大臣談話・大臣記者会見要旨

小泉大臣記者会見録(令和2年3月10日(火)9:10 ~ 9:22 於:衆議院分館1階ロビー)

1.発言要旨

 本日、大気汚染防止法の一部を改正する法律案が閣議決定されました。この法律案は、今後、高度成長期に建てられた建築物の解体工事の増加が見込まれる中で、解体工事に伴う石綿飛散防止対策の一層の強化を図るものです。平成25年の改正から5年が経過をして施行状況を点検した結果、これまでは規制の対象ではなかった成形板等の石綿含有建材、いわゆるレベル3建材、これについても不適切な除去を行えば石綿が飛散することが明らかになりました。そして、解体工事前の事前調査時の石綿含有建材の見落としや除去作業時の石綿含有建材の取り残しによって石綿が飛散する事例がありました。こういったことを踏まえたのが今回の改正になります。ポイントは四つあります、主に。いわゆるレベル3建材を含むすべての石綿含有建材に規制の対象を拡大するための規定の整備を行うこと、これが一つ目です。二つ目が、事前調査の方法の法定化や調査結果の都道府県への報告の義務付けなどによって不適切な調査を防止すること。そして三つ目が、隔離などをせず吹き付け石綿等の除去作業を行った者への直接罰を創設すること。そして最後の四つ目が、石綿含有建材の除去作業の結果の発注者への報告の義務付けなどにより、不適切な除去作業を防止すること。こういった改正によりまして石綿の飛散防止の徹底を図っていきたい、これが今回の改正案のポイントであります。
 二つ目になりますが、東日本大震災についてであります。明日が3月11日からちょうど9年ということになります。改めて、お亡くなりになられた方々、そして被災をされた方々にお悔やみとまたお見舞いを申し上げたいと思います。この復興については、私も大臣になる前から強い思いを持って取り組んできました。そして、環境省としては安心して生活できる環境を取り戻す環境再生、この取組を一つ一つ着実に進めてきました。先月末には中間貯蔵への除去土壌等の輸送量が対象物量の45%を超えまして、仮置場の約半数が解消したところです。そして、中間貯蔵施設への除去土壌等の輸送については、2021年度までに帰還困難区域を除く福島県内の除去土壌等の搬入をおおむね完了させることを目指しておりまして、引き続き安全第一で取り組んでいきます。そして、福島県の中の国の減容化施設としては最後となる双葉町減容化施設も先月27日に火入れ式を行って、さらに大熊町のリサイクルセンターが2020年秋に稼働予定であるなど、汚染廃棄物処理の推進に向けた環境整備も進んでいます。加えて、双葉町、大熊町、富岡町の帰還困難区域の一部区域の避難指示解除については、昨年12月までに除染を完了して、ここでも環境省の環境再生の面での役割は担ったと思います。ただ、福島の復興・再生につきましてまだまだやらなければいけない課題が多くあると思いますし、現場の皆さんとの意見交換、首長さんの思い、そういったことを通じて感じるのは、改めて風評・風化、このことに対する強い思い、そしてまた中長期の復興の計画を着実に遅れないように進めてほしいという思いと同時に、一つ一つの小さなことでもやはり変化、動きを求める声というのは大きいと思います。先週から私の部屋をはじめとして福島の鉢植えを置いておりますが、この県外で初の実証となるような取組も、私たち環境省としての思いというのは風評・風化に立ち向かう、そういった思い、そして環境省は常に福島と共にある、この思いを込めたような気持ちがあります。こういった一つ一つをしっかりと進めるとともに、内堀知事が何度もおっしゃる苦渋とそして信頼、こういった言葉についてもしっかりと実行の中に形を変えて表していけるように、これからも環境省はしっかりと取り組みたいと思います。原子力防災担当大臣としても福島の教訓を忘れずに、避難計画づくりを地域の皆さんと共に、完璧や終わりはないと、そういった思いで取り組んでいきたいと思います。私からは以上です。

