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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

小沢大臣記者会見録(平成22年6月18日(金))


1.発言要旨

 おはようございます。閣議後会見をさせていただきます。まず私の方から報告事項3点申し上げたいと思います。
 まず、新成長戦略についてでありまして、政府として「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」の実現を目指す新成長戦略を、今日閣議決定いたしました。この中で、強みを生かす成長分野の一つ目として「グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」が掲げられております。その実現のための政府全体の取組として、例えば次のような環境政策が位置づけられております。国家戦略プロジェクトとして、未来に向けた世界トップクラスの環境保全都市づくりの成功事例を生み出そうとする「環境未来都市」構想。それから、具体的な行程表の中の早期実施事項として「エコ家電等の省エネ製品やエコ住宅の普及促進のための措置」、さらには「リースによる低炭素型設備の導入促進の枠組み」。これはこの前の金融の話で補足説明をしたものであります。こうした取組について、各関係省庁と連携しつつ、こうした環境政策を通じて、経済成長を実現してまいりたいと思います。
 それから2番目で、規制・制度改革対処方針についてということで、本日閣議で、対処方針が決定されました。環境省としても、温室効果ガス25%削減を進める上で、政府全体として自然エネルギーの利活用に資する方向で規制・制度の見直しが進められたことは有意義だと思っておりまして、特に所管分野におきましては、自然環境保全との調和を図りつつ、できるだけ積極的にやっていくという方針でございます。例えば、今回の検討の中で、かねてから検討してまいりました、国立公園・国定公園内の地熱発電に関する通知を見直しまして、その判断基準を明確にいたします。その結果として、地熱発電を当分の間6箇所に限定する記述が今まで有ったわけでありますが、その記述を廃止いたします。今後とも、政府全体での適切な規制・制度の見直しを含め、あらゆる政策を総動員して温室効果ガス25%削減に向けて取り組んでまいります。
 それから3番目でございますが、既に一部報道で、もう今日載っておりましたが、本日、地球温暖化対策の推進に関する法律、温対法に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度による平成20年度の集計結果を発表いたします。対象事業者は約8000、排出量合計は約6億1000万トン、平成19年度比約4000万トンの削減。約6億1000万トンは日本全体の排出量の5割に相当するものであります。本制度は、個々の事業者が排出量のデータを算定・報告し、国がそれを公表することになっておりまして、これにより、事業者の排出削減に向けた取組を促進することを目指したものであります。今後とも、事業者の一層の削減努力がされることを期待をいたします。内容は、本日皆さんに配布をさせていただきます。
 とりあえず私からは、この以上3点を申し上げて閣議後報告とさせていただきます。

2.質疑応答

(問)まず1点目ですけれども、民主党の参院選のマニフェストが発表されました。環境政策に関しましては、昨年の衆院選のマニフェストに書かれていた「温室効果ガスの25%削減」それから「国内排出量取引市場の創設」といった言葉が今回は書かれていないです。一見してトーンダウンしているような印象を受けたのですけれども、大臣はこのマニフェストについてどのような印象を持たれましたでしょうか。
(答)まず25%削減は、実現をしたことの中に入っており、それを国際社会に提唱したという書き方になっております。ですから、そこは間違いなく入っているということが一つと、排出量取引制度の話は、正直言って私も、3本柱でずっとやってきましたから、再生可能エネルギーの買取制度と、税とですね。そこは若干腑に落ちないところは無いわけではありませんが、敢えて明記しなかったということで、やらないという意味ではないというふうに理解をしておりまして。基本法を出してその中にはしっかりと位置づけられているわけですから、政府としてはしっかりその方針で臨んでいきたいと思っています。

