大臣談話・大臣記者会見要旨

山口大臣閣議後記者会見録(令和3年11月19日(金)10:40~10:58 於:オンライン)

1.発言要旨

 私から冒頭の発言をさせていただきます。ラムサール条約への湿地の新規登録について、昨日11月18日付けで、鹿児島県出水市の「出水ツルの越冬地」をラムサール条約に基づく「国際的に重要な湿地」として新規に登録しました。国内で53番目となります。今回登録した湿地は、絶滅危惧種のナベヅル、マナヅルを始めとした水鳥の越冬地として非常に重要な場所です。出水市では、大正時代から、冬に飛来するツルの保護の取組が行われ、地域の皆様の長年の御尽力により、この地が守られてきました。改めて、感謝の意を表するとともに、今回の登録を機に、保全の取組がより一層進むことを期待しています。地域の皆様が長年大切に守ってきたツルの越冬地が、今後も世界の宝として引き継がれていくよう、環境省としても、鹿児島県及び出水市と連携し、保全の取組を強化してまいります。なお、鹿児島県では、今月に入り、高病原性鳥インフルエンザが確認されています。野鳥の大量死に至る事例は発生していないものの、野鳥や家きんへの感染拡大を防止する観点から、引き続き、関係自治体と連携し、監視の強化や野鳥の感染個体の早期回収等の対策を徹底していきます。もう1つ、除去土壌等再生利用の対話フォーラムの開催についてです。福島県内の除去土壌等の県外最終処分は、福島の復興に向けて残された最重要課題の1つです。先月、内堀知事とお会いした際にも、県外最終処分に向けた取組を進めることについて、要望をいただきました。この実現に向けては、最終処分量を減らすための減容・再生利用が重要です。減容・再生利用を進めるに当たっては、まずは、その必要性・安全性などについて国民の理解を得ることが重要であることから、その取組の1つの柱として、5月と9月の2回、オンライン配信による対話フォーラムを開催しました。この度、第3回の対話フォーラムを、来月12月18日土曜日に名古屋で開催する予定です。今回、緊急事態宣言が解除されたことを踏まえ、オンライン配信を併用しつつ、初めて会場に参加者の方々を招いての開催を予定しています。私も参加させていただく予定です。再生利用の必要性や安全性などに関する御意見・御質問に対して、皆様の御理解が得られるよう、真摯に御説明してまいりたいと思います。是非、多くの方に御参加をいただけるようお願いします。以上です。

2.質疑応答

(記者)幹事社のTBSの緒方です。軽石の関連なんですが、沖縄では、もう先月末から、粛々と軽石の除去作業が進められていて、今、漁港の近くですとか海の近くに仮置きをしている状態だと思うんですけど、いずれそのスペースもなくなってくるというのが多分懸念されていて、先日、務台副大臣も視察に行っているかと思うんですが、そこで補正予算の話等も話されたと思うんですが、もし具体的に金額等決まっていたら、教えていただきたいのと、もし決まっていなかったら、その規模感ですとかどれぐらいになるのかというのをお答えできる範囲で教えていただきたいです。あと、もう1点、同じく軽石なんですが、首都圏の海岸でも確認され始めていて、国交省の管轄になるかと思うんですけど、どのように連携して支援を進めていくかもお願いします。
(大臣)環境省では、この「海ごみ補助金」を活用して、港湾・漁港以外の海岸に漂着した軽石の回収・処理を支援していく方針です。沖縄県及び鹿児島県に対しては、軽石の漂着後に追加交付を行っており、補正予算にも計上することで、予算を不足なく確保していきたい。そういうことで規模感をさせていただければと思います。今週17日に務台副大臣が沖縄県を訪問し、玉城知事あるいは長浜村長に対して、環境省を挙げて支援することをお伝えしたところです。現地視察で、改めて観光業への影響、あるいは景観や環境への影響も実感されたと報告を受けています。また、東京都、神奈川県、千葉県からそれぞれ、軽石の漂着を確認した旨の連絡をいただいています。現時点でこれらの都県から「海ごみ補助金」を活用したいとの御要望はいただいていませんけれども、今後も各都県と連絡を取って、御相談があれば、環境省としてしっかり支援していきます。また、回収した軽石については、県において、有効利用も含め、様々な処分方法が検討されていると聞いていますけれども、蓄積状況は、この処分方法が決まっていく中でおのずと解消されていくのではないでしょうか。いずれにせよ、こうした点も含めて、地元自治体と密接にやり取りするよう、事務方には指示をさせていただいています。

