大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和4年2月22日(火) 10:30~10:50 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

今日、私からは、午後にエマニュエル次期駐日米国大使との面談を行う件、お話しさせていただきます。エマニュエル次期駐日米国大使と今日の夕方、面会する予定です。エマニュエル次期大使はシカゴ市長を始めとする非常に様々な経験をお持ちのようですから、バイデン大統領からも非常に厚い信頼を寄せられていると承知しています。気候変動対策を始めとする様々な環境分野のみならず、日米間の協力等、幅広く意見交換をしたいと思っています。以上です。

2.質疑応答

(記者)テレビ朝日の川﨑です。冒頭ありました、エマニュエル次期駐日アメリカ大使との面談で、具体的にもう少し、どういったことをお話しされる予定でしょうか。教えてください。
(大臣)アメリカ大使というのは、日本にとって特別な存在かもしれませんね。私が小さい頃はライシャワー大使がおられて、ライシャワー大使の印象があまりにも鮮明だったものだから、次からの大使が何か頭に残りにくくて。外務省で最初にアメリカに研修に行ったわけですけれども、行く前の時はマンスフィールド大使だったんですね。マンスフィールド大使が、アメリカに研修に行く人たち、全部で十何人だったと思うんですけどね、大使室に呼んでくれて、一人一人コーヒーを注ぎながら、「アメリカに行ったら、何をしますか」と、一人一人質問に答えたのは覚えています。私、ワシントンにあるジョンズ・ホプキンズ大学の大学院に行く予定だったから、「ワシントンに行ったら、できるだけたくさん友達を作りたいです」と言ったら、いたく喜んでいただいた。そういう意味では、アメリカ大使というのは、日本にとって特別な存在という意味があると思います。そういう意味で、環境問題に本当、例えばジョン・ケリーさん、バイデン政権になってこういうことが可能になったようにも思いますけれども、ジョン・ケリーさんのいろいろな動き、COP26等でも見ていると、中国の解振華さんとも非常に緊密に連絡を、あるいは親密に連絡を取っておられると、「環境問題に国境なし」というのはこういうことでもあるなというふうに思いました。日本とアメリカというのが、長い歴史の中で、いろいろな進化を遂げていると思うんですよね。そういう意味では、この環境問題、特に気候変動にどう対応するかということについて、日本とアメリカの中で心合わせというのは非常に大事なことだと思っています。日本とアメリカが心合わせすることによって、ほかの温室効果ガス排出国、大きな国では中国が当然いるわけですけれども、やっぱりつながることによって、平和というのは作られますから、そういう意味では、エマニュエル次期大使と幅広く意見交換するべきだし、したいなと思っています。
(記者)先週金曜日に、鉄鋼連盟会長と会談をされたと思うんですけれども、それについての所感はいかがでしょうか。
(大臣)橋本会長から、鉄鋼業界を巡るいろいろな状況、そしてまた水素還元製鉄などの技術開発の動向を中心に、カーボンニュートラルに向けて真摯に取り組もうとしておられる、そういう説明を聞かせていただきました。率直な意見交換を行うということで、非公開という約束で話をしたわけですけれども、そういう中で、鉄鋼業界としてカーボンニュートラル実現に向けて本当に真摯に考えておられるんだなということは、よく受け止めさせてもらいました。我々、カーボンニュートラルの中で、カーボンプライシングということも念頭に置いて話をしているわけですけれども、それは設計図を描く際に、相当いろいろなことを考えなければいけないし、やはり産業界それぞれの方がどう考えておられるか、何を考えておられるかということも、克明に把握させていただければなということで、話をさせていただきました。そういう意味では、内容はともかく、これから1月18日に始まった「クリーンエネルギー戦略」に関する有識者懇談会、その中で、経済社会の大変革に向けたグランドデザインを描いていくということになっているし、そのつもりです。その意味で、鉄鋼連盟の橋本会長を始めとする方々から伺ったこと、それもしっかり反映させていきたいなと思っています。一度ならず、もう少し、やっぱり話させていただきたいなとも思いますので、鉄鋼連盟皮切りに、いろいろな業界の方々とも話させていただきますけれども、1回だけではなくて、やっぱり何度も出会わせていただく必要もあるなというふうに感じるぐらい、内容の濃い意見交換でした。
(記者)もう1点すみません。脱炭素先行地域の第1回の募集が昨日の17時で締め切られたということがあったと思うのですが、応募の状況とそれについての大臣の所感をお願いします。
(大臣)この脱炭素の先行地域、COP26、イギリスで、産業革命前1.5度という心合わせができたわけですけれども、じゃあ、今度は日本国内で、あるいは日本として、どういうふうに対応していくかという話が出てくるわけですよね。国外では、JCMを中心とした市場メカニズムを活用した仕組みについて、日本がパートナー国を広げたりということはあります。国内においては、この地域脱炭素の先行地域を選び、そして、その中で予算も整えて、例えば200億円(地域脱炭素移行・再エネ推進交付金)というのは、これに当てはまるわけですけれども、同時に、法律、地球温暖化対策法の一部改正の中で触れさせていただいているように、同じ200億円で財政投融資の新しい会社、基金を作ると。そういう流れの中でも、この話、先行地域ですね、昨日の時点、あるいは今日の時点でも、応募提案数は79件、共同で提案している自治体もあるということで、自治体の数では102のようです。その意味では、非常に技術的なことも関わるから、それぞれの自治体において、非常に専門的な知識も要すると思うんです。ですから、今回、こういう数、よく集まったなとも思います。他方、年に2回募集する予定ですから、この春、次は秋、今回煮え切れなかったところの方々も、是非しっかりまた煮詰めていただいて、応募を増やしていただければと思います。非常にありがたいと思うんですね。ハードルは高かったと思いますけれども、これだけ多くの意欲的な自治体から応募していただいて、そのことを感謝申し上げたい次第です。

