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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

細野大臣記者会見録(平成24年4月24日(火)10:30 ~ 10:50 於:環境省第一会議室)


1.発言要旨

 私からは2件御報告申し上げます。まず、水俣病特措法に基づく救済措置の申請期限を去る2月3日に公表した際、今後実施する主な周知広報の一つとして、個別の事情により医療機関を受診することに抵抗がある方への申請促進を図るための民間診断書作成のための検診体制の支援をあげさせて頂いておりました。今日、一部の地域において目途がたちましたので、発表させていただきます。6月の検診の実施を目標に、まずは、鹿児島県出水市におきまして、4月26日の市の広報誌にご案内を掲載の上、5月10日に自治会を通じて、配布を行うこととなりました。今後は順次、関係自治体において、広報誌等を活用した御案内を開始させていただく予定としておりまして、随時、御報告をしたいと思っております。今後も全国での周知広報に全力を尽くす必要がございますので、メディアの皆さんにも引き続き積極的な御協力をお願いをしたいと思っております。5月1日には私自身も水俣のほうにまいりまして、できるだけ関係者の皆さんとお会いをしたり、施設を見せていただいたり、そういったこともしたいというふうに思っております。
 もう1点、毎週、御紹介をしております、がれきの処理量でございますけれども、合計203万6千トンの処理が完了で割合が9.0%の進捗率となっております。数字が伸びていない原因として、年度末で解体の契約がなかなかうまくいっていないというような事情があるようでございますが、必ずしも処理の量、全て正確に把握をできていない可能性もありますので、ゴールデンウィーク前にはどういった状況なのかをもう少し正確に皆さんにお伝えをしたいというふうに思っております。具体的な動きとしては、秋田県大仙市において4月23日から宮古市の災害廃棄物の木質系の可燃物の受け入れを開始をしております。1日あたり約10トン。平成26年3月末までに5200トンが搬出される予定になっております。昨日も宮城県庁、更には岩手県庁へ行ってまいりましたけれども、引き続いて災害廃棄物の被災地での処理、更には広域処理、再利用、様々な面から取り組んでまいりたいと思います。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)日経新聞の福士ですけれども、先日、双葉郡8市町村との意見交換会で、将来の空間線量率の見通しが出されましたけれども、10年後20年後になっても、年間放射線量20ミリシーベルト以上の地域が存在するという結果になっておりました。大臣はその後のぶら下がり会見で、全て帰還ありきではない選択も準備しなければいけないという発言をされておりましたけれども、その支援策ということだと思うのですが、現在、具体的なイメージをお持ちであればお伺いしたいです。それと、もう一点は、佐渡の放鳥トキについてですが、昨日も新たに2羽のヒナが誕生していたことが確認されました。その受け止めと、今回の1件が今後の生物多様性の施策にどう活かしていけるというふうにお考えか、お伺いしたいと思います。以上です。
(答)まず双葉郡ですけれども、帰宅困難区域という考え方を提示したのは、これは昨年末だったかと思うのですが、その時点でですね、帰宅困難というふうに政府が言うからには困難な皆さんに対して対応が必要であるというのはもう既に認識をしていたわけです。この会見でも何度か皆さんに御説明をしたかと思いますが、年末にそうした区域についての考え方を出すことについて、私自身こだわりがありました。というのも、1年、新しい年を迎えるに当たりまして、皆さん、これからの生活についてお考えになるわけですから、そういう材料を少なくとも提示をするべきだろうと考えたからです。当然そういうことになってまいりますと、新しい生活の在り方に関する、例えば賠償であるとか、住む場所であるとか、様々な取組みが政府全体で必要とされるということだというふうに思います。もちろんそれぞれの皆さんの選択を最大限、尊重をするということですけれども、先日も双葉郡の皆さんとの会合に出させていただいて、そういう総合的な政府の取組みが今、必要とされているということを強く感じました。ですから、ここから様々な問題を解決するためには、いろいろなことをしっかりと総合的に検討する必要があるというふうに思っております。
 トキのほうですけれども、36年ぶりということで、関係者の皆さんが大変な努力を積み重ねてきた結果だというふうに受け止めております。新潟県はもちろん佐渡市、そして 中国からトキをお借りして、そして孵化をしている状況ですから、中国の皆さんにも大変お世話になってここまで来たわけですね。ちょうど今年が日中国交正常化40周年という年に成果が出たのも、これも一つの縁かなというようなことも感じておりまして、非常に嬉しいニュースでありました。3羽ということが昨日、私も夜に報告を受けまして、1羽よりは3羽のほうが成長する可能性が高くなりますので、良かったと思っております。ただ、同じ親の下で育っておりますので、天敵に襲われるであるとか、更には親が餌をうまく運んでこれないであるとか、そういうリスクは常にあります。自然で育てるということは、そういうリスクはもうこれは人の力ではなかなか制御できないということを意味しますので、なんとか無事に育ってくれるよう期待をして待ちたいというふうに思っていますが、そこはいろいろな可能性があるということを慎重に見ていかなければならないところだと思います。どういった形になるにしろ、自然界での孵化に成功したという意味では大きな1歩だと思いますので、それをこれからのトキの繁殖ということにもいかしていきたいと思いますし、生物多様性全体に対する国民の理解を広めるという意味でも私は大きな1歩だったのではないかというふうに考えています。

