大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成28年2月12日(金)9:34 ~10:12  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 閣議において環境省に関する発言はございませんでした。
 2月7日の松本市内での私の講演での発言について、一言申し上げたいと存じます。
 私の発言に、言葉が足りておりませんでしたゆえに、追加被ばく線量年間1ミリシーベルトという長期目標を軽視しているかのような誤解を招いたとすれば、特に福島を始めとする被災者の皆様に対して、誠に申し訳なく、心からお詫び申し上げたいと思います。
 被災された皆様のお気持ちをしっかり受け止めて、年間1ミリシーベルトという長期目標を堅持し、引き続きその達成に向けて、政府一丸となって、除染のみならず、モニタリングや食品の安全管理、そしてリスクコミュニケーション等の対策を実施して、福島を始めとする被災地の復興のために全力を尽くす覚悟でございますので、どうかご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

2.質疑応答

(問)共同通信の阿部です。おはようございます。冒頭に発言がありました講演の件なんですけれども、今お詫びという形で発言されましたけれども、発言自体を撤回するお考えはないのでしょうか。
(答)発言については、本当に言葉足らずで誠に申し訳なかったと思っております。追加被ばく線量年間1ミリシーベルトというのは、除染のみならず、モニタリングや食品の安全管理、それからリスクコミュニケーション等の総合的な施策を通じて、住民の方々が生活する中で目指すべき長期目標として、政府として掲げたものだと認識をしております。私の発言の趣旨は、がん発生率の増加について100ミリシーベルト以下では科学的には確認されていないけれども、放射線量における1,000ミリシーベルトあたりのがん発生率が増加するリスクと同じ割合で、がん発生率が増加するリスクがあるということについて、ICRPが放射線防護上に想定しているということについて申し上げたもので、この点について誤解を招いたとしたら大変申し訳なく思っております。私としては現地の皆様のお気持ちを受け止めつつ、除染を始めとする対策をしっかり進めていくことで責任を果たしてまいりたいと思っております。
(問)今の質問の関連なんですけれども、発言の件で10日水曜日の予算委員会で細野議員からの質疑を大臣答弁されてましたけど、その別の発言の箇所で「今まで環境省はエコだのなんだのって言っていれば良かったですけれども、あの震災から5年間ずっと除染の仕事をやっています。」という発言の答弁について細野議員が質問されていました。この件に対して、答弁はなかったんですけれども、そこの認識の見解をお聞かせください。
(答)私の発言が言葉足らずで環境省の職員の皆様、また関係者の皆様に残念な思いを抱かせたとしたら誠に申し訳ないと思っております。環境省の発足当初は大変人数も限られていて、その中で地球温暖化問題等の国際交渉等の重要な環境問題に対応していたということは大変承知をしておりますが、とりわけ震災以降のこの5年間は除染、あるいは中間貯蔵施設の建設等、更に困難な課題が増えてきて、若手の皆さんをはじめ、毎日深夜まで、深夜遅くまで大変な仕事に取り組んでいただいているということを申し上げたかったものでございます。こういう厳しい課題に向き合っておられる職員の皆様、また関係者の皆様に心から皆様に敬意をもっておりますし、また一緒に仕事ができることを誇りに思っております。今後も環境省が直面している課題は難しいものばかりでございますけれども、どの分野においても環境省自ら中心となって、他の省庁も世の中も巻き込んでいく気概をもって、粘り強く取り組んでいけば必ず道は開けると信じてますので、私も大臣としての職責を皆様とともにしっかりと果たしてまいりたいと思っております。
(問)最後にしますけれども、今の関連で、冒頭で今福島に特にお詫びという発言がありましたけれども、直接福島の地元自治体等にこの件について説明やお詫びに行くことはありますでしょうか。
(答)私自身の発言の後、まず既に県知事に取り急ぎお電話申し上げました。また担当の局長や現地の事務所の幹部等からも、私自身からもですが地元の首長さんに対してお電話等で言葉足らずであったことについてお詫びを申し上げております。また、私の発言の真意についてもお伝えさせていただいたところでございます。今後も福島県の皆様のお気持ちをしっかり受け止めて、対応してまいりたいと思います。