(記者)時事通信の武司です。鉄鋼連盟とのお話についてなんですが、非常に内容が濃いお話だったということで、クリーンエネルギー戦略会議での議論にも反映させていきたいということなんですが、鉄鋼業界はかなり排出量が多くて、しかも減らすのが大変だと言われている、一番そういう業界だというふうに言われていると思うんですけれども、カーボンプライシングについて、大臣が鉄鋼業界については、例えばカーボンプライシングについて考えるときにこの業界は免除するとかというのもいろいろ選択肢の中には入っているかと思うんですけれども、大臣としては鉄鋼業界についてはどういった対応が考えられるというか、今後選択肢になるというか、考えないといけないというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)鉄鋼業界については、いろいろな書物でも触れられているとおり、コークスと一緒に燃やせばCO2、水素でやればH2O、相当なイノベーションですよね。それからあるいは、高炉を電気でやると、電動と言うんですかね、そういうやり方もある。これは書物に全部書いてあることですけれども、そういうことも含めて、お金もたくさんかかる。かと言って、じゃあ鉄鋼業界の方々が今回浮沈がかかっているという意識を持っておられると私は察しました。そういう意味では、中途半端なことではない、今回の世界の動きというものを正面から受け止めようとされているし、それに対して我々も、国の要、あるいは鉄は国家なりという感覚で、鉄鋼業界の置かれた難しい状況を一緒に把握させてもらいながら、どういうふうに対応するかということだと思うんです。その中で、カーボンプライシングについて、日本のみならずヨーロッパ等でもいろいろ議論が行われていると思いますから、その辺も研究しながら、いろいろな手だてを考えていきたいなと思います。

(記者)朝日新聞の関根です。クローズの会合ということだそうですけど、業界、鉄鋼連盟との話で、冒頭、確か橋本会長がきれいごとばかりも言っていられないというようなことをおっしゃっていたと思うんですけど、例えば原発の活用、新増設も含めて、彼らもう既に表にやるべきだということを言っているわけなんですけど、そういった原子力についての意見交換というのはあったでしょうか。
(大臣)私の意識の中で特になかったなという気はしますけれども、産業界全般の意見として、今、関根さんがおっしゃったようなことが言われているのは新聞等でもよく承知しています。今日の新聞でも、たくさん小型原子炉の話が、ヨーロッパ等で、あるいはアメリカで、新増設あるいは計画されているという話が出ていました。そういう流れも当然いろいろおありだとは思うんですけど、この会合では鉄鋼業界そのものについての話だったので、確かそういう話までいっていないなと思います。

