大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年6月9日(火) 8:30 ~ 8: 42 於:衆議院前庭)

1.発言要旨

 今日はまず、仮置場からの除去土壌の流出事案を踏まえた対策の実施状況についてお知らせしたいと思います。昨年、令和元年東日本台風、台風19号の豪雨に伴って、福島県内において除染により生じた除去土壌等を保管する大型土のう袋が仮置場から流出する事案が発生をして、周辺の住民の皆さんに不安と御心配をかけることになってしまいました。環境省では、本事案発生後、すべての仮置場の総点検を行って、流出防止等対策が必要な仮置場12カ所を特定しました。東北地方が出水期に入るまでに流出防止等対策を終えるように取り組んできましたが、これが完了したので報告をします。まずは関係の市町村、そして福島県、環境省と連携を調整して取り組まれた結果でありますので、関係者の皆さんの努力にまずは感謝を申し上げたいと思います。今後も引き続き、すべての仮置場について、日常の点検管理や豪雨などの災害の発生が予想される場合の事前措置の実施などを徹底してまいります。特に市町村が管理する仮置場に関する対応についても、環境省としても関係自治体と連携、協力して積極的に関与していきます。また、先月末、九州と四国が梅雨入りをして、全国的に出水期が到来しつつあります。前回の会見で「気候変動×防災」について説明したところでありますが、災害に対しては事前に備えることが重要です。当面の備えとして環境省は三つの対策を実施していきます。まず一つ目が災害廃棄物対策です。昨年度の災害対応の課題等を踏まえて、5月29日に自治体に対して事務連絡を発出して、災害廃棄物の処理体制や災害支援協定の内容の確認、そして廃棄物処理施設の浸水対策の再点検を行うことなどについて注意喚起をしたところであります。また、市町村の災害廃棄物処理計画については、今年度中に策定率が目標の6割に到達するように、災害廃棄物処理計画策定モデル事業などによって引き続き支援をしていきます。二つ目が災害時のペットと一緒に避難をするペット同行避難です。ペット同行の避難訓練の実施や指定避難所の運営者への受け入れの周知などを通じて、同行避難の重要性が広く理解をされて、飼い主側の平常時からの準備や避難所における受け入れ体制の整備が図られることが重要です。自治体に対して平時からの準備を要請する事務連絡を8日に発出するとともに、飼い主の皆さんに環境省のツイッターによって注意を喚起したところでもあります。そして、最後に三つ目ですが、災害に強いエネルギー自給地域の構築です。昨年の台風15号で、町内全域が停電をしたときも防災拠点等に電力を供給することができた千葉県睦沢町のむつざわスマートウェルネスタウン、こういった好事例があります。このような再エネを活用して脱炭素化と地域の課題を同時に解決をしていく先進的なまちづくりを支援して各地に広げていく事業について、6月4日から公募を開始しました。多くの自治体の皆さんや事業者の方に応募いただきたいと思います。環境省としても、緊張感を持って災害に対して事前の備えを強化して、レジリエンスの向上を図っていきたいと思います。この関係は以上です。
 2点目は、防衛省との協力についてです。先日、6月5日金曜日、防衛省が再生可能エネルギー100%を導入するというRE100及びRE Actionにアンバサダーとして参画をしました。この取組の輪に、既に環境省はもうアンバサダーになっていますが、防衛省が新たに加わったことは大変心強く、霞が関の中ではこれで環境省と防衛省2省だけ(※)ということになりますので、同じアンバサダーとしてこれまで以上に連携を深めていきたいと思います。特に防衛省は、離島も含め様々な場所に施設を持っています。その防衛省において再生可能エネルギーや蓄エネ、蓄電池、こういった導入を一層進めることができれば、防衛省では自衛隊のエネルギー面での更なる自立化、そして環境省では災害にも強く様々な環境に対応可能な再エネ導入モデルの構築をそれぞれ進めることができます。こうしたことについて河野大臣とも話したところでありまして、環境省、防衛省両省連携プロジェクトを検討するように私から事務方に対して指示をしたところであります。また、防衛省とは、再生可能エネルギーのみならず、災害廃棄物の処理についても連携してマニュアルの作成を進めているところです。先日、6月30日に予定している「気候変動×防災」に関する国際シンポジウムの話もしましたが、そのシンポジウムの際にも環境省と防衛省の連携についても紹介をしたいというふうに考えています。今後も、こういった今までになかったような連携を深めていきたいと思います。
 最後に1点だけ、今日の閣議で原子力規制委員会の令和元年度の年次報告を国会へ報告することを決定しました。冒頭、私からは以上です。

