。同一化学物質につきまして、複数の事業者が少量新規又は低生産量新規の申出をした際に、その物質につきまして製造・輸入予定数量の合計が全国で1トンを超えないように、国は数量調整を行いまして、確認した数量を事業者に通知することを実施しています。平成26年度の実績では、右の表に記載しているとおり、最大で14社間での数量調整を実施しています。また、左の表に記載しているとおり、第1回目に申出件数が集中しています。事業者は、数量確認を受けた上で、製造・輸入できる期間に製造・輸入が可能になります。平成27年度の申出により、平成26年度の実績を確認できた製造数量・輸入数量の合計は1,410トンでした。

 次のページに移ります。低懸念高分子化合物の確認制度についてです。低懸念高分子は、新規化学物質のうち高分子化合物でして、人の健康や生態に被害を与えるおそれのないものとして、3大臣の確認を受けたものです。低懸念高分子は、通称として低懸念ポリマーや、英語名のPolymers of Low Concernの略を使いましてPLCと呼ばれることがあります。今日の説明では「低懸念ポリマー」ということにします。この確認を受けた場合ですが、新規化学物質の事前審査は必要ありません。また、製造・輸入数量の制限もありません。この確認を受けたものに対しましては、3大臣が必要に応じて製造・輸入の自主的実施状況の報告を求める場合があります。また、必要に応じて、立ち入り検査等を行うことがあります。

 次のページに移ります。低懸念ポリマーの確認件数の推移です。平成21年改正時に追加されたこの制度ですが、毎年一定程度の届出があります。

 次のページに移ります。中間物等の確認制度について説明いたします。中間物は、予定されている取扱いの方法等から見て、環境汚染を生じるおそれがないものとして確認を受けたものであり、新規化学物質の製造・輸入の審査は不要です。確認を受けた者は、立入検査の対象となります。中間物の要件ですが、新規化学物質を他の化学物質の中間物として製造又は輸入する場合、当該中間物が他の化学物質になるまでの間において、環境汚染防止措置が講じられていることが条件になります。閉鎖系用途についてですが、新規化学物質を施設又は設備の外へ排出されるおそれがない方法で使用するためのものとして製造し又は輸入する場合でして、その廃棄までの間において環境汚染防止措置が講じられているときのことが条件になります。輸出専用品ですが、新規化学物質を輸出するために製造・輸入する場合、その輸出に係る仕向地が省令で定められる特定の地域で、輸出されるまでの間に環境汚染防止措置が講じられていることが条件になります。

 次のページに移ります。中間物等の確認件数の推移についてです。中間物の確認件数の推移は、下のグラフに記載しているとおり、平成26年度は236件でして、うち中間物は190件、輸出専用品は44件、閉鎖系等用途は2件で推移しています。また、中間物等の確認制度の確認を受けた事業所に対しましては、3省とNITEで定期的に立入検査を実施しています。

 次のページに移ります。中間物等の立入検査につきましては、平成26年度に立入検査を実施した30事業所において判明した不適切な事案について、示しています。大部分は(3)にあります記載事項の不備などについて対応を求めた事例になっていまして、制度の理解不足、管理体制の不備等による不適切な事案に対して経緯書の提出を求めた事例は(2)にあるとおり5件となっています。

 次のページに移ります。前回の化審法見直し合同委員会の報告書の抜粋を、ここから3ページに渡って示しています。「3.リスクの観点を踏まえた新規化学物質の事前審査制度の高度化」ということで、最初に①と②を示しています。①事前審査におけるリスク評価の実施について、読み上げますと、新規化学物質につきましてもスクリーニング評価を行い、その結果リスクが十分に低いと判断できないものについては優先化学物質として分類することにより、上市後の化学物質と同様にリスクに着目した評価を実施すべきであるという指摘がありました。現行の化審法では審査を受けた後、IUPAC名称で基本的に公示されますが、その名称で公示されますと構造が特定されまして容易に他社による同一物質の製造が可能となってしまうため、届出事業者にとっては競争上の地位を損なう可能性があるとの指摘が前回ありました。開発者の先行利益を守る観点では、知的財産制度の活用や名称公示までの期間を適切に確保することで一定の対応が可能であるとも考えられ、国際整合性による競争力確保の必要性はあるにせよ、詳細な名称を公示することによる弊害がどの程度のものであるかについては、引き続き、実態を踏まえた評価・検討が必要であるという記載です。

 次のページに移りまして、③④、QSARやカテゴリーアプローチの活用についてです。QSARにつきましては、試験に要する費用や期間の効率化、あるいは国際的な動物試験削減の要請に鑑みまして、可能な場面より活用を行うことが適当であるとの指摘があります。また、③の最後の部分ですが、QSAR等を含む動物試験の代替法についても、今後とも更に取り組んでいくことが重要であると結論付けられています。④少量であることによりリスク懸念が低いと考えられる新規化学物質の事前審査についてです。少量新規化学物質の確認制度につきましては、事業者単位(年間1社1トンまで)で確認を行うことを基本とすべきである。ただし、複数の事業者による重複が生じる場合については、適切なセーフティーネットとして現状とリスクが変わらないようにすべく、全国ベースの数量やQSAR等の既知見等を踏まえたリスクが高いと懸念されるかどうか判断し、リスクが高いと懸念される申出については少量新規化学物質として確認を行わないこととすべきである。加えて、国は立入検査により、事後的に確認する等の措置を行うべきであるという指摘が結論付けられています。

 次のページに移りまして、⑤低懸念ポリマーの確認制度の創設についてです。国がその確認を行った場合には、試験によるハザードデータに基づく審査を不要とすべきである。また、少量新規確認制度と同様に、立入検査により実際に製造しているポリマーがPLC基準に該当するとの確認に従ったものであるか、事後的に確認を行う等の措置の必要性を検討すべきであると結論づけられています。

 次のページに移りまして、2.新規化学物質の審査合理化についてです。平成25年6月14日に閣議決定されました規制改革実施計画におきまして、化審法の化学物質審査制度の見直しが3件盛り込まれております。事項名を御覧いただきますと、①少量新規化学物質確認制度等の総量規制の見直し、②少量新規化学物質確認制度の受付頻度の見直し、③化学物質の用途等を考慮した審査制度の構築が指摘されています。具体的には右の内容を御覧ください。①は少量新規化学物質確認制度については、低生産量新規全国10トンの枠との関係を考慮しながら、1社単位の確認を行うことについて検討し、結論を得る。②は事業者が事業機会を逃すことなく競争力を高めるためにも、事業者の実情を考慮した確認申出の受付期間、頻度を増加させることについて検討し結論を得る。③は新規化学物質の審査制度の在り方について合理化の必要性が指摘されている課題について検討し結論を得る。これら3つの指摘がございました。

 次のページに移ります。規制改革実施計画に基づきまして、平成26年6月30日に少量中間物等の確認制度を創設し、同年10月1日より施行しております。その確認制度は、1申出者1年度1トンの確認を可能にしております。1度確認を受けますと毎年度の確認は不要、申出書の提出は随時受付にしております。また、提出資料も簡素化しており、国の審査期間も大幅に短縮をしています。施行後、平成26年度10月から3月までの実績は、124件を確認しています。併せて個別の課題についても順次結論を得て実施しているところです。

 次のページに移りまして、その4つの項目を説明いたします。新規化学物質の審査合理化①として、化審法に基づく新規化学物質の届出等に係る資料の作成・提出等について、事業者向けのマニュアルをリバイスしまして、新規化学物質で分離が困難である混合物については、混合物として届け出ることを明確化しました。

 次のページに移ります。平成25年9月より新規化学物質の生物蓄積性の類推等に基づく判定につきまして経済産業省のHPで資料を公表しています。蓄積性につきましては、構造の類似により、生物蓄積性が既にわかっている化学物質からの類推等による判定も一部実施しているところですが、費用や期間の効率化、動物実験の削減の要請に鑑みまして、類推等に評価や判定を支援していくことが重要であるという考えのもと、このような資料が求められています。対象となる化学物質が、生物蓄積性が低いことが既にわかっている化学物質Bとの構造の類似により、Aの蓄積性はBと同程度かそれより低いと合理的に推測される場合には、類推により、Aは濃縮性が低いと判断できるものです。また、対象となる化学物質Aが、生物蓄積性が既にわかっている化学物質Bと構造が類似しており、Aの親水性がBよりも高いことがHPLCにより確認されている場合、Bが高濃縮性ではなく親水性が一定以上であれば、Aは高濃縮性ではないと判断されるものです。

 次のページに移りまして、新規化学物質の蓄積性につきましては、構造が類似した物質からの類推が可能なケースについて、以下の通り明確化しています。ケース1にありますとおり、QSARの推計値を利用する場合もございます。 次のページに移ります。新規化学物質が通常新規の審査を受けまして5年経過しますと、その化学物質の名称が公示されるということで、誰でも製造輸入が可能になりますが、名称が公示された物質につきましては、変化物が既存化学物質だった場合、既に確認実施済みの試験を他の事業者と重複して行うことがないように、判定結果を当省のHPにて公開をしています。名称が公示された化学物質は「白物質」といわれますが、分解性と蓄積性に関する判定結果を経産省のHPで公表しております。 続きまして、合理化③-2でございますが、公示済みの新規化学物質及びその変化物である既存化学物質の蓄積性の試験結果を経産省とNITEのHPで公表しています。

 最後のページですが、イオン性化合物の蓄積性の評価に関する新たなルールとしまして、昨年6月から導入していますが、最初の「○」ですが、水/オクタノール分配係数の値が2.5未満であれば、高濃縮性ではないと判定できることとするルールをとりまとめております。しかし、「注」に記載しているとおり、本ルールの判定基準は、専門家の意見を聞きながら、事例を重ねて確認することとしています。以上のような取り組みをしまして、審査制度の合理化に取り組んでおります。資料2の説明については以上です。

○東海座長  ありがとうございました。続きまして、資料3について、一般社団法人日本化学工業協会から説明をお願いいたします。

○日本化学工業協会 庄野常務理事  日本化学工業協会の庄野でございます。恐縮ながら着座にて御報告申し上げたいと思います。皆さんお持ちの資料であります資料3に基づいて、前のパワーポイントを中心にお話をして参りたいと思います。