(記者)電気新聞の匂坂です。カーボンプライシングと言いますか、政府のガソリン補助金も絡めた質問なんですけれども、今、ガソリン補助金は、政府で様々な選択肢を、補助の積み増しなのか、減税も含めて視野に、選択肢にしつつ、議論をしていると思うんですけれども、そうした議論をしている中で、カーボンプライシング、中でも特に炭素税といったような議論がなかなか足元でしにくいなといったようなことは感じていらっしゃいますでしょうか。
(大臣)特にウクライナ情勢を巡って、世の中、この石油等について非常にvolatileな、動きが激しい、そういう状況があると思うんです。石油・ガソリン、非常に値が今激しく上がっていますから、そういう意味では、内閣としてもできるだけのことをやっていると思いますけれども、なかなか追いつかないですね、この動き。というのは、戦争が起ころうとしているんですから、あるいは、そういうふうなことが起こらないように今、必死でやっているところですから、話が非常にvolatileな状況だと思うんですよね。そういう中で今、炭素税をすぐやるということではなくて、今、中長期的な議論をしつつあるところですから、できるだけ早くウクライナ情勢、平和裏に外交交渉で終わってほしいなと思っているところです。ただ、おっしゃるように、石油が上がり続けている中で、そういう状況の中で、また炭素税というのは確かに議論はしにくいんですけれども、中長期的な話ですから、それは今、仕組みを考えておかないと、最終的に2050年、あるいはその前の2030年で、カーボンニュートラル、あるいは46%、50%削減というところを実現しようと思えば、こういうことは避けては通れない話だと思います。

(記者)テレビ朝日の川﨑です。先日の「クリーンエネルギー戦略」に関する有識者懇談会の議事録がこの間出まして、山口大臣がやはりカーボンプライシングについてコンセンサスを形成して方向を見いだしていきたいと。先日の閣議後会見でも、カーボンプライシングというのは環境省が主導していく話ではないかという話もされてたと思うんですけれども、かなりここに来て、カーボンプライシングに関して、大臣含めて前向きというか進めていきたいというような発言等ありますが、先日総理と会われた中で、そういったカーボンプライシングの話を実際にされているのか、そしてずばりカーボンプライシング、今年どこまで進めていきたいというような見通しがあれば教えてください。
(大臣)カーボンプライシングについては、この間の年末に、自民党の税調のほうでポリシーミックスという言葉の中に私は含まれたと思います。カーボンプライシングという言葉はそこには入っていなかったわけですけれども、あそこの議論の中で含まれているのかなと。他方、総理の施政方針演説等で、はっきりとカーボンプライシングという言葉を言及されたりしたわけです。私も、その気持ちというのが、総理の気候変動対策に対しての本気度をやっぱり表しているなというふうに受け止めました。そういう意味では、我々も、カーボンプライシングについては国民のコンセンサスを作らなければ、上から目線で炭素税ということではないですから、やっぱり全体的にカーボンニュートラルに対しての必要性、あるいはその中でイノベーションも含めて、いろいろな業界が、例えば今日冒頭は鉄鋼連盟の話が出ましたけれども、いろいろな業界が、これから更に世界の中で冠たる日本の鉄鋼業界として、あるいはいろいろな業界としてリードしていけるようにという中で、イノベーションはどうしても必要ですよね。そういうイノベーションの原資として何があるんだろうと。環境省的には地球温暖化対策税というのが一つあるわけですけれど、これ2,000億円少しですよね、全然もう額的にゼロが2つぐらい違うかもしれない。それをどういうふうに賄うかという一つがこの炭素税かもしれません。炭素税の役割はCO2の排出抑制とともに、CO2を排出するイノベーション、それを助長していく、あるいはつくっていく、2つの役割があると思うんですね。そういうことを国民全般あるいは産業界全般の中で理解を得ながら、あるいはその心合わせをできるように、今いろいろな意味で、全国行脚、あるいはいろいろな業界との対話、そこを重ねているところです。それは単にカーボンプライシング必要ですね、という話ではありません。どういうグランドデザインを描こうとしているのか、そのことによって政府が何を応援すべきか、できるか、それを見定めようとしているんです。だから、グランドデザインというのが私の頭の中にはあります。総理の頭の中にも、それがあって、それを今打ち出そうとしているというところだと思います。
(記者)総理とやり取りの中で、そういったカーボンプライシングに関するやり取りというのはあるんでしょうか。
(大臣)あの時に、カーボンプライシングという言葉そのものには触れませんでした。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/AaiWhZntbZg

(以上)