保健・化学物質対策

第1回化審法施行状況検討会 議事録

1.日時

平成27年8月31日(月)14時30分~16時15分

2.場所

経済産業省 別館3階312会議室

3.出席

<委員>(◎は共同座長)

 赤渕 芳宏 国立大学法人名古屋大学大学院 環境学研究科 准教授

◎大塚 直  早稲田大学大学院 法務研究科・同法学部 教授

 亀屋 隆志 国立大学法人横浜国立大学大学院 環境情報研究院 准教授

 蒲生 昌志 国立研究開発法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門 リスク評価戦略グループ長

 菅野 純  国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部長

 鈴木 規之 国立研究開発法人国立環境研究所 環境リスク研究センター センター長

 武林 亨  慶應義塾大学 医学部教授

◎東海 明宏 国立大学法人大阪大学大学院 工学研究科教授

 丸山 修  一般社団法人日本化学工業協会 化学品管理委員会委員長(住友化学株式会社 執行役員)

<事務局>

 山内 輝暢 経済産業省製造産業局化学物質管理課 課長

 飛騨 俊秀 経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室 室長

 奥村 浩信 経済産業省製造産業局化学物質管理課リスク評価室 企画官

 中沢 潔  経済産業省製造産業局化学物質管理課 課長補佐

 鈴木 章文 経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室 課長補佐

 立川 裕隆 環境省環境保健部環境安全課 課長

 福島 健彦 環境省環境保健部企画課化学物質審査室 室長

 近藤 亮太 環境省環境保健部企画課 課長補佐

 髙橋 亮介 環境省環境保健部企画課化学物質審査室 室長補佐

 髙橋 一彰 環境省環境保健部環境安全課 課長補佐

4.議題

1.「化審法施行状況検討会」について

2.化審法の施行状況及び今後のスケジュールについて

3.その他

5.議事

○経済産業省 中沢課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第1回化審法施行状況検討会を開催いたします。本日進行を務めます経済産業省化学物質管理課 中沢でございます。よろしくお願いいたします。

 委員の皆様におかれましては、御多忙にもかかわらず、御出席いただき、誠にありがとうございます。まず、事務局を代表いたしまして、経済産業省化学物質安全室長の飛騨及び環境省 化学物質審査室長の福島から、それぞれ御挨拶申し上げます。

○経済産業省 飛騨室長 経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室長の飛騨でございます。化審法施行状況検討会の開催にあたりまして、経済産業省を代表いたしまして一言御挨拶をさせて頂きます。

 委員の皆様におかれましては大変お忙しい中、本日の検討会に御出席頂きまして誠にありがとうございます。また、日頃から化学物質管理行政あるいは経済産業省の様々な政策の推進に御理解と御協力賜りましてありがとうございます。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 今回の検討会の開催経緯、あるいは化審法の施行状況などにつきましては、後ほど事務局の方から詳しく説明をさせて頂きますけれども、私共といたしましては、化審法がこれまでに化学物質による環境汚染を防止する上で果たしてきた役割というものは非常に大きく、またこれによりまして人の健康や動植物の生息性が守られてきた側面が非常に大きかったという理解をしております。今後はですね、さらに前回改正で運用されましたリスク評価の仕組みを有効的に運用していくことによりまして、WSSD実施計画にあります2020年までに全ての化学物質による人の健康や環境への影響を最小化することを達成して参りたいと思っているところでございます。勿論化学物質管理の推進に向けたその他の課題につきましても、委員の皆様や本日傍聴頂いている皆様はじめ関係者の方々のですね、御協力を得ながら一つ一つ達成して参りたいと思っているところでございます。

 この検討会では本日を含めた5回の会議を通じて今年度内には議論の取りまとめをお願いしたいと思っております。委員の皆様におかれましては、是非とも今後の我が国の化学物質管理の質的向上あるいは効率的推進等に必要な貴重な御意見をお聞かせ頂きたいと思っております。本検討会において活発で建設的な議論を進めて頂けるということをお願いいたしまして、私からの挨拶とさせて頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○環境省 福島室長 環境省化学物質審査室長の福島でございます。先生方には御多忙のところお集まり頂きまして誠にありがとうございます。この検討会の趣旨などにつきましては、先程飛騨室長の御挨拶の通りでございます。環境省といたしましては、経産省、厚労省と緊密に連携しながら、化審法の円滑な施行を進めるとともに、来年の4月で平成21年の前回改正法の施行から5年が経過しますことから、この検討会で化審法施行状況について点検検討と課題の整理をお願いすることとしたいと考えております。

 我々の目標は、先程も御紹介のありましたWSSD2020年目標の実現といいますか、達成でございます。環境省といたしましては、各省としっかり連携しながら、また産業界や市民セクターとしっかりコミュニケーションをとりながら、ぶれないようにしっかり取り組んで参りたいと思いますので、どうかよろしくご指導お願いいたします。

○経済産業省 中沢課長補佐 また、本日はオブザーバーとしまして厚生労働省化学物質安全対策室がいらっしゃっております。

 続きまして、本検討会の委員を御紹介します。参考資料1に委員名簿がございますので、御参照頂ければと思います。私の方からお名前のみ御紹介したいと思います。

 赤渕委員です。

 大塚委員です。

 亀屋委員です。

 蒲生委員です。

 菅野委員です。

 鈴木委員です。

 武林委員です。

 丸山委員です。

 東海委員です。

 なお、本日、有田委員、崎田委員は、御欠席です。

 議題に入る前に、お手元にお配りした資料の御確認をお願いします。資料1から3までと参考資料1と2がございます。一番最後に本日御欠席の崎田委員からの意見書というか紙がございまして、メインテーブルのみ配布させて頂いております。内容については、後ほど申し上げたいと思います。資料の過不足等ございましたら、途中でも構いませんので挙手にてお知らせ頂ければと思います。

 続きまして、議事概要等ですけれども、本検討会後には、簡単な議事概要及び詳細な御発言を記載した議事録を作成しまして、後日、公表する予定にしております。議事録案については、後日、事務局から委員の皆様に御確認を頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、まず議題の1ということで「化審法施行状況検討会」について、事務局から説明申し上げます。

○経済産業省 鈴木課長補佐 それでは資料1を御覧ください。資料1平成27年度化審法施行状況検討会設置要綱(案)でございます。

 1.検討の背景と目的でございます。平成21年に改正されました化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、以下化審法と略させて頂きますが、化審法は平成23年4月に全面施行され、平成28年4月に施行から5年が経過しますことから、改正化審法附則第6条の規定に基づきまして施行状況の点検のため、関係審議会による審議に先立ちまして本検討会において施行状況等について予備的な点検・検討を行い、課題の整理を行うものでございます。

 2番目の検討内容です。1番目ですが、改正化審法の施行状況の点検でございます。以下3つございますが、後ほど御説明いたします資料2とも関連してきます。既存化学物質等のリスク評価の進捗状況、2番目といたしまして新規化学物質の審査・確認の状況、3番目に特定化学物質等の適切な管理の状況等でございます。また、課題の整理と今後の対応の方向性関しても、議題に含まれてございます。

 3番目、委員の構成でございます。こちら事務局から御紹介いたしました通り11名の先生の皆様に御審議頂くということになっております。

 裏のページにいって頂きまして、座長でございます。共同座長を委員の互選により決定いたします。検討会の議事進行は共同座長の持ち回りにより行いたいと思っております。

 5番目事務局でございます。事務局は、経済産業省製造産業局 化学物質管理課 化学物質安全室、経済産業省の委託先の住化分析センター、環境省 総合環境政策局 環境保健部 企画課 化学物質審査室、環境省の請負先のみずほ情報総研になっております。これらに設置いたしまして、検討会の運営については持ち回りで務めることといたします。

 6番目オブザーバーでございます。座長は検討会の進行に必要があると認める場合には、委員、事務局以外に必要なオブザーバーを参加させ、説明、発言、質疑等を求めることができます。

 7番目開催予定でございます。平成27年度内に、都内におきまして5回程度開催いたします。

 8番目検討内容の公開等ですが、本検討会及び資料は原則として公開といたします。また、事務局において取りまとめた議事録議事概要について委員の皆様の確認を受けて作成し、こちらについても、原則公開資料といたします。

 また、検討会、検討会資料又は議事要旨については、企業情報等の保護等により座長が非公開とすることが望ましいと判断し、予め委員の了承を得た場合には、この限りではございません。この場合、委員及びオブザーバーは、本検討会を通じて知り得た企業秘密に該当する事項等に関して守秘義務を負います。

 その他設置要綱は必要に応じて見直しを行うことといたします。以上です。

○経済産業省 中沢課長補佐 ただいま説明のございました設置要綱案について、御質問・御意見ございましたら挙手をお願いいたします。特にないようでございましたら、こちらの設置要綱(案)は案をとらせて頂きたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。異議がないものとさせていただきたいと思います。

