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環境省大臣記者会見・談話等>事務次官会見要旨

大臣記者会見・談話等

事務次官会見要旨(平成21年7月14日(火))


1.発言要旨

 今日の朝、環境事務次官を拝命いたしました小林でございます。今日も省員挨拶で申し上げましたが、環境省がますますしっかりした役割を果たせるように微力でございますが、一生懸命やっていきたいと思っております。特に西尾前次官は環境省が出来て以来、ずっと頑張ってこられました。その後を引き継ぐということでございますが、出来上がったところを基盤にして更に前に行けるようにしたいと考えております。御挨拶でも少し申し上げましたが、環境省の外で環境にいろいろ頑張って汗を流している人、あるいは環境に知恵のある人、あるいは環境の技術を持っている方々が環境省にきて、環境省と意見交換をしてまた外で頑張っていただく、元気が出てくるような役所になれば良いと思っております。今は環境は、環境省だけでやる時代ではありません。いろいろな立場の方が環境省がパートナーシップ組んで世界全体、日本全体、あるいはいろいろな場所でも力が何倍にも増えていくような、拠点になるような環境省がいいと思っております。そのためには、今日も少し申し上げましたが、よく環境省が最前の情報を持って、いろいろな知恵を発揮して、高いクオリティーを持った発信をしていく必要があると思います。また、それを上手く、分かりやすく伝えていって、そして利用していただくようなことも大事だと思います。次官が何をするというわけではありませんが、特に後者の部分、こういうように工夫すれば皆が力を出しやすくなるということについて、何か少しでもお役に立つことがあれば良いと思っております。具体的な話ではございませんが、仕事の進め方についてはそのように考えております。今日も申し上げたところですが、繰り返して申し上げたいと思っております。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

質問
具体的な政策としていくつか絞るのは難しいと思いますが、次官が就任にあたって特に力を入れていきたいとお考えの分野がありましたら教えていただけますでしょうか。

今直面しておりますCOP15の交渉がございますが、地球温暖化対策を京都議定書以降もきちんと進めていくことについてレールを敷いていくことは、この役所を挙げて大臣の御指導の下しっかりやっていく必要があると思っております。個別の話で恐縮ですが、生物多様性条約のCOP10、この自然共生社会を作っていくことも大変大きな話でございますから、その準備をしっかりやっていきたいと思っております。そのような個別の話を超えたもので申し上げますと、リオデジャネイロの地球サミットが開かれたのは1992年でございますが、それからもうすぐ20年の節目を迎え、2012年というのは、やはり京都議定書の次のステップに入るということももちろんありますが、大きな世界の環境保全にとっての節目の年になるだろうと思っております。そういうことに備えて新しい世代の環境行政の準備をそろそろしていかなければいけないのではないかと思っておりまして、もちろん個別の課題として温暖化対策、あるいは自然共生型社会を作っていくこと、循環型社会を作っていくことは外せないのですが、それをもっと大きく包み込む新しい環境行政の哲学みたいなもの、あるいは手段、政策についてもそろそろ準備を始める時ではないかと思いますので、その辺も少し考えていきたいと思っております。

質問
もう一つ具体的に政策というところでいうと温暖化は非常に関心の高いテーマで、その次に今国会で救済法が成立した水俣病の新しい救済という話が目の前にある大きな課題としてあると思いますが、今のところあまり具体的な方向性が決まっていないということがあるかもしれませんが、今後どのようにして進めていくか決意のようなものがあればお聞かせください。

水俣病の対策は、環境省の原点のようなものでございまして、しっかりやっていかなければいけないと思っております。そのような意思の下でこれは議員立法ではございますが、政府や各党が一緒になって今回の水俣病の被害者の救済に関する特別措置を作ってきたわけです。それに沿ってしっかりやっていくことが今のテーマだと思っております。法律自体が与党でまとめられた時に比べて、民主党の御意見もたくさん入って、志は最終解決に向けて一生懸命、一歩一歩やっていく点は変わらないと思いますが、かなり細かいところまで手が入った法律になっていますので、立法にあたった先生方の御意思をよく踏まえて、法律全体をどうやって動かしていくのか、自分も答弁等はしておりましたが、いろいろその時に考えることもございましたので勉強させていただくと共に、特にあの時いろいろな党から聞かせていただいた意見は、地元の声、患者さん方の声をよく聞いて、これからの具体的な方針なりの設計をしていくことが一番肝になることだと思っております。地元自治体との打合せや調整、関係団体の方々の御意見を聞くことを順次やっていくことで、何かスケジュールを特定に決めてそれで落ち着けるということではないのではないかと思っておりますので、一に返って法律を勉強するところから始めたいと思います。