※外務省もRE100及びRE Actionのアンバサダーとなっています。

2.質疑応答

(記者)読売新聞の松田です。除去土壌の流出事案の関連で、今後の対応のところで豪雨等の自然災害の発生が予想される場合に自治体と協議して事前措置を講じるという説明がありましたけれども、豪雨等の自然災害の発生が予想される場合というのは具体的に基準みたいなものは想定されているのでしょうか。大雨特別警報等々、何か基準等があれば教えてください。
(大臣)今回この12カ所、我々としては去年の様々な教訓も踏まえて対応を打つべきところは打つべき手を講じたというふうには考えていますが、もちろん年々災害の規模もどこまで甚大なものになるか、この気候危機の中ではどれだけ予想してもその対応を乗り越えてくる可能性は頭に入れなければいけないとは考えています。そして、この12カ所以外の仮置場についても、引き続き日常の点検管理、そして豪雨など災害の発生が予想される場合の事前措置、今御質問があったところですけど、この事前措置というのは何かというと、例えば大型土のう袋の連結や固定、つまりつなげることで流されないようにすることもそうですし、仮置場内の設備の応急の補修、そういったことも講じた上でいざというときに備えていきたいというふうに考えています。特にこれは市町村管理の仮置場、これについては、環境省としても関係自治体と連携、協力をして積極的に関与をして流出が二度と起きないように対策を講じていきたいと思います。基準という話がありましたが、ここまでだったらということよりも、もう未然にリスクがあるときはできる限り徹底的に事前の対応をすると、そういったことが重要だというふうに思っています。

(記者)時事通信の武司です。冒頭で防衛省と環境省の両省の連携プロジェクトについて指示されたとお話しになったんですけれども、どういったところでより連携を深めていく必要があるとお考えでしょうか。
(大臣)先ほど申し上げたとおり、防衛省、この自衛隊の役割、また自衛隊の強さというのは自己完結ができるということであります。外から、外部から様々な供給を受けることなく自前で例えば災害地にも行くことができる。そういった中で言えば、最も今、自己完結ができないところというのはエネルギーです。それを自衛隊が自分で自ら再生可能エネルギーを生み出して、例えばですよ、離島に自衛隊施設があります。今は船で油を持っていって、それでその施設を運営するわけです。だけど、台風とかが起きて船が出られない、そういったところもある。そのときに、島ですから、再生可能エネルギーを、パネルとかを含めてですよ、そういったことができれば、たとえ船が出られない、補給がない、そういったときも自己完結で自給できる、そういう自衛隊の強靱性に更に寄与できるのがこういったことの一つでもありますし、環境省としても、今、日本政府全体で再生可能エネルギーの主力電源化を目指している。この中で多分ぱっとすぐに自衛隊というのがこの再生可能エネルギーとまだ浮かぶ人は少ないと思いますけど、やはりそこから一緒になって動いていくということは、その後の波及効果も含めて我々としても非常に期待をするところなので、具体的に何ができるかを両大臣で話しているので、今後しっかり詰めて形にできるように取り組んでいきたいと思います。

(記者)産経新聞の奥原です。関連してなんですけれども、河野大臣は脱原発をめぐるエネルギー政策であったりとか、合理的な国会運営など小泉さんと考え方が安倍政権の中で近しいのかなと思うのですけれども、過去には「異端児」や「変人」とやゆされた河野さんに対して、大臣としてはどういう性格と見られていますでしょうか。
(大臣)私は至って常識的な方だと思いますけど。面白い方ですし、話しやすいですし、いろいろとこれからも、今の再生可能エネルギーのことに限らずに、同じ県の先輩でもありますから、協力できることは協力をしていきたいと。最近、環境省のツイッターでも、河野大臣の地元の茅ケ崎が、ごみ収集の皆さんが素晴らしい動画を作っていただいて、私がごみ袋にありがとうと言いましょうと、そういった呼び掛けに応えてくれた方が茅ケ崎市民の方々は多かったらしくて、そのありがとうというメッセージがごみ収集の現場の方に届いて、そのことに感謝をまた返す、この動画も発信をされて、我々環境省としてリツイートをしたので、そういったこともくしくも縁がありましたね。

(記者)朝日新聞の水戸部です。昨日経団連の方で130社余りが二酸化炭素排出ゼロに向けて宣言に署名し、あと具体的なアクションについて、ホームページなどで各企業の取組についても紹介がありました。これについて大臣の受け止めや期待すること、聞いてみたいことがあればがお願いします。
(大臣)137企業、そこまでに上る多くの企業が具体的に脱炭素へ向けた取組をされると、そういったこのチャレンジ・ゼロ、経団連の取組というのは間違いなく我々としては歓迎しますし、今後、まず意見交換をしてみたいと思います。具体的にどのようなことを企業の皆さんは考えているのか。そして、今我々として意識しているのは、これから政府で成長戦略やコロナ後の経済社会の活動の再開と、そして今後の日本の経済成長だけではなくて新たな社会をどうするのかという議論の中に、間違いなく一つの柱にこの脱炭素化への移行というものを明確に位置付けていきたいというふうに思っています。その中では、この民間企業からこれからコロナの再開を、目の前のことだけを考えるのではなくて、この脱炭素化というところに民間企業が動きだしたというのは、国の大きな方向性の中に、目の前のことだけではなくて、もともとコロナの前からあった危機、この気候危機に対して柱として位置付けなければいけないんだという機運を高めるためにも私は大きな後押しだと思うので、意見交換をする際は、単純に企業のやっていることを聞くだけではなくて、むしろ経団連と一緒になって日本のこれからのコロナ後の一つの方針に、ヨーロッパとかはグリーンリカバリーというふうに言いますが、このグリーンリカバリーの方向性を一緒になって盛り上げていこうではないかというような、そういったことができれば一番いいなと思っています。ぜひそういう機会を探りたいと思います。

会見動画は以下にございます。

https://www.youtube.com/watch?v=xhA3363ouhQ

(以上)