大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年5月8日(金)10:33 ~ 10:57 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 この連休中4日に、新型コロナウイルス感染症対策の緊急事態措置の実施期間が延長されました。まずは、昼夜なく私たちの命を救うために厳しい環境の中で闘っていただいている医療従事者の方々に心より敬意を表したいと思います。また、連休中も休みなく国民生活を守るために働いてくれていた小売業や運送業、そして廃棄物処理業などに携わるエッセンシャルワーカーの皆さんに心から感謝を申し上げたいと思います。そして、厚生労働省へ派遣されて働いてくれている環境省の職員も、休みなく働いてくれていると思います。改めて感謝と激励の言葉を贈りたいと思います。一方で、4月30日に成立をした令和2年度補正予算については、緊急経済対策の一環として環境省の中からも雇用の維持・確保、こういったことも入れてありますので、しっかりとこの事業が早期に執行されるようにフォローしていきたいというふうに思っています。
 冒頭、今日は私からは以上ですが、一つだけ付け加えさせていただくと、岡本行夫さんが亡くなられたということを私も報道で知りました。岡本さんには私も大変薫陶を受けたというか、お世話になりました。今、議員の仲間たちで勉強会もやっていますが、去年には岡本さんにはその講師として来ていただいたこともありましたし、私としては、岡本さんと父の仕事の関係もありました。そして、私自身政治家になってからの関係としては、東日本大震災の復興支援で、岡本行夫さんは東北の沿岸部の漁業復興支援、この漁業復興に「希望の烽火(のろし)」というタイトルで、名前で復興支援活動をやって、東北の港に、浜に冷凍コンテナ、そしてフォークリフト、様々な支援をやられていて、私は個人としてそういったことに共感をして、一緒になって東北に行ったことも今でも鮮明に覚えています。そういった岡本さんが今回新型コロナウイルスで亡くなられたという報道に接して、今までお世話になった様々な光景を思い出しました。岡本さんは外交官でもありましたが、私にとってはそれ以上にリアリストで、そして情熱家であって、そして何よりも優しくすてきな方でした。ウイスキーが大好きで、私も一緒に飲んだ記憶がありますが、そういった岡本さんが今回亡くなられたことを受けて、改めて、一日も早くこの感染症が収束に向かうように、今月5月が経済活動、社会活動の再開に向けた、まさに希望ののろしが上がるような、そういった月間にしなければ、月にしなければいけないと、そういう気持ちを新たにしています。改めて心から御冥福をお祈りしたいと思いますし、この状況が少しでも、経済社会活動が再開された暁には、岡本さんに紹介をしていただいた方々もいますので、そういった皆さんと岡本さんをしのぶようなそういった会ができるように、今月しっかりと緩和に向けたその月にできるように私も全力を尽くしていきたいと思っています。
 冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)NHKの杉田です。緊急事態宣言が延長されましたが、それに伴っての環境省の対応についてお伺いしたいのと、あと、テレワークの最新の実施率についてもお願いできればと思います。
(大臣)緊急事態宣言が延長されて環境省の対応ということでありますが、今、報道でも、例えば公園とか、そして美術館、そういったところが少しずつ開いていくような報道もあります。環境省としては、国立公園、そして国民公園、東京で言えば新宿御苑が代表的でありますが、所管をしています。そこは今、閉園をしていますが、今後こういった5月の中でも、西村大臣、総理等がおっしゃっているように、専門家の方の御意見も参考にしながら、これから新たな判断を含めて状況の変化に応じて対応というのが変わってくるんだろうというふうに思います。ただ、今、岡本さんとの関係で私が申し上げたとおり、今月が6月以降から経済社会活動が再開できるかどうか、それにとってはものすごく大きな月になる期間になると思いますので、決して緩むことなく、環境省が引き続き危機感を最大に上げながら今月やるべきことをやっていって、まさにいつ緊急事態宣言が解除されるのか、いつ経済社会活動が段階的であっても再開できるのか、そこで日々闘っている皆さんもいますから、そこを決して忘れることのない対応をしていきたいというふうに思います。
