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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

小沢大臣記者会見及び第18回環境省政策会議後記者ブリーフ会見録(平成22年3月12日(金))


1.発言要旨

 今日は、私から3点申し上げたいと思います。無事、地球温暖化対策法案が閣議決定をみました。私も、署名は皆さん、我々ぐるぐると回るのですが、しげしげと各閣僚の署名を確認させていただいて、感無量の思いでございます。この基本法案に関しては、昨年、鳩山総理が25%削減を表明して以来それの実施に向けての大きな、私は出発点になるものと思っていまして、様々な意見がありましたが、それを取り纏めとして一つの結論を得ていくのが政治の役割でもございます。その結論が一つ見い出せたのかなと思っておりますので、今後我が国の温暖化対策における大きな出発点を踏み出すことができたと思っております。それから、また具体的な論点は、恐らく皆さんから後ほどいろいろ御質問もあるでしょうからいちいち触れませんが、基本的には私は、この基本法案の最も大きな特徴というのは、いわゆる「環境と経済の両立」という言葉がありますけれども、それを更に一歩踏み込んで「環境と成長の両立」を意識し作らせていただいた法案だと思っています。そしてまた、今までの政府が決めてきた話とは、まず目標数値も決定的に異なりますし、手法の上でもいわゆる温暖化対策税、あるいは排出量取引制度の創設、あるいはまた全量買取制度の導入等々、極めてある意味では、大がかりな、斬新な制度導入を始めたという意味では、大変、これまでの政策とは全く、決定的に違うものになったと思っています。とりあえず私からはそのくらいにさせていただきたいと思います。 
 それからトキの問題ですけれども、昨日も申し上げましたが、渡辺審議官を昨日から現地に派遣をいたしまして、現地の皆さんと一緒に、今調査を精力的に行っています。順化ケージの状況でありますが、順化ケージの側面と天井の一部を調査をしておりまして、いくつかの隙間を確認しましたが、現時点でこれらの隙間から、いわゆるテンと思われる テンが侵入した痕跡は認められておりません。痕跡というのは、穴のところに毛がついているであるとか、そういった痕跡と思っております。順化ケージ内においてテンは、今のところ目視されておりませんが、極めて自然環境に近い状況にしてありますので、いろいろな隠れ場もありますので、更に調査を進めるとともに、いわゆる罠を設置いたしまして、もし万が一テンがまだいるということであれば、その捕獲を図りたいと思っています。その罠は、入る罠なので、パタンと。こうたとえば足が押さえられるようなものではありませんので、トキが入るようなものでは決してありません、それは大丈夫です。あと、繁殖ケージというものがその脇にあるのですが、繁殖ケージも念のため調査をしておりまして、動物の侵入防止を講じたいと思っています。具体的には、ケージ面への波板の設置、ケージ内部、また外部への罠の設置、ケージ上部にかかっている枝の伐採等を順次実施していきます。繁殖ケージへの侵入防止措置完了までの間、管理棟において異常の有無を24時間で監視をしてまいりたいと思っています。それからこれもすでに申し上げましたが、16日、トキ飼育繁殖専門家会合を佐渡市で開催をいたします。現地検証の上、事故原因等について議論をいたします。それから、私は今週の日曜日に現地に入る予定でいます。また詳しい日程は貼り出しをさせていただきたいと思います。
 それから、IPCCの報告書作成手続きの独立レビューの実施についてということで御報告を申し上げます。国連およびIPCCが3月10日付で、IPCC報告書作成手続きに関わるレビューの実施をIPCCから独立した科学組織であるインターアカデミーカウンシル、IACに要請したことを発表しております。もう皆さん方には英文を日本語訳にしたものをお配りしておりますので、もう御存知だと思います。環境省としては、これまで官房長を通じてパチャウリ議長にIPCCの信頼性向上が必要であること、それから日本として積極的に取組に貢献することを伝えておりまして、本レビューの実施が正式に決定したことを評価したいと思います。このレビューは中立的で厳密なものが実施されることを期待しておりますし、環境省としては現時点において、4次報告の主要な論点は些かも、それに対する信頼は些かも揺らいでいないと認識をしておりますが、今後引き続き、そうしたレビューを始めとするIPCCの活動に協力を続けてまいりたいと思いますし、更にはまたIPCCのさまざまな情報に関しては、できる限り速やかに、また皆さま方にも御報告をしていきたいと思います。
 とりあえず私からは以上です。