 続きまして、設置要綱に基づきまして、共同座長の選出をお願いいたしたく存じます。事務局としては東海委員及び大塚委員に共同座長をお願いできればと考えておりますが、如何でしょうか。

(異議なしの声)

 ありがとうございました。それでは、今回を含めまして各回の議事進行は東海座長と大塚座長の持ち回りでお願いしたいと思います。東海座長と大塚座長におかれては、座長席に移動をお願いいたします。

 本日のここからの進行は東海座長にお願いしたいと思います。では、東海座長、よろしくお願いいたします。

○東海座長 それでは、議題2の「化審法の施行状況及び今後のスケジュール」について、事務 局から説明をお願いいたします。

○経済産業省 鈴木課長補佐 それでは資料2を御覧ください。資料2 化審法概要と平成21年改正以降の取り組み状況についてでございます。こちら御説明いたします。

 ①でございます。平成21年改正化審法についてでございます。化審法は化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の略称でございます。今後法律名は化審法と略して御説明いたします。化審法とは人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息・生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質による環境汚染の防止を目的とした法律でございまして、経済産業省、環境省、厚生労働省の3省で所管しております。

 化審法には大きく分けて3つの制度措置がございます。一つ目は、新規化学物質の事前審査でございます。新たに製造・輸入される化学物質に対して事前に審査を行うというものでございます。2つ目は、上市後の化学物質の継続的な管理措置でございます。製造・輸入数量の把握、有害性情報の報告等に基づくリスク評価を行います。3つ目に分解性、蓄積性、生態又は人毒性など化学物質の性状等に応じた規制及び措置でございます。化学物質の性状に応じて「第1種特定化学物質」等に指定をします。その他、製造・輸入数量の把握、有害性調査の指示を行います。

 続きまして、化審法の改正経緯でございます。昭和40年代初期に、PCBによる環境汚染が国際的に問題になりました。日本でも同じ頃、食用油にPCBが混入しまして健康被害が発生し、大きな社会問題となりました。そうした問題をきっかけとして、化審法は昭和48年に制定されました。化審法は、PCBとそれに類似する化学物質による環境汚染を未然に防止することを目的にしております。それから社会的な背景、社会的な整合性を勘案しながら、直近の平成21年改正を含め、合計4回の法改正を実施しております。下に3回の改正を書いておりますが、記載していない1回は主要省庁再編に伴い、環境省を共管とする旨を規定したものであります。昭和48年に制定された時は、新規化学物質の事前審査制度を設け、難分解性、高蓄積性、人への長期毒性のハザード面に関する特徴を確認した化学物質を「特定化学物質」として指定しております。昭和61年の改正ですが、特定化学物質の他、難分解性ではあるが高蓄積性を有さないかつ広範な地域に残留している化学物質を「第二種特定化学物質」として規制しております。平成15年の改正では、人への健康影響に加え動植物への影響の観点も含めた審査・規制制度になっており、影響があり得るとされた化学物質を監視化学物質としての全国数量の把握を制度化しております。また、環境放出可能性が小さい化学物質に対しても審査の効率化を導入しております。

 直近の平成21年改正については、次のページで御説明いたします。

 平成21年改正の化審法の概要でありますが、詳しくは右下の箱の囲みになります。既存化学物質対策といたしましては、化審法の制定の前から存在していた化学物質を含む全ての化学物質に対して、一定数量以上の製造・輸入をした事業者に対し、その数量等の届出を義務付けることを新たに規定しました。国としてはこの届け出を受け、詳細な安全性評価の対象となる化学物質を優先度を付けて絞り込み、製造・輸入事業者に対し、有害性情報の提供を求め、人健康影響等に与える影響を段階的に評価していきます。その結果により、有害性を持つ化学物質及びその含有製品の製造・輸入規制等の対象とするものでございます。

 2番目に新規化学物質の審査・確認として、低懸念高分子の確認制度を新たに導入しております。人や生態系に被害の生じる恐れのない、懸念の低い高分子、低懸念高分子化合物の確認制度を導入し、所管大臣の確認を受ければ事前の審査不要という制度を導入しております。

 3番目に化審法の整合性の確保といたしまして、ストックホルム条約で規定される新規対象物質を厳格な管理の下で使用可能にすることとして、現在ではPFOSを特定用途として、エッセンシャルユースを認めているところございます。冒頭の囲みにもどりますが、平成21年改正では、全ての化学物質、包括的な化学物質の管理を実施することにより、人や動植物への各影響を防止し、また化学物質の安全性評価にかかる規制を見直し、国内整合性を踏まえた規制合理化のための措置を講じております。

 続きまして、化審法の対象となる化学物質でございます。化審法における化学物質の定義は、元素又は化合物に化学反応を起こさせることにより得られる化合物のことを示し、元素や天然物は含めません。化審法では、一般工業化学品に用いられる化学物質を対象としております。化審法に基づく規制ですが、化学物質の製造と輸入の規制を行っており、大気中への排出、廃棄物処理等については、他の法律等で規制されております。また、食品衛生法による規制が行われている食品や添加物、農薬取締法による規制が行われている農薬、放射性物質、覚せい剤、麻薬は審査の対象とはなりません。

 続きまして化審法の体系でございます。市場に出る前の新規化学物質は、事前審査を受けなければ上市することができず、化審法第6条におきまして、新規化学物質の製造又は輸入することができないという事前審査制度を定めております。

 その事前審査を経ない審査の特定としては、低生産量新規、少量新規、中間物等、低懸念高分子の4つがあります。その審査制度については後程、御説明をいたします。

 上市になった化合物はその性状においてその所属するカテゴリーが分かれています。例えば、第一種特定化学物質は、分解性、蓄積性、長期毒性の全ての特徴を兼ね備えており、現在30物質が指定されております。また、監視化学物質は分解性・蓄積性を有しているものの、長期毒性が不明であるという特徴を持った物質が入るカテゴリーでございまして、現在37物質が指定されております。また、第二種特定化学物質は蓄積性は低いが、分解性があり、長期毒性のリスクがある特徴を持った物質が入るカテゴリーで、現在23物質が指定されております。平成21年改正において、包括的な化学物質管理を目指し、約28,000に上る一般化学物質について国がスクリーニング評価を行った後、リスクが十分に小さいといえない物質を対象に国がリスク評価を行う流れとなっております。その説明は後程別資料で行います。

 続きまして我が国における化学物質規制における化審法の位置付けでございます。我が国における化学物質規制は、暴露やライフサイクルにより様々な法律により管理をされております。化審法では、環境を経由した化学物質に関する規制で、人と生態毒性を対象としております。  また、平成21年の法改正では、化審法第47条におきまして、化学物質規制に関しては国内他法律との連携することが望ましいとの記載がございます。

 続きまして②番既存化学物質対策について御説明いたします。まず、平成21年法改正によりましては、リスクという考えた方が加味されております。改正前の化審法では、有害性(ハザード)に着目した規制体系でしたが、有害性にその化学物質がどれだけ環境中に放出されるかという暴露量(環境排出量)を掛け合わせたリスクという考え方で規制を行うこととしました。有害性とは、化学物質が人や環境中の動植物に対し、どのような望ましくない影響を及ぼす可能性があるかということで、暴露量は人や動植物が、どれくらいの量、濃度の化学物質にさらされているかということを示しております。

 リスクベースの評価管理の一般的なメリットとしては、一番下の囲みに記載しました通り、有害性情報が不足している化学物質に関しまして、一定以上の暴露が想定される場合にはリスクが十分に低いと判断できないとして、詳細な評価対象とすることが可能になります。また、有害性が高くない化学物質についても、暴露量が多くなることにより人や生態に影響が出ると懸念される場合には、管理対象とすることが可能になります。このように取扱いや使用方法など、暴露量を管理して、リスクをなくすことにより、様々の化学物質の利用が可能となるというメリットがございます。

 続きまして、スクリーニング評価の状況でございます。平成23年度以降、一般化学物質のスクリーニング評価を実施していきまして、現時点で177物質の優先評価化学物質を指定していきました。スクリーニング評価の結果により、優先化学物質に移行する化学物質、一般化学物質におりる化学物質がありますが、詳細は次のページで御説明いたします。スクリーニング評価の後、優先化学物質に指定された化学物質は、より詳細なリスク評価を実施することとなっておりまして、その判定結果により、第二種特定化学物質への指定、優先化学物質のまま残る、優先化学物質を取り消して一般化学物質に移行するという流れがございます。また平成27年2月以降有害性情報が不足しておりました一般化学物質840物質について、有害性情報の提供を製造・輸入事業者に対して依頼しており、今後は、有害性情報が得られなかった物質については、デフォルト、ここに記載をしておりますが最も厳しい有害性クラスを付与する運用ルールのことでございますが、これを適用することを検討しておりまして、スクリーニング評価を順次進めていきたいと思っております。

