大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(平成31年2月26日(火)9:19 ~ 9:48 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まず、先週金曜、22日に、中央環境審議会プラスチック資源循環戦略小委員会が開催されまして、長時間にわたる御審議の結果、委員長一任として戦略案が取りまとめられました。その中で、レジ袋の有料化についても方向性を整理していただいたところであります。これを受け、私といたしましても、全国一律のレジ袋有料化義務化を進める決意を固めたところでございます。今後、年度内に答申をいただいた上で、6月のG20までに政府として「プラスチック資源循環戦略」を策定してまいります。小委員会の委員の皆様には、いろいろ御指導いただきまして、今後また頑張っていただかなければいけないと思いますけれども、まずは厚く御礼申し上げたいと思います。
 続きまして、バーゼル条約への対応について御報告いたします。廃棄物の越境移動の規制を行うバーゼル条約におきまして、プラスチックによる海洋汚染問題に関する議論が活発化しております。汚染されたプラスチックをバーゼル条約の対象物質に追加する提案がなされておるところであります。日本は、この提案に積極的に賛成する意見を提出するとともに、共同提案国になることといたしました。今後、日本がバーゼル条約における議論においてリーダーシップを発揮し、今年4月から5月にかけて行われる、バーゼル条約締約国会議において、本提案の採択を目指したいと思っております。
 また、先ほど、海洋プラスチックごみの問題について、小委員会の御報告をしたところでありますけれども、我が国がG20議長国として、海洋プラスチックごみ問題に先導的に取り組み、実効的な対策により世界をリードしていく必要があります。このため、政府全体として、総合的かつ実効的な対策を推進するべく、今般、「海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係府省会議」を新たに設置し、お手元に配布しましたように、本日、その第1回を開催する予定にしております。

2.質疑応答

(記者)NHKの杉田です。今、御説明があった関係府省会議のことなのですけれども、これは、これまで議論されてきた「プラスチック資源循環戦略」との違いというのはどこにあるのかというのと、これ、第1回ということですけど、いつまでに何かを取りまとめるめどとかがあるのか教えていただければと思います。
(大臣)いずれにしましても、この会議、今国会における安倍総理の施政方針演説の中にもこのことを述べておりますが、プラスチックによる新たな海洋汚染を生み出さない世界の実現を目指すために、関係府省相互の連携・協力を確保し、政府全体で具体的かつ実効的に取り組むことを目的としておるところでございます。6月のG20を臨みながらということでもございますから、今年度内、3月中には、戦略の答申をいただいた上で、当然検討しなければならない点はたくさんございますから、そういうスケジュールで頑張っていきたいと、今、考えているところであります。
(事務方)改めまして、今日の夕方の府省会議の中で、その会議の詳細につきましては御説明差し上げたいと思いますけれども、大臣からお話があったとおり、G20に向けた取組として、政府一丸となってという話でございますので、スケジュールに関しては、それに即した形で今後、関係省庁間で調整してまいります。
(記者)細かくて申しわけないのですけど、これまでの「プラスチック資源循環戦略」との違いというのはどういうふうに理解していけばよろしいでしょうか。
(大臣)プラスチックの様々な総合的な施策も既に議論しております。併せてレジ袋の有料化等も詰めた議論をしておりますけれども、今回、小委員会が一つの明確な方向を出していただいたということを踏まえて、今度政府としては、それを踏まえて、政策としてしっかりまとめていかなければいけないと思っております。これまでの議論、大小様々あります。総理も、ASEAN+3の会議でも、そのことについてしっかり触れられておりましたし、国会の審議の中でも相当な議論が進んでおりますので、私どもからすれば、この辺りでしっかりまた、政策として出さなければいけない、こういう気持ちでおります。ただ、詰めていくには、結構論点があり、そう簡単ではございません。また、各界各層の御理解、御支援も、どうしても必要でありますから、相当な議論を進めていかなければいけないと思っております。