質問
先ほど2050年に向けて新しい環境行政のあり方ということをおっしゃられましたけど、どのようなことから始めていかれますか。

これから考えなければいけないことですが、あらゆる分野で全部環境が組み込まれるような世の中になってきたわけですので、それに応じた仕組み作りが必要だと思います。例えば公害法にしても、これは水・大気環境局でも勉強していて、報告書なども出ておりますが、例えば前にありました基準違反のデータ隠しのようなことが起きてこない制度的な仕組み、例えば一生懸命公害対策、あるいは公害規制を遵守している人は報われて、違法的なことがあるようであればなるべく早く規制を受ける、カミングアウトしやすいような、インセンティブのあるような制度が大事です。今は公害規制法がみんなバラバラと運用されていますので、みんな届出書が違うといったことも合理化できるのではないかと思います。そういう意味では、一番伝統的な公害規制の分野でもやることはあるのではないかと思います。また、廃棄物については、見直しということで勉強していますし、アセスメントで言えば、計画アセス、戦略アセスを含めた、今の事業アセスの見直しは進めますし、そういう意味では、いろいろな材料があると思いますから、それを全部まとめて眺めた時に、果たしてそれを束ねるものがどのようなものになるのか、予防原則といったものがいいのか、参加の原則のようなものなのか、いろいろなことが考えられますが、そういったこと大所高所から少し勉強した方がいいのかと、かねてから思っております。

質問
どうしても小林次官というと、環境税や排出権取引のような経済的手法といったものが得意ですけど、今後どうやって舵を取ってやっていくおつもりですか。

環境税のことや水俣病のこともそうだと思いますけれども、個別の総合環境政策局、環境保健部の話だけではなくて、全省を挙げてやっていくべきことだと思います。新しい総合環境政策局長もおりますし、環境税の担当課長もまた替わっておりますので、それぞれの判断もあろうと思うのでよく相談していきたいと思います。いずれにしろ税制の抜本改革の中で、グリーン税制を進めていくことは既定方針ですから、そういうことが実現するように、環境を汚す行為は今以上に重課する、環境をきれいにする行為についてはもっと軽課するというのがグリーン税制の思想ですから、そういうことが今以上に実現されるように税制改正要望の中でも行っていくべきだと考えています。また、必ずしも税ということではないのですが、経済的手法で言いますと、私もこういうことを話していいのか事前に聞いておりませんので、あるいはいけないのかも知れませんが、中央環境審議会に諮問して、環境と金融についても新しい検討を始めたいと考えています。そういった経済的な手法は、税には限りません。排出量取引もそうかもしれませんし、金融の中に環境を活かす方法とかそういった経済的手段によって環境をよくしていくと、これは環境がメインストリームに入ってきた時代で、必然的な手法だと思いますので、あらゆる場所で強化するように努力していきたいと思いますし、原局の相談に乗りたいと思います。

質問
水俣病ですが、地元自治体や患者団体の話を聞いて、具体的な方針を作っていくということですが、今後いつ頃からそういった作業を始めたいとお考えでしょうか。

今、環境保健部の方にそういった工程表みたいなものを分かりやすく作るように頼んでいるところで、それを待って、また御説明していきたいと思います。先ほどもちょっと申し上げましたように、いついつまでに、例えば1年、意見が合わなければ棚上げだというわけではなくて、具体的に決めるということではなくて、まずいろいろな人の意見をまず人に当たって聞いて、それからその先を決めることになると思います。ですから、今具体的にタイムスケジュールやタイムテーブルを持っているというわけではございません。