(副大臣)政策会議の報告だけさせていただきます。閣議決定に先駈ける形で、今日8時から18回目となります政策会議を開催させていただきました。冒頭、大臣にも御挨拶で出席をいただきましたけれども、今しがた大臣からも御報告がありましたが、地球温暖化対策法案、佐渡のトキの現状についての御報告をさせていただきました。もうこれまで過去5回に渡りまして政策会議で議論をし、また意見も頂戴してまいりましたので、閣議決定前ということで、今までのような議論もございませんでしたけれども、今後この一年間を目途にさまざまな制度設計をしていくに当たって、できる限りこの政策会議、さまざまな場で意見を言える、また議論ができる場を作って欲しいという御要望を頂戴し、今後、工夫と検討をしていきたいと答えさせていただいたところでございます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)基本法なのですけれども、率直に、いろいろ纏めるまでに御苦労もおありだったと思うのですけれども、今の率直な感想といいますか、大臣がどういう感想を抱いていらっしゃるかをお聞かせください。
(大臣)先ほども申し上げましたように、鳩山総理の25%削減目標を実現していくための、大きな一歩を踏み出すことができたと思っておりまして、そういう意味では、実務を担う我々としては、一つの役割を果たせたというようにほっとしております。ただ、同時に総理からは、これからが重要なのだという、昨日皆さんも聞いていただいたスピーチがございましたように、そういう指示がきておりますので、更にそれぞれの諸制度、具体的に制度設計をしていかなければなりませんから、今日は今日でちょっと安堵、それから更にまた、気を引き締めて頑張りたいと、このような心境です。

(問)トキなのですが、ちょっと一点確認なのですが、瀕死のトキが一羽いたと思うのですけれど、それはまだ死んだということはないということでよろしいでしょうか。
(事務方)ございません。

(問)大臣日曜日に現地に行かれるということですけれども、どういうところを御自身の目で御覧になりたいかということを改めてお聞かせください。
(大臣)とにかく侵入経路を確定していただきたいという指示を出しておりますので、そういった、先ほど申し上げたような穴であるとか、また監視体制ですね。その辺は、それぞれ現場にいらっしゃる皆さんの意見をいろいろ聞かせていただきたいと、どのような日常活動なのかというようなことをぜひ聞かせてもらいたいと思っております。

(問)基本法案ですけれども、排出量取引制度の部分ですが、最後、小沢大臣と仙谷大臣で最終案を纏める際に、それまでの環境省が提示していた文案から変えたところはどういうところなのかを教えていただけますでしょうか。
(大臣)「基本としつつ」を挿入したという点です。
(問)元々はどういった表現だったのでしょうか。
(大臣)「定める方法のほか、生産量その他の」という話を「定める方法を基本としつつ」という話を付け加えました。
(問)そうされた御意図というのは。
(大臣)元々申し上げているように、キャップアンドトレードがベースですよ、という話を言ってきていたわけでありますけれども、それを更にはっきりさせたということです。

(問)法案の中に、政策決定の民意の反映という部分も入っているのですが、これは具体的にはどういう場を使ってやっていかれることを考えていらっしゃるのでしょうか。
(大臣)これからと思っておりますけれども、とにかく私たちは前から申し上げているように、できるだけオープンな場で、さまざまな各界の皆さんの意見を聞かせていただきながらやっていきたいというのが基本でありますので、それが可能となるような場を作らせていただきたいと思っています。特にテーマとしては、ロードマップのところだろうと思っておりまして、案の作成の時、事前に聞かせていただくのはもちろん有り得るでしょうし、いわゆる各産業、あるいは国民の皆さんの取組というようなところで、一緒に議論をしながら決めていきたいと思っています。

(問)それは既存の仕組みを活用しながらということでしょうか。
(大臣)新しい組織体といいますか、会議体を作るかどうか、メンバーも確定するかどうか、それは今後検討したいと思っていますが、環境省にも中環審のような審議会もありますし、各省またそれぞれ、そういったものがありますから屋上屋を重ねてもいけないとも思っておりまして、よくその辺は相談をしていきたいと思っております。ただこれは、皆さん方からいろいろそういった御要請をいただいたことも踏まえて、私としては是非入れたいと、条を立てさせていただいたということです。

