大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(平成31年3月28日(木)11:32 ~ 12:15 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 定例日ではございませんでしたけれども、本日は、電力分野の低炭素化に向けたアクションについて発表させていただきます。今月26日のIEAの発表によれば、昨年の世界のエネルギーからの二酸化炭素排出量は、対前年比で1.7%増の約330億トンと報告されております。その3分の1はアジアを始めとする石炭火力発電からの排出とされているところであります。一方で、私は、昨年のCOP24に参加しまして、世界がパリ協定の目標に向かって、石炭火力の抑制と再生可能エネルギーの拡大へと大きく舵を切っていることに強い刺激を受けたところであります。こうした中、電力分野の地球温暖化対策の取組について、進捗状況を評価した結果も踏まえまして、私のイニシアティブの下、新たな三つのアクションを開始することといたしました。一つ目は、石炭火力からの確実な排出削減に向けて、環境アセスメントを更に厳格化いたします。具体的には、環境アセス法の運用に当たって、準備書手続の段階で目標達成の道筋が明らかでない案件などは、環境大臣意見において、是認できないとし、いわば「中止を求める」ということとしたいと思っております。二つ目は、環境省と経済産業省の連携チームを立ち上げ、地域循環共生圏と分散型エネルギーシステムの両者に有効な取組を速やかに具体化していきたいと思います。三つ目は、CCUSの早期の社会実装に向け、2023年までに商用化規模のCCU技術を確立いたします。この技術を展開し、我が国はもとより、アジアを始めとした世界の脱炭素化に大きく貢献していく道を切り開きたいと考えております。特にCCUSの研究開発については、いろいろと努力はしておりますけれども、まずはCCU、ユーティリぜーションの技術をいち早く確立する。この技術は世界でも、日本が最も早いスピードだと感じているところであります。詳細は、簡単な資料をお手元に配っておりますけれども、そういう意気込みでこの石炭火力の問題に取り組んでいきたいというのが、今日の私の要旨でございます。

2.質疑応答

(記者)朝日新聞の川村です。発言のあった三つのアクションのうち、アクション1についてなのですけれども、石炭火力発電については、今まで大臣、個別の環境アセスでは時によっては強い姿勢を打ち出していたと思います。今回は、よりそれを厳格化するという方針表明だと受け止めましたが、それによって従来のアセスとどう変わるのかということと、あと国内では本年度に入って大型石炭火力の中止を打ち出す事業者も出ていますけれども、今計画をしている事業者へどういう波及効果を期待されるか、その2点をお願いします。
(大臣)石炭火力については、先ほど冒頭に世界的な動向も含めまして、これが排出量の大きな増加要因になっていますから、そういう意味では私も石炭火力については、あらゆる面で抑制の方向で努力したいと思っております。環境省には、アセスメント法を権限として持っているところでありまして、そこの運用を、従来からもかなり厳しくやってきましたけれども、審査に当たりまして、率直に、十分な説明を受けない場合には、従来以上に厳しく、はっきり中止せよというような判断を相手方に伝えたいと思っているところであります。石炭火力全体の話と、さらには輸出の問題ももちろんあるわけですが、それぞれの分野で、今回厳格化するアセスメントでの判断を踏まえながら、しっかりと事業者にも私どもの意見を言っていきたいと思っております。また当然、環境省が意見を言うだけではなく、当然、経済産業省を通じてでも、この考え方を伝えていきたいと思っているところであります。
(記者)関連なのですけれども、ちょっと後半発言しましたけど、国内でも中止を打ち出す事業者なども出ていると思うのですけれども、そういう、今、石炭火力を新規計画をしている事業者に対して、今回の大臣の御発言がどんな波及効果を及ぼすことを期待されているかということを教えてください。
(大臣)私どもの期待としては、もちろん事業経営の立場もあろうと思いますけれども、今回のこの発表を通じまして、石炭火力に対する世の中の、また、政策上の要請が非常に大きいのだということを、それぞれの事業者において御理解いただけるのではないかと思っております。

