大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(令和元年8月30日(金)16:57 ~17:23  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は、私から3点ほど御報告したいと思います。
 まず1点は、午後にサウジアラビア出張から戻ってきたところでございます。8月27日から本日まで、次期G20議長国であるサウジアラビアの環境・水・農業大臣との会談のため、サウジアラビア国を訪問して、先ほど帰国したところであります。環境大臣との会談では、本年10月に我が国で開催するG20資源効率性対話、私どもは「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」に基づく海洋プラスチックごみのフォローアップ会合と呼んでおりますけれども、これを第1回目にして、フォローアップに向けて協力して取り組んでいくとともに、来年のG20においても、海洋プラごみ問題は重要な課題でありますので、引き続き連携、協力していくことで一致したところであります。併せて廃棄物処理問題など、両国の環境分野での協力を引き続き推進していくことに合意したところであります。出発前も報告申し上げましたように、来年はサウジ国がG20の議長国であります。私ども、今年、それを終えたところでありますけれども、お互いに議長国として、私どもからすれば、いろいろ申し伝えることもありますし、また、かの国もいろいろ協力をお願いしたいということだったものですから、そういう意味で非常に親しく、この問題について話し合ったところであります。とりわけ、G20の関係で、今年の10月に東京でプラスチックごみの実施枠組を受けたフォローアップ会合を開催します。安倍総理の主導で、6月にいわゆる「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」というのを発表していただきました。2050年には、新たに排出する海洋プラスチックごみの量をゼロにすると、これはこれで大変なことでございますけれども、それをいかに具体化していくかという意味では、これからが大切なことではないかなと思っております。かの国も、この問題も含めて、かなり決意を固めておられるようでありまして、例えばG20に向けてのユニットというんですか、多分、行政的にいろいろな体制、組織づくりをしておるような感じがいたしました。これから議長国同士として、よく連絡を取っていかなければいけないなと思います。併せて、サウジアラビアの廃棄物の処理の仕方を視察させていただきました。あれだけ広い砂漠の国ですから、リヤドから1時間半ぐらいのところの広大な敷地にどんどん運び込んで捨てるということだろうと思います。いずれにしても、既に敷地が大きいということもあるわけですが、やっぱりこれではいけないというような観点から、これからは、プラスチックごみも含めて処理をした上で、処理の仕方を正すとのことです。単純に捨てるのではいけないということのようであります。ちなみに、廃棄物の問題は、私ども、出る日に横浜のTICADの前哨戦としまして、アフリカのきれいな街プラットフォーム(ACCP)第2回全体会合を開催したところであります。これは一言で言えば、アフリカ諸国の都市をきれいにしようという中身でありますけれども、それは実質的に私ども環境省とJICA、横浜市が共催した形で、今後についても、私どものほうで各国との協力体制をしっかり結んできたところであります。また、個人的には、それぞれの国といろんな友好関係を結んでおりますけれども、特に廃棄物の問題は、どの国も、とりわけアフリカの国々は非常に悩んでおられて、真剣に対応しておられましたので、私どももしっかりと協力体制を取っていかなければいけないと思ったところであります。先だってのACCP、さらに今回のサウジアラビア出張について御報告をさせていただきました。
 次に、概算要求の日付が今月中ということでありますから、概算要求を最終的に私ども省として決定したところでございます。SDGsやパリ協定の採択以降、それから、脱炭素化に向けた大きな転換点を迎えております。そうした中、環境省の原点である「人と環境を守る」という精神を基礎として、環境問題と経済、社会的課題の同時解決を目指して、いわゆる地域循環共生圏の創造に取り組み、また、環境と成長の好循環を具体的に実現すべく、幅広い施策に挑戦していく、そういう意味を込めて、今回の予算要求にしたところであります。具体的には、来年度の重点施策として、G20の成果である「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」や「G20海洋プラスチック対策実施枠組」等を踏まえた海プラ対策も一つの大きな目玉だと考えております。それから、長期戦略に基づく気候変動対策といたしまして、脱炭素社会の早期実現に向け、ビジネス主導による非連続的なイノベーション、技術開発の推進、地域づくりの支援、さらには東日本大震災の被災地の環境再生に向けまして、復興の新たなステージを目指す未来志向の取組の推進、これは福島県さんとともに進めているところであります。さらには、国立公園満喫プロジェクトの横展開、ヒアリ等の外来種防除、野生鳥獣の感染症対策等を通じた生物多様性の保全等にも取り組みたいと思っております。動物愛護の立場からも、制度がどんどん広がってきているところがありまして、我々といたしましても、その辺についてもしっかりと取組をしていきます。環境省として、十分な予算の確保に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。また、税制改革では、従来から検討課題であります、いわゆるカーボンプライシングについても、これは初めてでありますけれども、税制改革、概算要求の中に、これから本格的な検討をするということについても提示したところであります。どういう方法にするかは、省内、党内、また、中環審等の議論を踏まえなければいけない大きな話でありますけれども、過去1年間、場合によっては2年間、事務的なものも含めて、相当な議論をしてきました。なかなか方向はまだ明確には定まっておりませんけれども、私どもとしては、前向きに取り組めるように、関係省庁も含めて、政治の側も含めて、しっかり重要性を訴えていきたいと思っております。
 3点目でありますけれども、これはただいまも閣僚会議が閣議の前に行われましたけれども、令和元年8月の九州北部地方の大雨についてです。まずは今日まで大変な雨が九州北部地方を中心に降りました。お亡くなりになられた方が3人と報告されておりますけれども、心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災された方皆さんにお見舞いを申し上げます。また、先ほどの閣僚会議でも、安倍総理から、これについては遺漏のないように、万般の体制を取るようにという厳しい指示もいただいたところであります。環境省としましては、28日に災害情報連絡室を設置し、現地の情報収集を行っておりますが、これまでのところ、廃棄物処理施設や国立公園施設などの稼働等に影響のある被害情報は入っておりません。また、災害廃棄物の対策については、昨日29日から環境省職員及びD.Waste-Net(災害廃棄物処理支援ネットワーク)の専門家を現地に派遣して、被災状況の調査や仮置場の設置等を視察しながら、必要な助言を行っているというのが現状であります。今後も現地での情報収集を進めるとともに、自治体等から積極的にいろんな要求、ニーズを汲み上げて、迅速かつ的確な支援を行っていきたいと考えております。
 とりあえず、私の方から大まかに3点、御報告したところであります。

