大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年11月20日(金)8:52~9:12 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 それでは、閣議後の記者会見を始めますが、今日は私から冒頭三つ申し上げることがありますので、よろしくお願いします。一つ目が昨日の衆議院で行われました決議について、そして二つ目が断熱リフォーム、そして三つ目が国の審議会などにおける女性委員の参画の状況、この3点についてちょっと触れたいと思います。
 まず、昨日のぶら下がりでも御報告をしましたが、昨日の衆議院の本会議において「気候非常事態宣言」が全会派一致で決議をされました。また、決議を受けて、私から政府として2050年カーボンニュートラルに向けて取組を加速化する旨を表明したところであります。気候変動は非常事態の状況にまでなった、脱炭素社会の実現を急ぐべき、こういうことが国会で決議をされたということです。環境大臣として改めてこの決議を踏まえて、カーボンニュートラルの実現、そして環境先進国日本の復権に全力を尽くさなければならないと気持ちを新たにしたところであります。今日は、この後、参議院でも本日の本会議で同じように気候非常事態宣言の決議案がかけられる予定となっております。こうした決議を重く受け止めて、温暖化対策推進計画、そして温暖化対策推進法の見直しなど、作業を加速していきたいと思います。冒頭、まず以上が一つです。
 そして二つ目が、この2050年カーボンニュートラルの実現のためには、国民一人一人のライフスタイルを脱炭素型に転換をしていく必要があります。これから冬を迎えて暖房を使うようになる中で、CO2の排出削減を進めるためには自宅の断熱性を向上させることが重要です。コロナ禍で自宅で過ごす時間が増える中で、快適性を高めつつ、電力使用量や電気代を抑えることができることをより多くの方に知っていただきたいと思います。住宅においては、入浴中にヒートショックなどが原因で亡くなる方が年間で最大2万人にも上るという試算もあります。このようなことの予防にもつながるものが、この断熱リフォームでもありますので、環境省としては、来週11月26日は「いい風呂の日」と言うそうです。この11月26日に断熱リフォーム、ZEH化ですね、ゼロ・エネルギー・ハウス、そして省エネ家電への買い替えを促進するためのキャンペーンを開始します。ぜひこのキャンペーンをきっかけに、具体的なアクションを起こしていただければと思います。追って詳細はお知らせをしたいと思います。これが2点目です。
 そして3点目は、時間的にはもう少ししたら公表ということになると思いますが、今日内閣府において、国の審議会等の女性委員の参画状況を公表する予定と聞いています。環境省の審議会等の女性委員割合については、調査時点では29.3%、その後33.1%になりましたが、第4次男女共同参画基本計画における政府目標の40%を達成できていません。環境分野こそ女性の視点が不可欠な分野であって、今回の結果を重く受け止めています。ついては、来年2月に委員の改選期を迎える中央環境審議会から順次目標達成ができるように、堀内副大臣をヘッドとした検討チームを立ち上げて対応していきたいと思います。今日は冒頭3点、私からは以上です。それでは、幹事社の方からお願いします。

2.質疑応答

(記者)日経新聞の安倍です。冒頭の話の中で二番目に出てきた住宅分野の脱炭素、ZEHについて一点お聞かせください。2050年ゼロに向けては、家庭から出るCO2削減というのも重要な課題になると思います。国はZEHの普及に力を入れていると思いますけれども、足元の数字を見るとまだ1割にも満たない、新築住宅の中でですね。そうした中で初期コストが掛かるとか、もしくはメンテナンスが大変だというような課題もあると思います。この数字を伸ばしていくために、国としてどういう施策が重要なのかどうかお聞かせください。
(大臣)御指摘のとおり、2019年度は新築注文戸建て住宅のうちZEHが占める割合は2割程度だと、そういうことだそうです。そして、特に寒冷地でのZEHの普及が非常に少なくて、日本全体のZEHの数に対するこの寒冷地域の割合が4%程度に低くなっている。こういったことを受けて環境省は、日本全国、北海道から沖縄までかなり気候が違いますから、この地域の気候風土が異なることを鑑みて、ZEH支援事業において寒冷地向けの補助要件を設定する、具体的には、太陽光発電による創エネに関する要件を緩和することなど、各地域の実情に応じたZEHの促進を図っています。ただ、このZEHだけでなくて、今日の2点目にあった断熱リフォーム、このコストとベネフィットというものがより理解をしていただく、そういった発信も改めて必要だなと思っています。つまりリフォーム、これはもちろんコストが掛かります。だけど、トータルで見たときに、その投資をしっかりと回収するだけの効果があって、なおかつ単純に断熱性能が上がるということが何の意味を持つのかというと、もちろん暖房とか冷暖房を含めて、あまりエアコンを使わなくなることによって光熱費が下がるという、家計にプラスになる、そういうこともありますけど、先ほど言ったお風呂場で年間最大約2万人が亡くなってしまうという、交通事故の6倍、コロナの10倍、こういった状況が日本の中で、断熱性能が低い住宅が多い中で、本来だったら救えたかもしれない命、健康、これが脅かされている状況を変えなきゃいけない。それに加えてコロナで住宅にいる時間が増えていますから、そのコロナ禍の中でより快適な暮らしを実現できる、そういう三方良しの側面もありますから、改めてこのキャンペーンを通じて、そういったことも国民の皆さんに理解していただけるように広げていきたいと思っています。

