大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和4年3月4日(金)9:00~9:20 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

今日、私から発言させていただくのは3点です。初めに、犬・猫へのマイクロチップの装着・登録の義務化に向けた取組、2番目に、価格交渉時期における転嫁対策の取組強化、そして最後に、今後の省エネ対策です。初めに、犬・猫へのマイクロチップの装着・登録の義務化に向けた取組について、本日、中央環境審議会から改正動物愛護管理法の施行に向けた第4次の答申をいただきました。今回の答申は、本年6月1日から施行される犬猫等販売業者に対するマイクロチップの装着・登録等の義務化について、事業者が守るべき動物の管理方法の基準を示したものです。環境省としては、今回の答申を受け、速やかに関連省令を改正し、マイクロチップ制度の施行に向け、関係機関、関係者に対する周知を図っていきます。犬・猫へのマイクロチップの装着・登録は、迷子になった際の返還や無責任な遺棄防止等に大きく貢献します。今回の義務の対象外ではありますけれども、既に犬・猫を飼われている方にも、改めてマイクロチップの装着・登録をお願いできればと思います。それから、2番目の価格交渉時期における転嫁対策の取組強化については、本日の閣僚懇談会において、岸田総理から、「価格交渉時期における転嫁対策の取組強化について」ということで発言がありました。環境省としても、中小企業が適切に価格転嫁を行い、適正な利益を得られるように、環境整備を行うことが重要と考えており、公正取引委員会や中小企業庁とも連携しながら、しっかりと対応していきます。3番目の、今後の省エネ対策については、本日、原油価格高騰等に関する関係閣僚会合が開催されました。今回、取りまとめられた緊急対策には、「エネルギー構造転換の促進」として、省エネに関する取組も盛り込まれています。従来から、社会の各部門における徹底的な省エネは、脱炭素社会の実現に向け必要とされているところです。国民の皆様には、改めて身の回りの省エネに関心を向けていただき、少しずつでも行動に移していただけるよう、改めてお願いさせていただきます。環境省としても、住宅や運輸部門の省エネを含む国民のライフスタイルの転換、地域や企業の脱炭素化に向けた取組を強力に後押ししていきます。以上です。