(問)2問目ですが、正にその基本法なのですけれども、今度臨時国会で改めて、という方針なのですけれども、今回の参院選マニフェストで、排出量取引制度というものが明記されていないということで、例えば今度出し直す基本法案の内容に影響などは考えられないのでしょうか。
(答)私も実は昨日の夕方、最終版を見たものですから、その後具体的に党とそういう話をしておりませんが、逆に向こうの方からも何も言ってきておりませんし、菅総理自身も国会答弁の中で「基本法案の修正は考えていない」と、明快に答弁をしておりますので、そこはそんなに大それて思っていないのですが。

(問)昨日のマニフェスト会見で、菅さんが消費税の導入をおっしゃいましたけれども、元々鳩山総理は4年間は上げないとおっしゃっていて、菅さん自身も無駄が全て排除された後にとおっしゃっていたのですが、この方針転換をどう評価するかというのが1点と、消費税を上げることを明言したことで、参院選への影響の御所感を。
(答)まず1点は、私も直接その会見を見ておりませんが、自民党の10%についてどうかという話に関して、参考にしたいと、そういう答え方をされたというふうに聞いております。でありますので、元々は例の、いわゆる超党派の会議を提案をしておりますから、そこの場でそういった数字を参考にしながら議論をしていきたいという趣旨だろうと思っておりまして、そういった意味では、やや報道の皆さんたちの書きぶりが、これはいつものことでありますが、あたかもそれが一人歩きしそうな書きぶりで、そちらの方を逆に私としては心配をしています。
 参院選への影響ということでありますが、確かにそういった数字が一人歩きしていくと、やはりそれが、プラスで出るのかマイナスで出るのか、そこは分かりませんけれども、大変重要な案件なので、影響が無いとは言えないものですから、そこのところはしっかりと方針を固める必要が、改めて有るのかなというふうに思っています。

(問)トキについてなのですけれども、今期の自然下の繁殖がもう厳しいということが発表されました。今シーズンは、繁殖への期待と失望が入り交じったシーズンになりましたけれども、これを振り返っての御所感と、来シーズン、この秋にまた放鳥がありますが、今後の期待について教えてください。
(答)確かに本当に今回は、期待も大きかっただけに残念な思いもあって、ワールドカップに匹敵する、ある意味では、大きな国民の期待だったのかなというふうに思っています。例のケージの問題もある中で、しかし体制をまた、1名増員という仕組みもしっかり作って、心機一転頑張りたいと思っておりまして、なんとかして、放鳥は当然しっかりやるとして、来年は野生のふ化ができるように、これはもう環境省一丸となって、あるいはまた新潟の皆さんたち、特に佐渡の皆さんたちにお力を借りて頑張っていきたいという思いでいます。

(問)さっきのマニフェストの話ですけれども、現状では話が進められている排出量取引制度について、あえて書かないというふうに、どうしても見てしまうのですが、この決定の過程の中で大臣はどういう御意見を言われたのでしょうか。
(答)具体的には、言っていません。どういう書きぶりになるのかという最終の原稿を見せられてもいなくて、ですから正直言って、昨日初めて最終のものを見たということなのです。まあ、グリーン・イノベーションという書き方ですから、そういった意味では制度的な話で落ちたのかなという気はしていますけれども、繰り返しになりますが、基本法をしっかりやっていくというのは政府の統一見解でありますので、そこのところは是非、そういう御理解をお願いしたいというふうに思います。