質問
関連してですが、今回の特措法は原因企業のチッソの救済法だということで、反対をされている方もいらっしゃいますが、その点はどうお考えでしょうか。

元々の、現在の公害患者、認定患者の方々の補償ということは、現行の法令の規定の中でも果たされてきたと思いますが、課題としてはやはり3万人にも及ぶ、自分達は水俣病ではないかということで、補償や救済を求められている方々がいらっしゃるわけであります。その方々の救済ということになりますと、現在の救済資金を出す仕組みではとてもワークしないというのが現実だと思います。その新しく救済を求められていらっしゃる方々に、きちんと資金なり、また役所としても予算を持ちまして、医療費については被害者手帳で保証ということになりましたが、一番の加害者のチッソにきちんとお金を払ってもらう、負担をしてもらうということがやはり大事なことだと思います。そのための新しい仕組みがないと新しいお金が出てこないということでありまして、私はチッソの分社化は単なる手段だと思っています。新しく救済を始めても、今すぐチッソがいなくなって、チッソが免責されるための手段として理解されるのかというと、実際にはないわけでありまして、実際に分社化された後、今までのチッソが清算されるのであれば、国会でも審議がありましたが、全て紛争が解決してから初めてそのような事態になるのであり、現時点で加害企業たるチッソが免責されて、いなくなってしまうというのは、私は全くの誤解だと思います。条文上そのようなことは書いていないと思っております。確かに最初に出された与党案が強面の文章で誤解されたのかも知れませんが、そこはしっかり民主党に直していただいたので、そのような説明もしていきたいと思っております。

質問
先ほどおっしゃった環境と金融の諮問の話ですが、これは4月に出た日本版グリーン・ニューディールの中で言われているようなことを想定されているのでしょうか。

そうです。4月に出た日本版グリーン・ニューディールの中にあるのは、金融機関が企業にお金を貸す時に環境格付けされたしっかりした企業に融資をする。そういう時に金利を事実上無利子にするということで、利子補給をするということでしたが、それももちろん一つの形ですが、それだけではなくて、今度は金融機関にお金を入れる投資家側といいますか、例えば個人投資家や機関投資家、タンス預金をしている方もいるわけです。そういう方々が金融機関にお金を預ける時に、株を買うという時に、今よりも環境の方にお金が回り易くなる仕組みはないだろうかということで、お金を貸す機関については確かに手当しましたが、お金を投資する方、預ける方にはまだ十分に手当がされていないと思っていますので、そういうことを開拓していくべきではないかと思っています。ただ、諮問自体は包括的なので、それに限らないもっと幅広くいろいろな事が検討できると思っています。

質問
諮問の時期はいつ頃でしょうか。

私の記憶では13日付けだったと思うのですが、まだ見ていません。
 総合環境政策部会自体は7月30日に開かれて、いくつか新しい専門委員会の設置も行うとも聞いています。ですから、夏の検討、予算とか、税制とか、秋口の法案準備などに7月末から審議会ベースで入ってくると思います。

質問
環境経済大研究をどういった形で進めていくおつもりでしょうか。

確か環境研究大研究は4億円ぐらいの研究費が付いておりまして、それを執行していくということでございます。現在は、既にいろいろな研究テーマの公募ということを始めており、その中には例えば地球温暖化対策で、日本の対策が厳しかった場合に国際貿易上どういう影響があって、産業の国際配置がどう変わるかという研究だとか、それから御案内だと思いますが、どうしても環境制約がない経済の中で、今後新しく対策をしようとすると、費用に環境対策費というものは考えられ、そして、当然マクロ経済も費用を払った分だけ小さくなる。言葉を変えれば、環境を汚すことが既得権になって、きれいにすることが費用になってしまうという少しおかしな仕組みに今の経済モデルはなっているので、もうちょっと環境も守ることの利益を読めてくれるような、あるいは環境対策をすることで経済や企業も逆に大きくなるようなことが計算できるような経済モデルを作るということも一つのテーマになっています。そういうものも応募があったらいいと思いますし、そういう研究会が始まれば、私も見に行きたいと思っています。また、8月くらいには全体の研究などを大所高所から少しコントロールして、御意見番のように著名な本流の経済学者の方々の懇談会を設けて、そこで全体の研究の進め方や今後の研究の仕方などをアドバイスいただこうと思っておりますが、夏までには準備はほぼ終わるのではないかと思っています。そのように進めて行きたいと思います。