 まず、化学産業の現状というものを我々としても一度お話しなくてはいけないと思っております。今日本の化学産業、2013年の広義の化学工業としての出荷額は42兆円であります。これは実際は、輸送機器、車に次いで、第2の産業基盤となっております。さらに2013年の所謂貿易額、輸出額・総出荷額というところでみますと、中国、アメリカに次いで第3位の産業基盤を有しております。この中にあって、我々として今日本の化学産業は石油化学の汎用品から機能性化学品を中心にシフトをしております。所謂グローバル市場での高いシェアを獲得してきているわけであります。まさに、化学産業は日本経済の活性化と雇用の創出に寄与しているところでございます。雇用に関しましては日本では86万人の雇用者を化学産業としては有しておりますし、また4名以上の事業者は、その数4,700社を上回る状況になっております。この中にあって、所謂競争力のある産業、自動車、電機・電子、衣料、医療器具等のこういった部分は、原素材としての高機能素材の提供なしには成長はあり得ないと考えてもおかしくない状況であります。そういった意味では、我々のお客様からの新素材の迅速な開発や提供品に対する顧客の要求が非常に増大している中にございます。そういった意味では、まさに新規化学物質の創出が我々にとって非常に重要なキーでありますし、また日本の化学産業にとって日本の全産業にとっても非常に大事なキーであるということであります。そういった意味では、化審法というものは、非常に重要なクリアをしなければならないハードルとして厳然として存在しているわけであります。そういった意味では、日本の素材産業全般の競争力に極めて影響が大きい内容でございます。本日お話いたしますのは、新規化学物質に基づいたプロセスについての問題点についてまとめております。

 その前に、日本化学工業協会は今日の立場としまして、約4,500社の化学企業が関わる日本の化学産業を代表する団体でございますが、これに関しましては日化協としては177社、傘下の団体としては79団体、会員数4,500社のなかでの一応代表者としての話をさせて頂いております。さらに今回の話の中には、日本化学品輸出入協会さん、化成品工業会さんとも一緒にこれまで議論をさせて頂いているという部分がございます。

 それで今、私が申し上げました新製品開発の実情業務とのあるいはビジネスとの関係をここに出しております。御存知だと思いますけれども、我々素材提供産業というものはあくまでも顧客があって動いているものでありまして、顧客さんにはこれ以下にも色々並んでいるわけであります。まさにサプライチェーンのチェーンがございまして、最後にエンドユーザーさんがいる、こうような形の中で、我々は素材を提供し、そのための開発を行うということでございます。こういったものを開発しますと、試作段階で顧客X社は、性能・安全性評価をやりながら、さらにサプライチェーンの下の方とも連携をしていくわけであります。そういった意味では、それが一定の判断で裁量が決まりますと、化学産業は設備対応を始め、さらにこれから必要な手続きを始めます。化審法の場合は、既にこの段階から少量新規というものを化学会社として対応してまいります。さらに低生産量の申出、通常新規の申出を段階的に進めていく形になります。一番重要なことは、これを実際に進めていったとしても、この段階で少量新規の枠が崩れたり、あるいは新規の届出に時間がかかりますと、お客さんに対して非常に迷惑がかかる、本格生産までのGOがかからないという状況になります。ある意味では、新製品開発・上市において化審法対応が律速になるケースが非常に多ございます。先程申し上げました通り、この下にはいっぱいサプライチェーンがありまして、最終的にはエンドユーザーさん全体に影響を及ぼすという形でございます。

 このプロセスについて先程簡単に経産省からも御紹介がありましたけれども、新規化学物質の場合は、トンネージバンドが上がっていくにしたがって、最初は少量申出でノースタディでいくわけでありますけれども、これから分解度試験、さらには濃縮度試験に入って、この段階で低生産量の申出を行う、さらにここでGOがかかりますと、スクリーニング毒性試験に入ってきて、本格的な化審法の申請になるわけです。この一連のプロセスの中で、我々が課題と考えていますのは、少量・低生産量の申出の問題、それから2番目としましては分解生成物の扱いの問題、それからQSAR等の推計手法の全般的な活用についての問題、その他判定基準についての問題、さらにここの最初の段階ですが、高分子化合物の取扱いや名称の取扱いについて、実際のビジネスに影響を及ぼすケースが出て参っております。

 これは6ページにこの内容を簡単にまとめておりますが、基本的に我々が非常に重要視しております問題は、国全体の数量枠が少量新規にはあるということでございます。皆さん御存知のように、少量については、1トン/年/国であります。そういった問題点がまずひとつあるのと、分解生成物の取扱いの問題、さらにQSAR等の問題がございます。先に少量新規と分解生成物の具体的な問題点について御紹介をした後、その他の内容についても順次紹介をして参りたいと思います。

 先程申し上げましたように、我々業界としてアンケートをとっております。これはで日本化学品輸出入協会さんが採られた58社のアンケートなのですが、やはり事業者の多くが現在の少量新規申出制度は事業への支障があると認識しております。これはやはり、1トン/国という枠の中で競合する会社がもしあったとしたら、数量調整が行われるということですけれども、これによって申出した数量が確認されなかった場合、あるいは確認数量が減らされた場合、どういうふうに対応したかというと、やはり事業計画の縮小とか事業計画の中止をやらざるを得なかったということであります。半数近くが事業計画の縮小、中止の経験があります。さらに、今の制度ですと、実際に最初の少量新規の申出の際に、1トン枠が埋まってしまいますと、競合する会社がいて先に申請されてしまいますと、実際に他の会社はそれができないあるいは造れないということで、事業計画が実際立てられないということであります。例え、1トンなりの申請をしたとしても、結果論として300kgになって、結局は用意していた釜を使えないとか、お客さんに対しての対応ができないということがあり得るわけであります。やはりこういった部分では、先程申請数量が実際に10分の1まで減らされた例もある、こういった意味では実質事業計画が破綻しているケースもございます。一番やはり問題なのは、1トン枠がいっぱいになって、顧客への供給責任が果たせなくなった例、あるいは予定していた製造が行なえない品目が出てきた例等がございます。この営業枠1トンというのは、極めてある意味では重要な問題であります。

 先程、経済産業省の皆さんから御紹介がございましたように、20ページだったと思いますけれども、少量新規の申出確認数量等で、申出件数36,000件ございまして、実質これを1トンと考えると36,000トン、微量調整をやったり、数量調整をやった内容がその内の4,366件で、最終的に物質数が2,016件ですから、物質1個1トンとして2,016トンということになるわけであります。ただ現在考えてみますと、非常に全般的な総数から考えますと非常に少数での1トン枠というのはコントロールにすぎないではないかという会員からの意見もございました。そういった意味で、この点は十分考える必要があると思います。

 それと次に、2つ目の問題としては、分解生成物の問題でございます。やはりこれは多くの事業者がこれを経験しておりまして、例えば新規の色材があったとします。これは生分解の所謂活性汚泥を使った分解度試験を最初にやりますが、ここで1%以上の分解生成物が複数確認されますと、極端に言えば、ワン(X1)、ツー(X2)、スリー(X3)のいずれについても必要な3試験分の試験をやらなければいけないという話になるわけであります。これは実際、海外の同様な制度と比較すると期間は2倍以上、試験費用は4倍以上かかるという状況になります。もちろん海外の他の制度とは法律のシステムが違いますけれども、分解したものについては通常の場合は殆どの場合は、極性化という形に動くはずですので、この辺のところ実際どうかと思われます。実際今二つの例を挙げましたけれども、実際にはこの少量新規の問題や分解度試験の問題、あるいはQSARが十分使われていない問題、後から申し上げます高分子化合物の問題等によって、いろんな意味での不具合、懸念が生じている。それが結局は、事業インパクトとしても単に売上利益の減少のみならず、事業機会の損失等につながっている、イノベーションの阻害になっているということでございます。こういった意味では、産業界としてはこの点は非常に危惧しているという状況でございます。

 今から、我々も実は今回、化審法に対しましては、所謂合理化ということを考えておりまして、決して規制緩和ということを考えているわけではございません。化審法は1973年に施行されて以来、42年の経緯の中で、テクノロジーは変化し、社会状況も変化しているわけでありまして、そういった意味では、サイエンスレベルも変わってきている。そういった意味では、まさにリスクベースの考えに基づいた効率的な管理、これが結局は合理化に結び付くのではないかというふうに考えているわけであります。我々が効率的管理と申し上げますところは、単なる量制限とかそういう話ではなく、情報を提供することによって、リスクが全般的に、リスクについての認識が図られる、管理が行われることによってリスクが低減される、ということであります。こういった意味では、事業者へのインセンティブも必要な状況のひとつであります。そういった意味では、環境排出量とかあるいは物質情報に基づく安全確保の実施ということが今後の形としてあり得ると考えているわけであります。さらに、やはり我々、国際競争力というものも非常に大事でございまして、例えば先程の少量新規1社1トン/国というのは、日本だけのシステムであります。こういった意味では、海外からはこれは非関税貿易障壁だといっているようなケースも散見されます。そういった意味では、国際的制度との調和も図っていく必要があります。さらに、先程からのQSAR、in vitroの適用というところも十分に考える必要があるかと思います。我々としても官民が連携して、協力した安全性技術基盤の強化というものを図らなければならないと考えているわけであります。

 それで、我々として今言いましたような6つくらいの課題がございますけれども、やはりそれなりの改善案というものを用意しておりまして、ここにそれをまとめてございます。ざっと見て頂きますと、少量新規の1トン/事業者、あるいは分解生成物についてはリスクベースの推定暴露量や柔軟な運用というのを考えて頂きたいというふうなところが主であります。これらについて、各論的にお話をして参ります。

 先程から申し上げていますように、1トン/国あるいは10トン/国というトン数の調整については、数量調整が行われることによって事業計画が立てられないという非常に大きな問題点を常に有しているわけであります。一部事業者の中には、所謂行政手続法の8条1項に基づいて、例えば1トンで出したものが500kgになった、これがどういう理由でこうなったのかというところを明確にして欲しいというニーズも聞かれているところでございます。こういった意味では、やはり諸外国と同様に、少量新規、低生産量確認の枠は、個社単位とすべきであろうと考えますし、さらに少量新規の受付回数もできるだけ増やしていただくということが、事業機会の損失もなくすことになると考えています。そういった意味では、事業者からの追加情報や予定される排出量の観点で数量確認する、こういったことが情報としてリスク低減につながるというふうに考えるわけであります。例えば、実際に1トン/国以下となりますと、当然確認をとられるわけですが、ただ単に全ての化合物を同じように考えるのではなく、なかには少量新規の物質にはポリマーもございますし、あるいは非常に不安定な化合物もございます。それこそ、非常にバリエーションが広い中でそれぞれの顔が違いますし、キャラクターも違うわけであります。それに応じたリスク管理ということがあり得るのではないかと思います。例えば、logPow3.5を下回るようなものは、基本的に事業者単位でよろしいよと、そういうような議論もあるのではないかというふうに考えております。こういった意味での非常にフレキシブルな運用というものは、10トンでも同じことでありまして、生態1種で10mg/L以上のNOEL等を持つのであればOKよとか、こういった部分、基礎的な段階でどこまでデータを揃えているかということは、各社によっても違いますが、我々としては提供した企業にはある程度のインセンティブと管理への協力というものができていると判断して頂きたいと思っているわけであります。