 そして、テレワーク、これについての最新の状況をということでありますが、5月1日時点での本省職員全体の出勤回避率、これはテレワーク、在宅勤務、休暇、こういったことも含みますが、80.1%、とうとう8割に届くことになりました。その1週間前の4月24日は75.5%でありましたので、この水準を維持できるようにという思いでやってきましたが、まさに今月、この8割に届いたということも、恐らく霞が関では他にはあまりないのではないかなと思いますので、しっかり環境省自身がこういった危機感と行動を両立させて、日本全体に対して一緒になってこの5月を乗り切っていけるように引き続き努力をしていきたいと思います。

(記者)日本農業新聞の髙梨です。ALPS処理水についてなんですが、処分方法に関するパブリックコメントが来週締め切りがあるんですが、改めて小泉環境大臣の立場と、放出による地元の農林水産業への影響をどう見ているか教えてください。
(大臣)今、経産省が松本経産副大臣の座長の下でやられていて、その第3回目、これをテレビ会議形式で開催をするというふうに伺っています。環境省からは、テレビ会議に接続をする形で第1回目、第2回目に続いて石原副大臣が出席をする予定です。石原副大臣、そして事務方からの報告などによって私もしっかりと状況把握をしていきたいと思いますが、今御指摘のあった農林水産業に対する影響、これは東日本大震災原発事故以降、風評被害、そして買いたたき、そしてなかなか値が戻らない、そして販路を一度失ったところがもう一回販路を開拓することの困難さ、ここで闘っている農業者、そして漁業者、私の知人も含めて多くいます。そういった皆さんの中には、今回このALPS処理水をどのように処分方法を決定していくか、これに対して本当に死活問題として捉えている方の声をしっかりと受け止めた上で政府というのは判断をしなければいけないと思っています。今回この意見を伺う場という形で、本来であればウェブ会議とかではない形を考えていると思いますが、コロナの関係でこういった環境になった中でもしっかりと、まさに意見を伺う場ですから、その農林水産業の皆さんの声も、既に農業関係者とか漁業関係者、意見を述べられる場があったと承知をしていますが、引き続きそういった現場の思いをしっかりと受け止めた上でこの意見を伺う場をしっかりと進めていただきたいし、環境大臣としても、松本副大臣をしっかりと支えるために、我々として事務方ではなくて石原副大臣を政務としてしっかりとその意見を伺う場に臨んでもらっているのも、一緒になって支えていこうと、そういった思いの表れであります。引き続きしっかりと、福島の復興を担っているのも環境省の大事な事業でありますので、そこをしっかり受け止めながら協力をして進めていきたいと思います。

(記者)神奈川新聞の川口です。ゼロカーボンシティの関係でお伺いさせてください。昨日、神奈川県の三浦市が表明をされました。ただ、全国的に見ると、コロナの影響もあってか、ここに来て宣言を公表する自治体は件数がかなり落ちています。大臣はコロナ対策の中でも気候変動に対する取組は置き去りになってはいけないということを常々おっしゃっていますけれども、改めて自治体に向けてのこの件のメッセージをいただけますでしょうか。
(大臣)私の地元の自治体の一つである三浦市がゼロカーボンシティの宣言をされたと、大変心強くうれしく思っています。そして、今コロナの中でも自治体の動きというのは、私は象徴的なのは北海道だったと思います。このコロナの中で、緊急事態宣言を自治体として初めて出したのは北海道でした。その緊急事態宣言を出した北海道が、コロナの緊急事態宣言のさなかにゼロカーボンシティを宣言したんですね。そういったことを受ければ、今、自治体は共にコロナの対策でやはり大変だと思います。そういった中でも、数としての伸び、これというのは、今コロナの真っ最中に最前線でやっているところですから、こちらからも、まさに集中と選択を考えたら、自治体の皆さんは今コロナ対策で資源を投入すべきだと私は思います。