(記者)朝日新聞の戸田です。三つ目の33.1%の受け止めとですね、もう一つは大臣が環境分野こそ女性の視点が必要とおっしゃいまして、私も非常に同感だとは思うのですけれども、一方であまり男女関係なくそういう視点は必要かと思っておりまして、その辺りをもう少し真意を教えていただけないでしょうか。
(大臣)まず、おっしゃるとおり男女関係なく誰もが、この脱炭素の取組というのは生活のライフスタイルの転換、そして企業を含めて変化が求められるわけですから、そこは男女、性別関係ない、年齢、世代も関係ない、おっしゃるとおりです。ただ、いかに多様な声を反映して、本来であったらそっちの意見の方が良かったかもしれないというものを採用して施策に転換していくかということを考えたら、男性だけで議論しているということは間違いなく多様性に欠ける部分があります。そういったことも含めると、しっかりと男性、女性を含めて、そのバランスは考え直す必要があるだろうと。特に今、国としても40%という目標を立てている中で、それよりも10%近く低い、こういった状況は間違いなく変えなければいけないと思います。そして、特に環境省は働き方改革、これに力を入れていて、コロナ禍でデジタル化とリモート化が最も進んだ省庁と言われた中で、一方で女性の審議会のメンバーを見れば、全省庁の中でもかなり低い。こういった状況はこのままにするわけにはいかないと思います。しかも、それは何のためかといったら、より世の中に合った政策を審議会の委員の皆さんからも御意見を上げてもらうためには、私はそれがプラスのことになると思っています。

(記者)共同通信の田井です。中環審での女性メンバーの比率を高めていくということで、40%を目指して、例えばいつぐらいからどのようにやっていかれるのか、めど感やもう少し目標値などをお伺いできればと思います。
(大臣)中環審だけじゃないですね。例えば一部の審議会などにおいては専門家の数自体も、その中でも女性の方が少ない分野があるというふうな報告を受けています。例えば臨時水俣病認定審査会、こういった会は女性割合が0%、7人中0人です。しかしながら、他の委員会の女性割合も決して高くはないことから、女性割合の向上に向けた取組を堀内副大臣をヘッドにやってもらいたいと思っています。堀内副大臣の視点からも検討いただいて女性の活躍が進むことを期待していますし、私も精いっぱいその実現に尽くしていきたいというふうに思います。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。昨日の気候非常事態宣言について伺いたいのですが、国会での決議は評価されるものだと思います。今後それをどう具体的な施策に結び付けていくのか。これが今後の環境省の大きな役割だと思うのですけれども。特に地方自治体でもゼロ・エミッションの宣言があったりして、オールジャパン的になってきていることは非常に喜ばしいというか大変だったと思います。伺いたい点は、経済社会のリデザインの大きな要素だと思いますけれども、特に先週おっしゃっていたエネルギー特会、現在の地球温暖化対策税の見直し、これは必要不可欠な対応ではないかと思うのですけれども、特に石油石炭税が非常に安くなっている。そしてLNGとか低炭素型になっていない課税の在り方、これはやはり世界に対しても恥ずかしい状況ではないかという気がします。加えて、全国知事会あたりからは気候変動の温暖化の交付税的な、災害対策とかそういうことからいって要望が非常に強くあったわけで、地方税的な、地方に対してのサポートを税制面でもやっていくという、いわば税制の大改革、菅内閣が重視しているオンデザインな課税だけではなくてそういうものが必要だと思いますが、どうですか御認識は。
(大臣)まず、脱炭素に向けてあらゆる見直しが必要だと、そう思っています。この脱炭素に逆行するようなものが続いていることで、2050年カーボンニュートラルが達成できるのか、それは難しいと思います。今、状況としては清水さんが言ったとおりで、地方からもいろんな声が上がってきています。その地方からの声を受けて新たな対策を講じていく、その場が、今、年内の第1回目の会合を目指して事務方が調整していますけど、国と地方の新たな場、この場でも自治体の声をしっかり受け止めて対策を考えていきたいと思います。そして、昨日の参議院の委員会で質疑を見ていただいていたらお分かりだと思いますが、今、清水さんが言われたような税の部分ですよね、カーボンプライシングとか、これが与野党から声が上がってくるようになったことは間違いなく大きな変化じゃないでしょうか。今まで環境省だけが言っていたわけではないと思いますけど、状況として、今、むしろ与野党共にそういったことを考えるべきじゃないかという声が上がってきた。この決議の意義というのは、私は、日本はアメリカとは違って気候変動に取り組むこと、カーボンニュートラルに対して党派的な対立がないということが示されたわけですよね。間違いなくそれは今後の政策遂行においてスピードがつく結果になると思います。今、バイデン大統領が仮に就任をされたら、議会はねじれですから、その中でバイデン大統領がやりたいという政策が議会でどうなるのかという視点はありますよね。日本はそこの部分が全党一致ですから、今日は参議院もこれから決議にかけられますけど。なので、随分状況は変わってきたなと。これを日本の強みにすべく、環境省としても施策の展開につなげていきたいと。ただ、いろんな議論、様々な声はありますから、そこは私としては丁寧にやりたいと思っています。
(記者)石油石炭税の見直しは先週問題提起されたと思いますが、その辺はどうですか。
(大臣)間違いなくファクトですよね。これはイデオロギーだとか主張ではなくて、ファクトを言っているだけです。なので、脱炭素社会を目指すと言うのだったら脱炭素に逆行するようなことはやらない、至ってシンプルな話だと思います。

