大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(平成31年4月26日(金)9:03 ~9:26 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は平成最後の記念すべき記者会見であります。何件か御報告がございますのでよろしくお願いします。まず1点目は、「自然環境保全法の一部を改正する法律案」につきまして、お陰様で、全会一致をもって衆参可決したところであります。原案のとおり成立いたしました。今後、本法に基づく沖合海底自然環境保全地域の指定を進め、「2020年までに各国が海域の10%を海洋保護区等として保全する」とした愛知目標を確実に達成できるよう、来年春頃の施行を目指してまいりたいと思います。なお、10%目標はまだ我が国においても8.3%ですか、まだ達しておりませんので、できるだけ早くそれを目指すようにしたいと思っております。
 2点目でございますけれども、西沖の山発電所の準備書の取下げについて御報告します。一昨日、山口県宇部市で計画されている西沖の山石炭火力発電所につきまして、事業者である山口宇部パワーが、出資者のうちの一つであります大阪ガスの本事業からの撤退を受けまして、石炭火力発電所の新設計画に対する環境影響評価手続きを休止し、準備書の取下げを願い出ることを発表したところであります。まず、結果については、大阪ガスの判断を高く評価したいと思っております。同じ出資者であった電源開発については、石炭利用の脱炭素化への取組を強化していくとされておりますので、これからの推移を見守りたいと思います。今後とも、石炭火力発電の問題に対して、厳しい評価で臨んでいきたいと考えているところです。
 次でございますけれども、お手元にはお配りしているようでありますけれども、「ふくしま環境再生」という広報誌を地元でスタートしたということであります。初回となる5月号におきましては、4月10日に避難指示が解除された大熊町大川原地区と中屋敷地区の除染等の取組について紹介がなされております。この広報誌は、福島県内の自治体庁舎を始めとした公共施設、道の駅などの商業施設等で配布するほか、環境省ホームページでもご覧いただけます。今後も月1回発行するというふうに聞いておりますけれども、多くの方にご覧いただきたいと思っています。なお、この環境政策は、広報活動自体は大変大事なことだと私どもは考えておりまして、今回のこの福島の広報誌につきましては、いよいよ地元でも多大な困難を乗り越えて、自分たちでも復興・再生に積極的に取り組もうと、こういうような動きになってきたこと、これは非常に高く評価して、当然、国と地方が力を合わせてその勢いを更に加速できればと思います。これは当然、地元の住民の皆さんと県民の皆さんとともにあるわけでございますので、この一歩一歩の動きは高く評価をしたいと思っております。
 続きまして、バーゼル条約のことについて御報告をいたします。化学物質・廃棄物関連の国際条約でございますストックホルム条約、バーゼル条約、ロッテルダム条約の締約国会議が、本年4月29日から5月10日まで、スイス・ジュネーブにおいて開催されます。環境省の松澤大臣官房審議官を政府代表として派遣をいたします。環境省を含む関係省庁の担当官が出席するところであります。3条約のうち、特に、廃棄物の越境移動の規制を行うバーゼル条約に関しましては、プラスチックによる海洋汚染問題に関する議論の高まりを踏まえ、我が国は、ノルウェーと共同で、リサイクルに適さない汚れたプラスチックなどをバーゼル条約に定める通告・同意制度の対象に追加する旨の提案を行っているところであります。締約国会議の場では、他の締約国と議論を行いながら、共同提案国として、本提案の採択を目指してまいりたいと思っております。これは、廃プラスチックの、今までは、決してそれが自由とは言いませんけども、事実上、越境移動が行われていたところでありますけども、この対象に新しく加えることによって、今までは、あるいは国外で処理していたといういきさつもあったのでしょうが、それぞれの国が自分の工夫で自国内で処理をするという、そういう当然の流れに、このバーゼル条約が役に立つのだろうと思います。当然、共同提案国として主導した日本は、率先して国内での適正な処理を目指さなければいけない、模範とならなければけないと思っております。
 続きまして、5月5日から6日にかけて、フランスのメッスでG7環境大臣会合がございます。また、大臣会合に先立ちまして、5月3日から4日にかけまして、我が国企業を引率して、フランス及びドイツにおいて、水素・燃料電池関連企業との対話や燃料電池列車の視察を行う予定にしております。今回の一連の会合では、資源効率性や生物多様性など幅広い地球環境問題について、その解決に向けた我が国の取組を紹介するとともに、6月にいよいよ我が国が開催するG20に向け、G7の連携を確かなものにしてきたい、こういうふうに考えているところでございます。前段は、企業を私どもが引率いたしまして、特に水素燃料電池の関連企業をフランス及びドイツにおいて視察をいたします。日本では今いずれも研究、実装の段階にはなっておりますけれども、水素燃料電池の開発に、諸外国はどう取り組んでいるかも、まずはつぶさに私も見学をしてきたいと思いますし、またその際に、燃料電池列車の視察も行う予定にしております。後半は、5日から6日になりますけれども、フランスのメッスでG7環境大臣会合がありますので、そこでは当然、G20がちょうど一月前になりますので、G20に向けて私どもの今の考え方、さらには相手方には相当な協力も要請をしなければいけませんので、それをしていこうと、こう思っております。
 最後でありますけれども、日中韓の三カ国会合、TEMMと言っておりますけれども、これは、東アジアにおける環境協力の強化を図るため、1999年以来「日中韓三カ国環境大臣会合」として、毎年開催してきているところであります。今年も秋、21回目となりますけれども、順番として我が国での開催が予定されております。開催地を公募し、外部有識者により審査をした結果、北九州市に決定したところであります。そのことを御報告したいと思っております。開催時期は年内で調整しておりまして、北九州市及び地元関係者とも連携しつつ、本会合が円滑に開催され、また、しかるべき成果に結びつくように、今後とも準備を進めてまいりたいと思っているところであります。

