大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年5月26日(火)11:04 ~ 11:35 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、冒頭は二つあります。まず最初に、昨日をもちまして緊急事態宣言が解除されました。新型コロナウイルス感染症へ最前線で闘っている医療従事者の皆さん、そして環境省は所管で言うと廃棄物処理業がまさにそれに当たりますが、我々の必要不可欠な国民生活を守るために社会インフラを適正に継続されるように活動されてこられた小売業、運送業、様々なエッセンシャルワーカーと言われるそういった皆さん、そして外出の自粛など国民のすべての皆さんの大きな御協力のおかげでこの日を迎えることができたこと、本当にありがとうございます。心より感謝と敬意を表したいと思います。環境省におきましても職員一同の御協力によりまして、霞が関ではトップクラスとなるテレワーク、そして在宅勤務などによる出勤回避を高い水準で継続して維持することができました。そして、クルーズ船下船者や帰国者への対応業務、そして今も厚労省などで最前線の業務で応援派遣として取り組んでくださっている職員の皆さんもおります。ねぎらいの言葉を贈りたいと思いますし、緊急事態が解除されたとはいえ、当面、少なくともしばらくは今の体制を維持していきたいと思いますが、引き続き協力をお願いしたいと思います。これからは再び感染拡大が起こらないように、基本的な感染防止策の徹底は継続しながら、基本的対処方針に基づいて新しい生活様式の中で感染拡大の防止と、社会経済活動の維持の両立を図ることになります。まずは補正予算の執行を着実に行って、国立公園を含む地方の観光産業への雇用維持へ取り組んでいきたいと思います。また、新しい生活様式の中で夏を迎えて、これまでとは異なる生活環境下であることから、例年以上に熱中症に気を付けることが重要です。そこで、環境省は厚生労働省と連携をして、新しい生活様式における熱中症予防行動のポイントを分かりやすくまとめて、本日、地方自治体に対して事務連絡を発出するとともに、厚生労働省、環境省両省のホームページを通じて周知することにしました。皆さんから見ればちょっとちっちゃいかもしれませんが、こういった分かりやすく行動のポイントをまとめました。基本的なことも書いています。暑さを避けること、小まめな水分補給をすること、そして基本的な熱中症対策の徹底をしていただくことは必要だと書いてあるんですが、今年は今までの熱中症対策に加えて、特にマスク着用時には体への負担がかかるため、熱中症に十分注意していただくことが重要だということで、この二つ目のポイントが新しく加わりました。適宜マスクを外しましょうというふうに書いてありますとおり、気温、湿度の高い中でのマスクの着用は注意をすること、そして屋外で人と十分な距離を確保できる場合にはマスクを外していただくこと、マスクを着用する場合には負荷のかかる作業や運動を避けて周囲の人と十分距離を取った上で適宜マスクを外して休憩を取ること、こういったことを心掛けていただきたいと思います。十分な感染対策を行いながら熱中症予防に取り組んでいただけるように、環境省としては厚生労働省をはじめとした関係省庁と連携して呼び掛けていきたいと思います。環境省はコロナ後の新たな社会を見据えた施策も打ち出しています。例えば、先日発表した宅配需要が急増する中での物流のEV化、この支援、そして家庭で過ごす時間が長くなる中で重要性が増している住宅の断熱性能を高める支援、そしてサプライチェーンの再構築に伴って日本国内で投資する企業に対する太陽光発電の導入支援、こういったことなどがそうです。今後、気候変動や生物多様性といったコロナ以前からのグローバルな危機も視野に入れながら、経済社会をより持続可能でレジリエントなものへと変革していく再設計が不可欠との認識に立ってしっかり取り組んでまいります。1点目は以上です。
 今日の2点目は、ファクト検討会の取りまとめについてです。石炭火力発電輸出への公的支援に関する有識者によるファクト検討会において、ファクト集とファクト集に関する分析レポートが取りまとめられましたので、改めて御報告をしたいと思います。4月1日から始めたファクト検討会ですが、当初から新型コロナウイルス感染防止のためウェブ開催としまして、緊急事態宣言を踏まえて、実に14社・団体に及ぶヒアリングをすべて書面で実施するなど、今までにない、先例のない形で、このファクト検討会を実施したことになります。そういった中でも、今日ウェブで同席をいただいている高村座長をはじめ委員の皆さまに精力的、献身的な御対応をいただいて、5月14日までに4回ファクト検討会を経て取りまとめに至りました。