大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年5月12日(火)10:30 ~ 10:55 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日まず1点目は、プラスチックに関する合同審議会の立ち上げについて触れたいと思います。今足元の新型コロナウイルス感染症対策に総力を挙げているところでありますが、これと同時に、この後の新しい経済社会のあり方を、多くの人が考えている循環経済への移行につなげるべく、プラスチックからの社会の再設計、リデザインにより、我が国の新たな成長エンジンとすることも、コロナ対策とともに待ったなしの状況であります。このため、経済産業省と一緒になって、中央環境審議会、そして産業構造審議会の合同会合を新たに立ち上げて、プラスチック資源循環戦略の具体化に向けた本格的な検討を開始することにしました。今日、第1回の会合を開催します。環境省と経産省のツインエンジンで、丁寧かつ倍速のスピードで、検討を進めていただいて、まずは今後のプラスチック資源循環施策の基本的な方向性を、この夏までに取りまとめていただきたいというふうに考えています。気候変動や海洋プラスチックごみ問題、生物多様性などの地球規模の課題への対応は、待ったなしの状況です。コロナの危機はありますが、コロナの危機が顕在化する前から存在していた危機がこういった危機です。世界の循環経済に舵を切り始めており、プラスチックは、その1丁目1番地であります。我が国は従来から循環型社会の取組をリードしてきましたが、製品や社会システムを再設計して、廃棄、リサイクル段階までを見越した循環型経済にいち早く移行して、課題を解決して、同時に世界に展開・貢献していく必要があります。代替素材イノベーションやリサイクルの拡大等により、プラスチック分野で少なくとも国内プラス1.4兆円の経済成長、そして、4万人の雇用の創出ができると、そういう試算もあり、我が国はそれを実現するための優れた技術・システムもあります。プラスチック資源循環を我が国の成長分野と位置付けて、投資ができる環境整備を積極的に進めていく必要があります。またプラスチックは、国民生活に深く浸透していて、循環型の社会システム・ライフスタイルとすることで、少子高齢化・人口減少などの社会課題、地域課題に対応して、持続可能な社会地域づくりにつなげていく必要があります。地方自治体、産業界、市民団体、消費者など、様々な主体の連携協力、創意工夫、イノベーションによって社会の再設計を進めて、新たな成長を実現していくことが、この先ますます重要であり、そのために必要な対策・施策を、これまでに類を見ないスピードでまとめていただくことを期待しています。それが、環境省、経産省、合同審議会ということが、二つのツインエンジンで倍速で、夏までに、1つの基本的な方向性をまとめていただくということに込めた倍速の意味でもあります。1点目は以上です。
 2点目は、新型コロナに関するお知らせをしたいと思います。新型コロナウイルス感染症に係る対策について、まず廃棄物対策の取組についてお伝えをしたいと思います。先般、私からも報告をしましたが、外出自粛に伴いまして、家庭から出るごみの排出量が増加していて、また自宅療養の増加によって、廃棄物処理に携わる方々の負担や不安が増しています。こういったことから、3月に作成した家庭のごみの出し方を啓発するチラシを、今回このように、前回とはまた大幅に改良して、先週8日金曜日に、ホームページなどにおいて、家庭ごみを出すときに心がける5つのこと、ということで公表しました。国民の皆様におかれましては、改めて、ごみ袋はしっかり縛り封をする。そしてごみ袋の空気を抜いていただく。生ごみは水切りをする。そして普段からごみの減量を心がけていただく。そしてまた自治体によっては様々ルールがありますから、自治体の分別収集ルールを確認していただく。こういったことを改めて意識をしていただければというふうに思います。そしてこの前も私から現場の皆さんに対する感謝ということを申し上げましたが、こういった機会にかかわらず、日々の我々の国民生活のインフラを支えていただいているすべての廃棄物処理業に関わる皆さんに心から感謝をしたいと思います。そして次が、ペットの飼い主に対してもお伝えをしたいことがあります。今、次のチラシが出ましたが、ペットを飼っている方で、もしも御自身が万一感染をしてしまったら、医師の指示に従って速やかに入院できるよう、飼っているペットを誰に預かってもらうかをあらかじめ考えておいて欲しいと思います。自分とペットの命を守るためにまずは御自身が感染しないことが重要でありますが、仮に感染をした場合、事前に預かり先を決めておくなど、飼い主がとるべき行動のポイントなど、このチラシにまとめたので、ぜひこういったことも参考にしていただきたいというふうに思います。仮に感染をして、特に一人暮らしの方とか、それでペットを飼っている方で、どうしても近くに預かってくれるところがない、預かってくれる身内の方もなかなか今いないと、そういった方もいると思います。