 分解生成物の取扱いにつきましては、1%以上の分解生成物は同定する必要がありますと、OECD301Cのまさに化審法のガイドラインですが、これ1%以上になりますと、別途合成・単離してこれに関するスクリーニング毒性試験をやらなければならないという状況が現在ございます。しかしながら、このシステムをとっているのは日本だけでございまして、さらに通常の場合、分解の方向というのは無毒化の方向が非常に多くて、確かに全く毒性をつかめないというケースがないというわけではないと思いますが、こういった部分についてはこの流れの中で暴露量を加味したリスクに応じた評価を行って頂きたいというふうに考えるわけであります。そういった意味で考えれば、低生産量であれば10%未満の分解生成物は同定・評価不要と、ある意味では10%ですから、10トン×10%ということでは、1トン以下であればこれは少量新規と同じですから評価は不要というかたち、あるいは10トン・100トンの場合は特定を行って、その分解物の生成量に応じた対応、あるいはPow、QSAR、エキスパートジャッジによって、ここをそれぞれによって適切に運用をするという考え方があるかなと考えるわけであります。

 さらにQSARにつきましては、これはもともと我々としても参議院の経済産業会議あるいは国会の附帯決議の中でもQSARの促進というものは言われている内容でございますけれども、確かにこれは既に規制当局の皆さんにおいてはかなり活用するような方向で動いて頂いております。ただし、さらに積極的に導入することは是非お願いしたいというふうに考えるわけでございます。実際に、欧州、アメリカではかなりの部分がこれに入ってきているという状況も考える必要があるかなと思います。

 実際に今、いろんな予測手法が世の中には出ております。確かに実際に実験化学者、実験化学を中心とする研究者の皆さんからすると非常に、ある意味では不安なのですが、相対リスクを下げるということでは、何もやらないよりは、こういったQSARでちゃんとプライオリタイゼーションを決めていくことの方がはるかにリスクヘッジになるというふうに、我々は考えるわけであります。

 さらに高分子化合物については、日本では独自にひとつのルールが決められております。高分子化合物については、普通高分子フロースキームという日本の独特のスキームの中で判断をいたします。

 ただ我々いろんな観点から、次にお見せしますように、例えば他の外国ではポリマーについて、これは基本的にOECDに同じような考え方がございますけれども、単量体A、B、C、D、Eで、それぞれが2%以下であれば、ポリマーとしては単量体A、単量体Bの名前でのポリマーとなります。ところが日本の場合は、この単量体C、D、Eがあった時に、これが全部で2%以下でないといけない、そうでないと、これを超えますと単量体A、単量体B、単量体Cの名前を付けたような化合物の名称になるということでありまして、これはある意味で日本と海外でのギャップができるということでございます。そういった意味では、やはりOECDの基本的なルールである2%の考え方は、ある研究者の報告によれば28年間の実績から問題ないとしていますし、さらに2%程度の単量体をこういったポリマーに出したとしても基本的特性は変わることはないと考えられるわけであります。もちろん、こういった2%が非常に重要な懸念される化合物である場合は、それはまた別だろうと考えられます。

 さらに最後ですが、化学物質の名称に関する扱いでございますけれども、やはり現在の日本の化学名称の取扱いは、国際標準に整合していないというふうに考えるわけであります。実際、1%を超える不純物の場合に同一物質でも届出名称が海外登録と異なる、これはどういったことかと申しますと、結局不純物1%以上ございますと、それを含めた名前にしなければならないということがございます。例えば、AとBの反応生成物にCが入ったような名前を出さなければいけないのですが、これに関しては、上限10%までは考慮しない名称にして頂きたいというふうに考えております。EUの場合は、ちゃんとしたスペクトルデータ等出しまして、最終的にECHAが同一の判定を行うような形になっております。我々が実は気にしておりますのは、こういった中に実は大事な企業情報が入ってくる場合、さらにこれがオープンになりますと誰でも作れてしまいますので、その辺のところが非常に我々として産業力に影響を及ぼすのではないかと考えているわけであります。

 その他、実は3点ほどございます。ひとつは加水分解性を有する届出物質の濃縮度評価についてですが、これはケースバイケースで、あまりはっきりしたルールが決まっていないのではないかと考えています。確かに今、加水分解性を有する化合物は結構多いのですけれども、いろんなパターンがございまして、そういった意味でこの辺の判断基準は是非明確にして頂きたいと思いますし、さらに濃縮性の判断基準において、水溶性の非常に低い物質の蓄積性はBCFによるばらつきが生じるケースがございます。ただ、こういった意味で、単なるBCFを単純な手法だけではなくて、いわゆる自然状態に近いスタディがあれば、そういった試験のデータも例えばモニタリングデータ等も採用願いたいというふうに思うわけでございます。さらに分解度の判定基準につきましても同様でございまして、BODで難分解になったとしても、実際それ以外の方法でも易分解というケースもございまして、こういったものも、こういった意味ではWeight of Evidenceの考え方を導入して頂くことも必要ではないかと考える次第であります。

 今申し上げましたように、最初冒頭に出しました新規化学物質の一連のプロセス、この中で我々としては、課題1、2、3、4、5について、あるいは6について、それぞれ我々としてのプロポーザルを出させて頂いております。これは我々としては決して規制の緩和をいっているわけではなく、合理化をお願いしたいということでございます。

 最後でございますが、確かに我々日本のシステムといいますのは、かなりの部分の審査について国にお世話になっているわけであります。ただ我々としてやはり、こういった国での全体的な人的ソース、あるいは効率を考えた場合に、こういった日本での安全性情報は一定の形で共有化が必要ではないかというふうに思います。必ずしも研究所の統合をいっているわけではなくて、情報システムとしての統合性があれば、これを利用し、さらにこれを共有することによって、我々はリスクを下げられるというふうに考えるわけであります。もちろん、その前提は、我々企業として情報を提供するということでありますが、その情報の提供については、それなりのインセンティブが働けば、我々としてもウェルカムという状況であります。

 最後にまとめますと、時間の関係もございますから、あまり長々とお話もできませんけれども、我が国産業全体の発展にいわゆる新素材を提供する化学産業は、極めて重要であります。特に先程からございます事業者にとっての新素材開発、あるいは上市を早めに進める上での必須条件というのは、この辺が重要なポイントになります。ただ、現行の化審法は色々な意味で、我々としては本当の意味での効率的なリスクの低下につながるような形になっているのかどうか、もう一度見直して点検してみる必要があるのではないかと考えるわけであります。先程から申し上げていますように、情報の共有、情報の提供というものは非常に重要でありまして、情報を知っていること、あるいはそれを理解していることによって、かなりのリスクが下げられるはずであります。こういった基本的なことを我々としてはやる必要がある。そういう意味では、私、最近ICCM4にでましたけれども、サプライチェーン全体での情報の共有、あるいはそれに関する知識・理解が必要だろうということだろうと思います。そういった意味では、我々も既に経済産業省のご指導の下にchemSHERPAというような新しいシステムを電機・電子工業会界さんとも共有を始めています。これを今後もどんどん広げていきたい。そういった自主的な取り組みによって、我々としては色々なリスクのヘッジにつなげていくということであります。最後に、こういった意味でのリスクに基づく効果的管理手法を進めながら国際力の強化と法的合理性・有効性を追求していきたいというふうに考えるわけであります。こういった意味で、今後の議論を踏まえまして、化審法が国際的な化学品管理の潮流の中で、適切且つ効果的な法制度に見直しされることを産業界としては強く期待したいというふうに思うわけであります。ちょっと長くなりましたが、以上でございます。

○東海座長  ありがとうございました。続きまして資料4について、事務局から説明をお願いします。

○経済産業省 鈴木課長補佐  資料4について説明します。「新規化学物質の審査・確認制度の課題の整理(たたき台)」という資料です。1ページ目を御覧頂きまして、「1.新規化学物質の審査・確認にかかる制度について」ですが、先程説明しました資料2のパワポの資料を文章にしてまとめたものです。1ページ目の下の方に記載した「2.新規化学物質の審査・確認制度における課題の整理」ですが、こちらは先程、資料3日化協から説明頂きました課題の部分をまとめさせて頂き、その頂いた課題について我々事務局としてどう考え、対応するかということを記載しています。

 1ページ目ですが、最初QSARのことについて触れております。このQSARについては、今、御指摘がありましたとおりですが、2ページ目に移りまして人の健康や生態系に対する安全性の確保を前提として、QSAR等のより積極的な活用方法の検討を求める指摘にどう対応するかをまとめています。

 続きまして、②ですが、化審法上、不純物が1%以上含まれる場合は、届出が求められまして、混合物としての評価が必要になります。分解生成物が1%以上含まれる場合は評価が必要になっています。人の健康や生態系に対する安全性の確保を前提としまして、我が国の制度を欧米の類似の評価手法を求める声にどう対応するかをまとめています。 続きましては、少量新規、低生産量新規、年間全国で1トン、全国で年間10トンという制度ですが、これは国が数量調整をするということで、予見可能性が低くなっているという指摘があります。また、規制改革実施計画に基づき、少量中間物の確認制度を創設しました。より予見性を高められるような制度の見直しを求める声にどう対応するか。また、受付頻度を増やして欲しいということについて、どう検討するかということについて記載しています。

 2ページ目の最後の○ですが、こちら資料2の26ページ目で説明が漏れて大変恐縮ですが、資料2の24ページ目に中間物の確認件数の推移についてのスライドがあります。資料4と一緒に見ながら説明をいたします。輸出専用品のところですが、輸出専用品の仕向地が決まっていると先程説明しましたが、囲みの中に小さい字で輸出専用品の仕向地を記載しています。具体的に、アイルランド、アメリカ合衆国から始まりまして、最後ポルトガル及びルクセンブルクまでです。これらの国名が省令で定められているところですが、これらは5年前に定められたものでして、省令の制定時には法体系が未成熟だった色々な国が最近成立してきている国があるということで、輸出地域を見直してはどうかと輸出入協会から御指摘を頂いております。

 3ページ目に移りまして、こちらは先程、日化協庄野常務理事から御説明のあったとおりですが、高分子ポリマーについてです。こちらも、これまでの知見を生かして運用の改善を求める指摘にどう対応するかと書いています。

 最後、名称の公示についてです。こちら審査結果の通知から5年を経過しますと全ての物質名称が構造を特定できる形で公示されると規定されていますが、5年という画一的な時期について、柔軟な運用を求める声があります。これらの運用のあり方、公示名称のあり方について検討を求める声にどう考えるかを最後に記載させて頂いております。資料4の説明については、以上です。

○東海座長  ありがとうございました。それでは、資料2から資料4までの説明について、御意見、御質問があればお願いします。

○有田委員  庄野さんに質問です。資料3の中で、11ページですが、先程御発言の中で、海外から貿易障壁となるので、化審法の改正を行ってほしいというような御発言があったと思うのです。その、海外とはどこからかということと、それから、資料に対するお願いなのですが、先程まとめとしてパワポで出された部分のまとめの資料がないので、後で頂けますでしょうかという質問とお願いです。

○日本化学工業協会 庄野常務理事  後者については御提供申し上げますけれども、前者につきましては、今日本は所謂FTAとかTPPについては既に御存知だと思いますけれども、今、我々、日欧EIA、EPAというところで、いろんな意味でのお互いのバリアに対しての議論をさせて頂いているところであります。特定の会社というわけではないのですけれども、ヨーロッパ系の企業からはこの議論は2社ほどから出ております。特定の会社の意見としては、業界がこれを集めてこういった交渉の場に出してきているという傾向がございまして、この辺は我々としては考えていく必要があるかなというふうに思います。

○有田委員  もう一つよろしいでしょうか、もう一つ庄野さんにですが、23ページのパワーポイントの説明のところで、それぞれ情報を共有して、国と業界とということをおっしゃっていたのです。それなりのインセンティブが働けば業界としてもウェルカムでということで、ジャパンチャレンジの時に、積極的にこのリスク低減のために情報開示を求めてきた中で、なかなか集まらなかったのは、それなりのインセンティブが働かなかったから、情報を出されない事業者もあったというふうに理解してよろしいのでしょうか?