(問)日本テレビの杜です。よろしくお願いいたします。冒頭の質問と関連するんですけど、要するに発言は言葉が足らなかったと、それについて謝るということでよろしいですか。撤回はされないということでよろしいですか。
(答)長期目標の年間1ミリシーベルトの設定の際に参考とされたICRPの考え方というのは、年間1から20ミリシーベルトの範囲の中で、地域の汚染状況等に応じて設定すべきものであるということになっています、というふうに私は理解しております。その中で、長期目標を設定するに当たっては、福島の方々の安全安心のために、様々な要素を総合的に判断をして、最も厳しい値が設定されたというような認識をしておりますので、いずれにしても、福島の皆様の誤解を招いたとすれば、言葉足らずで大変申し訳なく思っております。
(問)1990年、2007年のICRP勧告を知っているんですけれども、そういう経緯で当時、20から1の間でより厳しい1にしたというような経緯があるんですけれど、大臣が講演で発言したような「何の科学的な根拠もなく」とか、あるいは「誰にも相談せずに」という部分は、このようにおっしゃったとすれば、明らかに事実に誤りがあるわけですよね。その点について言葉が足らなかったという説明というのはどうなんでしょうか。もし、発言に誤りがあるのでしたらきちんと撤回をした上で、今おっしゃった説明はそのとおりだと思うんですが、ご自身の発言の撤回の部分というのはいかがですか。
(答)仮に「何の科学的根拠もなく」と受け止められたのであれば、これは大変申し訳なかったと、言葉足らずであったというふうに思っております。
(問)あくまで受け止め側の問題であったということですか。国会の議論も今日もですが、「もし誤解を与えたとすれば」と、ずっとそういう言い回しされているわけですけど、地元の方からすると、被災者の方にお話を聞きましたが「もし誤解をされたとしたら」と、これはなんだ責任を我々の方においているのか、とこういうふうに受け止められる方もいるのですが、率直に言葉が誤っていた、申し訳なかったとこういう言い回しをするというお考えはないということですか。
(答)ICRPの考え方のベースラインに1ミリシーベルトという長期的に目指す目標だということで、そのレンジの中にきちんと含まれておりますので、科学者の皆様方が議論をした根拠に基づいているものだと思います。
(問)ICRPの勧告の話ではなくて、大臣のご自身のご発言について今お尋ねしているんですけども。
(答)私の発言の真意はまさに科学者の皆様方の議論に基づいたものだということを申し上げたかったのでありまして、根拠がないという言い方は私が間違った言い方だろうと思います。

(問)福島民報社の鈴木と申します。中間貯蔵施設についてお尋ねしたいんですけれども、中間貯蔵整備に向けて、用地取得が今かなり難航しているという状況だと聞いております。建設の先行きが見えない。そして地元の自治体等からこれからの建設に向けたロードマップを示すように求める声がかなり強まってきていると聞いております。そのロードマップを示すお考えというのはございますでしょうか。
(答)少なくとも、将来的な見通しを地元の皆様に立てていただけるような何らかのスケジュールはお示しをすべきであろうと思います。一方で、2030年までに向かっては、政府がそうしたものを見通しを示すようにということで、国会の附帯決議で付けていたいただいているかと思いますので、附帯決議に従ったものをきちんと皆様にお示しすべきかと思います。
(問)具体的に示す時期であるとか、盛り込まれる内容についてはどのようにお考えでしょうか。
(事務方)事務方の方からお答えさせていただきます。これについては、まさに皆様の関心事でありますし、政府も含めて全体で考えなくてはいけないものなので、今後十分調整をした上でお示しすべきことだと考えております。
(問)具体的に示される時期というのは、いつ頃というようにお考えでしょうか。
(答)今の時点ではお答えできるものはございません。