どうしても預かり先を見つけられない感染者の方には、ペット保険のアニコムホールディングスさんだとか、相談窓口を設けていますので、併せてお知らせをしたいと思います。今日は冒頭私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)NHKの吉田です。冒頭にありました、プラスチックごみに関する合同審議会の件なんですけれども、この夏に今後の計画をですね、取りまとめるということなんですけれども、具体的にどのような計画を想定していらっしゃるのかをお聞かせください。特に今年に入ってから、コロナの影響で、衛生上の理由などからプラスチックの使用が増えているという話もありまして、プラスチック資源循環戦略を策定した時よりも状況が大きく変わっているかと思うんですが、そうした面についても、何かこの計画の中では触れていく形になるんでしょうか。
(大臣)まず、具体的な進め方、またその中身については、この合同の審議会の中で、しっかりと専門家の方、関係者含めて、幅広く議論をいただきたいというふうに思います。今回この中央環境審議会のもとに、産業界、地方自治体、市民団体、有識者などの幅広い関係者で構成するプラスチック資源循環小委員会、この小委員会を設けて、昨年5月に策定したプラスチック資源循環戦略の実現のための施策について御議論いただくと、そういった予定です。そして今日、5月12日に産業構造審議会との合同でWeb開催をする予定です。このプラスチック資源循環戦略では、予算、制度的な対応を含め、あらゆる施策を講じることとなっており、関係者から幅広く意見聴取・議論して、重点戦略に掲げる具体的な施策をまとめていただきたいというふうに思っています。夏までに、基本的な方向性をまとめていただいて、そのあと、その基本的な方向性をベースにして、詳細な議論を経て、年度内に結論を出していただけると大変ありがたいというふうに思います。先ほども冒頭触れましたが、プラスチック、この2050年に、海洋への海への追加的な汚染をゼロにする、ブルーオーシャンビジョンもあります。そういったことだけにとどまらず、一つの課題を、むしろ、新たな新産業の創出、そして雇用の創出、日本の強みを国内外にしっかりと売っていけるような、そういった発想が非常に重要だろうということで、先ほど申し上げた通り、このプラスチック分野で、少なくとも国内プラス1.4兆円の経済成長に寄与できる。そして4万人の雇用創出、これにも寄与できる可能性があるという試算もあります。私としては、今回これらの危機を受けて、今プラスチックの現状も使用量が増えているのではないかというお話もありましたが、まずは、このコロナを受けての命を守る行動を優先させたい。そこは大事だと思います。ただ、同時にコロナの中で、環境が置き去りになってしまうことは絶対にいけない。そういうことを招いてはいけないと思いますので、大事なことは、今後目の前で、大きな社会的政治的な課題になってくるのは、一つは雇用だと思います。雇用の部分においても、今までややもすると、環境というのは、経済や雇用に対して足かせだったり、負担だったり、そういうふうにネガティブにとらえられる方が特に経済、産業サイドというか、そういったところには、あったと思います。しかし、今、環境と経済の好循環だという中で、むしろ、より気候変動対応を脱炭素型の社会構造を作っていくことで、経済成長にも繋がり、雇用の創出にも繋がるんだと。まさに、その先駆的な分野の一つがこのプラスチックになると思いますので、今回合同審議会の中で、そこに資するような形で、しっかりと関係者募って、議論を詳細にしていただきたいと思っています。

(記者)朝日新聞の水戸部です。コロナで緊急事態宣言が延長されて、今度追加の経済対策っていう話とかも出てるんですけれども、環境の分野で、小泉大臣が追加で対策を打たなければならないと考えている点がありましたら教えてください。
(大臣)雇用ですね。もう間違いなく、今、大事なことは、いかに、見込まれているような、必要業者数の増加、雇用の創出、ここに手を打つか、これが環境省という、環境行政をつかさどる省としても、いかに雇用を守るか、雇用を生むか、ここが重要であるということを今省内でも議論をしています。その思いは、このコロナが発生した時から、間違いなくこの雇用に影響が出る、大きなダメージが出る、そう思っていましたので、すでに成立をした緊急経済対策の中でも、自然局の担当ですが国立公園、この周りの観光事業者、皆さんがもう経済社会活動の回復まで持たないと、そういう切実な現場の声を聞いて、とにかく、そこまで生きられるように、倒れないように、何ができるかということに、大変異例なことでありますけど、環境省として、雇用対策、これ約1000人規模の雇用を見込んでいます。こういったことを入れたのも、その危機感のあらわれです。そして、今後の話はまだ正式には出ていませんので、これからだと思いますが、引き続き、今省内で議論していることは、先日の自然局の担当の部分での雇用だけでなくて、これから環境省全体としても、いかにその雇用の創出に繋がるか。こういった発想で、様々な事業を、展開をして、打ち出していく必要があると。仮に、第2弾、今後の追加対策ってなった時にも、その雇用を守る、いかに雇用に寄与できるか、これを環境省としてもしっかりと考えて打ち込んでいく準備をしたいと、そう考えております。