○日本化学工業協会 庄野常務理事  正直申し上げまして、ひとつは、それはあり得ると思います。やはりジャパンチャレンジの時のデータは各社に非常に膨大なデータを要求することになります。 我々今日、申し上げていますのは、例えば毒性のデータがなくても物性のデータだけでもかなりのリスクは予測されるはずなのです。そういった意味では、そういったデータを我々としては出しますので、活用しながらリスク低減を図っていこうことであります。もちろん、例えば極端な話をしますと、100kgを超えますと、我々労働安全衛生法の対応があって、Amesテストを行います。Amesテストの結果を放っておくわけではないわけであって、これを化審法に持ってきてもいいわけであります。そういったいろんな工夫がまだ出来るはずだろうと。例えば、先程の物性も所謂化学物質の脂溶性ですね、これだけでもかなり情報をとるケースが多ございます。それを提供することによって、ある程度のリスク予測も不可能じゃないというふうに考えているところであります。

○東海座長  ありがとうございました。その他、はい、どうぞ。

○崎田委員  それでは、私も少し質問させて頂きたいのですが、今の庄野さんのお話に関してなんですが、庄野さんの資料3ページのところで教えて頂きたいのですが、非常に大きな業界をまとめて御発言されているというお話だったのですが、今日のこのお話に関して、日本の化学品物質を産業として活用する総量の何%くらいに関する影響力をもって御発言されているのかということを、私はそれがわかならいので素直に伺っているので、教えて頂ければ有難いというふうに思います。

○日本化学工業協会 庄野常務理事  素直に数値だけでお話しますと、先程申し上げました通り日本には4名以上の従業員数を持つ化学製造業が大体4,700社あります。ここは今の資料でいきますと、日本化学工業協会は、177社の傘下の会員と79団体のいわゆる傘下の協会を有しているということになります。そういった意味では、これをトータルしますと、4,500社くらいになるということになります。従って、日化協なり、化成品工業協会なり、日本化学品輸出入協会なり皆さんとも意見交換をしていますけれども、基本的に代表的な意見を我々としては抽出したと。さらに日化協の中には化審法のタスクホースがございまして、この中でもいろんな議論をしながら取りまとめたというふうにお考え頂いたらいいかなと思います。勿論、外資の皆さんとか他のところでの御意見もまだあるかも知しれませんが、ほぼ、これ、実は前回の化審法見直しの時にもあったような議論も半分は残っておりますので、そういった意味ではほぼ代表的な意見ではないかと考えております。

○崎田委員  ありがとうございました。私が今質問させて頂いたのは、大事な法制度を大きく動かそうとするときに、やはり良かれと思う部分とそうじゃないところを突いていく動きをするという両面があるわけで、大変失礼な言い方かもしれないけれども、再生可能エネルギーの制度設計、あるいは色々な循環とか廃棄物関連の法律は、それをどういうふうにいいシステムに変えていくかというところでいつも苦しんでいるわけですので、それが徹底するためにどうしたらいいのかということをきちんと考えながら意見交換した方がよろしいと思って伺いました。

 そういう視点で私は経済産業省の方にひとつ質問させて頂きたいのですけれども、今回少量新規などの事例ということでかなり細かく出していただいて、大変有り難いと思うのですが、例えば今回日化協の御提案のようなやり方に変更していく場合、1年間に年間で1トン、10トンといった総量規制できなくなったとき、多くの企業が申し込みをしてくると、結局1社1社は範囲内でも総量がものすごく多いというようないろいろな事態が想定されるわけですけれども、例えば国で1トンを1社1トンという御提案にした場合、どのくらいの量が増える、どのくらいの量が対象になるであろうとか、その辺の規模感というのを教えて頂いた方が検討させて頂けるのかなと思うのですが。

○東海座長  事務局の方から如何でしょうか。

○経済産業省 飛騨室長  少量新規の全国1トンの枠を1社1トンに変えた場合に、例えば1物質でどれくらいの最高量になるかという意味でしょうか。少量新規全体でという意味でしょうか。いずれにしても、今の届出制度を変えることによって、企業がどういう方向に動くのかということは我々もわかりかねるところがあって、実際に量がどれくらいに増えるのかという試算が出来ているわけではございません。

○日本化学工業協会 庄野常務理事  よろしいですか。今の飛騨さんのお応えの通りであろうと思いますけれども、20ページの資料を見て頂ければ、先程私申し上げましたけれども、経済産業省さんの資料ですが、これは非常にきれいにまとめてある資料でございまして、実際に年間少量新規というものは全く新しい化合物ばっかりで、これの上限を例えば1社1トンとすれば、36,000件の届出がでたら、36,000トンまでつくれるという形になるわけです。実際は、このうちの4,366件については1トン枠内での調整をされているわけでありますので、実際それが右の表のところで物質数がカウントされて2,016物質というようなことになって、これに1トンかけますと2,016トンということになるわけです。従って、企業の動きとして同一物質に対する極端例で言いましても1物質に14社出しているのが最高例でありまして、10社以上でているところは、大体これでいくと0.4%、5社以上のところは8.2%くらいの数値になるということで、我々としてこれを、どういうふうに見るかは別なのですが、実質我々企業として今後そんなに大きく変化をしていかないというふうに考えております。例えば1社1トンを国から外したとしても、現実ベースとしての設備の問題等ございますので、そんなドラスティックな変化はちょっと期待できないと考えております。まさに上のグラフを見て頂くと、ずっとグラジエントのまっすぐ45度で上がっている様な状況になっておりまして、この状況は続きますけれども、これがどんな形になっていくか、件数的に考えますと基本的にこの推移の中で動いていくのではないかと思います。

○鈴木委員  少量新規のところで申し上げます。まず1社1トンというところは、私が理解している限りでは、スクリーニングの暴露クラスを付けるところと整合しているのではないかと私は思っておりますので、なお且つ今ここに挙げられたように数量調整が実際に行われているということは、むしろ全国1トンという条件は外すべきでないと申し上げます。制度としての整合性に関わりますので、もしやるならそこまで波及する話になるのではないかなということを私は想像いたします。1トンは私は必要であると思っております。

 一つの整合性という意味においては、反対的なところがありまして、低生産量の方は全国10トンなのですが、全国10トンで排出係数が大きいケースをもし仮に想定しますと、低生産量で暴露クラスが付く可能性のあるものがあるはずでありまして、これが1トンという仕組みと整合していないと、前から非常に気になっているところであります。これは、制度の課題として私は問題提起したいと思っております。ただ一方で、少量新規というか、日本の化学産業が低生産量の複数物質に向かうということは、産業としてはおそらく期待される方向なのかなという気もいたしますので、一枠に入れるというよりも、私の感覚では、中間物の特例制度というのは、少量中間物確認というのがありましたが、庄野さんのお話の中で言いますと低生産量が日本産業にとって最初に必要な部分というのは試作品みたいなものを作っていく段階なのかなと想像したのですが、そうであるならば、むしろ化学産業さんがそこに非常に高い管理をしっかり出来るということを確認していただけるというのであれば、そこは場合によっては別なことを考えるという様な、そういう方向で考えた方が、一般的に低生産量、少量新規について全国1トンの枠を敢えて変えるということをするよりは環境の面からは懸念の少ない方法ではないかと私は思います。

 最後に質問なのですが、少量新規、低生産量のところで、45度にずっと件数が増えているのですけど、量については私前回見たいと申しましたので資料を頂いたのは大変ありがたいのですが、実際は千何百社とこれは言いたいところですが、この増えているというのは一体どういう化学産業か制度の変化を意味しているのでしょうか。この間に他の中間物とか量は大して変わっていないので、この2つだけは届出件数が異様に増えている。これは日本において低生産量、少量新規に相当する物質の合成数が飛躍的に増えているということを意味しているのか、それとももう少し制度の適用に関することなのか、これはわかるかわかりませんが、何を意味しているのだろうということを考えるところであります。もし分かりましたら教えていただければと思います。以上です。

○日本化学工業協会 庄野常務理事  私が答えていいですか。

○東海座長  はい、どうぞ。

○日本化学工業協会 庄野常務理事  今のお話について、御質問のところにつきましては、先ほど冒頭に申し上げましたように、いろいろなビジネスモデルの変化と共に化学産業は極めて高機能製品を追及してきている。先ほどからございました電気・電子材料やレジストの一部というのは、そんな量的に要求されるものではなく、むしろ高付加価値のところを中心に我々産業界としてシフトしているわけであります。ましてや汎用製品等は、結局コスト的に考えても外に出す方向に我々としても行っていますし、これは他の国の先進国では同じような方向に行っているのではないかなというふうに思います。従って、少量新規の数も実は増えているわけでありますが、それに伴って所謂10トンの枠も増えているというふうに考えられます。勿論面白いのは、新規化学物質の通常のものに関しましては、結構、プラトーに来ているのではないかと思います。ただこれでは困りますので、我々としてもその辺はさらに対応を考える必要がございます。ただ内部生産になりますと、やはり我々外に出ることを考えますので、その辺のビジネスモデルも考慮されるのではないかというふうに思います。

 それから我々あくまでも誤解を頂きたくないのですが、1社1トンという考え方は、何でもかんでも同じように扱わないで下さいねという基本的な考え方でありまして、物によっては全くそのリスクが非常に低いものもあるだろうし、さらにその中には非常に1グラムでも気を付けなければならないものもあるでしょう。そういったところをかなり運用的にはフレキシブルに出来るのではないか、これはむしろリ-ズナビリティではないかなというふうに考えているところでございます。以上です。

○東海座長  事務局の方から何かございますか。

○経済産業省 飛騨室長  1点だけ補足をさせて頂きたいと思います。14ページの低生産ですね、確認件数が増えてきているというふうに見えますが、これは累積結果を表していますので、毎年の低生産としての数字はあまり変っておりません。