(問)テレビ朝日の吉野です。おはようございます。大臣発言ですね、松本での話ですけど、申し訳ないですけど突っ込みどころが満載すぎて何から聞いていいのか分からないぐらいあるのですが、まずひとつ聞きたいのが、反放射能派っていうと変ですけれども、どんだけ下げても心配だという人が世の中にいて、そういう人たちがわーわーわーわー騒いでいる、というご趣旨の発言をそのまま今読みましたけど、反放射能派というのはどういう方を指すのでしょうか。
(答)私、自分でこの前も会見で申し上げたのですが、ちょうど震災の直後に放射能、低線量被ばくについて大変前向きな方たちが私のところに押しかけてというか、おいでになられて、その自説を展開されて、その話を伺って大変衝撃を受けまして、私も実はそんなことは考えたこともなかったんですが、世の中にはプロとアンチという言葉があるならば、プロ低線量ばくというお立場の方がおられるということを、この時に大変な衝撃を持って受け止めまして、この議論に関してプロ放射能、アンチ放射能というと、放射能というより低線量被ばくの方が的確なのですけれども、というお立場の方がおられるということを認識として持ってまいりましたので、自分の中の、頭の構造の中で出た言葉でございます。一方で、福島県の方のことを指すわけではございませんで、一般的にリスクをどう取るかということを考えた時に、リスクというのは全くゼロの状態を選び取るというのは大変難しいことで、我々は何らか、リスクをどう評価するか、リスクの性質であったりその大きさであったり頻度であったりというものを評価しながら、リスクをなるべく自分たちの今の環境にとって下げるように選び取っていくものだと思っておりますので、もし、非常に下げても下げても難しいというふうに私が申し上げたのは、リスクの全く無い状態でなければ受け入れないという方も中にはいらっしゃるということをご指摘申し上げたくて言った言葉でございます。
(問)反放射能派がわーわー騒いでいるというと、一般に福島の人たちがと。
(答)それは全くないです。
(問)そういうことではないんですね。
(答)はい。
(問)もう一つ、メディアの人間としてお伺いしなければならないことがありまして、住専の報道をされた丸川大臣が、ニュースステーションでされたというようなお話のあとに、メディアというのは文句は言うけれども何も責任を取らないというようなご発言をされているのですが、じゃあ私たち今、ここに集まっている記者たちも、責任のない状態で質問したり、いろいろ記事を書いたりしていると思われますか。
(問)私の発言の趣旨は、マスコミの皆さんの果たす重要な役割を否定するという内容のものではないですし、その趣旨もございません。私もメディアにおりましたので、国民の知る権利に奉仕するというマスコミの役割は大変重要だと思っております。報道を通じて客観的な視点から問題提起するということは、非常にマスコミの重要な機能でございまして、これは効果的な、国民にとって有益なものだと考えています。私がもし別の意図で批判したというふうに捉えられたなら、これは大変申し訳ないと思っております。
(問)文脈を見ますと、ご記憶がないと繰り返していらっしゃいますが、そのまま読みますと、住専のことで公的資金を入れて、もっと早く助けていれば、もっと傷が浅かったかもしれない、あの時どんどんずるずる負債が増えていって、結果的に我々20年間の時間を失った。だけどあの批判をした久米さんは何か責任を取りましたか。メディアっていうのは文句は言うけれども何も責任は取らない。この発言をもって、メディアの知る権利の重要性を示しているとはとても思えないんですけども、それでもそういうふうに言い逃れなさるのですか。
(答)これは私の自戒を込めて申し上げることですけれども、政治家は批判だけをしていたのではだめで、きちんと政策なり、あるいは具体的な解決方法を示さなければならないと思います。一方で、メディアの皆様はむしろ客観性が非常に重要でありまして、その客観性ゆえに、ともすれば私自身は個人的な意見は縛られなければならないと思って過ごしてまいりました。こうした思いに基づいた発言です。
(問)おっしゃっている意味が全く分からないのですけれども、つまりここでおっしゃっているのは、メディアは文句は言うけれども何も責任を取らないというふうにあなたはおっしゃった。これはまさに言葉のとおりなんですね。じゃあ、記者たちっていうのは、何か発出する場合、自分たちのあるいは首をかけて、左遷をかけて戦う場合がかなりあるんですけれども、そういうことをあなたはご存じなんですか。
(答)私、朝まで生テレビという番組を担当しておりまして、フリージャーナリストの方、評論家の方、芸能人の方、あるいは政治家の方も当然出演されていましたけれども、様々な自分の言葉を背負って戦っておられる方というのを目の当たりにして過ごしてまいりました。こういう方たちは自分の発言に自分たちの存在をかけておられるわけですが、ともすればこの方たちは発言の内容によっては、ご自分の立場を失い、それからそれが生活も失うことに直結するわけでございまして、私はこういうものに対して大変な尊敬を払っております。それは、もちろんジャーナリストというお立場の方は皆さんそうだと思いますので、その重要性、あるいはその責任の重さというものはジャーナリズムに関わっておられるジャーナリストだと思っておられる方は皆さん、その覚悟を持って発言をされていると思います。
(問)では、文句を言うけれども何も責任を取らないとおっしゃった意味はどういう意味だったんですか。もう一度説明してください。
(答)私にとっては、ジャーナリズムというのは、自分たちが自分たちの取材に基づいて、そして自分たちが解説なり論説なりを加えていくわけですけれども、この中できちんと、もし客観性を超えて自分たちの視点から何か言うときには、きちんと責任を背負っていかなければならない、こういうふうにマスコミにいる時代から考えておりましたので、そのことを申し上げております。
(問)ここでは最後にしますが、1ミリシーベルトの発言の問題ですが、今なおやはり福島では10万を超える人たちがいろいろなところで故郷を追われた生活を余儀なくされているんだと思いますが、この発言というのは政治家の応援の発言で、ある意味、政治応援のための発言で、この講演会であなたは発言をなさった。つまりこれは政争のために1ミリシーベルトの発言をしたんだとしたら、それは福島の人に大変な迷惑をかけていると思いますが、それはどう思われますか。
(答)福島県の皆様に対しては、私の発言で不愉快な思いをさせてしまったということを、先ほどご指摘をされまして、そういう方がいらっしゃるとしたら本当に申し訳ないと思っております。
(問)政治家として対立陣営を貶めるために、この1ミリシーベルトの問題なんかを引用する必要性がある、またそれをしていいと思いますか。
(答)私は、対立する陣営を指摘するために申し上げたわけではございません。この講演はたまたまそういう場面でございましたけれども、私は様々なお考えがある中で、今私たちが何と戦っているかということを申し上げたくて申し上げたまでで、1ミリシーベルトの基準が長期的な目標として間違っているということを申し上げたわけではありませんし、科学者の皆様が議論した中で出てきた一つの目安であるということについて、科学者の人たちが出した目安であるという意味において科学的な根拠があるということについて否定したものではありません。