2.質疑応答

(記者)毎日新聞の鈴木です。冒頭で復興についての所信をお話しされていましたが、大熊町リサイクルセンターが今年の秋にも稼働するなど、復興に向けて少しずつ進展があると思います。大臣として今年、特に取り組みたいことがあれば改めてお聞かせください。
(大臣)私の中でやはり思いがあるのは、この9年という歳月の重み、これが現場の皆さんにとっていかに重いものか、それを考えると着実に、例えば今日ですよね、富岡町の夜の森が避難指示解除ということで、あの桜の名所が多くの方に入っていただけるようになるというのは前向きなことだと思います。しかし、一つ一つどれだけ小さくてもいいから動きを見せていきたい。そして、福島の挑戦というのは福島の挑戦にとどまらず、日本の挑戦なんだと。この風評、そして風化、こういったことに対して、鉢植えの話もありますけど、小さいと思われることであっても一つ一つの実行、この積み重ねというのは結果として大きな復興につながるという思いで、できること、何ができるかということを考えて実行に移していきたいと考えています。

(記者)共同通信の水島です。3.11の関連で伺いますが、今年はコロナウイルスの関係で追悼式が開けず、恐らく明日官邸の方で大臣はいるのかと思うのですけれども、追悼式ができないということに関して何かお考え等がありましたらお願いいたします。
(大臣)今みたいな状況を考えれば、追悼式はあれだけの規模にもなりますので、中止というのは大変残念なことではありますが、やはり理解をしていただく必要はあるんだろうなと思います。ただ、最近、福島の関係者の方と意見交換をすると、私の感覚では今まで以上に風化と風評に対する懸念というのが大きくなっているんではないかなという気がします。ですので、この追悼式が中止になったということが更に風化を加速することがないように、改めて一つ一つの取組を進めていくことが大事だなと思いますし、環境省としてもまさにその風化と風評に立ち向かうというのは実行策が伴ってこそですから、先ほど申し上げたような小さな取組から、そして復興の計画に基づいた着実な中間貯蔵への搬入の取組、そして除染、そして未来志向プロジェクト、一つ一つを進めていくことの両面から走らせていきたい。そして、決して風評・風化、これを更に深刻なことにせずに環境省は役割を果たすと、常に福島と共にあると、この姿勢を伝えていきたいと思っています。

(記者)NHKの吉田です。福島の関連でお尋ねしたいことがあります。今回NHKで福島県内の全市町村の首長にアンケートを行いました。この中で除染土の2045年までの県外最終処分について回答を求めたところ、およそ半数の首長が実現できるとは思えないと回答しています。まず、この回答の結果について、大臣としてどう受け止められるのか、お考えをいただきたいのと、除染土の再生利用については全国の公共工事などで計画していると思うのですが、実際現状のところは、南相馬と飯舘でしか実証事業すらできていない現状があると思います。改めて、この現状をどう受け止めているのか。また、全国で再生利用事業を進める場合、利用先の住民への理解ですとか、風評の部分の払拭を改めてどういうふうに進めていきたいのか、お考えをお願いします。
(大臣)まず最初の御質問にあった県内の首長さんの受け止め、これこそが私は内堀知事が二つの言葉のうちの後ろの方ですよね、信頼、これに関わる結果だと思います。やはり国として30年までに県外にと、こういったことは約束です。しかし、半数以上の方がそれを信じていない。そういったことをしっかりとその結果を変えていくために、一つ一つの行動、実行策、そういったことが重要だと改めて痛感をします。ですので、今、飯舘村で再生利用、実証に取り組まれていることを私としては少しでも多くの方に知っていただきたい、そして御理解をいただきたい。また、それをしっかり後押しする姿勢を環境大臣としても見せていきたい。そういったことが結果として、今後まさにこの約束を果たすために不可欠な減容化、そして再生利用、こういったことが進む、小さくとも前向きな一歩につなげていきたいという思いがあります。私の部屋に飯舘村の花、そしてまた今回の鉢植え、そういったことを置かせていただいているのも、小さいかもしれませんが、やはり外国から来た方々、また国内の様々な訪問される方、そういった方にもまさに目で見て感じてもらいたい。私の部屋も放射線量の変化はありません。そういったことも含めて、科学的な根拠に基づいた福島の復興が前に進むような理解の醸成を促していきたい。そのためにはできることを全部やると、その姿勢が結果として地元の首長さんたちの信頼、そして苦渋の決断で中間貯蔵や再生利用、そういったことを受け入れて進めている方々の理解につながっていけば一番いいことだなと思っております。

(以上)