まずファクト検討会の委員の皆さん、そして特にこういった特殊な環境の中で非常に精力的に取り計らってまとめていただいた高村座長に心から感謝をしたいと思います。ありがとうございます。また、ヒアリングに対応いただいた皆さん、そして外務省の鈴木副大臣、オブザーバーとして参加いただいた関係各省も含め感謝をしています。私自身、予定の許す限り、できる限りファクト検討会の議論を拝聴いたしました。国内外の最新の知見をはじめ中立・客観的にファクトを洗い出していく作業はファクト検討会の回を追うごとに迫力を増して、まさに4要件の議論の土台として大変充実したものにしていただいたと感じております。さらに、高村座長の御提案によって、委員の御議論も踏まえた分析レポートをまとめていただきました。中立・客観的なファクトに基づいて専門家が分析をして専門的な課題に対する視点を提供する、このファクトと分析というスタイルは、これからの重要な行政課題に対する一つの手法として新たな一石を投じたのではないかと思います。ここで、ファクト検討会の取りまとめをいただきました高村座長に今日はウェブでの御同席をいただいていますので、分析レポートのポイントを高村座長から御説明をいただいて、その後にそのポイントに対する私なりの受け止めをお話ししたいと思います。それでは高村先生、よろしくお願いします。
(高村座長)今回、ファクト検討会の第4回目で、既に一部の記者の方には御報告を申し上げておりますけれども、そのときも申し上げましたが、4回の検討会の御意見を踏まえて、今回取りまとめたレポートをお示しできるということを大変光栄に思っております。4回目の最後の検討会で委員から共通して出ましたのは、専門的な観点からファクトを分析したものを踏まえて、重要と思われる視点をより明確に示すという点でございました。従って、今回取りまとめました報告書、レポートに関しましては、そうした観点から整理をしたものであります。大きなポイントとしては3点ございます。一つは、石炭火力発電事業のリスク評価には、より長期的な視点が必要であるという点です。これは工期、あるいは50年といった稼働期間を踏まえるということを考えると、そのエネルギーインフラのロックインの点からもそうですし、大きな社会の変化に対応するという意味でも必要です。これは現在進んでいる企業の気候変動関連のリスク情報を自らが脱炭素社会に適応する情報を公開していく取組のガイダンスの中でも示されている点です。二つ目は、そうした長期的な視点を持たないまま公的な支援を実施するということは、昨年閣議決定をしております長期戦略、日本も今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会、これは世界的な脱炭素社会の実現を目指すという方法と整合しないのではないかという点になります。そうした今の2点を踏まえまして、公的支援の在り方としては、やはり相手国の脱炭素化という明確な長期的視点を組み込んだその国の脱炭素社会への移行と整合的なソリューションを提供する、そうした支援へと転換をする必要があるのではないかというのが3点目でございます。もちろんそのための支援、あるいは相手国の環境社会配慮というものも重要な点であります。いずれにしても、現在のコロナウイルス感染症が示しているように、大きな社会の変化というものがこの感染症だけでもございます。きちんとした最新のファクトに基づいて、日本の政策の在り方がこの問題についても議論がされるということを期待しております。最後に、大臣をはじめ委員の皆さん、そしてヒアリングに御対応いただきました事業者、団体の皆さん、そして重ねて、鈴木副大臣をはじめ関係省庁の皆さまに大変有益なインプットをいただきました。この場を借りて改めてお礼を申し上げたいと思います。以上でございます。
(大臣)ありがとうございました。今、高村先生から挙げていただいたポイントのうち、特に最初の三つですが、私としては次のように受け止めています。一つ目、脱炭素へ向けたビジネス、金融の大きな変化は、ロックインや座礁資産化といったリスクを高めているのではないか。だからこそ石炭火力発電事業のリスク評価には、より長期の視点が求められる。このポイント1ですね、この長期的視点を持った評価が必要だと、そういうことです。特にこのロックインというのは、大体石炭火力発電所というのは一度稼働したら約50年稼働しますので、今後、その輸出した相手国をまさにロックインしてしまうといったことは以前から指摘をされていることが、更にそのリスクが高まっているのではないかということで、より長期のリスク評価が必要だというのがポイント1です。そしてポイント2、これがパリ協定の目標達成に向けて長期的視点を持たずに短期的、経済的な観点から輸出を進めていくことは、世界のCO排出削減に貢献するエネルギーインフラの国際展開とは言えず閣議決定をした長期戦略の方針に反する、こういうふうに明確に御指摘をいただいたものだと認識をしています。