大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年9月4日(金)10:20~10:45  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日はまず福島の出張について触れたいと思います。今日はこの後、あした福島県の北塩原村で開催される磐梯朝日国立公園指定70周年記念式典に出席するため、福島に向かいます。今回、大臣としては初めて国立公園に伺うことになりますが、この磐梯朝日国立公園は私が幼い頃に毎年家族で旅行していたところでもありますので、思い出深い場所ですから楽しみにしています。また、式典参加のほか、国立公園の関係事業者や補正予算の採択事業者とも現地で意見交換を行って、新型コロナによる地域の観光への影響、そして今後の反転攻勢に向けた準備について現地の生の声を伺っていきたいと思います。さらにポストコロナを見据えて、ワーケーションも環境省は旗振りをやっていますが、今回、私自らも試行的に行って、その推進に向けて先進的な取組を行っている企業とも現地で意見交換を行いたいと思います。これはウェブでつないで企業とやりたいと思います。そして、福島県とは先月27日に福島の復興に向けた連携協力協定を締結したところであるので、国立公園などの自然資源を生かした地域振興をうたった「ふくしまグリーン復興構想」の推進に向けて国立公園の現場を自ら確認して、更なる連携の確認をしたいと思います。
 そして、二つ目がプラスチックですね。1日火曜日に中央環境審議会、産業構造審議会の合同会合において、今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性が取りまとめられましたので報告をしたいと思います。四つのポイントから成る基本的な方向性を取りまとめていただきました。今スライドに四つ書いてありますが、以下のとおりです。まず一つ目が過剰な使用の削減や素材の代替を進めることによるリデュースの徹底。そして二つ目が先般の記者会見でもペットボトルの事例を取り上げたようなリユース、リサイクル可能ないわゆる環境配慮設計の促進。そして三つ目が容器包装と製品を市町村がプラスチック資源として分別回収することや、事業者による回収量向上など質と量の両面からの回収リサイクルの拡大と高度化。そして四つ目が再生素材やバイオプラスチックなど代替素材の利用の促進。こういったポイントになっています。今後、審議会においてはこの方向性に沿って年度内に最終成案が得られるように施策の具体化の議論を引き続きお願いしたいと考えています。政府としてはアフターコロナに向けた経済社会の再設計(リデザイン)に向けて、新法の可能性も含め、必要となる法制度的対応の準備を進めるように私から事務方に指示をしました。プラスチックは我が国の国民生活に深く浸透しています。循環経済への移行を通じて、資源循環関連産業を我が国の新たな成長の源泉としていくため、引き続き経産省をはじめとした関係省庁とよく連携をして、プラスチック資源循環施策の具体化を早急に進めたいと思います。
 今日は最後に、昨日といっても日付ももう越えていましたけども、オンライン・プラットフォームについて改めて振り返りたいと思います。昨晩のオンライン・プラットフォーム、無事に成功裏に終えることができました。成功裏にという以上に、私は大成功だったと思っています。これだけ通信も乱れず、4時間を超えて最初から最後までスムーズに運営できた国際的なオンライン会議はないと思います。私も大臣になって以降、世界の数十カ国が参加をする国際会議は出席をしていますが、これだけスムーズにいった会議はなかったと思います。日本の技術、そしてチーム力、ロジ力、会議運営能力ですね。省庁や官民の垣根を越えた協力のたまものだと思っています。改めて今日まで本当に必死に睡眠不足になりながら頑張ってくれた職員の皆さんには心からありがとうと申し上げたいと思います。今後、世界から大規模なオンライン国際会議のモデルとして位置付けられるのではないかというふうに思います。まず、参加国については、こちらのスライドに書いてあるとおり、46人の大臣、副大臣から発言をいただいたほか、延べ91カ国から取組の具体化の共有やビデオメッセージの提供をいただくなど、最終的に計96カ国に参加をいただいて、気候変動関連のオンライン国際会議としては世界最大規模の会議となりました。COP26が延期された中、各国の閣僚級が新型コロナウイルスと気候変動という二つの危機に立ち向かう意思と、具体的な行動を共有して発信したことで国際的な連帯を強め、気候変動対策の機運を高めることに貢献するという、この会合の目的を達成することができたと考えています。特に多くの国からNDCの強化、そして2050年までの脱炭素社会の実現の重要性について言及がありました。また、コロナの危機からの復興においては、我々が唱えている三つの移行、すなわち脱炭素社会への移行だけでなくて、循環経済、分散型社会の在り方についても大変示唆に富んだコメントがありました。私が提案したリデザインというコンセプトは多くの国から支持され、政策への示唆になるという発言もありました。さらに「Platform for Redesign」のウェブサイトについても経験を共有して、国際的な連携を高めていく場として期待が寄せられました。また、石炭火力輸出方針の抜本的転換やゼロカーボンシティのうねりをつくり出したことなど、脱炭素に向けた日本の前進をしっかりと世界に伝えることができました。日本がCOP3以来の気候変動閣僚級会合で議長を務めることで、まさに環境先進国日本の復権に向けた大きな一歩を踏み出したのではないかと思います。議論の内容について簡単に振り返りたいと思います。冒頭に安倍総理とグテーレス国連事務総長のビデオメッセージの後、まずセッション1では私を含め5人のパネリストから経済社会システムのリデザインについて意見が出されました。その中で脱炭素社会、循環経済、分散型社会への三つの移行の必要性、またその移行に向けてはファクトや科学に基づく政策決定、ESGなど金融の役割、国際協調などの論点について議論しました。私からは、政府の役割として、政策策定において脱炭素に向けた揺るぎないリーダーシップを発揮して議論を先導していくことや、あらゆる関係者の巻き込み、自治体、企業、若者など非国家主体、ノンステートアクターの取組の後押し、旗振りが重要であるとお伝えをしました。セッション2では、各国の大臣から具体的な新型コロナからの復興と気候変動、環境対策について情報共有が行われました。その中でも例えば、特に気候行動の強化、エネルギー、運輸・交通、都市計画への取組、インフラ、防災、生物多様性などへの適応策について具体的な情報共有ができたことは有益でありました。セッション3では、金融、地方公共団体、企業、NGO、若者など多様な非国家主体による意見交換がなされました。このノンステートアクターの取組を後押しして、また政策において連携していくことは、コロナからの復興を進めていく上で必須であると改めて確認できました。これらの議論の成果は議長サマリーとしてまとめて、来週中にも発出したいと考えています。「Platform for Redesign 2020」は、昨日こういった形でウェブでつないでやりましたが、今回の会合で終わることなく、引き続きウェブサイトにおける情報のアップデートや、各国から集まった対策の分析などを通じて、今後予定される様々な気候変動に関する国際会議につなげていきたいと思います。日本は今後も気候変動外交をけん引しながら世界の脱炭素化に貢献していきたいと思いますし、リーダーシップを発揮できる国であるということが改めて証明されたと思います。こんな感じで共催をしてくれた国連のエスピノーサ事務局長、そして最後に1枚紹介をしますと、これは昨日終わった後にみんなで集合写真を撮ったんですけど、本当に職員が一丸となって頑張ってくれました。改めて本当にお疲れさまでした。以上です。