(記者)共同通信の清水と申します。冒頭、レジ袋有料化の義務化について前向きなコメントをいただきました。大臣は就任当初から有料化について積極的な姿勢を示されておりますが、実施時期とか、有料化の手法、あと、対象とする小売店、中小零細業者の扱いなどが今後、非常に注目されると思うのですけれども、大臣は現時点でどのような方向性、イメージをお持ちでしょうか。
(大臣)これは国民生活にも大きな影響を与える案件でもございますから、やるにしても相当慎重な検討、また、各般からの御意見、これらも必要だろうと思っております。さはさりながら、この数か月、私が就任してからも5か月ですね、結構議論を進めてきましたが、少なくとも全国一律、公平でやるとか、法的な措置も含めて、つまり義務付けになりますと、やはり何らかの法律的な措置も必要になろうかと思います。しかも、同時に消費者のライフスタイルにかなりの影響を与えるという意味では、それは本当に効果的か、実効的かというところもしっかり踏まえなければいけないと思っております。いずれにしましても、このような考えを基本に、これから多様な論点の検討を進めていきたいと思っておりますので、今の段階で、いつまで、どうする、というわけにはなかなかいきませんけど、一応の方向性は出てきたというふうに御理解いただきたいと思います。むしろ、議論はこれからでございまして、それこそ各般各層の御意見を丁寧に受け止めなければいけない、こういうふうに思っております。精力的に調整を続けたいと思います。

(記者)朝日新聞の神田です。冒頭発言のバーゼル条約のことなのですけれども、これまでプラスチックが汚れているものをリサイクルに出して、そういうものが国内ではリサイクルできなくて海外に頼ってきたという経緯があると思うのです。バーゼル条約で日本は積極的に汚れたプラスチックを規制対象物に加えることに賛同するということですが、そうなると、実質上、海外に輸出できなくなってくるわけで、それを国内でどのように処理していくのかということを聞かせてください。
(大臣)おっしゃるように、今までどうしても処理できないプラスチック廃棄物といいますか、それを外に出す、また、外で買ってくれる場所があったのも事実でございます。しかし、時代は段々変わってきまして、そういうものに依存するばかりにはいきません。そういう意味では、当然、論理的にも、まずは国内での処理の体制をきちっとする、また、これ自体は、私はいつも言うのですけど、プラスチックというのは、それこそ人類の発明した極めて有用な、鉄よりも硬く、鉄よりも強い類いの、そういう意味では本当に素晴らしい発明品なのです。ですから、それは有用であることは間違いないけども、同時に、それを国内で処理していく。3Rというのが前提で、先のことを考えながら生産する、流通するということが大事でありますけど、ごみというのは必ず出ます。そういう意味では、国内処理するための技術、また、処理する方法、こういうものについては相当真剣に検討しなければいけないと思います。言ってみれば、プラスチック資源循環戦略小委員会でも、私どもが考えたのは、全体をどう見ながら、また環境に対して負荷の少ないものをこれからどう開発していかなければいけないかということだと思っております。具体的には、それこそ出す量を少なくするとか、技術開発もプラスチックに代わる技術もかなりのところまで来ていますから、そういうものについても、しっかりまた開発を促進していくと、こういうことが必要ではないかと。これは、恐らく我が国ばかりでなくて、当然どの国にとっても同じ事情でありますので、そういう意味では、技術開発等で、やはり我が国がしっかり先導して、それぞれの国に協力できるようなところにまでいきたい、こう思っております。

(記者)毎日新聞の五十嵐です。地球温暖化対策についてです。先週の金曜日ですけれども、日本の大学生らが国会前で集会を開き、温暖化対策についてもっと考えていこうという趣旨で声を上げておられていました。元々は、昨年の秋以来、ヨーロッパを中心として、学生がデモを繰り返していて、各国の政府指導者らに、地球温暖化対策の強化だったり政策の転換を促す内容だというふうに承知しています。日本でこういった動きが出てきたということについて、どのように受け止めるかというところに加えて、直接的に政府、環境省に対して何かを訴えているという集会ではありませんでしたけれども、実質的には、対策の強化というのを政府に求めていく内容だと思います。彼らの訴えに対してどのように応えていくかも含めて言及いただければと思います。
(大臣)非常に大事なことだと思っております。これにつきましては、スウェーデンのグレタさんという少女がお一人で始めた運動から、今や世界に広まっているということを伺っているところであります。将来を担う若い世代が、それこそ地球温暖化問題というのはもうひとごとではない、自分たちの問題だというような真剣な関心を持つことが運動のモチベーション・背景になっているというようなことであります。環境省としても、若い世代も含めて、国民の皆様に地球温暖化問題に関する関心・理解を深めていただけますように、例えば、小中学生に向けたアニメーションの上映などの取組を、今までも進めてまいりましたけれども、また引き続き普及啓発に努力していきたいと思っております。こういう若い世代の御意見は本当にしっかり、私ども大人の世代が耳を傾けて、大変な刺激を受けておりますので、最終的には政策にもいかしていかなければいけないと思っております。