2.質疑応答

(記者)毎日新聞の信田です。最後にありました原油価格高騰に関連するんですけれども、ウクライナ情勢でエネルギー安全保障が脅かされているという中で、萩生田経産大臣は、原発について、重要だと、活用していくべきだというふうに予算委員会で御答弁されていましたが、大臣はその点についてどうお考えなのかというのが、多分、エネルギー転換というか、再エネの促進のことだと思うんですけども、原発についてもお聞かせいただければと思います。
(大臣)我が国における原子力発電の位置付けについては、エネルギー基本計画の中で述べられているとおり、「安全を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する」とされています。環境省としても、この政府方針に沿って再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取組を進めていく方針です。従来からの、この方針に変更が生じているわけではありません。萩生田大臣の発言も、エネルギー基本計画などの政府方針を前提にされているということを理解しています。不整合が生じているとは考えていません。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。冒頭あった動物愛護法の改正についてなんですけども、少し触れられたところもあったと思うんですが、いわゆる一般の方について、まだどうすればいいか分からない方もたくさんいらっしゃると思うので、もう一度、例えば、法律施行の前から飼っている方に対してはどうなるのかを含めて、端的に呼びかけなどあれば教えてください。
(大臣)今回の義務の対象外になるわけですね、その前からの方は。そういう意味では、努力義務的なことで、迷子になったときとか、あるいは先ほど申し上げた遺棄防止、そこに役立つということで、できるだけ、そういうことをやってくださいという話です。マイクロチップの装着と登録が、これから一般化して、そして迷子になった犬猫の返還、あるいは無責任な動物の遺棄防止に役立つよう、制度開始に向けて、指定登録機関、これは日本獣医師会ですけれども、あるいは自治体、関係団体と連携して、普及啓発を図ってまいります。その一環として、今まで既に飼っておられる方というのは、法律的にはその対象外ということではありますけれども、やっぱり、ワンちゃん、猫ちゃんが迷子になったときに、ちゃんと飼い主に戻るようにというところもありますから、そういう意味では、できればお願いしたいというふうに思います。
(記者)もう一点。2日の原子力規制委員会の更田委員長の定例会見で、福島第一原子力発電所の廃炉についての発言がありました。現実的に年数を確定するのは、技術的に不可能という発言をされていたんですけど。廃炉についての年数を確定するのは、現実的に不可能だと。あと、29年かかるということに関しては、意気込みなんだと思っているという発言がありました。そもそも、2020年の7月に原子力学会が廃炉検討委員会というところで、廃炉については100年以上、場合によっては300年かかるという報告書も出されているんですけれども、この2日の更田委員長の発言について、率直に大臣はどう思われますか。
(大臣)ちょっと今、詳細のことはあんまり、どういう文言で言われたかというのは今、川﨑さんからお聞きしたような格好ですけれども、他方、廃炉に向けた年数、どれぐらいかかるかが、長い時間かかるというのはみんなよくお分かりだと思うんですね。何年というのは、なかなか言いにくいと思うんです。それぞれの状況があると思いますけれども、更田さんとしたら、専門的な見地から、むしろ正直に、年数を確定するのは難しいと言われたのは、私的にはよく理解できます。長い時間かかるということで、その100年とか、300年とかというのは、ちょっと私もそこら辺はよく、どういう文脈か承知していませんけれども、確かに長い年数がかかるだろうということは分かります。よく、半減期間が何十年とか、あるいは、もっと長いことということはよく言われますから、多分そういう議論がここに関わっているのかもしれませんけど、原発の扱いというのは非常に難しいですからね。建物みたいに壊したら終わりというわけじゃないですから、そういうところを言われようとしたんじゃないかなと思います。
(記者)廃炉まで、今の計画だと、あと29年ということなんですけど、本当に、大臣は29年でできる、可能だと思っていらっしゃいますか。ここで見直しを含めて検討すべきとか、そういったところはありませんか。
(大臣)実際にそこを担当するのは経産省かもしれませんから、そういう意味では、私も今、具体的に専門家のようなことを言える立場じゃないんですけれども、難しいだろうなということはよく分かりますよね。29年というのをきちんと区切れるのかどうか、私も分かりません。その意味では、努力する年限かもしれませんけれども、中に入ってみたら、いろいろな状況があって、思っていたよりも早く進むのか、あるいは思っていたよりも長くかかるのか。その辺もいろいろと、まだ不確定な要素があるんじゃないのかなという気はしますから、万が一、思ったよりも長くかかる場合には、また検討することも必要かもしれません。
(記者)すみません、もう一点。長くなって恐縮なんですが、昨日、岸田総理が会見で、ロシア、ウクライナの状況があるので、省エネに取り組んでほしいということがありましたけれども、大臣からもそういった趣旨で省エネを呼びかけたいということですか。
(大臣)岸田総理とは、よく意思疎通を図らせていただいているつもりです。岸田総理のほうには、環境省のほうからいろいろなインプットをされている中で、そういうことを踏まえた上での発言だと思います。
(記者)大臣から改めて、国民に省エネを呼びかけるということはありますか。
(大臣)そうですよね。そこら辺は本当に大事なことですよね。岸田総理から、特に1月18日に「クリーンエネルギー戦略」に関する有識者懇談会の中で、私のほうにmandateもらった話というのが、地域の脱炭素の先行地域の話、それから国民のライフスタイルの転換の話、あるいはカーボンプライシングの話、そういうことが明示的にあったわけですよね。エネルギーの大体約6割というのが家計関連のものだということはよく知られた話ですから、その6割を省エネに持っていくことが、これからの脱炭素について非常に大事だし、特にこのウクライナのようなエネルギーの、ある意味で危機的な状況が起こっているという中では、消費するエネルギーが少なくなるということが非常に大事なことだから、そういう国民のライフスタイルに関わる話、省エネの話、その辺は、6割があるのであれば、減らせばそれだけ事態は良くなるというところだと思います。