2.質疑応答

(記者)産経新聞の奥原です。これから日本が気候変動対策においてリーダーシップを発揮できる国を目指されるということなんですけれども、ドメスティックな話で恐縮なんですけれども、自民党総裁選では気候変動対策に関する議論が、各候補者は触れてはいるものの、盛り上がるという段階にまでは至っていないかと思います。日本がこれからリーダーシップを発揮していくために、現職の環境大臣として、今後、日本の気候変動対策の議論をどう盛り上げていきたいと思いますか。
(大臣)次の総裁、総理がどなたになっても、2050年の脱炭素社会の実現、ゼロカーボンシティの更なる加速、そして今の政府目標を更に引き上げて2050年以降の脱炭素社会の実現ではなくて、2050年までの脱炭素社会の実現に私は必ず向かっていくと確信をしています。そして今、大変心配をしているのはこの週末の台風です。今年も既に熊本をはじめとして被害がだいぶ出ています。そして、今、台風9号もありますけど、10号も沖縄、九州の方に接近をしていて、今、熊本も含めて被災をして避難をしている方、そしてまだ仮設住宅の建設が完了していない、そういった時期の中で過去最大級と言われるこの台風が接近している中で、改めてこれだけの台風が毎年来る、そして被災に次ぐ被災が続く。こういった中で、私は政治の場で改めてこの気候変動に対してより力強い政策を進めていく必要性、これを多くの方が感じていることを受け止めて、政治の世界がより環境政策、気候変動対策、こういったものを強化していくように私もしっかりと訴えて働き掛けを強めて、今、政府全体としても脱炭素、そして循環経済の移行ということは未来投資会議の柱にもなっていますから、これが引き続き進められるように全力を尽くしていきたいと思います。

