大臣談話・大臣記者会見要旨

北村副大臣記者会見録(平成27年7月16日(木) 11:00 ~ 11:12 於:合同庁舎5号館25階会見室)

1.発言要旨

(副大臣)私の方からは2点お知らせします。
 全国に32か所ある国立公園は、年間約3.5億人の利用者があり、地方における重要な観光資源になっています。この度、環境省において、国立公園における外国人の利用状況やニーズ等を把握するために実施した、2つの調査の結果をお知らせします。1つ目ですが、今回2回目となる国立公園の訪日外国人利用者数の推計調査によって、平成24年の推計値200万3千人から28%増加し、平成25年の利用者数は約255万7千人と推計されました。平成25年の訪日外国人の総数が1,036万人ですので、国立公園が訪日外国人にとって重要な観光コンテンツの1つであることが分かりました。また2つ目の、インターネットを使った外国人への初めてのアンケート調査において、日本旅行で体験したいことを尋ねたところ、1位の日本食に次いで、自然や風景の見物が2位となり、75%の回答者が日本の自然や風景に高い関心があることが分かりました。一方、個々の国立公園の知名度は10~20%と、必ずしも高いとはいえない結果となりました。環境省としては、日本の美しい自然についての情報を効果的に発信することなどにより、我が国の観光立国実現に向けた施策の重要な柱である、国立公園の利用の推進を図ってまいります。
 本日、環境研究総合推進費の平成27年度新規研究課題を採択しました。その中の一つとして、海洋ごみに関連した「沿岸から大洋を漂流するマイクロプラスチックスの動態解明と環境リスク評価」を採択しましたのでお知らせします。この研究は大変スケールの大きなものであり、日本から赤道を越えて南極海までの間で調査を行い、海洋を漂う大型の漂流ごみや、近年、生態系への影響が懸念されている、大きさが5mm以下の微少なプラスチック、いわゆるマイクロプラスチックの分布状況、さらにはマイクロプラスチックに付着しているPCBなど有害物質の濃度などを明らかにしようとするものです。今回の研究プロジェクトは世界でも初めての試みであり、世界の海洋ごみ対策の必要性を喚起するような、大きな成果を挙げていただきたいと期待しております。本日はこの研究プロジェクトのリーダーである九州大学の磯辺教授にも同席いただいているので、詳細については、後ほどお尋ね下さい。

2.質疑応答

(問)幹事社の日本テレビの杜です。よろしくお願いします。2点お尋ねなのですが、まず1点、海洋ごみなのですけれども、研究成果をいつまでに実際の施策に活かしていきたいと思うのかということと、あとどういった形で今後の政策の取組に活かしていくのかということを、意気込みも含めてお聞かせいただきたいと思います。
(副大臣)環境省としては、昨年度から我が国の海岸と沿岸域、そして沖合域において、マイクロプラスチックを対象とした調査を進めております。今回の研究課題は昨年度までの調査に加え、外洋域の海洋ごみの実態を把握することを念頭においたものです。海洋ごみ対策は、国内や近隣諸国だけでなく、世界全体で協力して進めることが不可欠だと考えております。今回の研究の成果は、海洋ごみ対策の国際協力を促進し、国際社会への大きな貢献につながるものであると考えております。今回の研究の結果については、各種国際会議やインターネットなどの手段を通じて、更にはこちらにおられる磯辺教授をはじめとする研究者のネットワークを通じて、広く世界に発信していきたいと考えています。
 さらに、この研究の成果を政策にどのように活かしていきたいかということですが、この研究を通じて、マイクロプラスチックによる汚染が、北半球や先進国の海域のみならず、ともすれば人為的影響が少ないのではないかと考えられている南半球や南極海においても広がっていることが明らかになれば、海洋ごみ問題が喫緊かつ世界的な課題であることが広く認識される起爆剤になると考えています。環境省としては、今回の調査結果を含む最新の科学的な事実を踏まえながら、日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)やG7エルマウ・サミットのコミュニケで合意された海洋ごみ対策の確実な実現に向けて、国内対策や国際的な連携・協力を積極的に進めてまいります。研究期間は3カ年であります。

(問)あともう1点、最初にお話がありました国立公園の訪日外国人の利用者数のところなのですが、これは率直に副大臣がこの数を見て非常に多くの方がいらしているなと、そのあたり率直なお気持ちをお伺い出来ればと思います。
(副大臣)私もお聞きした時には、これほど多くの外国人の方が日本の自然や風景に興味を持っておられるのかということを感じました。数字を見てその意を強くしたというのが実態であります。観光立国の実現は、力強い日本経済を立て直すための成長戦略の柱と位置づけられ、政府一丸となった取組を進めていかなければいけない。また、地域の稼ぐ力や雇用創出の面から、地方創生の分野においても、重要な施策と位置づけられています。今回の調査において、次の2点が分かりました。まず、自然豊かな地域に旅行したいと考えている外国人が極めて多いこと、次に、訪日外国人旅行者にとって、知名度が必ずしも高くない公園もあるため、PRの強化によって利用者の更なる増大が期待できることが分かりました。国立公園をはじめとする美しい自然が、外国人にとっても非常に魅力的な訪問先であることが分かったことは、国立公園の利用促進の施策を進めていく上でも、心強く感じているところでありまして、更に強力に進めていきたいと思っております。

(問)熊本日日新聞の山口です。国立公園の件でお尋ねしたいのですが、上位にきている国立公園がなぜ上位にきているのかという、全体的な傾向・理由を教えていただきたいです。
(事務方)まず皆様のお手元にある1番目、1番多く来ているのが富士箱根伊豆で100万人となっています。やはり知名度の高い観光地である公園が大きな数字になっている、というところです。

(問)上位5番目くらいまで見ると、なぜこのような結果になったとみていますか。
(事務方)あくまで推計値でありますので、あまり順位というのは上位5番目くらいまでは、本当はどっちが多いのかというのは必ずしも明確に示されてはいないです。上位5番目が日光ですね。それもやはり先ほど申し上げたとおり、国際的な観光地として有名であり、私どもとしても国立公園の情報発信として人気のある傾向が情報発信が充実しているということがございますので、そういった点で選ばれたということです。
(副大臣)なぜ上位なのかというのは、やはり雑誌だとかメディアへの露出度、媒体としての効果が非常に大きいのではないかと。箱根だとか富士山などはどう見ても、日本人にとっても1番なのですが、やはりメディアや旅行雑誌に出てくる数が多いところが知名度が高い、したがって外国人利用者数も多いということにつながっているのではないでしょうか。

(問)共同通信の高田です。国立公園の方で先ほど今後どうしていくのか、情報発信をしていくとおっしゃられていますが、具体的にあれば教えてください。
(副大臣)情報発信に関しては自然風景が見たいという人が多いのですから、積極的に取り組み、環境省においては、「オリンピック・パラリンピック東京大会」が開催される2020年を一つの目標年として、各地の国立公園を地域の観光資源として磨き上げていくとともに、その魅力を国内外に効果的に発信していきたいと考えております。例えば、外国人に魅力的に映る自然資源の発掘や、外国人向けのエコツアーのガイド養成などの施策に取り組んでまいります。