(記者)日本経済新聞の安倍です。二つお伺いします。一つ、プラスチックなのですけれども、月曜日に戦略として取りまとまりました。ただ、会議、聞いていますと、有識者からいろいろな異論が出ました。お聞きになっていると思いますけれども、30年25%減の基準年が入っていないとか、ペットボトルはどうするのかとかいう議論ですけれども、今後、より汚染に対する目が厳しくなる中で、今回の取りまとめに盛り込めなかったようなところ、今後、より厳しくしていくべきようなところが、どういうところがあるのかということをお聞かせください。
(大臣)今回、まだ詳しく、私ども省として検討することがたくさんあります。ただ、小委員会の先生方が本当に真剣に検討していただいて、最終的には、委員長一任という形でまとめていただいた。逆を言えば、それぞれの課題について、委員の先生方にも御意見がありました。個別に、どこでどういうふうになったか、盛り込めなかったことというようなお話がありましたけれども、まだそこは十分まとめておりませんけども、しかし、いずれにしましても、大きな方向は今出しつつあると、こういうことでございまして、有料化についても一歩踏み込んでいただきましたし、これは当然、中環審の委員の先生方の話も含めて、当然、今度、行政の側、私どもの側が、本当にそれを具体化する面において、相当詰めた議論をしなければいけないと思っております。
(記者)もう1点なのですけれども、話は違うのですが、除染した後の福島の土についてです。先週木曜日に中間貯蔵施設に伺いまして、現状を拝見しました。印象としては、非常に丁寧に分別しているなという印象を持ったのですけれども、これからの課題は、やはり再利用ということになると思います。今、いろいろ議論も検討会の方でしていると思うのですけれども、再利用するに当たって、最も今、課題だという、9割以上再利用するという計画だと思いますけれども、その辺り、どういうところが課題なのかということを教えてください。
(大臣)今、中間貯蔵施設に、いわゆる仮置場から、場所の問題やら運送の問題なども現実にありますけど、いずれにしましても、方法としては、そういうことを、中間貯蔵施設に全部持ってくるというところまでは御理解いただいた上で進めているところであります。 これから30年間の間に、最終処分は県外へ持っていくというお約束、のみならず、これは国の方針でございますから、しっかりやろうと思っております。ただ、中間貯蔵施設に搬入した後については、当然のことながら、一部はもう線量が下がって減容化する、もしくは、それ以外の再利用、また技術開発ということで、全体をできるだけ少なくした上で、しかし、当然のことながら、残ったものは県外に持っていくわけであります。ですから、これからまた相当な努力やら、また、地元の皆さんとの相談があると思いますけれども、いずれにしましても、実証事業等を通じまして、再生利用の安全性の確認を行うとともに、再生利用の必要性、安全性について御理解いただけるような丁寧な御説明をした上で、残せるものは何かと。しかし、いずれにしても、残ったものは、しっかりまた県外に持っていかなければいけないと、こういうふうに思っております。