 続きまして、スクリーニング評価、優先度マトリックスを用いたスクリーニング評価でございます。一般化学物質のスクリーニング評価は、この表にあります通り、優先度マトリックスというのを用いております。これは有害性の暴露クラスの大小によりスクリーニング評価を行い、リスクが十分に小さいとは言えない化学物質の選定を実施しております。有害性クラスでございますが、人・健康の影響といたしまして、一般毒性、生殖発生毒性、変異原性、発がん性に係る有害性情報から有害クラスを設定しており、生態への影響といたしましては、水生生物の生態毒性試験データに係る有害性情報から有害性クラスを設定しております。また暴露クラスは、縦軸ですが総推計環境排出量を使用してクラス分けを行っております。これは、製造・輸入数量等の届出情報や分解性の判定結果から算出するものでございます。これら有害性クラスの強弱、暴露クラスの大小の結果、「高」「中」「低」の分類が可能になります。リスクの十分に低いと判断できない場合は優先評価化学物質に移りまして、「中」や「低」であれば、必要に応じてエキスパートジャッジで、専門家の御判断を頂きながら優先評価化学物質に移るというものであります。「低」や「高」「中」に属さない分類であれば、一般化学物質に移行するというものでございます。

 続きまして、優先評価化学物質のリスク評価の状況でございます。指定されました優先評価化学物質は、より詳細なリスク評価Iを実施して、下の表でございますが、平成26年7月の評価Iの結果、16物質が評価IIに移行することになっています。この16物質は、本資料の14ページにあります物質一覧となっております。また、これまで5物質についてリスク評価I及び評価IIを実施してきましたが、評価の結果、クロロエチレンにつきましては優先評価化学物質の指定の取り消しを行っております。

 続きまして、有害性情報の報告制度でございます。化審法第41条に基づきまして、化学物質の製造・輸入事業者は、その製造・輸入した化学物質に関して、化審法の審査項目に関する試験等を行って人や動植物に対する毒性など一定の有害性を示す知見を得た時は、国へ報告することが義務付けられております。下の表の通り、年間200件程度の報告が上がっております。これに加えまして、前ページで御説明したリスク評価の加速化に向けて、平成25年度及び平成26年度に事業者に対しまして、優先評価化学物質及び推計排出量の多い一般化学物質の有害性情報のボランタリーな提出を依頼したところ、約800物質に関する情報が得られております。

 14ページでございますが、こちら平成26年度よりリスク評価IIに着手する優先化学物質のリストでございます。16物質ございます。

 続きまして、今後のリスク評価IIのスケジュールですが、平成27年度は7物質、平成28年度は15物質の審議を予定しております。次のページは、平成29年度16物質の審議を予定しております。

 続きまして、新規化学物質の審査・確認について御説明いたします。18ページでございます。新規化学物質が市場に出される前に原則として、通常新規化学物質の審査を受ける必要があります。新規化学物質の事前審査では、分解性、蓄積性など4項目の有害性情報に基づいて審査を行うこととなっております。審査の結果、一般化学物質の判定となった場合には、制限なく製造・輸入が可能になります。

 新規化学物質にはそのような通常新規と呼ばれるものの他、低生産量新規、少量新規、低懸念高分子、中間物等の特例制度がございます。少量新規は年間の製造輸入数量がこちらの表にあります通り、日本全国で1トン以下と制限されているもので、国に提出すべき有害性データは求められておりません。また、低生産量新規は、年間の製造輸入数量が日本全国で10トン以下に制限されているものですが、分解性、蓄積性の有害性データが必要となっています。これらの制度につきましては、同じ化学物質を違う事業者が届け出た場合、数量調整を行う必要があるということがあります。また、低懸念高分子や中間物等につきましては、提出すべき有害性データはないのですが、低懸念高分子化合物につきましては、分子量、物理化学的安定性の試験データの提出が求められ、中間物等では取扱い方法や施設設備状況を示す情報が必要になります。囲みの3.に書いてありますとおり、我が国の化学産業が少量多品種の形態に移行する中、化学物質による環境汚染の防止を前提に少量多品種産業にも配慮した合理的な制度設計としているところでございます。

 19ページ以降23ページまで、各制度の現状、届出件数やその主な用途を記載したスライドになります。19ページでございますが、新規化学物質の届出件数の推移ということで、直近では600件程度で推移しております。うち通常新規が400件程度で推移をしております。主な用途といたしましては、塗料・コーティング、中間物、電気・電子材料の順で、経年で比較しましても上位の用途は不変でございます。

 続きまして20ページでございます。低生産量新規化学物質の確認件数は、年々増加しておりまして、平成26年度では1,600件程度の確認がございます。主な用途は、電気・電子材料、中間物、フォトレジスト材料、写真材料、印刷版材料となっております。経年で比較しましても上位の用途は不変でございます。

 21ページ、少量新規化学物質の申出件数の推移でございますが、直近では36,000件程度で推移をしております。主な用途としましては、電気・電子材料、中間物、フォトレジスト材料、写真材料、印刷版材料となっており、経年で比較しましても上位の用途は不変でございます。

 22ページ目、低懸念高分子化合物の確認件数の推移でございます。本制度は平成21年度改正で追加されたものでございまして、新規化学物質の中でも人の健康や動植物の生息に被害を生ずるおそれがないものとして確認を受けたもので、この確認を受けたものは新規化学物質の製造届出に関する事前審査は不要となっております。この確認件数につきましても、毎年一定程度の届出件数がございます。

 23ページ目ですが、中間物等の確認件数についてでございます。中間物等というのは、細かく分けて3つございまして、中間物、閉鎖系等用途、輸出専用品の3種類がございます。それらの確認件数の推移は、以下グラフの通りでございますが、平成26年度の内訳でございますが、中間物は確認件数236件、うち中間物は190件、輸出専用品は44件、閉鎖系等用途は2件で推移しております。また、中間物等の特例制度の確認を受けた事業者に対しましては、3省とNITEの職員が立ち入り検査を定期的にしております。その件数は、右の表にございますとおりでございます。

 24ページでございます。平成25年6月に閣議決定されました規制改革実施計画におきまして、化審法の化学物質審査制度の見直しが3件盛り込まれてございます。事項名を御覧頂きますと、少量新規化学物質の総量規制の見直し、2つ目が少量新規化学物質の受付頻度の見直し、最後が化学物質の用途等を考慮した審査制度の構築ということになっております。具体的には右の内容を御覧ください。

 少量新規化学物質の確認制度につきましては、低生産量新規全国10トンの枠との関係を考慮しながら、1社単位での確認を行うことについて検討し、結論を得る。2番目としまして、事業者の事業機会を逃すことがなく競争力を高める観点から、事業者の実情を深く考慮した確認申出の受付期間の頻度を増加させることについて検討し、結論を得る。最後3番目でございますが、新規化学物質の審査制度の在り方について、合理化の必要性が指摘されている課題について検討を行い、結論を得る、の3つがございました。

 次のページですが、それらの指摘を受けまして、平成26年6月30日に公布し、同年10月1日に施行した少量中間物等確認制度を創設しております。その確認制度は、1申出1年度1トンの確認を可能にし、一度確認を受ければ毎年度の確認は不要、申出書の提出は随時というふうにしております。また、提出資料の簡素化を可能にし、国の審査期間を大幅に短縮したものとしております。施行後、10月から3月までの半年間ですが、124件、中間物102件、輸出専用品22件を確認しております。併せて個別課題につきまして、順次結論を得て実施しているところでございます。

 続きまして26ページです。化審法の国際整合性の確保でございます。第一種特定化学物質は、人や環境中の分解性が低い、動植物への蓄積性が高い、長期的な毒性があるという特徴を有する化学物質でございまして、現在30物質が指定されております。第一種特定化学物質については環境中への放出を可能な限り回避する必要があることから、製造輸入を許可制にしておりますが、試験研究用途の例外を除いて、原則製造輸入使用を禁止しております。これらの規制を実施することで、難分解性、高蓄積、長期毒性を有する化学物質の環境中への放出を回避しているものでございます。

 化審法における第一種特定化学物質に関する特徴といたしまして、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約、POPs条約との整合性の確保があります。POPs条約におきましては、難分解性、生物蓄積性、長期毒性及び長距離移動性を有する残留性有機汚染物質による人の健康の保護及び環境保全を図るため、各国が国際的に強調し、その製造及び使用を原則禁止する措置をしております。

 最近では、平成27年5月に開催されたPOPs条約第7回締約国会議におきまして、塩素数2以上のポリ塩化ナフタレンとヘキサクロロブタジエン、ペンタクロロフェノールとその塩及びエステル類の付属書A(廃絶)への追加が決定されております。これらの物質につきましては、今後化審法において必要な措置を講じる予定でございますが、既にヘキサクロロブタジエン、塩素数3以上のポリ塩化ナフタレンは、化審法の第一種特定化学物質に指定済みであります。

