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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

小沢大臣記者会見録(平成22年9月7日(火))


1.発言要旨

 私から御報告は1件ございます。
 もう皆さん御案内のとおり、本日の閣議で、水俣病被害者の救済の支援に係る国庫補助のために、404億円の予備費を使用することが決定されました。これは、本年4月16日の水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法の救済措置の方針の閣議決定に基づき、速やかに水俣病被害者の方々が一時金等の支給を受けることができるように、チッソ株式会社の支援措置を行うためであります。また、この一時金の支払いを確実かつ迅速に行うため、本日、特措法に基づいて、一般財団法人水俣病被害者救済支援財団を指定支給法人として指定したので、併せて御報告を申し上げます。
 私からはとりあえず、この水俣病関連の御報告ということで、後はどうぞ。

2.質疑応答

(問)先週ジュネーブで、温暖化対策と生物多様性の閣僚級会合が開かれました。これについての成果についての評価と、それから日本として今後COP10などの本番に向けてどのような取組、また今後の課題について、大臣の御所見をお願いします。
(答)まず温暖化の問題に関しては、その会議そのもので具体的な進展があったということには、残念ながらなりませんでした。副大臣、南川地球審に出席いただきましたが、いつものように各国意見陳述の会議であったという報告を受けております。ただ、その中で2つ注目をすべきことがあると思っておりまして、一つはエスピノサ・メキシコ外務大臣が、COP16の議長ですが、天津の会議において議長国としてのCOP16に向けた提案を行いたいという発言があったというふうに聞いております。これは、かねてから私が申し上げておりますが、とにかく去年のCOPに私が出た経験からして、最大の問題は、議長国としての提案が最終場面まで出せなかったことに有るということから、とにかく早く提案を出した方が良いと、ずっと言い続けてきましたし、この間メキシコに行った時もそういう話をしました。でありますので、それを実行していただけるという意味では、天津の会議から約2ヵ月ありますので、そういった意味では議論の深化ができるのではないかと思っております。中身に関しては、国際的な枠組み全体になるのか、個別テーマ、いわゆる資金協力とか技術協力とか、そういった話になるのか、そこは分かりませんが、そういう話が一つあったというのが1点です。それから後、これは南川地球審の方でフィゲレス事務局長と会談をさせていただいて、今のLCAとKPの2トラックの作業部会のやり方は、いくらやっていても成果があがらないという話を明解に申し上げたというふうに聞いております。で、やり方を変えなければだめだと。具体的にいえば、コペンハーゲン・アコードが埋没してしまうので、あれをベースに話を進めて行くべきであるという提案をさせていただいたところであります。フィゲレスさんからは明解な答というのは無かったと。明解な答というか、そういう戦略的な話と、あと先程申し上げたような個別のテーマの話の成果と、同時並行でやっていかないと難しいという話だったように聞いておりますが。そういった形で、会議の進行そのものにも、日本が積極的に意見を言う、提案していくという形を取れてきていることは、世界を動かすというのは大変なことだとは思いますけれども、一歩前進、日本の環境政策、国際交渉に臨む姿としては前進なのかなというふうに思っています。
 それから生物多様性の方の会議はかなり、いわゆるCOP10を成功させようという気運が盛り上がっているというふうに聞いておりますし、まず一つは、私が提唱しておりました、ニューヨークの国連会議の場で議長国関係者の会議を開かせていただこうと思っておりますけれども、それが大変好評であったと。皆さんから、大変良い計画だという支持が有ったということが1点と、それから後、最終の場面で、日本のCOP10を成功させようということで満場から拍手で副大臣が激励を受けたというふうに聞いておりまして、そういった意味では気運は盛り上がっていると。具体的な中身はどうかということでありますが、ポスト2010年目標に関しては、いわゆる資金的な問題が一つまだ残っていて、ただこれも、言い値と落としどころのところはかなり差が開いておりますが、言い値は言い値で向こうも相当、最初から大きなことを途上国側は言っておりますので、それは無理だということも分かっておりますから、そこを詰めていく作業が重要だろうというふうに思っています。
 それから後、ポスト2010年目標に関しては、やはり、具体的な目標とは別に新しいコンセプトを、持続可能な社会、持続可能な開発という、1992年のリオの正にコンセプトでありますけれども、それに変わるといったらあれですけれども、それと、ある意味では対比できるくらいの新しいコンセプトを提案することが必要だろうと思っていて、もう皆さんも今まで何度か聞いていると思いますが、自然との共生という話は正に、今回既に提案の中にも入っておりますけれども、そのコンセプトをもっと前面に立ててやって行きたいと思っています。日本語でいうと、自然との共生というと、そんなものは当たり前ではないかと日本人は思うみたいですが、やはり世界的に見ると、一つの文明的な観点で自然と共生して生きると、Harmony with Natureという言葉は、一つの新しさがあるのではないかと思っておりまして。その言葉が良いのかワーディングを少し考えて、そうしたコンセプトをしっかり表現できる日本語、あるいはまた英語を考えていきたいと思っています。

