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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

細野大臣記者会見録(平成24年7月3日(火) 11:03 ~ 11:33 於:合同庁舎4号館1階108会議室)


1.発言要旨

 私からは2件、御報告を申し上げます。今日、これから、仙台市の若林区の荒浜に出張いたしまして、野田総理が4月に提唱いたしました「『みどりのきずな』再生プロジェクト」の第一弾工事の現場を総理に同行して視察してまいります。これは、津波で被災した海岸防災林を復旧する林野庁の直轄事業でありますけれども、盛土材としてコンクリートくずや津波堆積物などを再生利用いたしまして、災害廃棄物の処理にも寄与するものであるからであります。環境省としても時間をかなり遡ることになりますが、どういったものについて埋めることができるのかという協議を重ねてまいりまして、調整をした結果でございますので、しっかりと見てまいりたいと思います。本日より、再生資材の現場搬入、盛立工事が始まるということでございます。災害廃棄物の処理につきましては、再生利用の目途がたっていない不燃物を最大限再生資材化いたしまして、海岸防災林などの公共工事における活用を図っていくことが重要であると考えておりまして、そうした観点も含めて現場をしっかりと見ていきたいというふうに思っております。先日、岩手県の木質、更には可燃物につきましては目途がたったという御報告をいたしましたが、今日見てまいります宮城県においても、大きく進展をしていることは、これは間違いありません。できるだけ早く宮城県についても目途をたてたいというふうに思っておりまして、そうした観点からも現場を見て、更に進展をさせるべく取り組んでまいりたいと思っております。
 もう1点が、原子力規制委員会、委員長、及び委員の要件について、皆さんに説明をさせていただきます。原子力規制委員会、委員長、及び委員の要件につきましては、法律上は人格が高潔であって原子力利用における安全の確保に関して専門的知識、及び経験並びに高い見識を有するということが求められております。新たに発足する原子力規制委員会が、独立性を保ち、国民からの信頼を確保するためには、その委員長、委員につきまして、特に中立公正性、透明性の確保を徹底することが重要であります。このため、法律上の欠格要件に加えまして、欠格要件とする事項、任命に際しまして情報公開を求める事項を整理をし、政府としての考え方を取りまとめたものであります。まず、法律上の欠格要件に加えまして、委員の欠格要件として、基準として設けたいと思っていることについて2点であります。まず第1点目といたしまして、就任前、直近3年間に原子力事業者等、及びその団体の役員、従業者等であった者。これは委員として欠格要件にあたるとそういうことであります。2点目といたしまして、就任前、直近3年間に同一の原子力事業者等から、個人として、一定額以上の報酬等を受領していた者。これについても欠格要件といたします。これは、衆議院の方の環境委員会における附帯決議で第10のところに直近3年間について、寄付者及び寄付金額については公表する旨の規定を設けることと、内部規範にですね。そういう書きぶりになっております。これはあくまで公表ということになっておるのですが、内部でいろいろ検討いたしまして、私自身もこれまでの様々なこの原子力関係の専門家の様々な判断について疑念を持たれてきたという経緯を踏まえまして、これを公開ではなくて、更に国会の意思から踏み込んで、欠格要件とするものであります。次に情報公開を求める事項でありますけれども、まず1点目といたしまして、個人の研究及び所属する研究室等に対する原子力事業者等からの寄附について、寄附者及び寄附金額を公開をいたします。これは直接の寄附ではなく、研究に対してなされているもの。これは専門家の場合はどうしてもこういったものがあるケースが多いものですから、それについては公開事由といたします。次に所属する研究室等を卒業した学生が就職した原子力事業者等の名称及び就職者数、これも直近3年間といたします。これは衆議院の環境委員会の附帯決議に則した条項ということになります。改めて指摘するまでもありませんけれども、事業者とのさまざまな関係において、就職の斡旋なり、優遇というものは、影響を及ぼしかねないということですから、それについてもしっかりと公開をした上で国民の皆さんに御判断をいただくと、しっかりとその向きにも明らかにすることによって、そうした懸念を払拭するという、そういう趣旨でございます。候補者から自己申告を受けた情報については全てホームページで公開をする方針であります。こうした内容はこれまでの我が国の同種の利益相反防止の考え方の中ではさまざまこれまでの基準というのも参考にしてまいりましたけれども、最も厳しいものとなります。この基準をもっとも厳しくいたしますのは、これは昨年の事故を受けまして、原子力の安全規制行政というものが厳しく国民から問われていますので、それに応えるものでなければならないということであります。今後、この要件に従いまして、可能な限り幅広い候補者の中から適任者を絞り込んでいきたいと考えております。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の岩井です。水俣病について2件、お願いします。救済法の対象地域外にまで症状が被害者が今、広がっている状況についてどう受け止めていらっしゃるのかというのが1点目と、民間の医師団と朝日新聞の調査で、対象地域内外で症状が酷似するなど、救済地域の線引きの実態に則してないんじゃないかという結果が出ました。救済策の欠陥ともいえる救済漏れに繋がるおそれもあるかと思いますが、その受け止めをお願いします。
(答)報道については承知をしております。さまざまな皆さんが努力をされて申請者に対する例えば、呼び掛けであるとか掘り起こしであるとか、そういったことをしていただいていること自体は、非常に前向きに取り組んでいただいているということで、感謝を申し上げたいと思います。民間の医師の方と朝日新聞が独自に分析された結果と聞いておりまして、私どももデータをいただければ、それについてはしっかり拝見したいと思っておりますが、今のところ、ちょっといろいろと問合せをさせていただいているのですが、いただくには至っておりません。従って、症状の評価や集計データの分析がどのような形でなされたのかということについて、全く情報が入りませんので、一概に見解を申し上げることはこれは控えたいというふうに思います。今、御質問は対象地域の問題でありますけれども、特措法ではその救済措置の対象となる方として、症状の他に、過去に通常起こり得る程度を越えるメチル水銀のばく露を受けた可能性というのを求めております。その考え方といたしましては、ばく露を受けた可能性のある者と対象地域の関係と、この部分になるのですが、これはノーモア・ミナマタ訴訟において裁判所が示した対象地域を基本としておりまして、それに基づいて原告団と和解が成立しております。従って、この考え方自体は和解のベースになったものでありますし、私どもとしてはしっかりと尊重していきたいという立場です。但し、これは皆さん、御存知だと思うのですが、このあたう限りの救済という対象の範囲、対象の方というのは対象地域に限定をされたものではありません。対象地域外にお住まいだった方につきましても、当時の食生活などからメチル水銀のばく露が確認をされた場合には、救済の対象となる旨がチラシやパンフレット等で記載をされておりますし、私も街頭でそのことを繰り返し繰り返し、皆さんへ御説明をしております。従って、さまざまなそれぞれの状況というのを踏まえて、申請をしていただく方には是非、7月末までに手を挙げていただきたいと、そのように考えております。