(記者)エネルギーと環境の大村です。今回のこのアクションの措置というのは、先日ありました、この紙にも入っておりますけれど、「電気事業分野における地球温暖化値策の進捗状況の評価の結果について」これを踏まえた措置というふうに考えていいのでしょうか。それが一つと、今のお話だと、特にアクション1については、経産省との合意を踏まえてのものではないのですかね。これは、これをする場合の制度的な担保というのは必要ないのでしょうか。ちょっとその辺を教えてください。
(大臣)制度的な担保というか、これは私ども行政上の決意というか、方向をしっかり示したところであります。今回、中止を求めるということを明確にいたしまして、今までももちろん十分話を聞いた上での判断でございましたけれども、その上で、私どもの行政指導の中で、中止を、しっかりまた相手方に伝えていくということも含めております。そこは、事業者にとっても十分理解していただけるものと思っております。
(記者)評価の結果、ヒアリングの結果を踏まえてということではないのですかね。それが一つと、これまでアセスは経産省と非常に密接に話を協議しながら、それぞれの意見書をまとめていたと思うのですが、その辺の、意見書がうまくまとまっていくのかなと、ちょっとその辺感じたものですから、そこら辺がどうなるのかと思っての質問です。
(大臣)先ほど申し上げましたように、電力分野の地球温暖化対策の取組について、進捗状況を評価した結果も踏まえて、当然、環境省として、環境政策の立場をしっかりまた訴えていこうと思っております。経産省とは、もちろん話し合いはいたしますけれども、中止も含めてということを、これからの運用の中で厳しく主張すると。そこは従来とは、かなり質的にも変わってくるのではないかと思っております。

(記者)毎日新聞の五十嵐です。大まかに2点お尋ねいたしますが、まずは今の質問にちょっと関連しますけれども、2018年度の電力事業分野の地球温暖化対策の進捗結果というのが、今日配られた資料の中にありまして、これを拝見してますと、やはり電力業界の自主的取組というのが、実効性の観点で万全とは言いがたいとか、全体的に電力業界の自主的な枠組みというのがうまくまわっていないという現状認識があって、その上で、今回の環境アセスメントの厳格化というふうな方向性に、大臣として向かっていったのかというところをお尋ねしたいのが一つと、もう一つは、大臣就任してからも、おそらく、石炭火力に対して意見書を出された事案があるでしょうし、それ以前にも歴代の大臣が出してきたいきさつがあると思いますけれども、その中でいうと、今回大臣が発表された趣旨に照らせば、やはり中止を求めていくべきだというふうに言えるものが、多分、幾つもあるのではないかと思うのですが、その辺りについては、訴求という話にはならないかもしれませんけど、別なオプションで、そういった既存の、既に意見書を出した事案に対して、何らかのアクションを起こしていくというお考えがあるのでしょうか。
(大臣)まず前段については、私ども、今までもちろんしっかりやっていると思いますけれど、やはり少しスピードアップする、強化しなければいけないという認識で、今回のアクションになったところであります。これから私どもは、姿勢を相当強化いたしましたので、既になされた判断に対しては、これから追いかけてどうするかは別でありますけれども、しかし、いずれにしましても、そのことも含めて、また判断を強化するというのは当然だと思っております。
(記者)確認ですけれども、これまでに意見書を出された件に関しても、何らかの形で見直しをしていくというお考えがおありなのでしょうか。
(大臣)そういうことも含めて御理解いただきたいと思います。

