大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣記者会見録(令和4年4月28日(木)9:00~9:22 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。私からは2点です。水俣病犠牲者慰霊式への出席について、そして妙高戸隠連山国立公園への出張についてです。
 初めに、5月1日に熊本県水俣市において、水俣病犠牲者慰霊式が開催されます。私としては、是非現地に伺わせていただきたいと考えていましたけれども、新型コロナウイルス感染症の影響で、今回、規模を縮小して、会場での参加は現地の方々に限定するという主催者の方針を受け、オンラインで参列させていただきます。水俣病によって亡くなられた方の御冥福を、心を込めてお祈りをしたいと思います。
 そして、5月3日に妙高戸隠連山国立公園を訪問して、この4月にオープンした妙高高原ビジターセンターの開館記念式典に出席します。このビジターセンターは、妙高戸隠連山国立公園全体の情報を発信する拠点施設です。また、妙高市は、本年3月に国立公園の脱炭酸化を目指すゼロカーボンパークに登録されており、その取組の一環として、本ビジターセンターの消費電力を、全て再生可能エネルギーによりまかなわれています。式典への参加と併せて、国立公園内の視察等を行う予定です。国立公園の保護と利用等の状況について、現場の声を聞かせていただきたいと思っています。以上です。

2.質疑応答

(記者)おはようございます。幹事社の日経新聞の岩井です。自動車業界との意見交換についてお伺いします。昨日27日に日本自動車工業会と意見交換がありましたが、どういった内容だったのか、可能な範囲で教えていただけますでしょうか。環境省から自動車業界にどういった要望を伝えたのか、自動車業界の脱炭素化に向けて、どういった支援をしていくのか、大臣の現時点のお考えをお伺いします。
(大臣)基本的にそれぞれの産業界の方々と行っている内容については、公開しないと、言及しないということがあるんですけれども、我々は鉄鋼業界から始まって、電力、ガス、石油等々やってきました。まだまだ続くんですけれども、要するにカーボンニュートラルという中で、どういうふうにそれを取り組もうとされているのか、その中でそれを通じて、それぞれの産業が世界をリードできる、そういうところまで持っていってほしいなと。だから今、経済産業省とコラボして、クリーンエネルギー戦略に関する有識者懇談会とか、というものが位置づけられるわけですね。グランドデザインを描こうとしているんです。そういう意味での意見交換です。自動車業界も本当に今、大きな波が押し寄せているところを、そこをやっぱり危機感を共有させてもらいたいなと。我々ができること、やらなければいけないことを、さらに明確化させていただきたいなという気持ちで、昨日はやらせていただきました。現実の環境を見てみたら、これは中国、韓国もめちゃくちゃ頑張っていますからね。それから、欧米の自動車のそれぞれの業界、それは結局日本の内燃機関ではない、電動自動車でもってやっていこうということで、2035年、向こうは電動自動車以外売れないわけでしょう。ハイブリッドも受け付けないというのが実ですから。アジアの市場についても当然そういうふうに持っていくだろうということは予想されますし、世界の流れというのは、はっきりしていますよね。ですから、その辺の危機感を共有をまずさせてもらいたいなと思うし、私は、相当共有できているかもしれないと思っています。ただ、560万人の働く仲間の方々、それはいろんな意味で自動車業界につながっている人たちの声を、今まで内燃機関で働いていた人たちが、急に電動機、電動自動車のところで働けるかなど、いろんな悩みを持っておられると思います。そういうことも全部含めてグランドデザインですから、そこは赤裸々に、意見交換をさせていただきたいなと。まだ1回目ですから、それほど突っ込んだところまで行けていないかもしれませんけど、まずは危機感の共有、そして我々グランドデザインという場合には、地球温暖化対策税、あるいはグリーンイノベーションファンド、大学ファンドも入れるかどうか、それでは足りないわけですよね。そういう中でカーボンプライシングをどういうふうにするか、そういうことについても、それぞれの業界との間で、少々研究をさせてもらっています。また、経団連のほうからも御意見いただいている中で、我々が言っていることもかなり意識していただいているのではないのかなという気もしますし、それから経団連の中でも、グランドデザインというものを我々がまだ描き切っていないですから、その中で今、現状における反応というものを出てきていると思うんですけれども、昨日の自動車工業会との中ではそういう危機感の共有というものをできるだけしたいと思ったところです。支援の話というのは、これからまだ、具体的な話なので、具体的なところまでは行けていません。

