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ダイオキシン類緊急全国一斉調査結果について(平成10年度実施)
 
平成11年9月24日
 環  境  庁
 
1 調査内容
 
 1)趣旨
 環境庁では、平成9年度に実施した「ダイオキシン類総合パイロット調査」における技術的な検討を踏まえ、平成10年度に全国的なダイオキシン類の汚染実態を把握するため、大気、水、土壌、底質等の環境媒体についての汚染実態を、全国統一的な方法で把握するための調査を実施
 なお、調査結果については、ダイオキシン類総合モニタリング調査検討会(座長:池田正之京都大学名誉教授)における評価を踏まえてとりまとめ
 
 2)調査地域及び地点(別添1及び表1参照)
  (1) 地域:47都道府県及び12政令指定都市
  (2) 地点分類及び地点数:
     各地方公共団体毎に、発生源周辺、大都市及び中小都市から各2地点を選定
      計354地点
     全国から重点地域(発生源周辺の中から選定) 計20地点
         バックグラウンド 計7地点
         沿道3地点及び沿道後背地3地点 計6地点  
     合計 387地点
 
 3)調査媒体
 大気、降下ばいじん、公共用水域水質、地下水質、公共用水域底質、土壌及び水生生物(淡水域:魚類(オイカワ、ウグイ、コイ、フナ類、オオクチバス、チチブ、ブラックバス、アブラハヤ、ブルーギル、テラピア、プレコ、ナマズ)、甲殻類(アメリカザリガニ、スジエビ、イシガニ)、貝類(カワニナ、ヤマトシジミ);海域:魚類(コノシロ、ボラ、スズキ、マハゼ、マコガレイ、カワハギ、ヒラメ、メバル、シログチ、チヌ)、甲殻類(ガザミ、シャコ)、貝類(ムラサキイガイ、マガキ、アサリ)等から適宜選定)
 
 4)調査時期及び回数
 大気:各季節測定年間計4回、降下ばいじん:夏期及び冬期測定年間計2回、公共用水域水質、地下水質、公共用水域底質及び土壌:夏期1回測定(ただし発生源周辺の公共用水域水質は夏期及び冬期測定年間計2回)、水生生物:秋期1回測定
 
 5)調査方法
  環境庁が作成したマニュアル等に従って実施
 
 6)調査対象物質
 ダイオキシン類(PCDD、PCDF及びコプラナーPCB(一部地域のみ))のうち、表2に示す異性体
 
 7)毒性等価係数(TEF)
 文章中の数値は、WHO/IPCS1997による毒性等価係数(TEF)によりダイオキシン類についてTEQ換算を行った値
 
 8)定量下限未満の数値(N.D.)の扱い
 本文中では、N.D.を0として扱っているが、N.D.を定量下限値の1/2及び1で換算した数値も参考として併記
 なお、公共用水域水質、地下水質、公共用水域底質及び水生生物については、検出下限未満を検出下限値の1/2で換算した数値も参考として併記(表3)
 
 
2 調査結果
 
 測定結果を表4に示す。
 
(1)大気
 
【調査結果の概要】
 
  [1] PCDD及びPCDFの濃度
 
 全体(n=387)の4季節の平均値では、平均値0.22pg-TEQ/m3、中央値0.15pg-TEQ/m3(検出範囲は0〜1.8pg-TEQ/m3)であった(1季節の最小値0pg-TEQ/m3、最大値3.0pg-TEQ/m3)。
 このうち地点分類別では、
 重点地域を含む発生源周辺(n=138)では平均値0.25pg-TEQ/m3、中央値0.17pg-TEQ/m3(検出範囲は0.00030〜1.8pg-TEQ/m3、1季節の最小値0pg-TEQ/m3、最大値2.9pg-TEQ/m3)、
 大都市地域(n=118)では平均値0.22pg-TEQ/m3、中央値0.15pg-TEQ/m3(検出範囲は0.00050〜1.1pg-TEQ/m3、1季節の最小値0pg-TEQ/m3、最大値3.0pg-TEQ/m3)、
 中小都市地域(n=118)では平均値0.18pg-TEQ/m3、中央値0.13pg-TEQ/m3(検出範囲は0〜0.86pg-TEQ/m3、1季節の最小値0pg-TEQ/m3、最大値2.5pg-TEQ/m3)、
 バックグラウンド(n=7)では平均値0.013pg-TEQ/m3、中央値0.0062pg-TEQ/m3(検出範囲は0〜0.067pg-TEQ/m3、1季節の最小値0pg-TEQ/m3、最大値0.12pg-TEQ/m3)、
 沿道(n=3)では平均値0.44pg-TEQ/m3、中央値0.60pg-TEQ/m3(検出範囲は0.00093〜0.72pg-TEQ/m3、1季節の最小値0pg-TEQ/m3、最大値1.4pg-TEQ/m3)、
 沿道後背地(n=3)では平均値0.44pg-TEQ/m3、中央値0.61pg-TEQ/m3(検出範囲は0.014〜0.70pg-TEQ/m3、1季節の最小値0.0010pg-TEQ/m3、最大値1.6pg-TEQ/m3)であった。
 これらの値は、単純には比較できないが、平成2〜9年度の環境庁の調査結果及び平成9年度の地方公共団体の調査結果(n=328、0〜3.3pg-TEQ/m3、平均0.50pg-TEQ/m3、中央値0.38pg-TEQ/m3)と比べ、全体的に低い値であった。
 