(問)NHKの間嶋です。水俣の関係でちょっと関連するかもしれませんが、今日から被害者団体の一部の人が期限の撤退を求めて座り込みをすることが予定をされています。精一杯、政府の方でも周知をされていると思いますが、中には間に合わなかったり、踏み出せなかったりする人がいることも予想されます。締め切りまで1ヶ月を切って、周知に力を入れることの他に、救済から漏れる人が出ないように検討している対応策がありましたら教えてくださいということと、改めて7月末の救済期限についての考え方を、すみません、何度も、同じような質問で申し訳ありませんが、お願いいたします。
(答)法律の趣旨としてはあたう限りの救済を来年の4月30日を目途としてしっかりやっていくということですから、7月末がそのぎりぎりの期限であるというふうに考えておりますので、そこまでに広報をしっかりとしていく。そのことによってこの法律で趣旨として定められております、あたう限りの救済をしていくというのが、政府の立場でございます。これから広報をしていく際に注意をしていきたいと思っておりますのが、いろいろ書類を揃えないと間に合わないというふうに考えておられる方がいらっしゃらないように、申請をしていただければいいのだということをしっかりとお伝えをしていきたいと思います。書類につきましては、検診などのデータは後から揃えていただいてもいい形になっておりますので、そこはしっかりと最後まで広報をして、法律の趣旨を全うしたいと思います。

(問)東京新聞の星野と申しますが、エネ環会議でですね、先日、将来のエネルギー比率について0、15、20~25の3つの選択肢を決められたと思うのですが、あの15%という数字について、40年廃炉を実績にしていけば、将来的に15という数字に自ずとなってくるかと思うのですが、例えば0と15の間について、もうちょっと脱原発を進めていくという意味からすると、そういう選択肢が国民にとってもあってもいいのかなという気もするのですが、例えば、この3つの選択肢で国民に提示することについて、どう思われるかということと、3つの選択肢以外に将来的に政治判断でエネルギー比率を決めていく可能性があるのかどうかについて教えてください。
(答)先日のエネ環会議で国民的な議論を7月から8月の頭にかけてしていくという方針が示されていますので、今の時点で、特にこの1ヵ月は国民的な議論を一番大事にしたいと思いますので、私の方でこうした方がいいとか、こういう考え方であるとか、そういったことはできるだけ言わない方が、客観的に国民の皆さんにいろいろな議論をしていただけるというふうに思います。選択肢は確かに3よりも5あった方がいい、10あった方がいい。いろいろな議論があると思うのですが、あまり多いと、結局その議論が集約をしない可能性もありますので、国民の皆さんにも分かりにくいところがありますので、そういった意味で、これまでの総合エネルギー調査会での議論であるとか、エネ環会議の議論を踏まえて、3つの選択肢に絞られたものというふうに思います。ですから、国民的な議論を経て最終的に政府としてどのように判断するのかということは、まさに議論が終わった時点で私どもがしっかりと責任を持って考えていく必要があるというふうに思います。