(記者)朝日新聞の水戸部です。昨日は国際会議、すごく長丁場でしたがお疲れさまでした。いろんな国々の取組が聞けて面白かったんですけれども、小泉大臣の中でヨーロッパだけじゃなくて、今回アフリカやいろいろな国から参加者がいらっしゃったと思うのですが、特に印象に残ったリデザインの取組があったら教えていただきたい、というのが1点と、同時に、2050年実質ゼロを掲げる国であるとか、数値目標あるいは年限を明言している国も多かったと思って、そういういろいろな国のリデザインを聞いている中で、日本はどこら辺の位置づけにある、もっと頑張らないといけないと思ったのか、それとも十分だと思ったのか、そこら辺はどうだったのかお聞かせください。
(大臣)改めて昨日はものすごくいいと、今後につながる場だったと思います。かねがねこの機会を通じて環境先進国への復権、その足掛かりにしたいと言っていましたが、間違いなくそうなったと感じています。やはり議長国を務めるというのは、私は日本の国際的な評価、これを高める上では非常に有効だと思いました。まず、例えば四十数名の環境大臣、副大臣が世界で発言されるたびに、日本に対する謝意、そして日本の取組に対する言及をするわけですよね。そして、これだけの会議を無事に成功にスムーズに運営できたことによって、今年何度かやられている気候変動関係の会議を経験しているこのコミュニティーの人たちは、恐らくこれだけうまくやった日本のオンラインの会議というものを今後どのように運んだのかというのは参考にされるんではないかなと思います。そして、日本の発信の中では、私はやはり安倍総理のメッセージは非常に世界に対して「石炭政策の抜本的転換」という表現を使われて発信をされたことは、その後の閣僚からの言及が、「安倍総理のメッセージにあったように」という形で触れられる閣僚もいましたし、そしてグテーレス事務総長のメッセージも非常に強力でしたね。日本の具体的な取組を、この石炭政策の見直しもゼロカーボンシティの具体的な人口規模まで触れて、グテーレス事務総長は日本がリーダーの可能性を秘めている、そういうことをおっしゃいました。ですから、世界各国それぞれユニークな、また国情に合わせた取組を進めている中でも日本は間違いなく気候変動分野においてのリーダーの一つであると、こういったことが改めて世界各国に認識されたと思います。私自身もやはり今までの人的ネットワークが相当に生きているなと思ったことは、昨日発言された閣僚の中で特に私が交流を重ねている皆さんからは、積極的にリデザインという言葉を使いながら、それぞれの国の施策の説明がありました。そしてアンドリュー・ステア氏からは非常にいい言葉で、これからも更にこれが広がっていくように期待をしたいという話もあったとおり、今回三つの移行も含めて、日本として世界の中で今までよりも比べて明らかに前に向いてリデザインの方向を、むしろ世界を引っ張っているということは伝わったと私は思います。

(記者)毎日新聞の鈴木です。エスピノーサさんの発言に触れたいと思うのですけれども、最後のあいさつで、今回、各国の取組状況をまとめたことについて、「これは極めて実践的なバーチャルツールだ」と賛同するような発言がありました。今後、今回のような公式なイベントという位置づけでないにしてもですね、例えば加盟国全体にこういう情報提供を呼び掛けるとか今後の展望を、もし今あれば教えてください。
(大臣)このウェブサイト、これに対する今後の期待というのが寄せられたのはまさに鈴木さんが言うとおりで、これは私のイメージからすれば、来年、COP26に向けてだんだんウェブサイトの中の各国から提供されるものが次々にビルドアップをされていって、COP26の場で、去年もしもマドリードに行かれた記憶が残っていたら覚えていると思うんですけど、様々なイベントをやりますよね、各国のブースとか様々な場所で。あのときに日本が主催をして国連とともにこのリデザインというものがどこまで、COP26まで各国で取組が進められてきたか、その積上げというものを一つのイベント若しくは会議という形でやっていくということも、一つの可能性の追求を私はやっていきたいと思います。ですので、今後のウェブサイトの更なる充実、来年のCOP26に向けた一つの足掛かり、こういった意味においてもすごく大きいなと思います。そして、オンラインもエスピノーサさんが言うとおり、日本にオンラインを任せようと思われるぐらいの、昨日はいい運びだったと思います。
(記者)より加盟国に更にいろんな機会に呼び掛けていくということですか。
(大臣)そうですね。昨日参加できなかった96カ国以外のほかの国々もそうですし、今回まだアップデートされていない国も更にアップデートをしていただくと、そういったこともあると思います。