2.質疑応答

(記者)TBSの梶川です。先ほどお話がありましたG7についてお伺いいたします。いろいろ視察もされるということで、G20に向けていろいろ各国とも連携をとっていくということなのですけれども、先日、政府案を出された長期戦略などでも今後いかす予定などありますでしょうか。どういう意気込みがあるのかというのを含めて教えていただければと思います。
(大臣)このメッスでのG7の会合におきましては、まさに私どもからすればG20の前哨戦ということになろうかと思います。議長国はフランスでございますので、フランスの議題は当然のことながら、この中には生物多様性の問題等もしっかり議論されると思いますので、当然、私どもの取組、自然環境保全法が成立して、その後のフォローをどうするのだということも含めて私からは御報告しようと思っておりますが、同時に、この間、私どもの長期戦略が大体固まってきました。何といっても21世紀に脱炭素化を図るのだということで、その道筋についても、私どもが考えていることをしっかり報告しようと思っています。脱炭素化、あと脱石炭火力についても御報告します。併せて、プラスチックの問題がG20で大きな課題になりますので、まだ研究、議論の途中でありますけれども、プラスチックの問題にどう取り組むか、こういうことについても私どもの立場をお話ししようと思っております。何といってもG20ではしっかりと各国の御協力、とりわけ先進国の御協力が必要であります。限られた時間でありますけれども、各国代表とお話をしてきたいと思っているところでございます。

(記者)もう1点。今日で恐らく平成最後の閣議後の会見ということになると思うのですけれども、環境大臣になられたということで、これまでの評価であったりとか、これからの思いなどがありましたら教えていただけますでしょうか。
(大臣)おっしゃるように、私もこういう平成最後の期間、環境大臣、閣僚として活動できたこと、まずは大変光栄に思っているところであります。何といっても元号が変わりますと、例えばIPCC京都会議もありますし、G20もありますし、環境政策というのは、まずは国内でしっかり強化するということと併せて、いかに国際的な協力が大事かということを身をもって感じたところであります。そういう意味では、さらに留意して、また国際的な政治環境も踏まえながら、さらに新しい令和を切り開いていきたいと思っております。

