大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年6月23日(火)10:31 ~ 10:55 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日はここにインパクトがある1枚、五箇先生を用意しておりますが、生物多様性の関係で二つ今日は御報告をしたいと思います。まず1点目は、7月3日に、コロナ後の日本の未来と希望を考える会、気候危機を乗り越え、新しい自然共生を目指すと題した通称五箇勉強会、これを開催したいと思います。この勉強会は先月、生物多様性の日の会見で申し上げましたとおり、国立環境研究所の五箇公一先生を中心として勉強会を立ち上げるという報告をしたものです。メンバーはお手元に既にお配りをしてありますが、少し紹介させていただくと、地球環境問題全般に造詣の深い地球環境ファシリティ(GEF)の石井菜穂子CEO、そしてメディアアーティストをはじめ様々な顔をお持ちの落合陽一さん、環境政策が御専門の千葉知世大阪府立大学准教授、そして経済界からは経団連自然保護協議会の二宮雅也会長、国際政治学が御専門の細谷雄一慶応大学教授、そしてウーマノミクスなど様々経済政策等を提唱されてきたアナリストのキャシー・松井さん、ゴールドマン・サックスの副会長であります。そして、人類学が御専門で日本学術会議会長でもある山極壽一京都大学総長、こういったメンバーに参画いただけることになりました。7月3日はウェブ会議形式で行いまして、今後、いいタイミングを見てこういった皆さんとの日程調整もしながら、三、四回はやりたいなというふうに思っています。今回のコロナ危機によって生態系破壊への影響、都市集中型社会とグローバル化のもろさ、これに気付かされました。五箇先生がよくおっしゃっているのは、今回のコロナの危機を生態系からのこのままではいけないという人類に対する重大なメッセージだと受け止めるべきだというお話がありますが、まさにそのとおりだと思います。コロナ後の経済復興に関して、脱炭素、循環経済、分散型社会への三つの移行によって、新たな経済社会の再設計(リデザイン)が必要であると、かねがね私も指摘しているところです。これからも日本は様々な自然災害や新興感染症にさらされ、今回のような重大な局面を幾度となく経験する可能性があります。それに負けない持続可能で強靱な自然と共生する社会をつくり上げるために、自然科学のみならず、社会科学的な視点を含めて、自由な視点で熱い議論を交わしたいと思います。そして、生物多様性国家戦略の見直しをはじめ、環境省の施策にこの勉強会の成果を幅広く反映をして展開していきたいと考えています。
 今日の2点目は、明日24日に国連生物多様性の10年日本委員会、これはUNDB-Jと言いますが、UNDB-Jの第10回委員会がウェブ会議で開催されます。UNDB-Jは愛知目標の達成に向けて幅広いセクターの参加と連携による具体的な行動を推進するために2011年に設立されました。経済界の各団体をはじめ、関係省庁、自治体、NGOなどが参画しており、環境省が事務局となっています。今年が最終年度となっており、明日の委員会はこれまでの活動を総括しつつ、今後の方向性や体制を検討する重要な会議であります。明日は、委員長である経団連の中西会長や私も出席をします。私は経団連の方にお伺いをして、中西会長と共に出席をしたいと思います。コロナ後の持続可能でレジリエントな経済復興への私の思いについても、中西会長をはじめ参加者の皆さんにお伝えをしたいと思います。具体的には、国立公園、温泉地などでのワーケーションの取組も今推進をしていますが、経団連の皆さんには国立公園の連携を含めて、今までとは違う環境省との連携を深めていくような提案もしたいと思っていますし、五箇先生が生物多様性は地産地消から始まるという、そういったメッセージをかねがね流していますが、改めて、この広い意味での地産地消の取組なども経団連の方と意見交換をしたいと思っています。一人一人の行動変容や社会変革を実現して、生物多様性保全を進めるために幅広い観点から議論されることを期待したいと思います。また、経団連に対しては、コロナ後の社会変革に向けて積極的な参画をお願いします。脱炭素への移行に関して、経団連ではチャレンジ・ゼロという取組が始まりました。137の企業などが脱炭素社会の実現に向けた具体的なチャレンジを行うことを表明しています。生物多様性に関しては、国立公園におけるワーケーションの推進、そして国立公園オフィシャルパートナーシッププログラムへの参画や、地産地消によって生産者と消費者が顔の見える関係性をつくっていくことなどの取組について呼び掛けをして、今後、経団連との連携を深めていきたいと思います。今年は愛知目標に代わる次の世界目標を検討する重要な年でもあります。このような取組を通じて、経団連をはじめとする経済界、関係省庁、自治体、NGOの皆さんと連携しながら、コロナ収束後の社会を持続可能でレジリエントなものへとつなげていきたいと、そう思います。今日は、冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)フジテレビの加藤です。冒頭発言のありました、通称五箇勉強会ですけれども、率直に幅広くて、何を議論するか一言で言い表すのはなかなか難しいかもしれないのですけれども、大臣はこの勉強会にどういったことを期待するのか、生物多様性だけではなくてということだと思うのですけれども、どのようなことを期待するのか。最終的にスケジュールとして何か取りまとめたりするのか、取りまとめるのであれば、いつごろになるのかめどがあるのであればそこらへんを含めてよろしくお願いいたします。
(大臣)まず、テーマについては、おっしゃるとおり生物多様性だけに閉じないで、タイトルがコロナ後の日本の未来と希望を考える会、気候危機を乗り越え、新しい自然共生を目指す、これは五箇先生の思いが相当に入っているタイトルでもありますが、今までの役所のよくあるような進め方、そしてまた出口がある程度何となくイメージができるようなものであったら、五箇先生が座長になっていないだろうなと思っています。今回、五箇先生とお話をしたのは、自由な議論をやろうと。そして、これだけ幅広く、今まで様々な経験の深い多様なメンバーがそろえば、その一回一回で新しい議論、新しい内容が生まれるはずだと、そういったことに期待をして自由な議論をやってみようじゃないかということですので、私もその趣旨に賛同していますし、それぐらい自由な形を取った勉強会でないと、斬新なアイデアというのはなかなか生まれないだろうなと思っていますので、五箇座長の下で私も参加をしながら、これだけ多様な方々、経験あふれる方々がそろいましたから、そこで生まれるものを楽しみたいというふうに思っています。必ずそこで生まれた議論が今後の、例えば生物多様性COP、これは来年に延期されましたし、気候変動のCOPも来年、様々なこの議論の中の成果物が、今後の環境省の行政の分野の中で生かされるのではないかなと楽しみにしています。7月3日から始まりますが、まさに取りまとめはその中で回数を重ねて、これだったらいいのではないかというときが取りまとめ時だろうと、そういうふうに思っています。

