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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

江田大臣記者会見録(平成23年8月2日(火))


1.発言要旨

 今日は午前8時15分から閣議・閣僚懇談会がありました。環境省の関係で質問趣意書等がありましたが、そちらの方は特別報告することはありません。
 新しい人権救済機関の創設について御報告します。御承知のとおり、平成13年に人権擁護推進審議会の答申があり、平成14年に政府案が提出されましたが、これは廃案となりました。さらに、平成17年には民主党案が提出されましたが、これも廃案となっています。その後、法務省としてもずっと検討してまいりましたが、政権交代後、やはり何としても新しい人権救済機関を作りたいということで、昨年6月22日には、これまでの検討状況を踏まえ、当時の政務三役が「新たな人権救済機関の設置について」という中間報告をまとめて公表しておりました。これが、その後の検討の方向性ということになったわけですが、その後、更にこの方向性を基本として、創設する機関の組織・権限、救済手続の在り方等について、問題点の整理・検討を続けてまいりました。さらに、この間、各方面の方々に様々な御意見をいただきました。そして、与党の民主党が、今年の3月に「人権侵害救済機関検討プロジェクトチーム」を立ち上げ、6月9日にこのプロジェクトチームの検討結果を集約し、中間取りまとめとして政府に提言がございました。このような御意見や御提言を踏まえて、法務省内で更に検討を積み重ね、本日、政務三役による「基本方針」として公表することとしました。新たな人権救済機関の設置について、いろんな議論がございましたが、できるだけ多くの方々の御理解をいただいて、歓迎される組織にしたいと努めた結果が、今日、公表した基本方針ということになったので、国民の皆様にも是非御理解をいただいて、これから実現に向けて御協力を賜りたいと思っております。
 もう一つ御報告します。死亡届の関係でございます。東日本大震災における死亡届の処理の状況についてですが、皆様御承知のとおり、東日本大震災による御遺体未発見の行方不明者についてどうするということについていろいろ議論がございましたが、状況から判断して、御遺体は発見できていないが死亡したということは疑いのないところで、そういう扱いをしてはどうかといういろんな御意見もあって、届出をする方の負担を軽減して戸籍事務を円滑に行うことを目的に、本年6月7日付けで、死亡届に添付する戸籍法所定の「死亡の事実を証すべき書面」の内容等を明らかにした民事局民事第一課長通知を出しました。この通知を出した本年6月7日から本年7月29日までの間に、この通知に基づいて、宮城県、福島県、岩手県の被災3県内の各市区町村に届出された死亡届は、全部で2830件の届出が出され、そのうち、2790件が受理されました。被災市区町村を管轄する法務局では、市区町村からの要請を受け、随時、職員を市区町村に直接派遣するなどして支援をしてまいりましたが、さらに、7月からは、市区町村を管轄する法務局ではない、その他の法務局管内の職員も派遣して、支援してまいりました。支援の職員の延べ人数は132人ということになっています。これと別に、通知発出後、7月29日までの間に、市区町村から法務局に対し、死亡届の取扱い等につき、文書、電話等によって約230件の照会がなされております。この照会に基づいて処理されたというものも多数あると思います。
 もう一つ環境大臣としての報告ですが、これも御案内していると思いますが、7月31
 日の日曜日ですが、福島県を訪問いたしまして、避難区域内の楢葉町山田浜周辺と福島第1原子力発電所の構内の視察を行ってまいりました。山田浜では空間線量もまあ低く、避難区域外の浜通り地方と同程度であったと思っております。技術的な面の制御が必要ですが、モニタリングをすれば、浜通りの他の地域と同様に、可燃物については焼却処理、不燃物については最終処分場での埋め立て処理ができる可能性が十分あると思っております。それから原発は、この事故によって放射性物質が飛散して、どういうところからどんな状況で放射性物質が飛び散って、それが広域にわたっていろいろな汚染を起こしているということでありますし、これからこの原子力発電所自体の事故の収束から、更にその後の処理に向けて、これは事業者にやっていただくということではあるけれども、環境省としてもいろいろ相談に応じたりすることがあるかということもございまして、自分でしっかりと見ておきたかったわけです。放射線濃度が非常に高い、その中で本当に大勢の皆さんが働いておられます。この水素爆発をした原子炉建屋の状況など本当に壮絶というか、悲惨というか、凄惨というか、誠にひどい状況で、直後にあそこにたたずんだら、それは震え上がってしまうという状況だと思いますが、そんな中で現場の皆さんが大変な、本当に献身的な努力で、この原発安定化に向けて力を注がれた。そして一歩一歩前に進んでいると。いろいろああすれば、こうすればということがいろいろあったと思いますけれども、しかし、この状況を見て、本当に関係の皆さんの御努力に、ただただ脱帽する、敬意を表する以外にないと思ってまいりました。これを御報告をしておきます。私の方からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)取調べの可視化をめぐる勉強会なんですけれども、6月以降のできるだけ早い時期に最終的に動こうということなんですけれども、時期が遅れているように見えるのですが、検討状況をお願いします。
(答)可視化については、検察の在り方検討会議の提言とか、それから最高検の取組とかいろいろございましたが、今のお話は法務省の省内の勉強会のことだと思います。これについては、6月を目処に内外の調査に区切りをつけて、その後、できるだけ早い段階で取りまとめということを申し上げてまいりました。内外の調査は最後の文書のまとめの段階に入っておりまして、調査自体はおおむね終了したと言っていいかと思います。現在はその調査結果等を踏まえて、最終の取りまとめに向けた検討を行っているところで、今後できるだけ早い時期に、本当にできるだけ早い時期に検討の結果を取りまとめて公表したいと思っております。いつだという具体的なことを確定的に今申し上げることは困難でございます。

