大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年11月27日(金) 8:52~9:17 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は、冒頭は1件、プラスチックについてだけあります。昨日、今後のプラスチック資源循環施策についてのパブリックコメントが開始されたので、報告をします。先週の中央環境審議会、そして産業構造審議会において、施策の在り方の案を取りまとめていただきました。委員の皆さまには心より感謝を申し上げたいと思います。取りまとめいただいた施策は、リデュースの徹底、リユース・リサイクル可能な環境配慮設計、そして回収リサイクルの拡大と高度化、代替素材利用促進を幅広く進めていくものとなっています。特に環境配慮設計の促進については、新たに環境配慮設計指針を示す内容となっています
 我が国では、リサイクルに適したペットボトルの設計をはじめとして、様々な優れた環境配慮設計の取組がこれまでもありました。今回は制度的に更なる取組を後押しする内容となっています。パブリックコメントで広く御意見をいただいて、循環経済、サーキュラーエコノミーへの移行による経済社会の再設計、リデザインに向けた取組を進めていきたいと思います。冒頭、今日は以上です。

2.質疑応答

(記者)日本テレビの川崎です。昨日のおうち快適化キャンペーン、断熱住宅を視察しての感想、所感を改めて伺いたいのが一つ。そして、その中で家のリフォームとか省エネ家電の買い替え促進、誰もが買いたいという思いがあると思いますが、問題はお金だと思います。補助金、支援金などに関して、昨日、日本記者クラブの会見では、補正予算を含む支援を強化というふうに語りましたが、もう少し具体的にお聞かせください。
(大臣)まず、感想ということですけども、昨日も申し上げたんですが、関係の4団体に昨日は出席をしていただきました。それぞれ代表的な企業の社長さん、トップということもあって、私が印象的だったのは、ああいう会議で団体の方というのは、事務局が作った紙を読みながら御挨拶をされる方も結構いらっしゃるんですけども、昨日、4団体いて、全員それがないんですよね。自らの言葉で語られて、特に印象的だったのは、阿部会長がいらっしゃいましたけども、COP24に自分から出席をされたという、そういった経験を持たれていて、私は隣に座らせていただいて、「行かれたんですか」と、「経団連のミッションですか」と聞いたら、「いや、違います」と。「これから環境は大変だと思うので、会社としても行きたいということで見に行った」と。そしたら、ちょっと驚くような、こんなに議論が進んでいるのかということで危機感を持たれたというお話を聞きました。まさにそういう危機感を持っているからこそ、自らの言葉で、なぜ住宅分野の脱炭素化が国民の健康にも直結する課題なのか、そしてカーボンニュートラルにとっても不可欠なのか、こういった思いを共有できているのかなと、非常にそこが印象的でした。そして、改めて断熱の住宅を、例えば私が生まれた年ぐらいの古い住宅、そして今の住宅、そしてこれからの高性能な省エネ住宅、このすべてを体感させていただいて、いかに断熱性能が古い家は劣っていて、新しい家は高いか、そういったことを体感させていただくと、本当に健康に対して、お風呂でヒートショックで2万人亡くなっているという、これは何とかしなければいけないなという強い思いを持ちました。それが2点目の質問につながりますが、だからこそ、このキャンペーンをしっかり国民の皆さんに活用いただいて、3月までやりますが、リフォームの後押しなどを進めていきたいと。そして、金額の、コストがかかるというお話がありましたが、まず第1点としては、今のままで住み続けた場合に光熱費がよりかかるということも事実でありますので、そこの部分もしっかりと伝えていきたいと思います。そして、初期投資はもちろんかかります。しかし、ある程度の年数を見れば、光熱費が半額になるケースもあるなと。最終的にはこれは元が取れるケースもあるので、こういったこともちゃんと伝えていきたいと思います。そして、今、第3次補正、経済対策の議論が進んでいます。こういった中で、我々はかねてから、今回の経済対策の環境省としてのポイントは、再エネ、EV、そして住宅の脱炭素化だと、こういったことを言ってきましたので、しっかりこのポイントが施策として、結果としてこのキャンペーンの後押しになる形につなげていきたいというふうに思っています。

