大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年7月7日(火) 10:48 ~ 11:05 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まず、このたびの九州地方の大雨の災害によってお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、今、被災をされている方々に対してはお見舞いを申し上げたいと思います。環境省においては、4日に災害情報連絡室を設置して、現地の情報収集を行っています。甚大な被害が生じている熊本県の人吉市で、し尿処理施設が浸水によって稼働停止となっていることから、近隣の下水処理場で処理を行う予定と聞いています。また、今のところ国立公園施設に関する被害の報告はありません。特に災害廃棄物の対策については、5日から環境省職員が球磨川流域の現地調査を実施して、被災状況の調査などを行っています。さらに、昨日6日からは、環境省本省から管理職・室長1名を熊本県庁内の政府現地対策本部へ派遣をしています。そして、環境省の九州地方環境事務所の職員1名を人吉市に常駐をさせて、被災状況の調査、そして仮置場の設置などに関する助言を行っています。今後、現地での情報収集を進めるとともに、自治体等から積極的にニーズをくみ上げて、迅速かつ的確な支援を行ってまいりたいと思います。
 次の報告があります。新型コロナウイルスからの復興と気候変動・環境対策について各国間の情報共有を行うべく、私から提案をしていたオンライン・プラットフォームにつきまして進捗がありますので御報告をしたいと思います。今日ここに表示をしてあるとおり、日程がまず決まりました。閣僚級のオンライン会合を来る9月3日木曜日、日本時間の夜の8時から11時までの3時間、開催することを決定しました。日本と気候変動枠組条約事務局が共催をして、私が会合の議長を務める予定であります。昨日、気候変動枠組条約事務局のエスピノーサ事務局長と私の連名で、すべての条約締約国197カ国と地域及びオブザーバー機関に対して招待状を発出しました。多くの国の参加を期待しています。さらに、閣僚会合と併せて、各国の大臣や関係ステークホルダーから寄せられたメッセージや新型コロナウイルスからの復興と気候変動・環境対策に関する質問票への回答などを取りまとめ、ウェブ上で幅広く共有するオンライン・プラットフォームを立ち上げる予定です。世界が新型コロナウイルスによる危機と気候危機という二つの地球規模の危機に直面する今こそ、世界各国が連帯してこの危機に立ち向かわなければなりません。COP26が来年11月に延期される中、COPの閣僚級会合のようなすべての締約国を巻き込む閣僚級会合がCOP25から数えて2年近くないという可能性もありました。今回、9月3日にオンライン・プラットフォーム閣僚会合が実現をする運びとなったことで、二つの危機への国際的な機運を高めることにつながると私は期待をしています。条約事務局からは高く評価されて、共同で招待状を発出することになったほか、既に多くの国々からも関心が寄せられています。閣僚会合、そしてこのプラットフォームの詳細については引き続き条約事務局などと連携をして準備を進めていきます。また、今日の夜、EU、カナダ、中国の主催で、約35カ国の閣僚や関係機関が参加する第4回気候行動に関する閣僚会合、これはMinisterial on Climate Action(MOCA)、通称「モカ」というふうに呼ばれるそうですが、これがオンラインで開催されて、私もこれに出席をする予定です。この会合の前身となったいわゆるMEF、エネルギーと環境に関する主要経済国フォーラムは、主要な排出国が参加する枠組としてアメリカが主導して設けられたものであります。しかし、アメリカがパリ協定脱退を表明した後、国際的な気候変動への機運を失わないために、大排出国のEU、そして中国、EUとは別の先進国交渉グループに属するカナダが主催をして、2017年から毎年1回開かれています。日本からは国会日程などの関係で、過去3回大臣が出たことはありません。副大臣、政務官が対応していましたが、今回オンライン開催となったことで、私が大臣として初めて出席をすることになりました。今回は新型コロナウイルスからの復興と気候変動対策についての議論が行われる予定であります。私からは、コロナからの復興を社会経済の再設計(リデザイン)につなげていくという、今、環境省が取り組んでいるところ、そういったことを紹介するとともに、9月3日のオンライン・プラットフォーム会合への各国の参加を呼び掛けたいと思っています。こうした取組によって日本が主導してこの新型コロナと気候変動の危機、二つをしっかりと国際的な機運を高めていくためにリーダーシップを発揮していくということを伝えていきたいと思います。今日は冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)時事通信の武司です。九州での大雨に関してなんですが、浸水範囲がかなり広いので災害廃棄物の量も多いと思われます。既に職員の派遣などを行っているということですが、今後の環境省としての対応の見通しについて教えてください。
(大臣)7月3日からの大雨で、熊本県を中心として球磨川の堤防決壊などによる水害が発生して、今、甚大な被害が発生しています。その熊本が中心だというところから、更に今、エリアは拡大をしていますので、その状況を注視するというのはまず当然のことだと思います。災害廃棄物の発生量については、現時点でまだ見通せる段階ではありませんが、水が引いて今後片付けごみの排出が増えていくというふうに見込まれます。熊本県においては平成28年、今から4年前の熊本地震の経験もあって、発災後、直ちに仮置場を開設している自治体も多数あります。今後、数週間から1カ月程度、生活再建に向けた片付けごみの排出が急速に進んで、路上ごみの堆積や仮置場が満杯になるような事態が各地で発生する恐れがあります。そのため、環境省の本省、そして九州地方環境事務所の職員を派遣して今支援をしていますが、今後、状況に応じてこの支援体制の強化を行っていきたいと思います。関係機関とまた関係省庁と連携を密にして、緊張感を持って事態を見てしっかり適切な対応をしていきたいと思います。