(記者)環境新聞の小峰でございます。今の国際協力に関連して、そしてまた、日中韓の環境大臣会合を開催するということを大臣はおっしゃいましたけれども、ここのところ日韓問題が国民のレベルでも非常に険悪になっている中、特に韓国側は最近、文喜相韓国国会議長の天皇陛下への謝罪要求が繰り返されるなど、韓国の暴挙暴走が止まらないことを受けて、政府内で対抗措置が検討されていると聞いております。そうした中で、G20の軽井沢会合が6月中旬、原田大臣が共催される。それから大阪で首脳会議が6月下旬に開かれます。そしてまた、日中韓の三カ国環境相会合が開かれるということですけども、韓国への暴挙暴走に対する対抗措置として、韓国の招待を見送るという考えはないのでしょうか、お尋ねします。
(大臣)まず、TEMMの会合しかりでありますし、G20もそうなのですけども、IPCCもそうなのですが、これはいずれも多国間、多角的な協議の場ですから、今、御指摘のような2国間の個別協議を行う場ではないということであります。私も確かに、韓国と日本との外交関係も含めまして、なかなか大変な時期にきているというのは認識はしておりますけども、いずれにしても、環境政策につきましては、当然、韓国もどの国もしっかり国際協力をしながら取り組んでいただけるものと、そう期待をしておりまして、今、御指摘のような特別のことは、私は考えているわけではありません。まずは日韓、国際関係がよくなることを心から期待しているところであります。

(記者)続けて環境新聞の小峰でございます。一昨日、原子力規制委員会が24日、テロ対策拠点として義務付けられている特定重大事故対処施設、いわゆる特重施設の設置期限延長を認めない方針を決めましたけれども、原田原子力防災担当大臣としての御見解はいかがでしょうか。
(大臣)先日、原子力規制委員会において、法令により設置が義務付けられておりますテロ対策施設が設置期限内に完成しなかった場合の方針について議論があったと聞いております。本件については、原子力規制委員会が独立した立場で対応しておりまして、私からコメントすることは差し控えたいと思っております。原子力防災担当大臣としても、原子力発電所におけるテロ対策施設の設置に関することは所管外でありますから、コメントすることは差し控えますけれども、いずれにしましても、原子力防災担当としては、原子力発電所が稼働のいかんであれ、万が一の事故が起きた場合の体制だけはとっているところでありますし、そこについての監視も含めて、地元の皆さんとしっかりまた連絡をやりながら対応していきたいと思っているところであります。

(記者)朝日新聞の川村です。大臣、冒頭でおっしゃっておりました西沖の山発電所のアセス手続きの取下げの件なのですけれども、これに関連してなのですけど、先日、大臣の方から「電力分野の低炭素化に向けた新たな3つのアクション」というものを発表されたと思うのですけれども、こういうふうな環境省の石炭火力への強い姿勢というのが事業者に撤退といいますか、事業変更を促すような一因になったとお考えなのか、その辺り、御見解をお願いします。
(大臣)それぞれの事業者の判断というのは、これはもちろんそれぞれのお立場、経営判断だろうと思っております。そういう意味では、結果については先ほど申し上げましたように、評価をしたいと思っております。同時に、私ども地球温暖化の観点から、重要な要素はやはり石炭火力が負っているという意味では、石炭火力の稼働に対しては最大限抑制するような方針をとってまいりました。例えば、アセスメントの段階で当然、環境省にもアセスメントは相談がきますから、そこではやはり要件をきちんと言った上で厳しく対応する、中止を求めることも辞さない、こういう気持ちでやってきたところであります。そのことと今回の判断は、私は因果関係は分かりませんが、ただ世の中的に、この石炭火力の関係者が、動かすにしても止めるにしても、相当慎重にやっていただくようになったというのは、私は評価をしていいなと思っているところであります。いずれにしましても、石炭火力の問題は国際的にもそうであります。また国内的にも私どもはやはりそういう観点からしっかり対応していくと、こういうつもりでございます。

(以上)