(問)朝日新聞の山下と申します。先日の双葉郡との会議で示された中間貯蔵施設のイメージ図についてお伺いいたします。中間貯蔵施設についてはこれまで政府としては30年間ということを仰っていて、最終的に県外ということを仰っていたのですが、このイメージ図を見ると、いろいろな研究施設を併設されるというようなことになっていて、そうなると、こういう関連した研究棟ですとか、あるいはこういう減容化の施設なんかもこれも同じように年限を切られたものになるのかということと、あるいは今後その施設が30年後に撤去された後のイメージについてイメージがあればお伺いしたい。
(答)減容化の施設であるとか貯蔵施設であるとか受け入れ施設、そういったものは当然、中間貯蔵施設そのものですから、30年以内に役割を終えるということになります。一方で、研究の施設というのは様々な要素があり得るわけですね。例えば、放射性物質の挙動についての研究というのもあるでしょうし、様々な、それだけではなくて、そういったリスクをどう見ていくのかという、そういう要因もおそらく研究対象になり得ると思います。ですから、研究施設については必ずしも、そこで全て役割を終えるということではなくて、地域で研究開発が継続されること自体は、地域の皆さんにもプラスになるのではないかというふうに思っております。これは私の今の時点でのイメージですので、その役割を終えた後に、そうした地域をどのような形で活用していくのかというのは、正にそれぞれの町の皆さんと、しっかりと膝詰めで協議をしておくべきものだというふうに思っております。
(問)1点だけ、イメージを見ると非常に立派な施設ができるわけですが、この施設が非常に研究施設などが恒久的な施設ができることによって、中間貯蔵施設自体も恒久化してしまうのではないかという、そういう懸念なんかが地元に生まれる可能性、そういうおそれはないのかなということについて。
(答)30年以内ということでありますけれども、これは相当長い期間ですし、その間、安全にしっかりと保管をしていく必要がありますから、そこは逆に簡易な施設は作るべきでないというふうに思うんです。ですから、しっかりとした施設を作るということと、一定の年限で役割を終えるということ自体は矛盾をしない、そういう状況を作らなければならないと思います。

(問)新潟日報の井川といいますが、2件あるのですが1つ昨日ですね、宮城と岩手を訪れてですね、震災がれきの関連で、10道府県と1市ですね、優先して挑戦していくという話があったと思うのですが、これ具体的にですね、どのように進めていくのかということと、あと受け入れをお願いする自治体の中にはですね、先日もちょっとお伺いしたのですけれど、新潟のようにですね、知事のようにかなり慎重な姿勢を示しているところもあるんですけれど、こうしたところも含めた理由とですね、こうしたところに、どのようにですね、理解を求めていくのか、という点が一つと、トキのですね、事業なのですけど、これまで、初めて繁殖に成功したですね、1999年から14年間で33億円ちかくですね、予算を計上しているんですけど、これについてですね、費用対効果とですね、改めて大臣の考えるトキの事業の意義についてお伺いしたいのですけど、よろしくお願いします。