(問)またトキに戻るのですけれど、いわゆる絶滅危惧種の保全ということで、今年はCOP10もあるということで、ああいうものに対する保全が注目を浴びているのですけれども、トキは非常に、一連の閉ざされた報道などで、絶滅しかけているすごく小さいのが本当にすぐ無くなるのではないかという誤謬なイメージというか、全部無くなるのではないかというイメージが、いろいろ混同されている部分があって、既にキンというのが、国産のトキというのは絶滅しているのだと。その時に国の特別天然記念物というふうに、日本の在来のトキはされていたのですけれど、その後も何の検討もなく中国からのトキが、その後も国の特別天然記念物という位置づけできてしまっているので、中国からの移入種として運ばれているトキというのが、その後も国の天然記念物という指定を受けて継続されているということが、非常に国民の誤解を招く要素にもなっていると思うのですけれども。その辺の整理というか、一旦やはり日本の本当のトキは絶滅したのだ、だけどもニッポニア・ニッポンという名前の鳥を大切にしていこうというために国が対策を取っているのだというところの、きちんとした整理がされていないというところが問題ではないかというのが鳥類学者の中にもあって、その辺、大臣として整理というか、なにか御所感があれば。
(答)確かにおっしゃることはよく分かりますので、貴重な御提言として受け止めて、少し整理をしてみたいというふうに思います。移入種、その定義というのは、元々違う種が入ってくれば移入でしょうけれども、トキの場合には種そのものは全く同じでありますので。
(事務方)はい、遺伝的には違いはないと。
(答)ですから、それを移入と呼ぶかどうかは、呼ばないと思うのですね。少しそこも含めて整理をしてみたいというふうに思います。鳥ですから、行ったり来たり元々しているものも沢山いるのでしょうから。
(問)渡り鳥の場合なんかだったら、それはしょうがないと思うのですけれど、トキは渡り鳥でもない。それから中国、遺伝子レベルから見ると同じ。
(答)同じなのでしょう。
(問)でも、それもいろいろ、どこまで。
(答)どこで育ったかで違うと。少し整理をしてみたい。
(問)非常にセンシティブというか、敏感なね。
(答)ただ、国民の皆さんのトキに対する期待というのは本当に大きいですよね。これは、積極的な報道機関の姿勢もあるのかもしれませんが、大変期待は大きいので、それには応えていかなければいけないなというふうに思います。
(問)ずっと、日本のトキは途絶えてきているのではないのというイメージの人もいるので、僕は逆に、トキはやはり、乱獲とか汚染問題で、一旦日本では絶滅してしまったのだよという意識というのも重要ではないかなと思うのですが。そういうのがあって。
(答)そのことはでも、隠し立ては別にしているわけではないですよね。事実として。それが広く浸透しているかどうかは別にして、公開には当然なっているわけですから。

(問)消費税の話に戻るのですけれども、大臣御自身の消費税そのものに対するスタンスといいますか、御自身としてはどう考えていらっしゃるのかというのが1点と、それから、環境税との絡みがどうしても出てくると思うのですけれども、環境大臣としては、消費税と環境税が両方ダブルできた時に、どのようにその辺を調整してこれからやっていかれたいと思いますか。
(答)まず私個人としては、消費税に関しては、この前もこの会見でも申し上げましたが、経済誌の方に出させていただいたように、この国の国家像、在り方、そういった話を議論をした上で、私としては、そういった国民の負担率、負担の在り方というのを議論をしていく、そういう順番が望ましいというふうに個人的には思っています。その上で、私としては、これだけグローバル化が進んだ経済、更には第三次産業化が進んだ経済の下においては、ある意味で、今の40%という国民負担率は、それを超えていっても、更にはまた、雇用を生んでいく、あるいは成長を生んでいく、そういう道筋というものは必要だとずっと思っています。という結論からすると、そこはやはり、一番、そこで、国民負担をある意味では支えていただけるものは消費税だろうと思っておりまして、そういうステップを踏まえた上で国民の皆さんに御理解をいただく、それが私は必要だというふうに思っています。
 それから温暖化対策税との関係でいいますと、今年、温暖化対策税、昨年同様のモデルを基本的には提示するというのが今の方針でありますが、更にいろいろ議論を深めていきたいと思っておりますけれども、いずれにしても、去年と同じものであったとしても、これは、新たな負担率を上げる話にはなりません。税目は変わりますけれども。ですからそういった意味では、これもあれもという話でいえば、名前としてはそういう書き方になりますが、負担率としては変わらないと。温暖化対策税は、去年と同じ話であれば。それに加えて新たな消費税という負担はお願いするかもしれないということですから、それは御理解をなんとかいただくことが必要だろうというふうに思っています。

