大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和4年3月15日(火)9:00~9:09於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

私のほうからは、「ESG金融ハイレベル・パネル(第5回)」の会合について報告させていただきます。昨日、環境省主催の第5回「ESG金融ハイレベル・パネル」が開催され、大岡副大臣が開会の挨拶、私が閉会の挨拶をさせていただきました。今回は、多数の金融界関係者や有識者に参加いただき、炭素中立経済社会に向けた国際的な動きへの対応や、地域を含めた投資の実践について活発な議論を交わしていただきました。我が国の金融界が、脱炭素社会の実現という課題に真剣に向き合ってくださっていることを非常に心強く感じた次第です。今回の議論をきっかけに、国内外の脱炭素社会への移行に向けた取組が一層加速することを期待しています。炭素中立社会の実現に向けた経済社会の変革において、経済の「血脈」である金融が果たす役割は非常に大きいと思います。環境省としても、議論いただいたことも存分に踏まえて、グランドデザインの検討や様々な基盤整備・支援を通じてESG金融の発展に貢献していかなければいけないと思っています。以上です。

2.質疑応答

(記者)毎日新聞の信田です。ESG金融ハイレベル・パネルについて伺います。昨日、出席されて、いろいろな金融界の方からのお話を聞いての御感想や、パネル開催による成果というものがあればお願いします。あと、グリーンウォッシュというものが最近言われていますけれども、これを防ぐためにどういった施策が必要かというお考えもお願いします。
(大臣)昨日、ESG金融ハイレベル・パネルに来ていただいている委員の皆様、専門家の方々ですから、非常に活発な御意見をいただいたわけですけれども、やはり私としたら、ウクライナであれだけのことが起こっているとはいいながら、中長期的にはこの方向は間違いないわけですから、乱気流があったとしても、中長期的にその目標に向かってやっていく。その過程で、ESG金融、やはりイノベーションが必要、そのためのお金の流れをどうするのか、そこら辺は非常に大事な部分ですから、これはどうしてもやっていかなければいけない。私も少しその場で述べさせてもらいましたけれども、ロシアがウクライナに行って、今、原油あるいは天然ガスについてどういうふうにしていくかということが議論になっているわけですね。そうなってくると、国産のエネルギーである再生可能エネルギー、これを徹底的に導入していくということが本当に大事になってきていると思います。予定以上にそれを早めていく。そのためにも、ESG金融の役割というのはものすごく大きいなということを、気持ちとして伝えさせていただきました。そういう意味で、中長期的に変わらないのみならず、短期的にも一気にこの再生可能エネルギーの導入に向けて進めていかなければいけないという気持ちを共有していただければなというふうに、最初に述べた次第です。先ほどの信田さんからお聞きいただいたことについては、カーボンニュートラルに向かって具体的にコミットしていく上で、大いにいろいろな示唆をいただいたというふうに思います。脱炭素社会への移行を支える金融の重要な役割を再確認し、投融資の総動員など具体的な行動につなげていくことの重要性について、ある意味で心合わせをさせていただいたと思います。今、「グリーンウォッシュ」ということも言及いただきました。グリーンでないのにグリーンを称する、いわゆる「グリーンウォッシュ」。そのようなことが生じないためには、金融市場において、環境改善効果や企業の取組等に関して十分な情報を提供されて、市場関係者の判断がそこをきちんと見極められるようにすること、そこが重要だと思います。環境省でも、市場への適切な情報提供を促進する観点から、グリーンボンドの発行に際して事業者が参照すべきガイドラインの策定、あるいは気候変動に係る情報開示の枠組みであるTCFD報告に基づく具体的な開示の支援等を行っているところです。引き続き、市場参加者が適切な基準を利用して、必要な情報が得られるように、国際的な議論や市場動向等を踏まえて、取組を進めなければいけないと思っております。
(記者)もう1点追加してもよろしいでしょうか。カーボンプライシングについても、複数の委員の方から御発言があって、希望するという意見も、検討ではなくて是非導入してほしいというような意見もあったと思うんですけど、そういう意見を聞かれた御感想や何かお考えをお願いします。
(大臣)全部の議論を詳細に、今把握できているわけではないんですけれども、確かに、私自身があそこにいた場面でもそういう話があったというふうに思います。カーボンプライシングについては、意見は賛否が分かれると思いますね、まだね、まだ。やはり、どういうふうにイノベーションを進めていくかということからの必要性を既に感じていただいている方も多いですし、あるいは、自らの業界に対して、カーボンプライシングというものが、ものすごく負担になるから、いろいろな考慮をしてほしいという意味での意見をいただくこともあるし、そこは今、業界ごとに意見を聞かせていただきながら、我々のイメージを具体化しつつあるところですけれども、その両面がある中で、カーボンプライシングというものが世界的な潮流の中でどうしても必要だろうということは、大分流れとしてあると思うんですね。例えば、ヨーロッパなんかは、カーボンプライシングしていないものを輸入するときには、国境調整措置ということもあることを踏まえれば、やはりカーボンプライシングというのは、我々自身も考えていかなければいけないという、全体的な流れの話があると思うんです。その中で、その産業がそこでピンチをチャンスに変えられるようにという仕組みを整えるのが、我々の役目だろうというふうに思っています。必要であるし、そのカーボンプライス、二酸化炭素を出せばそのプライスを払うという仕組みがあることによって、抑制効果も出てくる。他方、カーボンプライシングからの収入なりがイノベーションに向けられて、さらに二酸化炭素の排出を抑えていく。この両面について、だんだん理解を深めていっていただいて、最終的に日本的な仕組みをどういうふうにするかというところまでたどり着いていく。その1歩、2歩が踏み出されているところだろうなというふうに感じています。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/xA-x6HXgO1c 

(以上)