(記者)テレビ朝日の藤原です。冒頭ありましたプラスチックの話をお伺いしたいのですけれども、大臣も港区の方に視察に行かれたりされていましたが、既に製品を回収しているような自治体ですと、電池の混入だったりプラスチックのハンガーの端のフックが金属で困ったりとか、結構、国民一人一人、家庭から出す段階で難しさとかもあるのかなというふうにも感じたのですけれども、そこら辺をどのようにして、今回の方針を実行していく上でやっていきたいとかあれば教えてください。
(大臣)特に一般家庭でのごみの面では何がこれから起きるかということでいうと、例えば、まずは分別は分かりやすくなると思います。今までだと、プラスチックでいうと三つあったんですね。一つはペットボトル、もう一つは容器包装、そして三つ目が製品、これがこれからは二つに基本的にはなります。自治体によってごみの収集、分別はもちろん違うケースもあるので、すべてに当てはまるかというと、そこは自治体によっても変わるところがありますが、基本的には三つが二つになります。例えていうと、今、ペットボトルはキャップの部分、それとラベル、こういったものは容器包装として、ペットボトルの本体とキャップとラベルと分けて、さらに三つ目に、例えば子どものおもちゃというのはプラスチックのものが結構あります、ああいったもの。そして、クリーニング屋さんに出した洋服が、ハンガーがプラスチックのもので返ってくる。じゃ、そういったものはというと、それは製品プラスチックです。だから、製品プラスチック、容器包装、そしてペットボトル、この三つが、ペットボトルは変わりませんけど、容器包装と製品プラスチックはこれからはまとめてプラスチックということで出せます。それはすごく分かりやすいと思うので、結果的に今まで三つで分かれていたことが分別の負担となって、面倒くさいなと、こっちでいいだろうということもあって、結果、本当は資源に回ったら、もう一回リサイクルができて、資源として有効活用ができたはずのものが焼却の方に回ってしまったことが、今回、新しく三つが二つになりますと、まとめてプラスチックで大丈夫ですと、こうなることによって、資源により多くの量が回ってくる効果も私は期待されることだと思います。こういったことも家庭の面で、これから三つが二つになりますと、そういったことも伝えていきたいと思います。

(記者)読売新聞の山下です。大臣が三つのポイントに挙げられている再生可能エネルギーの主力電源化についてお伺いします。地域では、新電力等々、再エネを地域で回していこうという取組が相次ぐ一方、大きな電力会社さんの入札等々で価格競争にさらされて、なかなか経営を維持していくのが難しい、新規参入は難しいという声も出ています。家の脱炭素化であったり、EVというのは、3次補正を含め、支援の具体像がだんだん見えてきているように思うのですけれども、再生可能エネルギーの主力電源化に関しては、省としてどういう支援をイメージされているのか。
(大臣)まず大事なことは、再生可能エネルギーというもので地域に循環する形で経済が回っていく、この形を作ることが大事だと思います。そして、一方で、例えば横浜と東北地方の連携を考えると、横浜みたいな都市部で、また東京みたいな大都市で十分な再生可能エネルギーの量を確保できない、そういったケースは地域の外から、むしろ再生エネルギーの広域連携という形で協力が進むことは望ましいと思います。様々なパターンはあると思います。ただ、やはりその中でも大事なことは、まずは地域が、1700ぐらい自治体がある中で、9割はエネルギー収支が赤字なわけです。そのエネルギー収支が赤字なところが、地元で資源がある場合に黒字化できる可能性が高いわけですから、環境省として思いを持っているのは、そういったところを黒字化させていく、もうかる自治体をつくっていく、そういう形にしていきたいと、これがまず一つのポイントですね。そこが今まで我々が後押しをしてきたゼロカーボンシティとつながっていて、今回、来年度の予算に概算要求で我々が要求しているゼロカーボンシティ向けの再生可能エネルギーを支援する、これは人的支援も必要だと思うんです。例えば、今のような現状で、地域で、カーボンニュートラルと総理が言ったから、うちの自治体はどうしようというふうに考えている方も結構いると思うんですよ。我々具体的な相談も受けます。ただ、そのときに地域で何が課題かというと、一つは、エネルギー政策を所管する部署が地方自治体にはないんですね。その中で、これから地域新電力というものを立ち上げたいと思ったときに、それをしっかり支援していくこと、こういったことのノウハウを提供すること、これは全国で今、5~60の地域新電力がありますから、そういったところのいい事例をしっかり我々としてもお伝えしながら、自治体が結果として黒字化につながっていく、エネルギー収支が黒字になる、こういう再生可能エネルギーの地域への実装、導入拡大を進めていきたいと思います。