(答)まず、第一点目ですけれども、岩手県、宮城県それぞれ自治体を挙げさせて頂きました。それぞれの自治体で前向きに取り組んで頂いて、具体的な町の名前であるとか、更には被災地の場所について言及があったところもありますので、進めることができる可能性が高いというところについて挙げさせていただいたということです。新潟県の5市については、協力してやっていこうということですので是非進めていきたいというふうに思っております。県については、しっかり説明をしていくということです。
 それと、トキですけれども、私も一部にですね、費用対効果がどうなのかとおっしゃられる方がいるということは聞いております。私はですね、生物多様性というのは、非常に根源的な環境問題だと捉えておりますので、そういう考え方は私はとっておりません。私は滋賀県で育ったのですが、滋賀県はですね、私が子供のときに、モロコやフナの生態系が一気に変わりまして、ブラックバスとかですね、ブルーギルとかになったんですけど、それはフナやモロコにとって住みにくい地域になっただけではなく、まさに日本が高度経済成長の歪みで人間社会自体が住みにくくなった、琵琶湖の水質も悪化し、それこそ農薬散布も行われ、そういう環境だったからまず、そういう弱いところから現れてきたわけです。そういったことに対して、人間が本当に謙虚になってですね、生物多様性をしっかりと確保していくことが、当然住みやすい環境にもつながるし、ひいては人間そのものの生存にも直結してくるんだということを謙虚に受け止める必要があると思うのですね、そういった意味ではトキというのは、象徴的な事業でもありますので、国としてしっかり取り組むということは、非常に重要なことであると思います。もう一つはですね、やはりこういう生物多様性というような問題にしっかり向き合うことができるかというのは、私は文明国としてのあり方が問われると思うのですね。そういう絶滅していく種はしょうがないな無駄だというふうに切り捨てて、それこそどんどん進んでいく社会というのは、私は文明国として如何なものかと思います。ですから、そういうお金がもったいないので、やめたほうがいいという声よりは、そういったことを大事にするということに価値を見出すしていくような日本社会であってもらいたいと強く思います。

(問)読売新聞の清永です。本日、大阪市の橋下市長と大阪府の松井知事が藤村長官宛てに大飯の再稼働に関連して原子力の安全性に関する提案という、8つの提案を持っていかれるのですが、その中で4大臣会合の出席者メンバーの一人として大臣の所管でいうと、国民が信頼できる規制機関として三条委員会の規制庁設立をすることという要望が上がっているのですが、これに対する受け止めと、今後どのように進めていくかということを改めて教えていただければ。
(答)この大阪府、大阪市の提案は私も先週からもう文面で出ておりますので、拝見をしておりますが、いろいろなレベルの指摘があります。いずれも非常に重要な指摘だというふうに思います。その中で短期的に実現を目指すべきものと、やはり例えば、使用済み燃料の最終処分体制の確立などのように、どうしてもこれは時間のかかる問題と、いろいろなレベルの問題があると思います。その中で今、御指摘があった規制庁の設立というのを1番初めにおいておられて、非常に重視をしているということの現れではないかと思うのですが、これは本来的には4月1日に発足をしているということが、我々の当初の計画でしたから、そういった面からいっても最も緊急性の高い取組みなのではないかというふうに思っております。従って、これは大阪だけではなくて、確か滋賀県知事からも同様の話しがあったと記憶をしておりますが、全国の自治体からこういう声、上がってますので、1日も早く審議に入っていただきたい。その中でしっかり説明をした上で野党の皆さんにもいろいろ考えがあることは承知をしておりますので、そういった考えにも柔軟に対応する中で、できる限り早期に発足をさせて、規制を厳しくしていくということが大変重要であるというふうに思います。

(問)共同通信の田井と申します。生物多様性に関連してですが、先程、話に出たので、IPBESに関する会合が先週末パナマで開かれまして、生物多様性版IPCCと呼ばれるものとなる会合なので、少しこの辺について大臣の御所見を伺いたいと思います。
(答)IPBESの設立については、これはもう心より歓迎をしたいと思います。一昨年、COP10を名古屋で開催をいたしまして、この愛知目標の設定ということに関しては我が国の松本大臣が議長国として非常に大きな役割を果たしました。そこでもこのIPBESについては様々な必要性についての議論が行われたという報告を受けておりますので、心より歓迎をしたいと思います。IPCCもそうだったのですが、やはりそういう国際的な動きが広がってくるということは、その問題が世界全体にとって極めて重要な問題であるということが世界全体の共通認識となる意味で、非常に大きいです。生物多様性というのは、もちろん非常に熱心に取り組んできた国もあるし、我が国も強い関心を持ちながらやってきましたけれども、世界全体でどうかというと、これは必ずしも優先順位が高いテーマと見られていなかったという面があると思います。それがIPBESが正式に設立されたことによって世界全体の共通の課題として認識されるとすれば、非常に大きな動きだというふうに思います。我が国としてはIPBESの事務局とも連携を図りながら、これまで日本として蓄積をしてきた様々な情報であるとか技術というのがありますので、そのこれまでの蓄積をいかしてIPBESの本格稼働に向けて積極的に貢献をしていきたいと思っております。

(以上)

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