(記者)毎日新聞です。バーゼル条約の関係で1点だけなのですけれども、これまで汚れたプラスチック、汚れていなくても、プラスチックのごみを海外に輸出していて、それをお金にかえてきた部分があって、それが中国を始めとして、各国が自国の環境問題の関係で受け入れをしなくなったということが、多分、今回起きてきた問題の背景としてあると思うのですけれども、先ほどの大臣のお話は、基本的には国内で処理をしていくというふうなお考えだったと思うのですけれども、そもそも今は他国が受け入れないから物理的に出せないわけであって、それを日本として、出すのをやめるというふうなお考えに持っていくという考えはあるのでしょうか。
(大臣)それはまた、これからの検討でありますけど、基本的には、そもそもバーゼルを含めて、汚れたというか、そういうプラスチックのものを外に出す、貿易という形で出すということは、これはもう基本的にやめなければいけませんし、また同時に、中国の輸入がなくなったということをきっかけに、先ほど申し上げましたように、やはり国内でどう排出量を抑え、そして、ちゃんとしたリサイクルにして、本当に残量については、またきちっと処理ができるような体制をつくっていくということが、やはり基本だろうと思います。ですから、禁止かどうかは、またその過程でどういう形になるかはございますけれども、いずれにしても、考え方としては、もう外に持っていく、依存するということはやめなければいけないと思っております。
(記者)今の件なのですけど、バーゼル条約で日本が賛同してその案を出していくということは、基本的に国際条約なわけで、日本としても、もう海外に汚れたプラスチックを輸出も含めて出すことを自ら禁じるということとほぼ同義だと思うのですが、その点について、ちょっともう一度言及いただけますか。
(大臣)プラスチックが汚染された状態で安易に輸出入されることは、海洋プラスチック汚染の原因となりうるものであって、今度の締約国会議で本提案が採択されるよう、日本が積極的にリーダーシップを発揮し取り組んでまいりたいところです。だから、基本、考え方としては、おっしゃるとおり、日本として、この国際条約にも提言するわけですから、当然、国としては、そういう気迫で取り組んでいかなければいけないと思っております。
(事務方)事務的に補足させていただきます。基本的に、大臣の方から御発言あったとおりでございます。もうちょっと事務的に細かいことを申し上げますと、バーゼル条約というのは、あくまでも輸出入の手続きの問題ですが、この輸出の手続きというのはかなり厳しいものになりますので、そういったことから、実質的にこういったバーゼル条約で汚れたプラスチックを、バーゼル条約の範囲に含めるということになれば、実質的に日本から汚れたプラスチックが出ていきにくくなるというふうに思いますし、また、汚れたプラスチックについては、きちんとこれから、そういう輸出の際の手続きを厳格化していきたいというふうに思っております。

(記者)除染土壌の再利用のことでお尋ねしたいのですけども、常磐自動車道のあの実証事業について、3月7日に南相馬で説明会が行われると思うのですけど、その説明会が非公開となっていると思うのですが、その理由と、あと、区長のみが対象となっていると思うのですけど、その理由についてお伺いできればと思います。
(事務方)今、御質問あった常磐道の件ですけども、御案内差し上げていますように、地元の行政区長さん、区長会、区長さん宛ての説明会というのをまずしようと思っています。地元への説明というのは、どうやるかずっと調整しているのですけども、地元との話合いの中で、まずは地元の区長さんへの説明からということで、こういう段取りになったということでございます。
(記者)なぜ非公開になっているのでしょうか。
(事務方)これは、そこで説明と地元の方との議論を自由にしていただくということで、ここはマスコミさんには、ちょっと入らないでという形で進めたいということで、地元との調整をそんな形でさせていただいたところでございます。結果につきましては、その直後に、またブリーフをさせていただこうというふうにしております。
(記者)地元から、そういうふうに非公開にしてくれという要望があったという認識でよろしいのでしょうか。
(事務方)地元との、今回の会議の話合い、どういうふうにやるかという話合いの中でそういうふうに決まったということです。

(記者)共同通信の清水でございます。ちょっとテクニカルな話なので、事務方の方に答えていただければと思うのですが、汚れたプラスチックの輸出というのは、現在でも日本は廃棄物処理法か何かで規制されていると思います。バーゼルで汚れたプラを出すことを禁じた場合、何か、あまり日本としては影響、あまり変わらないのではないかなという気がするのですが、その辺りは何か変わるところというのはあるのでしょうか。
(事務方)おっしゃるとおり、廃棄物処理法で廃棄物になれば、実質、輸出はできないということになっております。ただ、今、中国を始め、海外に出ていってるものは有価物ということで輸出をされています。バーゼル条約は有価物も含めて対象となりますので、新たに有価物としてこれまで売られていたようなものも含めて規制の対象になってくるということでございます。

(以上)