(記者)熊本日日新聞の福山です。よろしくお願いいたします。冒頭、御発言があった水俣病問題についてお尋ねいたします。間もなく公式確認から66年を迎えるわけですが、この間、政府は最終解決を目指して二度の政府解決を図って来られました。ただ、そういった中でも、訴訟や認定申請が相次いで、後を絶ちません。このような状況を大臣にお伺いいたしますけれども、水俣病問題は解決したとお考えなのかどうかも含めて、現状について認識をお聞かせください。
(大臣)水俣病は、我が国の環境問題の原点であると、そこがまず最初の出発点ですね。行政として、その時々にできる限りの努力をしてきたんだと思います。今なお認定申請や訴訟される方が多くいらっしゃるという事実は、これは重く受け止めています。環境省としては、水俣病の被害を受けた方々やその御家族などの気持ちに、思いを致させていただいて、そして地域の声に耳を傾けて、何が必要かを考えて、少しでもいい未来を実現したいと、明るく安心して暮らしていける社会を実現するために、公害健康被害補償法の丁寧な運用、そして地域の医療・福祉の充実や、地域の再生・融和・振興に取り組んでまいりたいと思っています。
(記者)すみません。ちょっとお尋ねした、解決をしたとお考えかどうかについて、伺っていいですか。
(大臣)今、認定申請や訴訟される方が多くいらっしゃるという事実は重く受け止めています。
(記者)最終解決に向けて、被害者団体からですね、被害の全容解明をしないと問題はいつまでたっても終わらないんだという話が出ておりまして、このため不知火海沿岸地域に居住歴がある人全員を対象とした健康調査をすること、これが解決に向けて出発点になると思いますが、この必要についてはどうお考えでしょうか。
(大臣)どういう調査、手法が一番いいのかということも含めて、今ずっと私の前任の時代から続いていると思いますが、その意味で、今秋、秋めどに問題点の整理というか、ポイントの整理ということを行わせていただきたいなというふうに思っています。

(記者)日経新聞の岩井です。先ほどの自動車工業会との意見交換の関連で、ガソリン補助金についても大臣のお考えをお伺いしたく思います。最近ですね、上限額を引き上げるという決定がなされたそうなんですけれども、先ほど大臣がおっしゃったその危機感の共有ということと、ガソリン補助金の拡充がちょっとちぐはぐ感があるなと感じています。経産省の政策ではあるんですけれども、政府の政策から受けるメッセージとしては、ガソリン車を使い続けてよいというようなメッセージになってしまっていないかなと感じているのですが、いかがでしょうか。
(大臣)緊急性の問題だと思うんですね。中長期的には何が起こるかという点では電動自動車の流れというのは、相当重く受け止めなきゃいけないと思うし、急に明日からポンと、皆それぞれ電動自動車に替えてくださいというわけにはいかないから、今現実にこのガソリンの高騰で苦しんでおられるという事実があるのであれば、そこは、それなりの手当は必要ではないかなというふうに私は理解しています。