(記者)日本経済新聞の安倍です。石炭アセスについて関連で二つお伺いします。一つが、これから踏み込んで中止を求めていくというのは、環境省として強いお立場を示すというふうに理解しておりますが、ただそれでも許認可権自体は経産省側にあると思います。そうしますと、CO2削減に向けて本当に実効力がこれで高まるのかなというのが考えどころかなと思いますが、その辺り、どれだけの実効性があるのか、いくら表現を強めても、やはり本当に抑えられるのかというのが、疑問が出てくると思いますけれども、その辺りいかがでしょうか。
(大臣)そのことはもちろん否定はいたしません。ただ、私どもの強い姿勢を経産省の方も十分理解していただいていると思いますし、もちろん権限としては、そういうことでありますけれども、その辺は、2点目にも書いてありますように、経産省との交流、更に我が方からの働き掛け、これは更に強くなろうかと思っております。現下の環境の状況、先ほどIEAの報告もいたしましたけれども、そういうことも踏まえて、もちろん経産行政は経産行政ですが、私どもの環境政策の立場から、今まで以上に強く主張もしていきたいと、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
(記者)あともう一つ。ヨーロッパでは、国によっては、例えばドイツなどは、もう石炭火力を使用してはだめだよと、踏み込んだことをやっていると思います。日本もいろいろやはり国際的な批判は多く受けているとは思いますが、そこまで、禁止とするのは難しいと思いますが、ただ、そこまでしなかったのはどうしてなのか。そういう考えもあったのかどうか、その辺をお聞かせください。
(大臣)おっしゃるように、ヨーロッパ、またアメリカも含めて各国がこの問題には、非常に真剣に取り組んでいるということを私も伺っております。そういう諸国の動きも含めて、これから例えばG20等でも議論になると思います。もちろんそういうものを参考にしながら、しかしやはり、日本には日本独自の背景を踏まえて、今の段階で環境政策としては何ができるか、その辺を真剣に考えながら、とりあえず今回のこういう対応になったところであります。もちろん、おっしゃるように石炭火力が大きな環境負荷の要因であるということは、これは私ども重々承知の上で、それに向けて努力をしたいと思っております。

(記者)読売新聞・安田です。アクション2についてお尋ねしたいと思います。経産省と環境省は、これまでもいろいろ政策の実現等についていろいろなことが過去にあってきたパートナーでもあり、というふうに思っておりますが、今回こういうチームを立ち上げることについて、実際やはりチームはあっても実際の実効性がないとなかなか難しいのかなと思いますので、今後の政策に反映するという部分、大臣として具体的に、例えば1年に何回とか、そこら辺はちょっと分かりませんが、実際、本当に反映させるということを考えていらっしゃるのかというのをお聞きしたいと思います。
(大臣)政府部内のお互いの関係分野についてのやり取り、これは当然のことながら、今まで私どもの環境政策についても、もちろん経産省を含め、どの役所ともよく連絡をとっております。今までは私の知る限りでは、経産省との間で必ずしもあまり定例的なやり取りがなかったのを踏まえまして、これはやはり一番関係の深い両省が様々な課題について議論しなければいけない。今、例えば、テーマとして、地域の再生可能エネルギーを最大限活用するエネルギーシステムの共同実証、再生可能エネルギーのコスト低減や固定価格買取制度によらない地域への普及策、さらには、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)等の普及策、こういうことについても共同で検討するというふうに考えております。やはりこういうものをお互い持つことによって、私どもは更に環境政策の中身について理解してもらおうと思いますし、もちろん他省からも当然のことながら、それに対応する積極的な意見が出るかと思いますから、今回、こういうものを通じ、さらに従来とは違った分野を切り開いていかなければいけないと思っております。そういう意味では、石炭の問題についてもしっかりやりますけれど、それ以外の再生可能エネルギーの問題等についてもしっかりやっていきたいと思っております。とりわけ、6月のG20では、軽井沢ではエネルギー・環境が、別々ではありますけれど一緒にやる分野も出てきますから、更に両省の行き来というのが大事になるかなと思っております。
(記者)具体的な施策がここからでるということがあり得るのでしょうか。
(大臣)それは十分あり得ると私どもは思っております。