 国際整合性の確保についてですが、第一種特定化学物質に指定されましても、代替困難でありまして、人への健康や環境への被害が生じない場合には、エッセンシャルユースとしてその使用が認められております。その場合には、ラベル等による表示及び基準適合義務が課せられております。措置の概要としては、下にあります通り、POPs条約の対象である第一種特定化学物質に指定した物質のうち、PFOSにつきましては、半導体用のエッチング剤・レジストの製造、業務用写真フィルムの製造用の用途の使用をエッセンシャルユースとして指定をしております。これまで使用の届出は2件ございまして、立ち入り検査の結果、適正に使用されていることが確認をされております。

 5番目といたしまして、その他化審法施行状況でございます。第二種特定化学物質ですが、環境中に広く残留する性質がございまして、人や動植物への長期的な毒性をもつ恐れがある、そういった物質が指定されております。代表的なものとして、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素等23物質を指定しております。

 第二種特定化学物質につきましては、この化学物質が第二種特定化学物質である旨を表示することによって注意又は不適切な使用方法による環境中への排出がされることがないよう、使用者の注意喚起をするとともに、技術上の指針に基づいて取り扱うことが、取り扱い過程から環境中への放出抑制するようにしておりまして、製造輸入を行う事業者には、予定数量を届け出た上で、事後の実績報告書を行うことが義務付けられております。下の表にあります通り、代表的な物質につきましては出荷数量は低下傾向でございまして、米印にもあります通り、トリフェニルスズ類、トリブチルスズ類は実績がございません。

 資料2の説明は以上になります。

 続きまして、今後のスケジュールについて、資料3を御覧ください。化審法施行状況検討会の今後のスケジュールと議題(案)でございます。

 まず第1回目は、本日8月31日に開催しております。以降、第2回目10月16日、第3回目12月4日でございますが、こちらに記載しております議題案は、本日御説明いたしました項目に沿っております。第2回目は、既存化学物質のスクリーニング評価とリスク評価の現状、第3回目は新規化学物質の審査・確認制度の現状、第4回は12月24日ですが、化審法における適切な化学物質管理と関連する取組ということで、本日は国際整合性の部分を実施してきたので、その部分について詳しく御説明しております。最後の予定ですが、28年3月頃に取りまとめを行うという段取りをスケジュールとして組んでおります。以上です。

○東海座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。また、次回以降の検討会において、心得ておくべきことや準備すべき資料等についての御意見がありましたら、そちらもお願いいたします。

○経済産業省 中沢課長補佐 事務局から、崎田委員から意見が出ております。メインテーブルは1枚紙を配布しております。崎田委員に代わりまして、私の方から内容を御紹介いたします。

 欠席にあたり一点、今後の検討に関して要望させて頂きます。化審法の施行状況の検討にあたり、化学物質のライフサイクル全体でのリスク削減に向けた取り組み状況を検討することも重要と考えます。そのためには、事業者だけでなく、消費者・市民の役割の認識や、消費選択や適切な利用、廃棄などの役割を実践できるような情報共有も必要となってきます。化学物質に関する情報がサプライチェーン全体を通じて消費者まで届くように、情報伝達の取組みについても確認、検討できるよう準備をお願いいたしたいと考えます。また、現状でも事業者間の川上と川下の情報共有が重要とされており、その状況も確認、検討できるよう準備をお願いしたいと考えます。どうぞよろしくお願いします。

○東海座長 ありがとうございました。それではこれまでの御説明に対しまして、御意見等よろしくお願いいたします。

○赤渕委員 御説明どうもありがとうございました。単純な数字の確認なんですけれども、ただいまのスライドの10ページ目、もしかしたら私が聞き逃しただけなのかもしれませんが、スクリーニング評価の状況というところで、囲みの下のフロー図のようなもので、スクリーニング評価から下に伸びています、一般化学物質の方に延びています矢印の上に、およそ11,000物質と数字がございますが、これはスクリーニング評価が終わって一般化学物質になった物質という理解でよろしいでしょうか?

○経済産業省 鈴木課長補佐 はい。

○赤渕委員 ありがとうございます。あともう一つですけれども、これはただ単に私がものを知っていないだけなのかも知れませんが、スライドの19枚目から、20、21にかけてでございますが、19枚目の囲みのところで、新規化学物質の届出件数が直近で600件前後ですと、通常新規で400件で低生産量による届出件数が200件、この内の低生産量による届出件数が200件という数字と、20ページにあります囲みの中の特に平成26年度の1,600件程度という数字との関係、及び少量新規のところについてはその前の方には、これなくてもいいんでしたっけ、この数字の関係について御説明を頂ければと思います。

○環境省 髙橋室長補佐 それでは環境省の方からお答えさせて頂きます。新規化学物質の方のスライドにございます低生産量の届出件数というのは、申請がありましてから審査を行ってその結果低生産量になったものでございまして、一方、スライドの20番にあります1,600件というのは、こちらの低生産量につきましては、毎年確認をして、その都度、毎年そこで製造する数量が決まります。あくまでも判定は1回きりですが、1,600件の方は毎年の確認ということになります。ですので、おそらく、25年度から26年度にかけて、低生産量の確認件数について200に満たないくらいの数が増えておりますけれども、新しく200件程度が新規で低生産の審査を受けた物質になりますし、一方、低生産になったものもやはり製造数量が増えた時に卒業していくということではありませんけれども、他の人健康とか生態影響の審査を受けて、通常新規の方に移行する物質もありますので、200に満たない程度の数が増えているということかと思います。

○東海座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。その他に御意見ご質問ございませんでしょうか。

○鈴木委員 予定表を拝見すると、おそらく次回以降の課題を抽出する事なのかと思いますので、その観点で思い出した事も含めて、気が付いたことを2、3申し上げます。

 一つは、これに関連して3省の合同審議会、中環審では化学物質審査小委員会で動いているわけですけれども、そこで提起された問題点がいくつかあったと思うのですが、一つは非常に強い毒性をもつ物質について、スライドの11ページとかでいうクラスの外に落ちるようなもの、はみ出してしまうような毒性をもつものが時々見つかってきていて、それに対する対応を検討するべきだと指摘がされているのを覚えているのですけれども、それについては重要な課題だと思いますので、次回以降検討の課題にして頂きたいと思います。

 それからもう一つは、似たようなことでは3省の合同審議会でもいくつか指摘事項があったと思いますので、そこでも今後の見直しの時には検討する必要があるという指摘があったと思いますので、3省の委員会の先生方の意見を何かの形で吸い上げるのはとても良いかと思いますので申し上げます。それが第1点。

 第2点、もう少しテクニカルなところでして、排出係数のことは11ページ、12ページ、これは私が前から申し上げていることでありますが、排出係数を用いて製造輸入量を推計排出量に変換すること自体は、ある種の合理性があると思いますが、係数の設定について、これは確か私が参加させて頂いた最初の審議会の時に、排出係数の値は平均的なものですか最大的、リーズナブルなものですか、という質問を差し上げたことがございますが、平均的なものですと当時の課長さんからお答え頂いたと記憶しております。

 実はこの排出係数が、平均的なものかどうかということは、化学物質のリスク評価というものは基本的に未知の部分がたくさんございますので、有害ハザードについては様々な不確実係数がかけてありますし、暴露の側についても色々ありまして、不確実なところをどれだけ担保するかという仕組みを制度上合理的に設計されていることが望ましいと私は思っておりますが、その立場からしますと、排出係数というものが平均的なものなのか、最大的なものなのかの位置付けと評価の最終的なスキームの見方に関係しているものでありまして、その意味において排出係数というものについて、位置付けを踏まえて、今の値あるいは設定の仕方について、見直しが必要であるかはわかりませんが、それについて再考する必要があるのではないかと思っております。因みに日本で化審法に用いられている排出係数とEUの排出係数とでは何桁も違っておりますので、日本の係数は一番小さい数字となっております。それは何故かというと、平均的なものだからだと思いますが、そうであるならばこれに対する制度のあり方というものを考える必要があると私は思っております。それが第2点。

 3つ目は、今も御質問のありました低生産量少量新規に関するスライド20ページ、21ページに御準備頂いたところですけれども、低生産量もそうですが、少量新規が36,000件程度用いられていると。少量新規の制度は、制度を運用する上では必要なことなのでそれは良いと思いますが、単純計算すると、1トンかける36,000件で、36,000トンの届出が可能になる。この計算は無茶苦茶でありますが、届出可能という計算になりますので、もしかすると通常新規に匹敵するくらいの量になるんじゃないですかね。この部分が私の指摘としては、1トン×36,000という数字は、化審法を扱っている化学物質の管理上、決して小さな数字だと私には思えませんので、1トンで少量新規を届け出る制度のあり方についてはより注意深く見ていく必要があるんじゃないかなと思っております。いずれにしても少量新規の扱いが1トンでいいのか、1トンという値を何もしなくても36,000まで行ってしまうと僕は思っていますので、間違っていたら教えて下さい。そうであるなら何かそれに付随・付帯的な何らかの情報確認を求めるとかですね、何らかのことを考えた方が有効なんじゃないかと思っているので、次回以降御検討頂きたいと思っております。以上です。