(記者)エネルギージャーナル社の清水です。冒頭の省エネ閣議決定にも関係し、今の川﨑さんのお話にも関連するんですけれども、確か岸田首相が昨日、ガソリン価格の補助というのを決めたという具合に新聞には出て、報道されているんですが、先ほどおっしゃった省エネとか生活系のCO2を排出するということ、抑制するということから真逆の話だと思うんですね、ある意味で。その5円の引上げ限度額を更に5倍に、25円にする。これは、税制のことは後でちょっと伺いますが、やはりそのガソリン価格の補助をして、しかも元売りに補助して、消費をむしろ増長させるということは、CO2の観点からいって、非常にやっぱり問題であって、そこは、非常時という解釈もあるんでしょうけども、しかし環境省としては、何かただ容認するというのは、環境省がとっている政策とは全く矛盾する話で、そこは議論を尽くすべきじゃないかと思うんですが、大臣の見解を伺います。
(大臣)環境省は、国民の幸せを最大限にするというのが使命の1つだと思います。その意味で、この非常時で、ガソリン価格が高騰して、国民の皆さんが困っているということに対して、総理がそういう決断をされたことというふうに理解するものです。これによって、ガソリンの消費が大幅にアップするというふうには思っていません。必要なものを必要最低限に、ガソリン価格高騰しているわけですから、そういう中で、総理として、国民生活にできるだけ寄り添うようにという趣旨だと思います。そういう意味では、我々も理解しているつもりです。
(記者)勝負の10年という具合に以前から大臣はおっしゃっていて、しかも、あれですよね、CO2の先ほどの話じゃないけど、生活系から6割排出されているということからいくと、やっぱり少しでも抑制する、先ほど省エネの話もありましたけども、決定方針の決定がありましたけども、やっぱりどれだけ、じゃあ、その価格の助成をすることによって、CO2の排出に寄与するのか、寄与しないのかという、少なくとも、そういうことの押さえは環境省はすべきではないかという気が1つはします。もう1つは、従来から税制のグリーン化というのを話されて、それで今年の税制方針でも、恐らく環境省はそういう要求をしていくんだろうと思うんですけれども、やっぱりその税制のグリーン化なんかに、非常に、しかも国際的にも、化石燃料への助成というのは、これは御法度ですよという話に合意されているわけですから、やっぱりそういうことからいくと、今回の対応というのはちょっとおかしいんじゃないかと思うんですけど、どうですか。
(大臣)私は役人じゃなくて政治家ですから、国民の幸せを第一番に考えます。その意味では、このガソリンの補助というのは十分理解します。税制のグリーン化等々、このウクライナの危機的状況にもかかわらず、進めていくべきだとは思います。昨日も、石油連盟の方と話したわけですけれども、やっぱり我々カーボンプライシングということをいろいろ議論する中で、石油連盟等は、それに対して、またいろいろな考え方を持っておられる。だけど、これから、いろいろな業界を、世界に冠たる業界に持っていくために、官民一体でという中で、やっぱり公的なサポートも考える。その中では、いろいろな、例えば、炭素税を含めて、いろいろなことも相談していかなければいけない。それは我々、必要なことはずっとやっていきますけれども、このガソリンについて、画一的にやっていくということは、それで国民が幸せになるのかどうか、そこは私は非常に疑問ですから、この25円の補助というのは、この非常事態においては仕方がないんだろうなというふうに思います。それにもかかわらず、環境をグリーン化する、それは全然変わりません。柔軟に対応することによって、危機も乗り越えられます。
(記者)じゃあ、もうこれでやめますけども、画一的にとおっしゃったのは、要するに、25円の価格引上げのような措置というのは、これはやっぱり、もう少しいろいろやり方を考えるべきだと、そういう意味ですか。
(大臣)今は、25円の状況は正しいと思っています。

(記者)朝日新聞の関根です。原発の除染で出た土の管理についてなんですけれども、中間貯蔵施設に運ぶことができずに、現場で保管していて、上に構造物が、長い間たつうちに、建ってしまったりして、運び出せなくなってしまっているという事例が800か所以上あるということが分かったんですけれども、この件に対して、最終的には県外で処分するということに法律でなっていると思うんですけれども、環境省としてはどういうふうに対応するのかということと、例えば、その掘り出す費用について、福島県が基金で持っている中間貯蔵施設整備等影響緩和交付金なんかを活用するということは考えられないのか、その2点について見解を教えてください。よろしくお願いします。
(大臣)福島県による公表値では、令和3年12月末現在で1,007か所の現場保管が残っており、一部の保管場所では、記事にあるような理由により搬出が困難となっている事案があるようです。記事にあるように、土地所有者等が設置した工作物等の撤去費は個人負担となることの事実です。現場保管されている除去土壌等については、土地所有者の意向等により、速やかに搬出できない場合も多いと聞いています。このため、環境省では、福島県や関係市町村に対して、搬出が困難となっている事案の状況を適切に把握するよう指導するとともに、土地所有者に連絡が取れない場合の法的な対応方法の助言など、早期解消に向けて必要な協力を行っているところです。今後も引き続き、福島県や市町村と定期的に最新の情報を共有しながら、除去土壌等の処理に向けて適切に対応していきます。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/Pfj0QO2NTNY

(以上)

配布資料

・ 「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行等の在り方について(第4次答申。「適正な飼養管理基準の具体化(マイクロチップ)」に係る基準省令の改正)」に係る中央環境審議会答申について