(記者)朝日新聞の水戸部です。レジ袋の有料化に関してなんですが、北海道を中心に店舗を展開するセイコーマートさんが有料化の対象外の環境配慮型のレジ袋に切り替えた上で、当面有料化を見送るということを発表したのですけれども、一方、セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート、ミニストップ等は同じく環境配慮型のレジ袋だけれども、プラごみの削減のために有料化ということを決めていて、コンビニの中でも対応が分かれた形になるのですけれども、まずそれについて大臣の御所感を聞かせていただきたいのと、有料化を見送った背景として、コロナによる経済打撃とか衛生面への配慮があるようでして、環境省として何か対策とか呼び掛けをする予定がありましたら教えてください。
(大臣)セイコーマートなどがレジ袋の有料化をしないという方向性、これについてどう思うかという御質問でありますが、まずは7月を待たずに、先日もイオンさんとか、またドラッグストアの業界の皆さんと意見交換をウェブでさせていただきましたが、先行してやっている方々に対しては心から感謝をしたいと思います。セブン-イレブンも含めて、また最近ではファミリーマートがマイバッグを使う方、レジ袋を使わない方にポイントをという、そんな報道もありましたが、まずそういった前向きな方向が大きな流れとしてあるということに対してはすごく心強く思っています。一方で、今回有料化の対象ではないレジ袋、今後、化石由来のプラスチックではない再生可能な素材を使っていくということも、このまま今の状態がずっと続いていくことに比べれば、間違いなく前向きな一歩ではありますので、それぞれの事業者の中で考えはあるでしょうから、そういったことをしっかり見ながら、基本的な大きな流れとして、我々はこのレジ袋の有料化を進めて、そしてプラスチックという課題、地球規模の課題に気付いていただくきっかけにしていきたい。この思いは変わりませんので、そこをしっかりと世の中に伝えていくことが今後重要だろうなというふうに思います。なお、今、後ろの方の質問でも、衛生面、そういったところでの課題についても御質問がありました。店員とお客さんの間で、マイバッグのやりとりを通じてコロナの感染とか、そういった心配が一部あることは承知をしています。ただ、結論を先に申し上げると、政府として、我々環境省としても、7月からのレジ袋有料化の方針に変わりはありません。理由は主に二つあります。まず一つ目が、マイバッグの使用が新型コロナウイルスの感染拡大を引き起こすという科学的な証拠は現時点では見当たりません。そして二つ目は、マイバッグかレジ袋かにかかわらず、コロナの感染を予防するためには、一番大事なのは手洗い、消毒、そして手を洗うまでは御自身の口や鼻に触れないようにすること、これが最も重要なので、我々としては新型コロナウイルスの懸念などにも配慮はしつつ、方針として、今回をきっかけにより持続可能で循環型の社会を脱炭素型の社会に移行させていきたい、こういった中でこの方針が変わることはありません。引き続き現状、現場でどういうことが起きているかは、しっかりと見ていきたいと思っています。