ただ、そういった中でも今後の将来を考えたときに、このコロナと気候変動の関わりというものは、世界的にもものすごく議論をされているところでもありますし、まさにこれから経済社会活動を再開したときに、どういう経済社会の構造を目指すのかというときに、気候変動という課題を、危機を決して置き去りにしてはいけない、その両立を図らなければいけないという議論の真っ盛りに、国際社会でも、私がペータースベルク対話に、この前ドイツで開催されたものでもその議論はいっぱいありました。私からもその経済社会の新しい形は、気候変動の対策をしっかりと組み込んだ形の脱炭素型の社会をつくっていかなければいけない、こういった話を様々な場でしていますが、この思いを自治体の皆さんとは共有できていると思っていますし、それがなければ6000万人を超える規模で今まで進んでくることはなかったと思います。引き続き、このコロナの対策で環境省の事業の中でしっかりと自治体の皆さんを支え、そしてまた今後、経済社会活動が段階的でもスタートしていく段階でしっかりとこの気候変動の危機に取り組むような、そんな後押しも忘れずにしっかりと進めていきたいというふうに思っています。

(記者)朝日新聞の水戸部です。来週12日にプラスチックに関して循環小委員会が第1回目始まるんですけれども、レジ袋有料化以降のプラスチックの対策で、大臣は特にどういう施策を打つべき、あるいは法改正が必要と思っているかを聞かせください、というのが1点と、あと、今、マイケル・ムーア監督の公開した映画で「プラネット・オブ・ヒューマンズ」というのが話題になっているんですけども、もし御覧になっていたら御感想とかを聞かせていただければと思います。
(大臣)まず、プラスチックの関係でありますが、中央環境審議会の下に産業界、地方自治体、市民団体、有識者などの幅広い関係者で構成するプラスチック資源循環小委員会を設けて、昨年5月に策定したプラスチック資源循環戦略の実現のための施策について御議論いただく予定です。5月12日に産業構造審議会との合同でウェブ開催をする予定です。プラスチック資源循環戦略では、予算、制度的対応を含めてあらゆる施策を講じることとなっています。関係者から幅広く意見聴取、議論をして、重点戦略に掲げる具体的な施策をまとめていただきたいと思います。夏までに基本的な方向性をまとめていただいて、その後、詳細な議論を経て年度内に結論を出していただければいいなというふうに思っていますが、まさにこれは経産省ともこの審議会で一緒になって進めていく話でもあります。そして、プラスチックということを考えると、関わるような産業、本当にもうほぼすべてと言っても過言ではないぐらい幅広く利用されているのがこのプラスチックです。今後、環境、気候変動の問題も含めて、そして2050年に追加的な汚染をゼロにするという「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の、まさにこれを大阪のサミットで掲げた国として、具体的に全体のプラスチックの戦略を、今年はレジ袋の有料化という、まさに一人一人の気付きから始めていただくという取組をやりますが、これからまさに制度としてどのように産業界など様々な方々の理解も得ながらスピード感を持ってまとめていくということになりますので、まずは私としては、しっかりその審議会の中で様々な課題もあぶり出していただきながら、今後むしろこのプラスチック対策が新たなリサイクルを生む、そして循環型の経済に向かっていく新産業創出のエンジンとなるような、そして新産業だけじゃなくて、それが生まれれば雇用の創出にもつながりますから、こういったことを考えれば、このプラスチックというのは何か課題に対してやらなければいけないということ以上に、今後のコロナの後の新たな経済社会の構造に向けて、より循環型の経済社会の構造を確立していく一歩につながる、新産業創出、そして雇用の創出、そこにつながる大事なテーマだと、そういう位置付けで私も捉えていきたいし、世の中の理解も得ていきたいと、そういうふうに思っています。
(記者)映画の方はまだ見られていないですか。
(大臣)すみません、マイケル・ムーア監督の映画はまだ見ていないので、この機会、どこかで時間がありましたら見てみたいなというふうに思います。

(記者)環境新聞の小峰です。ちょっと異質な質問かもしれませんけれども、今、イスラム教徒はラマダンに入っております。御承知のように、ラマダンは、日の出から日の入りまで、乳幼児を除き、食物は一切口にせず、貧しい人たちへの思いをはせ、飢者の心を育むためと言われております。一方、今世界はコロナ禍に見舞われ、同時に、先ほども大臣がおっしゃられた自然災害の激甚化などで温暖化の脅威にさらされております。そこで、いずれ総理になる人だと国民の期待も大きく、かつ国際感覚に秀でた小泉進次郎大臣のことですから、ラマダンというものに何か思いをお持ちなのではないかということをお尋ねしたいと思います。いかがでしょうか。
