大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年6月16日(火)10:31 ~ 10:51 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 「もうすぐ本格的な夏がやってきます」と書いてありますけど、もうやってきているようなものだと思います。暑くなりましたね。気象庁の6月から8月の夏の天候見通しによると、全国的に暖かい空気に覆われやすく、気温は平年並みか高い見込みであって、熱中症への警戒が欠かせない季節になりました。何度も今までも会見で申し上げていますが、近年、熱中症による死亡者数、そして救急搬送者数は著しい増加傾向にあります。今日、このグラフを用意しましたが、熱中症による死亡者数は20年間で約9倍と、かつて、平成10年は185人だったものが、最近の30年で見れば1581人、9倍まで上がってきているというのがデータでも確認できます。そして、今年、消防庁の速報値によりますと、今月に入って1日から7日までの1週間での熱中症による救急搬送者数は既に1194人となっています。既に熱中症のリスクは高くなっていると思います。そこで、今回、7月1日から関東甲信の地域だけまずは先行的な実施となりますが、熱中症警戒アラート、これを開始していきます。このアラートは、テレビ、ラジオなどを通じて国民の皆さんへ届くことになります。アラートではなくて警戒警報とか、そういう名前でもいいかなとは思ったんですが、調べたところ、気象業務法という法律がありまして、警報というのは気象庁以外は使えないという、そういう事情があるらしく、今回こういう形で熱中症警戒アラートということで始めたいと思います。このアラートは、環境省、気象庁が新たに提供する暑さへの気付きを呼び掛けるための情報です。具体的には、各都県内の暑さ指数(WBGT)算出地点のいずれかで暑さ指数が33度以上となることが予測された場合に、都県単位で前日17時ごろ、そして当日の朝5時ごろ、このタイミングでアラートを発表します。この暑さ指数33度以上というのは、熱中症による搬送者数や死者数が顕著に増加するような極めて危険な暑さに当たります。このアラートは報道機関、地方公共団体、民間気象事業者等に伝達をされて、テレビやラジオ、インターネット、自治体からの呼び掛けなどを通じて対象地域の国民の皆さんに伝わることになります。熱中症の危険性が極めて高くなる場合に発表することで、国民の皆さまにおける熱中症の危険性に対する気付きを促して、積極的な予防行動につなげていただきたいと思います。そして、もしもこのアラートが発表された際には、このような行動を取っていただければというのが主には四つ整理をしました。一つ目は、まずは情報をチェックしていただきたい。気温や湿度、環境省「熱中症予防情報サイト」、こういったものもありますので、近くの暑さ指数をチェックしていただきたい。そして、声掛けをしましょうというのがありますが、特に高齢者の方々、そして障害者、また子どもたちに対しては、周囲の方々からアラートが出ましたよと、そういったことも含めて声掛けを行ってもらいたいと思います。そして、暑さを避けましょうというふうに当然のこと書いてありますが、いつもより小まめに水分補給や塩分補給をしていただきたい。また、屋内ではなるべく涼しい部屋に滞在をして、エアコンなどを適切に活用していただきたいと思います。そして、運動や外での活動の中止や延期というふうに書いてありますが、不要不急の外出を避ける、そして外出をしなければならない場合は、なるべく建物や木陰など日光を遮れる場所、もしくは涼しい屋内を通るようにする。そしてまた、空調機器が設置されていない屋内、もしくは屋外での運動や活動などの中止、そして延期などを検討していただきたいと思います。今日は記者クラブの皆さんがいらっしゃいますが、ぜひ報道関係者の皆さんにおかれましても、この熱中症警戒アラート、情報の周知及び注意喚起にぜひ御協力をお願いしたいと思います。今回、夏にこの関東地方で先行して取り組みますアラートに関する取組は、この秋以降に検証を行って、来年、令和3年度から全国展開をしていく予定です。もちろん、アラートが発表されなくても、夏であれば熱中症のリスクはあります。特に、今年は新型コロナウイルス感染症の影響があります。距離を十分に取ってマスクを外すなど、新しい生活様式での熱中症対策について引き続き周知を図っていきたいと思います。また、例年、夏に多くの災害が発生しています。被災者やボランティアなどの方々における熱中症予防にしっかり取り組むことが重要であり、昨日15日に、地方公共団体に対して、災害への備えの一環として熱中症対策に取り組むように事務連絡を発出して要請しました。さらに、今夏の熱中症対策をしっかりと進めるため、18日には関係省庁連絡会議を開催します。引き続き、政府一丸となって熱中症対策に取り組んでいきたいと思います。冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)フジテレビの加藤です。冒頭の熱中症警戒アラートについて改めてお伺いしたいのですけれども、大臣からも出ましたが、コロナでマスクを着けなければいけない、その上、今テレワークが進んでいるとはいえ、やはり不要不急でなく会社へなど出なければいけないときがあると思うんです。そういうときにアラートが出たときに、なかなか熱中症だけを気にしなければいけないという状況ではないと思うのですけれども、そういうことに関して改めて国民の方に呼び掛けることがあればお願いします。
(大臣)先日もこちらでチラシを御紹介しましたが、熱中症の予防、この新しい生活様式の中でも同時にやる、こういった中ではぜひ適宜マスクを外せる環境では外していただくことも忘れないでいただきたいと思います。最近、国会の中でも、昨日も決算委員会、参議院でずっとやりましたけど、ああいった部屋の中でも、暑いねという言葉が閣僚の中でも飛び交うようなそういう状況でありますから、仮に熱中症警戒アラートで33度だと、暑さ指数が。そういった本当に暑い状況の中で外出しなければいけない、そしてマスクもしなければいけないと。ただ、感染防止、この3密の回避などされている状況では適宜マスクを外していただくなど、どうかそこは忘れないでいただきたい。そして、マスクをしていると、喉の渇きの実感以上に、実は水分補給が必要なことが忘れがちになってしまうというのもよく聞きます。そういったところも意識をしながら、こまめに水分補給などもしていただきたいなと思います。熱中症警戒アラート、これが発表されたときは、33度は実際には様々湿度とか輻射熱とか、そういったことも反映している33度なので、実際には気温としては更に暑く感じるものだと思いますので、ぜひ普段以上に熱中症対策を徹底していただいて、特に先ほども言いましたが、高齢者の方、また障害者の方、子どもたちは気を付けていただきたいし、周りからもこの警戒アラートが出たら、周りに対しても今日は出たよと、またもしくは前日の夕方に出ますから、明日は相当暑いらしいよと、そういったことも広がっていくような一助になればと思いますので、今年の夏、まずは関東地方でやってみて、様々な国民の皆さんの反応を受け止めた上で、来年どのように全国展開をやっていくか、しっかりと受け止めて考えていきたいと思います。

