大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(平成31年3月22日(金)9:18 ~ 9:29 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は、私からは2点御報告したいと思います。まず、全形牙国内取引の原則禁止についてです。種の保存法に基づく象牙の登録に関しまして、これまで虚偽の第三者証明を付す事件が発生しており、より客観的かつ厳格な登録審査の実施に向けて検討を進めてまいりました。全形を保持した象牙の登録には、全形というのは全部形を残した象牙でありますけれども、ワシントン条約規制適用前に輸入された証明書類か、条約規制前に得られた象牙であることの裏付け書類の提出を求めておりましたが、これまで裏付け書類として、第三者による証言書を認めてきておりました。これまで、違反事例も報告されておりましたが、今回検討の結果、放射性炭素同位体年代測定により、象牙の形成年代の特定が技術的に可能となりましたことから、本年7月以降、裏付け書類に関し、第三者証明単独採用を廃止し、年代測定の結果等の証明書類を付したものに限定いたします。これにより、全形牙の国内取引の原則禁止に向けて、出自、発生の不明な全形牙を市場からシャットアウトいたします。国内市場への全形牙の新たな流入は極めて限定的になることから、市場は事実上閉鎖に近づいていくと考えられます。さらに、いわば「象牙取引取締りGメン」とも言うべき取引監視の担当職員を平成31年度には3名増員し、執行強化に一層努めるつもりであります。このような措置により、象牙の違法な取引は防止できると考えていますが、その後の運用状況も踏まえつつ、象牙の違法な取引が継続するようならば、国内流通を禁止した諸外国の取組状況等を情報収集しながら、更に国内流通の在り方を検討してまいります。今回、全形牙の取引を、更にまた規制強化をするということでございます。
 2点目でございますけれども、いよいよ桜も開花時期を迎えました。新宿御苑では3月19日から開園時間及び入園料金を改定したところでございます。改定後の入園者数は3月19日は9,773人で、前年度のソメイヨシノ開花前の平日との比較では大きな影響は見られませんでした。3月20日は13,685人、東京においてソメイヨシノが開花した3月21日には20,286人と、天候にも恵まれ、前年よりも多くの皆様に来園いただいたところであります。また、開園時間については16時30分から18時に延長しましたが、当該延長時間帯に、3月19日は約500人、3月20日は約800人、3月21日は約1,400人の皆様に来園していただいたところであります。窓口においても大きな混乱等は無かったとの報告を受けております。今後も丁寧に運営の改善について周知を行いながら、国民の皆様の御理解を得ていくとともに、何といっても、私ども新宿御苑を国民公園として直接に管理・監督しているところでありますけれども、その良さや、本当に素晴らしさ、特にこの数年はインバウンド、外国からのお客様が、もうほとんど半分を超えるぐらいの勢いで来ていただいております。その辺の動きを見ながら、より積極的にこの我々の資産を、国民の資産を多くの人に見ていただきたいと思っております。以上2点、象牙の話と、開花を迎えた新宿御苑のことをお話させていただきました。

2.質疑応答

(記者)幹事社の朝日新聞・川村です。大臣、冒頭、御発言あった象牙に関してですけれども、確かに登録が厳格化することで新しい全形牙が市場に出にくくなり、市場自体は縮小すると考えられます。しかし、これをもって全形牙の国内取引が原則中止に向かうというのはちょっと認識の分かれるところかなと個人的には思っておりまして、海外などで見ますと、原則中止というと、アンティークや楽器などの、そういうごく狭い例外を除いて取引を禁止する形をとっている国もあるようですけれども、今回、諸外国などに向かって、今回の規制強化をもって日本は原則禁止に向かっていくというふうに発信していくおつもりか、その辺の認識をちょっとお伺いしたいです。
(大臣)我が国では、象牙の流通管理の強化という国際的な要請も踏まえまして、昨年6月に改正種の保存法を施行し、象牙を扱う事業者の登録を義務づけるなど、事業者の厳格な管理を進めているところであります。先ほど申し上げましたように、「象牙取引取締りGメン」という定員を3名、来年度に増やしまして、執行強化に一層努める、こういうことでございます。今、お話にありましたように、全体としてはしっかりこれを強化して、全面禁止に向けて努力しなければいけないわけでありますけれども、アフリカの諸国の中には、もっと厳しくというようなことをワシントン条約の下で新たな決議案を出すグループもあれば、逆に、きちっと管理したものであれば、現地ではむしろ適正な管理こそが大事であって、全部を禁止というのはやり過ぎではないかという議論もあるようであります。いずれにしましても、我が国は、基本的には非常にきちっと管理をしているつもりでありますけれども、世の中の動き、さらに、当然、これらに携わっているマーケットの関係者もおられますから、その辺は、世界的な動きの中で、きちっとした姿勢を示していきたいと思っております。
(記者)関連で。大臣からも御発言がありました5月からのワシントン条約締約国会議で、おっしゃいましたように、ケニアなど幾つかの国から、ワシントン条約の締約国に対して、象牙の国内市場の禁止を求めるような勧告が出ております。一方で、おっしゃったように、ワンオフトレードをもう一回してもいいのではないかというような提案も出ていると認識しておりますけれども、こういった象牙関連の提案について、日本としてどう対応するつもりか、今、お考えがあれば教えてください。
(大臣)当然、政府全体、関係省庁とももちろん協議しながら、また、やはり、それに伝統的に関わっておられる方々もたくさんおられるわけですから、まずは、全体の管理を決められたとおりにやると。先ほど全牙についても、数は多くありませんけれども、せっかくルールをつくったのですけれども、違反事例もあったために、今回、更に強化をしたということであります。いずれにしましても、その辺がきちっと守られていることを前提に、各国と話し合う必要もあるかと思っております。いずれにしましても、国際的な動き、更に国内での省庁との調整をしっかり行っていきたいと思っております。

(以上)