 なお、大気環境指針値(0.8pg-TEQ/m3)を超えた地点は、387地点中5地点(発生源周辺2地点、大都市2地点及び中小都市1地点)であった。
 
 
  [2] ダイオキシン類の濃度
 
 全体(n=100)では、4季節の平均値では、平均値0.23pg-TEQ/m3、中央値0.17pg-TEQ/m3(検出範囲は0.0017〜0.70pg-TEQ/m3)であった(1季節の最小値0.000024pg-TEQ/m3、最大値1.7pg-TEQ/m3)。
 このうち地点分類別では、
 重点地域を含む発生源周辺(n=64)では平均値0.25pg-TEQ/m3、中央値0.19pg-TEQ/m3(検出範囲は0.015〜0.70pg-TEQ/m3、1季節の最小値0.000024pg-TEQ/m3、最大値1.7pg-TEQ/m3)、
 大都市地域(n=26)では平均値0.21pg-TEQ/m3、中央値0.18pg-TEQ/m3(検出範囲は0.0050〜0.53pg-TEQ/m3、1季節の最小値0.000075pg-TEQ/m3、最大値1.1pg-TEQ/m3)、
 中小都市地域(n=6)では平均値0.20pg-TEQ/m3、中央値0.15pg-TEQ/m3(検出範囲は0.0017〜0.66pg-TEQ/m3、1季節の最小値0.000047pg-TEQ/m3、最大値0.95pg-TEQ/m3)、
 バックグラウンド(n=4)では平均値0.021pg-TEQ/m3、中央値0.0058pg-TEQ/m3(検出範囲は0.0018〜0.071pg-TEQ/m3、1季節の最小値0.00023pg-TEQ/m3、最大値0.13pg-TEQ/m3)であった。
 
 グラフ1 平成成10年度ダイオキシン類調査結果と過去の調査との比較 [大気(4季平均値)]
 
 
【調査結果の評価】
 今回の調査における濃度レベルは、単純には比較できないが、全体的には、以前に行われた我が国の調査結果と比べ低い値であった。
 本調査においては、大気中のダイオキシン類濃度の季節変化は、全体として冬期に高く(平均値0.30pg-TEQ/m3、中央値0.19pg-TEQ/m3、n=100;参考(PCDD及びPCDF)平均値0.27pg-TEQ/m3、中央値0.14pg-TEQ/m3、n=387)、夏期に低い(平均値0.17pg-TEQ/m3、中央値0.12pg-TEQ/m3、n=100;参考(PCDD及びPCDF)平均値0.16pg-TEQ/m3、中央値0.086pg-TEQ/m3、n=387)傾向を示しており、一般的な大気中の浮遊粒子状物質の濃度の変化と同様であった。
 また、地点分類の比較では、バックグラウンドについては他の地点分類と比較して、平均値及び中央値とも他の地点分類と比較して濃度レベルが低かった。なお、この点については統計的には有意差がなかったが、これはバックグラウンドの地点数が少ない(7地点)ためと考えられる。
 
 コプラナーPCBの総TEQ値に占める割合は、全体の平均値で比較すると、5.7%であり、中央値で比較すると、6.5%であった。
 なお、8割以上の地点で、コプラナーPCBの総TEQ値に占める割合が10%以下であった。
 