○東海座長 ありがとうございました。今の時点で何か事務局から答え、補足頂けることがありましたら。

○経済産業省 飛騨室長 すみません、3番目の部分だけですね、確認をさせて頂きたいのですけども、少量新規の部分ですけれども、今全国1トンという運用をしておりまして、1社1トンという運用には今なっていませんので、例えば同じ物質で何万件も積み上がるという形には今なっていないということです。

○鈴木委員 それはそうか知れませんが、複数の社から提出されているとしても、少なくとも1,000社から提出されているという状況ではないと思いますので、私が見ている限りそんな感じに見えますので、相当な量ではないのかという気がいたしますが、実質僕は見ていないのですけれど、3省合同審議会で見ております限りでは、せいぜい数社が多かったと思います。

○経済産業省 飛騨室長 すみません、それは、同じ物質でという意味でしょうか。こちらの方で同じ物質であるかどうかは全部チェックを行いまして、同じ物質については全国1トンを超えないようにという管理をさせて頂いております。従ってこれは36,000「種類」の化学物質があるものです。

○鈴木委員 わかりました。私の理解不足であれば後でそれなりに見て頂ければと思いますが、この点について、今の御説明の事項について、次回以降、もう少し詳しい資料を出して頂ければという気がいたします。よろしくお願いします。

○東海座長 ありがとうございました。

○赤渕委員 度々恐れ入ります、今の件に関連してなんですけれども、全国1トンを超えないようにということなんですけれども、複数社から届出を提出してきた時に、具体的にどの様な調整が行われているのか、全く民間事業者に任せているのか、あるいはその中で行政の方が何か指導等行うことがあるのかについて、もし何かお分かりでしたら、今回お答え頂かなくても結構ですので、何かありましたら情報をお出し頂ければ大変有難いと思います。

○経済産業省 飛騨室長 すみません、概要だけを言うと、年度内で回数を分けて申出をしてもらっておりますので、全国1トン超えた時点でその先、申出ができないという形になっております。

○赤渕委員 そうすると、先着順みたいな形なのですか。

○経済産業省 飛騨室長 ある部分ではそんな感じになるかと思います。詳しくは次回説明させて頂きます。

○赤渕委員 よろしくお願いします。ありがとうございます。

○丸山委員 今の件に関連するのですけれども、資料で御説明頂いた規制改革の実施計画の概要についてということに関して、今後の議論の検討の中に入れて頂きたいことを発言させて頂きたいと思います。

 規制改革を受けて検討して頂きまして、一定の前進があったと評価しているところでございますけれども、少量新規とか、あるいは低生産量新規における数量とか受付頻度について、安全性の確保が大前提でございますけれども、事業を推進する上で、予見性が出来ないということで事業の運営に支障をきたすこともございます。

 また当時、規制改革会議の中では、不純物や分解物の取扱いとか、それから付帯決議にもあったかと思うのですけれども、QSAR等の化学的推測手法の導入といった点、我々としましては、まだ課題が残っていると認識しているところでございます。

 先ほど委員の方からも少量新規の取扱いについて御意見がございましたけれども、今後私共の今申しました意見等も踏まえて、検討会の中で検討して頂けたらと思うところです。

○東海座長 ありがとうございました。今の段階で何か事務局の方からございますか。次回以降 の宿題ということで御準備頂ければと思います。

○菅野委員 私といたしましては、3省合同の会議の場で何回かコメントさせて頂いたものの繰り返しになると思いますが、時間が経ったりしておりまして、私自身の頭の中でちょっと混乱していることもありますので、考えながらしゃべってしまうかもしれませんが、お許し頂きたいと思います。

 基本的に私はハザード側の人間なものですから、スライドの2枚目でいいますと、化審法のそもそも論の中の特に3番目の○ですね、化学物質の性状等に応じた規制というところを常々考えてきたわけです。それで、そういう意味では、今まで規制に回っている物質の扱いが、リスク評価を加えたことによって、どの様に修飾されてきた、まだされていないかも知れないですが、なってすぐですから、今後どのように質が変わっていくのかという、あるいは変えないでいけるのかという話で、先程国際的な整合性という問題もおそらくあったと思うのですが、そういう面から、今後のそこを何か修正しなくてはいけないのか、というざっくりとした質問がございます。

 そういう意味では、一つは少量新規で非常に毒性が強いもの、その場合、現在は1トンとか10トンとか、この場合は用途が不明な段階だからだと思うのですが、排出係数が計算できない状態で、生産量でそこだけはやっているというところと、にもかかわらず毒性が原則分からないというところでどうするかという話が先程あったかと思うのですが、それはスライドの10のところの説明で、私が誤解した可能性があるのですが、毒性の情報がないものに関しては、デフォルトの値を使って事業者さんからのデータの提出を促すようなお話があったと思います。これは今、どのくらいの化合物が対象になっているのか、なりそうなのか、そこら辺を今試算が出来るようでしたら、今日の必要は初回ですから無いかもしれませんが、というのが一つあります。

 あと、おそらく2020年までにこなすという面からいうと、暴露クラスの「1」に入るもの、「2」に入るもの、「3」に入るもの、「4」に入るもの、それ以下、これの件数がざっくり教えて頂けると、今後の話でベストエフォートをやる時に有り難いかなと思いました。

 あとは、3省合同の時にも申し上げたと思うのですが、クロロエチレンが一般化学物質になった時の手順を踏まえて考えると、その時は他省庁でカバーされているとかそういう言葉もあったかと思うのですが、現状どのようにそれが推移している、あるいは変わろうとしているのか、しないで上手くいっているのか、そこら辺の現状及び見通しですね、それが一つ。

 あと、前後して申し訳ありません。少量新規の方にも関わるのですが、先日の会議でペンタクロロフェノールに関して指定された時に、国際的整合性から、塩違いとエステル違いを一緒にしているのをそのまま採用されたと思うのですけれど、先程の鈴木委員の1トン云々のときに、例えば全く同じ化合物でない、あるいはCAS番号が違っても実は塩違いであったとか、エステル違いであったとか、蓋を開けてみると、これは生物学的には少なくても足しておかなくてはいけなかったというのが出てくると思うんですね。国際的にその問題はすぐに出てくると思うので、そこら辺を少量新規と既存と両方だと思うのですが、どう今後国際的にも担保していったらいいのかという点を是非検討願えたらと思います。以上です。

○東海座長 ありがとうございました。大変貴重な御意見を頂きまして、今回の検討委員会では、法律そのものの制度的な面の改正等の必要性があるかという話と、法律はよしとして、その運用の仕方で工夫できるところはあるかないかとか、実際にそれを運用していった結果、個々のエビデンスあるいはファクトが出てきますから、そのファクトの数字からさらに反省すべき点はどこかといった、かなりレベルが大きいものから中間的なものから小さいものまで一気に議論が今進んでいると思いますので、その辺りも事務局の方で仕分けをして頂いて、今回のその委員会のミッションにより重要なものから順番に御用意頂ければと思っております。

 今の菅野委員の御意見に対しまして、今この瞬間で御即答頂けるものがございましたら。

 やはり化学物質審議会のところで、私も委員ですけれども、そこで出ている意見が何らかの形でつながって議論がされておくべきだと思いますので、如何でしょうか。

○環境省 髙橋室長補佐 数字の部分だけ補足させていただきますと、スクリーニング評価を行っておりまして、その時につける暴露クラスが掴みでだいたいどのくらいの数字かというところだけお答えさせて頂きますと、暴露クラス「1」は10~20くらいありまして、また暴露クラス「2」が40~60くらい、暴露クラス「3」が200~300程度、暴露クラス「4」が450~650程度ありまして、合計で生態毒性で言いますと、暴露クラス「1」~「4」がだいたい700物質くらい、人健康の方が1000物質くらいございます。生態毒性の場合は、水生生物への影響だけを把握しておりますので、水系への環境放出量だけで計算しておりますけど、人健康影響の方は大気と水域と両方を足し算しておりますので、少し物質が多くなっているということでございます。

 また、クロロエチレンが一般化学物質に戻った後の取扱いでございますけれども、リスク評価の手法を取りまとめて頂いた時に、そこでリスク評価に係る今後の課題というものを書き出しております。その中でいくつか課題が掲げられておりますけれども、5番目に優先評価化学物質の指定が取り消された物質をその後どうやって扱っていくかと、既に課題として審議会の方から頂いてございまして、事務局の方で宿題になっているという状況でございます。

○東海座長 菅野委員、何かございますか。

○菅野委員 またあれば申し上げます。

○大塚座長 スライド23で、中間物等の立ち入り検査とございますが、この立ち入り検査の結果、違反事例などあるのかどうかお伺いしておきたいと思います。

 同じようにスライド31に関しても、第二種特定化学物質に関して、予定数量の変更命令は1回も出ていないと思いますが、勧告、報告徴収、立ち入り検査等に関して、どういう結果が出ているかお伺いしたいということがあります。