(記者)環境新聞の小峰です。冒頭三点目の女性議員の参画に関して中環審の現状等をお話しされましたけれども、この中環審の構成について、別の視点からお聞きしたいです。今、日本学術会議で、いわゆる赤色系の学者がパージされたということで、これはいいことだという国民と、けしからんという国民と二通りいますけれども、中環審の委員選定において、小泉大臣はこの赤い分子の赤い傾向のある学者、つまり環境政策を赤色革命に参画させようなどという傾向のある委員の任命について大臣はどうお考えでしょうか。
(大臣)いずれにしても、菅政権の下で環境行政、これだけ気候変動が前に進んできている中で、それと逆行するようなことは考えられないと思いますから、中央環境審議会のメンバーを含めて、その方向性の中でしっかりと前向きな建設的な政策立案に貢献していただけるような方になっていただきたい。この中央環境審議会を含めて、他の会もありますけど、しっかり男性、女性、そして多様な声が反映できるその構成を、私としては実現をすべく、今、課題があったことは今日はっきりするわけですから、堀内副大臣の下にしっかりといいものを考えていただきたいというふうに思います。ちなみに温対法の見直しとか、こういったことに関する審議会、あとはプラスチックの方も環境省と経産省でやっています。このプラの方は環境省10人、経産省10人、10人ずつ委員を上げると。そういう中で私からは、環境省は半分以上女性にするようにと、そういうことで、結果、推薦している中でメンバーは6人が女性になったと思います。そして、この温対計画、この温対法の見直しについても有識者、これはキックオフをしましたけども、これも8人中4人が女性の委員になっていただいたと思います。ですので、私としてはその多様性、ダイバーシティーの思いを持って委員のメンバーと事務方に指示をしてきたつもりですが、今日これから内閣府によって明らかになる数字を見れば、残念ながら各省庁と比べて他の分野等においてもよりしっかりと見ていかなければいけないことがあるので、そこはしっかりやっていきたいと思います。なお、この数字は中環審だけの数字ではなくて、例えば先ほど水俣の話をしましたが、それ以外にも、例えば規制庁関係ですね、こういったことも環境省の数字の中には含まれます。ですので、そこを一つ一つ見ていただきたいと思いますが、いずれにしても低いので、そこを改善すべく堀内さんには頑張ってもらいたいと思います。

(記者)河北新報の吉江です。女川原発の再稼働について伺います。宮城県の村井知事が18日、梶山大臣と会談をしまして地元同意を正式に伝えました。その際に大臣から避難道路について、地元から強い要請があれば優先度を上げるように赤羽大臣と調整すると踏み込んだ言及がございました。この点について原子力防災担当大臣としてどのようにお考えでしょうか。
(大臣)この道路については道路整備をはじめ、避難経路上の狭い箇所の解消、そして多重化などによる避難の円滑化は原発が動いているか動いていないか、これにかかわらず地域住民の皆さまの安心・安全の観点からも重要です。内閣府としても避難経路の充実化などの検討に係る調査経費を支援するとともに、避難をより円滑に実施するための原子力災害時避難円滑化モデル実証事業、これを実施してきています。さらに避難円滑化の効果が見込まれるものを、モデル実証事業ではなくて、継続的かつ関係道府県がどこでも使えるように、交付金の対象メニューの一つとすることについて令和3年度、来年度から実現に向けて予算の確保に最大限取り組んでいきます。今後とも関係自治体、関係省庁が参加する地域原子力防災協議会の枠組みなども活用して、地域の声をしっかりお聞きするなど、住民の皆さまの安心・安全を第一として、避難道路の整備などが促進されるように、今回、宮城県知事などからの要請を受け取った経産省、そして国交省と共に、共通の認識の下で連携して継続的に対応していきたいと思っています。

会見動画は以下にございます。

https://youtu.be/GjGq9VXo4qg

(以上)