 
(2)降下ばいじん
 
【調査結果の概要】
 
  [1] PCDD及びPCDFの濃度
 
 全体(n=205)の2季節平均値では、平均値21pg-TEQ/m2/日、中央値17pg-TEQ/m2/日(検出範囲は0.20〜170pg-TEQ/m2/日、1季節の最小値0.0032pg-TEQ/m2/日、最大値210pg-TEQ/m2/日)であった。
 このうち地点分類別では、
 重点地域を含む発生源周辺(n=79)では平均25pg-TEQ/m2/日、中央値21pg-TEQ/m2/日(検出範囲は0.40〜170pg-TEQ/m2/日、1季節の最小値0.047pg-TEQ/m2/日、最大値210pg-TEQ/m2/日)、
 大都市地域(n=59)では平均19pg-TEQ/m2/日、中央値16pg-TEQ/m2/日(検出範囲は0.22〜50pg-TEQ/m2/日、1季節の最小値0.048pg-TEQ/m2/日、最大値75pg-TEQ/m2/日)、
 中小都市地域(n=59)では平均18pg-TEQ/m2/日、中央値14pg-TEQ/m2/日(検出範囲は0.29〜62pg-TEQ/m2/日、1季節の最小値0.0032pg-TEQ/m2/日、最大値96pg-TEQ/m2/日)、 バックグラウンド(n=7)では平均4.1pg-TEQ/m2/日、中央値3.8pg-TEQ/m2/日(検出範囲は0.20〜8.6pg-TEQ/m2/日、1季節の最小値0.10pg-TEQ/m2/日、最大値16pg-TEQ/m2/日)、沿道(n=1)では23pg-TEQ/m2/日(夏期5.4pg-TEQ/m2/日、冬期42pg-TEQ/m2/日)であった。
 
  グラフ2 平成成10年度ダイオキシン類調査結果と過去の調査との比較 [降下ばいじん(2季平均値)]
 
  [2] ダイオキシン類の濃度
 
 全体(n=103)では、平均21pg-TEQ/m2/日、中央値18pg-TEQ/m2/日(検出範囲は0.34〜66pg-TEQ/m2/日、一季節の最小値0.099pg-TEQ/m2/日、最大値77pg-TEQ/m2/日)であった。
 このうち地点分類別では、
 重点地域を含む発生源周辺(n=48)では平均23pg-TEQ/m2/日、中央値21pg-TEQ/m2/日(検出範囲は1.9〜54pg-TEQ/m2/日、1季節の最小値1.2pg-TEQ/m2/日、最大値71pg-TEQ/m2/日)、
 大都市地域(n=28)では平均23pg-TEQ/m2/日、中央値23pg-TEQ/m2(検出範囲は0.82〜53pg-TEQ/m2/日、1季節の最小値0.099pg-TEQ/m2/日、最大値77pg-TEQ/m2/日)、
 中小都市地域(n=20)では平均19pg-TEQ/m2/日、中央値11pg-TEQ/m2/日(検出範囲は0.92〜66pg-TEQ/m2/日、1季節の最小値0.44pg-TEQ/m2/日、最大値67pg-TEQ/m2/日)、
 バックグラウンド(n=7)では、平均4.4pg-TEQ/m2/日、中央値3.8pg-TEQ/m2/日(検出範囲は0.34〜8.6pg-TEQ/m2/日、1季節の最小値0.24pg-TEQ/m2/日、最大値16pg-TEQ/m2/日)であった。
 
【調査結果の評価】
 
 降下ばいじんの測定方法については、平成9年度に実施した総合パイロット調査の結果を踏まえて、本調査では一部見直しを行い、紫外線による影響及び採取物の飛散について考慮した方法により測定した。このため、同一条件での測定であれば、採取効率の改善により、今回の測定値は従来の調査より高い値になるものと考えられる。従って、今回の調査では環境庁が実施した平成9年度の有害大気汚染物質モニタリング調査やダイオキシン類総合パイロット調査とは、測定結果の数値について単純には比較できない。
 しかしながら、参考として、これまでの環境庁がPCDD及びPCDFについて実施した調査の結果(n=26、0.67〜100pg-TEQ/m2/日、平均40pg-TEQ/m2/日、中央値32pg-TEQ/m2/日)と比較すると、平均値及び中央値ともに低い値を示していた。
 