 一般的な話で恐縮ですが、スライド9との関係で、CMR物質とかナノ物質とか、内分泌攪乱物質に関して、現在どのようなリスク評価の状況になっているかということも教えて頂きたいところでございます。

 最後に先ほど丸山委員がおっしゃった件について、これから御検討頂くことになると思いますが、少量新規に関しての1社1トンの規制改革の問題でございますけれども、先ほどおっしゃって頂いた様に安全管理がなされることが前提だと思いますので、是非その点を含めて検討していければと考えております。

○東海座長 今の時点で何か事務局からお答え頂ける事はございますでしょうか。

○環境省 髙橋室長補佐 CMRの関係とか、他のナノとか内分泌等の関係について資料を御準備させて頂きたいと考えております。

○武林委員 先ほどまでの議論の中で、運用の事になりますが、スクリーニングはかなり出来たと思いますが、リスク評価と呼ばれている部分、特に12ページ以降になるかと思います。所謂詳細リスク評価という有効なリスク評価に近いものになりますが、かなりの数の物質が挙がっています。実際にリスク評価をする立場からすると、勿論それが労働環境なのか一般環境なのかによっても考え方そのものが変わりますので、それぞれ議論が進むと思いますが、次回もし資料を作って頂けることであれば、こうしたリスク評価の情報の共有といいますか、それぞれの省庁でそれぞれの観点でされているのですが。

 一方で評価する人はそんなに多くないものですから、かなり同じような議論を色々なところでしているのではないかなと思いますので、今後の効率的な運用を考えた時に、どこまでリスク評価といわれるものの情報が共有されていて、どこから先がそれぞれなのか、具体的に少し例えば、労働関係で言えば、ここで問題になっている1,2-ジクロロプロパンみたいなものが挙がっていますが、そういうものを一つ具体的に考える中で、どうやっていけるのかということも少し議論してもよいのではないかなと思います。もし何かそれに類する資料等ございましたら是非よろしくお願いします。

○東海座長 ありがとうございました。事務局の方から何かございますでしょうか。

○環境省 髙橋室長補佐 省庁間とか各担当の法律間でどういった情報共有しているかということは、後日詳しい資料をお作りさせて頂きたいと思いますけれども、参考資料2にありますとおり、化審法の47条の規定というものがございます。18ページにございます。

 こちらは、化審法の3大臣がこの法律に基づいて化学物質の性状等に関する知見を得た場合には、他の法律を施行する事務を所掌する大臣に対し、その知見等の内容を通知するものでありますので、化審法の側から他の法律に情報を発信するということがありますし、また我々がリスク評価をやっていく中で、他の法令で取得している情報を引用したりということもありますので、そういった実績を次から見ていって頂ければと思います。

○東海座長 ありがとうございました。その他如何でしょうか。

○亀屋委員 冒頭に室長からありましたように、化審法の制定によって、他法令との組み合わせというのもあると思いますけれども、法律ができる前に起こっていたような大きな環境汚染といったものが近年はあまり顕在化していないのは非常に大きな成果と私も思っておりますし、前回の改正で、資料の9ページの、リスクベースで評価・管理して、全ての化学物質について対応していこうというふうな方向になって来たのも時代をよく捉えたものだと思います。

 そういったことを前提にして、今回は5年目の点検ということですので、シンプルに考えると、5年間で何が出来たのか、あともう一方で、WSSDの目標である5年後までに何ができるのかというのを淡々とここで点検見直しをして行かなければいけないのではないかと思うところです。

 個別の課題はいろいろあると思うのですけれども、そういった中で特に前回リスクベースでの評価・管理に切り替えましたので、リスク評価がまず最初に来るわけですけれども、評価が物質数として見た時になかなか爆発的にと言いますか、加速していきにくい状況にあると思っております。これをそろそろ、ぼちぼちというのではなくて、もう半分経ちましたので、あと5年でどこまで、どういう仕掛けで加速化していくのか、この機に少し議論をして点検をしたりですとか、あるいは、民間の方から出されてくるような評価結果を利用してはいいのではないかという御意見もありますけれども、どういったルールを設けて、どういった取扱いで、そういったものを使わせて頂くのか、具体的にこの点検の時に見て行く必要があるのではないかなと感じております。

 それから、5年の成果がリスク評価だけでもないと思うのですけど、9ページの下にありますように、取扱いとか使用方法とか、暴露量を制御・管理してリスクをなくすということが大きな目標といいますか、アプローチになるわけですので、実際ここに今日御紹介されているのは、一特とか二特だけですけれども、それ以外にも色々なリスク管理の措置がとられているのではないかと思います。

 資料2の参考資料の5ページに、規制措置がありまして、日本は一特とか二特だけしか書いていないわけですけれども、海外は様々な規制措置が設けられていると書いてあって、日本が何も規制措置をとっていなくて、海外だけが先に進んでいるかのようにも見えるわけですけれども、実際日本の企業さんでも色々な措置を取られている部分もあると思いますので、海外で色々なものがやられているのであるとすれば、どういったものがどこまでやられているのか、それは日本で考える必要があるのかないのか、そういったことがわかるような点検の仕方をしてもいいのかなと思います。

 WSSDのところにも、国際整合性も今回のキーワードとして挙げられていますけれども、管理を5年間でどこまで進めたのかというところをどう説明するのか、少し考えて点検をした方がよいのではないかなと思います。以上です。

○東海座長 ありがとうございました。次回のテーマに直結するようなところに焦点を当てた非常に率直な御発言だったと思います。

○蒲生委員 この委員会に参加するに当たって、平成20年度かと思うのですけど、合同検討会で化審法を見直す時の議論の取りまとめを改めて読み直してみました。それで思ったのですけど、今の施行状況が適当かどうか判断する時に、全くのゼロベースとか理想的な状況ベースで議論しても話が拡散するのではないかと。むしろ、当時何を目指そうとしたのかというところを一つの軸にして議論するべきだと思います。ただ、その後勿論状況が変わっているとか、想定が違ったとかいうことがあればそれはそれでいいとは思います。いずれにせよ、色々な観点での問題提起がごっちゃになってしまうと、議論が難しくなってしまうのではないかと思いましたので、先ほど発言のあったこれまでの審議会での提言を踏まえるということに加えて、そもそも新しい5年前にできた化審法が何を目指そうとしていたのかというところも、ベースとして提示していただければと思いました。

 もう一つは、先ほど菅野委員の暴露クラスごとの数が分かるといいという御提案や、少量新規のトン数に関するコメントにも関係するのですけど、やはり数的なものをもっと資料の中に出して頂ければと思います。今、件数はある程度出ているかと思うのですけど、トン数でどういう大小関係にあるのかにも興味があります。

 それから特に評価を実際に進めていくところのボトルネックには、データを出して貰うとか、あるいは評価をするといったような、お金あるいはマンパワーのリミットが背景に必ずあると思います。そういったことは、皆頭の中でちらちら考えながら、これは難しいだろう、これは出来るだろうと判断されていると思います。資料にはなりにくいかも知れないですけど、そういう評価をするキャパシティの側のことについても何らかの情報を提供頂いた上で、どこまでいくのか、何が残っているかという議論が出来ればいいなと思いました。

○東海座長 ありがとうございました。今の蒲生委員の意見によってこれまで各委員から出された意見をかなり整理して頂けた様に思っておりますけれども、今の御指摘に対して事務局の方から何かございますか。

 私も改めて当時のレポートを見直しまして、非常に明確に5年後を目指して何をしようとしているのか、その時に感じられていた問題点をどのような仕組みで解決しようとしているのか、かなり明確な方針も出ていたように思いますので、そういった個々のものがこの5年間でどこまで進んで、さらに進めようとした時に一体全体何がボトルネックだったのかというところが、議論のたたき台として出てくれることを期待しております。

 よろしいでしょうか。今何かこの瞬間で何かございますか。では、次回以降、資料等の御準備を頂ければと思います。

○鈴木委員 先に私が自分で申し上げたことの繰り返しではありますが、リスクベースの管理はよいのですけれど、リスク=有害性×環境排出量というのは定性的な言い方ですが、化審法はある種法律で、しっかりした仕組みですので、当然ルールがあって運用されていくのは当然のことですが、その結果として、私みたいな研究者から見るとハザードの捉え方が非常に固定的で、色々なものをこれでは見落とす可能性がある危惧は常に感じて、委員としては様々申し上げていますが、それがあるであろうと。

 環境排出量についてもいくつかのことが決まったルールで行うわけですけど、それが完全でない部分も当然ありますので、それを合わせたリスク全体というものを、どのようにして世の中の安全を守るかということがこの分野の使命だと私は思いますので、全体を見た上でそれぞれについてどのようなアプローチをとるべきか考えるべきだと私は思っています。

 私のハザードに関する最初の意見あるいは排出係数に対する意見は、こういうものを全体として見て捉えていく必要があるだろうというような趣旨でやっていますので、これは多分施行状況を検討する、この場はそういうことを検討する、普段がルールで運用しているわけですが、この場はチャンスだと思いますので、その視点をしっかり捉えて頂ければと思います。

