大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年3月17日(火)8:50 ~9:03 於:環境省第一会議室)

1.発言要旨

 今日は、令和元年東日本台風による除去土壌の大型土のう袋の流出を受けて実施した仮置場の総点検の結果と今後の対応を公表します。この総点検では、昨年11月末時点で除去土壌等を保管していた765カ所の仮置場、これを対象として地図情報に基づいて河川の近傍や浸水想定区域等に立地する仮置き場322カ所を抽出した上で、現地調査、専門家の意見等を踏まえて流出可能性を分析しました。分析の結果、流出防止等の対策が必要な仮置場が12カ所あることを確認しました。今後、これらの仮置場について環境省と福島県、市町村が連携調整をして、除去土壌等の搬出や移設、流出防護柵の設置といった対策内容の詳細を決定して、5月末までには実施する予定です。また、すべての仮置場について日常の点検、管理、そして豪雨などの災害の発生が予想される場合の事前措置の実施などを徹底します。特に市町村管理の仮置場に関する対応について、環境省は関係自治体と連携協力して積極的に関与していくつもりです。詳細については、後ほど事務方から説明をさせていただきます。
 そして次は、新型コロナウイルス対策、新宿御苑についてであります。新宿御苑については、感染防止策を徹底した上で開放を継続するということにしておりますが、14日から園内の温室の閉鎖の他、レジャーシートなどの使用をお断りするなどの対策は既にお知らせをしたところであります。基本的に屋外であるため、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解を踏まえれば、感染拡大リスクは少ないということですが、レジャーシート等を使用しての長時間の滞在による近距離での会話や発声、そして、手の届く距離に多くの人がいるという状況の重なりのリスクに留意をして、レジャーシートなどの使用をお断りすることとしました。天候のよかった15日日曜日、おとといでありますが、1万4000人の方に御来園をいただきました。御不便をおかけしながらも、園内ではそれぞれに間隔を取りながら休憩や散策、また、もう一部サクラも咲いていますから、そういったサクラを楽しむ姿も見受けられたというふうに現場からも報告を受けています。今週末の3連休は恐らく少しは暖かくなる予定で、桜の開花も進んでより一層の混雑が予想されるため、レジャーシートなどについては引き続き御理解、御協力をいただきたいというふうに思います。そして、カフェやレストランなどの施設、例えば今週末20日にはスターバックスが開業をするという、そういったこともありますが、混雑時に来園者の密集を防止するような対策を講じていきます。また、混雑状況によっては、入園をお断りする場合もあります。その際には入園門、そして園内における混雑の状況を総合的に見て、現場である新宿御苑管理事務所が判断していくことになります。御理解のほど、よろしくお願いしたいと思います。
 また、全国に国立公園があります。昨日国立公園満喫プロジェクトの現状について、地方環境事務所とウェブでつないで現地のレンジャーたちとも意見交換をさせていただきました。いずれの国立公園の現場においても、観光客、入園者が激減という、そういった状況になっている厳しい状況もつぶさに聞くことができました。今般の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年の利用者数、そしてまた今年、外国人観光客4000万人目標のうち、1000万人は国立公園で達成をするという目標がありますが、現実を見れば相当に厳しいのは明らかだと思います。このように目標達成には厳しい状況が続いていますが、まずは直轄施設での感染拡大防止に努めるとともに、必要な受け入れ環境整備を着実に進めて、事態の収束時に備えて、そのときにしっかりとこのインバウンドのキャンペーン、そして復活攻勢、これをしっかり掛けていけるような準備、そしてまた現地で観光業など、いつも日ごろから国立公園に御理解、そしてまた支えていただいている地域の皆さんがおられますから、そういった皆さんからも声をしっかり聞いて今後の対策、支援、しっかりと知恵を絞って準備を進めたいと、そういうふうに思っております。冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)毎日新聞の鈴木です。NDCについてお聞きします。政府が提出期限の2月を見送って以降、新型コロナの感染がパンデミック宣言されるなど、世界の市民社会や経済活動に深刻な影響が出始めています。状況が一変している中で提出時期についても今後影響が出てくるのか、各国の動向を踏まえてお聞かせください。
(大臣)まず、新型コロナの影響が出ていることは、海外との会議、そしてまたいろんな日程が影響を受けていることは事実です。しかし、コロナウイルスの状況にかかわらず、進むべき、進んでいくべき案件は変わらずにしっかりと進めていくことに変わりがないことも事実です。今回、このNDCについては、コロナ対策をやりながらも変わらずに関係省庁との調整を進めています。この調整を鋭意進めていますので、引き続きしっかりとコミュニケーションを深めて、国際社会に対して日本のNDCが提出されたときにしっかりと国際社会の脱炭素化、パリ協定の目標達成に向けて、日本の前向きなメッセージが伝わるようなことが一番大事なことですから、そこを踏まえた最終調整をしっかりとしていきたいと考えております。