 また、バックグラウンドについては、他の地点分類と比較して、平均値及び中央値とも濃度レベルが低かった。
 
 コプラナーPCBの総TEQ値に占める割合は、全体の平均値で比較すると、8.3%であり、中央値で比較すると、7.4%であった。
 なお、8割以上の地点で、コプラナーPCBの総TEQ値に占める割合が20%以下であった。
 
 
(3)公共用水域水質
 
【調査結果の概要】
 
  [1] PCDD及びPCDFの濃度
 
 全体(n=204、重点地域を含む発生源周辺は2季節平均値)では、平均値0.36pg-
TEQ/L、中央値0.089pg-TEQ/L(検出範囲は0〜12pg-TEQ/L、1季節の最小値0pg-TEQ/L、最大値22pg-TEQ/L)であった。
 このうち地点分類別では、
 重点地域を含む発生源周辺(n=79)では平均0.47pg-TEQ/L、中央値0.11pg-TEQ/L(検出範囲は0.00038〜12pg-TEQ/L、1季節の最小値0pg-TEQ/L、最大値22pg-TEQ/L)、 大都市地域(n=59)では平均0.35pg-TEQ/L、中央値0.11pg-TEQ/L(検出範囲は0〜
3.7pg-TEQ/L)、
 中小都市地域(n=59)では平均0.25pg-TEQ/L、中央値0.065pg-TEQ/L(検出範囲は
0.00015〜3.5pg-TEQ/L)、
 バックグラウンド(n=7)では平均0.041pg-TEQ/L、中央値0.011pg-TEQ/L(検出範囲は0.000065〜0.13pg-TEQ/L)であった。
 これらの値は、単純には比較できないが、環境庁や地方公共団体がこれまでに実施した調査結果(n=315、0〜19pg-TEQ/L、平均0.33pg-TEQ/L、中央値0.014pg-TEQ/L)の範囲内であった。
 
  [2] ダイオキシン類の濃度
 
 全体(n=204)では、平均0.40pg-TEQ/L、中央値0.11pg-TEQ/L(検出範囲は0.0014〜13pg-TEQ/L、1季節の最小値0.000040pg-TEQ/L、最大値25pg-TEQ/L)であった。
 このうち地点分類別では、
 重点地域を含む発生源周辺(n=79)では平均0.54pg-TEQ/L、中央値0.13pg-TEQ/L(検出範囲は0.0052〜13pg-TEQ/L、1季節の最小値0.000040pg-TEQ/L、最大値25pg-TEQ/L)、
 大都市地域(n=59)では平均0.38pg-TEQ/L、中央値0.14pg-TEQ/L(検出範囲は0.0044〜3.8pg-TEQ/L)、
 中小都市地域(n=59)では平均0.29pg-TEQ/L、中央値0.080pg-TEQ/L(検出範囲は0.0061〜3.5pg-TEQ/L)、
 バックグラウンド(n=7)では平均0.047pg-TEQ/L、中央値0.014pg-TEQ/L(検出範囲は0.0014〜0.14pg-TEQ/L)であった。
 これらの値は、単純には比較できないが、環境庁がこれまでに実施した調査結果(n=7、0.47〜19pg-TEQ/L、平均6.8pg-TEQ/L、中央値6.4pg-TEQ/L)の範囲内であった。
 
  グラフ3 平成成10年度ダイオキシン類調査結果と過去の調査との比較 [公共用水域水質(発生源及び重点地域は2季平均値)]
 
【調査結果の評価】

 濃度レベルは、おおむね発生源周辺、大都市地域、中小都市の順に低くなっており、バックグラウンドについては、他の地点分類と比較して、平均値及び中央値とも濃度レベルが低かった。
 また、水質は採水時の河川流量などによって大きく左右されることも考えられるため、必要な調査頻度、河川流量等とダイオキシン濃度との関係については今後検討が必要である。
 
 コプラナーPCBの総TEQ値に占める割合は、全体の平均値で比較すると、12%であり、中央値で比較すると、5.3%であった。
 なお、約8割の地点で、コプラナーPCBの総TEQ値に占める割合が30%以下であった。
 