(記者)エネルギージャーナル社の清水です。ちょっとグローバルな話で恐縮なんですが、COP27を控えて、かつ現状ではこういうウクライナ侵攻による国際的な政治的対応という緊急性に迫られている中で、温暖化対策がどうしても後退するというか、取組に弱さが国際的に出てくるのではないか、そういう傾向も出てきていると思うんですが、どうですか。日本はやっぱり内外に対して、こういう情勢下であっても温暖化対策の推進というのは揺るぎないというような、例えば、山口談話というか、山口政策方針といいますかですね、そういうものが、やっぱりこういう時期こそ必要なんじゃないかと、発信すべきじゃないかと、揺るぎないということのですね。この辺どう思われますか。
(大臣)物事を総合的に考えたいと思うんですね。それは今、ロシアがああいうことをやっていれば、当然「脱ロシア」というのが1つのキーワードだと思います。その中で、いろいろな今までのCOP26での合意のこと。COP26での合意は、揺るぎはありません。そのことは、各国共通の思いです。ドイツでは石炭の使用量が増えているようですけれども、ドイツからは、このG7に向けて、いろいろな提案もなされてます。それは、COP26の合意を受けてのラインであって、ドイツも、その点には揺るぎはないんだなというふうに思います。そういう意味では、ロシアが今やっていることというのは、人類全体に対して相当な危害を加えているというふうに思いますね。だけど、そのことによって、気候変動問題に対する取組に揺るぎがあるというふうには考えていません。特に環境問題に取り組んでいる仲間の人たち、それぞれの閣僚の人たち、そこは全く揺るぎはないですね。それぞれの政府の中で、いろいろな政策を総合的に取りまとめる中で、それぞれが意見を言っているんだろうと思いますけれども、そういう意味では、私もこのCOP27に向けて、COP26の蓄積の上に、どういうふうにそれを組み立てていくかという発想で、G7の前の環境エネルギー大臣会合、そういうことも含めて対応していきたいなと思っています。
(記者)ロシアを出したのは、2つの意味で大罪だなと思っているのは、もちろん国際秩序というか、国際ルールを非常に踏みにじっているという点と、2025年あるいは2030年までに待ったなしと言われている温暖化対策、地球気候変動対策にも大きなブレーキをかけるという意味で、二重の大罪だと私は思っているんです。
(大臣)そうですね。全くそのとおりで。プラス映像が流れる今の時代ですから、あの映像でもって、みんなが怒っていると思いますね。だから、そこは、その2つにもちろん集約されるんですけれども、許し難いなという気持ち、相当共有されているんじゃないですか、全世界で。
(記者)もう1つだけ、すみません。国内対策、翻って、今、日経の人からも質問ありましたけれども、やっぱりその、CO2対策、国内対策も、地方行脚も随分御苦労されてやってこられたということもあれば、脱炭素先行地域も決まったし。ということは、やっぱり日本は具体的に何をやるかと、そこをやっぱり見られることだと思うんですよ。そういう意味では、例えば省エネの、節電。無理のない節電とか、そういうことじゃなくて、無理のある節電、省エネ、今は経済産業省の省エネ法だと、年に2%ぐらいの省エネを産業界はやるべしとなっているけれども、それをウクライナの、サハリン2のエネルギー相当になるぐらいの10%とか、環境省もクールビズ、生活系のエネルギー対策は相当重荷を担っているわけですから、そういうことをやっぱり、今打ち出して、日本ここにあるべしというようなことをやるべきじゃないかと思うんですが、どうですか。
(大臣)それも大事ですね。いろいろなことをやっていかなきゃいけないと思います。脱ロシア、石油が4%、天然ガスが9%、石炭が11%、これをどうやって脱ロシアするか。省エネだけではできません。イノベーションです。蓄電をしっかり整える、太陽光が少々雪が降っても電力を安定的に供給できる、そういうことを日本の技術力を結集して、やっていく、そういうことが一番のポイントでしょう。もちろん省エネも大事です。だけど、積極的に日本が強くなっていくと、ロシア何する者ぞということぐらい頑張ってほしいなと。イノベーションも省エネも大事です。
(記者)もうやめますけれども、非常時にやっぱり日本国民を習熟しなきゃいかんと。今後の世界情勢からいくとね。そういうことの一環としても、やっぱり大変というか、重い省エネというか節電というか、エネルギー効率というか、これはやるべきだと思いますね。どうですか。
(大臣)はい。