(記者)日本農業新聞の髙梨です。昨日のアルプス水処分法について意見を伺う場で、食品小売の業界団体などから、放出処分には風評に懸念する声と国民の信頼を得られないならば、放出処分しない覚悟も必要だっていうような強いメッセージも発せられました。これに対する小泉環境大臣のお受けとめお考えを教えてください。
(大臣)昨日第3回開催されたと聞いています。そして、環境省からは、テレビ会議で接続する形で、第1回第2回目に続いて石原副大臣に対応していただきました。会合では、今御紹介があったような意見もありましたし、処理水の取り扱いについては、風評対策も含めて、国が前面に立って責任を持って実施すべきという意見もありました。そして、結論ありきの議論、押しつけは国民の不信感を招くという意見もあり、また処分にあたっては、安心安全の担保と、風評被害防止が必要不可欠だと。そして安全性については、科学的知見に基づく専門機関等による情報を国内外に発信することが重要だ。また、国民の安心を得るには、国民への正しい情報のわかりやすい開示や、聞き手の理解度を踏まえた丁寧な説明が必要だと、そういった意見が出されたというふうに報告を受けています。意見を伺う場っていうのは、経産省からは、今後も開催を予定していると聞いています。環境省としても、地元の関係者などの意見をしっかりと聴取をして、政府としての、そのあとの検討に生かしていきたいと思います。今、小売の方からの御意見があったというふうに聞いています。私も今まで復興に携わった中で、まさに農業、そして水産業、その皆さんが、収穫をしたもの、そしてまた生産をしたもの、そういったものが、原発事故以降、買いたたき、風評被害の中で、値がなかなか戻らない御苦労をされている。そしてそういう、まさに現状のことを小売の方もよく理解をされていると思いますから、その思いが、意見を伺う場で出されたんだと思います。そういった御意見も含めてですね、意見をしっかりと受けとめた上で、政府としてどのような、処分方法を決定するのか、まさにこれはこれからの話ですけど、そういった声もしっかり耳を傾けて、受けとめて、一緒になって進めていきたいと、よく現場の声を聞きたいと思っております。

(記者)共同通信の石川です。石炭のファクト検討会についてお伺いします。大臣も省庁間合意ができた際の会見などでも、厳格化する方向での見直しの議論を進めると仰ってました。で、現在の進んでいるファクト検討会ではファクトブックと、それを読み解くガイドのようなものを作成する方向で議論が進んでいるというふうに認識しております。そこでお伺いします。厳格化する方向での議論というのは当然、ファクト検討会での議論も含まれているという認識でよろしいかということと、ファクトを積み上げるっていうことが、その厳格化に寄与するものなのかどうかっていうところ、教えてください。
(大臣)今週は第4回が、明後日14日に開催をされます。これまでと同じくWeb開催を予定しています。前回の第3回の検討会では、ファクト集の取りまとめに向けて、金融、経済、技術などの観点から様々な御意見をいただきました。これらの御指摘も踏まえて、より充実したファクトブック、ファクト集の案を提案して、委員に御議論をいただく予定であります。そして今、お触れになりましたけども、ファクトも相当厚いものが、今皆さんから寄せられていますので、そういったファクトをただですね、まとめるだけではなくて、ファクトからどういったことが読み取れるのだろうかと、そういったことも御議論をいただく予定であります。これは座長のもとで御意見いただきますが、今回このファクトベースに議論をすれば、おのずと、そのファクトから関係者が客観的に立場を超えて議論のできる、共有できる素地ができると思います。そういったファクトを検討会がまとめたことを踏まえて、各省、4省庁で、今後インフラ輸出の新戦略の骨子の策定に向けてそれぞれ議論をして、調整をするということになると思いますので、まずはですね、ファクト検討会、このファクトに込めた思いというのは、それぞれの省がそれぞれの思いがありますから、そういった中でもお互いが立場を超えて、省の垣根を越えて議論をできる土台を作ろうと、そういう思いで集まっていますから、まずはですね、このファクト検討会終わっていませんから、そこが終わるまで、しっかりとこのファクトを積み上げた一つの、議論の材料を高村座長のもとで、練り上げていただきたいと思います。そしてすでに、このファクト検討会という名前も含めて、よかったと思っています。このファクトということに、みんなが思いを持って同じ認識を持って、建設的な議論が積み重ねておられるなと思いますので、その後、信頼関係に基づいて、いい議論ができることを私としても、この検討会の運営、そして座長のさばきに期待をしているところであります。