さらにポイントの3つ目として公的支援の在り方、公的支援はビジネスへの支援にとどまらず、相手国の脱炭素化という長期的な視点を併せ持って、脱炭素移行ソリューション提供型の支援へと転換することが重要だと明記をされました。この中でソリューションという言葉を使っていますが、このソリューションというのは具体的な解決策のことで、相手国に伴走して支援していく、そういったことを意味しています。つまり相手国の長期戦略の策定などの政策支援、これは東南アジアなどでは長期戦略を策定されていない国が多いので、そしてまた再エネ、省エネなどの対策支援、これを相手国の発展段階に応じて実効的にきめ細かく実施していくものだと理解をしています。これら3つのポイントは、私なりの解釈をすれば、パリ協定やSDGsといった地球規模の課題に世界が立ち向かっている中で、我が国のインフラ輸出は売れるから売るではなくて、脱炭素への移行が促進されない限り輸出しないという、いわば脱炭素化原則へと方針転換をしなければならないというメッセージだと受け止めています。以上の3点に加えて、脱炭素社会への移行の方針を示す長期戦略の策定などの政策的な支援を併せてしていくこと、インフラ輸出に当たっては環境社会配慮への対応を十分に確保すること、今後も継続的に情報を更新して、最新のファクトに基づいて環境と成長の好循環の実現に向けた世界に貢献する我が国の政策の在り方についての議論をしていくことなどが示されており、すべて全くそのとおりだと。環境省としてしっかりとこのファクト検討会でまとめていただいたファクト集、そして分析レポート、これを受け止めまして、具体的なアクションにつなげていきたいと考えています。高村座長をはじめ、ファクト検討会の皆さんには大変素晴らしいファクト集と分析レポートをまとめていただきました。こうした成果を土台として、インフラ輸出戦略骨子の策定に至るまでに関係省庁としっかりと議論をしていきたいと思います。私からは以上です。高村先生、改めてありがとうございました。

2.質疑応答

(記者)読売新聞の安田です。ファクト検討会についてお聞きします、今、取りまとめのポイントのお話がありましたけれども、今回の成果を踏まえて各省庁とこれからどういうふうな調整をされて、最終的に着地点として大臣のおっしゃる4要件についてどういう方針を示していきたいと大臣として考えていらっしゃるかということを。
(大臣)まさに調整真っ最中ですから、事務方が努力をしていただいているので、このファクト検討会の中でも関係の4省庁はすべてオブザーバーという形で入っていますから、そこで築かれた土台、そして信頼関係、そういったことに基づいてしっかりと調整をしてもらいたいなと。私は当面見守りたいというふうに思っています。ただ、中立・客観、これを大事なこととして、関係省庁にはこのファクト検討会にも参加をしていただきました。そして、分析レポートで示された点、脱炭素移行ソリューション提供型の公的支援の実施とか、このポイントが三つ、そういったことも含めて、今後世界の脱炭素化に貢献をするためにインフラ輸出はどうあるべきなのか、そこについては今後の一つの軸となるような考え方、そういったことについて、出席をしていただいていたわけですから、どんな議論があったのかは認識をされている上での調整だと思います。しっかりとまずは事務方で議論をしてもらいたいなと。事務方の議論の報告はまだ来ていませんので、その報告を逐次受けながら、そうもう残りの時間もないので、しっかりと汗をかいていきたいと思います。

(記者)朝日新聞の水戸部です。ファクト検討会について教えてください。大臣は昨年のCOPで日本の石炭火力に対する世界からの批判を身をもって感じてこられたと思います。新しい公的支援の在り方は政府として決まるものというのは存じているんですけれども、大臣御自身はファクト検討会の議論を通じて、欧州の国々のように原則輸出禁止の方針を打ち出すべきだと思われるか、それともファクト検討会の議論を通じて、それとは違う思いを持たれたのか教えてください。
(大臣)まず、調整真っ最中なので、私があまり自分の考えを申し上げるのは調整の邪魔にもなるので控えたいと思います。ただ、なぜこのファクト検討会が生まれたのか、そして今までこのファクト検討会が生まれた経緯を、それは各省庁も見ているわけですから、私の思いが分かった上での調整だと思います。そして、去年のCOP25に行く前も調整を試みたわけです。そのときは調整は整わずという経緯を踏まえれば、今やっている調整だって私は最後まで楽観はしていません。それだけ私もこの山を動かすのは並大抵のことではないと痛感している当事者だし、世界からも日本はなかなか動かない、そういうふうに思われている中でどのように動くか、この調整は非常に大事なものでありますから、最後までしっかりと見ていきたいと思っています。