(問)排出量取引なのですけれども、「原単位も検討する」という文言が盛り込まれたことで、最終的に総量が増えるという懸念がまだ残されたのではないか、もしくは産業界に過度に配慮し過ぎているのではないかというような批判の声も上がっているのですが、そのあたりどうでしょうか。
(大臣)全く当たらないと思っておりまして。というのは、昨日もぶら下がりでも申し上げましたように、そもそも排出量取引を総量規制だけでやるといっても、日本全体の排出を100%カバーするわけではないわけですね。民生部門を含めて排出はあるわけでありますし。昨日も申し上げたようにユニバーサルサービスといいますか、供給義務を課せられているような産業もあります。そういったことを考えていった時に、何が100%なのかということでありますので、いわゆるそこは、純粋100%というものは元々有り得ない。そういう中にあって、環境と成長の両立を図っていくという中で、25%の目標はしっかりと実現していかなければいけないわけで、大事なことは25%を本当に実現するということと、環境で成長を引っ張っていくと、この2つがポイントだと私は思っておりまして、そういった意味では、全くそういった御批判は当たらない。逆に言うと政策論ではなくてイデオロギー的な論戦に近いのかという感じもしております。

(問)地球温暖化対策税なのですけれど、案を見ると、いつの間にか地球温暖化対策のためのというようになっているのですけれども、「のための」を入れた理由は何でしょうか。
(大臣)あまり意識していなかったですけれどね。どういうあれですかね。
(副大臣)これは税制調査会の方で、いわゆる議論も並行してやっておりますね。私どもは、やはり温暖化対策のための税ということでは、温暖化対策税だけではなく、税制全体をやはりグリーン化していくということがありますので、改めて特定の税目にしてしまうのではなく、全体をやはりグリーン化していくのだということで、このような表現をさせていただいています。
(事務方)これは、国税と同じ表現になっています。
(大臣)前のやつはどうなっていましたか。
(問)そのまま温暖化対策税になっています。
(大臣)「ための」が要は余計だという意味ですか。
(問)「ための」が入ることによって、温暖化対策税のことを直接指しているのか、それとも単に税制全体をグリーン化するという意味でしょうか。
(大臣)全体に広げているということだと思います。あと、今回の所得税法の一部を改正する法律案の見出しになっておりまして、そのままを今回は準用しています。

(問)つまり、これによって炭素税を指さないのか、指しているのかということなのですが。
(大臣)含んでいる、で、いわゆる温暖化対策税だけではなくて、僕が前から言っているように、他の一般税制もグリーン化という観点でやっていきたいという話を書いてあるのですね。ですから、決してここで緩めたということはありません。広げたという風に受け止めてください。

(問)もう一つ、条文の細かいところですが、排出量取引制度で必要な法制上の処置について、ここ1年以内をめどに成案をする。これは、意味するところをお聞かせいただきたいのですが。
(大臣)1年以内に法案の合意を得るということです。法律の合意を得ると。
(問)関連法ということですか。
(大臣)はい。今は温暖化対策推進法の中で処理をしたいと思っておりますけれども、その、いわゆる内容の確定をするということです。

(問)法案で、基本計画を政府が定めることになっていますが、これはだいたいいつごろまでに定めるという具体的なイメージを。
(大臣)まだそこまで頭が回っておりませんでして、できるだけ速やかにと今日は申し上げておいて、また今後よく副大臣検討チームでスケジュール確認をしたいという風に思います。

(問)1年以内というか、そんなぐらいのイメージで。
(大臣)それはもうだって、他のやつがみんな1年以内になっていますから、最長で1年ということで大丈夫ですよね。

(問)環境影響評価法の改正案ですが、閣議決定がされていないようですけれども、その理由を。
(大臣)実はそうでありまして、なかなか法制局始めとする人手もあって、この基本法が最後の最後までずっとずれ込んできていたものですから、なかなか各省調整、あるいはまた法制局の作業というところで間に合いませんでした。できるだけ速やかにしたいと思っています。
(問)つまり、事務的なことと考えてよろしいのですかね。
(大臣)はい。
(問)業界とかの、いろいろまだ調整が難航しているとか、そういうことでは。
(大臣)ありません。
(問)いつを目指したいのですか。
(大臣)できるだけ速やかにという風に思っています。4本ほど今日は間に合わなかった案件があるのですが、今日は官房長官からも、できるだけ担当大臣は速やかに対応願いたいという話もありましたので、すぐ対応したいと思います。