 
(4)地下水質
 
【調査結果の概要】
 
  [1] PCDD及びPCDFの濃度
 
 全体(n=243)では、平均値0.086pg-TEQ/L、中央値0.0073pg-TEQ/L(検出範囲は0〜5.3pg-TEQ/L)であった。
 このうち地点分類別では、
 重点地域を含む発生源周辺(n=118)では平均値0.088pg-TEQ/L、中央値0.0068pg-
TEQ/L(検出範囲は0〜4.0pg-TEQ/L)、
 大都市地域(n=59)では平均値0.036pg-TEQ/L、中央値0.0082pg-TEQ/L(検出範囲は0〜0.45pg-TEQ/L)、
 中小都市地域(n=59)では平均値0.14pg-TEQ/L、中央値0.0088pg-TEQ/L(検出範囲は0〜5.3pg-TEQ/L)、
 バックグラウンド(n=7)では平均値0.032pg-TEQ/L、中央値0.00015pg-TEQ/L(検出範囲は0〜0.12pg-TEQ/L)であった。
 これらの値は、単純には比較できないが、環境庁や地方公共団体がこれまでに実施した調査結果(n=62、0〜3.9pg-TEQ/L、平均0.12pg-TEQ/L、中央値0.011pg-TEQ/L)と比べ、全体的には低い傾向にあった。
 
  [2] ダイオキシン類の濃度
 
 全体(n=188)では、平均0.081pg-TEQ/L、中央値0.011pg-TEQ/L(検出範囲は0〜
5.4pg-TEQ/L)であった。
 このうち地点分類別では、
 重点地域を含む発生源周辺(n=64)では平均0.056pg-TEQ/L、中央値0.0092pg-TEQ/L(検出範囲は0.00015〜0.59pg-TEQ/L)、
 大都市地域(n=59)では平均0.048pg-TEQ/L、中央値0.013pg-TEQ/L(検出範囲は0.00031〜0.47pg-TEQ/L)、
 中小都市地域(n=59)では平均0.14pg-TEQ/L、中央値0.012pg-TEQ/L(検出範囲は0〜5.4pg-TEQ/L)、
 バックグラウンド(n=6)では平均0.041pg-TEQ/L、中央値0.015pg-TEQ/L(検出範囲は0.00092〜0.13pg-TEQ/L)であった。
 
  グラフ4 平成成10年度ダイオキシン類調査結果と過去の調査との比較 [地下水質]
 
【調査結果の評価】
 
 全体的に低い濃度レベルにあり、平均値及び中央値で地点分類間の濃度レベルの差異は特に認められなかった。
 比較的高い値を示した地点については、懸濁物質(SS)の影響によるものと考えられる。なお、これらはいずれも飲用には供されていない井戸であり、分析検体は明らかに飲用に不適なSSの高い状態のものであった。
 
 コプラナーPCBの総TEQ値に占める割合は、全体の平均値で比較すると、10%であり、中央値で比較すると、12%であった。
 なお、コプラナーPCBの総TEQ値に占める割合が10%以下の地点が最も多く、約4割であった。 
 
 
(5)公共用水域底質
 
【調査結果の概要】
 
  [1] PCDD及びPCDFの濃度
 
 全体(n=205)では、平均6.8pg-TEQ/g-乾重量、中央値0.23pg-TEQ/g-乾重量(検出範囲は0〜230pg-TEQ/g-乾重量)であった。
 このうち地点分類別では、
 重点地域を含む発生源周辺(n=79)では平均7.4pg-TEQ/g-乾重量、中央値0.21pg-TEQ/g-乾重量(検出範囲は0.00037〜230pg-TEQ/g-乾重量)、
 大都市地域(n=60)では平均8.5pg-TEQ/g-乾重量、中央値0.79pg-TEQ/g-乾重量(検出範囲は0.00035〜190pg-TEQ/g-乾重量)、
 中小都市地域(n=59)では平均5.0pg-TEQ/g-乾重量、中央値0.19pg-TEQ/g-乾重量(検出範囲は0〜150pg-TEQ/g-乾重量)、
 バックグラウンド(n=7)では平均0.75pg-TEQ/g-乾重量、中央値0.028pg-TEQ/g-乾重量(検出範囲は0〜4.9pg-TEQ/g-乾重量)であった。
 これらの値は、単純には比較できないが、環境庁や地方公共団体がこれまでに実施した調査結果(n=571、0〜180pg-TEQ/g-乾重量、平均13pg-TEQ/g-乾重量、中央値6.6pg-TEQ/g-乾重量)と比べ、全体的に低い値であった。
 