(記者)毎日新聞の鈴木です。今の関連なんですけれども、今、モニターでも先ほど映された脱炭素原則というものについて伺います。これまでのファクト検討会の中で中立的な議論をしてきたという話なんですけれども、結論としてある程度今の結論についてメッセージ性があるのかなと思っているのですけれども、これまでの輸出4原則と比べても、ちょっと踏み込んだ書きぶりなのかなと思っているのですけれども、こういうメッセージを打ち出した意味を改めてお聞かせいただきたい。
(大臣)まず、このポイントの1、2、3、これは私が打ち出したというよりも、ファクト検討会で高村座長はじめ専門家の皆さんがファクトに基づく議論をすると、こういったことが言えるという、まさにファクトから浮かび上がってくる分析、これがまずポイントの三つなので、これは私の主観でポイントは三つだと言っているものではありません。まず、そこを御理解いただいた上で、そのポイント三つを整理していただいたことを私がどう受け止めているかというのはその矢印の下のところにあって、今までややもすると相手国が望むものは売れるなら売ると、そういったビジネス最優先、それは民間企業からしたら当然のことかもしれませんが、まさに売り手よし、買い手よし、世間よしという三方よしというのがSDGsの考え方も共通するものではありますし、売れるから売るだけじゃ駄目だ、しっかりと脱炭素への移行が促進されない限りは輸出をしない、こういったことが結果としてこのポイント三つを整理していただいた中から読み解ける、そういったことではないかというのが私なりの見方です。ですので、この議論を踏まえて、最終的に今進められている調整が各省どのような議論になっているか、逐次報告を受けながら私なりにも思いをフィードバックして、最後までこの調整はどういう決着を見せるか分かりませんから、昨年はまとまらなかったものですから、しっかり最後まで見ていきます。

(記者)環境新聞の小峰です。今国会に上程され、近く参議院の審議が始まります復興庁設置法改正案などの束ね5法案についてお聞きします。この法案には特会法改正案が含まれており、その中でエネルギー特会の見直し条文が入っています。石油石炭税や温暖化対策税を原資としたエネルギー需給勘定から電源開発促進税を原資として除染土の中間貯蔵財源ともなっている電源開発促進勘定への流用ができる規定が入っています。小泉大臣は今回のエネルギー特会の見直しについてどう考えていらっしゃるのでしょうか。
(大臣)今、国会で、小峰さんから御指摘があった、審議がされている復興庁設置法等の一部を改正する法律案、これは原子力災害被災地域は今後も中長期的な対応が必要であるということを踏まえて、復興・創生期間後の復興を支える仕組み、組織、財源、これを整備するものだと理解をしています。この法案による特会法の改正により、エネルギー対策特別会計において、将来、電源開発促進勘定に一時的な財政需要が生じた場合に備えて、福島の復興再生に関する費用に限定をしてエネルギー需給勘定から電源開発促進勘定への繰り入れが可能となります。また、当該繰入金については、後日、エネルギー需給勘定に繰り戻されなければならないことが法律上明記されています。仮にエネルギー需給勘定から一時的な繰り入れを行う場合も、これまでと同様、エネルギー需給勘定における再生可能エネルギーの推進などの事業の性格や必要性などを踏まえて、毎年度の必要額を予算措置するため、再生可能エネルギーの推進などに影響が生じるものではないというふうに理解をしています。いずれにしても、環境省としては、一日も早い福島の復興に向けて、何よりも安全を第一に全力で取り組んでいきたいと思います。小峰さんの思いは、このことで再エネに対するブレーキ、こういったことになりはしないか、そういう御心配かもしれませんが、政府全体で再生可能エネルギーの主力電源化と言っているわけですから、特に環境省はそれにもとることがないように、これからも引き続き取り組んでまいります。

(記者)NHKの杉田です。熱中症予防行動についてお伺いしたいのですけれども、今回、新型コロナウイルスの対策の2番で入れられたということで、気温・湿度の高い中でのマスク着用は要注意ということだったんですけど、もう少し具体的にどういうことを呼びかけたいというのがあれば教えていただければと思います。
