保健・化学物質対策

リスク評価(一次)評価における生態影響に係る有害性評価の御提供について

リスク評価(一次)評価における生態影響に係る有害性評価の御提供について

平成28年11月09日

環境省総合環境政策局環境保健部企画課化学物質審査室

 優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価IIについては、生態影響の観点からはこれまでに、10物質を実施したところです。このうち、1,2,4-トリメチルベンゼンの評価において、平成27年7月24日に開催した3省合同審議会[1]で複数の委員から、有害性評価の不確実性を一層低減するための取組を行うべきとの御意見がありました。

 環境省ではリスク評価(一次)評価IIに用いる有害性情報の収集、信頼性評価については、請負先に設置した非公開検討会やワーキングで行ってきましたが、上記の御意見を受けて、事業者に対して有害性情報の追加提出や説明等の機会を設け、事業者に対して信頼性のある有害性情報の提供を促し、より多くの有害性情報の活用を可能とすることにより、生態影響に係る有害性評価の不確実性の低減をはかることとしました。

 事業者の皆様におかれましては、以下のとおり、生態影響に係る有害性情報の提供に御協力いただきますようよろしくお願いいたします。

1.有害性情報提供等の流れについて

(1)環境省による生態影響に係る有害性情報の一覧表の作成

 優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価IIでは、国が収集した有害性情報及び法第41条の規定に基づき事業者から提出された有害性情報を評価に用いることとしています。国が収集する有害性情報の収集範囲については、「優先評価化学物質に関するリスク評価の技術ガイダンス III章」(以下「技術ガイダンス」という。)に記載されています。また、厚生労働省・経済産業省・環境省では、平成25年度及び平成26年度において有害性情報の提供依頼を発出しており、これらにおいて収集された有害性情報についてもリスク評価に用いることとしています。

 収集された生態影響に関する有害性情報については、予測無影響濃度(PNEC)の根拠として使用可能なものか否かを技術ガイダンスに従って信頼性評価することとしており、その信頼性評価に必要な基礎的データ(生物種、被験物質濃度、エンドポイント、影響内容、暴露期間、毒性値等)を記載した一覧表を作成します。また、この一覧表に記載された有害性情報については、環境省の請負業務において委嘱した専門家等により事前確認(形式チェック)を行い、PNECの根拠となる可能性があるために専門家会合における信頼性評価を行うべきものか否かの判断を行っています。

(2)環境省ウェブサイトにおける公開

 (1)で作成した有害性情報の一覧表は、事業者名等の秘匿情報を除き、環境省ウェブサイト にて公開します(公開された有害性情報の一覧表は「2.有害性情報の収集対象物質について」の表1を御覧ください)。

※水生生物への有害性評価では、生産者(藻類)、一次消費者(甲殻類)、二次消費者(魚類)についてのそれぞれの急性毒性・慢性毒性の情報の有無によって、技術ガイダンスに基づき定められた不確実係数積を用いることとしています。このため、栄養段階毎に不足する有害性情報を新たに提出することによって不確実性を低減できるかどうかを確認することができます。また底生生物への有害性評価についても同様に、不足する有害性情報を新たに提出することによって不確実性を低減できるかどうかを確認することができます。

(3)事業者からの有害性情報の追加提出

 事業者は、自らが製造又は輸入する優先評価化学物質が(2)により環境省ウェブサイトに公表された一覧表を確認し、自らが保有する有害性情報が一覧表にない場合には当該有害性情報を環境省に提出してください。(任意)

 また、事前確認(形式チェック)において試験情報が不足する等の理由によりPNECの根拠に用いることができないとされた有害性情報について、事業者が詳細な試験情報等を保有している(例えば信頼性が4(信頼性の判断ができない)と判定された有害性情報の試験報告書を有しているなど)場合には、当該試験情報を提出することにより、当該有害性情報がPNECの根拠や不確実性の低減に用いられる可能性を高めることができます。

 なお、平成27年7月の3省合同審議会では、QSAR やカテゴリーアプローチの活用に関する意見が多く寄せられたことを踏まえ、事業者自らがこれらの予測手法を活用した予測した毒性値についても提出いただけるよう準備を進めております(現時点では受け付けません)。

 また、非GLPによる毒性値についても提出を受け付けることとしますが、技術ガイダンスに示された信頼性評価を行うため、試験方法の詳細等の関係資料の提出を求めることとします。

 有害性情報の提出を受け付ける期間については原則リスク評価(一次)評価IIの実施1年前までとしますが、この期間に試験計画書(ただし試験の開始日を明確にすること)を提出することも可能とします。

 (3)において提出された有害性情報については、国が情報収集を行った有害性情報と同様に事前確認(形式チェック)を受けることとします。この確認においてPNECの根拠として用いることができないとされた場合には、その理由を付して事業者に対してその旨回答します。また、必要と認められる場合には、事業者に環境省担当官及び専門家への再説明の機会を与えることとします。