  [2] ダイオキシン類の濃度
 
 全体(n=205)では、平均7.7pg-TEQ/g-乾重量、中央値0.41pg-TEQ/g-乾重量(検出範囲は0〜260pg-TEQ/g-乾重量)であった。
 このうち地点分類別では、
 重点地域を含む発生源周辺(n=79)では平均8.5pg-TEQ/g-乾重量、中央値0.38pg-TEQ/g-乾重量(検出範囲は0.00087〜260pg-TEQ/g-乾重量)、
 大都市地域(n=60)では平均9.6pg-TEQ/g-乾重量、中央値0.90pg-TEQ/g-乾重量(検出範囲は0.0014〜200pg-TEQ/g-乾重量)、
 中小都市地域(n=59)では平均5.5pg-TEQ/g-乾重量、中央値0.39pg-TEQ/g-乾重量(検出範囲は0.0013〜160pg-TEQ/g-乾重量)、
 バックグラウンド(n=7)では平均0.75pg-TEQ/g-乾重量、中央値0.033pg-TEQ/g-乾重量(検出範囲は0〜4.9pg-TEQ/g-乾重量)であった。
 これらの値は、単純には比較できないが、環境庁や地方公共団体がこれまでに実施した調査結果(n=32、0.089〜160pg-TEQ/g-乾重量、平均31pg-TEQ/g-乾重量、中央値16pg-TEQ/g-乾重量)と比べ、3地点(都市河川)を除きその範囲内であった。
 
  グラフ5 平成成10年度ダイオキシン類調査結果と過去の調査との比較 [底質]
 
【調査結果の評価】
 
 比較的高い値を示した3地点については、同族体パターン等について共通の傾向はなく、その原因については今後検討が必要である。
 バックグラウンドについては、他の地点分類と比較して、平均値及び中央値とも濃度レベルが低かった。
 
 コプラナーPCBの総TEQ値に占める割合は、全体の平均値で比較すると、11%であり、中央値で比較すると、5.9%であった。
 なお、約8割の地点で、コプラナーPCBの総TEQ値に占める割合が30%以下であった。
 
 
(6)土壌
 
【調査結果の概要】
 
  [1] PCDD及びPCDFの濃度
 
 全体(n=344)では、平均6.2pg-TEQ/g、中央値2.3pg-TEQ/g(検出範囲は0.00067〜110pg-TEQ/g)であった。
 このうち地点分類別では、
 重点地域を含む発生源周辺(n=219)では平均6.8pg-TEQ/g、中央値2.6pg-TEQ/g(検出範囲は0.00067〜110pg-TEQ/g)、
 大都市地域(n=59)では平均5.4pg-TEQ/g、中央値2.7pg-TEQ/g(検出範囲は0.057〜33pg-TEQ/g)、
 中小都市地域(n=59)では平均5.6pg-TEQ/g、中央値1.5pg-TEQ/g(検出範囲は0.022〜61pg-TEQ/g)、
 バックグラウンド(n=7)では平均1.7pg-TEQ/g、中央値1.3pg-TEQ/g(検出範囲は0.13〜5.6pg-TEQ/g)であった。
 これらの値は、単純には比較できないが、環境庁や地方公共団体がこれまでに実施した調査結果(n=421、0〜2700pg-TEQ/g-乾重量、平均27pg-TEQ/g、中央値9.2pg-TEQ/g)と比べ、最高値、平均値及び中央値のいずれも低い値であった。
 
  [2] ダイオキシン類の濃度
 
 全体(n=286)では、平均6.5pg-TEQ/g、中央値2.7pg-TEQ/g(検出範囲は0.0015〜
61pg-TEQ/g)であった。
 このうち地点分類別では、
 重点地域を含む発生源周辺(n=161)では平均7.1pg-TEQ/g、中央値2.9pg-TEQ/g(検出範囲は0.0015〜49pg-TEQ/g)、
 大都市地域(n=59)では平均6.1pg-TEQ/g、中央値3.5pg-TEQ/g(検出範囲は0.063〜35pg-TEQ/g)、
 中小都市地域(n=59)では平均6.0pg-TEQ/g、中央値1.7pg-TEQ/g(検出範囲は0.024〜61pg-TEQ/g)、
 バックグラウンド(n=7)では平均1.8pg-TEQ/g、中央値1.8pg-TEQ/g(検出範囲は0.26〜5.6pg-TEQ/g)であった。
 
  グラフ6 平成成10年度ダイオキシン類調査結果と過去の調査との比較 [土壌]
 