(記者)日刊工業新聞の松木です。今の再生可能エネルギーに絡んでなのですけれども、先般、日本気候リーダーズ・パートナーシップ、JCLPが再生可能エネルギーの比率を30年の50%目標というのを持ってきました。その前にも経済同友会が40%以上の提言をされていました。今の話につながると思うのですけれども、政府として再生可能エネルギーの比率の高い目標を掲げていることが導入促進につながっていくと思っています。環境省もRE100のアンバサダーであったりとか、環境省自体も需要家であります。環境省が再エネの比率を公表するというか、こういう比率がいいんじゃないかということを言うこともいいんじゃないかと思っています。その辺のお考えはないでしょうか。
(大臣)環境省が、例えば2030年に何%が望ましいという環境省案のようなものを出すべきだということですね。環境省としては、少しでも上に、高いところに持っていけるように、政府内でも働き掛けをしたいと思っています。そして、総理がカーボンニュートラルを言ってからの状況からすれば、私は、相当、経産省も、そして産業界も、頭はカーボンニュートラルに向かっていると思っています。むしろ、環境省はもっと頑張らなきゃいけないなと。頭が脱炭素、カーボンニュートラルに向かったときは、日本は早いですから、民間企業がものすごい勢いで動いています。ですので、我々はそれを更に高いところまでいけるように、何ができるかを考えたいなと。今、グローバルなトレンドを見ても、ポイントとなるのは、いかにこれから再生可能エネルギーに投資をしていきますよと、そういう国家の意思を内外にも示すことで多くの投資を呼び込むと、これはEUの動きを見ても明らかですよね。そして、もう一つは、これぐらいの年限までにどういうことをやりますよという一定の期限を設けることによって、締め切り効果に加えてイノベーションの誘発につなげていくという、こういうコミュニケーションが国際社会には生まれてると思うんです。日本は、菅総理によって高い目標を掲げて、どこまでできるか全力でやろうと、今までと違う、できることしか言わないというコミュニケーションから転換をしたわけですから、それが再生可能エネルギー導入の一定の目標についても、私はそういった形の方が望ましいと思います。

(記者)毎日新聞の鈴木です。冒頭、発言があったプラスチックのパブコメについて少しお聞きしたいと思います。今回の新制度案の中身について拝見していると、事業者の回収というのは、欧州で主流となっているEPRという拡大生産者責任というものではなくて、事業者とか自治体の主体性を尊重してプラスチック削減を進めていくような内容になっていると思うのですけれども、一律の規制内容ではないようで、中身がとても複雑になっているように思います。今回の新制度案について、まず大臣の受け止めと、この複雑な制度について国民や企業にどう分かりやすく周知されていくのかお聞かせください。
(大臣)まず、ポイントの一つは、さっきも言いましたけど、環境配慮設計の指針だと思います。確かにプラスチックというのは結構複雑な話だと思いますし、さっきお答えをしたように、自治体によっても結構違うので、本来であればもっと分かりやすい形が望ましいと思うんですけど、これだけ自治体がそれぞれのやり方になっている中で、いかに現実的に資源循環につなげていくか、そう考えたときには、私は今回のポイントは、複雑な要素はあるかもしれませんが、間違いなく社会を前向きに、新たな資源を投入することなく経済を回していく、サーキュラーエコノミーにもつながっていくと思います。そして、企業の取組を促すというところが、欧米と違うのは、日本てより効きますよね。まさに今回のコロナ対策でも、こんなに国民の皆さんの御協力をいただいているのも、その国その国の在り方というのがあるんだと思います。ペットボトルでいえば、日本のペットボトルに対するイノベーションというのは恐らく世界でもトップクラスだと思うんです。今、ラベルレスというラベルがないもの、まさにあれは環境配慮設計の先駆けですよね。こういったものが民間企業の独自の努力によっても積み重なってきて、世界トップクラスの水準まで来ている。これから環境配慮設計の指針が出て、それぞれの分野において、こういう指針に基づいて環境配慮がされた商品設計をやった上で、世の中に、消費者に届けてくださいよと、そのことで結果としては、単純に使い捨ての商品にはならず、もう一度、資源投入しないでめぐる、ペットボトルからペットボトル、服から服、そして最近、私、聞きましたけど、ごみ袋がもう一回ごみ袋に変わる、そういった製品も出てきているそうなので、そういったことの後押しにつながる一つのものが環境配慮設計の指針だろうと、これが一つポイントだと私は思います。もちろん、国民の皆さんや自治体、そして事業者に対する丁寧な説明は不可欠なことだと思います。
(記者)今回の制度案で今後の政府としてのプラの削減目標というのはあると思うのですけれども、それは十分達成できるというふうにお考えでしょうか。
(大臣)達成するための新しい制度なんですから、達成すると思います。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。先ほどおっしゃっていた再エネ普及・拡大に関連して伺いたいのですが、次期米国大統領にバイデン氏がなって環境重視にシフトしていくと、洋上風力にしろ、太陽光にしろ、環境産業がヨーロッパも含めてアメリカに向いていくというようなことが想定されています。翻って、日本の再生エネをどんとボトムアップしていくためには、やっぱりそのメーカーとかサプライチェーンとか、そういうところが大丈夫かどうかというところがあると思います。そこの産業群といいますか、地域も含めてですけれども、それは明確な国の目標というのがあれば、先行投資とかリスクを負った投資も民間はやっていきますけれども、今の例えばエネルギー基本計画にしても、再生エネの目標、それから経済社会成長戦略にしても、グリーン成長という形で一体化していない、これがきちっと大きな目標をどんと出していないということは、アメリカ辺りにもう市場がどんどん向いていってしまって、日本が非常に空洞化していく可能性もあると思うのですけれども、そういう骨太のグリーン成長というか、グリーン産業の拡大といいますか、その辺をきちんと出していく、あるいはエネルギー基本計画を見直していく、そういうお考えはどうでしょうか。
(大臣)まさにそこはこれからですね。ただ、間違いなく、もう国際社会の日本に対する、気候変動分野に対する見方が一変したのは、今までの国連グテーレス事務総長が言っていたコメントと、昨日報道されたような日本に対する期待と比べていただければ一目瞭然だと思います。そして、バイデン次期大統領候補が同じくカーボンニュートラルという話がありましたけど、仮に日本があのタイミングで総理が言っていなかったらと考えたときに、あのタイミングで総理が言われたことの意義というのは、改めて評価されるべきことだと思います。なので、もちろん具体的にこれからどうするのかという議論はそのとおりです。これから我々としてもロードマップを作っていきます。そして、国と地方の新たな場によって、ライフスタイルをどういうふうに変えていくのかも具体化をしていきます。ただ、まずカーボンニュートラル2050、ここに踏み込んだことの意義というのをまずは評価していただきたいというふうに思いますし、例えば中国なども2060年のカーボンニュートラルを言っていますけど、具体化するのはこれからです。そして、アメリカについても、2050年のカーボンニュートラルとバイデン大統領候補は言っていますが、ただ、議会との問題だってこれからあるわけですから、まず日本として宣言をして、そして国会も衆参ともに決議をして、これは党派的な対立はない、「さあ、これから具体的に来年のCOP26までにいいものをつくっていこう」と、まさにこれからですから、しっかりそこを私としても全力で汗をかいていきたいと思います。

