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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

小沢大臣・田島副大臣記者会見録(平成22年4月16日(金))


1.発言要旨

 本日の閣議において「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法の救済措置の方針」等の閣議決定を行いました。先にも申し上げましたように、熊本地方裁判所での和解の基本的合意が成立した際にも申し上げましたが、水俣病公式確認から54年、この間多大な苦痛を強いられた被害者の方々、また、引き裂かれた地域社会のことに思いを馳せると、こうしたことに至った行政のあり方を反省し、またお詫びの気持ちで一杯であることを改めて申し上げたいと思います。このため一刻も早く解決し、地域の未来に向けて再出発出来るようにしなければならないとの考え方から、鳩山総理の「命を大切にする政治」の理念の下、環境省をあげて取り組んでまいります。
 今般の救済措置の方針の決定に至るまで、訴訟団体、非訴訟団体を問わず、多くの被害者団体の方々との間で、数え切れないほどの協議を、関係者は重ねてまいりました。また、関係省庁や関係県、関係事業者とも調整を行ってまいりました。関係の皆様方の御決断、御尽力に感謝を申し上げたいと思います。また今回の決定の基盤となった特措法が制定され、またその後も御指導いただいた関係の議員の皆様方にも敬意を表させていただきたいと思います。
 今後はまず、5月1日に申請受付を開始をいたします。これに先だって今週末、18日に田島副大臣を、来週19日に小林事務次官を、相次いで現地に派遣し、水俣市及び出水市で会合や説明会を行うなど、速やかに周知広報等を開始することにしております。
 かつてメチル水銀で汚染された魚を食べ、現在健康に不安のある方には、こぞって申請をしていただき、また関係自治体と協力しながら、診断、判定作業を進め、1日も早い救済が実現できるように努力してまいりたいと思います。さらに、胎児性患者の方を始めとする医療福祉政策、地域社会の絆の修復、地域振興や調査研究、水俣病の経験の国内外への発信などについて、関係自治体や地域の幅広い関係者と連携しながら進めることとし、今後も水俣病問題に真剣に向き合っていく所存でございます。
 救済措置の方針等の内容については、この後10時から事務方が説明をさせていただきますので、そこで詳しくお聞きいただきたいと思います。
 尚、本日の閣僚懇談会におきまして、私から、総理始め関係閣僚に、御尽力にお礼も申し上げ、また今のような内容を御報告をさせていただいたところでございます。以上です。

2.質疑応答

(問)鳩山政権がスタートしてから確か7ヶ月になるかと思うのですけれども、この間でここまでたどり着いたということで、改めて振り返って御所見いただききたいのですが。
(答)所見といいますか、まず、若干個人的にもなるのですが、今日の閣僚懇でも申し上げましたけれども、私にとっては子どもの頃テレビで見た、所謂映像、俗に言う「踊る猫」の映像とか、あるいはまた学生時代は、宇井純さんの自主講座華やかなりし頃で、そういった、本当に、日本の公害の、ある意味では原点の水俣病のこの間を思うと、本当に先ほども申し上げましたように、苦しんでこられた皆さん方の、そういった気持ち、地域の問題等を思って、精一杯努力をしてきたつもりでございます。
 「命を大切にする政治」という鳩山総理の訴えもあり、そして田島副大臣も精力的に水俣に入っていただき、また小林次官始め事務方の皆さん達も精一杯動いていただいたと思います。それと同時に、特措法が昨年出来ておりまして、そういった意味では民主党は、御案内のように当時野党ではありましたけれども、その成立に加わらせていただきました。昨年のあの時点では、色々な意見、御批判もある中で、党としても決断をし、水俣病問題に一所懸命に頑張っていただいている関係議員の当時の与党の皆さんとも力を合わせてやってきたことが、ようやく今日に至ったのかなという思いがあります。それから、訴訟団体の皆さん、非訴訟団体の皆さん方も本当に、ある意味では大きな決断をしていただいたと。まあそれは、特措法も出来、政権交代も出来たこの折に、それがある意味では1つの節目になって、決断をしていただいたのかなと思いますが。
 色々なことのそういう巡り合わせが、今日のこうした日を迎えることができたという意味で、大変感慨深いところであります。