(大臣)まず、熱中症の取りまとめを環境省がやっていますので、毎年、熱中症に対する注意喚起、そういったことをやっている中で、今回、まさに今日発出したものでありますけど、環境省と厚労省で連携をして、コロナの中で特に注意すべきことは何か、今までと一番違うのは間違いなくこの2番で、今できる限りマスクをしましょうと言っている中で、あえてマスクを外しましょうということは、ちょっとメッセージとして違和感を持った方もいるかもしれませんが、気温や湿度が高い中でのマスクの着用が結果として熱中症のリスクを高めてしまっては、やはりそれは元も子もありません。そして、前回の会見のときも言ったかもしれませんが、熱中症になって医療機関に行かなければいけない状況になって、そのことで医療機関側が逼迫をする、それが結果としてコロナとか、様々なところで医療機関の負担になる、こういったことになってはいけない。ですから、外で運動しているときなど、3密を回避している環境の中でしっかりとリスクをちゃんと考えれば、マスクを外した方が健康リスクも含めて、感染拡大防止にも別に悪いことはなく、両立ができる。そういった判断の中での今回の一つのメッセージは、適宜マスクを外しましょうということですので、ここに書いてあるとおり、屋外で人と十分距離があれば、そこは外していただいても構わないケースはあると思いますので、こういったことをこれから新しい日常の中で、まさにニューノーマルの一つかもしれませんね。誤解なく、いつでもマスクをもう外して大丈夫ですというメッセージではないので、そういったことをしっかりと伝えられるように、これからも周知説明はしっかりとやりたいと思っています。

(記者)エネルギージャーナルの清水です。昨日の緊急事態解除で経済対策が政府として発表されたわけですけども、詳しく見てないですけれども、これに環境のカの字も出てこないし、温暖化のオの字も出てこない、という具合に私は認識したのですけれども、海外の石炭火力の輸出へ厳しい思いをするのも重要ですけども、国内対策として、例えばパリ協定をコロナ後にどうするんだ、どういうアクションを日本は取っていくんだ、環境政策の基本的な方向性が見えないんですけれども、その辺はどういうお考えを今お持ちですか。
(大臣)まず、緊急経済対策の中にも、今後、経済社会の回復とともに脱炭素への移行が推進されなければいけないということはしっかりと明記をされています。そして、4月末に開催されたドイツでペータースベルク対話というのがありました。世界各国から約30カ国の閣僚級が参加をした会でありますけれども、その中で私からは、人類は今、新型コロナウイルス感染症と気候変動という二つの危機に直面しており、その対処に当たって、気候行動を置き去りにした経済復興の道はない、そういうふうに申し上げました。そして、脱炭素社会への移行をこの機会にしっかりと高めていくために、互いに世界各国がコロナからの経済社会の復興の策と気候変動対策の両立をどのようにやっているのか、それをしっかり世界で共有すべきだということで、今年の夏ごろにオンラインでの世界各国が集まるプラットフォーム、このオンラインプラットフォームを開催すべきではないかと、そういうふうに提案をしました。この提案からは、ドイツのメルケル首相、グテーレス国連事務総長、そして先日、国連気候変動枠組条約事務局長のエスピノーザ事務局長ともバイ会談をウェブでやりましたが、その中でも協力をして実現に向けて一緒になって調整をしていこうということになったように、まさにCOP26が延期になって、まだいつやるか分からない中で、世界各国がこの気候変動のことを共に共有しないままCOP26まで行くのは全く得策ではない、そういう思いから日本から提案をしたことが今実現に向けて動き始めていることが、何よりもこのコロナからの復興で気候変動の取組をないがしろにはしない、そういったことの思いの表れで、他の国、どこもそういう提案をしなかったわけですから、まさに日本が先導してそういった議論の機運を高めるために引っ張っているというふうに思いますし、たびたび私からも説明をしているEV化の支援、配送・物流の、そういったことやサプライチェーンをもう1回国内回帰に戻していく企業、そういったことで太陽光に対する支援、そしてまた、家庭で過ごす時間を増やしていく中で家庭の中の断熱性能の向上の支援とか、そういったまさに気候変動とコロナからの経済社会の回復の両立を図っていくことを具体的に実行しているというのは、まさに私はもっと多くの方に伝えていきたいと思いますし、ここが大事だということが政府全体でも高まっていくように、今後もしっかりと取り組んでいきたいと思います。なお、この第2次補正については、第1次補正を強化するためのものでありますから、まさに今までも説明しているとおり、打つべき施策を打つべきタイミングでやると、そういったことが大事ですから、めりはりも大事だなと。環境省の場合は当初予算の執行、そして第1次補正で組んだものをしっかりまずやること、そういったことが大事だと思っていますので、今後、必要なときに必要な施策が打てる準備を引き続きしていきたいと考えています。

(以上)