(記者)朝日新聞の水戸部です。豪雨の関係で、これから梅雨で蒸し暑い時期なので、熱中症とかの問題ががれきの処理や避難所で出てくると思うのですけど、がれき処理や熱中症の対策で被災地の皆さんに呼び掛けたいことがありましたら教えてください。
(大臣)まず、環境省では昨日、被災県に対して事務連絡を出して、被災住民の皆さんの熱中症対策、これに関して周知依頼を行いました。具体的には、避難所などでは扇風機やエアコンなどを設置して、室内の気温、湿度を調整すること、そして小まめな水分補給を呼び掛けること、首や脇などを保冷剤やぬれたタオルで冷やすことを促すなどの対策が必要であること、または片付けなどをしている作業のときには、一定時間ごとに日陰などで休憩を取っていただくこと、お互いに体調を確認しながら作業を行うこと、そういった注意事項の周知をお願いしたところであります。さらに、特に今年は新型コロナウイルス感染症の予防対策も求められているので、十分な感染症予防を行いながら熱中症予防を実施していただくことが重要であることをお伝えしています。

(記者)日本経済新聞の安倍です。オンライン・プラットフォームについてお聞きします。今回、小泉大臣が議長を務められるということで、これから事務局側といろいろ詳細を詰めていかれると思うのですけれども、今回、3時間ほどですか、その中でコロナと気候変動の危機について対策を進めるというお話でしたけれども、今回情報共有するものなのか、もしくは何らかのメッセージを発するものなのか、どういうイメージなのかということをもう少しお伺いできればと思います。
(大臣)まず、今回、4月のペータースベルク気候対話、これでこちらから提案をしたことが、当時メルケル首相とグテーレス国連事務総長からも前向きな受け止めがあり、それがその後、事務方同士の調整も踏まえて9月3日に実現される運びになったことは、間違いない日本の成果だと思います。これがもしも実現をしていなかったら、2年間、COP25から1年延期されたCOP26までの間にすべての締約国が一堂に会する、オンラインであっても、そういったことがなかったわけです。これは間違いなく気候危機に対する機運を損なう、損失ですから、その損失を回避することをまずはこの場でしっかりと共有をしていきたいし、今、この九州の豪雨も含めて間違いなく気候危機であると。もはや、雨すらも災害にすぐ変わる、一晩の雨が大きな災害につながるという、今までにないような気象現象を多くの方が感じていると思いますので、まさにそれを肌で感じている日本が主導して、気候危機を決してコロナの危機の陰には埋もれさせることがないようなリーダーシップを発揮するというのは非常に重要なことだと思います。この場の持ち方、3時間をどういうふうに有効に活用するかは引き続き調整中ではありますが、しっかりと日本が取り組んでいる具体的なアクション、特に今、石炭の関係は最終調整をやっていますが、国際的にこの4要件の見直しというのは非常に注目をされています。そういったことももう日を置かずに調整が最後の形になると思うので、そういった結果も含めて日本で今何が議論されているか、前向きな取組を世界に共有したいと思います。そして、議長としてはこの場で共有されたことを国連の事務局ともしっかり調整をしながら、このオンライン・プラットフォームの成果というものをまとめていきたいと、そしてそれを国際社会に共有していきたいと思います。