(問)今日になって、原発の推進ということについて文句が出たとか、そういうことはなかったのですか。
(大臣)もちろん福島さんとは、今朝、閣議前に御挨拶をして、福島さんの方からも、党としての思いとはやや違うところがあると、ただ閣僚としては、当然それは連立政権ですから、全く100%考えが一致しているわけではありませんが、閣僚としては、反対をするとか署名をしないとか、そういう程度のそのような問題でもなく、許容の範囲内だという話で、今日は対応しますというお話がございました。

(問)先ほど、環境と経済の両立というよりも一歩踏み込んで、環境と成長の両立ということをおっしゃられたのですけれども、産業界からかなり反発の声も根強いということで、ロードマップ作りについてどういう風に進めていかれるのか改めて。
(大臣)ロードマップ作りは、まさにそういった皆さんの声を取り入れてやりたいと思っていまして、できるだけオープンな場でやらせていただきたいという風に思います。それから、経済界の皆さんにも、我々のところは24時間門戸は開いてますよという風に申し上げてきておりますし、実際に私の日程まで提示をしてきたけれども、しかしながら「今は会うのはやはりやめておきます」と言って、逆に断られたようなこともございました。ですから、こちらの方はいつでも門戸を開いて待っていますよということを、改めて明確に申し上げておきたいと思いますし、環境と成長の両立という基本的なコンセプトは、経済界としては、これはもう賛同していただけるものと確信をしています。

(問)2点だけ。中長期目標に関して、他国の動向によって目標を設定していく、それで日本の国民に規制なり負担をかけると、その辺というのは非常に珍しいケースだと思うのですけれども、大臣としてはどういう認識をされているのかということと、あと中環審との関係が、やはり一部亀裂が入ったと今回、その辺どうされるのかを。
(大臣)まず、他国の動向に影響される目標が入ったという御指摘でありますが、同時に、いわゆるそれが国際公約として実現しなくても、私としては25%の旗の下でやっていきたいという風に申し上げてきておりますし、現実に、何条でしたかね。実際に推進すると、
あれは何条でしたかね。そうでない場合も行うと。これですかね。その10条の4項で、「ただし、第一項に規定する目標が設定されるまでの間においても、前項前段に規定する目標の達成に資するよう、同章に定める基本的施策について積極的に講ずるものとする」と、あえて書いてございますので、その目標達成のために頑張るのだということです。
そういう法律というのは実際にあり得るのかという議論に関しては、そういう前提条件というのがあり得るのかということは、これも前に申し上げましたが、多くはありませんが数値目標を明記した法律が3本あり、前提条件付の法律が1本ありますので、決してこれだけが唯一例外という話ではないということだと思っています。

(問)日本の主体性が、無さ過ぎるのではないかということを伺いたかったのですが。
(大臣)そういう意味ですか。それはだから、やると、達成するようやるという話で主体性を明記したつもりでおります。で、鳩山総理が言っているのは、「条件はあくまでも、他国の背中を押していくための条件だ」こういう風に国会答弁でおっしゃっているわけでありまして、それにも関わらず日本としてはしっかりやっていくということを書かせていただいたということです。
中環審の話は、亀裂が入ったという御指摘は、そこまでではありませんという風に、副大臣も今隣で言っておりますので、今後よくコミュニケーションをとってやらせていただきたいという風に思っています。

(問)ちょっと今のところに絡むのですけれども、最近、海外において、いわゆるポスト京都の新しい枠組みの年内合意は難しいという人の発言がいくつか出てきているのですけれども、ちょっと今の話とも絡むと思うのですが、それについてはどう受け止めていらっしゃいますか。
(大臣)ヘデゴー女史の話かもしれませんが、この間新聞でもインタビューをやったようですし、欧州委員会も割とそれに近い話をしていますけれども、いくら何でもちょっと早いなあと、そういう話はですね。と、まず私としては思いますのと、少なくても現時点ではメキシコでなんとか成案を得るように頑張っていきたいという風に思っておりますし、そういう目標で頑張りたいという風に思っています。
(問)日本としては、そういう。
(大臣)はい。

(以上)

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