【調査結果の評価】
 
 本調査で測定した地点では、本年7月に公表された「土壌中のダイオキシンに関する検討会一次報告書」における居住地等のガイドライン値(1000pg-TEQ/g)を超える地点はなかった。
 バックグラウンドについては、他の地点分類と比較して、平均値及び中央値とも低いレベルであった。
 
 コプラナーPCBの総TEQ値に占める割合は、全体の平均値で比較すると、7.7%であり、中央値で比較すると、8.2%であった。
 なお、8割以上の地点で、コプラナーPCBの総TEQ値に占める割合が20%以下であった。
 
 
(7)水生生物
 
【調査結果の概要】
 
  [1] PCDD及びPCDFの濃度
 
 全体(n=368)では、平均0.64pg-TEQ/g-湿重量、中央値0.32pg-TEQ/g-湿重量(検出範囲は0〜11pg-TEQ/g-湿重量)であった。
 このうち地点分類別では、
 重点地域を含む発生源周辺(n=118)では平均0.82pg-TEQ/g-湿重量、中央値0.39pg-TEQ/g-湿重量(検出範囲は0〜8.4pg-TEQ/g-湿重量)、
 大都市地域(n=118)では平均0.60pg-TEQ/g-湿重量、中央値0.33pg-TEQ/g-湿重量(検出範囲は0〜11pg-TEQ/g-湿重量)、
 中小都市地域(n=118)では平均0.51pg-TEQ/g-湿重量、中央値0.26pg-TEQ/g-湿重量(検出範囲は0〜4.5pg-TEQ/g-湿重量)、
 バックグラウンド(n=14)では平均0.43pg-TEQ/g-湿重量、中央値0.14pg-TEQ/g-湿重量(検出範囲は0〜3.4pg-TEQ/g-湿重量)であった。
 これらの値は、単純には比較できないが、環境庁や地方公共団体がこれまでに実施した調査結果(n=436、0〜11pg-TEQ/g-湿重量、平均0.68pg-TEQ/g-湿重量、中央値0.17pg-TEQ/g-湿重量)と比べ、一部で高い値がみられたものの全体的にはほぼ同程度あった。
 
  [2] ダイオキシン類の濃度
 
 全体(n=368)では、平均2.1pg-TEQ/g-湿重量、中央値1.1pg-TEQ/g-湿重量(検出範囲は
0.0022〜30pg-TEQ/g-湿重量)であった。
 このうち地点分類別では、
 重点地域を含む発生源周辺(n=118)では平均2.3pg-TEQ/g-湿重量、中央値1.3pg-TEQ/g-湿重量(検出範囲は0.065〜12pg-TEQ/g-湿重量)、
 大都市地域(n=118)では平均2.5pg-TEQ/g-湿重量、中央値1.4pg-TEQ/g-湿重量(検出範囲は0.032〜30pg-TEQ/g-湿重量)、
 中小都市地域(n=118)では平均1.7pg-TEQ/g-湿重量、中央値1.0pg-TEQ/g-湿重量(検出範囲は0.0061〜12pg-TEQ/g-湿重量)、
 バックグラウンド(n=14)では平均0.73pg-TEQ/g-湿重量、中央値0.44pg-TEQ/g-湿重量(検出範囲は0.0022〜4.1pg-TEQ/g-湿重量)であった。
 これらの値は、単純には比較できないが、環境庁や地方公共団体がこれまでに実施した調査結果(n=8、0.29〜16pg-TEQ/g-湿重量、平均3.1pg-TEQ/g-湿重量、中央値1.4pg-TEQ/g-湿重量)と比べ、2検体(大都市河川)を除きその範囲内であった。
 
 グラフ7 平成成10年度ダイオキシン類調査結果と過去の調査との比較 [水生生物(湿重量)]
 
【調査結果の評価】
 
 コプラナーPCBの総TEQ値に占める割合は、全体の平均値で比較すると、70%であり、中央値で比較すると、68%であった。
 なお、約7割の地点で、コプラナーPCBの総TEQ値に占める割合が50%以上であり、他の媒体と異なる傾向を示した。
 
 なお、今回の調査については、発生源周辺や都市部での検体採取が多く、水生生物の選定についても、調査地点で採取可能な種類を選定して実施したものであり、この値をもって食品としての水生生物の濃度レベルを議論することは適切でないものと考えられる。
 