(問)チッソ支援についてなのですけれども、今日閣議決定した。
(答)チッソ支援ではないです。被害者支援。
(問)まあ被害者の一時金等の差額を、実際支援するということですよね。これは、今日閣議決定したのは国負担分ということで、県の負担分とあわせると約475億円程度の金額になると思うのですが、今回の金額を決めた積算の根拠というのを教えていただけますでしょうか。
(答)これは、なかなか根拠というのを示すというのは難しいというふうに事務方から言われておりまして、要は1人当たりの金額、あるいはまた人数、そこがある意味ではまだ未確定で、大体おおよそ、もちろん予測をして、それをカバーできる額というふうには思っておるのですが、無用な憶測を申請者の方々に与える懸念もあるものですから、それは是非控えたいというのが環境省の今の立場でございます。

(問)大体、団体加算金を除くと約2万人分の一時金が今回の金額でカバーできると、相当すると思えるわけですけれども、それは、今回の認定患者の方の救済に対して十分な額だというふうに考えておられますか。
(答)はい。そういう予想を熊本日日新聞さんもきちんと持っていただいているので、大体みんな内々はそういうふうに予測をされているのだろうと思いますし、その人数は今までの申請者の人数、あるいはまた和解に向け協議中の原告の数を考えると、環境省としては十分な額だと思っておりますし、少なくてもそれで万々が一のことが起こった場合にもきちんと対応するという意識も持って取り組みたいと思っています。
(問)今最後におっしゃったのは、今回の分で仮にもっと利用者が増えるようなことがあった場合には、またその際には必要な措置を取るというふうに理解して良いのでしょうか。
(答)当然そう思っていただいて結構です。今回の額で、繰り返して言いますと、十分であるというふうに環境省としては思っておりますけれども、万々が一、それでももし不足というような話になれば、当然それはしっかり対応するという覚悟も持って取り組んでいます。

(問)一時金の支給は10月1日を目指すという形でよろしいのでしょうか。
(答)熊本県の具体的な手続きになりますが、早ければ10月からできるというふうに聞いています。

(問)改めて、現状で救済策の進捗状況あるいは申請者数について、どのぐらい、その範囲内なのかということの御感想を。
(答)十分対応、いわゆる申請者の皆さんたちもスムーズに申請をしていただいておりまして、そういった意味では大変スムーズに作業はやれているのかなというふうに思っています。
(問)人数についてはいかがですか。
(答)先ほどおっしゃられたような数字を、大体皆さん念頭に置きながらやっているのだろうというふうに思います。

(問)チッソの事業再編計画なのですけれども、どういった条件がそろった場合に、大臣として許可できるといふうに考えられるのか、時期の見通しも含めてお願いします。
(答)それは、チッソの方としては、当然、特措法に定められた対応をしてもらうという話でありまして。どういう条件が整った場合に?
(問)大臣としては、申請者数がだいたい落ち着いたぐらいにだとか、一度、来年度末……。
(答)分割みたいな話のことを言っているのですか。
(問)そうです。
(答)それを認めるかと、そういう意味で言っているのですか。そこは、少なくとも、どういう条件がという具体的な条件を今持っているということではないのですけれども。ある意味では、分割そのものが被害者救済に、ためになると、そのために必要だという状況を総合的に判断するということだろうと思うのですね。あくまでも救済がファーストプライオリティと、当然のことながら、それがあると、と思っています。