(記者)時事通信の武司です。関連してなんですけれども、有料化がスーパーだけでなくコンビニもということで、無駄なレジ袋の使用を減らす意味ではもっと多くの人がエコバッグを持って、常にバッグの中に入れていくといった対応が必要になってくると思うのですけれども、大臣としては、エコバッグの利用について国民にどういった呼び掛けをされていくのかということと、例えば標語のようなものを作る予定はありますでしょうか。
(大臣)まさに7月1日から始まることを見据えて、今、担当部局とキャンペーンの具体化を進めていますので、それが発表できる段階でしっかりと発表したいと思いますが、私、また環境省、政府、行政サイドからの発信だけではなくて、多様な方々に参加をいただきたいと思っていますので、今、インフルエンサーと言われるような、そういった方々の参加、そして様々なメディア、媒体、広告、いろいろなことを使いながら今後展開をしていくことは、いずれ近いうちに、また報告をさせていただきたいと、そういうふうに思っています。
(記者)マイバッグの使用を促すようなキャンペーンをされるということでしょうか。
(大臣)そうですね。マイバッグの利用を進めるということと同時に、なぜ今回レジ袋が有料化をされるのかという、そのもともとの、世界全体で、地球規模で海洋プラスチック問題ということが起きている。これをこのまま放置すると、2050年には海で魚よりもプラスチックごみの方が多くなってしまうような現状にもある。こういった問題が観光産業、そして漁業、そしてまた観光、様々ないろいろなところにも影響して、また、我々の健康、海の生態系、いろいろなところに影響している問題なんだと。そういったことを含めて、何でレジ袋を有料化するんだろうか、そういったところから御理解をいただくことが大切だと思っていますので、そういった発信もしっかりとしていきたいと思っています。

(記者)産経新聞の奥原です。冒頭の五箇教授の勉強会についてなんですけれども、これはかねがねおっしゃっていた社会変革担当省としての一つの位置付けなのかとも思うのですけれども、選択と集中本部との兼ね合いであったりだとか、メンバーの人選はどういうふうにされたのか、勉強会の進め方はこれからどうされていくのか、骨太の課題などを目指す考えはあるのでしょうかということと、今回は生物多様性の切り口からの勉強会だと思うのですけれども、新型コロナによる生態系への破壊の影響について大臣の御所感を伺えればと思います。
(大臣)まず、五箇先生とも相談をしまして、生物多様性のことを考える中で、生物多様性の専門家だけで議論をするというのが必ずしもいいのだろうかと。今後まさに経済界を含めて、ビジネスの世界からもこの生物多様性に対する関心と意欲の表れが出てきています。私も今までコロナの前にダボス会議を主催している世界経済フォーラムの総裁とも意見交換などをしましたが、そのときも総裁の方からも生物多様性についての連携とか話が出てきました。そういったことからすると、今回この参加者の中で経団連の方、そしてまた、キャシー・松井さん、そういうビジネスサイドの方々が入る。そしてそれを生物多様性の世界では、生物多様性の主流化という言葉を使ったりもするんですけど、やはり世の中を動かす上でビジネスや金融が動く、お金の流れが変わってくる、そういったことはすごく大きいので、なぜ我々は気候変動の取組も環境と経済の好循環、そしてまたESGの我々後押しをやっているかと言えば、やはりお金の流れを変えていく、そういったことを無視して、たこつぼのような議論に入ってはいけない、そういった思いがあるので、こういった人選、多様な人選になっているということは理解いただきたいというふうに思います。勉強会の進め方についてはさっき申し上げたとおりでありますが、五箇先生に引っ張っていただいて、あまり後ろで、最初からある程度の出口が見据えられているような、よくありそうな、こういった勉強会にはしたくないと思いますので、結果として出口がどういう形になるのかは、まさに走りながらみんなで一緒に汗をかいていければいいのではないかなというふうに思っています。選択と集中との関係もありましたが、今、選択と集中の議論、これの取りまとめに向けて省内で頑張ってもらっています。この選択と集中の議論、そしてその後の今後予算がすべて1カ月遅れに、今、編成作業になっていますから、骨太、そして成長戦略、来年の概算要求、こういったものについて、この集中と選択の議論をどのように反映していくか、まさにこれからが調整の時期が真っ盛りになるなと、そんなふうに思っています。