○菅野委員  今の庄野様のフレキシブルな対応というお話の説明なのですが、今のを伺うと先ほどの鈴木委員の話に戻ってしまいまして、今までのリスク評価を始めたその基本は、有害性と暴露の兼ね合いで決めていくという大前提があるわけですね。ですから、仰せの通り有害性に関する情報も出して頂けるのであれば、そういうこのマトリックスに対応するようなことを、ある意味別枠でも出来るかも知れないということは納得できるのですけど、今の少量新規とかは、そこの部分はお金がかかるし、ある程度後回しにという話になっているのであるから、そこで今安全性に関するところで引っ掛かるわけですよね。有害クラスと暴露クラスの兼ね合いで決めていくのがリスク評価であるということであるのであれば、そこが問題になるということですので、今の御発言の具体化の所が御提案として頂けてないのではないかというふうに承ってしまいました。ですから、先ほどAmes試験のデータがあるのではないかとか、物性とか有害性の情報だけでも、相当リスクの判定には有用なのではないかというのは、それはある意味分かるわけなのですけど、そういう場合は、今の体制外でやるのか体制に沿ってやるのかも含めての方針を、もっとはっきりした形で、口頭の説明だけでなく、日化協さんの総意としての踏み込んだものが頂けてもよいのではないかというふうに感じましたので、もし可能でしたら是非お願いしたい。

 もう1点は、資料2の方の少量新規の確認例のところで、いろいろなパターンをお示し頂いたわけですけど、物質の同一性の確認というのは、今は届け出られた情報だけでやっておられるということでよろしいでしょうか。もし事務処理の軽減化とかを考えると、電子化するとかそういうことも考えられるのかと思ったのですけど、極端に言えばマイナンバー制を使わないのかとか、そういう所までいくのではないかと思うのですけど、そこの方は事務局の方としてはデータの取扱いの近代化に向けて、マイナンバーも含めて、何かお考えがおありだったのでしょうかというところをお伺いしたいです。

○日本化学工業協会 庄野常務理事  まず前者の方についてお話し申し上げます。今日の私のプレゼンテーションの中身というのは、我々として一応アイディアとしてはいろいろ持っているのですけど、今日はこういう問題に関して合理化してこういうストーリーでいきたいというふうにお話をしているというところであります。従って、各論の技術論の問題は、別の所できっちり議論していく必要があると思います。勿論データの提供は非常に重要でございますけれども、所謂少量という量の中で、実際的な議論の中で、画一的にこれを処理するのではなくて、ケースバイケースで処理するようなところを考えるのならば、事業者もその対応するデータを用いながら、それをロジックとしてはめていくということになるのではないかなというふうに思います。ということは、結局は、最終的にデータが必要であれば、我々としてもデータ提供は辞さない部分があるということであります。

○経済産業省 飛騨室長  もう一つの方の質問についてですけれども、少量新規の物質の同一性についてですけれども、これは御指摘の通り、現在は手作業でいただいた資料でやっております。御懸念頂いている通り大変な時間と労力がかかっておりまして、これを合理化したいというのは我々も強く思っているところです。例えば、SMILESのようなデータを出して貰って、コンピューター上で集計するといったことについて、今可能性の検討をしているところでございます。

○広瀬委員  実際にどういう作業であるか、手作業であると言うので、確かに物質の同一性が既に少量新規についても難しくて、同じ物質が10トンを超えるという話の同一性は多分CAS番号により判断するのですよね。

○経済産業省 今村課長補佐  今の御質問の少量新規について言いますと、物質の同一性についてはCAS番号ベースということではなくて、最終的には申出内容に記載されている構造情報を1個1個確認してという、そういった手作業を行っています。

○広瀬委員  特に時々みなさん塩違いとか、少し構造が違うだけとかというのは、おそらく同一として、環境中に出た時とか、あるいはリスクから離れると同一視した方がよいと思うので、構造情報等、おっしゃる通り、効率的に同一性を判定しながらやるというシステムがあった方がいいなと思って、そういう制度を取っているかどうかを聞きたかったわけです。

○経済産業省 飛騨室長  まさに今この瞬間は、構造の違うものを別の物質として扱っていますけれども、どこまでを同一の物質として判断するかというものについても大変大きな課題ですので、そこについても今考え方をまとめているところでございます。

○広瀬委員  多分そういう同一性の構造の同定が出れば少量新規同士だけではなくて、既存化学物質とか、低生産量とか、高生産量の新規物質との比較で情報を読み込むことも可能になると思いますので、そういったところも工業会はデータを出してくれると言うので、そういうデータを頂くというのはいい方向だというふうに思います。その時の、QSARを使う・使わないというのは、少量新規だけではなくて、新規とか、既存化学物質との同等性、多分それをやると次の問題は、すみません、質問ではなくなってしまっているのですけど、大量の既存化学物質と同等の新規が出た時にどうするかという難しい問題とか。今言いたいのは、少量新規で新規として出されているけれども、QSARを見ると既存に類似の近いものがあった時に、それはもう少量ではないですよね。環境中の大量の中に1個混ざったという話になってしまうので、そういった評価も、管理の仕方もどう調整するか、あるいは1トン以下にすべきだという話になりますけれども、産業を育成するという側とリスクをはかるという側からすれば、10トンを超えれば単純に試験を求めればいい話だと私は思うので、その時は10社でどう試験するかという技術的な問題が発生してしまいますけれども、それは制度の問題は難しくて私はわからないのですけれども、それは構造とかすぐにウォッチできるシステムがあれば、すぐに10社20社なりにパッと言って、このグループは今20トンか10トンを超えつつあるので、減らすか試験するかという選択が出来るようなことも運用できるのではないかと思います。 

 今日初めてなので位置付けがよくわからないのですけど、今庄野さんの方から日本の制度の 足かせの部分だけを聞いているのですけど、外国の方が足かせが高くて日本が低いということがあったりしないのでしょうか。私が思うには、生殖発生毒性は、日本はデマンドではないのですけど、ヨーロッパでは デマンドになっているというのがありますので、そういったところの国際的な調整、国際整合性はTPPの問題で難しいのかも知れませんけれども、そういうこともこの会で考えて頂くかどうかはわからないのですけれども、考えて頂きたいというふうに思います。

○東海座長  ありがとうございました。

○日本化学工業協会 庄野常務理事  今の御提言につきましては、我々はやはりヨーロッパと、あるいはアメリカと常に比較をしていく中で、勿論REACHも皆さん御存知だと思いますけど、一応Socio‐Economic‐Analysisをちゃんとやって、企業の活力をある程度維持しながら、彼ら自身としてのアクションをやっている。少なくとも私が受け取る限りにおいては、かなりサイエンティフィックなアプローチの中で、企業はそれに対する対応もしているというふうに考えています。アメリカも同様なところがございまして、ああいうアラームっぽい国ではございますけれども、彼らなりにそれなりのロジックを持って対応してきているというふうな感じを持っているわけであります。

 少量新規に関して、我々が一番気にしているのは、中小企業の皆さんの活力であって、彼ら自身はかなりの部分をこれに委ねている部分がある。そういった中で、コスト負担がもしかしたら増えるような部分も出て来るかも知れないけれども、出来るならば、我々としては必要な情報について、あまりたくさんの情報はおそらく出せない会社さんも多いわけであって、その中で出来る限りの努力をしながら、やはりどこかでコンプロマイズしていく必要があるのではないかなというふうに思います。それだけコメントいたします。

○東海座長  ありがとうございました。複数の委員から手が上がっていますが、赤渕委員、どうぞ。

○赤渕委員  ありがとうございます。大きく分けて2点ございます。1点目が、資料2の25ページにございます、中間物等の立入検査の実施状況について事務局の方にお伺いいたします。囲みの下の方で、30事業所において判明した不適切な事案ということで、(2)で5件、(3)で26件とありますけれども、これは例えば、(3)ですと30事業所の中で26事業所においてこのような事案が見られたということでしょうか。どういうふうに理解すればよろしいでしょうか。

○環境省 髙橋室長補佐  環境省からお答えします。おっしゃる通り30事業所の中で26事業所ということでございます。

○赤渕委員  ありがとうございます。これを踏まえて日化協さんに、立入検査実施状況がこのようであったことについて、どの様に御覧になるかといったところを率直にお伺いしたいということが1点でございます。

 2点目については、QSARに関してでございますけれども、日化協さんがお作り頂いた資料の16~17ページ辺りに、課題3)QSAR等の活用というのがございます。漏れ聞くところによりますと、QSARはまだ開発中の科学的な方法であって、ものによって当たりはずれが大きいというようなことを伺っております。スライドの17ページ目に、代表的な予測手法とありまして、様々列挙されております。これらのうち、先ほどのプレゼンテーションですと、実際にEUであるとかアメリカのEPAにおいて使われているというようなお話でしたが、その内どれが主によく使われていて、それらはどれくらい当たっているのでしょうかといったことについてお伺いしたいと思います。以上でございます。

○日本化学工業協会 庄野常務理事  御質問に対してまず一つ目のお話でございますけれども、中間物の立入検査によって30事業所において発生したこと、こういった意味で、記載事項の内容等26件改善命令が出されている。我々当然業界として、こういうことはあってはならないはずですけれども、実際に法の遵守において、各論においてまで全部きちんとできるかどうかは、我々としても、協会として指導はいたしますけれども、全部において網羅できるわけではございません。ある意味では、化審法に対する理解、あるいは事業所さんの意識の問題というのがここに効いているのではないかと思いますので、こういった意味では、十分我々としても指導する必要があるかなというふうには思います。勿論、第一前提は法に対する遵守でございますので、その辺は協会としては是非皆さんに徹底して頂きたいと思っています。ただ、これは我々の事業者団体の中に入ってくる人達か、ちょっとよくわからない部分はありますので、またそれは別にコメントをさせて頂きます。

 それからQSARに関しましては、ここにございますように、EPAではBCFBAFとか、あるいはECOSAR、そういったものを使っておりますし、正直申し上げまして、個々予測システム、あるいはQSARのシステムについては、それぞれ特性等がございます。ただ、US EPAの濃縮度に関するものは、実際の審査に行われている部分もございますし、そう言った意味では、分解度あるいは濃縮度については、かなりの精度が上がって来ているのではないかと考えております。ただ、分解度、あるいは生態毒性の部分では、確かに環境省さんもKATEさんを使ってられますし、今後こういうものを、その特性に応じて使い分けて、必要であれば、試験管の試験もとりいれていく必要があるのではないかと思うわけであります。ただ、スクリーニング毒性については、正直申し上げて、いろいろな意味でまだ課題が残っているというふうに私は個人的には考えておりますので、こういった意味では、出来るだけ分解度、濃縮度といった部分を中心に今後の展開をお願いしたいというふうに考えております。

○赤渕委員  ありがとうございます。1点目につきましては、厳しいことを申し上げるようですけれども、25ページには、中間物等の特例について「事後の監視を行うことによってその遵守が確実に担保されることを前提として」制度が設計されているというところからいたしますと、遵守が必ずしも十分に図られていない状況においては、こうした中間物の特例の制度の見直しをも検討しなければならないようなことも論理的にはあるのかなという気がいたしております。

 また第2点目のQSARにつきましては、動物実験を縮小する観点から、EUあるいはアメリカのTSCAの改正法案等でこのことが取り上げられていることは承知しておりますが、当たるか当たらないかよくわからないものについて、外れた場合に誰がどうするのかということについても頭の片隅に置いて、いろいろと制度設計を考えなければならないのかなと思っております。