(問)共同通信の太田です。原子力規制委員会の委員の要件についてですが、新たに欠格要件として設けた3年間、事業者の役員をやっていないとか、3年間報酬を受領していないとか、その3年間という数字の根拠や背景について御説明いただけますでしょうか。それと、今回の要件でより法定の要件以上に厳しくするというのが趣旨だと思うのですが、見方によっては長く原子力業界にどっぷり浸かっていた人でも3年待てば委員になれてしまうという見方もできるかと思うのですが、今回のガイドラインで十分だというふうにお考えになったのでしょうか。お願いします。
(答)ここはどういう期間を設けるかというのは、最後は判断になってくるのですね。ですから、国会の意思というのはある程度尊重をして、国会でも3年間ということは規定をされてますので、附帯決議の中で。これは参考にいたしました。よりそこを踏み込んで、公開の基準ではなく欠格要件としたということです。1つの参考事例として私どもが意識をいたしましたのは、国家公務員の倫理法に基づく倫理規定で、利害関係者との関係が問題なくなる期間を3年間と規定しています。ですから、利害関係という意味で一定の期間としてこれまで議論されてきたのが、この3年間という期間なんです。ですから、そこは意識をいたしました。あとは欠格要件について、あくまで要件ですから、あとは個別の判断を私どもとしてもしていく必要があるし、最後は国会や国民の皆さんにもそこを判断をしていただくしかないです。欠格要件そのものをとにかく広げてしまって、該当者がいなくなるというのは、これは非常によくないことですから、極めて厳しい欠格要件を設けた上で、あとは個別にしっかりと判断をしていくということになると思います。

(問)朝日新聞の大鹿といいます。2つ質問があります。素人的な質問かもしれなくて恐縮なのですが、1つは除染のことなのですが、政府は長期的に1ミリシーベルト以下を目指すというような方針を掲げておられると思うのですが、結構除染にかかるコストと効果みたいなことを考えるとですね、先日もJETROのところであった、アメリカの日米除染交流会でもゼネコン3社が発表していましたけれども、膨大な作業量になってくると思うのですが、長期的に1ミリシーベルト以下を目指すと言ったときのコストとその見合いの関係については、どのようにお考えなのか御意見を聞かせてください。
 東京電力の福島第一原発の件なのですが、原賠機構が関わって制作した総合特別事業計画の中では、1F(福島第一原発)の廃炉について国に対して制度的な措置の検討をお願いします、と言うような文言があります。先日の東電の記者会見でも下河辺会長が今後国と一緒にやっていきたいという主旨のお話をされておりました。そこで1Fをですね、今後廃炉と申しましょうか、その過程において、制度的な措置とはいったいどういうことを指すのか、具体的なイメージを伺えないでしょうか。昨年秋、東電は福島安定化センターという名称で1Fを切り離す構想を関係者に打診していましたが、そのような例えば、福島第一原発を切り離して、ある種、廃炉機構みたいなものを新設して、そこでやっていくのか。なかなか制度的な措置を検討するというのは、非常に曖昧で抽象的な文言なものですから、どのようなことをイメージされているのか、この2点をお願いします。
(答)まず、1ミリですが、福島県とのさまざまな協議をするなかで、政府として目標として長期的に掲げているものであります。これは公害に対する考え方に共通するのですけれども、汚染をした責任が、東京電力と政府にはありますから、それを元に戻すというのは、これは時間が掛かっても目標としては掲げ続けなければならないことだと、そういう基本的な考え方に基づいて出てきているものです。ですから、毎回福島県の皆さんといろいろな協議をする際は出てきていますので、政府としてはしっかりと掲げ続けるということだと思います。
一方で、健康の問題ということとは、これは別問題ということも併せて申し上げる必要があります。つまり、私どもが設定をしております、例えば、区域の設定の基準であるとか、健康に対する低線量被爆のリスクの考え方、これはしっかりと並行して、特に地域で生活をされている住民の皆さんにお知らせし、個人として健康のリスクをとっていただくということではなく、国としてしっかりとサポートする体制を作らなければならないというふうに思っております。そのなかで、除染について、より効果のある方法を、より優先順位をつけながらやっていくと、つまり、20ミリに近いところがあれば、今はほとんど住まわれている方のところではなくなっておりますが、それをまずは、10まで下げていくと、10のところを5まで下げていくと、そういう優先順位は付けていかなければならないというふうに思っております。
2点目の廃炉に向けての制度的措置という話なのですが、今回成立をいたしました法律の中でも、この1Fのような発電所ではなくて、これから廃炉に向かってやっていかなければならない、そういう施設についてはですね、より厳しい規制を設けるという制度が作られております。従って、新しく誕生する原子力規制委員会の下では厳しい規制を設けて安全にしっかりと廃炉まで持って行く監視体制、チェック体制というのをしっかりと作っていかなければならないというのが第一段階です。
 廃炉というのは極めて高い技術が求められますし、その技術者がどこにいるのかといえば、それは民間の東京電力をはじめとした事業者にいるわけです。ですから、そういった意味で責任をしっかりと、事業者には全うしていただかないといけないと思います。
その一方で、政府として世界から英知を集めて、廃炉をやり抜かなければなりませんから、その体制をしっかりと作るという意味でですね、中長期の対策会議というのは政府主導でやっているわけですね。枝野大臣と私がトップをつとめて、まさに国をあげてやるという体制になっておりますので、そこは、我々も責任を逃れるというのは絶対あってはならないと思います。