(問)分割後の子会社の株式売却のことなのですけれども、今回、閣議決定をされて、県も県議会で承認した場合、およそ四百何十億円かチッソに貸付という形になるのですけれども、そうすると、チッソの債務残高が今、千三百億ちょっとぐらい有って、その分も足して、あと今後の将来の勘定補償とか、あと金融機関への貸付額とか、あわせると二千何百億ぐらいになるのですけれでも、株式売却を御承認されるのは環境大臣なのですけれども、その時はやはり、その額を超えた額の市場価値なりが出てきた時しか売却をしないというふうに考えてよろしいのでしょうか。
(答)まだそこのところ、具体的な細目を決めているわけではありません。ただ、特措法でそれを前提にして、この仕組みを考えてきておりますのと、現況、チッソさんの経営状態も以前に比べてかなり好転しているというような話を聞いておりまして、事務方からは、かなり期待が持てるのではないかという報告を今受けているところです。でありますので、ただ経済状態は一刻一刻変動有るわけですから、全て負債全額カバーできるかどうかという話になるかどうかは分かりませんけれども、今回は400億含めて、大変大きな額であることは間違いないので、できる限りそういったものを国民負担にならない形でカバーできる、その最適な水準を考えていくと、総合的に判断していくということではないでしょうか。

(問)やはり今回の支援策の決定、あるいは今後の事業再編計画の許認可というところに関しては、本当に被害者の方々から、すごく関心が集まっているところだと思うのですけれども、どのようにこれから説明をされていきますか。
(答)これは、元々特措法の精神そのものの話にもなるのだろうと私は思っていて。被害者の方々は、ある意味で、チッソという会社が責任を放棄して、いわゆる形が無くなって逃げてしまうのではないかと心配しているし、特措法そのものは、そうではなくて、逆にそれを国民負担ではない形で、チッソがしっかりとその責任を果たしていくためにはこの方式がいいのだと、こういうことで決めてきた経緯が有りますから、そういった若干のこのミスマッチを、これは私自身も言ってきたつもりではいるのですが、しっかり言っていくということが大事なのだろうと思いますし。そして何よりも、国が責任を持ってそういったことをやっていくと、そのために、最終的なチッソとの、許認可の権限も持っているのだということもしっかり伝えていかなければいけないというふうに思います。

(問)ちょっと話が戻るのですけれども、今回、国としても、かなり大きな額の支出をするわけですけれども、前回の95年の政治決着の際には、国が支出した270億円については、その後、返済免除という形がとられていますが、今回も400億に関して、返済を免除するというような考えは有りますでしょうか。
(答)今のところ、そういう気持ちは全く有りません。
(問)では、返してもらう。公的債務に乗っかってくるという。
(答)現時点では、しっかりと返済してもらうと、そう思っています。

(問)地球温暖化対策の国際交渉ですけれども、天津でエスピノサ外相の方から新たな成果の原案が示されるということですけれども、大臣としては現時点でどのような形の原案、先ほど少し、全体の枠組みの話なのか個別の話なのかとおっしゃいましたが、大臣としては、どのような形が望ましいというふうに思ってらっしゃいますか。
(答)私自身は、前から言っていますが、コペンハーゲン・アコードを法文化していくという話がベストであると、常に言い続けてきています。それに対してエスピノサ外相からは、なかなかそれは合意に至る可能性が少ないと、ですから正に、資金、技術協力、更にはREDO、そういったところで、そういうテーマごとの具体的な提案をして、それがCOP16では決められればいいのではないかという話がありましたので、そういった今までの考え方に沿った提案が出てくるのかなというふうに思っています。原案というよりも、議長国としての提案ということですね。