(記者)共同通信の杉田です。繰り返しの質問になるかもしれないのですけれども、アクション2で、経済産業省と連携する一番のメリットというのはどういうことなのでしょうか。と言いますのも、書かれている分散型エネルギーシステムですとかコスト削減というのは、それぞれの組織が今実行されていることだと思うのですけれども、あえてチームにするメリットというのがいまいち分からない。人が多くなることによって、力は当然生まれるとは思うのですけども、逆にあいまいになってしまったり、意見が集約しにくくなるというのは組織の常だとは思うのですけども、その辺はどのようにお考えなのでしょうか。
(大臣)取りようによってはそういうふうにも言えるかもしれませんけれども、私どもは今までこういうフォーマルなものがあまりなかったために、内々にいろいろな施策をもっていきながら、意見をしっかり交わすというようなことになっておりました。今回、あえてこういう連絡体制をつくることによって、私どもからすれば、もっと意欲的なというか、環境省的な施策を、不断にもっていくことによって、必ずや大きな成果を出せるというふうに思っております。実は私は、例えば再生可能エネルギーの問題につきましても、環境省的には、これは増やすに越したことはないわけでありますけれど、やはり環境省的な施策を世の中に対してやれやれと言っても、やはりそういう意味では、実際の行政ツールは、例えば電力を持っておられる経産省が本気で動いていただかなければいけないわけであります。これは当然やっていただいているわけですけれど。ですから、おっしゃるように、そこが一生懸命話すことによって、あまり思い切った施策ができないのではないかというような御心配も今されているようでありますけれど、そこは結局、私どもが環境政策にかける意気込みと、そして、こういうものを通じることによって、政策をより中身の濃い、より素早くできる、またお互い意見があるときには、そういうものを通じてしっかり議論するという場があるに越したことはないと思っております。私自身も確かに、双方のことを考えながら、やはりこれは両省が話し合う場所をつくって、いかに環境政策が大事かということ、必要かということを訴える場としていく方がいいなという判断でございます。結局、誰でも、何でもそうですけれど、やはり運用は人次第でありますから、そこは皆様方の御期待に応えるため、やらなければならないことを、このパイプを通じてやっていきます。また当然のことながら、たくさん政府の中にも、例えば温暖化に対する懇談会とか、プラスチックの問題についても各省呼び集めてやっている、これはもう様々やっております。これがまたプラスの強力なツールになるように、私どもがしっかりと運営していかなければいけないと思っております。
(記者)もう1点なのですけれども、これから実務的なところは詰めていくのかもしれませんが、連携チームによる検討会を開催して、それをオープンの場で議論して、第三者的に見れる方を置いたりして、最終的に年度末とか中長期のスパンで何かしらの結論を出すというような類いのものなのか、あくまで役所の方同士が議論して、結局それぞれの省庁に持ち帰って、反映できるものは反映しましょうというものなのか。大臣からアクションを大まかに今説明されているというのは理解しているのですけれども、ただ、やはりフレーズだけパンと来ても、なかなかどういう形で実効性のあるものを描かれているのかというのが正直ちょっと見えづらいというところがありまして、もし御意見とかお考えがあればお願いします。
(大臣)これについては、いずれ早い時期に、どういうようなことを考えているか、少し具体的に御報告したいと思っております。おっしゃるように、年度末がどうだとか、それでどうするということを、私は最終的にはそれぐらいを目指してやりたいと思っておりますけれども、しかし、そこにいく過程で議論しなければならない、今まではなかったものですから、そこは、様々これをいい方向で活用していきたいと思っております。またいずれ近いうちに、そのやり方については、今詰めている部分もございますから、是非また御報告したいと思っております。

(記者)日経・安倍です。アクション3について1点伺わせてください。今回2023年までに商用化というのが新しいところなのかなと思いますが、2023年というのはあと4年後です。実際は今まだいろいろ研究レベルとか、そういうのも多いと思いますが、なぜこの2023というところで区切ったのかということを教えてください。
(大臣)CCU、CCUSいずれもかなり長い間、一部は私ども国が予算を付けたりして、研究もしていただいております。これは世界中が目指していても、なかなかそれ自体が難しいという部分もございます。しかし、何事もそのうちにと言っているようでは、事態の解決にはなりません。特にCCUについては、私ども様々な研究・検討いただきましたけれど、2023年というのがどういう根拠かについては、事業者が研究している、いろいろな、相当な努力も含めまして、私どもからすれば、日本がどこの国よりもいち早くこれを実装化ができると、その辺の担保というか、アシュアランスもほぼいただきました。多少、高い目標とは理解しておりますけれども、やはり自らに、また国全体として自らを元気づける、責任を持つという観点から、目標として2023年というのをあえて出したところであります。
(記者)特に何の技術が有望かというのを付け加えていただけますか。何が特に、技術の中で、いろいろ、メタネーションとか人工光合成とかあると思いますが。
(大臣)メタネーションというのは理解しておりますけれど。
(事務方)詳細は後ほど。

