大臣談話・大臣記者会見要旨

原田大臣記者会見録(平成30年12月21日(金)11:23~ 11:40 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は何点か御報告することがあります。まず、本日の閣議で、平成30年度2次補正予算案及び31年度当初予算案が閣議決定されたところであります。まず我が省の関係でありますけれども、平成30年度第2次補正予算案につきましては、市町村等が行う廃棄物処理施設(470億円)及び合併処理浄化槽(10億円)の整備、災害に強いリサイクル設備の整備(60億円)、自然公園等における避難施設等の改修・再整備(90億円)、放射線防護施設等の整備(73億円)など、「防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策」のうち初年度の対策として速やかに着手すべきものなどについて、必要な予算を確保することができました。環境省、原子力規制委員会、内閣府原子力防災の合計で1,071億円を今回の2次補正でいただいているところであります。また、平成31年度、来年度の当初予算案につきましては、これを十分に活用し、環境政策が「牽引役」となって、環境・経済・社会の諸課題の同時解決、地域循環共生圏の創造、「新たな成長」の実現につなげていきたいと考えています。8,874億円を31年度当初予算に組んでいただいているところであります。特に、来年のG20においても主要な議題となる海洋プラスチックごみに関し、世界のプラスチック対策をリードし、国内外で新たな成長の源泉とするための施策、地域の主体性をいかして循環と共生を実現する「地域循環共生圏」を構築するためのプラットフォーム構築支援等の施策、パリ協定に基づく長期戦略の策定や、ESG金融の推進など、脱炭素化に取り組む企業を後押しするための施策などに取り組むものとしております。また、東日本大震災の被災地においては、これまでの環境再生に向けた取組を着実に進めつつ、復興の新たなステージに向けた未来志向の取組についても取り組んでまいります。さらに、平成31年度内閣府原子力防災当初予算案では、原子力災害時における避難の円滑化対策など、関係自治体が行う原子力防災対策の充実・強化を引き続きしっかりと支援していくとともに、訓練・研修による人材育成を進めてまいります。原子力規制委員会については、規制を支える安全研究の推進、原子力災害対策やモニタリング体制の強化、人的基盤の強化など原子力規制の的確な実施のための予算を計上しており、引き続き、原子力規制委員会をしっかりとサポートしてまいります。
 続きまして、本日の閣議において、「まち・ひと・しごと総合戦略」の改訂版が決定されました。環境省の関係では、地域の活力を最大限に発揮する地域循環共生圏の創造や、地域の実情に応じた気候変動への適応策の推進が新たに盛り込まれたところであります。引き続き、環境政策を通じて、地方創生を牽引すべく各種の施策に取り組んでいきたいと思います。

次でありますけれども、本日、閣議前に原子力災害対策本部が開催され、「特定復興再生拠点区域の避難指示解除と帰還・居住に向けて」が決定されました。内容としては、除染・インフラ整備等の拠点区域の整備を進めるとともに、拠点区域への住民の帰還に向けた安全・安心対策を講じた上で、帰還準備のための宿泊を実施し、地元との協議の上で避難指示を解除するという内容を含んでおります。環境省としては、引き続き、計画に沿って着実に家屋等の解体・除染を進めていくとともに、よりきめ細かな放射線不安対策に取り組んでまいりたいと思います。
 次はSDGsの件でありますけれども、本日、SDGs推進本部の第6回会合がございました。今回の会合では、SDGs達成に向けた政府の主要な施策をアクションプランとして取りまとめ、企業や団体等の先駆的な取組を表彰する第2回「ジャパンSDGsアワード」受賞団体を決定したところであります。アクションプランには、気候変動対策や海洋プラスチックごみ対策、地域循環共生圏づくりといった環境省の主要施策が盛り込まれております。環境省としては、このアクションプランに基づき、国内外における各主体のSDGs達成のための取組を引き続き積極的に進めるということを、その場で私からも発言をしておきました。
 さらに、国際博覧会の関係でございます。本日の閣議後に、「2025年に開催する国際博覧会関係閣僚会議」が開催され、今後の主要スケジュール等について説明がございました。私からは、第5次環境基本計画で提唱した「地域循環共生圏」、「環境・生命文明社会」の実現は、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」と合致するものであり、万博の内容の具体化に向け積極的に協力していきたい、その旨を発言したところであります。万博の成功に向け、環境省としても様々な形で貢献をしたいと思っております。
 本日の夕方に第4回目の「パリ協定長期成長戦略懇談会」が開催されます。本懇談会では、これまで、「イノベーション」「グリーンファイナンス」「グリーンビジネス・海外展開」「地域」をテーマに、外部有識者のヒアリングを行い、議論を進めてまいりました。今回は、これをもとに、今後の提言案の取りまとめに向けて、戦略に必要な要素等を更に充実すべく御議論いただく重要な会となるわけであります。私も、先日までCOP24に参加しておりましたが、サイドイベントなども含めた会合の盛り上がりを目の当たりにし、世界全体として気候変動問題に真剣に取り組んでいこうとする強い意志に感銘を受けるとともに、引き続き対策にしっかりと取り組んでいく決意を新たにしたところでございます。パリ協定の下での脱炭素社会の構築に向け、「環境と成長の好循環」を実現するためのしっかりとした長期戦略を策定するため、引き続き、懇談会において精力的な議論をお願いしたいと考えているところでございます。
 御報告としては最後になりますけれども、来週の25日火曜日でございますが、25日、26日と、内閣府の原子力防災担当大臣として、愛媛県に出張する予定にしております。伊方地域における現地の原子力防災対策の状況を視察するとともに、中村愛媛県知事ら地元の皆さんと、しっかりとまた意見交換を行う予定でございます。詳細は、お手元に資料をお配りしております。どうぞよろしくお願いします。