(記者)日本経済新聞の安倍です。熱中症アラートについてもう一つ補足でお聞きしたいのですけれども、アラートをきちんと国民に伝えていくところが大事になるのかなと思います。伝達方法では小泉大臣の御説明で、報道機関とか民間気象事業者を通してということだったんですけれども、例えば環境省や気象庁が直接伝えていく、例えばツイッターであるとかアプリとか、そういうこともあってもいいのかなと思ったのですが、その辺りを教えていただけますでしょうか。
(大臣)今年7月1日からこのアラートが始まったら、仮に翌日が警戒警報、警戒アラートが出ますとなったら、環境省からのツイッターなど、そういったことも活用はしたいと思います。併せて、今、安倍さんのほうからは、アプリとかそういった形での対応という話がありましたが、現時点では残念ながら、アプリという状況で、それをダウンロードしてスマホにプッシュ型の通知でアラートが出ますとか、また当日の朝5時であったら、今日はアラートが出ますと、そういったことをプッシュ通知できる状況ではないというのは私も残念だなと率直に思います。ただ、メールではできるということなので、これは来年の全国展開に向けての一つの課題であろうというふうに思います。そこも事務方に対しても、今、メールよりもむしろアプリで、プッシュ型で通知をした方が間違いなく届きますから、そういったことも含めて対応を考えるように指示を出してありますので、より改善できる形もあると思います。ぜひそういったことも、まずは関東地方でやって、様々な反応をいただいて、来年どのような形で、よりよい形で全国展開ができるように、今年の夏、ぜひ皆さんからも様々な声を寄せていただきたいなと思います。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。アラート関連で一つ。一方で政府の方は省エネ温度目標を夏、冬に設定してまして、これは政府決定になっていると思うんですね。これを自治体とか業界団体等は順守して、例えば室内の設定温度が28度だとか、こういうのをやっている。熱中症対策は暑さを避けましょうという標語を見ますと、なかなかこう28度で室内で暑さをしのぐとかオフィスで仕事をするのは相当きついと思うんです。だから、熱中症対策と同時にこれはまた必要だと思いますけども、従来の省エネとの政策で適正温度を設定していることとの整合性も必要ではないかと思うのですが、その辺はどうですか。
(大臣)今の御指摘は、私も最近、他のところからもいただきまして、改めて確認をしたところなんですが、28度は絶対に28度である必要はなく、28度は目安だと。そういったことを、がちがちの28度だというふうに伝わっているところもあるんだなというのを改めて私も認識をしています。例えば、この5号館は厚労省や環境省が入っています。ただ、管理者は厚労省なので、例えば私の部屋だけ変えるとか、そういったことはできません。そして、このフロアの中でも、私の部屋側とまた逆側と、西日が当たるか当たらないかとかでもだいぶ部屋の温度というのは違うと思います。ですので、改めて、今日は清水さんからもせっかくの御質問をいただいたので、霞が関、他の省庁もそうですし、また全国の自治体もそうでありますが、28度は目安であると。その職場環境の中での状況というのはあると思いますから、そこは柔軟に考えていただいて、28度というのはあくまでも目安ですと。じゃ、一気に20度まで下げますと、がんがんに冷やしますと、そういったことでCO排出とかエネルギー消費とか、それを置き去りにされてしまってはもちろん困ります。そこはしっかりと踏まえていただいた上で、適切に判断をしていただきたい。28度が絶対だということではなく、目安です。