(問)福島民友の菅野です。1ミリシーベルトの発言をお伺いしたいのですけれども、誤解を招いたら申し訳ないとおっしゃっているんですけれども、発言自体についてはあまり誤解をしていなくてですね、報道されていることを言ったのだろうというふうに受け止めてます。大臣がそこを謝られて、誤解を招いて申し訳ないというのは、発言を受けて、様々な指摘・問題が出たときにそれについて誤解を招いて申し訳ないとおっしゃっているわけです。大臣、発言自体はおっしゃったと大筋認めておりますけれども、これは本心なんじゃないのですか。ゆえに問題が波及したら、その受け止めは受け止め側のせいで、誤解があったらごめんなさいという話だと。撤回したらいかがですかと、撤回はしない、ということでこの発言、大臣、実は本心なんではないのではないですか。
(答)発言の趣旨が大変申し訳ないことに、私も言葉が途中にすみません、飛んでいる言葉があると、自分で思い返しているところでありますけれども、極めて説明不足であった部分があると思います。ですので、きちんと私の思っていることが伝わらなかったという思いを持っております。
(問)人間は頭の中で思っていること以外はしゃべれないもので、もし大臣が今日の会見の冒頭おっしゃっていたことを考えているのであれば、松本市での発言はそうなるはずなんですよね。たぶんこれは、大臣ずっと頭の中で考えていることだから言ってしまったんではないですか。誰からこういうことを言ってくれと頼まれたわけではないですよね。いかがですか。
(答)特段私の発言について、何かこういう発言してほしいと頼まれた結果はございません。
(問)私も直接この発言を聞いたわけではないので、国会答弁などを元にご質問してますけども、総合的に見ると大臣はリスクコミュニケーションの大切さを言いたかったんだとおっしゃってます。このことを百歩譲って信じましょう。だとしたら、そのように言えばいい話であって、環境省の一つの大事な仕事、リスクコミュニケーションの大事さをみんなの前で言うと。あまり難しいことではないことについて、大臣は言葉足らずなわけですね。環境大臣としての自らの資格についてどう考えてますか。
(答)私は、これからも福島県の皆様の分をしっかり受け止めて、職責を果たしていきたいと考えております。
(問)信頼関係に揺らぎはあったと思いますか。
(答)これからも努力を重ねてまいります。
(問)大臣の発言について信頼関係に揺らぎはあったと考えておりますか。
(答)様々なご意見をいただいておりまして、私はこれからも丁寧にコミュニケーションをとらせていただきたいと思っております。