(記者)環境新聞の小峰です。2点質問させていただきます。経団連がですね、おととい、26日、脱炭素に400兆円の投資をと、提言しています。これの受け止めをお聞きしたいということでございます。経団連提言には、山口大臣がかねてから関心のあったグリーン国債の発行も提起しておりますし、また、カーボンニュートラルの導入についてもですね、キャップアンドトレードを、有力な選択肢に挙げるなど、温暖化対策に非常に積極的な提言だと思いますが、大臣の経団連提言に対する受け止めをお尋ねしたいと思います。それと、おとといですね、自民党の安全保障調査会が、政府が年末に改定する国家安全保障戦略等3文書に対するですね、提言を打ち出しました。この中でですね、山口大臣も関心を示している、原子力防災担当相としてですね、自民党の安保調査会の提言には、原発を自衛隊の警護出動の対象にすべきだという提言があります。御存じのとおり、自衛隊の基地や米軍施設は警護出動の対象になっていますが、原発は対象となっておりません。特にウクライナで、ロシア軍がチェルノブイリ原発などを攻撃したことを受けて、これは必要性が非常に高まっております。一方、原子力防災担当相としてではなく、環境大臣として、今回の自民党の安保調査会の提言の中に、気候変動などへの対策だとかですね、離島防衛の強化が含まれていると思います。これについての意見、大臣の受け止めをお願いいたします。
(大臣)経団連の記事というのは、私も見ました。カーボンニュートラル、あるいはそのカーボンニュートラルを受け止めながら、日本が各業界において世界に冠たる地位を占めていけるぐらいのリードをしていくと。そのためには、国、地方自治体、企業、国民、総力戦で一体となって、やっていかないといけないですよね。そのために今、全国行脚をしたり、各業界との対話を重ねているつもりです。もちろん、もっともっとみんな共有していただきたいなというふうには思っています。その中で、経団連も一生懸命気持ちをリードしようとされているんだと思います。400兆円という数字については、私もそれぐらい官民寄せて、あるいは場合によっては世界のESGマネーを取り込むことも入れて、それぐらいはかかるかもしらんなという気持ちはします。その中で、グリーン国債、私はイノベーション国債と言っているわけですけれども、共通するところが多いですね。だから、グリーンに特化するというやり方もあるだろうし、裾野を広くイノベーションというところでやるやり方もあるだろうし、それは、これからいろいろ議論していけばいいなと、あるいは、していく価値があるなというふうに受け止めています。カーボンプライシングについては、3つあるわけですよね。排出量取引、これは経団連が言っていることだと思いますけど、そのほかに、クレジット取引もあれば、あるいは炭素税の話もあれば、総力戦であって、グランドデザインを描くということであれば、全てを念頭に置いていろいろやったほうがいいと思いますから、この排出量取引についても、いろいろな技術的な難しいことがある中で、いろいろ議論していける。それのみならず、全般的に、総合的に取り組む話だろうなと思います。でも、この提言自体、方向は非常に共有させていただいているところです。自民党の調査会の提言については、そういうことにならないようにするというのが、まず私としては一番のポイントですよね。そこは、やっぱり政治の役割は大きいと思うんです。かねがね私も言っているような、外交官がきちんと処理できなければ、軍人の仕事になってしまうと。だから、そういうところが、まず本当は一番最初にあると思うんです。それでもこういうことが起きたときという議論でしょうけれども。原発について、いろいろな人が来ないようにするのに、警護の必要性、それは有事の際の話ですよね。そういうことは、もちろん考えていくべき話だと思います。あるいは、気候変動について、例えば異常気象が多発して、災害が、洪水とか、いろいろ起こって、それで自衛隊が災害派遣されて、そういうことがあまり多くなると、自衛隊はいろいろな任務を持っているわけですから。そういう意味では、根っこからそういうことを解決するためには異常気象をなくしていく、異常気象をなくすということは、結局気候変動対策をしていく、そういうことだと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/S7gY1_krhZ8 

(以上)