(記者)NHKの吉田です。幹事社としてなんですけれども、この会見について今、こちらにいらっしゃらない方から、2点ほど質問が届いていますので、そのまま読み上げさせていただきます。フリーの横田さんからの質問なんですが、2つありまして続けて読みます。まず1つ目、安倍首相に閣議などで進言できる閣僚として、火事場泥棒とも指摘される、検察庁法改正案審議の緊急性や必要性自体に対するお考えと、安倍首相に疑問提示や異議を唱える御意向があるのかどうかお聞かせください。また2つ目、ネット上で、検察庁法改正案反対の声が広がっていることに対する受けとめや御見解や御感想についてお聞かせください。
(大臣)検察庁法の問題にとどまらずですね、例えば、先ほどの石炭の輸出の政策などについても、政府内で様々な議論を、私なりにも、立場を時にはぶつかることがあったとしても、議論すべきは議論をしています。そして、今、お触れになったこの検察庁法はじめ、国家公務員法等改正法案、こういったことは審議中でもありますので、環境大臣としてのコメントは控えたいと思います。そして、政府内では日頃からいろんな意見交換をします。例えばですね、この前、閣議が初めてテレビ会議で開催をされたということもありましたが、あれが実現をする、大分前から、こういうコロナの中で、そういった形で開催をすることも考えてはどうかということも、私から申し上げたこともあります。ですので、必要な時に必要なことを意見交換する。これは政府としても、政府内で当然のことだと思っています。

(記者)北海道新聞の竹中と申します。冒頭触れられたプラスチックに関する合同審議会の関連でもあるんですけれども、先日、成立しました第一次補正予算の中では、ワーケーション推進事業が入っておりまして、予算委員会の中では野党から、これ今やるべき予算かというような議論も聞かれました。一方で足元ではですね、都内の感染者数は減ってきておりますけれども、北海道の様に第2波があるかもしれないですし、足下の感染症対策っていうのを、緩めるわけにいかないと思うんですけれども、ポストコロナ、コロナ収束後を見据えた事業の打ち出し方と、その辺りの現在やることとのバランスが重要かなというふうに思いますがその辺りどういうふうに考えられますでしょうか。
(大臣)この前予算委員会で、今御指摘のあったワーケーション、これについても御指摘ありましたが、予算委員会で説明をして御理解をいただいたと思います。今、そのワーケーションを今広げようって、やりましょうっていうことを言っているわけではなくて、これから経済社会活動が再開されることを見据えて、今から準備をできることをしっかりやっていきましょうと。これは、反響私は結構あると思います。国立公園を知っている人は多いと思いますが、国立公園の中で働ける、そして宿泊ができる、そういったことを知っている人って、どこまでいるだろうかって言った時に、これから、このコロナがですよ、一定程度落ち着いて、経済社会活動がある程度活性化される、そういうところになったときに、今、特にこういう都市部において、テレワークとが大分広がって、オフィスに行く意味あるのかなと。むしろ、オフィスに行ってた通勤の時間を、より快適な場所で仕事ができる環境があったらと。そういうふうに思ってる人もいるだろうし、私は企業の中でも、今までのこの都心の中にオフィスを広げる、オフィスを持つというんだったら、これからは、事業継続の観点からも、そして今後、少なくとも、コロナとつき合っていかなければいけない中での経済活動をやる中で、サテライトオフィスなどを抱えていた方、企業の経営にとってのリスクも分散化できる、そういう発想も生まれると思います。その時に、国立公園でサテライトオフィスを持ちませんかって言う発信は、私はできるタイミングになったらやりたいと思っています。それは経済団体にも伺って、国立公園の中にそういう候補地ありますよ。そしてこれだけの宿泊施設も国立公園の中にあります。そして現にキャンプ場は国立公園の中で300ヶ所ありますから。そういったことも、この前も事業者に私は意見交換しましたが、相当、それなりのニーズがあるだろうということです。ですので、まさにこれからコロナからの復興というときに、新しいライフスタイルが根付くように、準備を進めるっていうのは、ライフスタイルの変革、そして社会変革担当省であるという、常々言っている環境省の立場からしても、私は今から準備をすべきことだと思いますし、ワーケーションという言葉、まだなかなか広がってない、認知も少ない低いと思いますから、この機会に、より多くの方に知っていただいて、まずは雇用をしっかり支える。それを、国立公園の周りの、ツーリズム事業者とか、そういった方には千人規模でやる。一方で、立ち上がった後に、今までにはなかったライフスタイルを根付かせるための準備を、ワーケーションも含めてやる。こういったことでしっかりと、いいタイミングで、いい施策が打てるように準備を進めて参りたいと思っております。

(以上)