(問)信濃毎日新聞の鈴木と申します。先ほど大臣がおっしゃった、根拠がなくというのは、間違った発言だということを一言おっしゃったと思うのですけれども、ご説明されているとおり、1ミリから20ミリという範囲の中で、一番厳しい1ミリというのを取ったという国際機関の勧告ということですので、何の根拠もなく当時の環境大臣が決めたというのは、そういう発言されているわけですけれども、間違いであったというふうにお認めになりますでしょうか。
(答)私は過去の経緯を確認した限りにおいては、5ミリシーベルトを面的除染の数字としてお出しになられたあと、その次に同じ会議で議論されるときには、そのことについては、まさにその数字そのものについて議論された結果ございませんので、私はその過去の経過を踏まえて、そのような印象を持ってずっときておったわけです。
(問)もう一度聞きますが、除染の最終目標を1ミリシーベルトと当時決めたわけですが、それに科学的根拠はないというご認識というか、科学的根拠はないと発言をされたわけですが、それは誤りだったとお考えでしょうか。
(答)1から20ミリシーベルトというのが、長期的に事故後、回復を目指していくべき参考レベルであるということはICRPはおっしゃっているわけで、その中から1ミリシーベルトを決めるに当たって、まさに福島県の皆様の安心安全の思いに応えるということで、お決めになったというふうに私も認識をさせていただいてます。
(問)もう一度聞きます。1から20ミリとICRPは言っているわけです。そこで1を取るということは、必ずしもおかしいことではなんでもないと思うんですけれども、1という選択をして今、環境省も地元の人たちも日本中を挙げて除染に取り組んでいるわけですが、除染の最終目標を1に設定したことが、科学的におかしいとお感じになっているのではないですか。
(答)長期目標としての年間1ミリシーベルトという数字は、政府として個人が受ける追加被ばく線量の長期目標として、ICRPの考え方を踏まえて策定されたものであることは、私も認識していますし、そういう議論をずっと積み重ねてまいりました。加えて、年間1ミリシーベルトは市町村除染の実施に当たって、線量調査を実施して除染実施計画を策定する地域の基準です。これを私はずっとこれからも守っていくことを申し上げてますし、有識者からなる環境回復検討会の議論を踏まえて被災地の自治体等と議論を重ねる中で、より高い目標を掲げる観点から1ミリシーベルト以上の地域については、面的な除染を実施することとしたという理解をしております。
(問)何の根拠もないということをそうご発言されたことを、それは間違いであったというふうに、今の説明を聞いててもそう思いますよ。きちんとレクを受けて学習されればそうなんですから、ここで発言したことはやっぱり誤りであったと、さっきチラッとおっしゃいましたけれども、はっきり確認させていただいてよろしいですね。
(答)ICRPという放射線防護の科学的に、科学者の皆さんが集まって議論された結論としての1ミリシーベルトを否定するものではございませんので、それをもし否定したというふうに受け止められたのであれば、これは私が間違っていたと思います。
(問)だれにも相談しないでとおっしゃってましたが、細野さんも予算委員会でおっしゃってましたけれども、当時、しっかり福島の人とコミュニケーションした中で、さんざん省内でも議論してそういうふうに決めたと、誰にも相談しないでと丸川大臣おっしゃったわけですが、それもこの部分も不適切であったとお考えでしょうか。
(答)福島県の皆様と相談して、また、福島県の皆様から面的除染を5ミリシーベルトというその数字を公表された、資料に載っていたのを公表されたんだと思いますけれども、それを福島県の皆様もご覧になって、その意見を環境省にお寄せになられて、そしてそれを細野大臣が受け止められたという経緯については、もちろん福島県の皆様とコミュニケーション取ったという結果だろうと思っております。
(問)ということは、誰にも相談しないでという言葉は不適切だったとお考えではありませんか。
(答)環境回復検討会で、その後1ミリシーベルトという数字について、きちんと議論されたというふうに認識しております。
(問)もうお一度聞きます。誰にも相談しないで、とおっしゃったことについて不適切と考えではないでしょうか。
(答)福島県の皆様と議論されたということ、議論という形だったかということについては、言葉が議論なのか相談なのか別ですけれども、きちんと福島県の皆様とコミュニケーションとられたというふうに理解しております。

