ま え が き


  環境庁環境安全課では、昭和49年に化学物質の環境における残留状況調査を開始し、昭和54年度からは、一層の体系化、効率化を図り化学物質環境安全性総点検調査と体制を改め、様々な化学物質の残留状況を測定・把握し、環境安全性の点検を実施してきた。
  これまでの調査では、GC/MS(ガスクロマトグラフィー/質量分析法)を用いた分析方法を中心に進めてきた。GC/MSは、多種類の化学物質を同時に感度よく分析できるという特徴を持ち、環境中の微量化学物質を分析するにあたり優れた方法である。環境科学の分野では、GC/MSの普及によって、環境汚染物質の微量測定技術が長足の進歩を遂げた。
  しかしながら、GC/MSは難揮発性物質、熱不安定物質等の分析は困難である。一方、LC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析法)は、難揮発性、高極性、熱不安定化合物を直接的に分析対象とすることができる。近年の内分泌かく乱化学物質問題に見られるように、非意図的に又は意図的に作り出された化学物質によるヒト及び生態系への微量長期暴露影響の問題には、この技術の更なる発展を必要としている。LC/MSはこの方向性を更に進める方法であり、GC/MSと並立する汎用性の高い微量分析法として、環境分析の分野への全面的な導入が強く期待されており、本マニュアルはこれらの環境中残留状況調査の充実をはかるため作成しました。
 
  このマニュアルの作成にあたり、地方公害研究所を中心に多くの方々からの多大なるご協力とご理解を頂き、また、執筆担当者におかれましては、ご多忙の中、執筆,打ち合わせ、校正と貴重な時間を頂戴し、かつご苦労をお掛けし、今回このようにまとめることができました。ここに深く感謝の意を表し、今後とも変わらぬご指導ご協力をお願いするものでございます。

(LC/MSを用いた化学物質分析マニュアル協力機関)
  北海道環境科学研究センター、神奈川県環境科学センター、川崎市公害研究所、新潟県保健環境研究所、長野県衛生公害研究所、大阪府公害監視センター、大阪市立環境科学研究所、兵庫県立公害研究所、岡山県環境保健センター、北九州市環境科学センター


(執筆担当者)(五十音順)
茨木  剛新潟県保健環境研究所(第6章6.2)
上堀  美知子大阪府公害監視センター(第3章3.2,第4章4.1.2,4.2,第6章6.3)
小沢  秀明長野県衛生公害研究所(第3章3.1)
劔持  堅志岡山県環境保健センター(第5章5.2)
古武家善成兵庫県立公害研究所(第1章,資料2)
陣矢  大助北九州市環境衛生研究所(第2章2.3,第4章4.1.3
鈴木  茂川崎市公害研究所(第2章2.1,2.2,2.4,第4章4.3,資料1)
長谷川敦子神奈川県環境科学センター(第5章5.1,第6章6.1)
森脇  洋大阪市立環境科学研究所(第4章4.1.1,4.2)
 
  なお、本書中に用いられている分析関係の語句のうち、商品名で示しているものは、適当な一般名が見あたらなかったためであり、環境庁においてその商品の使用を推薦することを意味するものではありません。


環境庁環境安全課