(記者)朝日新聞の水戸部です。二点あります。一点目が暑さ指数に関してなんですけど、前から思っていたのですけれども、「度」というのは普通の気温と同じ単位なので一般の人には分かりにくいかなと思っていて、注意情報にしても、35度というのと暑さ指数33度というのは紛らわしいと思っていて、この辺、単位とか一般の人への出し方っていうのを工夫する予定はないかっていう点が一点です。あと違う話題なんですけれども、12日に2次補正予算が成立しました。予備費10兆円の中で使い道が決まっていない5兆円ということで、白紙委任ではないかという批判もあるんですけれども、その点について大臣のお考えがありましたら聞かせてください。
(大臣)まず、冒頭、暑さ指数33度と、例えば天気予報でやられる33度というのが分かりにくいと。確かにそういうことはあるなと思って、私も暑さ指数と暑さの違い、気温、何が違うのかということで、まさにここは気温と、気温だけではなくて湿度や輻射熱、これも取り入れているのがこうだとありましたが、水戸部さんおっしゃるとおり、この「度」というのを、それは単純な気温だけじゃありませんよという理解を多くの方にしていただくためには、何かありますか。こういう表現をしたらいいかなと。何か事務方からもありますか。
(事務方)事務方でございます。実は今、気象庁さんと環境省で共同検討会をやらせていただいておりますが、この共同検討会の中でも、有識者の委員の先生方からもやはりそういった御意見もございました。ただ、やはり正確なところを伝えないといけないという御意見もございまして、今、両方からの御意見を先生方からいただいているところですので、正確性を保ちながらどう国民の皆さんに分かりやすく伝えていくかという観点で、引き続き検討してまいりたいと思います。
(大臣)何かいいアイデアがあれば教えていただきたいと思います。2点目、予備費でありますが、まず10兆円のうちの5兆円というのは、分かりやすく言えばコロナにしっかり使っていきますと、そういったことだと思います。じゃ、残りの5兆円はどうするのかと。それこそ、最近の東京の感染者数、これが40人台がまた戻ってきたということもありますし、世界各国を見ても第2波と言われるようなものも見られます。ぜひ、これはみんなで周知、また共有をしなければいけないのは、日本も同じようなリスクというのは絶対にあるわけでありますから、そういったときに必要な対策が、予算がないということで講じることができないということは絶対避けなければいけません。そのために5兆円という既に使い道がある程度明示をしてある、そういったもので足りなかった場合に残りの5兆円をどのように使うのか、まさにそれはそのときの判断で、何のために使うのか、国民の皆さんに説明責任を果たしていかなければいけないと考えています。

(記者)TBSの守川です。二点お願いします。一点が補正予算の関連なんですが、2次補正が成立し、3次補正についてもコロナの対策を更に強化するためには必要だという意見とともに、先日、麻生大臣は国会で、現段階で必要ないという見解を示されました。大臣は3次補正についてどのように見ておられるかというのが一点です。二点目は、前回の会見でも出ました自民党の73歳の比例代表定年制に関してなんですが、自民党の執行部の中でもかなり意見が分かれているということで、岸田政調会長は、若手などにチャンスを与えるためにも意義があると言われている一方で、二階幹事長は昨日、年齢についてとやかく言うことではないと定年制に否定的な見解を示されております。執行部の間でこのように意見が分かれていることについて、どのように受け止めておられるかお願いいたします。
(大臣)3次補正については、まず成立をしたこの第2次補正でやるべきことをしっかりやると。第2次補正が通って、これから執行で必要な事業が国民の皆さんに届いていく、そのスタートがこれからまさに始まるという上では、今まだ第3次という状況ではないんだろうと。ただ、もちろん異例の巨額でありますが、コロナのこの危機というのは世界各国どこも経験したことのないことです。仮にこれでもまだ必要な対策が生じると、そういったことも十分考えられますから、そういったときには必要なことは何でもやると、これは間違いないことだと思います。そして、自民党の中での73歳定年制の廃止か維持かという話がありました。今おっしゃったとおり、様々な声はもちろんあると思います。ただ、二階幹事長の発言をお伺いすると、有権者の皆さんがお決めになることだという御発言もあったと私は承知をしています。まさに、先日私が言ったことは、比例ではなくて小選挙区であれば100歳でも200歳でも定年はなく立候補ができます。まさに有権者の皆さんに決めていただける、それは小選挙区、今でもそうなっているわけですから、私は比例において今の定年制を撤廃する、そういう必要は全くないと思います。

会見動画は以下にございます。

https://www.youtube.com/watch?v=a-xaOW570O0

(以上)