 もう一つは先程指摘されたことですが、化学物質の中には、19ページや20ページに書かれているように、いろいろな用途がありまして、用途によって暴露経路が異なり、暴露の結果として影響の現れ方も様々に異なるということが考えられますので、用途に関する情報というのは非常に重要な情報だと私は思っております。そこについて今後よりしっかりどのようにしていくかという検討は私はあると思いますし、そうなると他法令では環境経由だけでない暴露もしばしば出てまいりますので、他法令が他省庁では簡単ではないかも知れませんが、その間に対して相互に何らかの情報伝達、あるいは評価の仕組みを共有するというような検討があってもいいのではと思いますが、これは簡単でないのかも知れません。ただ原理的にはそれがないと出来ないようなものも既にあるような気がいたします。

 データに関して、有害性情報の報告制度ということで、事業者さんから800件も情報を頂いていることは有難いことだと思いますが、こういうものを今後活かしていくためには、私が思うに、これは市民の安全を担保する制度ですので、データの客観性を如何に担保するということがキーファクターになると思います。データの客観性を如何に担保して、企業さんが出すデータも場合によっては参考に使えるような仕組みを作るとか、そこはデータの客観性を担保する仕組みに関わってくると思いますので、そこも併せて検討して頂ければと思います。

○東海座長 ありがとうございました。今の御意見に対してここで何か事務局の方からございますでしょうか。

○環境省 髙橋室長補佐 1点だけ、有害性評価の客観性の担保ですけど、本来化審法上はGLPという制度がありまして、内部にしっかりとQAを行う施設において実験をして頂いて、客観的なデータとして担保して頂いたものを評価に用いるという仕組みになってございます。一方、このボランタリーな提出につきましては、どちらかと言うと、GLP以外の各ラボで行われたデータもありますので、そういった場合、一定の信頼性の評価を、例えば専門家の先生に見て頂くとか、そういったことをしながら進めて行きたいと思いますので、まさにこのボランタリーな提出を如何に使っていくかが評価の加速にも繋がると思いますので、そういったところをどう進めて行くのかが課題と思っております。

○丸山委員 企業サイドからのデータの提供のことがございましたけれども、環境省の担当の方からもありましたように、それぞれ個社それなりの努力をしているのではないかと思うのですけど、持っているデータがGLP試験でないから提供できないのではないのかというのが場合によってはあるかも知れません。

 また一方で、EUのREACH対応でデータの取得を行っていますが、コンソーシアムでの制約上データが出せない。それからEUのREACHではQSAR等も認められており、それで対応していることもございますので、情報の提供について、どのようなデータを使うかということについては、リスク評価をきっちりしないといけないということがありますが、どういった条件なら使えるかということも検討をして頂きたいと思います。

○東海座長 ありがとうございました。今の御意見に対して事務局の方からございますか。次回以降の宿題ということで御準備して頂ければと思います。

○赤渕委員 スライドの9ページ目で既に何度もお話に出て来ていますが、ハザードベースからリスクベースへということが、一種の標語のようにあちこちで議論されているところかと存じますが、リスクベースの評価・管理というのを果たしてどのように評価すべきかが、個人的に気になっております。私は環境法を勉強しているものですけど、法制度設計に当たって、環境法の基本原則と呼ばれるような考え方、即ち未然防止原則であるとか、予防原則といった基本的な考え方がある訳ですが、そうしたところから現行制度がどのように評価されるのかといったところについては少し考えてもよいのかなと考えております。あるいは現行法が未然防止の考え方に立っているとすれば、そもそも化審法が前提としている未然防止の考え方とは一体何なのかといったところについて、今一度整理する必要があるのかなと思っております。これが1点でございます。

 もう一つは少し細かい点なのですが、これは私が先ほど申し上げましたように法律を勉強するものでありますために、素人的な質問をして恐縮ですが、スクリーニング評価の時に用いられている排出係数という考え方がありますけれども、この排出係数はどういう根拠で設定されているのかということについて、もし、お分かりになりましたら、次回に資料をお出し頂けると勉強になるかと思います。

 また、先ほど用途について見ることも重要だといったような別の委員からの御指摘がございましたが、届け出られている用途がどのように確認されているのかといったところについては、私も個人的には関心を持っておりまして、これも次回以降の議論の場で議論ができるような資料等を頂ければと考えております。

 続けて13ページ目の資料で、先ほど大塚座長から法律の執行の話がございましたけれども、例えば13ページ目の最初のポツで、国への知見の報告義務付けというのが法第41条に義務付けられていて、この罰則をみますと、第62条第2項だったかと思いますけど、20万円以下の過料となっていますが、この辺りは多分実際に過料を課せられたケースはおそらくないのでしょうけど、この辺りがどのような法運用になっているのかもし何かお分かりになりましたらお教え頂けると有難いと考えております。

 もう少し大きな話をいたしますと、このように事業者からボランタリーな情報提出を依頼したら、800物質が多いか少ないかは分かりませんが、情報が提供されたということでありますので、事業者の方に更にボランタリーなのかマンダトリーなのかわかりませんが、それは制度設計にもよるのでしょうが、もう少し事業者さんの協力を得られるような制度の仕組みにしていくようなことが何か考えられるかなと思っております。以上でございます。

○東海座長 ありがとうございました。議論の前提条件を整理するということで次回以降よろしくお願いします。

○菅野委員 赤渕委員と鈴木委員の意見の繰り返しの面もあるのですが、有害性クラスの方は、私共で3省合同の会議でも喧々諤々論議をしていることを目撃されている方が多いと思いますが、データの質から、あるいは症状によって単純に数字を当てはめるのではなくて、所謂不確実係数で重み付けをさせて頂いているわけですが、暴露の方も数値はこうなるけれども、用途の性質や物性から一律の計算しかされていないのであれば、暴露の詳しい方同士で論議して頂くと、ある程度重み付けと言いますか、不確実係数みたいなもので、暴露の方もそういう風にしなければいけない場面は無いのだろうかと常日頃思っていたわけですね。

 先生がおっしゃったように計算の仕方に興味があるのですが、そこにエキスパートの方々の意見が本来入るべきことがあってもおかしくないのではないかと一般論として思うわけですが、その辺も含めてもし御提示頂けると有難いです。逆に緩くしていい場合があるかも知れませんし、これはやはり危ないと少し暴露の方もきつくして頂くことがあってもいいのではないかと思います。以上です。

○東海座長 ありがとうございます。議論の範囲がかなり予想していた通り広がって参りまして、化審法の委員会の化学物質審議会の方のマターとして議論するべき技術的な内容を含むようなことも出つつありますので、今回の検討会でのミッションの範囲を整理して頂いて、次回以降の資料の準備をして頂ければと思います。

○大塚座長 赤渕さんに触発されましたが、先ほど未然防止原則、予防原則についてお話されたのですけど、化学物質だけに関係する具体的な話として申し上げておきますが、SAICMの国内実施計画の中にちゃんと予防的取組み方法の考え方について書いてあるので、このことについては是非確認をさせて頂きたいところでございます。  

 先ほどナノ物質の話がありましたが、今後の宿題で、物質の関係で、カーボンについては元素をどうするか、化審法の対象として元素が入っていないということをどうするかという話も出て来るかと思いますので、極めて具体的な話になって来るのでここで申し上げた方がよいのかよくわかりませんが、そういうことも含めて対象にして頂けると有難いということを申し上げておきます。

○東海座長 ナノ物質についてもということですか。

○大塚座長 はい。

○菅野委員 スライド5を読んでいて、化審法における化学物質は、化学反応を起こさせると書いてあるので、ナノ材料のかなりの部分はたとえカーボンのみでもかなり化学反応させているわけですね。ですから、それでCAS番号もついてくるわけですから、元素だからで説く時代ではなくなっているのではないかと思います。

○東海座長 ありがとうございました。今の御指摘に対して、次回以降の資料の準備に活かして頂ければと思います。その他の委員の方御意見ございますか。

○丸山委員 中身に直接関係あるものではないのですけど、メンバーを見て感じたことがございまして、業界からは日化協しか出席しておりません。メンバーに加えるということではありませんが、色々な貴重な意見を頂くために他の業界団体もある程度検討が進んだところで結構かと思いますので、何らかの要望という形ででも、業界団体から意見を聞くこと等も考慮頂けたらと思います。

○東海座長 ありがとうございます。今の御指摘は検討の中に組み込まれているという理解でおりますが、よろしいでしょうか。業界団体へのヒアリングですとか。

○経済産業省 山内課長 今回のこのメンバーというところでは、調整をいろいろさせて頂いた結果、今の段階ではこういう形になっております。当然議論の進み方によっては、他の業界がどのような行動をしているのかということも含めて、御議論のところから情報を提供していただくことが必要だと思っております。