 このプロセスを経てもなお評価に必要な有害性情報が不足する場合には、法第10条第1項の規定 に基づき、有害性情報の求めを事業者に対して発出します。

(4)専門家会合

 事前確認(形式チェック)を受け、PNECの根拠として用いる可能性があるとされた有害性情報については、生態影響の専門家による査読が行われた後、専門家会合において信頼性ランクが付与されます。専門家会合は、環境省の請負業務において設置された化審法審査支援等検討会 生態影響評価(有害性評価II担当)ワーキンググループ(座長:小山次朗 鹿児島大学教授)とします。

 (1)又は(3)において有害性情報を提出した事業者等は、その希望に応じて本専門家会合への出席や追加資料の提出・データ提供を可能とし、自らが提出した有害性情報等に関する追加説明の機会を設けることとします。ただし、会場の都合等により出席者を制限することがあります。また、複数の事業者が同じ会合に出席することが想定されることから、提出する資料について企業秘密保持の観点から資料の黒塗りや会合後の資料の回収等を行うことは可能ですが、評価に必要な最低限の情報(一覧表に掲載する情報)は公開を前提として提出していただきます。

 信頼性評価の手法については技術ガイダンスに基づくこととし、信頼性ランク「1」又は「2」とされた有害性情報をPNECの根拠として用いることとしています。また、信頼性評価の結果、評価に必要な有害性情報が不足する場合には、法第10条第1項の規定に基づく有害性情報の求めを発出します。

 以上に示した有害性情報のリスク評価(一次)評価IIの生態影響に係る有害性評価の進め方については図1のとおりです。

図 1 有害性情報のリスク評価(一次)評価IIの生態影響に係る有害性評価の進め方

2.有害性情報の収集対象物質について<順次更新>

 有害性情報の収集対象物質については表1のとおりです。「信頼性のある有害性情報の有無」の"○"は既に信頼性のある情報が得られていることを意味しており、"×"は信頼性のある情報が得られていないことを示しています。優先評価化学物質名をクリックしていただくと、環境省で収集した有害性情報の一覧、また信頼性評価の結果が御覧頂けます。また、現在不足している情報を提出し、信頼性ありとされた場合の不確実係数積(UFs)の変化が御覧頂けます(例えば、1000→100など)。UFsが小さくなると、有害性評価値は不確実性が小さく、UFsは大きい値として設定されることとなります。PNECの設定フローは図 2に、UFsについては表 2に示すとおりです。複数のデータを提供いただいた場合のUFsについては、図2、表2にしたがって計算をしてください。

 有害性情報の提供期限については、今後、リスク評価(一次)評価IIが予定されている優先評価化学物質については、評価予定の6ヶ月前までを基本としますが、詳細は表1を御覧ください。既にリスク評価(一次)評価IIが行われた優先評価化学物質や審議予定が未定の優先評価化学物質については随時受け付けます。評価予定の6ヶ月前からリスク評価(一次)評価IIの実施までは、有害性情報の提供は一時的に停止します。

表 1 有害性情報の収集対象物質(最終更新日 平成28年11月9日)

優先評価化学物質

優先物質
通し番号

審議月/
予定月

有害性情報の提供期限

信頼性のある有害性情報の有無

藻類

甲殻類

魚類

急性

慢性

急性

慢性

急性

慢性

安息香酸ベンジル[48KB]

128

2017/01/31

随時

×

×

チオシアン酸銅(I)[742KB] 142 2020年度(H32)

×

×

×

×

×

×

N-メチルカルバミン酸2-sec-ブチルフェニル[941KB]15820181月×
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム[840KB] 159 2018年度(H30)

×

×

×

図 2 PNEC導出フロー

表 2 水生生物に対するPNECの導出に用いる不確実係数UF

採用する毒性値

種間外挿のUF

急性から慢性へのUF(ACR)

室内試験から野外へのUF

不確実係数積
UFs

3つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の最小のNOEC

10

10

2つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の小さいほうのNOEC

5

10

50

1つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合のNOEC

10

10

100

3つの栄養段階の急性毒性L(E)C50がある場合の最小のL(E)C50

ACR

10

10×ACR

慢性毒性試験結果が欠けている栄養段階の急性毒性値が揃わない場合の小さいほうのL(E)C50

10

ACR

10

100×ACR

ACR

藻類

20

ミジンコ

アミン類

100

アミン類以外

10

魚類

100

3.提供いただく有害性情報に係る資料について

 所有している又は試験実施により取得した有害性情報については、毒性値が報告対象に該当する場合には、化審法第41条1項の規定に準じて提供してください(ただし、化審法41条1項に該当する情報は経済産業省へ御提出ください)。専門家会合での信頼性に関する説明を希望される場合には、その旨押しお知らせください。環境省から説明を依頼することもございます。

有害性情報の提出先及びお問合せ先

環境省総合環境政策局環境保健部環境保健企画管理課化学物質審査室

電話: 03-5521-8253(直通)

e-mail: chem@env.go.jp


[1] 平成27年度第4回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会、平成27年度化学物質審議会第1回安全対策部会、第156回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会

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