(記者)共同通信の水内です。プラスチック資源循環の関係で伺います。先ほど新法も含めて検討するという話でしたけれども、ポイントが四つほどあり、どの部分を法整備、新法を想定しているのか。柱の一つとしてプラスチックの容器包装、製品を一括回収してリサイクルにつなげるということでありますが、その点なのかどうかお聞かせください。
(大臣)まず基本的な方向性で示した四つの方向性、今後これは審議会でこの方向性に沿って年度内に最終成案が得られるように施策の具体化の議論をお願いしたいと考えています。そして、次期通常国会の提出の可能性も視野に議論を進めていただきたいと思います。我々もそういった方向で検討、準備を進めます。

(記者)フジテレビの三上です。総裁選について今3人が立候補されていますが、大臣は誰を支持しようと現時点で考えているのかお聞かせください。
(大臣)まず私は、この前も河野さんが出られたら河野さんを応援すると、そういうふうに河野さんという名前を挙げて私は言った以上、河野さんが出なかったからこの方ですというふうに言うのは、私の中でははばかられるなというふうに考えています。いずれにしても、3人が出そろったということですから、そのお三方による議論がしっかりと行われて、今、安倍内閣が新しい総裁が選出をされて首班指名を受けるまではずっと続いていますから、この週末の台風対応もありますから、私としては今、環境大臣として、安倍内閣の一員として職務に全力を尽くしたいと考えています。

(記者)環境新聞の小峰です。オンライン会議の大成功も、小泉大臣が主導して進めてこられたゼロカーボンシティの大盛況、また7000万人以上突破ということが背景にあると思います。ただ、大臣御地元の横須賀市がゼロカーボンシティの宣言に入っていない。そこで、宣言していないことの所感と、それに関連するであろう東京電力と中部電力の合弁会社JERAが一部着工している横須賀市石炭火力発電所への所感についてお聞かせください。
(大臣)まず、ゼロカーボンシティは8月31日現在152自治体、7115万人となりましたから、これが次々にまた市町村が増えていくといいですね。そして、神奈川県でいうと、横浜市、川崎市、鎌倉市、小田原市、そして私の選挙区でもある三浦市、そして開成町にも宣言をいただいていますから、神奈川県の中でも県も含めて広がっている中で、横須賀もそれに続くように私もこれからも働き掛けを続けていきたいと思います。横須賀としては、石炭火力というものがある中でゼロカーボンができるかということを悩んでいると思うんですね。ですから、これから我々環境省としては、火力発電だけどゼロ・エミッションになるという、こういった技術を追求して、後押しもしていきますので、そういったことも通じて、火力だけど今の現状にとどまらずにゼロ・エミッションにしていく、そういった中でゼロカーボンシティが次々にまた増えていく、そして2050年のパリ協定の目標についても日本が大きく貢献をする、そういったことになっていくことを期待しています。

(記者)テレビ朝日の藤原です。改めて、昨日のオンライン・プラットフォームなんですけれども、去年のCOP25の経験が今回の大成功にどうつながっているのかという部分と、国際的な日本の見え方がどのようになったと思われていますでしょうか。
(大臣)まず、COP25で築き上げた、これは各国の大臣に対してのコミュニティーの形成も含めて、やはりグテーレス事務総長をはじめとして国連との関係の構築というのも非常に大きかったと思います。今回共催をしたことで、各国に対しても改めて日本の国際社会での気候変動の取組の強化というものが明確に発信することができたと思うので、これを一つの糧に、COP26においてさらに日本の気候変動外交の強化の集大成というか、我々の取組の発信を続けていきたい。そして、今のこういった取組の積み重ねが間違いなく国内での政策の強化につながって、今、気候変動対策、温対計画の見直しや、そしてゼロカーボンシティ、来年のエネルギー基本計画の見直し、そしてNDCのCOP26までの追加情報の提出、そういったものにすべてつながっていますから、COP26がいい形で日本が胸を張って臨むことができて、条約の交渉、残された第6条という、この6条の交渉が残っていますから、この6条の妥結にもつながっていくように引き続き我々は全力を尽くしていきたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://www.youtube.com/watch?v=TbCRgTypftA

(以上)