子どもの健康と環境に関する全国調査

エコチル調査とは

どんな調査なの?

エコチル調査は、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいるときから13歳になるまで健康状態を定期的に調べる、出生コーホート(集団を追跡する)調査です。

子どもの健康と環境に関して、わが国ではかつてないほどの、大規模かつ長期的な調査です。全国15地域、10万組の子どもたちとそのご両親に参加していただきます。

調査の流れ

調査は、赤ちゃんとご両親の健康を第一に考えながらすすめていきます。

参加者の皆さんには、質問票への記入や血液・尿・毛髪などの試料を採取・提供していただきます。また、お母様やお子様の診療状況や健康状態について調査します。

10万組の参加登録を調査開始時に行い、それらの妊婦とその配偶者、その子どもに対して子どもが13歳になるまで、段階毎に追跡して調査します。具体的には、次の通りです。妊娠初期・中期段階は、インフォームドコンセント、質問票調査、妊婦血液、尿の採取、出産時段階は、出生児の健康状態の確認、臍帯血の採取、母の血液・毛髪、父の血液の採取、ろ紙血(出生児)の採取、生後1ヶ月時段階は、母乳の採取、赤ちゃんの毛髪の採取、子どもが6ヶ月から13歳になるまでの段階は質問票調査(半年ごと)、面接調査(数年ごと)、環境試料の採取採取した血液・尿・毛髪などの試料については、化学物質等の測定を行いその分析結果を質問票調査結果等と共に統計学的解析を行い、子どもの成長発達に影響を与える環境要因を解明します。また、採取した血液・尿・毛髪などの試料については、長期保存を行うこととしています。

ご提供いただいた試料やデータは、分析後も長期保存して将来の研究に役立てます。

試料・データからは、個人が特定される情報を取り除き、照合のための番号をつけ、取り扱うスタッフを限定した上で、細心の注意を払い厳重に管理、保管します。

調査期間

リクルート期間(3年間)と追跡期間(13年間)として、2011年1月から2027年までを予定しています。

2010年度から開始したエコチル調査は、3年間で約10万人の妊婦に参加登録いただきました。そして、登録いただいた妊婦の妊娠期から出産時にかけて、妊婦やその子どもの血液、尿、母乳等の生体試料の採取を行いました。その後は、生まれた子どもが13歳になるまで質問票等による調査を継続いただくためのフォローアップを行うこととしています。

 また、調査の進捗に合わせて、収集したデータの解析を随時行うこととしており、その結果は、エコチル調査の成果として一般国民の皆さまに広くお伝えしていきます。

なお、調査終了後5年間は、収集したデータの解析を継続して行います。

2010年度から開始したエコチル調査は、3年間で10組の参加者を募集し、妊娠期から出産時に採血等を実施した。その後は、子どもが13歳になるまで質問票による調査を継続いただくためのフォローアップを行う。また、調査の進捗に合わせて、収集したデータの解析を行うこととしている。また、調査終了後も5年間は収集したデータの解析を継続して行う。

実施体制

エコチル調査は、環境省が企画・立案し、国立環境研究所(コアセンター)が中心となって調査をとりまとめ、国立成育医療研究センター(メディカルサポートセンター)が医療面のサポートを行います。

調査は全国15地域の大学等に設置されたユニットセンターと共同で実施していきます。調査の推進にあたっては、厚生労働省、文部科学省、さらに諸外国の調査や世界保健機関 (WHO)などの国際機関と連携をすすめています。

エコチル調査は、環境省、コアセンター(国立環境研究所)、メディカルサポートセンター(国立成育研究センター)、ユニットセンター(全国15大学)との協働のもと実施しています。コアセンターは、研究実施の中心機関として調査の総括的な管理・運営を行います。具体的にはユニットセンターが収集するデータの集積とデータシステムの運営を行うとともに、生体試料及び環境試料の保存・管理、適切な精度管理下での分析を行っています。メディカルサポートセンターは、臨床医学の専門的立場からコアセンターを支援し、詳細調査を中心としたアウトカム(影響)測定方法の選択と統一した方法の策定、各種マニュアルの作成、測定に関するユニットセンターへの指導、測定者のトレーニング等に関して指導的役割を担っています。ユニットセンターは、公募で選ばれた全国15地域の大学等で組織され、地方自治体と連携しつつ地区内の協力医療機関と緊密な協力関係を築き、参加者(妊婦)のリクルート(募集・登録)を行い、その子どもが13歳に達するまでフォローアップを行います。調査内容の説明、同意受領、データシステムへの登録、診察記録票の記入と回収、質問票調査の実施、血液・尿等の生体試料の採取、調査対象者とのコミュニケーションを図る等、個別相談窓口としての業務を担っています。そして環境省は、エコチル調査を行うための予算の確保や、エコチル調査で得られた結果を用いて環境政策の検討を行います。さらに調査を進めていくために、厚生労働省、文部科学省、エコチル調査と同じ出生コホート調査を実施している諸外国や国際機関との連携も進めていきます。

参考:全国の調査対象地域

詳細調査と追加調査

エコチル調査には、調査参加者全員を対象とする全体調査のほかに、一部の方を対象にして行う詳細調査、ユニットセンターなどが独自に行う追加調査があります。

詳細調査

参加者の一部の方にお願いして、お子さんの健康と生活環境をよりくわしく調査します。

全体調査は、10万人の調査の全参加者を対象とし、妊娠中および出産時のお母さんの血液等や、お父さんの血液の中の化学物質を調べます。お子さんについては、お子さんの健康状態や生活環境・生活習慣等について、質問票で調べます。詳細調査は、全体調査の一部である5,000人の参加者を対象としています。方法と内容は家庭訪問により居住・生活環境中の化学物質やハウスダスト等を調べます。お子さんの健康状態や成長・発達について、小児科医が直接診察します。採血検査により、詳しいアレルギー抗体等を調べます。訓練を受けた検査者が面談により、精神発達検査を行います。詳細調査を行うことで、①子どもの健康と環境について専門的に調べた情報が加わり、②エコチル調査全体の知見の信頼性を高めます。

追加調査

ユニットセンターなどが独自の計画・予算でエコチル調査の参加者を対象に行う調査です。