(記者)NHKの杉田です。今回このタイミングで、こうしたアクションプランを打ち出される、こういう強い姿勢を打ち出されるというのは、何か大臣としての危機感とかがあるのかどうかというのをお伺いできればと思います。
(大臣)それは極めて大事なことでありまして、そういう意味では我々、覚悟し尽くしておりますけれど、6月にはG20がございます。この年初から、G20に国として何を主張すべきかと、また議長国としての日本が何をすべきかと考えています。環境問題でも、当然イニシアティブをとれというような、安倍総理からも指示をいただいております。そういう意味では、どの分野にとっても、プラスチックにしても、この分野につきましてもそうでありますけど、極めて難しい問題ではありますけれども、しかし我が国として、それに向けて、ただ単に抽象的な議論だけでは十分ではありません。まずは世界中の動向を見ながら、例えばロケットを打ち上げるとかいうことも含めまして、国際社会で何ができるか、しかし同時に日本は何をしているのだと、必ずこういう議論は出てきますから、まずは6月のG20もにらみながら、しかし、もう、そろそろ一つ一つ結論を出していかなければいけない時期にきているものですから、このような時期になったところであります。これはプラスチックにつきましても、先日私ども、最終的に中環審小委員会からの御報告もいただいたところであります。これらをどうやって、具体化する案をG20にもっていくかということを私自身は考えているところであります。

(記者)テレビ朝日の広瀬と申します。基本的な確認になってしまうのですけれども、アクション1なのですけれども、今後と書いてあるのですけれども、このタイミングなので、新年度からという意味合いではなく、本当に今日この会見をもってこういう方針にしますということなのかということと、あと、先ほど質問に出たことの関連なのですけれども、近い将来、石炭火力というものを禁止するというアクションをとる過程の中でのこのアクションなのかということについて教えてください。
(大臣)前段については、もちろん今日から、これは年度とは関係なく、とにかく1日も早く実施の体制をとらなければいけないところであります。後段については、禁止するかどうか、これはまた極めて大事なエネルギー政策の問題でありますが、しかしいずれにしても、相当な勢いでこれを抑制していくということは、これはもう絶対に必要だろうと思っております。そういう意味では、このアセスの中で我々が何ができるかを、まず世の中に発表いたしまして、またその上で、次のステップを考えなければいけないと思っております。だから、先ほどお話に出ましたけれども、外国のいろいろな動きも、私どももしっかり把握しながら、しかしやはり日本としてできること、またやらなければいけないことは、私どもが責任を持って追及していかなければいけない、こう思っております。

(記者)朝日新聞の川村です。今の関連で、アクション1の実効性の部分について私もお伺いします。石炭火力において、大臣、先ほどおっしゃった、準備書手続きの過程で目標達成の道筋が描けるような、そんな計画というのはCCUSなどない限りは、現状ではかなり困難な条件だと私は認識しています。一方で、ただ、今後、大臣が意見書を提出する機会があるようなアセス案件は、現状、今の段階ではそう多くないと認識しているのですが、現状で多くCO2を排出している既存の施設だったり、あと既にアセス終了して着工している施設、それからアセスの案件にならないような小規模な石炭火力など、アセスの対象外だったり、アセスを通過したものに対しては今後どのように対応していくのか、方針といいますか、お考えを教えてください。
(大臣)アセスというのは、1回意見を出したものに対し、2度も3度もというのは、法律上はそういう立場になっておりません。しかし私どもは、この方針をしっかり示し、経済的な立場からもちろん石炭火力は大事でありますけれど、根っこには、できるだけそれを抑制しようという、そういう思想があることは間違いないわけでありまして、最近のこの動きがどこまで直接に結びついているかは分かりませんけれども、皆さん御承知のように、最近、幾つかの個別な案件で、やはりその計画を抑止しよう、とりあえず中止しようというところもでてきております。私どもはその一つ一つにしっかり評価を加えた上で、環境政策という大なる目標、大なる価値の中で、当然、事業者の皆様も判断してくれるものと。ですから、決して、こうすればこうなるということについては、必ずしも確定はしておりませんけれども、この思想やら考えは十分伝わるのではないかと、そういうふうには期待しております。