(記者)NHKの吉田です。オンライン・プラットフォームのことで一点もう少し詳しく伺わせていただきたい部分があります。すべての国が参加して、新型コロナと環境対策についての回答を取りまとめるというふうに冒頭で御説明されていたと思うのですけれども、オンライン・プラットフォームにどういった内容を載せる御予定なのか、今、現段階でのイメージでも構わないのですが、少し詳しく教えていただければと思います。
(大臣)例えば、日本がコロナの対応と同時に、この経済社会をより脱炭素化に向けて併せて進めていくという施策で何をやっているのかといえば、一つは、私が何度も紹介をしていますが、物流が今までもテイクアウトとかデリバリーとかも増えたり、eコマースが増えたりして需要が伸びている。そういった配送、物流、この世界でのEV化の支援、こういったことなどもやっていますし、また国内回帰をする企業に対する太陽光発電の支援、こういったことも含めて各国が、このコロナとその後の経済社会の在り方に向けてどのような具体的な対策、そして施策、これを講じているのかというのを共有するというのが一つあります。ですので、これは世界の中でどういうことがやられているかというのを共有して、誰もが見られるような形にオンライン・プラットフォームに載せる、そうした支援をする、非常に有意義なものだと思いますので、そういった形をイメージしていただければと思います。また、具体的なところは引き続き事務方で調整をします。

(記者)毎日新聞の鈴木です。オンライン・プラットフォームの関連なんですけれども、まだ具体的なことは決まってなくてもいいので、今後の方針だけお聞きしたいのですけれども、今回のプラットフォームで何か成果物みたいなものを出される予定なのか、それともモメンタムにとどまるものなのか、その辺をまず教えてください。もう1点、先ほど閣議後、大臣御自身が官邸の方で長官や外務大臣、経産大臣などといろいろ調整されていたと聞いているのですけれども、その場でどんなことを話されたのでしょうか。
(大臣)まず、1点目をお答えしたいと思いますが、このオンライン・プラットフォーム、先ほど日経さんからの御質問もあったとおり、成果物をどうするかというのは議長として、これから国連サイドともどのような取りまとめ、これが議長報告という形になるのか、そこは調整だと思いますが、一定のものをまとめて国際社会と共有したい、発出したいと思います。そして、既にこれが実現をするということが成果だと思うんです。もしもこれが実現をしなかったら、9月、本来であれば世界中が国連に集まって様々な議論をする、これが恐らく通常どおりにはいかない中で、こういった場をオンラインでやろうと呼び掛けた国は日本だったわけです。今回、日本が議長をやって、私と国連サイドで共催をすると、そういったことも今までだったらなかったんではないでしょうか。この気候変動外交の分野で日本は必ずリーダーシップを発揮できる、私は確信を持っていますが、その表れだと思います。2点目の御質問になりますが、これは今日は官房長官とかではなく、私と梶山大臣の2人です。最終段階にありますので、今、事務方から調整状況は伺っていますが、事務方からだけの報告では伝わらないこともありますので、やはり政治家同士腹をくくって、お互い今、調整状況をどう見ているか、それぞれの思いを共有したと、最終段階に向けて、そういったことになります。そのことで予定の記者会見の時間が遅れたことは大変申し訳なく思います。すみません。

会見動画は以下にございます。

https://www.youtube.com/watch?v=s7kojEJfjTA

(以上)