2.質疑応答

(記者)日本テレビの岩田です。よろしくお願い致します。来年度の概算要求について改めてお伺いします。環境省としては、海洋プラスチックごみ対策を重点施策として大幅に増額を希望されていますけれども、具体的にどういった事業に増額要求されたのか、理由を併せて改めて大臣からお聞かせください。
(大臣)御指摘のように、環境政策は極めて幅広いものですから、気候変動も含めまして様々な政策をカバーしていますけれども、今年度から来年度に向けては、何といっても、G20を主催した立場、それから、G20の結論に基づきまして、海洋プラスチックごみ問題を本格的に解決するというような観点から、新興国、途上国を含めた世界全体での取組、さらには、適正な廃棄物管理や海洋ごみの回収をはじめとする包括的なライフサイクルアプローチが極めて重要であると考えております。こうした観点を重視しまして、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」という名前になっていますけれども、実現に向け、「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」等を着実に実行していくために、今回、海洋プラ関係予算として総額188億円を要求することといたしました。具体的には、国内外の海洋プラごみの実態把握を進めつつ、G20実施枠組のフォローアップ、途上国の人材育成支援、生分解性プラスチックの代替素材の開発、国内のプラスチックリサイクル設備の導入、また、海洋ごみの回収処理等にも積極的に政策を進めたいと思っています。最後に、海洋ごみの回収処理につきましても、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンはどちらかというと新しいごみを出さないということを大きな目標としていますけれども、もう既に、それこそ何百万トンの海洋ごみが流出しているわけでありまして、それについても回収して、処理をする。こういうことも今回の施策の中に取り込んでいるということであります。今後、これらの予算が確保できるよう、まずは最大限努力したいと思いますし、引き続き、率先的、かつ実効的な取組を政策のレベルで実践し、そして、国際的な議論をしっかりリードしていく、こういう気持ちでやっていきたいと思っています。