(問)総理から今日は何か御発言はありましたでしょうか。
(答)今日はありませんでした。昨日、総理には御報告させていただきましたので、昨日は本当に、「よく頑張ってくれた」というねぎらいの言葉があって、改めて総理にも、現地にも足を運んでいただきたいというお願いを申し上げて、「自分も出来る限りそうしたい」と。ただまあこれは繰り返しになりますが、何が起こるか分からないのが政治でございますので、「現時点では確約という訳にはしないけれども、自分としてもそういう気持ちでいる」というお話でありました。

(問)改めて、5月1日に申請受付開始をしたいということを聞きましたが、具体的にどのようなことを5月1日までにされるということなのでしょうか。
(副大臣)これからは所謂、広報活動としてチラシの作成でありますとか、また関係自治体ときちんとした心合わせ、また準備を進めていきたいと思っています。5月1日まで、もうそれこそ2週間しかございませんので、準備だけは抜かりの無いように進めていきたいと思っております。

(問)閣議了解の方のチッソのの支援措置についてなのですが、前回の平成7年の決着の時には、結局債権放棄するといういうような格好になりましたけれども、改めて、こうした事態に対するお考えを聞かせてください。
(答)そういったことも踏まえて、今回の特措法の内容が出来ているものというふうにも思っておりまして、まあ経済環境にも依りますけれども、そういった意味では、チッソのところでの、皆さんにもしっかりと対応していただくことによって、出来る限り、そういった国の負担というものが生じないというふうにしていきたいと、これはもう、そう思っております。

(問)救済措置の申請の受付期間なのですけれども、95年の時よりは長くなるような日程と取れるのですけれども、どのような考えで今回申請受付期間というのを。
(答)平成7年の時は、5ヶ月というふうに承知しております。で、その後、「知らなかった」という話も、その後あって、今日のこうした事態に至って来たのかなと、こういう大きな反省から、今回は、23年12月まで、とにかくそれを見て、そしてその時の状況で改めて判断するという対応をした訳です。ですから、先ほども副大臣も言っていただいたように、とにかく周知徹底をしっかりして、この際とにかくそうした思いがある人は、こぞって申請していただきたいと思いますし、そして、かなり社会的な環境も変わってきていて、そういった検診始め、そういったものを受けることに対するハードルも、障害も、かつてに比べればかなり低くなっていると思いますので、とにかく徹底して皆さんに受けていただきたいと思います。ですから、少なくても救済されるべき方が、1人でも漏れることがないようにという思いで、期間を延長させていただいたということです。

(問)ひとまず来年12月までというのと、特措法で定められている「3年以内を目途に解決」ということとの関係性を御説明いただけますか。
(副大臣)まずもっては、申請状況を一定程度把握をしていきたいということから、23年末を1つの区切りと申しますか、目途にさせていただいて、その状況からどのように延ばしていくのか、若しくは、これでほぼいけたのかということを量っていきたいと思っています。その3年目途というのは、一応、元々法に書かれていることでございますので、それについては改めてそれを前倒しだとか何だとかというような考えを持っていた訳ではなく、その法に則った形での救済にきちんと当たっていきたいと思っています。

(問)3年で打ち切るという、そういう意味では無いということですね。
(副大臣)3年を目途にということだったので、私の方としましては、それを当然前提にしていきたいと思いますが、ただ、皆さんの報道振り等々にも相当、申請状況であるとか周知部分も影響してくるので、やはりそれが長ければ長いほど沢山出てくるのかどうかということも、ここは当初からの、所謂申請状況等々の把握をした方がよいと思っておりますので、まずはその23年末で、一度ちょっと様子を見るということで、今回、区切りと言いますか、設けさせていただきました。ただ、それで終わるというような、そういう予断を持っている訳では全くありませんので、そこは誤解の無いようにいただきたいと思います。

(問)被害者三団体への団体加算金がそれぞれ明示されていますけれども、こちらの根拠とか、組み立てた理由は何かございますでしょうか。
(答)基本的には裁判での和解の提示金額を一つの参考にさせていただいております。団体加算金に関しては、基本的にはですね、これまでの活動の経費というのを大原則にしながら、人数、活動年数等々を勘案して作らさせていただいたということでございます。