○環境省 髙橋室長補佐  1点環境省から補足させて頂きますけれども、生態毒性のQSARにつきましては、新規化学物質の審査の際に、日化協さんの資料の17ページの生態毒性のECOSAR、KATE,TIMES、この3つを予測手法に用いて審議会の参考資料として御提示させて頂いているところでございます。

 また予測結果につきましては、第2回資料2の中で少し結果をお示ししているところでございまして、今後このような正答率のようなものを踏まえまして、各所においてどのようにQSARを使っていくかについては検討したいと考えております。

○亀屋委員  化審法の新規化学物質制度は40年の歴史がありまして、これまでやってきた方法について当然考えなければならないわけですから、1個1個の論点が重くてですね、例えば、1社1トンがいいのかという話はなかなかしにくいかと思うのですけれども、庄野さんの方から頂きました、規制緩和ではなくて合理的な運用を考えたいという基本方針の御提案はすごく安心感もありますし、冷静で且つアグレッシブな御提案をいただいたと認識しておりまして、すごく勉強になりました。ただその時に、先ほどにもありましたけれども、ここでテクニカルな話をするのは難しいと思うのですけれども、国際動向でありますとか、あるいは社会のニーズ、時代が変わってきたということで、いろいろ御提案を頂いておりますので、項目として少し感想のような意見をお話させて頂きたいと思います。

 まず規制緩和ではないということですけど、評価の条件を1社1トンということは、ある意味一つ緩めることにはなるわけですけど、そういった時に、どんな条件といいますか、例えば管理の措置をもう少し具体化するとかですね、何か一つ条件が揃えば、一つか二つかわかりませんけれども、何か必要な条件が揃えば、そういったことも見直しをしていけるのではないかなというふうに思っておりますので、そういった条件を外した時にどういったことが起こるのか起こらないのかといったことを、具体的にケーススタディ等をやって議論を深めていくことが必要でないかなというふうに思いました。いろいろ個別でありましたけれども、1社1トン、先ほど36,000トンになるかも知れないというお話がありましたけれども、告示されていない物質がそれだけになるかは別として、相当規模の量が出て来た時に、そうした物質について、例えば一般化学物質と同じような把握の仕方であるとか、管理の措置とかですね、そういったものがどこまで取られるのか取られないのかとか、そういった議論も事前にしておく必要があるのではないかなというふうにも思いましたし、分解物の件につきましても同じようなことが当てはまるのではないかと思いました。

 それからQSARの件ですけど、物化性状に対してQSARを当てはめるのかとかですね、あるいは生態毒性に当てはめるのか、人健康まで当てはめるのか、いろいろあるかも知れませんけど、先行的に物化性状等だけは部分的にQSARの導入を考えるという検討の仕方もあるのではないかなというふうに思いました。

 それから課題の6もそういう意味でいろいろ出していただきましたけれども、これは結構テクニカルな問題がありますので、これまでに沢山こういった審査を行ってこられた中で、こういった課題が出て来たと思いますので、少しケーススタディを整理して頂いて、整理がまとまればルール化するとか、あるいは解釈の変更をきちんとするとか、そういったようなこともあるのではないかと思いました。半分感想的ですけれど、以上です。

○本間委員  今議論になっている少量新規に関しては1社1トン、低生産量に関しては1社10トンと規制緩和をする時には、先ほどから議論されているQSARの運用が非常に重要ではないかと私は思っております。QSARによって生態毒性、ヒト健康影響に対して特に問題がないとされた場合には、規制の緩和が可能であり、その結果に基づいてケースバイケースでフレキシブルな対応が可能ではないかと考えております。

 先ほど懸念のありましたようなQSARの予測精度、これがどれだけ保証されているかに関しては、例えば、私は個人的にスクリーニング毒性のQSARをやっていますけど、ここに書いているような複数のQSARツールを組み合わせることによって、ある程度感度を上げることができると思います。規制側にとっては、危険な物を世の中に出すということが問題ですので、なるべく感度を上げるため、例えば、3つのQSARツールを用いて、一つでもアラートというか、危険な兆候が出たら、そういったものは規制の対象にするといったようなことをすれば、安全性はある程度クリア出来るのではないかと思っております。QSARの運用については、今後精度を上げるようなそういった取り組みが必要かと思いますが、時代の流れとしては、今後、積極的に利用していくことが重要ではないかと思っております。以上です。

○東海座長  ありがとうございました。それでは、菅野委員。

○菅野委員  QSARに関して短くコメントさせて頂きますが、今主流であるところのQSARは、ドメインといいまして、教育に使った化学物質と似ているものには比較的強いのですけど、新規には弱いのですよね。そこだけは少し頭の中に入れておいて頂いた方がいい。ですから、先ほど広瀬委員が既存の物と似ている物がサーチしやすいというのは、まさにそこにあるわけですが、新規の場合はちょっと対応が違うという、今の学問レベルの話も御理解頂きたいと思います。以上です。

○東海座長  ありがとうございました。それでは、大塚委員。

○大塚委員  先ほど御指摘頂いているように、少量新規に関しては、画一的な処理だけでなく、ケースバイケースの処理ということについては柔軟に考えていく必要があると思いますけれども、一方であまり透明性の無い対応をしてよいのかどうかという問題も発生しますので、そこは是非バランスを取って御検討頂きたいと思います。

 資料3に関していくつかお伺いさせて頂きたいのですが、14ページ、13ページの辺りで、少量新規、低生産量の申出をする時に、予定される環境排出量の観点で数量を確認するという御指摘がございます。さらには14のスライドでは、排出係数から暴露が低いことを製造者、輸入者が宣誓するとございますが、一つお伺いしておきたいのは、用途が変わった場合に、この考え方だとどのようにするのかということをお伺いしたいのと、これについて誰がチェックをするかということについてどうお考えか、あるいは違反した時にはどうなるかというところ、さらには情報伝達の仕組みを具体的にどのように考えるかという辺りは問題あると思いますので、別にケチをつけているのではなくて、どうお考えかなとお伺いしたいということで、建設的、生産的にお伺いしたいという趣旨で言っているのですけれども、お答え頂ければ有難いと思います。

 それから、先ほどから御指摘の、スライド6の6つの課題として御指摘頂いているのですけど、この中で優先課題は何かということですが、これは上から順番というように考えてよろしいのでしょうかということをお伺いしておきたいということでございます。

 今の2つが大きいですが、あまり発言する機会もないと思いますので、ついでに言ってしまいますが、スライド13の関係で言うと、少量新規、低生産量ともに、新規の通常と同じように最低10回/年という御提案がございますが、こういうのはどんどんやった方が良いと私も思うのですけれども、国の方もマンパワーが足りないということもあるかと思いますが、欧米では有料化しているところもあると思いますので、化審法では今まで有料化の問題はあまり検討されていませんが、手数料とかを、そんなに高くなくていいのですけど、お取りすることもお考え頂くことは出来ないかという問題があると思いますので、これは提案をさせて頂きます。何か事務局の方でもお答え頂けると有難いということでございます。

 それからスライド20で、先ほど資料4の方にもございましたけれども、一番下のところで、名称公示の扱いということで、既得権保護の観点により総称名での公表を「可」とするという  御指摘があり、ここは資料4でも同じようなことをお書きになって頂いています。これは2009年の化審法改正の前の審議会の時に、私も結構発言したところなので、気にはなっているのですけど、当時化学関係の業界の方でお答え頂いた答えは、5年間もあるのだから、その間に技術革新が進むので、あまり気にしなくてよいという答えだったのですけど、ここはだいぶ状況が変わったというふうに考えてよろしいですよね。その辺の状況の背景をお伺いしたいという趣旨でございます。

 資料2の18ページ、17ページの方で、先ほど少量新規の確認例を挙げて頂いております。例えば、18ページの方のケース3ですと、これはD社が申請した時に不確認ということに現在はなってしまうわけですけれども、C社がもし自分の会社の名前を出していいと言うのであれば、C社からD社が毒性情報を買うということも合理的な選択ではないかと思いますが、多分現在そういうことは全くなさっておられないと思いますので、そういうことも是非検討して頂きたいと思います。日化協さんがもし必要なら御指摘頂くと有難いと思います。皆でお金を出してコンソーシアムを作るという話は、御指摘させて頂いた10条4項と関連しますので、経済産業省さんが担当される部分かと思いますけれども、そういうコンソーシアムを組む方法というのをまず是非考えた方がよいのではないかということを申し上げておきたいと思います。以上でございます。

○日本化学工業協会 庄野常務理事  今の御質問について、出来る限り逐一御質問にお答えしていきますと、我々は排出量にこだわっているのもありますけど、前提にまず今の少量新規のレベルで多様な化学物質を我々として申請させて頂いているという現状であります。中には非常に不安定な物もあるし、それこそ水に入れたらすぐに潰れてしまうような化合物や、あるいは石ころのようなポリマー、そういった意味で非常にバリエーションが広うございまして、そういった意味で、これに関しては、例えばこの化合物は水に入れるとすぐにこれとこれになって、既存化学物質になるという様な話であれば、そこはある一定の枠を外して頂いてもいいのではないかなと思うわけであります。ただ、予定する環境排出量というのは、必ず用途にもリンクしますけれども、実際の製造段階でもかなりのファクターとして、それが加味されて参ります。我々が物質を出す時は、当然ユーザーに対してこれ以外には使わないで下さい。あるいは、これをやった時にはこういうリスクがありますよという情報を提供しているわけでありまして、そういった意味では、我々としては、ある一定の安全性を担保しながら対応することになっていると思います。そういう意味では、情報伝達を出来るだけそこでやっているということでございます。

 それから順番でございますが、特に順番のプライオリティはございませんけれども、我々の今日の順番から言うと、たまたまこういった少量新規(1番)から6番までさせて頂いたということであります。経済的なインパクトから言いますと、おそらく2番くらいが結構大きいのではないかと、あるいは3番も非常に大きいところではないかなというふうに考えているところでございます。

 5年間の名称の話なのですけど、本当のことを言いますと、世界的に見て、化審法のシステムは、名称が官報に載ってしまうと、誰でも作れる、極端に言えばフリーライディングできるということなのですね。そういったものに関して、要は当然それに関する既得権みたいなものを失うこともある。その当時の企業の方は、5年間でいいんですよという話がありますけれども、特許ではある一定の期限をとっているケースも多ございまして、必ずしもそれがいいかというと、そんな(ビジネスの実態は)甘っちょろい状況ではないような気がしています。そういった意味では、原則論としては、出来るだけTSCAや、あるいはREACHでも一部見られている、CBIの概念というのをある程度配慮して頂きたいという意味がここには入っているということでございます。とりあえず以上ですが、フォローアップしていますでしょうか。