(問)NHKの大井です。今の点なのですが、科学的根拠がないという言い方と、誰にも相談しないという部分ですが、今聞いていると、撤回はしないけれども、仮にそういう発言があったら間違いだったと思うというご趣旨の発言なのか、これは事実と認めて撤回するという認識なのか、どちらなのでしょうか。
(答)事実かどうかを最終的に確認する手段を、今現時点では私は持っていないので、こういう言い方をしております。私の記憶ではそう発言したと記憶をしておりますので、そのように今申し上げております。
(問)曖昧だったという延長線上の話でということでしょうか。
(答)事実として確認できないということと、私がその発言をしたという記憶は別ですので、私は根拠がないと言ったんだろうと思います。すみません、科学的という言葉がついていたかどうかは別ですけれども、言ったんだろうと思います。
(問)(テレビ朝日・吉野記者)ついています。
(答)すみません、私、申し訳ありませんが、もし資料を持っておられるのだったらそうだと思いますけれども。それから、説明、ではないですね、相談もなくと言ったんだと思いますが、その点についてもすみません、今申し上げたように事実かどうかを確認するすべを持っていないのですけれども、私はそういう言葉を言ったと思います。
(問)その上でも撤回するということはないということでしょうか。
(答)私が科学的根拠がない、あるいは説明がないという言葉が、私が申し上げた趣旨は今言ったように、そういう認識をした上で言ったことですので、その認識の上に立って申し上げたということをお伝えしております。

(問)河北新報の門田です。何度も申し訳ありませんが、そうするとそういう根拠に基づいた認識を持った上で発言した内容については撤回はされないということでよろしいでしょうか。
(答)私の発言は、発言をしてしまっているものでありまして、この点については事実として確認されれば、私は言ったという記憶があるのでそうだと思いますけれども、大変申し訳なく思っています。
(問)申し訳なく思っていらっしゃるかもしれないけど、撤回はされないということですね。
(答)事実関係を確認できましたら、その時点でまたお話をさせていただきたいと思います。
(問)現時点では撤回をされないということでよろしいですね。
(答)現時点では事実をきちんと確認できるすべがもしあったら、きちんとしたいと思います。
(問)分かりました。ありがとうございます。

(問)日経の川口です。確認なんですが、1ミリシーベルトの話、先ほど堅持するというお話ですけれども、仮に福島県外の自治体からこういう要望があっても、丸川大臣としては堅持されるということでしょうか。
(答)どういう意味ですか。すみません。
(問)例えば1ミリシーベルトを下げてもいい、上げてもいいと。過去に5ミリシーベルトの議論があったじゃないですか。あのような要望があっても堅持されるということでよろしですか。
(答)1ミリシーベルトは長期的な目標ですので、長期的に私たちは努力を続けてまいります。
(問)努力を続けるというのはつまり、今後、地元からそういう要望があったとしても、丸川大臣としてはこれをずっと守り続けると、そういうことでよろしいですか。
(答)すみません、今これは仮定の議論ですので、ちょっと申し上げられないと思います。