(記者)TBSの守川です。話はガラッと変わって、解散総選挙の関連なんですが、解散総選挙は総理の専権事項というのが前提としてあるとは思うのですが、ここ数日、自民党の幹部から年内の解散に関する発言が相次いでおります。甘利税制調査会長は通信社のインタビューで秋にあるのもゼロではないと。森山国対委員長も、年内に何があってもおかしくないという発言を相次いでされております。このような発言が自民党幹部から相次ぐ今のこの永田町の空気感を大臣はどのように捉えておられるか、ということが一つと、コロナ対策の渦中である現在と年内の中で解散を行うということを国民がどのように受け取るのか、理解を得られるのかということをどのように見ているかということを、お願いいたします。
(大臣)私は全く考えていません。環境行政、今様々な議論の取りまとめ、そしてまた打ち出しに向けて調整作業、本当に重要な局面を迎えていますので、環境行政をしっかりと前に進めること、これ以外に私の頭にはありません。
(記者)党幹部からこういう発言が相次いでいること自体をどのように見ておられますか。
(大臣)それは一人一人の政治家ですから、政治家としての発言は自由じゃないでしょうか。私の頭には全くありません。
(記者)大臣はポスト安倍、総裁候補として非常に高い支持率を今も持たれています。環境大臣としての仕事が評価されていると感じておられますか。
(大臣)そういうふうに評価されるように、しっかり環境大臣としての務めを果たしたいと思いますし、環境省の職員に支えられての今だと思っていますから、これからまさに政策をしっかりと来年度予算への反映、成長戦略、骨太、一つ一つに対してみんなの英知を結集して、環境省全体として世の中を、このコロナが発生した後に、社会変革担当省という名にふさわしい、そういう形にできるかどうか、そこが重要だなと思っていますので、選挙のことは全く考えずに、目の前の環境行政に全力を尽くしたいと思っています。

(記者)NHKの吉田です。生物多様性のことについて少し伺わせてください。明日国連生物多様性の10年日本委員会がありまして、この10年の中で言えば最後になるかと思うのですけれども、大臣御自身、愛知目標の達成状況についてはどのように評価されていらっしゃるか、どのような考えをお持ちになっているかお聞かせください。
(大臣)まず、このUNDB-J自体、最終年度ということですが、このUNDB-Jの代理委員長を務めていただいているのが涌井先生になります。この前、意見交換をさせていただいたんですが、改めて世界的にもこのUNDB-Jのように多様なプレーヤーが一堂に会しているという場があることは、当たり前のことではないと、これは評価されていることなんだというお話を伺って、我々としては、今後、今は最終年度にありますが、引き続き多くの方に参加いただけるようなプラットフォームというのが重要であると、そういったふうに確信をしています。そういった意味でも、明日私が経団連の方にお伺いをして、中西会長と共にこの生物多様性の10年、UNDB-Jの会に臨むというのは、環境大臣、そしてまた経済界のトップである経団連の会長のコミット、参画の意思というのが明確に示されているという点でも大きいと思います。愛知目標の目標達成についてのお話がありましたが、もちろん掲げられた様々な目標の中で達成できているものもあれば、なかなか達成に対しては、正直言って厳しいなということもあると思います。ただ、それについては引き続き努力が必要だと思いますが、私として感じるのは、京都議定書という気候変動の中では京都、この言葉が有名です。生物多様性の世界では愛知、この愛知目標というのが国際社会では広く知られているにもかかわらず、残念ながら国内において、京都議定書の認知度はある程度高いと思うんですが、愛知目標というものが世界的にもこの分野において大事なマイルストーンだったんだ、節目だったんだということは、改めて日本としてしっかりと誇りを持って、かつ課題は次に向けて、今後の10年に向けて、来年の中国での開催の生物多様性COPで議論される重要なテーマでありますから、来年に延期されましたけど、この生物多様性についても、国民的な議論、関心を喚起する上でも、今回、五箇先生のような分かりやすい訴えをいつもされて、長年、生物多様性について取り組んでおられる方にこの勉強会を引っ張っていただくことは、この分野だけに限らず、世の中全体に対しての、何で生物多様性って重要なんだろうか、何でこのコロナ後の社会と生物多様性は関わっているんだろうか、これを伝える上では非常に大きいことではないかなと思います。私自身も五箇先生に座長をお願いした一つの思いは、今までさんざん生物多様性の議論をしてきた中で、五箇先生の話が一番私はふに落ちました。そういった方にお願いをしたいと、そういった思いからであります。

会見動画は以下にございます。

https://www.youtube.com/watch?v=FO-0MEkgG38

(以上)