(問)朝日新聞の山下と申します。
昨日ですね、民主党の小沢一郎元代表が約50人の国会議員とともに離党届を出しまして、近く新党を結成するという方向になりまして、小沢さんは大臣も幹事長時代に近く接っせられた方ですけども、今回民主党に対して、政権交代当時の民主党ではもはやないと、いうことで厳しい批判をしているわけですけど、今回の小沢さんの行動についてですね、大臣がどのように受け止めていらっしゃるのかお伺いできれば。
(答)民主党がこういった形で離党者を出したと、追われる形になったのは非常に残念だという思いがあります。野田総理が社会保障と税の問題にまさに政治生命をかけて取り組むという、そういうことを表明をしてやっていますので、私も内閣の一員として、それを本当にしっかりとやり抜くということはやっていきたいというふうに思っております。ですから、参議院の質疑がまもなく始まろうかというふうに思うのですが、そこは内閣一体として、しっかりと結果を出していく、ということは重要だと思います。そのことと並行して、今回の問題が一つ我々に突きつけているのは、民主党というのはどういう政党なのかということをもう一度しっかり考えなければならないという、重い課題を党を出た人も、最終的に残る判断をした人も含めてですね、突きつけたのだろうと思うのですね。これまで政権交代をしてから三年間、私どもとして努力してきて結果を出してきたこともあります。それをもう一度我々も見つめ直す必要があると思うのですね。一方で、国民の皆様には申し訳ないことに、実現できなかったこともあります。それについても、率直にもう一度どこが足りなかったのか、検証してみる必要があるかと思います。そのうえで、民主党政権としてこれからもう一度どういう方向に日本を引っ張ろうとしているのか何が重要だと思っているのか、そこを党に残った我々自身がもう一度考え直さないと、私は政権交代の意味そのものも厳しく評価されることにも繋がるというふうに思っております。私も内閣の一員という立場で、この問題見ておりまして、極めて厳しい局面に民主党自体が立たされていて、その中で我々が一人一人問われているというふうに感じております。

(問)東京新聞の関口と申しますが、規制委員会の人選の件なのですけど、一定額以上の報酬の一定額とはどの辺を御念頭にあるのかということと、報酬はよくて寄付はいいというのは電気事業者からの金銭の移動があるという点では同じだと思うのですが、その辺もう少し何が違うのかをわかりやすく教えて頂けますでしょうか。
(答)一定額以上なのですが、これは、1年度の合計金額が50万円程度というのを想定しております。どこかに基準を設けなければなりませんので、ここに金額を設定いたしました。これは、例えば講演なども入りますので、ある程度以上の有識者であれば、講演で50万円ということはあり得る話なのですね。50万円というのは相当厳しい基準なのですが、ここはこういう基準を設けるべきだろうと、そういう考え方にたったものです。公開の基準と寄付の基準なのですが、報酬というのはまさに個人に直接払われているものですから、これについては欠格要件としたわけです。一方で、大学などの研究室ということになりますと、今は学者もですね、国立大学なども独法になっておりますから、研究の様々なサポートを受けられるような、常にそういうことを見つけながら研究をやっております。ですから、そこは研究者で例えば、全くお金を集められない人は逆に能力がどうなんだということも言われるくらいの今、状況なわけですね。そういったことを考えると、しっかりと公開して国民の皆さんにお知らせをするという中で判断をされるべきものではないかという切り分けをしたということです。

(以上)

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