(記者)フリーの横田です。福島原発事故による放射能汚染土を一部鉢植えにした件なんですが、阿部知子衆議院議員から質問主意書が出て、東京新聞も大臣自身の発案なのかという記事を出されていますが、その受け止めが1点。あと、以前も質問したのですが、原発事故時の住民避難用バスの運転士の健康被害に対する補償制度が今の日本ではないということで、それに関連する法案を提出するお考えはあるのかどうか。「Fukushima50」の映画の中でも特攻隊的に突き進んだ東電の社員がヒーローのように描かれていますが、ああいう人たちへの補償制度がないという現状について、それを改善する法案を提出するかどうか2点についてお伺いしたいのですが。
(大臣)後段の御質問については、しっかりそういった御意見もあるということも踏まえて、よく今後も理解を深めていきたいと思います。そして、1点目の横田さんから御質問があった阿部先生の御指摘、そして様々な反応を含めて、やはり福島の今の現状、そして風評、そして変わらずに復興に対して取り組んでいくこと、こういったことについて御理解を国民的に得ていきたい、そして、我々環境省は常に福島と共にあると、そういったことをお伝えしたいということで、これは私の思いだけではなくて、環境省の担当、事務方とも議論をした上で、福島のために我々は更に何ができるかと。そういった中で出てきた一つの実証、取組であります。今後もしっかりと丁寧にそういった御意見に対しても受け止めた上で、説明をして御理解を得ていきたいと考えています。
(記者)大臣自身の発案でもあったという理解でよろしいですか。
(大臣)最終的に環境省が行っていることは環境大臣の責任の下に行われますので、日ごろからこの鉢植えのことに限らずに、様々私のアイデア、思い、そういったこともぶつけながら、それに対してどう思うか、そういったことの反応も聞かせていただいて、最終的に省として判断をすると、そういったことであります。
(記者)専門家からなにか聞いたのでしょうか。
(大臣)しっかりとそういったことも踏まえて今回の鉢植えを省としてやろうと、そういったことになっております。

(記者)福島民友の桑田です。本日、発表になりました台風19号の仮置場の点検状況についてお尋ねしたいのですが、今回、福島県内の12カ所に追加の流出防止対策が必要だという結果がまとめられましたが、5月末までに対策を実施するということですが、いつ頃着手するのかということと、また、今回、追加対策が必要でないと思われる仮置場に関して、不断の点検等が必要かと思うのですが、そちらについてどのように進めていくか。最後にもう一点が、仮置場に関して流出防止に向けたシートをかけるといった作業が時間を置かずにすぐ着手できる対策だと思うのですが、こういったことについて速やかに進めるお考えがあるかどうか、大臣の見解をお聞かせいただければと思います。
(大臣)まずは、今後のスケジュールということでありますが、今月中に関係自治体に対して総点検の結果を情報提供するとともに、対策を実施する上で参考となる仮置場の管理に関する指針の見直し、そして、点検管理の徹底について通知を行う予定です。これが今月中ということになります。これらを踏まえて、今年の梅雨の時期が到来する前、5月末までにというイメージですけど、流出防止等の対策が必要な仮置場に該当する12カ所の仮置場、これは国管理の1カ所、そして市町村管理の11カ所、合わせて12カ所、この12カ所の仮置場について計画の前倒しによる除去土壌等の搬出や移設、そして、流出防護柵の整備などの対策を進めていきます。近年はゲリラ豪雨、こういったリスクは梅雨の前でもありますから、そのリスクが高まっていることも踏まえて、できる限り前倒しでこのような対策を実施できるように取組を進めていきたいと思います。

(記者)産経新聞の奥原です。所掌ではないと思うのですけれども、環境と福島についてなんで伺いますけれども、日本維新の会の松沢成文さんがブログで東電の処理済み汚染水に関しての処分方法について、日本のEEZ内の南鳥島沖で放出してはどうかという提案をされました。それについての受け止めをお願いします。
(大臣)先日、松沢先生がそのような御提案、これは私も予算委員会に座っていて聞いたので、一つのそういった御提案だというふうに受け止めております。いずれにしても大切なのは、今後しっかりと意見を現場の方々からも伺った上で、まだ実際に政府としての方針、決定はしていませんが、松沢先生のそういった御提案の背景にある思いというのは、いかに風評被害、そういったことを最小化した上で、復興を遅滞なく進めていけるのかという中での松沢先生の一つの御提案ではないかなというように受け止めています。その風評被害の払拭、そして影響を最小化にしなければいけないという思いは共有するものでありますので、環境省としては今もモニタリング調整会議の議長、そういった形を務めていますが、引き続き環境省としてできる役割をしっかりと福島のためにも果たしていきたいと考えています。

(以上)