(問)出水の会20億と福祉事業を足すと不知火会の裁判の時と同額になりますが、それは同じという趣旨で揃えているんですか。
(答)裁判の和解金額を参考にしたといえば参考にしているところはございます。元々、出水の会の皆さん達からはそういった福祉施設は必要だという要望は強くいただいておりまして、私も現地に行かせていただいて、そういった施設が水俣に比べて若干少ないという印象も感じてきたところなので、そういう対応をさせていただいたということでございます。
(副大臣)元々要望額自体は20億でございました。それに加えて今大臣おっしゃってくださった、福祉施設等々の要望も有りましたので、それを加味した形での額になりました。

(問)熊本の互助会訴訟とか新潟の第三次訴訟など、まだ継続している訴訟も有るんですが、現時点でそういう状況についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)一つの政府の方針、あるいはまた、その他の団体の皆さんの受け入れもふまえてですね、我々としても話し合いの場を作っていきたいと、こう思っておりますし、また、それぞれの皆さん方も、今回のことはですね、またあらためて、今後の方針を決める上での大きな要因にもなっていくのではないかと思っております。

(問)今の質問と少し重なるかもしれませんが、水俣病の最終解決、全面解決とよく言われますが、この方針というのはそれを目指しているというか、どのようにとらえておりますか。
(答)最終解決、全面解決という言葉がなかなか難しいのですが、私としてはですね、とにかく救済に値すべき方々の、最後の一人まで救済しなければならないというのが一つと、それから、前から申し上げておりますように、今後の地域の取組を含めてですね、そういったことをしっかりと行って新しい道に踏み出して行くということが大事だと思っておりまして、とにかく、これで一切幕を引いて終わりと、そういう対応をするつもりは全くありません。

(問)多くの識者とか、お医者さんがですね、いわゆる悉皆調査の必要性を指摘しておりますが、今回の閣議決定では手法の開発という事までは書かれておりますが、その後の悉皆調査の可能性についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)ずっとそういう疫学的な調査の開発、そういったことを我々としては申し上げてきたわけであります。悉皆調査のありかたはですね、要望は要望として受けさせていただいていますけれども、出来るだけ有効な手段というのはいったい何なのかということを考えていきたいと思っております。

(問)被害者手帳に関してもかなりきちんと書いてあるんですけど、一時金と併せて被害者手帳も重要な救済措置として捉えていらっしゃるんでしょうか。
(答)もちろんです。

(問)魚介類を多食したというのは、相当遡った状況なんですけども、どうやったら分かる、どうやって証明されるものなんですか。
(副大臣)一定要件ということで私ども書かせていただいているんですけど、当時、水俣の地域、不知火海沿岸にお住まいで、御自身が食べていらっしゃていたかどうかということは、御本人の居住歴であるとか、御家族の中に認定患者がいらっしゃったりとか、そういったことが十分な根拠になり得るのではないかと思っております。

(問)科学的に体内から検出されるとかではなくて、自己申告的なものになるんですね。
(副大臣)そうですね。

(問)先ほど九州の方に説明に行くということだったんですけども、新潟のほうに現時点で、特措法関連で説明に行く予定はあるんでしょうか。
(副大臣)今日も実は事務次官が新潟の方に参ります。同様に、しっかりと対応出来るように、こちらも進めてまいります。
(問)裁判のことだと思っていたんですけど、特措法も含めて。
(副大臣)和解に向けた事前協議は随時進めておりますので、同じように進めてまいります。

(問)九州には田島副大臣と小林次官がそれぞれ行かれるのですか。
(副大臣)別行程で、一部一緒になりますけども。
(問)これは被害者団体と会って今回の閣議決定した内容を御説明するのでしょうか。
(副大臣)そういう訳ではなく、今後お世話になります医療機関でありますとかに、御挨拶に行くことと、それからまたそれ以外でも、もやい直し、また地域の医療福祉施策を今後展開していくに当たりまして、被害者団体以外の地元の中小企業もしくは農家、色々な方々とお会いして、新たな環境先進都市として生まれ変わりたいという地域の実態を見に行くことと、胎児性患者のお宅にもお訪ねしていなかった宿題がございましたので、訪問させていただきたいと思っております。
(大臣)閣議決定を受けた正式な説明会という形をとらせていただこうと思います。