2.質疑応答

(記者)毎日新聞の五十嵐です。予算の関係で1点だけお尋ねいたしますが、今の大臣の冒頭の御発言でも度々触れておられましたが、地域循環共生圏について、今回の予算の中でもかなりまとまった額で事業費を確保しておられると思いますが、これまでも環境省としてもいろいろと地域循環共生圏について、御説明はあったと思うのですけれども、この際ですので改めて、新年度予算の中で地域循環共生圏というのはどういうものを目指していくのか、具体的な事業については結構ですので、大臣のお言葉で、どういったことを目指すのかということについて改めてお聞かせください。
(大臣)地域循環共生圏というのは、第五次環境基本計画の中で、私どもが提唱したところでございます。地域の主体性をいかし、自立分散で、相互連携により補完しあいながら、循環と共生を実現する「地域循環共生圏」を構築することが大切であります。言うまでもありませんけれども、環境政策は、国がしっかりと全体を示していくということも非常に大事でありますけれども、併せて、地域の主体性、さらには自立分散で、全体としてそれが大きな力を発揮すると、こういうふうに御理解いただくといいと思います。このため、平成31年度予算案では、「環境で地方を元気にする地域循環共生圏づくりプラットフォーム事業」により、プロフェッショナル人材等からなる地域循環共生圏づくりプラットフォームを構築し、パートナーシップによる地域の構想・計画の策定等を支援することとしております。加えて、「脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業」により、地域の特性や主体をいかしつつ、地域のエネルギー、交通といった地域社会インフラの脱炭素化モデルの構築・実証を行うこととしております。申し上げましたように、当然、国からのしっかりとした施策も大事でありますし、併せて、地方の特殊性、地方からの自立的な発想、そういう構成が非常に大事だということでございます。

(記者)原田大臣、昨日、インド洋に浮かぶモルディブ共和国の関係大臣が原田大臣と会談されていますけれども、この内容についてお聞きしたいです。そして、また、この会談の位置付けというのを、環境政策という枠だけではなくて、日本国全体として、このモルディブの会談をどういうふうに位置付けているのか。というのは、12月7日にも、インド洋のセーシェル共和国のメリトン副大統領と原田大臣、面談されております。ここへ来て、インド洋でセーシェル、そしてモルディブと続いて会談されているということは、何か深い意味があるのではないかと国民は思うのですけど、いかがでしょうか。
(大臣)昨日の午前中に、モルディブ共和国のシャーヒド外務大臣、アミール財務大臣、イスマイル経済開発大臣が、私どものところにお越しくださいまして、率直な意見交換をしたところであります。私以外には、あとからお聞きしましたけれども、河野外務大臣、世耕経済産業大臣、さらに麻生財務大臣にもお会いされたということを伺っております。モルディブは、もう言うまでもありませんけど、島しょ国で、海水面から2、3メートルしか土地の標高がないのだというようなことから、温暖化等については非常に真剣に取り組んでおられます。ちなみに、COP24でもたくさんの国と会談をいたしましたけれども、モルディブの代表者とも、その場でもお話をしたところであります。いずれにしても、モルディブとこれからもしっかり協力し合おうということで合意したところであります。確かに、先日セーシェルの副大統領ともお会いしました。インド洋の、本当に御苦労されている島しょ国の指導者とお会いできて、非常にうれしく思います。私どもからすれば、皆さんの御苦労に対して、いささかでも日本が協力するものがないだろうかということから、今、何か深い意味はということでしたが、私どもは、当然のことながらどの国とでも、とりわけ途上国の皆さんの環境政策は本当に力を入れて応援しようと思っております。そういう意味では、これからも、例えばJCM等で、それぞれの国としっかり協力し合おうということはやっていきたいと思っております。

(以上)