質問
座右の銘や仕事を進めていく上でのモットーなどがあればお願いします。

座右の銘は特にないのですが、私は環境が好きでやっているようなところがありますので、仕事自体が趣味のような、公私混同というか私公混同なので、環境を良くすること自体が大変好きです。そういう意味では特にモットーもないのですが、環境を良くなることが本当に良いことだと思っております。そういう意味で、世の中のいろいろな動きというのは環境を良くする方法を巡ってちょっとしたぎくしゃくがあるだけだと思いますが、それは御相談すれば必ず良い答えがあると思っていますので、先ほどちょっと申し上げましたパートナーシップとクオリティーみたいなことを強いて言えば思っています。環境省全体もそう思ってくれればいいと思っています。モットーというか、一つの対処の在り方とは思っています。モットーというそんな大それたものは持っていません。

質問
一番最初にいろいろな立場の人達が自由に出入りして、力を貰ったり、やりとりをしていきたいとおっしゃっていましたけれども、具体的にはどのようなことを考えていらっしゃいますか。

確かに今は入館するのにカードを見せなくてはいけなくなって大変だと思いますが、やはり環境省に来ると一番新しい情報があるとなると、いろいろな環境の試みをやっていらっしゃる方達が、実際にこんなことをやっている、と評価して欲しいといっぱいいらしているのが事実だと思います。そういう方達を拒まないでよく聞く、役所の人間が世の中を何でも決めているわけではありませんので、そういう意味で謙虚にこちらもいろいろと情報収集をさせていただくとか、また聞いたことを蓄積していくことが大事ではないかと思います。環境省が元気にいろいろな事をやっていることになれば、人は間違いなく来ると思います。それには特別な工夫はないのですが、せっかく来ていただいた人達を活かすといいますか、いただいた情報をストックして、活用していく方が大変かとは思っています。

質問
先ほど斉藤大臣が、会見の時に80%以上削減に向けて、具体的にイメージとなるものを提示するようにこれから作っていきたいとお話になりましたが、次官もさっそくその仕事に取りかかるということになるのでしょうか。

まだその後、大臣と直接お話をしておりませんが、大臣としてか、環境省としてか、お作りになるという御発言があったというのは聞いておりますから、当然作業体制を作らなければいけないと思います。ただ、幸い国立環境研究所で、供給側で50%ぐらい炭素をカットして、需要側でも省エネなどでエネルギー需要を50%カットすると、0.5×0.5で炭素分0.25になって、言わば75%削減できるというものが既に国環研の研究であります。その中で積み上げられている対策も、割とおとなしい対策だと思いますので、80%という数字をもう一度積み上げ直すのも決して難しいことではないと個人的には思っています。これは一つの提案ですので、またいろいろな人の御意見をいただいていけばいいのかと思います。あの数字は1990年比75%でしたので、そういう意味では提言たり得るようなものがあるので、十分チャンスがある提案ができると思います。

質問
温暖化対策ではCO2以外の対策、例えばフロンのバンク対策など弱いのではないかという話がありますけど、その点はどう考えていますでしょうか。

破壊して処理ができる、またそうしなければいけないということで、フロン回収・破壊法も回収に代替フロンを入れて、目的にも温暖化対策への貢献ということを付け加えて、修正して取り組んできたところですが、どうもやはり、まだ現実に漏れているということですので、まだまだ不十分な対策なのかとは思っています。例えば今国会で、与党から低炭素社会の基本法というものが出されておりまして、これはまだ審議されていませんし、この情勢では成立できないと思いますが、その中でフロン対策では製品にどうやってフロン代替物質を使っていくかということも入っておりました。そのようなことも含めて、いろいろな在り方というものを少し研究した方がいいのではないかと思っています。

質問
この時期に解散総選挙になることで、先ほど予算や法律の準備などで忙しい時期だとおっしゃいましたけど、この時期に8月30日まで自主的に国会が空転するような形になることについて、行政的に与える影響についてはいかがでしょうか。

環境が争点というよりは、それぞれ与野党の御主張がわりと似ているところがございますので、結果を見ないとその関係省として右へ行けない、左へ行けないということではないのではないということと、予算時期に備えてシーリングについては早く出ておりますし、骨太方針のような予算編成の方針も明らかになっておりますので、そのようなことを踏まえて、例年も大体8月の間に新しい予算の提案、税制改正提案、あるいは組織定員要求の提案をまとめますので、夏はどちらかというとこちらが勉強する期間ですので、影響が全く無いとは言えないとは思いますが、大臣とよく連絡を取り合って、大臣も忙しいと思いますが、例年通りやっていこうと思っております。

(了)

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