(問)成長戦略の環境未来都市なのですが、普通考えれば、電気自動車が走っていたり、エコ発電が自宅にある、そういうのを想定するのですが、大臣そのものは、どのような都市を想定というか、お考えになられているのでしょうか。
(答)まず、ずっと僕がもう一貫して言ってきているのは、日々の暮らしと地域の取組と、こういう話を言ってきているわけでありまして、そういった正に暮らしぶり、あるいはまた地域の取組等が目に見える形で示されるような、そういう都市、そういうゾーン、それを作りたいと思っています。でありますから、それを見ることによって各地域が、ああいうふうなことができるのではないかという話を、見える形でやっていくという話が必要だろうと思います。今回再任をされるに当たって、菅さんから言われたことということで、見える形を作ってくれというふうに言われたのは御報告したとおりですが、それの一つの姿がこの環境未来都市であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
 更にはまた、その時も言ったかもしれませんが、加えて、アジアの中での協力体制、そういった要請も行われておりますから、三カ国首脳会談で、そういう議論も中国からしていただいておりますので、そういったものをそのまま、今度は中国のモデル都市で日本が協力していくというようなことにもつながっていける、そういう仕組みを考えています。

(問)消費税に戻ってしまって申し訳ないのですけれども、根底の国家像の在り方を議論をした上で、負担の議論が望ましいとおっしゃいましたが、もうちょっと具体的に教えていただきたいのが1点と、あと、昨日の玄葉政調会長の説明では、参院選で既に超党派の議論を始めて、最速で2012年の秋には導入をというお話だったのですが、このスケジュール感、どう評価されていらっしゃるか教えてください。
(答)まず一つは、国家像という話は、もっと日々の暮らしでいうと、何にどのくらいのお金を使ったらいいのかという話をしなければいけないと思っているのです。ですから例えば、子育て支援の話が、現状ではなかなか2万6000円の満額は難しいと。しかし果たしてそれが、本当に少子高齢化に対応する話として、する必要があるのかと。我が国の正に家庭、子育てに対する、いわゆる国の負担というのは0.3%で、フランスは3%あって、そして正に先進国の中で出生率が2を超える。それを政策として行ってきたという話は、私は十分参考にできる話だと思っているし、また介護の話もどうするのだと、そういう議論を積み重ねた上で、それにはこれだけの財源が必要だから、だからこれだけ国民の皆さんにお願いをしようと、そういうことをやりたいといういう意味です。
 これは個人的な話になりますが、そういう勉強会も個人的に立ち上げたいと思っておりまして、ですからそういうところで具体的な、私個人としては、ものも見いだして、そして政府の中にも当然生かしていきたいというふうに思っています。
 それから、スケジュール感。これは、最速と玄葉さんも言ったのだろうと思うので。それにしても実施は。
(問)2012年の秋。
(答)12年ね。だから2年後ということですよね。最速でも12年という話で、この秋に超党派、与野党でその話がまとまるかどうか、で、まとまった時の2年後というのは、確かにそういうことなのだろうというふうに思います。この秋にまとまるかどうかに関しては、我々、政府与党としては、まとめるように努力をしていくことが必要なのかなというふうには思います。議論を進めていくことが必要なのかなとは思います。
 あと、消費税に関してついでにもう一言言っておくと、10%というのは、近い将来の一つの参考になる数字だとしても、段階的な上げ方とか、具体的な方策はいろいろ考え得るというふうに、私は個人としては思っています。それの方が、消費を喚起していくという意味においては有効な話もあり得ますので。まだまだこの議論はスタートしたばかりということだったと思います。

(問)食べ物だとか、外国だと同じ消費税でも、随分と%に差がありますけれども、そういうのも少し。
(答)基礎的、正に商品に関しては、別税率という話も当然あり得ると思いますし。そういう議論を与野党で詰めていきたいということだろうと思います。

(以上)

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