○大塚委員  14ページの仕組みに関しては、もし何かおかしなことが起きた時に誰がチェックするかということは、どうお考えでしょうか。

○日本化学工業協会 庄野常務理事  例えば、ある一定の情報を出した段階で、それで書いたリスクが起こったというケースでしょうか。

○大塚委員  一番下に製造者、輸入者が宣誓すると書いてありますが、この宣誓に違反した場合は、どういうふうにお考えですか。

○日本化学工業協会 庄野常務理事  これは我々としても何とも言いようがないところでございますけれども、ある意味では、今後の議論でどのようにコントロールしていくかということだろうと思います。我々もお客さんに対して、あるいは暴露が低いことを我々として宣誓するというのは、色々なバリエーションがあると思うのですよね。こうだからこうだというロジックが通じれば、それは宣誓になるのかも知れませんけど、宣誓と言うのは、あくまでも我々の知る限りにおいては、こういうビジネスしか考えられないということでの議論になると思いますので、ただここは今後十分お互いの担保ということでは議論が必要かと我々も思います。 ○経済産業省 飛騨室長  別の部分の回答をさせて頂きます。少量新規の申出回数を増やすために有料化してはどうかというお話だったのですけれども、有料化については確かにこれまで議論されてこなかったのですけど、有料化した場合の一番の効果は、念のために申請しているものを抑える効果はあるのではないかと思っております。我々の資料の20ページを見て頂くと、第1回目に申請が集中しているというのがよくわかるのですけど、これは念のために枠を取るために申請しているという方も結構いらっしゃるのではないかと考えていまして、有料化するとそういったものを少し抑制する効果があるのかも知れないなと思っております。話は脱線しますけど、1番最初に、1社1トンにすると増えるか増えないかという議論があって、よくわからないと申し上げたのは、1社1トンにすると、念のためにとっていた人は安心をして出さなくなる可能性がある一方で、枠が取れないかも知れないから遠慮していた人が出すかも知れないという、そのプラスマイナスがあるかも知れないと思っていまして、そういった意味でよくわからないというところがあると思います。あと、有料化すると我々の方で手間が省けるといいますか、何かいいことがあるかと言いますと、少量新規で出されたデータは企業秘密の塊ですので、実際に処理する者はMETIの人間かNITEの人間に限られていまして、料金を取っても、そこの人数が増やせないということでありまして、我々自身の手間は実は簡単にはならないものですから、そういった意味での有料化の効果はあまりないというふうに考えております。

 もう一つは、低生産の部分で、既に申請をしている人等にお金を払ってデータ買ったらどうかという話だったのですけど、そもそも低生産量の方については公示されていませんので、他社の方は誰がどういう申請をしているか知ることができないという状況にあります。一方で、事業者の方同士がお互いに連絡が取れていて、例えば、別の会社の人が、最初に申請している方からデータを譲って貰って、申請して貰うということは今でも可能でして、そういったデータの届出があれば、我々はそれに対して確認をしていくということでございます。

○大塚委員  経済産業省さんが、もしC社がいいと言えば対応して頂くと有難いという趣旨ですので、今のお答えで結構です。有料化の件は、国としては収入が入るので、それによって直ちに経済産業省の人を増やせるかどうかわかりませんが、国の歳入全体としてのプラスがあり経済産業省さんにも間接的には人員増に繋がるとお考え頂けると有難いという趣旨でございます。

○東海座長  本日、3時半を目途に進んでおります。残り15分程度になりましたので、まだ御発言頂いていない方を優先させて貰って、その場合は、資料4でまとめて貰った論点毎に確認をしていきたいと、そういうふうにして行きたいと思います。それでは蒲生委員。

○蒲生委員  それほど新しいことではないのですけど、取りあえずコメントをしたいと思います。平成20年度時点での化審法見直し合同委員会の報告書、あるいは25年度の規制改革実施計画の指摘等を受けて、これまで行政の方で新規化学物質について制度を作って来られたというのは、非常に対応状況としてよかったのではないかと思います。一方で、今日庄野さんの方から紹介頂いた、新規物質に対する課題や改定の方向性というようなことは、どれも私としてはなるほどと思えることで、検討に値する問題提起を頂いたのではないかというふうに思います。ただ一方で、制度上難しいこともあるのですけど、例えば何パーセントなのか、何トンなのかみたいな話に関しては、特に既存化学物質の部分はリスクベースで、スクリーニング評価からリスク評価に進んで行くようなスキームで動いておりますことから、日本の化審法というのは、どういうリスク水準で、こういう環境に出る化学物質を管理するのかということと不可分だと思っています。出来ましたら一つ一つの課題についてどう線引きするかではなくて、必ず全体としてどういうリスク水準で化学物質管理をするのかという、そういう観点からの整合性を確認しながら進めて行って頂きたいというふうに思いました。そう考えれば、例えば、不純物であるとか、分解物であるとか、1社何トンなのかみたいな話も、整理が簡単かどうかはちょっと分からないですけれども、少なくともこういう根拠で決まっているんだという国民への説明力というのはアップするのではないかなと思いました。以上です。

○東海座長  ありがとうございました。第1ラウンドの議論が終わったというふうに私は受け止めております。それでは、残り時間も限られていますので、資料4の方で論点をまとめて下さっております。2.○で5つありますけれども、既にこれらの論点は第1ラウンドの議論で大体出ておりますけれども、議論を少し収束していくという意味で、一つずつ見て行きたいと思います。2.一つ目のQSAR利用等に関することで、さらに追加で御発言の方はおられますでしょうか。大体出尽くしたかなと思いますが、よろしいですか。

○鈴木委員  QSARについては確かに合う、合わないというのはありますが、外れた時にどうするかということの方が重要だと思いますので、トレーニングセットに対しては相手がある時の範囲である程度合うとは思いますが、化学物質に対してということでありますので、環境でいくらかはあまり無謀なことはしないように慎重に対応する必要があると思っております。 

 似たことですが、分解物生成物の取扱いも似たところがあると思っておりまして、分解生成物の実験データ、生成物の生成QSARというのは環境中でどうなるかということは非常に対応的には困難でありまして、これも同じようにある程度安全側を見ていくしかないのではないかなと思っております。ある程度想定外のことがあった時にどう対応するかということがいくつかやられることが非常に大切ではないかなと思います。科学的に検討することが一つ1つですが、想定外のことが起こるということを前提にして、科学的な検討をすることが必要だと思います。

○東海座長  ありがとうございました。

○亀屋委員  新規の審査の時にQSARを仮に使うとして、その後ずっと試験データが出て来ないと、ずっとQSARの値を使わなければいけな、一般化学物質になった後もというようなこともあるかと思いますので、そうはならないように願っておりますということだけ申し上げます。

○東海座長  ありがとうございます。

○本間委員  先ほどQSARの予測精度について少しお話しましたけれども、菅野先生おっしゃった様に、QSARの予測精度を上げるにはトレーニングデータが重要です。なるべく多くのトレーニングデータがあれば、その分高い精度で検出できます。つまり、ケミカルスペースが増えます。これを出来るだけ増やすということがQSARをより精度の高いものにするのに非常に重要です。このためには実データの提供が非常に重要であります。先ほどリストにされたQSARを作っているのは殆ど民間の企業ですが、こういった民間企業は、なかなかコンフィデンシャルなデータを手に入れることが出来ません。そのために、我々のような行政側が積極的に産業界と一緒に実データを提供することが重要です。安全性のデータに関しては人類共通の重要なデータと考えていますので、そういったものを積極的にパブリックに公開して、QSARの精度を高める、そういった努力をすべきだと考えております。

○経済産業省 飛騨室長  ちょっとだけ紹介させて貰ってもよろしいでしょうか。経済産業省ですけれども、分解性のQSARについて、今やっていることをちょっとだけ紹介させて貰いたいのですけれども、分解性のQSARについては、ブルガス大のQSARが分解生成物まで予想するということで、我々将来的に活用していきたいと思っているのですけど、今御指摘を受けているように、新規化学物質のデータを入れないとなかなか精度が上がらないということでございまして、ここは日化協の協力も得て、新規の登録データを、勿論守秘義務をかけた上で提供して、改良して貰っているというところでございます。御紹介までです。

○東海座長  ありがとうございました。それでは、QSARプラス2つ目の項目の分解に関わるところも含めまして、更なる御意見等ございますでしょうか。

○日本化学工業協会 庄野常務理事  今飛騨さんから御紹介頂いた通りですし、本間さんからの御指摘頂いた話がございますが、民間としては出来るだけデータを提供して、それが有益に使われるならば、是非それは活用なさってもいいかなと思っております。飛騨様からもお話し頂いた部分では、我々としても協力をさせて頂く必要があると思うし、我々もある意味での企業としてのコンサバティブなマインドをどこかで我々も変えていく必要があるかも知れないなというふうに思っています。本間先生の所で色々やって頂いているアプローチも、ある意味では、我々としては非常に今後楽しみにしている内容でございます。ただ、私の個人的な意見を言いますと、QSARだけではおそらく難しい部分も結構あると思います。そういう意味では、in vitroの試験を組み合わせるとか、ハイスループット型の従来にないような考え方でやって行くような部分は、かなり今後の検討課題になるのではないかというふうに思っています。そういった意味では、官民の協力もあり得るかなというふうに思います。

○東海座長  ありがとうございました。最初の2つの論点に関しましては、テクニカルな課題を含んでおりますので、これからの研究開発等も視野に入れながら解決できる、そういう可能性が皆様の中で共有できたのではないかと思います。それでは、その次の3つ目の○以降、少量新規制度の辺りの数量の導入に関する議論に関しまして。

○崎田委員  今日一番最初に質問させて頂いたのは、この辺の所を是非きちんと考えて頂きたいと思ったからです。実は少量新規とか、低生産量の数字を改定していくという時に、やはり一つの企業の中での数字という話になっていくと、社会からの目線がなかなか届きにくくなるというような性質を持っていると思っています。そういう意味で、やはり安全性をどのように確保することを強化しようか、別の措置でするのか、その辺を強調して頂くことが大事だと思っています。今回、このパラグラフを拝見すると、真ん中の方に、人の健康や生態系に対する安全性を確保しながらという、当然大事なことは書いてありますけれども、ここを強化するという視点を明確に入れて頂いて、出来ればそれをどういう視点で取り組むかということも入れて頂く。あるいは、そこが課題だということをちゃんと明示することが大事ではないかと思っております。色々申して申し訳ないのですけれども、私は、WSSDの2020年目標の中で、日本は非常に産業界も色々皆さん取り組んでおられますが、まだまだ弱いと思うのが、あそこにもしっかり書いてある予防的な取り組みを明確にするような表現で世界が取り組んでいるところを、日本はどこがそれに当たるのかという辺りの明示が非常に弱いなとずっと思っているものですから、そういう所をきちんと入れながら、社会全体の安全性を確保しながら進めることが出来ればというふうに思っております。よろしくお願いします。