(問)今日の閣議で法務事務次官の交代を含む人事が決定されたと思いますけど、震災後定期異動に関しては幹部人事は凍結させるという官房長官の話があったわけですけど、その兼ね合いについて大臣の御見解をお願いします。
(答)凍結ということではなくて、震災対応が大変なときですから、日常と同じように定期異動的な人事じゃなくて、そこは、震災対応に遺漏なきようにしてほしいということであったと思います。検察人事については、御承知のとおり定年がありまして、定年にかかる人をどうするというのがあって、その玉突きでずっといろいろ動いていくということもありまして、やむを得ない異動であったと思っています。震災対応も含めて法務行政の円滑な遂行に支障がないよう最小限にとどめていると御理解ください。

(問)先ほどの人権救済機関の基本方針なんですが、議論の中で大臣御自身が重きを置かれたポイントですとか、今回の基本方針の中で、昨年の中間とりまとめからの変更、例えば内閣府の外局から法務省の外局に変更なんかしているわけですけれども、そのポイントとはどういうところかということと、法案として国会に提出する時期についても見通しがあればお願いします。
(答)私はこの人権救済機関の設置については随分長く関わってまいりました。政府案が、参議院先議で出されていてこれをなんとか仕上げたいということで、民主党の考えはありますが、政府の案の方になるべく寄った、そういう解決もやむを得ないのかと考えたこともありましたが、最終的にこれが廃案になって、その後、政府の方から大変努力された方も大勢おられるんですが、難事を極めるという事態があって、民主党としてはこういう考えだというものをかなり山盛りに盛り込んだそういう法案も出す、こういう際に、私はだいたい責任者をずっとやっておりました。したがって、このシステムをなんとしても、とにかく生み出したいという思いが大変強く、今そうした機運も盛り上がってきていると思いますので、法務大臣としてとにかく作りたいということが第一でございます。今国連の委員会などからも早く作れということも言われているので、生み出したい。そのためにはなるべく多くの皆さんが、100点満点と言えなくても、これなら納得できるかなと思えるものにとにかくしなければ、一部の人のやったぞという思いだけで提案し、それでまた頓挫するということでは困るので、いろいろ批判の御意見もあると思いますが、ああいう形にまとめたということでございます。その中でも特にここはしっかりさせなきゃならんというのは、やはりパリ原則、政府からの独立ということでございまして、この点について法務省に設置しますが、しかし、国家行政組織法3条機関として、人事その他について、政府から独立して権限が行使できるような、そういう姿のものにしたいということで、ただ言葉でそう言うだけではいけませんので、関係の皆さんといろいろ相談をして、独立性をきっちり保てるものにしたし、更にこれからもそういう独立性に十分配慮した制度設計をしていきたいと思っております。民主党の元々の考え方は法務省ではなくて内閣府にということですが、内閣府にせよ法務省にせよ、いずれにしても政府からの独立性ということをどう制度的に仕組むのかということは変わらないので、内閣府におけば独立かというとそんなことはありません。内閣府の言うとおりになったのでは独立性がないわけですから、そこは法務省にはこれまでの人権行政のいろんな経験や知見の蓄積がありますから、法務省がまず生み出す。そこまでを法務省が引っ張っていって作る。そして、作ったものを法務省が独立性を最大限保証しながら、大事に育てていくということにしたわけでございます。時期については、今、政務三役の中間報告で全ての合意ということになって、ただ制度設計でいろいろ考えなければならないことや、まだ細かく詰めなければならないことがありますので、この中間報告を基に、法務省で制度設計をこれから具体化させてまいります。これは、ぱっと鮮やかというわけにはなかなかいかないので、残念ですが確定的なことは申し上げられません。私としてはこれはなるべく早くと思っているのですが、法案として仕上がるのに今年一杯は十分かかるのではなかと思いますが、急ぎます。