(大臣)私は、日本というのは他の宗教、そして様々な文化、こういったものに対する寛容さというのは世界の中で特に秀でているというふうに思っています。私もアメリカの3年間の生活がありましたから、いろんな文化、そして他宗教の方との触れ合いや、また職場などでもそういった方がいるのは当然のことでした。そういった中でも、日本が当たり前に思っていることは国際社会の当たり前でもなくて、例えば面白いのは、日本はこれだけ神社がありますよね。そして、神社にはそれぞれこれが御神体だという形がありますけど、日本で多分ほぼ毎年新たな神社とかが増えていて、こういったことの現状で八百万の神ということもありますけど、日本の中でのそういう文化、考え方、これは世界の中では、一神教の国は特にですね、驚きを持って話を聞かれるということも私も何度も経験があります。そういった意味からすれば、今小峰さんが言われたイスラム教、そしてラマダン、こういったことに対しても理解をしながら、日本というのは、まさに今気候変動の文脈で言うと、ヨーロッパの考え方とヨーロッパ以外の途上国も含めてこの架け橋となることができるような役割を日本というのは担うことができる、そういったことを私も、マドリードのCOP25でも、自分の中でも、特にブラジルやヨーロッパとの中での折衝、交渉の経験もあります。こういったイスラム文化に対する理解を日本のような国がしっかり持ちながら、様々な外交の現場でそれを生かしていく、こういったことも大切ですので、まさにこれからの世界、今、国際協調がいつの時代以上に重要だと言われている中で、他文化、他宗教、そこに対する理解というのは、私は国際協調をしっかりと絶やさないために不可欠なことだと思いますので、引き続きそういった異なる文化や宗教に対する理解も深めていきたいというふうに考えています。

(記者)この場に参加できないフリージャーナリストの横田さんから質問が出ているので代読させていただきます。2点ありまして、防衛省が設計変更を申請した辺野古移設工事は、世界的に貴重なサンゴ群落が生息する大浦湾の自然環境を破壊する恐れがあるが、現地を視察する考えはないのか。サンゴ群落を見ることができるグラスボートには野党国会議員や著名人や報道関係者らが乗っているが、このグラスボート視察をする考えはないのかということと、もう1点、環境省が沖縄の世界遺産登録を目指す一方で、防衛省がサンゴ破壊の恐れがある工事を進めるのは政権として矛盾していると考えないのか。環境大臣として安倍首相に意見を述べる考えはないのかという2点をお願いします。
(大臣)まず、当該海域におけるサンゴ類に対する環境配慮については、事業者である防衛省、沖縄防衛局において専門家の意見も聞きながら適切に行われるものだと認識をしています。なお、沖縄防衛局におきましては、一部のサンゴの移植を行ってモニタリングなどを実施していると承知をしています。そして、視察をしないのかということでありますが、現状視察はできないと思います。できる限り県外に行かないように、そういった中で、特に視察なども、私も今このコロナの関係でも、例えば廃棄物の現場、そしてこの前もごみ袋のことを紹介しましたが、ああいった一般の家庭ごみのことも含めてかなり量も増えて現場に負担もかかっている。そして、防護服とかマスクとか、こういったことも十分に今後確保もしなければいけない。今、私が視察を仮にできるとしたら、このコロナの中で優先順位の高い、そういったことに対して現場をしっかり見たいという思いもあります。ただ、それでさえも、やはり今、大臣たる私が動けばそれなりの人が動いてしまう。これが結果としては感染の拡大防止についてもむしろ逆効果になっては元も子もありませんから。視察というのは、どの視察ということに限らず、今、相当抑制をしながらやっているところでありますので、引き続きそこをしっかりとまずは重要視をしながら、もともと現場が私は大事だと思っていますから、視察は全く否定するものではありませんが、現時点で、テーマを問わず、この視察というのはやはり相当考えなければいけないことではないかなというふうに思っています。

(以上)