(記者)日刊工業新聞の松木です。今日の午後、カーボンプライシングを議論する検討会が開かれると思うんですけども、この時期にカーボンプライシングの議論を再開する狙いと、どのような議論を期待しているかを教えてください。
(大臣)本日午後、カーボンプライシングの活用に関する小委員会を開催して、このポリシーミックスとしてのカーボンプライシングの方向性について御議論いただくことになっています。ただし、本日の小委員会で何らかの取りまとめを行うという予定はありません。引き続き、経産省とも連携しながら、成長に資するようなカーボンプライシングを検討していくつもりです。

(記者)毎日新聞の信田です。今の質問に関連してなんですけれども、COP26で6条が決まったことによって、JCMを始め、正式に、市場が、国内市場、海外も含めて市場がカーボンプライシングについて動いていくと思うんですけれども、今回の6条が決まったことの、日本におけるカーボンプライシングを決める上での影響だとか、大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)確かに6条をまとめるに当たって、日本の貢献というのは、やっぱり振り返っても相当大きかったなと。見えるところ、見えないところを含めて大きかったなと思います。全体がまとまる勢いも、この6条がせっかくまとまるんだからということで、石炭に関するいろんな議論、それも、最終的には、いろんな意見はあるにせよ、まとまったという形で、そのことが、1.5度の話についても「今世紀半ば」というところでまとまったと。そこら辺につながっているんだと思います。その中で、信田さんおっしゃっている、今度は国内的な勢いがどういうふうにつくかということですけれども、日本がいわゆるJCMというものも含めて、どういうふうにこれからやっていくかという議論が具体的な動きになり得るわけですから、環境省的には、そういう動きを加速できるように、いろんな産業界とも連携して、あるいは国内的に必要なことがあれば、それも整えてというふうに考えています。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。1つは、先ほど出たカーボンプライシングに関して、小泉前環境大臣は、石炭の、言わばエネルギー課税、石炭課税を見直すということが先決だということを言っていたと思うんですが、これについては、山口大臣はどういう対応をしようとされているのか、それを伺いたい。今日の議論でも、それはテーマになっていないのかどうか。これが1点です。それからもう1点は、今日夕方、経済対策、補正予算絡みで政府決定すると思うんですが、これで環境対策あるいはカーボン対策、こういったものがどんなフレームであるのか。あるいは、もちろん再エネ関連も含めて。そこをお伺いしたいんですが、よろしくお願いします。
(大臣)最初の点については、いろんな意見が今までもあるだろうし、するんでしょうけど、私的には、いろいろとまた産業界とも連携して、いろんな意見を聞いた上で、またこの間のCOP26の中でもいろんな意見が出ていたわけですから、そういうことを総合的に勘案して、考えていきたいと思っています。今、こうだというふうには、むしろ言わないほうがいいのかなというふうに思います。ただ、カーボンプライシングについては、1つの大きな方向性として考えていくべきだということははっきり分かっているわけですから、どういう在り方がいいのか、よくこれからまた検討させてください。それから、2点目の経済対策については、新たなこの経済対策に盛り込む内容については、まだ、鋭意、政府内での検討を進めているところだというふうに認識しています。具体的には、2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、地域共生型の再エネ、あるいは地域資源を徹底活用した地方活性化、脱炭素技術・デジタルを活用したイノベーションの推進が必要であるほか、防災・減災、国土強靱化の観点から、軽石等の海岸漂着物対策も重要と考えています。こうした点を中心に検討を進めています。私的にはね、このCOP26という大きな流れ、あるいはそこで合意ができたということは、ある意味で大きな幸運もあったと思うんですけれども、これを受けて、国内的にこの地域の脱炭素ロードマップ、これを環境省としても大事に思っているんで、そういうことを経済的な、このブースターにもなり得るように、国内でこの脱炭素を進めるということが、イコール、同時にこの経済の進化にもつながるようにという思いがあります。いろんな市町でもって、今、検討を進めていただいているように思いますけれども、そのことがこの日本の経済の更なる進展に結びつければなと。世界の流れの中で、そういう方向にもあると思いますし、環境省としてもその辺の予算のことも大事にしていきたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/U7YEQf5Wn4E

(以上)