大臣談話・大臣記者会見要旨

西村環境大臣COP27期間中ぶら下がり会見録 (令和4年11月19日(土) 17:36~17:48(現地時間) 於:COP27会場)

1.発言要旨

 COP27は、まだ引き続き交渉が続いております。私も交渉がまとまるまでと思って、この時間までやってまいりましたけれども、国会のほうに出席しなければならないため、これで帰途につかさせていただきたいと思っております。残りは、指示いたしまして、優秀な我が日本政府代表団が引き続き交渉し、しっかりとまとめ上げてまいりたいというふうに思っています。
 今回のCOP27、まだ決着はついておりませんけれども、非常に意義のある会議になったのではないかというふうに思っております。
 ナショナルステートメントで私も申し上げましたように、ロス&ダメージに関しましては、これまでも我が国は、適応に関する資金として、その資金を倍増するということを他の先進国に先駆けてやってまいりました。また今回、世界銀行のグローバル・リスク・ファイナンシング・ファシリティに新たに拠出するということを公表したところであります。また、こういったキャッシュの部分だけではなくて、事前防災、特に我が国の優れた早期警戒システム、こういったことによって、脆弱国の皆様の命や暮らしをしっかり守れる、そういった技術的なものも含めた包括的なロス&ダメージ支援を取りまとめることができました。これを各国のほうに話をしましたけれども、非常に具体的なソリューションであるということで、それぞれ大変な賛同をいただいたところでございます。資金のみならず、そういった技術支援ができる。これが我が日本をはじめとした先進国で、非常に大きな貢献ができるのではないかというふうに思っております。
 また21の国や機関とバイの閣僚級の会談をさせていただきました。あわせて、ウクライナをはじめとした5の国や機関と覚書を締結することもできました。こういった形で環境対策に関する協力関係を構築できたのではないのかなというふうに思っております。
 また6条に関しましてはパリ協定6条実施パートナーシップ、これをCOP中に立ち上げることができまして、このCOP期間中においても多くの参加表明をいただいて、現時点において67の国や機関が「ぜひ一緒に」という形になって、非常に心強く思っているところでございます。
 また若者、そしてNGO、こういった皆様と対話することができました。気候問題、環境問題というのは、地球の将来世代に関わる非常に大きな課題です。そうした意味において、そういった若者やNGOの皆さんが危機感や、そしてまた高い意識を持って活動いただいているということは本当に嬉しく、そして力強く感じたところでございます。
 今回日本パビリオンにおいては、セミナーだけでも43開催し、その展示物も優れたものを出すことができました。各国の首脳と話をしていても、「あの展示はすばらしい技術だった」、「あのセミナーはよかった」と、そういった話が次々に聞こえてきたところでございます。
 こういったものを全体的に踏まえて、このような国際情勢の中にあっても、全締約国が一丸となって、気候問題に取り組んでいく、そういう決意を改めて示すことができたのではないのかなというふうに思っております。
 まだ決着していないので、中身に関しては、詳細を今申し上げるところではありませんけれども、様々な交渉の中で、私からも、また交渉団からもしっかりとアピールすることによって、日本が求めるべきものは、多くのことを中に入れていけたのではないかなと、まだ答えが出ていないので何とも言えませんが、そういった大きなアピールをすることができました。
 こういった日本のイニシアチブ、そしてまたバイ会談、そしてステートメント、こういったものを大きくすることによって、大きな実りがあったと思いますし、G7の来年の議長国でありますので、このG7につながる大きな結果を残すことができたのではないのかなというふうに感じております。冒頭は以上です。

2.質疑応答

(記者)NHKの安藤です。焦点の1つのロス&ダメージの資金についてお伺いします。
 ロス&ダメージの資金、交渉が難航しているというふうに聞いておりますけれども、大まかで結構ですが、これまでの構図と、そしてどう収斂していきそうか教えていただけますでしょうか。
(大臣)ロス&ダメージのほうは先ほどもお話ししたように、1つは資金の問題、これが今回非常に大きくフォーカスされたものだと思っています。ただ、資金だけではなくて、当然我が国も先ほど申し上げたような形で資金の支援をしておりますけれども、やっぱり足元の脆弱国をしっかりと支援をしていくというためには、技術支援というのは非常に大きなものだと、この辺は我が国としては大きく主張したところであります。ただ、そうした中でも、途上国の間では、やっぱり資金という話があって、今いよいよ大詰めに来ております。まさに合意の詰め段階に来ているということで、双方がそれぞれ歩み寄った形で、全締約国の思いを1つにできるように、何とかまとまっていける状況に近づいてきているかなというふうに思っています。
 
(記者)朝日新聞の関根です。議長から示されている現時点でのカバー合意案について、日本政府としては賛同しているのでしょうか。それとも、もっと直さなければいけないところがあるというお考えでしょうか。
(大臣)まさに私が参加しようとしていたのが、議長からの結果についての会議でございますが、これがまた1時間延びたということでございますので、まだ、私は議長から、その結果を聞いておりませんけれども、様々、交渉の報告を聞いている中においては、合意に近づきつつあるのかなと思っています。
(記者)緩和の部分がちょっと足りないのではないか、大臣は、始まるときに新興国の責任も求めていきたいとおっしゃっていましたけれど、その点について、いかがでしょうか。
(大臣)会議の最初にも申し上げたように、やっぱりカバー決定と緩和の作業計画、特に高い野心と実行力、実効性、これをぜひ持たせたいということで、これは、繰り返し、繰り返し、あらゆる会議、交渉において述べてきました。そうした中で、それぞれ先進国、新興国、途上国の立場の中で、非常に厳しいやり取りがあったのは事実です。ただ、そうした中で、共に折り合えて行ける状況、我々が理想とするところまで、外交交渉というのは、やっぱり決着点というのはありますので、そういった意味では、その野心と実効性について担保できた答えが見つけられるのではないかと思っています。
 
(記者)日本経済新聞の安藤と申します。ロス&ダメージの関連で、最終局面で、EUとか、アメリカとか、イギリスとか、矢継ぎ早にいろいろと提案を出して、日本ももちろん早期警戒等でいろいろと貢献はしているのですが、こういった提案に最初から主体的にある程度乗っていかないと、後でお金を出させられることになると思うので、もうちょっと主体的に、日本も、彼らと、場合によっては一緒に提案をしていくようなこともあってもよかったのかなと思うのですが、その辺はいかがですか。
(大臣)そういった国々とは、バイの会談等々やって、その他綿密にすり合わせをやってきた上での状況であります。
(記者)日本の意向も十分に汲んだ上での彼らの提案ということで受け止めているということですか。
(大臣)当然、そのために21か国、そういった今、おっしゃった国々全て含んでバイ会談を結構長時間にわたってやってきておりますので、我が国の思い、そして、どういった形での決着という交渉は十分に水面下においてやってきたものであります。
 
(記者)毎日新聞の岡田です。同じくロス&ダメージ資金ですけど、EUも基金の提案をして、アンブレラも基金提案をしている中で、日本としては、ロス&ダメージの資金の基金については受け入れるという方向の考えなのでしょうか。
(大臣)今、議長からの結果報告がない段階で、コメントはちょっとやりづらい部分がありますけれども、基本的にいい形でまとめるように、うまく交渉を進めているということで御理解ください。
 
(以上)