○環境省 福島室長 補足させて頂きますと、設置要綱にも必要に応じて関係者へのヒアリングというのを記述いただいておりますので、今日の議論も踏まえながら、今後のこの検討会の進め方について経産省さんとよく相談しながら、いつのタイミングでどういう風に色々な方からどういう話を聞くか検討して参りたいと思います。

○東海座長 ありがとうございました。

○鈴木委員 参考資料の海外の規制についてで、5ページに、日本とTSCAとREACHの規制措置と書いてあって、化審法は規制措置の方も検討してないのではないかということなのですけど、TSCAは物質毎に用途制限とか様々な措置を設けられていて、REACHも用途に関連する制限、認可というスキームも存在する。化審法はそこの部分がややシンプルな印象がありまして、用途に変わる何らかの規制のあり方というようなことも化審法においても検討の価値があるのではと私は思っております。やるとなれば崎田委員にもありました情報伝達に付随する課題が発生するのではないかと思いますが、そういうことも含めて次回以降検討頂ければと希望いたします。

○東海座長 ありがとうございました。

○経済産業省 山内課長 資料2の方で御説明をさせて頂いて、海外の規制のところについて、化審法とTSCAとREACHが並んでいるので誤解を招いている方もいらっしゃるのではないかと思って、一言補足ですけれども、化審法とTSCAとREACHを比較することが、必ずしも同じようなものを比べているものでない部分もございまして、資料2の7ページのところで御説明をしたいと思った次第でありますけれども、結局化審法というのは、数ある化学物質の管理に関する法律の中の一翼を担っている法律でございまして、それに対してTSCAであれREACHであれ、もう少し守備範囲が広いというところの関係がございます。なので、それも含めて次回以降お示しをしたいと思います。

○鈴木委員 おっしゃる通り、アメリカでも色々な法律があるし、ヨーロッパでも色々な法律があるので、どこの国も切り分けが様々に異なっていると思います。確かに関連のあるものはしっかり調べて頂いてお互いに議論するのがよいと思います。よろしくお願いします。

○東海座長 その他お気付きの点はございますでしょうか。だいたい次回以降議論すべき論点について何かしら関連のある指摘に関しては出たと思っております。特に次回2回目のWSSD目標の達成に向けてという、この論点で付け加えることはありませんでしょうか。

 私の方から非常に簡単な指摘になりますけれども、資料2の10ページ目のところで、スクリーニング評価が既に行われた物質が11897、実際に既存物質として存在しているのが2万。大雑把に言って半分強はスクリーニングが終わったという理解でよろしいでしょうか。

 そうであった時に、2020年を目指す時に、一体全体このスキームのどこまでを実施できたことを持って国際貢献と設定されているのか、その辺りを今の段階でお考えがあれば教えて頂きたいと思います。

○環境省 髙橋室長補佐 まず数字的なところをお答えさせて頂きますと、28,000という数え方と11,897というのは、スクリーニング評価の時にはCAS番号単位ということにしていますので、物質の数え方が違うということがまずございます。その中からスクリーニング評価の対象としていますのは、製造輸入数量が年間10トン超の7,699物質でございますので、残りのものは、11,897から7,699を引いた数は、スクリーニング評価をしなくても一般評価化学物質のままということでございます。

 その後実際にスクリーニング評価をする中で、評価を保留しているものがかなりの数ありまして、例えば暴露クラスが「5」とか「外」のものは、有害性情報を集めずに、基本的にマトリックスでも優先評価化学物質にはなりませんので、この辺はまず保留していることと、有害性情報がまだ集めきれていないものとか、評価が難しい物質もありますので、そういったものは今のところ一般化学物質のままとしています。

 実際に有害性情報と暴露情報と両方を掛け合わせてしっかりとスクリーニング評価が出来ているものは、この中でさらに対象としている物質は狭まっておりまして、その辺りは良く分かるように資料を次回以降御準備させて頂きたいと思います。

○東海座長 蛇足になりますけれども、日本で苦しんでいることは、きっと余所の国でも苦しんでいるのではないかと思いますので、この2020年の貢献に向けた目標設定で、一体全体どこの部分がターゲットになるのかというところがもう少し明確になって、それが今やっているスクリーニング評価の手法の運用でカバーできるところと、そうでないところがどうなのかというところの切り分けみたいなものが出来て、優先順位ですよね、そういう議論が出来ますと、次回の論点がもう少し進むのではないかと思っております。その他どうでしょうか。

○赤渕委員 今の点について、数字にこだわって恐縮なのですが、スクリーニング評価の対象になったのが 7,669で、そこから下の矢印のところにおよそ11,000物質と。これはどう読めばよいのでしょうか。

○環境省 髙橋室長補佐 あくまでもスクリーニング評価をせずに一般化学物質になっているも のもありますので、それを合わせてと考えて頂ければと思います。

○赤渕委員 わかりました。矢印の出所が違っているのですね。ありがとうございました。

○東海座長 だいたいよろしゅうございますでしょうか。

○菅野委員 私の専門分野でないので、お聞きするような形になるのですが、有害性の方は国際的に何となく誰が見てもというところはありますけど、暴露評価の方は国際的に見るとお国の事情に強く引っ張られるのでしょうか。

○東海座長 そうだと思いますね。如何でしょうか。

○経済産業省 飛騨室長 暴露については、各国によって事情は様々だと思います。勿論それは 評価の仕方も各国バラバラであると思います。

○鈴木委員 それは当然そういう状況は国によって暴露に関しては発生しますので、経産省さん、環境省さんでいくつか国際的にOECD等での情報共有交換の枠に、あるいはそれに伴うガイダンスを作ったり等いろいろな作業がありますので、あらゆる御疑問、御懸念に対してはそういうものを使っていくことも必要なんじゃないかと思います。

○東海座長 ありがとうございました。その他如何でしょうか。

○赤渕委員 度々恐縮でございます。スライド12枚目で、次回以降資料を御準備頂けると大変 有難いのですが、クロロエチレンが評価IIを終えて優先評価化学物質の指定を取り消され、一般化学物質になったということでございますが、これはその後どうなるのでしょうか。一般化学物質になったまま、それ以降どこかに動くようなことがあるのか、それとも何らかの状況において、化審法のリスク管理のスキームに入って来るようなことがあるのかどうかといったことが一つでございます。

 もう一つは、クロロエチレンが一般化学物質になったのは、他法令の取り組みによってリスクが十分に低減されているからということが御趣旨だと聞き及んでおりますけれども、同じようなハザードが強い物質で、他法令で取り組まれていないようなものは果たしてないのでしょうか。もしそういったものがあるとすれば、化審法で何らかの手当をする必要があるのかないのかといったようなことについて議論できるような資料がもしございましたら、御提示頂ければ有難いと思います。

○東海座長 今の時点で何かございますか。

○環境省 髙橋室長補佐 クロロエチレンは、実際3省の合同審議会でも同じような議論がありまして、一つはクロロエチレンはこれから一般化学物質の取扱いですけれども、実はクロロエチレンは製造輸入数量が多いものですから、スライドの11番にありますマトリックスに単純に当てはめると、またすぐに優先に帰って来てしまうということであります。

 一方詳細にリスク評価したわけですから、その結果というのは価値のあるものでして、スクリーニング評価は単純な評価になっていますので、そのあたりの取扱いについては、先ほど菅野先生から御意見頂いたように、まだ3省の方で宿題になっているところです。まだちょっと決まっていませんが、一般的に申し上げれば、またリスクが高まればまた優先評価化学物質に帰ってくることは当然あると思います。

 また他法令で取り組んでいない物質がこれからあるのかというところでありますけれども、このスケジュールにございます15枚目、16枚目辺りにある中でも、これまでに取り組まれている物質もありますし、取り組まれていない物質もあるのかなと思いまして、詳細に評価を行うに当たって、そういう情報は当然活用させて頂きますけれども、それ以外にもっと上手い進め方があるのかというところは今後の検討課題かなと考えております。

○東海座長 ありがとうございました。特に次回の既存化学物質のスクリーニング評価の現状等の議題の中で、多分今御指摘頂いたようなことが議論出来るだろうと思います。

 その他如何でしょうか。そうしましたら、御意見がこの場で全て出きらない場合には、検討会終了後一週間程度の間に事務局まで御連絡頂ければと思っております。

○東海座長 最後に、議題3「その他」について、事務局から何かございますか。

○経済産業省 中沢課長補佐 特にございません。

○東海座長 環境省さんは如何でしょうか。

○環境省 髙橋室長補佐 特にございません。

○東海座長 全体を通して、御質問、御意見等ございましたらお願いします。

(なし)

○東海座長 以上で本日の議題は全て終了いたしましたので、事務局にお返しします。

○経済産業省 中沢課長補佐 ありがとうございました。次回は、先ほど資料にもございましたとおり、10月16日(金)15時から17時半を予定しております。詳細については、予め事務局から御連絡いたします。

 本日はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。

16時15分 閉会