(問)今の質問に関してですけど、今年一杯かかるということは、早くても来年の通常国会以降の提出になるとのお考えでしょうか。
(答)この秋から冬に臨時国会がどうかというのは常識的にはあるということですが、そこに提出できればそれはうれしいんですけど、あまり雑な検討で出すわけにもいかないので、今年の臨時国会に間に合わせろと言うと、作業する人は頭を抱えてしまうでしょうね。
(問)昨年の中間報告では人権救済機関の設置場所を内閣府に設置することとありましたけど、今回は法務省というふうに明記されたわけですけど、方向が変わってきた理由とか大臣が御判断された理由を改めてお聞かせ願います。
(答)人権救済機関の設置場所については、昨年の中間報告では内閣府も念頭に置いて検討するということだったと思いますが、内閣府ということは固定するというほどの書き方ではなくて、このときから既にいろんなバリエーションがあるということは念頭にあったわけです。政府案が法務省ということで、当時我々が参議院で議論しているときに、法務省にはいろいろ人権上の問題が指摘される、指摘されるから全て人権侵害をしているというわけじゃありませんが、刑務所とか入国管理局とかがあって、それと人権擁護と両方法務省というのは、なかなかすとんと落ちないという感じもありました。よって内閣府という提案をしたのですが、内閣府にはそいうものがないのかというと、ここもいろいろあるわけで、それならいっそのこと人事院的なものにするかとか、しかし、それも憲法の制約とかいろいろありまして、これはずっと長い悩みであったわけです。実際に内閣府でと仮にして、内閣府だったら私が取りまとめであるとか、あるいは法案の作成であるとか、こういうような立場にいないわけですから、じゃあ誰がやるのですか、どういうスタッフがいるのですかなどどということを考えると、なかなか内閣府が機関車になってということよりも、実際上困難なことがあって、そこでこの機会に党の側からも法務省にということで人権侵害救済機関検討プロジェクトチームの中間取りまとめもいただいたので、政府、与党ここは意見が一致して前に進めなきゃいかんということになって決断をいたしました。

(問)タイのタクシン元首相が今月の下旬に日本訪問を計画しているとのことです。タクシン元首相は汚職事件で禁錮2年の実刑判決を受けたという身分ですので、通常の手続であれば入国できないことになるわけですけど、一応元首相でもありますし、それから妹さんのインラクさんが今度次期首相になることになっています。そういう外交的な問題もありますので、タクシン元首相の訪日を許可するのかどうか大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
(答)皆さんは御存知なのかもしれませんが、私どもの方ではまだタクシン元首相の具体的な訪日予定というものは承知をしておりません。タクシン元首相から査証の申請が行われて、外務省から協議があれば、適切な対応をいたしますが、まだ、何か申し上げることができるほど熟しておりません。

(以上)

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