(問)日本テレビの杜です。先ほど、「記憶の中では、根拠がない」、あるいは「相談しなかった」という発言をしたと、大臣今この場で初めてそれをおっしゃったと思うのですが、7日の講演の翌日、経産省の方でぶら下がりをやったときには、自分の記憶の中ではそういう発言をした覚えはないとおっしゃっています。その次の日の閣議後会見でも自分の記憶ではそういう言葉は使っていないと明確に、公の場で2回ご自身の発言を否定されていますよね。それが今日この場で、やっぱり発言していた、というのは、これはどういうことなんでしょうか。記憶がよみがえってきたとかそういうことですか。
(答)正直申し上げて、自分が記憶していた言葉とそうでない言葉があるので、自分が記憶していた言葉については、この前の会見でもお答えを申し上げているところでありまして、まさに曖昧な記憶であるということでございます。今ご指摘いただいた言葉については、いろいろ皆さんからご指摘を受けている中で、皆さんの言葉の、いろいろご質問の言葉の中で重なっているところがあるので、おそらくこれは言ったのではないかというふうに認識をして申し上げている次第です。
(問)あくまで今先ほど「言ったと思います」というのも、おそらく言ったんだろうと、とそういうことでおっしゃっているということでよろしいですか。
(答)大変申し訳ないのですが、直後の記憶では間違いなく言ったか言っていないか、極めて申し訳ないですが、実は本当にそうだったんです。
(問)直後のぶら下がりの時に、記憶が曖昧で覚えていませんという言い方だったら分かるのですが、あの場では、記憶の中では言っていないと記憶してますとおっしゃっています。
(答)まさに本当にそう思っていました。
(問)言っていないと思っていたということですか。
(答)皆様方から質問される言葉がほとんど重なっておりますので、ということは皆様、なにがしかの記録に基づいておっしゃっているんだろうと推測しています。
(問)別に大臣のあげ足を取るつもりは全くなくて、誠実さというところを、みんな恐らく、質問している記者も含めて、そこを問うているところがあると思うのですが、今もご発言したという記憶はないけれども、こういうふうに指摘されているのであれば、恐らくそう言ったんだろうと、そういうことですね。
(答)全く申し訳ないことに、帰ってきた直後に自分が言ったことを反芻したのですが、私の記憶でそれが出てこなかったんですね。これは本当に正直に申し上げますけれども、翌日はまだその記憶に基づいてしゃべっておりました。皆様方から質問を受ける中で、複数の言葉が同じように重なって、皆さんがおっしゃっておりますので、これはおそらく皆さんがなにがしかの記録に基づいておっしゃっていると理解いたしました。ということは恐らく私はこれは言ったのであろうというふうな認識を持っています。
(問)分かりました。

(問)IWJのササキと申しますけれども、先ほどの丸川大臣のお答えの中で、反放射能派は騒いでいるという部分についての認識を問われた際に、当時自説を展開されるようなプロの低線量被ばくの方がおられるということに大変驚いたというふうにおっしゃっていましたけれども、プロの低線量被ばくの方というのはどういった定義、どういった主張をされた方になるんでしょうか。
(答)プロというのはプロフェッショナルのプロではなくて、プロとアンチ、推進派賛成派とそれの逆の意味でのプロとアンチでございまして、まさに低線量被ばくはむしろ体に良いというようなお考えを持った方が世の中にいらっしゃるようでありまして、その方達が私のところにおいでになってお話になったということを申し上げた次第です。
(問)それは、アンチ低線量被ばくの方というのはどのような。
(答)これはまさに、低線量被ばくは体に良くないという考えの方だと思います。

(問)テレビ朝日の吉野です。最後にちょっとお伺いしたいですけれど、わずか1週間もたたない講演でのご自身の記憶が無いと、曖昧であると。今も曖昧なんですね、多分ね。
(答)部分的に多分、はい。
(問)政治というのは、やっぱり言葉で責任を取れない人間は政治家をやるべきではないというのは昔から言われていることですから、ご自身の政治家として、大臣としての資質はどう思われますか。
(答)今回の件でもきちんと記録を取っておかなかったがゆえに皆様にきちんとした言葉でご説明が出来なかったこと、大変申し訳なく思っておりますし、自分で確かめるすべが無いというのは大変情けない話だと思っています。今後自分の発言についてはきちんと記録を取れるような体制を持って臨みたいと思っております。
(問)反省ではなくご自身の資質を聞いているんです。どう思われますか。自分を政治家として、大臣として、こんな言葉で責任を取れない人間が大臣、政治家としてどう適性があるかと聞いているんです。
(答)引き続き、これは自覚をして努力をしていきたいと思っております。

(問)アワープラネットTVのヒラノと申します。1ミリの話が出たので、住民の帰還に向けた安全な放射線量の基準についてお聞きしたいんですけれど、ICRPの勧告で今の状況ですね、現存被ばく状況においては1から20ミリの間の出来るだけ下方に参考レベルを設けるというのが防護の考えであるんですが、帰還のための被ばく線量の目標値については、政府は今決めていない状況にあります。これは原子力規制委員会の田中委員長もこの参考レベルというのはとても大事なことだとおっしゃっていました。事故から5年ということで、これについて環境省が設定するような、環境省が決めるというようなことはあるんでしょうか。
(答)少なくとも除染の目標について、今2段階あって、20ミリシーベルト以上のところについては20ミリシーベルト以下に下げるように除染を進めていくということは私たち申し上げておりまして、まずこの目標の実現に向けてしかも期限を設定しておりますので、しっかり取り組んでまいりたいと思います。