(問)今度の天津のAWGなのですが、AWGを中国で開催するのは初めてであるということなのですが、まず、中国がどのような意図を持ってホスト国になったのかとか、中国で開催するということについて、大臣自身がどのように受け止めていらっしゃるかという点についてお聞かせください。
(答)中国がどのような意図を持ってということは、中国もしっかりと、そういう国際舞台で役割を果たしたいということだろうというふうに思います。更にまた中国がそういう思いを持って、正に天津で開催してくれることは、我々としては大歓迎でありまして、この間の日中ハイレベル対話の時もそういう意見を、私も張平主任にお伝えしたところです。

(問)この機会に、例えば、中国政府としては積極姿勢を国際社会にアピールするチャンスかと思うのですが、例えば前回のハイレベル対話とか、それ以外の場面で、次のAWGで中国がどのように臨んでくるのかというふうなお話などは届いていらっしゃいますでしょうか。
(答)AWGで具体的にどうするかという話はしていないのですけれども、この前の記者会見でも御報告したように、中国はあくまでも、いわゆるGNP比の、原単位での削減をしっかりやると、それはもう本当にかなり、確かに中国の現地へ行っても、いろいろなところでそういった、王府井辺りでも温暖化対策に関するパネルがばーっと有ったという話は申し上げたと思いますけれども、そういう意味では、政府そのものは一生懸命取り組んでくれる、そういう姿勢は有るのだなということは感じています。
 更にまた、しかし同時に、京都議定書を、日本もなんとかまた第2約束期間に向けてやってもらいたいのだという姿勢は相変わらず有りますし、そこはいつも言っている。実質的に削減に至らなければ意味がないではないかということを私は言って、そこは溝は埋まらなかったということだと思いますし、ただ同時に、米国がやはり先進国としてしっかり、少なくても、次は加わることが必要だという意味では、共通認識というのは有ったと思います。
 そういったことに、例えば、天津で中国がやるということが米国の背中を押していってくれればいいなというふうに思いますね。

(問)先週有った温暖化の閣僚懇談会の中では、基本法原案をそのまま出すことについて、多少意見が、異論があったようなのですけれども、今週閣僚委員会が予定されているということで、それに向けた調整の進展はいかがでしょうか。
(答)今週、もう確定したのでしたっけ、閣僚委員会。聞いてないですよね、まだ。
(事務方)確定したとは聞いていないです。
(答)今、事務方ベースで、局長レベルでいろいろな議論はしておりますけれども、まだ閣僚委員会がセットされたという話はちょっと聞いていません。ですから、今まだ協議中です。

(問)先ほど持続可能な開発という、92年以降の世界の環境のキーワードだと思うのですが、それでは不十分というか、新しいものが必要だというふうにおっしゃったと思うのですが。
(答)それに新味を加えたいと、日本的な新味を加えたいというふうに受け取っていただければ。持続可能な社会、持続可能な発展、これはやはりずっと有って当然いいものと思っていまして、更にCOP10として新しいコンセプトを加えることができたらいいなと思っているということであります。

(問)先ほど、生物多様性の会議の中で、気運が盛り上がっていて、ポスト目標については資金的な問題が残っているというふうにおっしゃったかと思うのですけれども、2010年目標での途上国の生物多様性を守る上での資金援助という意味なのでしょうか。
(答)そういう意味です。
(問)ABSのという意味ではなくてですか。もちろんABSについても、途上国の方に資金が流れるような仕組みということでいえば、途上国側は随分主張している、国によっては金額ベースのお話もしているかと思うのですけれども。
(答)ABSの話はもちろん今までの、例えばアフリカがヨーロッパ諸国に言っているように、植民地時代のところまでさかのぼって、遡及して、その時得た利益を支払ってくれという話でありますし、ポスト2010年目標に関しては、やはりそのポスト2010年目標を実現していくに当たって資金的な協力もしてもらわなければいけないし、あるいは技術協力も必要だということですよね。我が国としては、御案内のように今年から、いわゆるキャパシティビルディングで、いくらでしたかね金額は。
(事務方)10億円です。
(答)10億円掛ける5年という形で資金協力の表明はしているわけですけれども、加えて、いわゆる世界的な、そういう中での仕組みをどう作っていくかということは、やはり重要な課題だということだと思いますね。ポスト2010年目標を実現するための資金協力、そういう意味です。

(以上)

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