(問)熊本の方には首相が行かれることを検討されていることなんですけども、新潟の方に鳩山首相が行かれることは検討なさっているのでしょうか。
(答)まだそこまで頭がまわっておりません。熊本の方は御案内のように5月1日という慰霊の式がありますので、そういう意味でですね、お願いをしておりますが、新潟の方はまた別途考えたいと思いますが、今のところはまったく頭がまわっておりません。

(問)5月1日なのですけれども、ちょうど土曜日に当たっているということで、前から話題になっているのですが、その辺どのようなことを考えてらっしゃいますか。
(副大臣)当初私も心配はしておりましたけれども、窓口となります県の方にも話をして、一応1日から受付をするということでお願いをしていきたいと思っています。

(問)窓口も、5月1日は土曜日なのだけれども、開くということで。
(副大臣)はい。当然各県も、その体制を充実させるために、人員の増員だとか強化だとかに配慮いただいておりますので、まあ直接窓口というか、電話等々でのお問い合わせ等々も当然あろうかと思いますので、5月1日というシンボリックな日からやはりスタートしたいという、私どもは当初から思っていた考えどおり、受付等また相談等々が、していただけるように進めていくつもりです。

(問)4月30日に先に開けるというのではなくて、とにかく1日に。で、もう受付は5月1日からスタートすると言ってよろしいのですね。
(副大臣)はい。ですからその前に、色々資料でありますとか、一目でぱっと見て分かっていただけるような申請手続き等々の紙、資料だとかも、やはり用意しなければなりませんので、これから2週間、加速的にちょっとがんばらなければいけないなと思います。

(問)申請場所は県の、なんか出先とかがあるわけですか。
(副大臣)出先というか、一応各県、新潟、そして熊本、鹿児島県、それぞれの中で担当する課を窓口にしていただく予定としております。

(問)チッソなのですけれども、被害者団体からなんか、今回の和解及び今回の閣議決定で、やはり原因企業であることを忘れるかのような言動なども出て、そういうことも心配されているのですけれども、今後チッソに対する考え方というか、どういうふうに見ていくかというのを、大臣のお考えを聞かせてください。
(答)今年の年初あたりはそういう話はありましたけれども、その後我々との話し合いの中でも、しっかりと対応していくという表明もされておりますし、今回のこういった決定については、色々な話し合いの中で、チッソも、そういう方針をしっかり持っていただいているというふうに思っています。ですから、そこはもちろん我々行政としては、引き続きチッソにも、そういった原因企業としての意識を持ち、責任を果たしてもらいたいという対応で臨んでいきたいとは思っていますが、今とりたてて、昨今そういう話が起こっているというふうには承知をしていません。しっかりやっていただきたいと思っております。

(問)チッソの事業再編計画の許認可権が第一にあると思うのですけれども、ひとまず平成23年末まで窓口を開けておくということは、それまではなかなか認可はし難いというふうに捉えてもよろしいでしょうか。
(答)そこまで連動して考えていったつもりではありませんけれども、大事なことは、本当に、患者の皆さん達も含めて、あるいはまた色々な経済的対応を含めて、患者の皆さんが安心していただき、なおかつ信頼していただき、なおかつ経済的必要性、そういったものが整った、整ったというか、それが必要だと判断、そういった総合判断の中で私が決定をしていくということになると思います。

(問)COP10まで半年となりましたが、次期議長国の議長を務める大臣としての改めての御所見と、今COP10を成功に導くために大臣自身が力を入れている環境外交について。
(答)だんだん時間も迫ってきておりまして、御案内のように4月29日をCOP10に向けてのキックオフの日という形でスタートさせたいと思っています。それを皮切りに、まず国民の皆さんにCOP10の意味、意義、あるいはまた馴染んでいただくという話を大いにやりながら、国際交渉のほうは関係省庁ともしっかり連絡をとりながらやっていきたいと思っております。国会日程が有るものですから、自由に動けないのですが、国会の日程の許される範囲の中で、出来る限り国際交渉にも私自身も、あるいはまた副大臣、政務官も取り組んでいきたいとこういうふうに思っております。いくつかの会合は着実に行われておりますので、また事務方の皆さんにはそれなりに頑張っていただいてる訳ですが、出来るだけ早くですね、我々政治のレベルでも加わっていきたいと、こういう思いを持っています。

(以上)

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