(記者)毎日新聞です。追加でCCUSのところで確認なのですけれども、この資料を拝見していると、CCUSについて、分離回収技術の確立のところでは、2021年までに商用規模における確立を目指すといった話があって、もう一つ、海外における活用方策についても検討するという記載がありますけれども、これはあえていえば、国内での石炭火力の新増設もそうですし、あとは、インフラ輸出の中でも言及がある海外への石炭火力の輸出について、このCCUSの技術をオプションにして、ある種認めていくという、進めていくというふうな方向性を暗に示しているようにも感じられますけれども、その辺りについてのコメントをお願いします。
(大臣)非常にこれは大事なところでして、まずは日本で、それから東南アジアも含めて国際社会でも、先ほど言ったように、CO2量の3分の1が石炭火力であるというのがIEAから出されたところでありますから、全部やめてしまえば、CCUとかCCUSの議論はなくなるわけでありますけれども、もちろんそういうわけにはいきません。私どもからすれば、まずは日本がギリギリそこの技術開発も含めて、それを実現するようにするし、同時に、海外で石炭火力がどういうふうに扱われるかというのは、エネルギー政策、経済政策、これはそれぞれの国の問題でしょうけれども、しかしいずれにしても、日本が多分トップで開発するCCUの技術などを、どこかの時点でしっかりまた採用してくれれば、これは地球上の全体の問題としては、十分、私どもとして貢献しているということになります。CCUSも並行してやっていますけれども、なかなか知見がないなどということで難しいようでありますけれども、しかしCCUは、いろいろ専門家の意見を集約しますと、やる気さえあればできるのだと、こういうことのようでありますから、先ほどのメタネーションも含めまして、相当、これから3、4年でやらなければいけないことはものすごく多いのですけれども、しっかりまたそういうものを目指して努力したいと。海外との関係は、今申し上げましたように、どっちにしてもなくならないというか、しかしその中でも日本が役立てることは大いにあると、こういうふうに思っております。

(毎日)最後にします。今の御発言は、海外のエネルギー政策についてを踏まえた言及だと思うのですけれども、一方で、日本国内での石炭火力の新増設について厳しい姿勢を打ち出すという一方で、CCUSというのは、基本的に温室効果ガスを排出削減してくという地球温暖化対策の一つの柱の一方で、CCUSというのは、結局、出てしまったものをいかに抑えるかという、いわば二次的な対策という側面もあると思うのです。日本国内で石炭火力の新増設という厳しい姿勢をとる、一方でCCUSを進めていく、これは言ってみれば、事業者から見れば、いずれCCUSができるのであれば、既存の計画というのを残しておこうという、そういうオプションにもつながると思うのですけれども、その辺りについてはいかがですか。
(大臣)それは、どういうふうにでもとり得るかもしれませんけれども、どんなものでも、まずは石炭火力を削減するという、そこについては、日本も、また国際社会も、そこで否定するところはないわけであります。ただ、いろいろ経済的な理由とか、それ以外の理由で、残すところは残しますが、しかし前段の、目標のところは、当然のことながら、それぞれが進めていくということであります。だから、なまじ出たときのための技術開発をやることは、かえってマイナスになるのではないかという議論は、議論としてあり得るかもしれませんけれど、私どもは両方をしっかりやっていくと。少なくとも日本が、世界のこの問題にもある程度の指導力をとっていけるということは示せるのではないかと思っております。

(以上)