 
3 媒体間の関係
 
 本調査においては、今後の対策に資するため、媒体間の関係についても解析を行った。
 その結果、大気と降下ばいじんとの間にある程度の相関関係が見られたが、その他の媒体間ではデータにかなりのばらつきがあった。このため、各媒体間の関係をより正確に評価するためには、環境中での挙動や各媒体中でのダイオキシン類の特性等の科学的知見や関連データの一層の集積を進める必要がある。
 
 
4 精度管理の実施
 
 ダイオキシン類の測定は高度の技術を要するものであり、ダイオキシン類の調査にお
いて、測定機関の体制を含めた、測定結果の精度を管理することが重要な課題である。
 しかしながら、現時点で、十分に精度管理を行う方法論は確立されていないため、本調査では、環境庁及び(財)日本環境衛生センターが、測定機関に対して、以下の事項を精度管理として実施した。
 
(1)各測定機関が作成した、試料採取、前処理、分析の各段階における精度管理を行うための計画書を測定前に審査
 
(2)専門家、(財)日本環境衛生センター担当者及び環境庁職員が測定機関の査察を行うとともに、必要に応じて分析手順、チャート等を精査
 
(3)各測定機関において、土壌及び底質の共通試料を測定
 
 以上の結果、分析能力上問題となる機関はなかった。
 なお、本調査における精度管理の方法を含めて、今後、測定機関及び調査結果の信頼性の確保の在り方については、引き続き、関係省庁とともに検討を進めていく必要がある。
 
 
5 全体のまとめ
 
 本調査のように、全国59都道府県・政令指定都市の約400地点において、複数の環境媒体について総合的に測定したことは、これまでに例のない規模のものである。
 
 本調査では、単純には比較できないが、これまでの調査結果と比べて全体的に低い値を示した。しかし、一部地点でわずかながらも高い濃度レベルを示すような結果が得られており、引き続き実態把握を行うとともに、環境中の挙動も含めて、より詳細な調査研究を推進していくことが必要である。
 また、本調査では、コプラナーPCBについては、一部地域のみの実施であり、PCDD及びPCDFと同規模での測定数を実施していないことや、本年7月に制定されたダイオキシン類対策特別措置法ではコプラナーPCBもダイオキシン類として位置づけられていることから、環境中の賦存量や媒体間の関係について、PCDD及びPCDFと同様、知見の充実を図る必要がある。
 
 更に、精度管理については、今後、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく常時監視等による測定・分析の需要の増加や排出ガス等に対する規制の徹底等による精度の向上の必要性から、より具体的かつ普遍的な精度管理が求められているところであり、本調査の結果を踏まえて、更に検討を進めていくことが必要である。
 
 なお、各媒体における本調査の詳細な検討については、現在、検討が進められている大気、水質及び土壌の環境基準等の設定の際に、他の調査結果と併せて行われる。また、各媒体間の関係については、環境保健部が行っている環境中の挙動調査研究において、これまでの知見と併せて、詳細な検討を進めていくこととしている。
 
 環境庁としては、今後は、ダイオキシン類対策特別措置法等による対策の効果等を判断するため、同法に基づく監視調査を含めて、引き続き総合的なモニタリング調査を実施していく必要があると考えている。また、その際には、本調査で得られた調査結果や精度管理手法に関する知見等に基づいてより適切な実態調査を実施するとともに、さらに、対策の評価や施策の推進に努めることとしている。
 
<添付資料>

・資料1  調査地点の考え方   [HTMLファイル]

・資料2 (表1)調査地点一覧表 [PDFファイル]

・資料3 (表2)測定異性体一覧 [PDFファイル]

・資料4 (表3)調査結果    [PDFファイル]

・資料5 (表4)測定結果    [PDFファイル]



<参考資料>

平成10年度ダイオキシン類緊急全国一斉調査地点別調査結果一覧

ファイル1            [CSVファイル(EXCELカンマ区切り文字ファイル) 664KB]

北海道、札幌市、青森県、岩手県、宮城県、仙台市、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、千葉市、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市

ファイル2            [CSVファイル(EXCELカンマ区切り文字ファイル) 731KB]

新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、名古屋市、三重県、滋賀県、京都府、京都市、大阪府、大阪市、兵庫県、神戸市、奈良県、和歌山県

ファイル3            [CSVファイル(EXCELカンマ区切り文字ファイル) 517KB]

鳥取県、島根県、岡山県、広島県、広島市、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、北九州市、福岡市、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県




 平成11年9月24日報道発表資料
 ダイオキシン類緊急全国一斉調査結果について(平成10年度実施)