(記者)産経新聞の奥原です。自民党でカーボンニュートラル実現推進本部、総裁直轄の組織がございます。2050年ゼロの具体化に向けて論点整理ですとか政府提言が来週のほうにもまとまる予定になっております。業界団体からのヒアリングでは、電事連や商工会議所の方から、原発の新増設、再稼働について正面から議論してもらいたいという声が相次いで挙がっているのですけれども、大臣のお考えとは多少異なるかと思いますけれども、受け止めがあればお願いします。
(大臣)自民党の方で新たに本部が立ち上がったこと自体は、前向きな動きだと捉えています。そして、いろんな団体から声を聞くこと、これももちろん必要なことですので、それは党として当然のことだと思います。そして、今、原発の話がありましたが、あらゆる論点をタブーなく議論すること、これは不可欠です。ですので、そういったことも含めて議論して、党としての一つの提言をまとめられるということだと、我々もそれが出たときには、政府の一員としてどう受け止めるかをしっかりと考えておきたいと思います。ただ、政府の方針は明確で、まずは再エネ、これをいかに導入・拡大できるか、それがまず第一だというのは総理も何度も言っています。そして、二つ目に、火力に対しては、非効率なものは、石炭はやめていくと、高効率のものは更に高効率に、最終的にはゼロエミッションの火力、こういったものを追求する。そして、原子力も含めて、あらゆる選択肢は使えるものは使う、これは菅総理が言っていることですので、私としても政府の一員として、その中で特に環境省としては、いかに再生可能エネルギーの導入を高いところまで持っていって、結果、地域の黒字化につなげていきたいと、それが私としての立場です。
 最後に1点だけ、冒頭に幹事社さんからいただいた住宅の支援ということですけど、少し付け加えさせていただくと、11月30日から戸建て住宅のゼロ・エネルギー・ハウス化の支援事業について公募を開始する予定です。そういったことも活用していただいて、結果的に消費者の皆さん、国民の皆さんにゼロ・エネルギー・ハウス、高い性能の断熱、省エネ、こういった住宅が普及するように後押しをしていきたいと思いますし、環境省、家電の電気代とか消費電力とかCO2の排出量、どれだけ削減できるかを計算できる「しんきゅうさん」というツールがあります。こういったウェブサイトを活用していただいて、国民の皆さんにも、毎年11月、12月、1月、万単位でお風呂場で亡くなる方がいると、改めて健康と脱炭素はつながっていると、そんなことも知っていただきたいと思っています。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/zUngItT33VE

(以上)