(記者)NHKの吉田です。九州北部の大雨のことについてもう少し詳しいことを伺いたいのですが、現在、佐賀県の方で鉄工所から油が流れ出ておりまして、その油の処理や住民の健康面への影響がないかどうか心配されている状況なのですが、この佐賀県の油の流出事故について環境省としての対応はいかがかでしょうか。
(大臣)その問題は、今日の閣僚会議でも関係のところから報告もあったところでありますけれども、佐賀県大町町の鉄工所から流出した油について、国交省、自衛隊、佐賀県等の関係機関でオイルフェンス等を設置して、近くを流れる六角川への流出防止と回収に努めていると伺っております。環境省としましては、D.Waste-Netの関係機関に支援要請を行いまして、収集・運搬車両の派遣を本日30日から行っています。また、その上で佐賀県に対して油回収作業に従事する地域住民、ボランティア等の健康上の注意事項に関する事務連絡を既に発出しているところであります。また、鉄工所からの油流出との関連は現時点では必ずしもつまびらかではありませんけれども、昨日ですが、六角川河口付近で確認された油膜については、国交省、佐賀県等々、関係機関が六角川にオイルフェンスを設置する等の対策を行いつつ、現地にて状況の確認を行っているところでございます。いずれにいたしましても、今後とも関係省庁及び佐賀県等と緊密に連絡しながら、環境汚染の防止に最善を尽くしてまいりたいと思います。環境省としては、災害廃棄物は私どものプロパーの仕事でもありますから、その辺のフォローをD.Waste-Netの関係者もしっかり督励しながら、また協力をお願いしながら、私どもの分野、併せて全体について災害が広がらないように、また災害地においては、被災者に寄り添ってしっかり対応できるよう、私どもは取り組まなければいけないと思っております。

(記者)毎日新聞の鈴木です。よろしくおねがいいたします。リチウムイオン電池の関係でお尋ねしたいことが1点ありまして、分別されずにリチウムイオン電池が捨てられることが増えてきて、それに伴ってごみ処理施設などで火災が頻発している状況があるようです。それについて本日環境省が出された概算要求の中でも、対策検討費として予算を計上されております。今後の具体的な対策についてどのようなことをお考えなのかお聞かせください。
(大臣)おっしゃる通り、ただいまリチウムイオン電池が様々、可能性としても非常に危険というか、出火の原因になっているのではないかと、指摘されたところであります。このリチウムイオン電池は、破損、変形によって発熱、発火する危険性が高い、こういうことで、例えば運搬車両とか廃棄物処理施設で出火するというようなことにもなっているようであります。環境省では、リチウムイオン電池を原因とする廃棄物処理施設等での事故に対応するため、今後、リチウムイオン電池等の取扱いの状況調査、それから、その電池を原因とする火災の発生状況調査や事故への対策事例の収集等を実施して、対応していこうと考えております。また、その実態について、必ずしも分かっていない部分もございますので、その状況をしっかり踏まえた上で、具体的な、必要な対策を取っていこうと考えております。また、皆さん方の御提案や、こういうものを省として謙虚に踏まえながら、やっていかなければならないと思っております。
(記者)具体的な対策はこれから取っていくということだったのですけれども、特に、ごみに混入する要因の一つとして分別のルールが明確ではない部分があるということもお聞きしています。例えば、住んでいる自治体によっては電池を捨てる場所がないところもあるようです。それについて法改正などで対応するような考えはあるのでしょうか。
(大臣)そこまで必要かどうかは検討しなければいけませんけれども、しかし、おっしゃるように、例えば最近では普及してきましたけれども、リチウムイオン電池を使用したたばこというんですか、ああいうものも今まで少し認識が薄かったところもありますけれども、それについても対応するということ。また、必要なら、今御指摘のように法的な措置までどうかは別としまして、実態をしっかり踏まえて、事前にそれらが起こらないように努力しなければいけないと思っております。
(記者)今、たばこについて言及されましたが、それは加熱式のたばこのことを指されているのでしょうか。
(大臣)そういうつもりで今申し上げました。
(記者)それについて対応したいというのは、例えばどういうことなのでしょうか。分別のルールですとか。
(大臣)加熱式のたばことか、スマートスピーカーなど、様々な小型家電等はリチウムイオン電池が使われている可能性がありますけれども、そこはまずは、そういう事故というか、そういうものが起こったときにはしっかり対応するし、事前に予測できるときは、芽を摘んでおかないといけないと思っております。具体的にどうするかは専門家の意見も当然入れなければいけませんけれども、いずれにしても、そういう新しい形の事故というのはいつでもあり得るということは、私どももいつでも注意をしておかなければいけないと思っております。

(以上)