○東海座長  今の御意見に対しまして事務局から何かございますか。よろしいですか。

○有田委員  少量新規の数量、全国1トン以下の見直しについて、今崎田さんがおっしゃった様なことと同じ意見です。経済産業省の方が説明された資料2の3ページ目、現在は届出時に提出すべき有害性データは色々試験等にはお金がかかるのでという様なこともあり、免除されていると理解しております。けれども、全国ではなく、1社1トンという方向になるのであれば、これは有害性データも届ける必要があると思います。そういうことが前提にあって、そして見直しをしていくことが必要だというふうに思っております。以上です。

○東海座長  ありがとうございました。今の御指摘に対して何か事務局からございますか。よろしいでしょうか。それではその次の4つ目の○、それからその次の3ページ目でありますけど、ポリマーの技術的な部分ですね、2ページ目の最後の4つ目の論点に関しまして、この辺りで何か御意見等ございますでしょうか。

○鈴木委員  意見というより質問ですが、法体系が成立してきた国というのは、どういうふうに判断される、法体系が成立してきたということは、どのような法体系が成立してきたら、こちらに入れると判断されるのでしょうか。

○経済産業省 飛騨室長  一つの例としては、欧州REACHが制定しましたので、欧州地域全体を入れてもいいんじゃないかというものです。あるいは、東南アジアでもいくつか化審法に相当する様な法律が制定されるという動きが出ていますので、そういったものの中身を見ながらということでございます。

○東海座長  その他如何でしょうか。

○有田委員  先ほどの理由を付け足したいと思います。少量新規ではなかったのですが、30社のうち26社の管理がしっかりしていない状況の報告がありました。見直しに各社の管理がしっかりしているから任せても大丈夫ではないかという考え方が前提にあるのだとしたら、今回他の中間物の管理状況だとしても、管理はしっかりしていないと受け止めます。各社1トンにする議論の理由として、管理状況がしっかりしている状況などもあったように思います。各社1トンにすることの前提がいくつか必要だと思う理由です。

○東海座長 ありがとうございました。重要な御指摘だと思います。それでは、3ページ目を御覧下さい。ポリマーの部分ですね。このことに関しまして、運用、改善等を求める指摘に対してどう対応していくか、何かこのことに関しまして追加的に御議論頂けますでしょうか。先ほどいくつかの例を示しながら御説明があったと思います。よろしゅうございますか。

 では最後、名称の公表についてということの論点ですけど、これに関しまして追加的に御議論ございますでしょうか。

○大塚委員  これは、私が2009年改正の時からやっておいた方がいいことだと思って指摘していたことですので、もし大きな障害がなければ、入れていただけるとありがたいと思います。化学物質名称のマスキングとか、あるいは一つ上の化学物質名称で対処するという様なことをお考え頂いた方がよいのではないかということで。この種の公表の様なものは、勿論市民に対して知らせることは重要ですが、他方で競争会社が知ってしまうことにもなりますので、企業秘密については考えていく必要があるのではないかと思います。

 これと関係ないかも知れませんが、別で扱われるのかも知れないですけど、毒性試験に関しての企業間でのコンソーシアムの様なものに関しては、どこかに追加してお書き頂くことは難しいですか。10条4項には既にあるのですけれども、是非御検討いただけると有難いと思いますし、REACHはきちんとした制度を作っていますので、日本でも考えて頂く必要があるのではないかと思っております。

○東海座長  ありがとうございます。これはどういたしましょうか。日化協さんの方から何かコメントはありますでしょうか。

○丸山委員  今のコンソーシアムの件ですが、何らかの安全性データの取得に関しての企業間の協力が必要であれば、我々も検討していきたいと考えております。

○大塚委員  経産産業省さんのお話でもあるので、民間だけのお話ではないかも知れませんが。

○東海座長  事務局の方から何かございますか。

○丸山委員  先ほどの中間物の立入実施状況の件で、しっかり管理できていないので、不安であるという様な御意見を伺ったのですけど、我々としても詳細なところを把握していないところでございまして、例えば、(3)の26件というのがどれくらい重篤なものであるのかという、その辺の内容を調査した上で対応を取っていきたいと思います。少なくとも(1)(2)については、まさに告発等を行った事例とか、経緯書の提出を求めた事例なのですけど、(3)について、多分その指摘内容については、ばらつきが非常にあるのではないかなと思っているところでありまして、その辺を確認させて頂ければと思っています。

○東海座長  ありがとうございました。事実確認をして頂いて、よろしくお願いします。何か事務局の方からございますか。

○経済産業省 飛騨室長  先ほどからコンソーシアムを組むことについてMETIとしてどう考えるかということだと思いますけれども、既に例えば有害性調査指示の様なもので、国としてデータを求める場合については、どうやってコンソーシアムを組むかといったものについて考え方の整理をしたりですとか、日化協と相談をしたりというのはさせて頂いております。一方で、ボランタリーにデータを出す時に、コンソーシアムをどうするかということについては、それは企業間の中での相談事かなと理解をしております。

○東海座長  ありがとうございました。それでは約5分くらいになりましたが、全体を通じまして、第1ラウンドの議論と第2ラウンドの議論の確認も含めて。

○鈴木委員  2ページの少量新規に関するところで、低生産量で枠組みしたものの中で排出係数が明らかに大きそうな用途のものについて、何らかの形で暴露クラスか何かを判断するスキームというのは、これは先ほどから議論されている少量新規1トンと関連する課題と思っておりますので併せて御検討頂ければと思います。

○環境省 髙橋室長補佐  2つ御指摘頂いた点ですけど、まず丸山委員から頂いた中間物の指摘事項の件ですけど、確かに大きいものから小さいものまで、(3)の中でも幅が広くて、例を出しますと、管理体制の再提出は、人事異動が反映されていなかったとか、そういう小さいものもありますし、ただ大きいものとしては、管理方針を策定すると御約束いただいて我々が確認を出しているにもかかわらず、行ってみたら文書がなかったとかですね、そういうこともあります。確かにこの辺は大きい小さいはあるかと思います。

 また、鈴木先生から今御意見をいただいたのですけれども、低生産量の場合、どうしても有害性データ、人健康影響と生態影響のデータがございませんので、この辺りをどうするかというところは、御指摘頂いて課題になるのかなと思います。ただ、例えば新規化学物質の審査の中でも、蓄積性の試験の中に、予備試験として生態影響試験が、魚類の急性毒性試験が、ちょっとテストガイドラインからは外れますけれども、試験を頂いていることがあります。その辺厳しい毒性を示している場合には、審議会の委員によっては、こういうものはもう少し用途を見ながら注意しなければいけないと御指摘頂いていまして、そういったものについては、事業者に注意喚起を呼びかけることもしてございます。こういったものを制度上どうしていくかというのは大変なのかなと考えてございます。

○東海座長  ありがとうございました。

○広瀬委員  全体的なことになるか、かなり特別なことになるか迷ったところはあるのですけれども、やはり1社1トンという話をどう管理していくかという考え方からすると、やっぱりQSARとは言わないけど、構造類似性を検出できるような構造式データは最低必要ではないかというふうに考えているところです。名前の名称の問題もありますけど、名前で管理することは化学物質はなかなか難しくて、最終的には構造で同定するしかなかったりする場合もありますので、それはそういうところが必要かなと思います。さらにリスクという観点からすると、確かに安全性情報は多分ほとんどないのですけれども、用途というのは絶対に必要で、用途がわかればリスクがどこに遍在するかということも含めて、全国一律にちょっとというだけではなくて、特定の用途に物質がかたまらないかとか、そういうことも必要だというふうに思います。

 ここから後はここの議論かわからないのですけど、用途とナノマテリアルは世界的にある程度懸念が来ていて、それは名称や構造は化学物質としては同じなのですね。物質の大きさだけが違うというところで管理が難しくて、それは各国どこも今はそういうふうに苦慮しているところです。実状的には、各国も毒性があるとかないとかの議論は置いておいて、取りあえずどこに使われているかを把握しようという動きは、おそらくアメリカも実施し始めようとしていますし、ヨーロッパのいくつかの国はもう導入しているので、これは用途なのか物性の延長なのか分からないのですけど、私個人的には少なくとも粒子の大きさくらいの物性データは追加で求めると、物性の中には粒子の大きさも入るという意味で、そうするとナノもある程度スコープに入れて把握できると、用途も含めてできるのではないかと。用途の詳細な情報提供と物性の詳細な情報提供というものがあると、物質管理が効率的になると思います。

○東海座長  ありがとうございました。それでは、ほぼ時間になりました。手短に。

○赤渕委員  すみません。恐れ入ります。少量新規の話でございますけれども、化審法の法目的について改めて確認いたしますと、化学物質による環境汚染の防止といったことがございますので、そういった意味では、全国1トンといったことは、社会全体の化学物質のリスクを管理するといった観点からは、一定の合理性はあるかと思います。既にどなたか御意見があったかと記憶しておりますが、それを外すとリスクの水準はどの様に変わるのかについての、シミュレーションの様なものがあると、その制度を変更することの適否についてより議論が容易になるのではないかと考えております。

 また、先ほど念のために申請をするというお話がありましたが、それは言ってしまうと企業間で足を引っ張り合っているように見られなくもないので、もし念のため申請といったものが製造量をさらに増やすことを阻害している、即ち、企業間で足を引っ張り合っているのであれば、そうしたことを防ぐために手数料を徴収するといったことは、先ほど経済産業省さんから御発言があったと記憶していますが、もう少し真剣に考えられてもよいのかなというのが2点目です。

 最後に、先ほど少しお話ありましたように、やはり宣誓をして頂いただけでは、繰り返しになって恐縮ですが、中間物の運用等を見ますと心もとないところがございますので、その辺りについてももう少し何らかの制度的な対応を検討する必要があるのかなということでございます。

○東海座長  ありがとうございました。それでは、短い御発言はございますでしょうか。

○丸山委員  先ほどの念のための申請というは非常に幅広い意味があるということで捉えていただけばよいと思うのですが、多分お客さんからオーダーがあるかも知れないということでの念のためという意味も含んでいると思いますので。

○東海座長  ありがとうございました。それでは、よろしゅうございますでしょうか。ちょっと座長の方の審議の進め方がまずくて申し訳ございませんでした。基本的には、崎田委員、蒲生委員、鈴木委員の御意見でかなりのところは全体の枠付けの議論が出来たと思いますけれども、既に進行している化審法におけるリスク評価のスキームですね、これを整合された形でどの部分は技術的な改善等でいけるか、どの部分は研究開発等を組み込みながら、運用面で工夫で乗り越えられるか、その辺りの議論がまとめられるのではないかと考えております。それでは、本日は貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。追加の御意見がございます場合は、1週間後の12月11日金曜日までに事務局に御連絡をお願いいたします。

 最後に議題3のその他について、事務局から何かございましたら、お願いいたします。

 (なし)

○東海座長  それでは以上で本日の議題が全て終了しましたので、事務局にお返しいたします。

○経済産業省 中沢課長補佐  ありがとうございました。次回は12月24日木曜日15時~17時、場所は経済産業省別館1階の101~105で開催いたします。別館入口から入って頂ければ案内でわかるようにいたします。

 それでは、本日はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。

15時30分閉会